JPH10149534A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH10149534A
JPH10149534A JP32104996A JP32104996A JPH10149534A JP H10149534 A JPH10149534 A JP H10149534A JP 32104996 A JP32104996 A JP 32104996A JP 32104996 A JP32104996 A JP 32104996A JP H10149534 A JPH10149534 A JP H10149534A
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magnetic
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fatty acid
acid ester
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Application number
JP32104996A
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English (en)
Inventor
Kenichi Kurihara
研一 栗原
Masafumi Ata
誠文 阿多
Mayumi Miyashita
真由美 宮下
Yuichi Sasaki
勇一 佐々木
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度記録に好適な高い電磁変換特性を有す
る磁気記録媒体及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 非磁性粉末が結合剤中に分散された非磁
性層からなる下層4aと、磁性粉末が結合剤中に分散さ
れた磁性層からなる上層2aとが非磁性支持体上1に設
けられ、前記下層にグリセリン脂肪酸エステルからなる
分散剤が含有されている磁気記録媒体。本発明の磁気記
録媒体を製造するに際し、下層4aを形成するための非
磁性塗料と上層2aを形成するための磁性塗料とを非磁
性支持体上1に同時重層塗布(特にウエット・オン・ウ
エット塗布)する、磁気記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性粉末が結合
剤中に分散された非磁性層からなる下層と、磁性粉末が
結合剤中に分散された磁性層からなる上層とが非磁性支
持体上に設けられている磁気記録媒体及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体は、オーディオ用テ
ープ、ビデオテープ、バックアップ用データカートリッ
ジ、フロッピーディスク等として広く利用され、その需
要は著しく伸びてきている。
【0003】特に、最近では、記録波長の短波長化、或
いはデジタル記録方式等、高密度記録の検討が盛んに行
われており、電磁変換特性の優れた磁気記録媒体の開発
が要求されている。
【0004】このような磁気記録媒体としては、酸化物
磁性粉末又は合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩化ビニ
ル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機バインダー(結合
剤)中に分散せしめた磁性塗料を非磁性支持体上に塗
布、乾燥することにより作成されるいわゆる塗布型の磁
気記録媒体が広く使用されている。
【0005】こうした塗布型磁気記録媒体においては、
電磁変換特性を向上させるために、磁性層の薄膜化が検
討されている。
【0006】これは、磁性層の薄膜化によって記録時の
自己減磁損失を低減させ、電磁変換特性を向上させるも
のであり、近年、種々の塗布方式が検討されている。
【0007】非磁性支持体上に、厚さ0.5μm以下の
薄い磁性層を単層で設けた場合、非磁性支持体の表面形
状の影響が現れやすく、平滑な表面を得ることは困難で
あるため、具体的には、磁性層と非磁性支持体との間に
非磁性の下塗り層を設け、磁性層を薄膜化すると共に、
その表面の平滑性を実現する構造が考案されている。
【0008】一方、非磁性支持体上に上記の如き2層を
有する磁気記録媒体においては、電磁変換特性の向上や
