JPH11273057A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH11273057A
JPH11273057A JP7783198A JP7783198A JPH11273057A JP H11273057 A JPH11273057 A JP H11273057A JP 7783198 A JP7783198 A JP 7783198A JP 7783198 A JP7783198 A JP 7783198A JP H11273057 A JPH11273057 A JP H11273057A
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magnetic
binder
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ferromagnetic powder
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JP7783198A
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Kazuhiro Okamoto
和広 岡本
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 浮上型ヘッドを用いた記録再生システムに好
適な高密度大容量かつ十分な走行耐久性を有する磁気記
録媒体を提供する。 【解決手段】 本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支
持体上に結合剤と非磁性粉末とを主体とする下層非磁性
層と、この下層非磁性層上に結合剤と強磁性粉末とを主
体とする上層磁性層とを有する磁気記録媒体において、
上記強磁性粉末のpHが7以上であり、且つ、上記上層
磁性層中の結合剤のガラス移転温度が50〜70℃であ
ることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上層磁性層及び下
層非磁性層を有する磁気記録媒体に関し、特に、いわゆ
る浮上型の磁気ヘッドを用いて好適な磁気記録媒体に関
する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体としては、強磁性粉末、結
合剤及び各種添加剤を有機溶剤とともに分散せしめて調
整された磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布乾燥するこ
とで磁性層が形成される、いわゆる塗布型磁気記録媒体
が知られている。このような塗布型磁気記録媒体には、
高密度記録化の目的から強磁性粉末として金属微粒子が
用いられるものがある。
【0003】このような金属微粒子を用いた磁気記録媒
体は、オーディオ用、ビデオ用の各種フォーマットのみ
ならず、大容量フロッピーディスクあるいはバックアッ
プ用データカートリッジ等コンピューター周辺機器にも
利用され始めている。特に、大容量フロッピーディスク
など場合には、記録密度の向上とともに、多様な環境下
での利用が想定されることから走行耐久性の向上が要求
されている。
【0004】上述したような磁気記録媒体において、記
録密度を向上させながら良好な電磁変換特性を達成させ
る手法としては、磁性層の薄層化が挙げられる。磁性層
を薄層化することにより、記録時の自己減磁損失や再生
時の厚み損失が減少し、電磁変換特性が効果的に改善さ
れるためである。
【0005】しかしながら、非磁性支持体上に磁性層を
形成するような構成とすると、磁性層を薄層化した場
合、磁性層の表面に非磁性支持体の表面性が影響してし
まうことがある。このため、非磁性支持体上に比較的厚
い非磁性層を塗布し、この非磁性層上に磁性層を塗布す
るような、重層塗布型の磁気記録媒体が提案されてい
る。この重層塗布型の磁気記録媒体では、非磁性層によ
り非磁性支持体の表面性の影響を殆ど受けることなく磁
性層を形成することができる。
【0006】また、上述したような磁気記録媒体におい
て、走行耐久性を向上させるための手法としては、脂肪
酸を添加して摩擦係数を低減させる方法が代表的であ
り、それ以外に、脂肪酸エステルの添加、分岐を持つな
ど特定の分子構造を有するエステルの添加などが知られ
ている。しかしながら、上述のような低分子添加剤の添
加は、塗膜の可塑化を引き起こし易いという欠点も指摘
されている。
【0007】一方、走行耐久性を向上させる手法として
は、塗膜の強度を高くすることが、直接的かつ有効な手
段であり、従来、ニトロセルロースに代表される繊維素
系樹脂を用いたり、分子量の大きな結合剤を用いて、力
学的強度を高めるような手法が挙げられる。
