JPH11144225A - 磁気ディスク - Google Patents

磁気ディスク

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JPH11144225A
JPH11144225A JP31071897A JP31071897A JPH11144225A JP H11144225 A JPH11144225 A JP H11144225A JP 31071897 A JP31071897 A JP 31071897A JP 31071897 A JP31071897 A JP 31071897A JP H11144225 A JPH11144225 A JP H11144225A
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JP
Japan
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magnetic
acicular
powder
layer
disk
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JP31071897A
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Kazuhiro Okamoto
和広 岡本
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反り量が小さく、ヘッド浮上型記録方式によ
って記録再生を行ったときに安定な出力が得られる磁気
ディスクを提供する。 【解決手段】 可撓性非磁性支持体1の少なくとも一方
の側に中間層2,3と磁性層4,5が形成されてなる磁
気ディスクにおいて、上記中間層2,3に所定の重量比
で針状非磁性粉末と、針状比が5以上の針状磁性粉末を
含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスクに関
し、特にヘッド浮上型記録方式に用いて好適な磁気ディ
スクに関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体としては、強磁性粉末や結
合剤、各種添加剤を有機溶媒とともに分散せしめて調製
された磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布乾燥すること
で磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が知られており、高密度記録化の目的から上記強磁性粉
末としては金属微粒子が用いられるようになっている。
【0003】このような金属微粒子を用いる塗布型の磁
気記録媒体は、オーディオ用あるいはビデオ用の磁気テ
ープを始め、高密度フロッピーディスク、バックアップ
用データカートリッジ等のコンピュータ用記録媒体とし
て利用され、現在における磁気記録媒体の主流になると
同時に、特性の向上も目ざましいものがある。
【0004】また、塗布型の磁気記録媒体の高密度記録
化を実現するためには、強磁性粉末として金属微粒子を
用いるとともに、媒体表面を超平滑化することによって
スペーシングロスを最小限に抑え、さらに磁性層の膜厚
を薄くして自己減磁損失を低くすることも非常に有効で
ある。
【0005】しかし、磁性層の膜厚を、例えば1μm以
下に単純に薄膜化すると、磁性層表面に非磁性支持体の
表面形状が現れ易くなり、磁性層表面の平滑化が困難に
なる。このため、磁性層を薄膜化する場合には、非磁性
支持体と磁性層の間に非磁性の中間層を介在させる重層
塗布型構成が採られる場合が多くなっている。このよう
に中間層を介在させることで非磁性支持体表面と磁性層
表面の間に厚さが稼がれ、非磁性支持体の表面形状が磁
性層表面に現れ難くなる。したがって、厚さの薄い磁性
層が平滑な表面形状で形成されることになる。
【0006】さらに、高密度記録技術の進展には、この
ような媒体側の改良のみならず、ヘッド−ディスク−イ
ンターフェースの改良も大きく貢献する。
【0007】例えば、磁気記録媒体のうち、非磁性支持
体として円盤状の可撓性支持体を用いる、いわゆるフロ
ッピーディスクでは、従来より磁気ヘッドをディスク面
に対して摺動させながら記録再生を行うヘッド摺動型記
録方式が用いられている。これに対して、最近ではスラ
イダに磁気ヘッドが搭載されてなる浮上型ヘッドを用
い、この浮上型ヘッドをディスクの回転風力によってデ
ィスク面に対して微小距離を空けて浮上させ、この状態
で記録再生を行うヘッド浮上型記録方式が採用されるよ
うになっている。このヘッド浮上型記録方式は、ヘッド
摺動型記録方式に比べてアクセス性能に優れ、高密度フ
ロッピーディスクの記録方式として適している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、浮上型
ヘッドを用いる記録方式では、ディスクの反りによるヘ
ッド浮上特性の変動の問題がある。
【0009】すなわち、ヘッド摺動型記録方式の場合、
例えば片面にのみ磁性層が形成された片面タイプの磁気
ディスクに対しては、磁性層側に磁気ヘッドが配置され
るとともにその裏側にフェルト状のパッドが配され、こ
の両方に挟み込まれた状態で記録再生が行われる。ま
た、両面に磁性層が形成された両面タイプの磁気ディス
クに対しては、ディスクの両側に磁気ヘッドが配置さ
れ、両方の磁気ヘッドに挟み込まれた状態で記録再生が
行われる。つまり、ヘッド摺動型記録方式では、いずれ
の場合もディスクは両側から強く挟み込まれた状態で記
録再生が行われるのでディスクの反りはほとんど問題に
ならない。
【0010】一方、磁気ヘッドをディスク面に対して浮
上させるヘッド浮上型記録方式では、ディスクにカール
と称される反りが生じていると、ヘッド浮上特性が変動
し、それが電磁変換特性,走行耐久性に大きく影響す
る。
【0011】このディスクの反りは、非磁性支持体に由
来するものと、塗膜形成のための塗布工程に由来するも
のとに大別される。