ノイズの低減等の目的のため、塗布欠陥や塗り筋がな
く、均一な塗膜に各層を形成することが要求される。こ
れを実現できる方法として、ダイコーター(エクストル
ージョン型の押し出し方式のダイを使用)により磁性層
(上層)と非磁性層(下層)とを非磁性支持体上に同時
に塗布する、いわゆる同時重層塗布方式が提案されてい
る。
【0009】また、この塗布方式は、上下層の界面の接
着性を向上させる方法としても有効であり、近年の重層
塗布型の磁気記録媒体の中心的な塗布方式になりつつあ
る。
【0010】更に、一般に、記録再生時のスペーシング
ロスを最小限にするために、磁性層表面の平滑化が図ら
れている。高密度記録においては、使用する記録波長が
短いため、表面の粗さの影響を受けやすく、この表面粗
さの制御が特に重要である。
【0011】磁気記録媒体が良好な電磁変換特性を発揮
するためには、磁性層中の強磁性粉末が結合剤中で均一
に分散され、かつ、長手方向に配向されていなければな
らないことは言うまでもないが、これに加えて、磁性層
からなる上層の薄膜化、平滑化が不可欠となる場合が多
い。
【0012】従って、これらの薄膜化、平滑化等の目的
を達成するためには、前述したように、その影響を大き
く及ぼす非磁性層からなる下層の平滑化が必要となる。
【0013】非磁性層からなる下層を平滑にするために
は、使用する非磁性粉末を特に比表面積50m2 /g以
上と微細化し、結合剤中に均一に分散させればよいが、
粉末の微細化に伴って、結合剤中への粉末の分散が困難
になる傾向がある。
【0014】このような課題を解決する手法として、下
層中の非磁性塗料を調製する際に行う混練、或いは分散
の所要時間を長くすることが考えられるが、非磁性粉末
の損傷や製造効率の低下等の問題が生じ好ましくない。
【0015】一方、結合剤中に−SO3 M、−OSO3
M、−COOM、−P=O(OM)2 、−NR1 2
−NR1 2 3+- 、>NR1 2+- 等の官能基を
含有させることによって、結合剤と非磁性粉末との相互
作用を強化し、非磁性粉末の分散性を向上させる試みも
なされている。
【0016】しかしながら、これらの官能基を有する結
合剤は従来の結合剤に比べて優れた性能を発揮するもの
の、高密度記録用として開発された微細な非磁性粉末を
十分に分散させることは未だ困難であるというのが現状
である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした従
来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高
密度記録に好適な高い電磁変換特性を有する磁気記録媒
体及びその製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、非磁性
粉末が結合剤中に分散された非磁性層からなる下層と、
磁性粉末が結合剤中に分散された磁性層からなる上層と
が非磁性支持体上に設けられ、グリセリン脂肪酸エステ
ルからなる分散剤が前記下層に含有されている磁気記録
媒体(以下、本発明の磁気記録媒体と称する。)に係る
ものである。
【0019】本発明の磁気記録媒体によれば、非磁性粉
末が結合剤中に分散された非磁性層からなる前記下層に
グリセリン脂肪酸エステルからなる分散剤が含有されて
いるので、前記下層(即ち、非磁性層)中の非磁性粉末
を結合剤及び溶剤中に均一に分散させることができ、前
記上層(即ち、磁性層)の平均厚み(カレンダー処理
後)が特に0.5μm以下と薄くても、その表面を平滑
化し、高密度記録に好適な高い電磁変換特性を有する磁
気記録媒体を提供することができる。
【0020】本発明の磁気記録媒体においては、詳しく
は後述するが、グリセリン脂肪酸エステルのカルボキシ
ル基や水酸基等の部分が非磁性粉末の表面に水素結合、
脱水等により吸着するものと考えられる。しかも、この
グリセリン脂肪酸エステルはR1 、R2 、R3 、炭化水
素基及びグリセリン等の部分によって、結合剤や溶剤等
との親和性が良好であるので、分散剤として機能するこ
とになり、非磁性粉末の分散性を向上させる。
【0021】従って、微細化した非磁性粉末の特性が充
分に発揮され、非磁性層の表面が平滑になると共に、磁
性層の表面の平滑化が実現され、本発明の磁気記録媒体
の電磁変換特性が向上すると考えられる。