【0008】しかしながら、ニトロセルロースのような
樹脂では、強磁性粉末に対する分散性が不十分でり、高
密度記録を実現することができない。また、分子量の大
きな結合剤を用いた場合でも、同様な理由から満足のゆ
く電磁変換特性を得ることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな磁気記録媒体は、一般に、磁性層上を摺動する磁気
ヘッドにより記録再生が行われている。このような摺動
型の磁気ヘッドを用いた場合、磁気記録媒体に反りが発
生したとしても、磁気記録媒体の反りに対して磁気ヘッ
ドが追従して駆動するため、記録再生特性に大きな影響
はなかった。
【0010】これに対して、高密度記録に対応した磁気
記録媒体では、磁性層上に僅かな間隙を有して対向する
ように配された、いわゆる浮上型の磁気ヘッドにより記
録再生が行われている。この浮上型の磁気ヘッドを用い
た場合、磁気記録媒体に反りが発生してしまうと磁気ヘ
ッドの浮上特性に大きな影響を与えてしまう。言い換え
ると、磁気記録媒体が高密度記録のために浮上型の磁気
ヘッドを用いると、磁気記録媒体には、反りの量が小さ
いことが求められる。
【0011】しかしながら、上述したような磁気記録媒
体では、反り量が小さく、浮上型の磁気ヘッドに対応し
ていないのが現状である。
【0012】また、上述したような磁気記録媒体では、
高密度記録化のために強磁性粉末の微細化が押し進めら
れている。しかしながら、この場合、強磁性粉末は、微
細化されることにより分散性が劣化してしまう。このた
め、従来の磁気記録媒体には、高密度記録を達しつつ良
好な記録再生特性を有するようなものがなかった。
【0013】そこで、本発明は、上述したような実状に
鑑みてなされたものであり、特に、浮上型ヘッドを用い
た記録再生システムに好適な高密度大容量かつ十分な走
行耐久性を有する磁気記録媒体を提供することを目的と
する。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成した本
発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体上に結合剤と
非磁性粉末とを主体とする下層非磁性層と、この下層非
磁性層上に結合剤と強磁性粉末とを主体とする上層磁性
層とを有する磁気記録媒体において、上記強磁性粉末の
pHが7以上であり、且つ、上記上層磁性層中の結合剤
のガラス移転温度が50〜70℃であることを特徴とす
るものである。
【0015】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体は、pHが7以上であるような強磁性粉末を有
している。この強磁性粉末は、pHが7以上であるため
に結合剤との親和性が向上し、良好な吸着特性を示すも
のとなっている。そして、この磁気記録媒体では、この
強磁性粉末が上層磁性層中において良好に分散してい
る。強磁性粉末のpHが7よりも小であるような場合、
分散性が悪くなり、電磁変換特性が悪くなってしまう。
【0016】また、この磁気記録媒体において、ガラス
転移温度が50〜70℃であるような結合剤を上層磁性
層に用いている。この結合剤は、ガラス転移温度が50
〜70℃であるため、確実に架橋反応を起こすことにな
る。そして、磁気記録媒体は、上層磁性層にこのような
結合剤を有するため、反りの発生が抑制されたものとな
る。ガラス転移温度が50℃より低い場合には、実用温
度保証範囲に入ってしまうため、通常の使用に支障を来
してしまう。また、ガラス転移温度が70℃より高い場
合には、結合剤の架橋反応が良好に進行せず、十分な走
行耐久性が得られなくなってしまう。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。
【0018】本実施の形態に示す磁気記録媒体は、略円
盤状に形成されるとともに、両主面に磁性層を有する磁
気ディスクである。この磁気ディスクは、図1に示すよ
うに、非磁性支持体1と、この非磁性支持体1の両主面
1a,1b上にそれぞれ形成された下層非磁性層2a,
2bと、これら下層非磁性層2a,2b上にそれぞれ形
成された上層磁性層3a,3bとを備える。
【0019】先ず、上層磁性層3a,3bについて説明
する。この上層磁性層3a,3bは、結合剤と強磁性粉
末とを主体とする磁性塗料を塗布することにより形成さ
れる。
【0020】この磁気ディスクにおいて、強磁性粉末と
しては、例えば、Fe、Co、Ni等の金属、Fe−C
o、Fe−Ni、Fe−Al、Fe−Ni−Al、Fe
−Al−P、Fe−Ni−Si−Al、Fe−Ni−S
i−Al−Mn、Fe−Mn−Zn、Fe−Ni−Z
n、Co−Ni、Co−P、Fe−Co−Ni、Fe−
Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr、Fe−C
o−Ni−P、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−
B、Mn−Bi、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co
−V等の合金、窒化鉄、炭化鉄等を挙げることができ
る。
【0021】そして、この強磁性粉末は、そのpHが7
以上、好ましくは、7.5以上となっている。強磁性粉
末のpH値を上記範囲とすることにより、強磁性粉末
は、後述する結合剤に対する吸着性が向上する。これに
より、強磁性粉末は、後述するように、塗料化されたと
きに良好に分散されることとなる。
【0022】ここで、強磁性粉末のpH値は、JISZ
−8802の7(pH測定法)に準拠した方法で測定さ
れる。即ち、強磁性粉末5gを予め煮沸して炭酸ガスを
除去した水100mlとともに、硬質三角フラスコに入
れ、密栓状態で5分間沸騰した後に、上澄み液もしくは
濾過液のpH値をガラス電極で測定したものである。
【0023】この強磁性粉末のpH値を制御する手法と
しては、例えば、有機又は無機物処理によって、pH値
を制御する手法が挙げられる。
【0024】また、これらの強磁性粉末の比表面積は、
20〜90m2/gであることが好ましく、25〜70
2/gであることがより好ましい。比表面積が、上記
範囲にあると、強磁性粉末の形状の微粒子化を伴い、高
密度記録が可能となり、ノイズ特性の優れた磁気記録媒
体を得ることが可能だからである。なお、強磁性粉末
は、それぞれ一種を用いることが可能であるが、二種以
上を併用してもかまわない。
【0025】一方、結合剤としては、例えば、塩化ビニ
ル、塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル
酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エ
ステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、メタク
リル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ弗化ビ
ニル、塩化ビニリデン−アルリロニトリル共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹
脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロ
ースアセテートブチレート、セルロースダイアセテー
ト、セルロールトリアセテート、セルロースプロピオネ
ート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合
体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹
脂、合成ゴム等が挙げられる。また熱硬化性樹脂の例と
してはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬
化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、
シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒ
ド樹脂等を熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂や、反応型樹
脂等を挙げることができる。
【0026】また、これら結合剤には、強磁性粉末の分
散性を向上させる目的で−SO3M、−OSO3M、−C
OOM、P=O(OM)2等の極性官能基が導入されて
いても良い。ここで、式中Mは、水素原子あるいは、リ
チウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属であ
る。更に、上記極性官能基としては、−NR12、−N
123+X−の末端基を有する側鎖型のもの、NR1
2+X−の主鎖型のものがある。ここで、式中R12
3は、水素原子あるいは炭化水素基であり、+X−は
弗素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンある
いは無機・有機イオンである。また、−OH、−SH、
−CN、エポキシ基等の極性官能基もある。これら極性
官能基の量は、10-1〜10-8モル/gであることが好
ましく、10-2〜10-6モル/gであることがより好ま
しい。なお、これらの結合剤は、単独で用いることもで
きるし、複数の種類を混合して用いることも可能であ
る。
【0027】また、この結合剤は、そのガラス転移温度
が50〜70℃となっている。ガラス転移温度がこの範