【0012】前者の非磁性支持体に由来する反りは、支
持体用の高分子フィルムを作製する工程での高分子結晶
の配向方向に依存する。しかし、この高分子結晶の配向
はフィルムの物理特性や強度の維持に寄与するので、全
く無配向にしてしまうわけにはいかない。
【0013】一方、後者の塗布工程に由来する反りに対
しては、塗膜に平滑化処理を行った後熱処理を施すなど
の、反りを解消するための工程を導入するといった対策
が講じられている。しかし、それだけではディスクの反
りを十分に解消することはできない。
【0014】このように、これまでの磁気ディスクは、
反りを抑えるのが難しく、ヘッド浮上型記録方式を採用
したときに安定な出力が得られないという問題がある。
【0015】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、反りが小さく、ヘッド浮
上型記録方式を採用したときに安定な出力が得られる磁
気ディスクを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の磁気ディスクは、可撓性非磁性支持体の
少なくとも一方の主面に、中間層が形成され、この上に
磁性粉末を含有する磁性層が形成されてなり、上記中間
層は、針状非磁性粉末と、針状比が5以上の針状磁性粉
末を含有し、針状非磁性粉末と針状磁性粉末の重量比が
80/20〜99/1にあることを特徴とするものであ
る。
【0017】この磁気記録媒体において中間層に含有さ
せた針状磁性粉末は磁場処理によって配向をランダムに
することができる。中間層に含有させた針状磁性粉末の
配向がランダムであると、この針状磁性粉末がディスク
の折れ曲がりに対して抵抗するように作用し、ディスク
の反りが小さく抑えられる。このように反りが小さく抑
えられた磁気ディスクは、ヘッド浮上型記録方式で記録
再生を行ったときにヘッド浮上特性の変動が小さく、安
定な出力が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について説明する。
【0019】本発明の磁気ディスクは、可撓性非磁性支
持体上の少なくとも一方の主面に、中間層が形成され、
この上に磁性粉末を含有する磁性層が形成されて構成さ
れる。これら中間層や磁性層は、例えば各層の組成物を
有機溶剤とともに混練、分散させて塗料を調製し、この
塗料を塗布、乾燥することで形成される。
【0020】ここで上記磁性層は、情報信号が磁気信号
として記録される層であり、高飽和磁束密度、高保磁力
を有する強磁性粉末が選択され、含有される。
【0021】一方、上記中間層は、磁性層の厚さを例え
ば1μm以下に薄くした場合に、非磁性支持体の表面形
状が磁性層表面に浮き出すのを防止するマスキング層と
して設けられるとともに、磁性層の薄層塗布を安定化さ
せ、また磁性層に潤滑剤を補う潤滑剤の貯蔵層として設
けられる。この他、自己減磁を低減させることで短波長
出力を向上させたり、重ね書き特性を改善するといった
電磁変換特性に対する直接的な作用も有する。
【0022】中間層は、通常このような役割をもたせる
ために粉末成分として非磁性粉末が含有させるが、本発
明では特に、中間層に針状非磁性粉末と、針状比が5以
上の針状磁性粉末を含有させ、さらに針状非磁性粉末と
針状磁性粉末の重量比(非磁性粉末の重量/磁性粉末の
重量)を80/20〜99/1に規制する。
【0023】ここで、この針状粉末の針状比は針状粉末
の長軸長と短軸長の比(長軸長/短軸長)である。針状
粉末の長軸長と短軸長は、倍率50000〜10000
0の透過型電子顕微鏡写真から無作為に200個の針状
粉末を選択し、その平均値を算出することで求められ
る。
【0024】磁気ディスクの反りを抑えるためには、こ
のように中間層に針状非磁性粉末とともに所定の針状比
の針状磁性粉末を含有させることが重要である。
【0025】すなわち、磁気ディスクの変形は、非磁性
支持体を構成する高分子結晶の配向、中間層や磁性層と
いった非磁性支持体上に形成される塗膜の組成及びこれ
ら塗膜を形成する際の塗布工程によって制御され、特に
塗膜の組成は磁気ディスクの反りに大きく影響する。
【0026】例えば非磁性支持体の両面に塗膜を形成す
るタイプの磁気ディスクでは、この両面で塗膜の張力の
バランスがとれるように組成制御することによってある
程度反りを抑えることができる。しかし、それだけでは
不十分であり、磁気ディスクの反りを低減させるには、
塗膜中の顔料の配置も無視できないファクターである。
【0027】つまり、塗膜中で針状粉末がある方向に配
向していれば、その方向を軸(折れ目)として折れ曲が
りが生じ易い。これに対して、各針状粉末の向きがラン
ダムであれば、それが一定方向への折れ曲がりに対する
抵抗力として働き、反りが抑制される。したがって、デ
ィスクの反りを抑えるためには、針状粉末の配向はラン
ダムであるのが好ましい。
【0028】これに対して、磁気ディスクの製造では、
中間層や磁性層を形成するための塗料を、長尺状の非磁
性フィルムの長手方向に沿って塗布し、その後塗膜が形
成された媒体原反を所定の媒体形状に裁断することで磁
気ディスクを作製する。この塗料の塗布工程では、どう
しても塗料の塗布方向に剪断力がかかるので、この剪断
力が顔料を塗布方向へ配向するように作用する。したが
って、このようにして形成された塗膜は、そのままでは
針状粉末が非磁性フィルムの長手方向に配向した状態に
ある。
【0029】ここで、このような塗工によって形成され
る塗膜のうち磁性層は、記録再生の出力を一定化する目
的で、通常磁場処理によって磁性粉末が無配向化され
る。この無配向化処理によると、記録再生の出力が一定
化するとともに、磁性粉末の向きがランダムになること
で磁気ディスクの反りが抑制されるという副次的な効果
も得られる。
【0030】一方、粉末成分として非磁性粉末のみを含
む中間層はこのような磁場処理による無配向化を行うこ
とができない。しかし、非磁性支持体と磁性層の間に中
間層が設けられる磁気ディスクでは、高密度記録化のた
めに磁性層は薄く、それに比べて中間層は厚く形成され