【0022】また、本発明は、非磁性粉末が結合剤中に
分散された非磁性層からなる下層と、磁性粉末が結合剤
中に分散された磁性層からなる上層とが非磁性支持体上
に設けられ、グリセリン脂肪酸エステルからなる分散剤
が前記下層に含有されている磁気記録媒体を製造するに
際し、前記下層を形成するための非磁性塗料と前記上層
を形成するための磁性塗料とを前記非磁性支持体上に重
層塗布する、磁気記録媒体の製造方法(以下、本発明の
製造方法と称する。)に係るものである。
【0023】本発明の製造方法によれば、本発明の磁気
記録媒体を製造するに際し、前記下層を形成するための
非磁性塗料と前記上層を形成するための磁性塗料とを前
記非磁性支持体上に重層塗布(特に、塗布された非磁性
塗料が未乾燥状態のまま磁性塗料を塗布するウエット・
オン・ウエット方式の塗布)するので、前記上層を表面
性良好に形成することができる。特に、ウエット・オン
・ウエット塗布方式の場合には、前記下層の表面(即
ち、前記上層との境界面)が平滑になり易いと共に、前
記上層の表面性が一層良好となり、かつ、上下両層間の
接着性も向上する。
【0024】この結果、特に高密度記録のために高出
力、低ノイズ等の要求される磁気記録媒体の性能を満た
すものとなり、膜(層)剥離が減少し、膜(層)強度が
向上する。また、ドロップアウト等も低減することが可
能となり、磁気記録媒体の信頼性も向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体及びその製
造方法(以下、本発明の磁気記録媒体及びその製造方法
を単に「本発明」と称することがある。)において、非
磁性粉末の分散剤として使用されるグリセリン脂肪酸エ
ステルは次の一般式(I)で表されるポリグリセリン脂
肪酸エステルであることが望ましい。
【化3】 (但し、上記一般式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ
アシル基(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレ
イン酸、リノール酸等)又は水素原子であって、互いに
同一であるか或いは異なっており、R1 、R2 及びR3
のうち少なくとも1つが前記アシル基であり、xは重合
度を示す。)
【0026】即ち、本発明において、グリセリン脂肪酸
エステルとはポリグリセリン脂肪酸エステルをも含む概
念である。
【0027】前記一般式(I)で表されるポリグリセリ
ン脂肪酸エステルにおいて、重合度xは、1以上の任意
の整数(好ましくは2以上の任意の整数)を取ることが
可能である。しかし、この重合度xの値が大きくなりす
ぎると、一定量内に含まれるポリグロセリン脂肪酸エス
テルの分子数が減少し、非磁性粉末に吸着できるポリグ
リセリン脂肪酸エステルの分子数も減少するため、分散
効果が低下する傾向にある。従って、優れた分散性を発
揮するためには最適値が存在し、重合度xは1〜10の
範囲内であることが望ましく、2以上、特に2〜5の範
囲内であることが更に望ましい。
【0028】また、一般式(I)において、R1 、R2
及びR3 のうち少なくとも1つが一般式(II): Cn 2(n-m)+1CO− (但し、上記一般式中、nは1〜25、mは0〜5の整
数であり、n>mである。)で表されるアシル基からな
ることが望ましい。この時、前記一般式(II)で表され
るアシル基は、直鎖状であっても、分岐(即ち、側鎖を
有する)していても一向に構わないが、このアシル基が
直鎖状である場合、nを11〜19程度にするのが好ま
しい。nが少なすぎると結合剤や溶剤等との親和性が減
少し、nが大きすぎるとポリグリセリン脂肪酸エステル
の一定量内に含まれる非磁性粉末に対する親和性官能基
の相対量が減少すると考えられる。また、前記一般式
(II)で示されるように、単結合のみで形成されていて
もよいし、二重結合又は三重結合を一つ以上含有してい
ても構わない。但し、二重結合又は三重結合が多くなり
すぎるると非磁性塗料の粘度が増加する傾向にある。
【0029】また、一般式(I)において、R1 、R2
及びR3 が、それぞれ互いに同一の若しくは異なるアシ
ル基であっても、電磁変換特性や表面性等の特性上、ほ
とんど影響を及ぼさない。但し、一般式(I)におい
て、両末端(R2 及びR3 )のうち最低一方がアシル基
であることが望ましい。