囲内となることにより、結合剤は、微細な強磁性粉末間
を流動性よく充填することができる。このように、pH
値が7以上の強磁性粉末とガラス転移温度が50〜70
℃であるような結合剤とを用いることにより、強磁性粉
末は、結合剤中に良好に分散されることとなる。また、
この結合剤は、数平均分子量が5000〜100000
のものが好ましい。
【0028】このとき、強磁性粉末と結合剤とは、従来
より公知の溶媒中で混練されることにより塗料化され
る。このとき、溶媒としては、例えば、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プ
ロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレ
ングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノー
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶
媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四
塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン
化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらを適宣混合して
使用する。
【0029】次に、下層非磁性層2a,2bについて説
明する。この下層非磁性層2a,2bは、結合剤と非磁
性粉末とを主体とする非磁性塗料を塗布することにより
形成される。
【0030】この磁気ディスクにおいて、非磁性粉末と
しては、針状α酸化鉄、ストラクチャー構造を持つカー
ボンブラック、単分散型カーボンブラック、ゲータイト
ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、酸化
錫、酸化タングステン、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化クロ
ム、酸化セリウム、チタンカーバイト、BN、α−アル
ミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、硫酸カルシウム、
硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸マグネシウム、
炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、
チタン酸バリウム等を挙げることができる。これらの非
磁性粉末は、単独で用いることもできるし、複数の種類
を併用してもかまわない。
【0031】併用する場合は、併用する粒子のサイズに
留意する必要があり、塗布後の表面平滑性を確保するた
めには、平均粒子サイズ(針状粒子ならば、平均長軸
長)が、0.3μ以下望ましくは0.2μ以下であるこ
とが好ましい。また、非磁性粉末は、目的に応じて適当
量の不純物をドープすることも可能である。非磁性粉末
の比表面積は、5〜100m2/gであることが好まし
く、また、20〜70m2/gであることがより好まし
い。比表面積が、上記範囲にあると、非磁性粉末の微粒
子化を伴い、下層非磁性層2a,2bが平滑化される。
【0032】下層非磁性層2a,2bに用いる結合剤
は、上述した上層磁性層3a,3bに用いられる結合剤
を用いることができる。また、下層非磁性層2a,2b
に用いる溶剤は、上述した上層磁性層3a,3bに用い
られる溶剤を用いることができる。
【0033】また、これら上層磁性層3a,3b及び下
層非磁性層2a,2bには、潤滑剤、非磁性補強粒子等
を添加しても良い。
【0034】潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン、シリコーンオイル、炭素数1
0〜22までの脂肪酸と炭素数2〜26までのアルコー
ルとからなる脂肪酸エステル、テルペン系化合物、なら
びにこれらのオリゴマー、フッ素系滑剤等を挙げること
ができる。この潤滑剤は、上層磁性層3a,3bのみの
添加では、絶対量が不足するため、下層非磁性層2a,
2bにも添加することが好ましい。
【0035】非磁性補強粒子としては、酸化アルミニウ
ム(α、β、γ)、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモン
ド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバ
イト、炭化珪素、炭化チタン、酸化チタン(ルチル、ア
ナターゼ)等を挙げることができる。この非磁性補強粒
子の添加量は、上層磁性層3a,3bに添加する場合、