るため、中間層での顔料の条件が磁気ディスクの反りの
発生に大きく影響する。
【0031】そこで、本発明では中間層については少量
の針状磁性粉末を含有させ、この針状磁性粉末の配向を
無配向化することによって、中間層にディスクの折れ曲
がりに対する抵抗力を付与し、ディスクの反りを抑える
こととする。
【0032】この中間層での針状磁性粉末の無配向化を
行うには、中間層を形成するための塗料を非磁性支持体
上に塗布した後、この中間層の塗膜が未乾燥のうちに当
該塗膜に外部磁場による無配向化処理を施せばよい。
【0033】無配向化を行う方法としては、例えばソレ
ノイドコイルに交番磁場を印加する方法や永久磁石を組
み合わせる方法が挙げられる。このとき塗膜に印加する
磁場は、針状磁性粉末の保磁力以下で十分であり、保磁
力より大きい磁場を印加すると、粒子内での磁化の反転
が優先してしまい、無配向化することができなくなる。
【0034】このような無配向化処理を行うと、塗工時
に配向した針状磁性粉末の配向がランダムになるととも
に、外部磁場によって針状磁性粒子が揺すられる過程で
周辺の非磁性粉末も揺動され、非磁性粉末の配向もラン
ダム化される。このように両粉末の配向がランダム化さ
れることによって中間層に折れ曲がりに対する抵抗力が
付与される。なお、この外部磁場による無配向化処理
は、磁性層の無配向化処理と同時に行うようにしても構
わない。
【0035】ここで、中間層にディスクの折れ曲がりに
対する抵抗力を付与するためには針状磁性粉末と針状非
磁性粉末の針状比が重要になる。
【0036】まず、針状磁性粉末については、針状比が
5〜30であるのが望ましく、さらに5〜20、またさ
らに10〜20であるのがより好ましい。針状磁性粉末
の針状比が小さ過ぎると折れ曲がりに対する抵抗力を十
分に得ることができない。また、針状磁性粉末の針状比
が大き過ぎると、塗料中での分散性が低くなり、粉末同
士の凝集傾向が強くなる。粉末同士が凝集した凝集塊は
見かけ上針状比の小さい粉末として振る舞うので、折れ
曲がりに対する抵抗力が小さくなる。
【0037】また、この針状磁性粉末は、平均長軸長が
0.3μm以下であるのが好ましく、0.2μm以下で
あるのがより好ましい。針状磁性粉末の平均長軸長が長
過ぎると、中間層の表面性が損なわれ、これを反映して
磁性層の表面も粗くなる。
【0038】この中間層に含有させる針状磁性粉末とし
ては、後述の磁性層で用いられる磁性粉末であっても良
いが、磁性層への悪影響を最小限にするためには比較的
磁化量の小さい針状磁性粉末、例えばγ−Fe23、コ
バルト変成γ−Fe23、マグネタイト、コバルト変成
マグネタイト、二酸化クロム等を用いるのが望ましい。
これら針状磁性粉末は、針状非磁性粉末との分散安定性
改善等の目的で表面処理が施されていても良い。
【0039】一方、針状非磁性粉末も、針状比が5〜3
0であるのが望ましい。針状非磁性粉末の針状比が小さ
過ぎると折れ曲がりに対する抵抗力を十分に得ることが
できない。また、針状非磁性粉末の針状比が大き過ぎる
と、塗料中での分散性が低くなり、粉末同士の凝集傾向
が強くなる。粉末同士が凝集した凝集塊は見かけ上針状
比の小さい粉末として振る舞うので、折れ曲がりに対す
る抵抗力が小さくなる。
【0040】また、この針状非磁性粉末は、平均長軸長
が0.3μm以下であるのが好ましく、0.2μm以下
であるのがより好ましい。針状非磁性粉末の平均長軸長
が長過ぎると、中間層の表面性が損なわれ、これを反映
して磁性層の表面も粗くなる。
【0041】針状非磁性粉末の具体例としては、α−F
23、ゲータイト、針状酸化チタン等が挙げられる。
これら針状非磁性粉末は、分散性の改良、導電性の付
与、光透過率の調整等の目的で表面処理が施されていて
も構わない。
【0042】本発明では、このように中間層に針状非磁
性粉末とともに針状磁性粉末を含有させるが、ここで中
間層に添加する針状磁性粉末の量が余り多いと磁気ディ
スクの短波長記録特性に悪影響を及ぼすようになる。し
たがって、中間層に添加する針状磁性粉末の添加量は、
針状非磁性粉末と針状磁性粉末の重量比(針状非磁性粉
末の重量/針状磁性粉末の重量)が80/20〜99/
1の範囲となるような量とする必要がある。針状磁性粉
末の量がこの範囲よりも少ないと磁気ディスクの反りを
十分に抑えることができず、この範囲を上回ると磁気デ
ィスクの短波長記録特性が損なわれる。
【0043】また、中間層には以上のような針状非磁性
粉末、針状磁性粉末とともに、以下で示す非磁性粉末を
組み合わせて使用しても差し支えない。
【0044】組み合わされる非磁性粉末としては、ルチ
ル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、酸化錫、酸
化タングステン、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化クロム、酸
化セリウム、チタンカーバイト、BN、α−アルミナ、
β−アルミナ、γ−アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウム、二硫化モリブデン、炭酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、チタン
酸バリウム等が挙げられる。これら非磁性粉末には目的
に応じて適当量の不純物がドープされていても構わな
い。
【0045】但し、これらの非磁性粉末を併用する場
合、非磁性粉末が球状粒子の場合には平均粒径が、針状
粉末ならば平均長軸長が0.3μm以下であるのが好ま
しく、0.2μm以下であるのがより好ましい。また、
比表面積は、5〜100m2/gであるのが好ましく、
20〜70m2/gであるのがより好ましい。平均粒径
や平均長軸長及び比表面積が上記範囲の非磁性粉末は、
微粒子であることから下層の表面にその粒子形状が現れ
難く、中間層や磁性層の表面平滑化に有利である。
【0046】この他、非磁性粉末としてカーボンブラッ
クを併用しても良い。カーボンブラックは導電性を有す
ることから磁気ディスクの表面電気抵抗を下げ、帯電を