【0030】また、非磁性層に含有するグリセリン脂肪
酸エステル(又はポリグリセリン脂肪酸エステル:以
下、同様)の含有量は、非磁性粉末100重量部に対し
て0.5〜10重量部であることが好ましい。この含有
量が10重量部より多い場合には、結合剤と未反応の官
能基とが非磁性層中に多く残存し、これらが相互作用を
及ぼし合う(例えば、結合剤の極性基と反応して粘度上
昇する。)ため分散性が低下し易い。一方、グリセリン
脂肪酸エステルの含有量が0.5重量部より少ない場合
には、粉体の分散剤としての機能が発揮されにくい。ま
た、分散剤としての機能を十分に発揮させるためには、
その添加量を1.0〜5.0重量部の範囲内とすること
が更に好ましい。
【0031】また、グリセリン脂肪酸エステルを非磁性
層に添加する際、この添加量が上述した範囲内であれ
ば、2種類以上のグリセリン脂肪酸エステルを同時に添
加しても構わないし、他の分散剤と併用しても構わな
い。
【0032】更に、本発明において、非磁性粉末の比表
面積を30〜80m2 /g、更には40〜70m2 /g
の範囲内とすることが望ましい。
【0033】詳しくは後述するが、非磁性粉末の比表面
積を上記の範囲内とする(即ち、非磁性粉末を微粒子化
する)ことによって、非磁性粉末の微細化による非磁性
層の表面の平滑化が進み易く、これが上記のグリセリン
脂肪酸エステルの分散作用によって促進されることによ
り、非磁性層中で非磁性粉末は結合剤及び溶剤中に均一
に分散され易くなる。
【0034】非磁性粉末の比表面積が30m2 /gより
小さい(即ち、非磁性粉末のサイズが大きすぎる)と、
非磁性層の表面に非磁性粉末の形状による影響が現れ、
磁性層表面の平滑化に支障をきたすことがある。また、
非磁性粉末の比表面積が80m2 /gより大きい(即
ち、非磁性粉末のサイズが小さすぎる)と、本発明の手
法を用いても、即ち、グリセリン脂肪酸エステルを添加
しても、極微細な非磁性粉末を結合剤等の中に分散させ
ることが困難になる傾向がある。上記の非磁性粉末の比
表面積は、より好ましくは40〜70m2 /gの範囲内
である。
【0035】また、本発明においては、磁性層からなる
上層の平均厚み(実際には、カレンダ処理後の平均厚
み:単位面積当たりの平均厚み)を0.5μm以下にす
ることが充分に可能であり、0.5μm以下にすれば、
自己減磁損失(記録減磁)の低減が可能であり、短波長
における出力の向上、オーバーライト特性の向上等のよ
うに、電磁変換特性が向上する。
【0036】特に、本発明のような重層塗布型の磁気記
録媒体の場合、磁性層からなる上層の平均厚みが0.5
μmを超えると、下層(非磁性層:下地層)の上層(磁
性層)に対する影響が顕著に現れにくいが、磁性層から
なる上層の平均厚みが約0.5μm以下であると、前記
下層を上記グリセリン脂肪酸エステルの分散作用で平滑
にすることにより、磁性層が薄くてもその表面を平滑化
できる等、本発明の効果が顕著に現れることが多い。
【0037】また、本発明の製造方法において、非磁性
塗料を非磁性支持体上に塗布し、この塗料が未乾燥の状
態で磁性塗料を塗布することが好ましい。詳しくは後述
するが、非磁性層が未乾燥の状態(即ち、湿潤の状態)
で磁性層を塗布することにより、下層の表面が平滑にな
ると共に、上層の表面性が良好となり、かつ、上下両層
間の接着性も向上する。
【0038】また、詳しくは後述するが、ダイコーター
を用いて下層(非磁性層)と上層(磁性層)とを非磁性
支持体上に同時重層塗布することにより、上述のよう
に、非磁性層が未乾燥の状態(即ち、湿潤の状態)で磁
性層を塗布することができる。
【0039】また、本発明の製造方法において、非磁性
層からなる下層の原料として使用される非磁性塗料は、
グリセリン脂肪酸エステルと非磁性粉末と結合剤とを溶
剤と共に混練及び分散して非磁性塗料を作製する方法、
或いは、予めグリセリン脂肪酸エステルで処理した非磁
性粉末を、結合剤及び溶剤と共に混練及び分散して非磁
性塗料を作製する方法等によって、調製することができ
る。
【0040】ここで、本発明において、グリセリン脂肪
酸エステルが分散剤として機能する際のメカニズムを、
図5を参照しながら説明する。
【0041】図5(A)は、一般式(I)で表される本
発明に使用可能なグリセリン脂肪酸エステル(又はポリ
グリセリン脂肪酸エステル)の一例の構造を示すもので