強磁性粉末100重量部に対して、20重量部以下、好
ましくは、10重量部以下、さらに好ましくは、5重量
部以下がよい。また、この非磁性補強粒子は、モース硬
度が4以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは6以
上がよい。更に、非磁性補強粒子は、比重が2〜6の範
囲、好ましくは3〜5の範囲がよい。更にまた、非磁性
補強粒子は、平均一次粒子が1.0μm以下、好ましく
は0.5μm以下、さらに好ましくは0.3μ以下がよ
い。
【0036】さらに、上層磁性層3a,3b及び下層非
磁性層2a,2bには、結合剤を架橋硬化させるための
ポリイソシアネートを併用することが可能である。この
ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネー
トならびに、これの付加体、アルキレンジイソシアネー
トならびに、これの付加体等を挙げることができる。こ
れらポリイソシアネートの結合剤への配合量は、結合剤
100重量部に対して、5〜80重量部、好ましくは、
10〜50重量部である。これらポリイソシアネート類
は、上層磁性層3a,3b及び下層非磁性層2a,2b
両層に用いることも可能であるし、上層磁性層3a,3
bのみに用いることも可能である。上層磁性層3a,3
b及び下層非磁性層2a,2b両層に用いる場合の配合
量は、各層に等量投入することも可能であるし、任意の
比率で変えることも可能である。
【0037】一方、この磁気ディスクにおいて、非磁性
支持体1は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリカーボネイト、ポリアミド、ポリ
イミド等の合成樹脂やアルミ箔、ステンレス箔等の金属
箔等を挙げることができる。
【0038】次に、上述したような磁気ディスクの製造
方法について説明する。
【0039】先ず、上述した結合剤及び強磁性粉末を主
体として磁性塗料を作製し、また、上述した結合剤及び
非磁性粉末を主体として非磁性塗料を作製する。このと
き、磁性粉末及び結合剤等は、連続二軸混練機、多段階
で希釈可能な連続二軸混練機、ニーダー、加圧ニーダ
ー、ロールニーダー等、従来から公知の混練機を用いて
混練される。そして、その後、塗料作製工程において
も、分散工程において、ロールミル、ボールミル、横型
サンドミル、縦型サンドミル、スパイクミル、ピンミ
ル、タワーミル、アジター、ホモジナイザー、超音波分
散機等を用いて分散される。
【0040】この磁気ディスクにおいて、強磁性粉末の
pH値が7以上であり、且つ、結合剤のガラス転移温度
が50〜70℃であるため、上述したような混練機及び
分散機を用いた場合、強磁性粉末が良好に分散される。
【0041】そして、この磁気ディスクを製造する際に
は、上述したように作製された非磁性塗料及び磁性塗料
を非磁性支持体上同時に重層塗布することにより下層非
磁性層2a,2b及び上層磁性層3a,3bを形成す
る。非磁性塗料及び磁性塗料を非磁性支持体1上に同時
に重層塗布する際には、例えば、ダイコーターが用いら
れる。ダイコーターのリップ構成としては、2リップ方
式、3リップ方式、4リップ方式等を挙げることができ
る。
【0042】一般に、非磁性支持体1上に下層非磁性層
2a,2b及び上層磁性層3a,3bを形成する場合、
一層ずつ塗布乾燥を行う方式(いわゆるウエット・オン
・ドライ塗布方式)と、乾燥されていない湿潤状態にあ
る下層非磁性層2a,2bの上に上層磁性層3a,3b
を重ねて塗布する方式(いわゆるウエット・オン・ウエ
ット塗布方式)とがある。上述した磁気記録媒体を製造
する際には、塗膜の均質性、上下界面の接着性、生産性
の観点からウエット・オン・ウエット重層塗布方式によ
る同時湿潤重層塗布を行うのが好ましい。
【0043】このウエット・オン・ウエット塗布方式に
は、図2に示すような、エクストルージョン方式の押し
出しコータ10が用いられる。この押し出しコータ10
は、第1の塗料溜まり11及び第2の塗料溜まり12
と、これら第1の塗料溜まり11及び第2の塗料溜まり
12とそれぞれ連結された第1のスリット13及び第2
のスリット14とを備える。そして、この押し出しコー
タ10では、第1の塗料溜まり11に非磁性塗料が溜め
られるとともに第2の塗料溜まり12に磁性塗料が溜め
られる。なお、このウエット・オン・ウエット塗布方式
は、図示しないが、矢印A方向に非磁性支持体1を走行
させるとともに、所定の圧力で非磁性支持体1を押し出
しコータ10に当接させる走行系を有する。
【0044】そして、非磁性塗料が第1のスリット13
を通って、矢印A方向に走行する非磁性支持体1上に塗
布される。これにより、下層非磁性層2a,2bが形成
される。その後、非磁性支持体1上に形成された下層非