防止する帯電防止剤として機能する。磁気ディスクが帯
電すると、放電ノイズやヘッドのはりつき現象が誘起さ
れ、また静電気による集塵現象によって磁気ディスク表
面に塵が付着し、これがドロップアウトの原因物とな
る。カーボンブラックを使用することによって、これら
帯電による不都合が防止される。
【0047】このカーボンブラックとしては、帯電防止
効果に優れることからストラクチャー構造を有するカー
ボンブラックを用いるのが望ましい。ここで、カーボン
ブラックのストラクチャー構造とは、個々のカーボンブ
ラック粒子の鎖状のつながり、または凝集構造のことで
ある。このストラクチャー構造の発達の程度の目安とし
てはカーボンブラックの吸油量があり、この吸油量が大
きいものほどストラクチャー構造が良く発達し、導電性
に優れる傾向がある。中間層に含有させるカーボンブラ
ックとしては、ストラクチャー構造を有し、この吸油量
が100ml/100g以上であるのが望ましい。
【0048】但し、ストラクチャー構造を有するカーボ
ンブラックを多量に添加すると、中間層の表面性が損な
われるので、その添加量は非磁性粉末全量の30重量%
以下とするのが望ましい。
【0049】本発明では中間層に以上のような針状非磁
性粉末と針状磁性粉末を用いるが、この他の材料は重層
塗布型の磁気ディスクで通常用いられているものがいず
れも使用可能である。
【0050】まず、中間層は、少なくとも上述の針状非
磁性粉末と針状磁性粉末、及びこれらの粉末成分を非磁
性支持体に接着するための結合剤によって構成され、こ
の結合剤は次のような点から選択するのが望ましい。
【0051】すなわち、一般に結合剤中に分散される粒
子が微細化すると、その幾何学的配置に変化が無けれ
ば、粒子間の空隙も微細化する。このような粒子間の微
細空間を濡らし、粒子を結合剤で均一に被覆、分散させ
るためには、結合剤が粉末成分に対して強い親和性を有
し、なおかつ優れた流動性を有することが必要である。
【0052】このような点から中間層の結合剤として
は、以下で示す熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹
脂等であって数平均分子量が5000〜100000の
ものを用いるのが好ましい。
【0053】熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル、塩化
ビニル系共重合体、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩
化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エス
テル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル
−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−
アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アク
リロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニ
リデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデ
ン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合
体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポリフ
ッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミ
ド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セ
ルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテ
ート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオ
ネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重
合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹
脂、合成ゴム等が挙げられる。
【0054】また、熱硬化性樹脂としては、フェノール
樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、
ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等も使用可
能である。
【0055】なお、結合剤には、顔料粉末の分散性を向
上させる目的で、−SO3M、−OSO3M、−COO
M、P=O(OM)2(但し、式中Mは水素原子あるい
はリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属を
表す)や、−NR12、−NR123 +-で表される
側鎖型アミン、>NR12 +-で表される主鎖型アミン
(但し、式中R1,R2,R3は水素原子あるいは炭化水
素基を表し、X-はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハ
ロゲン元素イオンあるいは無機イオン、有機イオンを表
す)、さらに−OH、−SH、−CN、エポキシ基等の
極性官能基が導入されていてもよい。これら極性官能基
の結合剤への導入量は、10-1〜10-8モル/gである
のが好ましく、10-2〜10-6モル/gであるのがより
好ましい。これらの結合剤は単独で用いても良く、複数
種を組み合わせて用いても差し支えない。
【0056】一方、磁性層は、磁性粉末と結合剤を主体
として構成されるが、このうち磁性粉末としては次のよ
うなものを用いるのが望ましい。
【0057】Fe、Co、Ni等の金属、Fe−Co、
Fe−Ni、Fe−Al、Fe−Ni−Al、Fe−A
l−P、Fe−Ni−Si−Al、Fe−Ni−Si−