あり、R1 、R2 及びR3 は上記したアシル基又は水素
原子を使用できる。
【0042】次に、図5(B)に示すように、非磁性粉
末(例えば、Fe−OHで表されるFe系の非磁性粉
末)に、グリセリン脂肪酸エステルを含有(添加)する
場合を考える。
【0043】図5(A)の一般式(I)において、R1
が脂肪酸である場合、図5(B)の一般式(III)に示す
ように、カルボキシル基部分で前記非磁性粉末の親水性
表面(例えば、Fe−OHの水酸基部分:以下、同様)
と水素結合を形成してこの非磁性粉末と結合したり、一
般式(IV)に示すように、カルボキシル基部分で非磁性
粉末の親水性表面と水素結合を形成してこの非磁性粉末
と結合し、更に、水酸基部分で非磁性粉末の親水性表面
と水素結合を形成、又は脱水反応を生じ、この非磁性粉
末と結合(吸着)すると考えられる。
【0044】また、R1 が水素原子である場合、一般式
(V)に示すように、水酸基部分で非磁性粉末の親水性
表面と水素結合を形成し、又は脱水反応を生じ、カルボ
キシル基部分では非磁性粉末の親水性表面と水素結合を
形成してこの非磁性粉末と結合すると考えられ、また、
一般式(VI)に示すように、水酸基部分で非磁性粉末の
親水性表面と水素結合を形成して、非磁性粉末と結合す
る場合等も考えられる。但し、上記の各一般式におい
て、R’及びR’’は炭化水素基である。
【0045】また、ここでは、R1 部分についてのみ示
したが、R2 部分についても全く同様のメカニズムで前
記非磁性粉末と結合すると考えられる。
【0046】また、ポリグリセリン脂肪酸エステルはそ
の構造、特に、少なくとも1つがアシル基であるR1
2 及びR3 の如きアシル基部分、及び分子内の水酸基
部分等の作用によって、結合剤(有機高分子化合物)や
溶剤(有機溶媒)等との親和性を有しており、結果とし
て、このポリグリセリン脂肪酸エステルは結合剤と非磁
性粉末との間をいわば結合し、分散剤として有効に作用
するものと考えられる。
【0047】本発明において、非磁性支持体上の上記磁
性層が設けられていない面(裏面)には、磁気記録媒体
の走行性の向上や帯電防止及び転写防止等を目的とし
て、バックコート層を設けてもよい。また、下層と非磁
性支持体との間には、塗膜と支持体との接着性を強化す
る目的で、下塗り層を設けることも可能である。この下
塗り層は、本発明における上記の下層(非磁性層)とは
異なるものであることは言うまでもない。
【0048】本発明において、上記の上層及び下層に含
有させる結合剤は、従来から磁気記録媒体用の結合剤と
して使用される公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反
応型樹脂等が使用可能であり、数平均分子量が5,00
0〜100,000のものが好ましい。
【0049】熱可塑性樹脂の例としては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル
−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−ア
クリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビ
ニル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−
アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化
ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニ
リデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共
重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポ
リフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共
重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリ
アミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体
(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイア
セテート、セルローストリアセテート、セルロースプロ
ピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン
共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミ
ノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
【0050】また、熱硬化性樹脂又は反応型樹脂の例と
しては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン
硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹
脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアル
デヒド樹脂等が挙げられる。
【0051】また、上記の全ての結合剤には、顔料の分
散性を向上させる目的で−SO3 M、−OSO3 M、−
COOM、−P=O(OM)2 等で表される極性官能基
が導入されていてもよい(ここで、Mは水素原子又はリ
チウム原子、カリウム原子、ナトリウム原子等のアルカ
リ金属原子である)。
【0052】更に、上記極性官能基としては、−NR1
2 、−NR1 2 3+- で表される末端基を有する
側鎖型のもの、>NR1 2+- で表される主鎖型のも
のがある(ここで、R1 、R2 、R3 は、水素原子又は
炭化水素基であり、X- はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素
等のハロゲン元素イオン或いは無機又は有機イオンであ
る。また、−OH、−SH、−CN、エポキシ基等の極
性官能基を導入してもよい)。
【0053】これらの極性官能基の量は、10-1〜10
-8mol/gが好ましく、より好ましくは10-2〜10
-6mol/gである。
【0054】上記した結合剤は、1種を単独で用いるこ
とが可能であるが、2種以上を併用することも可能であ
る。
【0055】塗膜におけるこれら結合剤の量は、上記強
磁性粉末又は非磁性粉末100重量部に対して、1〜2
00重量部が好ましく、より好ましくは10〜50重量
部である。
【0056】この結合剤の使用量が多すぎると、上層に
おいては、相対的に強磁性粉末の磁性層に占める割合が
低下して出力が低下し易く、また、ドライブでの繰り返
し摺動などにより塑性流動を起こし易く、媒体の走行耐
久性が低下する傾向がある。一方、結合剤の使用量が少
なすぎると、上下層共に塗膜が脆くなり、媒体の走行耐
久性が低下し易くなる。
【0057】本発明では、上記結合剤を架橋硬化させる
ポリイソシアネートを併用することが可能である。この
ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネー
ト又はその付加体、アルキレンジイソシアネート又はそ
の付加体等がある。
【0058】これらのポリイソシアネートの上記結合剤
への配合量は、上記結合剤100重量部に対して、5〜
80重量部が好ましく、より好ましくは10〜50重量
部である。
【0059】これらのポリイソシアネート類は、上下両
層に用いることが可能であるが、いずれか一層のみに限
定して用いることも可能である。上下両層に用いる場合
の配合量は、各層に等量投入することも可能であるし、
任意の比率で変えることも可能である。
【0060】本発明において、上層で用いられる強磁性
粉末としては、Fe、Co、Ni等の金属、Fe−C
o、Fe−Ni、Fe−Al、Fe−Ni−Al、Fe
−Al−P、Fe−Ni−Si−Al、Fe−Ni−S
i−Al−Mn、Fe−Mn−Zn、Fe−Ni−Z
n、Co−Ni、Co−P、Fe−Co−Ni、Fe−
Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−P、Fe−Co
−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−A
l、Fe−Co−V等の合金、窒化鉄、炭化鉄等が挙げ
られる。もちろん、還元時の焼結防止又は形状維持等の
目的で添加されるAl、Si、P、B等の軽金属元素が
適当量含有したとしても、本発明の効果を妨げるもので
はない。
【0061】また、γ−Fe2 3 、Fe3 4 、γ−