磁性層2a,2b上には、湿潤状態で、その表面に第2
のスリット14から磁性塗料が塗布される。このよう
に、押し出しコータ10は、湿潤状態の下層非磁性層2
a,2b上に磁性塗料を塗布して上層磁性層3a,3b
を形成している。
【0045】このウエット・オン・ウエット塗布方式に
よれば、下層非磁性層2a,2bが湿潤状態のまま磁性
塗料を塗布するので、下層非磁性層2a,2bの表面
(即ち、上層磁性層3a,3bとの境界面)が滑らかに
なるとともに上層磁性層3a,3bの表面性が良好とな
り、且つ層間の接着性も向上する。この結果、製造され
る磁気ディスクは、特に高密度記録のために高出力化、
低ノイズ化の要求性能を満たしたものとなり、かつ膜剥
離がなくなり、膜強度が向上する。また、ドロップアウ
トも低減することとなり、信頼性も向上する。
【0046】これに対して、ウエット・オン・ドライ塗
布方式を用いた場合、下層非磁性層2a,2bとして、
磁性塗料に対する十分な耐溶剤性のあるものを選択する
必要がある。上記ウエット・オン・ウエット重層塗布方
式によって形成される上下層間には、明確な境界が実質
的に存在する場合以外に、一定の厚みを似て両層の成分
が混在してなる境界領域が存在する場合があるが、こう
した境界領域を除いた上層部分を本発明における上層磁
性層3a,3bとし、下層部分を本発明における下層非
磁性層2a,2bとする。
【0047】なお、非磁性支持体1は、その一方の面1
aに上述したように下層非磁性層2a及び上層磁性層3
aが塗布され、その後、乾燥機等により乾燥された後、
巻き取られる。そして、非磁性支持体1の他方の面1b
に、同様にして下層非磁性層2b及び上層磁性層3bを
形成する。このように非磁性支持体1の両主面1a,1
bに下層非磁性層2a,2b及び上層磁性層3a,3b
が形成された後、カレンダー装置に導かれてカレンダー
処理が施され、その後、巻き取りロールに巻き取る。
【0048】そして、最後に、所定の寸法に打ち抜かれ
て円盤状とされ、ディスケットに収納されて磁気ディス
クが形成される。なお、磁気ディスクは、上述したよう
な製造工程で製造されるものに限定されず、片面塗布−
乾燥−カレンダー後に、反対面塗布−乾燥−カレンダー
の順で製造することも可能である。
【0049】
【実施例】以下、本発明に係る磁気記録媒体を実際に作
製した実施例について説明する。また、この実施例と比
較するため、比較例についても作製した。
【0050】実施例1 下記の組成にて、磁性塗料及び非磁性塗料を作製した。
【0051】 <磁性塗料組成> Fe系メタル強磁性粉末(平均長軸長=0.2μ、針状比=9、飽和磁化量=1 30Am2/Kg、保磁力=135kA/m) 100重量部 ポリ塩化ビニル樹脂(重合度150、極性官能基としてオキシスルホン酸カリウ ム塩を5×10-5mol/g含む) 14重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(極性官能基としてスルホン酸ナトリウム塩を1 ×10-4mol/gを含む) 6重量部 添加剤(一次粒径0.20μAl23、スラリーとして添加) 5重量部 ステアリン酸 3重量部 ヘプチルステアレート 3重量部 メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 <非磁性塗料組成> α酸化鉄(平均長軸長=0.15μ、針状比=12) 80重量部 カーボンブラック 20重量部 ポリ塩化ビニル樹脂(重合度150、極性官能基としてオキシスルホン酸カリウ ム塩を5×10-5mol/g含む) 20重量部 ステアリン酸 3重量部 ヘプチルステアレート 3重量部 メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 なお、上記の組成において、針状比および長軸長は、透
過型電子顕微鏡写真(50000倍または100000
倍;粒子サイズによって変えた)から無作為に選んだ2
00個の粒子の算術平均値とした。強磁性粉末のpH値
は、強磁性粉末5gを予め煮沸して炭酸ガスを除去した
水100mlとともに、硬質三角フラスコに入れ、密栓
状態で5分間振とうした後に、上澄み液もしくは濾過液
のpH値をガラス電極で測定したものである(JISZ
−8802の7に準拠)。塗料化は、常法に従い、顔
料、結合剤、添加剤、溶剤を混合し、連続式ニーダーに
より混練した後、上層塗料はサンドミルで5時間、下層
塗料は、サンドミルで3時間分散した。
【0052】そして、ポリイソシアネートを磁性塗料に
4重量部、非磁性塗料に2重量部を加え、4リップ方式
ダイコーターを用いて、厚さ62μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(表面粗度Ra=8nm)上に同
時重層塗布し、ソレノイドコイルにより無配向処理した