Al−Mn、Fe−Mn−Zn、Fe−Ni−Zn、C
o−Ni,Co−P、Fe−Co−Ni、Fe−Co−
Ni−Cr、Fe−Co−Ni−P、Fe−Co−B、
Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe
−Co−V等の合金、窒化鉄、炭化鉄等よりなる強磁性
粉末が単独あるいは2種類以上が組み合わせて用いられ
る。これら強磁性粉末には、還元時の焼結防止または形
状維持等の目的で、Al、Si、P、B等の軽金属元素
が適当量含まれていても良い。なお、このうちではFe
単独あるいはFe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−N
iの合金にAlまたはSiの少なくともいずれかを添加
した強磁性粉末を用いるのが好ましい。
【0058】これら強磁性粉末の比表面積は、20〜9
0m2/gであるのが好ましく、25〜70m2/gであ
るのがより好ましい。比表面積がこの範囲にある強磁性
粉末は、比較的微粒子であるため媒体のノイズ特性が改
善され、高密度記録が可能になる。
【0059】さらに磁性粉末としては六方晶系板状フェ
ライトも使用可能である。六方晶系板状フェライトとし
てはM型、W型、Y型、Z型のバリウムフェライト、ス
トロンチウムフェライト、カルシウムフェライト、鉛フ
ェライトが挙げられ、これら六方晶系板状フェライトに
保磁力を制御する目的でCo−Ti、Co−Ti−Z
n、Co−Ti−Nb、Co−Ti−Zn−Nb、Cu
−Zr、Ni−Ti等を添加したものを使用するように
しても良い。
【0060】磁性層に用いる結合剤には、中間層に用い
る結合剤として例示したものがいずれも使用でき、これ
ら結合剤を単独で使用しても複数の結合剤を組み合わせ
て使用しても構わない。
【0061】中間層、磁性層は、基本的には以上のよう
な材料によって構成されるが、必要に応じて潤滑剤、非
磁性補強粒子等の添加剤を添加しても良い。
【0062】潤滑剤としては、シリコーンオイル、炭素
数10〜22の脂肪酸、炭素数10〜22の脂肪酸と炭
素数2〜26のアルコールにより合成される脂肪酸エス
テル、テルペン系化合物及びこれらのオリゴマー、フッ
素系潤滑剤等が挙げられる。また、これら潤滑剤と、黒
鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等の固体潤
滑剤を併用しても良い。なお、潤滑剤は、磁性層表面に
おいてその潤滑性能を発揮するので磁性層のみの添加で
あって構わないが、特に磁性層の厚さを薄くしたような
場合には、磁性層のみの添加では潤滑剤の全体量が不足
するので、磁性層と中間層の両方に添加するのが望まし
い。
【0063】非磁性補強粒子としては、α−アルミナ、
β−アルミナ、γ−アルミナ、酸化クロム、炭化珪素、
ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チ
タンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、ルチル型酸化
チタン、アナターゼ型酸化チタン等がある。この粒子
は、磁性層では強磁性粉末100重量部に対して20重
量部以下、好ましくは10重量部以下、さらに好ましく
は5重量部以下がよい。また、モース硬度は、4以上、
好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上、比重は2
〜6、好ましくは3〜5の範囲、平均一次粒径は1.0
μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましく
は0.3μm以下がよい。
【0064】さらに、結合剤を架橋硬化させるポリイソ
シアネートを併用しても良い。ポリイソシアネートとし
ては、トルエンジイソシアネートならびにこれらの付加
体、アルキレンジイソシアネートならびにこれらの付加
体等が使用できる。これらポリイソシアネートの添加量
は、結合剤100重量部に対して5〜80重量部、好ま
しくは10〜50重量部が適当である。このポリイソシ
アネート類は、磁性層と中間層の両層に用いてもよく、
磁性層のみに用いても構わない。磁性層と中間層の両層
に用いる場合には、その量を各層で等しくしてもよく、
任意の比率で変えても良い。
【0065】以上のような中間層および磁性層が形成さ
れる可撓性非磁性支持体としては、ポリエチレン−2,
6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン
等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セ
ルロースジアセテート等のセルロース類、ビニル系樹
脂、ポリイミド類、ポリカーボネート類に代表されるよ
うな高分子材料等により形成される支持体等が用いられ
る。
【0066】片側タイプの磁気ディスクでは、このよう
な非磁性支持体の一方の主面にのみ中間層と磁性層が形
成される。また、両側タイプの磁気ディスクでは非磁性
支持体の両側の主面に中間層と磁性層が形成される。
【0067】次に、中間層と磁性層の形成方法について
説明する。
【0068】中間層と磁性層を形成するには、それぞれ
の組成物を有機溶剤とともに混練、分散させることで中
間層用塗料(以下、下層塗料と称する)、磁性層用塗料
(以下、上層塗料と称する)を調製する。
【0069】塗料化の際に用いられる溶剤は、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノ
ール、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチ
ル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶
媒、ジエチレングルコールジメチルエーテル、2−エト
キシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の
エーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンク
ロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が単独あるいは混合さ
れて使用される。
【0070】混練装置としては、連続二軸混練機、多段
階で希釈可能な連続二軸混練機、ニーダー、加圧ニーダ
ー、ロールニーダー、エクストルーダー等、従来から公
知の混練機が使用でき、何ら限定されるものではない。
【0071】また、分散装置には、ロールミル、ボール
ミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、スパイクミ
ル、ピンミル、タワーミル、DCP、アジター、ホモジ
ナイザー、超音波分散機等がいずれも使用可能である。
【0072】そして、調製された上層塗料と下層塗料を
非磁性支持体上に塗布する。
【0073】この塗布方法としては、下層塗料を塗布し
て乾燥させ、この乾燥された下層塗膜上に上層塗料を塗
布して乾燥させる、いわゆるウェット・オン・ドライ塗
布方式と、湿潤状態にある下層塗膜の上に上層塗膜を重
ねて塗布する、いわゆるウェット・オン・ウェット塗布
方式(湿潤重層塗布方式)とがある。
【0074】このうち、塗布方式としては、塗膜の均質
性,上下界面の接着性,生産性の点からウェット・オン
・ウェット塗布方式を用いるのが望ましい。このウェッ
ト・オン・ウェット塗布方式で塗料を塗布する塗布装置
の一例を図1に示す。
【0075】この塗布装置は、先端部に塗料が押し出さ
れる2つのスリット部(下層塗料用のスリット部11,
上層塗料用のスリット部12)を有するダイヘッド18
(4リップ方式ダイヘッド)を有して構成される。この
2つのスリット部11,12の背面側にはそれぞれ下層
塗料、上層塗料が供給される下層塗料溜まり13,上層
塗料溜まり14が形成され、この塗料溜まり13,14
に供給された下層塗料、上層塗料がスリット11,12
を介して当該ダイヘッド先端部に押し出される。一方、
塗料が塗布される支持体15は、上記ダイヘッドの先端
面に沿って下層塗料用のスリット部11から上層塗料用
のスリット部12に向かって図中A方向に走行する。
【0076】このようにして走行する非磁性支持体15
には、まず下層塗料用のスリット部11を通過する際
に、このスリット部11から押し出された下層塗料が表
面に塗布され下層塗膜16が形成される。そして、上層
塗料用のスリット部12を通過する際に、このスリット
部12から押し出された上層塗料が湿潤状態の下層塗膜
16上に塗布され、2層の塗膜16,17が形成され
る。そして、この湿潤状態の2層の塗膜を乾燥する。
【0077】なお、ダイヘッドとしては、4リップ方式
の他に、3リップ方式、2リップ方式等もある。
【0078】このようにしてウェット・オン・ウェット
塗布方式で形成された下層,上層は、湿潤状態の下層塗
膜上に上層塗料が塗布されることで形成されているの
で、下層の表面、すなわち下層と上層の境界面がなめら
かに形成されている。そのため上層の表面性も非常に良
好になっており、ドロップアウトが抑えられ、高出力、
低ノイズが厳しく求められる高密度記録用として好適で
ある。また、下層と上層の密着性が高いので、膜剥離が
起き難く、優れた耐久性が得られる。
【0079】なお、ウェット・オン・ウェット塗布方式
で形成された下層と上層の間には、明確な境界が実質的
に存在する場合と、一定の厚みをもって両層の成分が混
在している境界領域が存在する場合がある。本発明で
は、こうした境界領域が存在する場合には、この境界領
域を除いて当該境界領域よりも下側の層を下層、上側の
層を上層とする。
【0080】そして、このようにして下層塗膜と上層塗
膜を同時重層塗布した後、これら塗膜が未乾燥状態にあ
るうちに外部磁場を印加し、無配向化処理を行う。これ
により、上層塗膜に含有される磁性粉末の配向方向が無
配向化するとともに下層塗膜に含有される針状磁性粉末
の配向方向も無配向化する。
【0081】一方、ウェット・オン・ドライ塗布方式に
よって上層、下層を形成する場合には、下層塗料、上層
塗料を塗布する方法としてダイヘッド塗布方式、グラビ
アロール塗布方式、リバースロール塗布方式等の通常の
塗布方式が採用される。但し、この場合には、下層の材
料は、当該下層が上層塗料に対して十分な耐溶剤性を有
するように選択される必要がある。
【0082】このようなウェット・オン・ドライ塗布方
式では、下層塗膜を形成した後、この下層塗膜が未乾燥
状態にあるうちに外部磁場を印加し、下層塗膜中の針状
磁性粉末の配向を無配向化する。そして、この下層塗膜
を乾燥させ、その上に上層塗膜を形成した後、この上層
塗膜が未乾燥状態にあるうちに外部磁場を印加し、上層
塗膜中の磁性粉末の配向を無配向化する。
【0083】そして、中間層と磁性層を非磁性支持体の
片側面にのみ有する磁気ディスクを製造する場合には、
このようにして下層塗膜と上層塗膜を形成した後、必要
に応じてカレンダー処理等の表面平滑化処理を施し、所
定径のディスク形状に打ち抜くことで磁気ディスクを製
造する。
【0084】また、非磁性支持体の両面に中間層と磁性
層を有する両側タイプの磁気ディスクを製造する場合に
は、非磁性支持体の片側面に下層塗膜と上層塗膜を形成
した後、同様にして非磁性支持体の反対側の面にも下層
塗膜と上層塗膜を形成し、この両側の塗膜に対して表面
平滑化処理を行う。そして、この両面に下層塗膜と上層
塗膜が形成された原反を所定径のディスク形状に打ち抜
くことで磁気ディスクを製造する。
【0085】さらに、両面タイプの磁気ディスクは、非
磁性支持体の片側面に下層塗膜と上層塗膜を形成した
後、この面の塗膜に表面平滑化処理を行い、その後非磁
性支持体の反対側面でも下層塗膜と上層塗膜の形成及び
表面平滑化処理を行い、ディスク形状に打ち抜くといっ
た工程で製造しても良い。
【0086】
【実施例】本発明の好適な実施例について実験結果に基
づいて説明する。
【0087】中間層への磁性粉末の添加に関する実験例 まず、以下の実験例で作製したサンプルディスクの作製