後、乾燥した。裏面にも同じ塗膜を形成後、カレンダー
処理を行った。ここで各層の塗布厚は、乾燥後におい
て、上層磁性層を0.25μm、下層非磁性層を2.0
μmに設定した。その後、60℃で48時間、非磁性支
持体の歪み除去を行った。
【0053】このとき、実施例1では、Fe系メタル強
磁性粉末のpHが7.0となっており、磁性塗料中に含
有される結合剤のガラス転移温度の平均値が58℃とな
っている。
【0054】実施例2乃至実施例5並びに比較例2及び
比較例2 実施例2乃至実施例5及び比較例1及び比較例2は、F
e系メタル強磁性粉末のpH及び結合剤のガラス転移温
度の平均値を表1のように設定した以外は、実施例1と
同様にして作製された。
【0055】
【表1】
【0056】特性評価 以上のように作製された実施例及び比較例について、電
磁変換特性、走行耐久性及びドロップアウトを評価し
た。
【0057】電磁変換特性は、フロッピーディスクドラ
イブ(ソニー社製 商品名MPFー42B)を改造し
て、ディスク回転数を3600rpmとし、ヘッドにギ
ャップ長0.2μmの薄膜ヘッドに生ずる35MHzの
出力と0〜17MHzまでのノイズとの比で定義した。
そそて、電磁変換特性は、SNRとして示す。
【0058】また、走行耐久性は、室温での同一トラッ
クのパス回数として測定した。
【0059】さらに、ドロップアウトは、出力の低下が
35%以上である場合として定義して測定した。
【0060】これらの結果を表2にしめす。
【0061】
【表2】
【0062】この表2から明らかなように、Fe系メタ
ル強磁性粉末のpHが7以上であり、且つ、結合剤のガ
ラス転移温度が50〜70℃である場合に、電磁変換特
性、走行耐久性及びドロップアウトの点で優れたものと
なる。これに対して、比較例1で示したように、Fe系
メタル強磁性粉末のpHが7よりも小であるような場
合、分散性が悪い結果、電磁変換特性が劣化したものと
なってしまう。また、比較例2で示したように、結合剤
のガラス転移温度が90℃であるような場合、歪み除去
のための熱処理が有効に作用せず、その結果、走行耐久
性が悪いものとなってしまう。
【0063】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る磁気記録媒体は、強磁性粉末のpHと結合剤のガラ
ス転移温度を所定の値に規定しているため、強磁性粉末
が良好に分散されるとともに反り等の発生が防止された
ものとなっている。このため、本発明に係る磁気記録媒
体は、電磁変換特性に優れ、且つ、走行耐久性に優れた
ものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の要部断面図であ
る。
【図2】ウェット・オン・ウェット塗布方式に用いられ
る押し出しコーターの構成を示めす構成図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2a,2b 下層非磁性層、3a,
3b 上層磁性層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に結合剤と非磁性粉末と
    を主体とする下層非磁性層と、この下層非磁性層上に結
    合剤と強磁性粉末とを主体とする上層磁性層とを有する
    磁気記録媒体において、 上記強磁性粉末のpHが7以上であり、且つ、上記上層
    磁性層中の結合剤のガラス移転温度が50〜70℃であ
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記上層磁性層が形成された面と対向す
    る位置に、所定の間隙を有して配設された磁気ヘッドに
    より記録再生が行われることを特徴とする請求項1記載
    の磁気記録媒体。
JP7783198A 1998-03-25 1998-03-25 磁気記録媒体 Withdrawn JPH11273057A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020113358A (ja) * 2020-03-03 2020-07-27 富士フイルム株式会社 ε−酸化鉄型強磁性粉末含有組成物
US11367548B2 (en) 2016-11-30 2022-06-21 Fujifilm Corporation E-iron oxide type ferromagnetic powder, method for manufacturing same, and composition containing e-iron oxide type ferromagnetic powder

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