工程を示す。作製したサンプルディスクは、図2に示す
ように、非磁性支持体1の両側面にそれぞれ中間層2,
3と磁性層4,5が形成されて構成されるものである。
【0088】このサンプルディスクを作製するために、
まず下記の組成に基づいて磁性層用塗料を調製した。塗
料化は、強磁性粉末、結合剤、添加剤及び溶剤を混合し
た後、連続式ニーダにより混練し、さらにサンドミルで
5時間分散させることで行った。ただし、Al23は、
スラリー化し、分散終了後、他の組成物と混合した。
【0089】 磁性層用塗料組成 磁性粉末:Al,Si被着Feメタル強磁性粉末 100重量部 (平均長軸長:0.2μm、針状比:9、飽和磁化量:130Am /kg、保磁力:135kA/m) 結合剤 :ポリ塩化ビニル樹脂 14重量部 (重合度150,極性官能基としてオキシスルホン酸カリウム塩 を5×10−5mol/g含有) ポリエステルポリウレタン樹脂 6重量部 (極性官能基としてオキシスルホン酸ナトリウム塩を1×10-4 mol/gを含有) 添加剤 :Al23 5重量部 (一次粒径0.20μm) ステアリン酸 3重量部 ヘプチルステアレート 3重量部 溶剤: メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 次に、下記の組成に基づいて針状非磁性粉末、針状磁性
粉末、結合剤、添加剤及び溶剤を混合した後、連続式ニ
ーダーにより混練し、さらにサンドミルで3時間分散さ
せることで中間層用塗料を調製した。但し、針状磁性粉
末と針状非磁性粉末は合計量を100重量部とし、重量
比率は表1に示すように変化させた。
【0090】 中間層用塗料組成 粉末成分 : 100重量部 針状非磁性粉末(α−Fe23:平均長軸長0.15μm,針 状比12,pH=5.2) 針状磁性粉末(γ−Fe23:平均長軸長0.15μm,針状 比10)の混合粉末〕 結合剤 :ポリ塩化ビニル樹脂 20重量部 (重合度150,極性官能基としてオキシスルホン酸カリウム塩 を5×10-5mol/g含有) 添加剤 :ステアリン酸 3重量部 ヘプチルステアレート 3重量部 溶剤: メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 このようにして調製された磁性層用塗料,中間層用塗料
に、それぞれポリイソシアネートを4重量部,2重量部
添加した。そして、磁性層用塗料を上層塗料、中間層用
塗料を下層塗料として、4リップ方式のダイコータを用
いて、厚さ62μmのポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(表面粗度Ra:8nm)上に同時重層塗布した。
次いで、塗膜が未乾燥の状態で、ソレノイドコイルによ
る磁場処理を行い、中間層塗膜と磁性塗膜を無配向化
し、その後、乾燥した。次に、フィルムの裏面にも同様
にして磁性層用塗料、中間層用塗料を同時重層塗布し、
無配向処理した後、乾燥した。なお、各層の塗布厚は、
乾燥後で磁性層が0.25μm、中間層が2.0μmに
設定した。そして、カレンダー処理を行うことで磁性塗
膜表面を平滑化し、3.5インチ径に打ち抜いた後、温
度60℃下で48時間放置することによって非磁性支持
体の歪み除去を行い、サンプルディスク1〜サンプルデ
ィスク5を作製した。
【0091】以上のようにして作製されたサンプルディ
スクのカール量と電磁変換特性(SNR)を、中間層で
の粉末成分の配合比と併せて表1に示す。
【0092】なお、ここで針状粉末の針状比は、倍率5
0000〜100000の透過型電子顕微鏡写真から無
作為に200個の針状粉末を選択し、その長軸長と短軸
長の平均値から求めた。
【0093】また、サンプルディスクのカール量は、デ
ィスクの反りの最高部と最低部の差高であり、この差高
はサンプルディスクを顕微鏡観察することで測定した。
【0094】電磁変換特性は、ギャップ長0.2μmの
薄膜磁気ヘッドが搭載されたヘッド浮上型記録方式のフ
ロッピーディスクドライブを用いて測定した。すなわ
ち、サンプルディスクの最外周トラックに35MHz信
号を記録しておき、上記フロッピーディスクドライブに
よって、ディスク回転数3600rpmで、この最外周
トラックの情報信号を再生する。そして、その際の35
MHzでの出力(信号出力)と0〜17MHzでの出力
(ノイズ出力)の比(SNR)を求めた。
【0095】
【表1】
【0096】表1から明らかなように、ディスクのカー
ル量は、中間層へのγ−Fe23の添加によって小さく
なる。このことから中間層への針状磁性粉末の添加は、
ディスクのカール量を抑える上で有効であることがわか
る。
【0097】しかし、γ−Fe23の重量比率が、サン
プルディスク5のように20を越えて大きくなると、電
磁変換特性が20dBを下回ってしまう。したがって、
20dB以上の電磁変換特性を得ながらディスクのカー
ル量を小さく抑えるためには、磁性粉末であるγ−Fe
23の添加量は、非磁性粉末の重量/磁性粉末の重量が
80/20〜99/1となるような範囲とする必要があ
る。
【0098】中間層に含有させる針状磁性粉末の針状比
に関する実験例 中間層用塗料に混合するα−Fe23とγ−Fe23
重量比率を95:5とし、γ−Fe23として表2に示
すように針状比の異なるものを使用したこと以外は上述
と同様にしてサンプルディスク6〜サンプルディスク9
を作製した。そして、このようにして作製されたサンプ
ルディスクについて、カール量と電磁変換特性を測定し
た。その結果を表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】表2からわかるように、針状比が5〜30
の範囲にあるγ−Fe23を用いたサンプルディスク7
〜サンプルディスク9及びサンプルディスク3は、針状
比が2のγ−Fe23を用いたサンプルディスク6に比
べてカール量が小さく抑えられている。カール量の大き
いサンプルディスク6は、ドライブ上でヘッドコンタク
トが不安定になり、電磁変換特性が劣化している。
【0101】但し、針状比が30のγ−Fe23を用い
たサンプルディスク9は、これよりも針状比の小さいγ
−Fe23を用いたサンプルディスク3及びサンプルデ
ィスク7,サンプルディスク8に比べてカール量が大き
くなっている。これは、針状比が大き過ぎるγ−Fe2
3は分散が不十分となって凝集塊となり、見かけ上針
状比の低い成分として振る舞うからであり、針状比が3
0を越えるとさらにカール量が大きくなるものと推測さ
れる。
【0102】このことから、磁気ディスクの反りを抑え
るには、中間層に含有させる針状磁性粉末は針状比が5
〜30であることが必要なことがわかった。
【0103】中間層に含有させる非磁性粉末としてα−
Fe 2 3とカーボンブラックを使用した実験例 中間層用塗料に混合する粉末成分を、α−Fe23:カ
ーボンブラック:γ−Fe23=70重量部:25重量
部:5重量部なる重量比率の混合粉末としたこと以外は
上述と同様にしてサンプルディスク10を作製した。そ
して、このサンプルディスク10についてカール量と電
磁変換特性を測定したところ、カール量が0.3mm、
S/N比が27.1dBであった。また、表面電気抵抗
についても測定を行ったところ、サンプルディスク10
はα−Fe23:γ−Fe23=95重量部:5重量部
のサンプルディスク3よりも低い値であった。このこと
から、非磁性粉末にカーボンブラックを混合することに
よってディスクの表面電気抵抗が低められることがわか
った。
【0104】中間層に含有させる磁性粉末の種類に関す
る実験例 中間層用塗料に混合する針状磁性粉末として表3に示す
ものを使用したこと以外は上述と同様にしてサンプルデ
ィスク11〜サンプルディスク14を作製した。但し、
針状磁性粉末としてFe系メタル強磁性粉末を用いた系
では、このFe系メタル強磁性粉末の磁化量が大きいの
で、粉末成分の配合比をFe系メタル強磁性粉末:針状
非磁性粉末=1重量部:99重量部とした。このように
して作製されたサンプルディスクについて、カール量と
電磁変換特性を測定した。その結果を表3に示す。な
お、表3中、針状磁性粉末の保磁力は試料振動型磁力計
(東英工業社製)を使用した測定したものである。
【0105】
【表3】
【0106】表3に示すように、サンプルディスク11
〜サンプルディスク14及びサンプルディスク3は、カ
ール量が0.3mm以下に抑えられ、電磁変換特性も2
0dB以上の高い値が得られる。このことから、ここで
用いた針状磁性粉末は、いずれもディスクのカール量低
減に効果があることがわかった。
【0107】中間層に含有させる非磁性粉末の針状比に
関する実験例 中間層用塗料に混合する針状非磁性粉末として表4に示
すものを使用したこと以外は上述の同様にして磁気ディ
スクを作製した。このようにして作製されたサンプルデ
ィスク15〜サンプルディスク18について、カール量
と電磁変換特性を測定した。その結果を表4に示す。
【0108】
【表4】
【0109】表4から明らかなように、針状比が5〜3
0の範囲にあるサンプルディスク3,サンプルディスク
15は、針状比が5より小さい針状非磁性粉末を使用し
たサンプルディスク16〜サンプルディスク18に比べ
てカール量が小さく抑えられている。カール量の大きい
サンプルディスク16〜サンプルディスク18は、ドラ
イブ上でヘッドコンタクトが不安定になり、電磁変換特
性を測定することができなかった。
【0110】但し、針状比が30の針状非磁性粉末を使
用したサンプルディスク15は、これよりも針状比の小
さい針状非磁性粉末を用いたサンプルディスク3に比べ
てカール量が大きくなっている。これは、針状比が大き
過ぎるα−Fe23は分散が不十分となって凝集塊とな
り、見かけ上針状比の低い成分として振る舞うからであ
り、針状比が30を越えるとさらにカール量が大きくな
るものと推測される。
【0111】このことから、磁気ディスクの反りを抑え
るには、中間層に含有させる針状非磁性粉末の針状比が
5〜30であるのが望ましいことがわかた。
【0112】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気ディスクは、可撓性非磁性支持体の少なくとも
一方の側に、中間層が形成され、この上に磁性粉末を含
有する磁性層が形成されて構成され、上記中間層は、所
定の重量比で針状非磁性粉末と、針状比が5以上の針状
磁性粉末を含有するので、ディスクの反りが小さく抑え
られる。したがって、ヘッド浮上型記録方式で記録再生
を行ったときにヘッド浮上特性の変動が小さく、安定な
出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】下層塗料、上層塗料を塗布するための塗布装置
を示す模式図である。
【図2】本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示す概
略断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2,3 中間層、4,5 磁性層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性非磁性支持体の少なくとも一方の
    主面に、中間層が形成され、この上に磁性粉末を含有す
    る磁性層が形成されてなり、 上記中間層は、針状非磁性粉末と、針状比が5以上の針
    状磁性粉末を含有し、針状非磁性粉末と針状磁性粉末の
    重量比が80/20〜99/1であることを特徴とする
    磁気ディスク。
  2. 【請求項2】 中間層に含有される針状非磁性粉末の針
    状比が、5〜30であることを特徴とする請求項1記載
    の磁気ディスク。
  3. 【請求項3】 中間層に含有される針状磁性粉末の針状
    比が、5〜30であることを特徴とする請求項1記載の
    磁気ディスク。
  4. 【請求項4】 中間層に含有される針状磁性粉末は、配
    向方向がランダムであることを特徴とする請求項1記載
    の磁気ディスク。
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