Fe2 3 とFe3 4 とのベルトライド化合物、Co
含有γ−Fe2 3 、Co含有Fe3 4 、Coを含有
するγ−Fe2 3 とFe3 4 とのベルトライド化合
物、CrO2 に1種またはそれ以上の金属元素、例えば
Te、Sb、Fe、B等を含有させた酸化物等がある。
【0062】更に、六方晶系板状フェライトも使用可能
であり、M型、W型、Y型、Z型のバリウムフェライ
ト、ストロンチウムフェライト、カルシウムフェライ
ト、鉛フェライト、及びこれらに、保磁力を制御する目
的で、Co−Ti、Co−Ti−Zn、Co−Ti−N
b、Co−Ti−Zn−Nb、Cu−Zr、Ni−Ti
等を添加したものも使用可能である。
【0063】これらの強磁性粉末は、それぞれ1種を用
いることも可能であるが、2種以上を併用することも可
能である。
【0064】また、本発明に用いる強磁性粉末の比表面
積は、30〜80m2 /gが好ましく、より好ましくは
40〜70m2 /gである。この比表面積が上記範囲に
あると、強磁性粉末の形状の微粒子化によって高密度記
録が可能となり、ノイズ特性の優れた磁気記録媒体を得
ることが可能である。
【0065】更に、本発明に用いられる強磁性粉末は、
長軸長が0.05〜0.50μm、軸比が2〜15であ
ることが好ましい。長軸長が0.05μm未満である
と、磁性塗料中の分散が困難となり、また長軸長が0.
50μmを超えると、ノイズ特性が劣化する恐れがあ
る。そして、軸比が2未満であると、強磁性粉末の配向
性が低下し、出力の低下となり、また軸比が15を超え
ると、短波長信号出力が低下する恐れがある。板状フェ
ライトの場合は、板径0.01〜0.5μm、板厚0.
001〜0.2μm程度が好ましい。但し、長軸長、軸
比、板径及び板厚は、透過型電子顕微鏡写真から無作為
に選んだ100個以上のサンプル粒子の平均値で示す。
【0066】本発明において、下層に含有させる非磁性
粉末として用いられるものは、例えば、α−Fe2 3
等の非磁性酸化鉄、ゲータイト、ルチル型酸化チタン、
アナターゼ型酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステ
ン、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、
チタンカーバイト、窒化ホウ素、α−アルミナ、β−ア
ルミナ、γ−アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、二硫化モリブデン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸バ
リウム等があり、これらの粉末は、単独で用いることも
可能であるし、複数を混合して用いることも可能であ
る。
【0067】上記非磁性粉末は、目的に応じて、適当量
の不純物をドープすることも可能であるし、分散性の改
良、導電性の付与、色調の改善等の目的で、Al、S
i、Ti、Sn、Sb、Zr等の化合物で表面処理する
ことも可能である。
【0068】非磁性粉末の比表面積は、30〜80m2
/gが好ましく、より好ましくは40〜70m2 /gで
ある。
【0069】また、必要に応じて、ゴム用ファーネス、
熱分解カーボン、カラー用ブラック、アセチレンブラッ
ク等のカーボンブラックが含まれていてもよい。
【0070】このカ−ボンブラックの比表面積は100
〜400m2 /g、ジブチルフタレート(DBP)吸油
量は20〜200ml/100gであることが好まし
い。
【0071】非磁性粉末及びカーボンブラックの比表面
積が、上記範囲にあると、形状の微粒子化によって下層
が平滑化し、結果的に上層の平滑化が可能となるため、
変調ノイズ特性が優れ、スペーシングロスの影響の少な
い磁気記録媒体を得ることが可能である。非磁性粉末は
磁気的な凝集力を有さないので、強磁性粉末に比べて分
散が容易であるとはいえ、比表面積が上記の範囲より大
きい場合には、本発明の手法を用いても粉体の分散が困
難となることがあり、また比表面積が小さすぎると、高
密度記録に耐えられる表面平滑性が確保できないことが
ある。
【0072】本発明においては、必要に応じて潤滑剤を
前記磁性層及び前記非磁性層に含有させることが可能で
ある。上記潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデン、
二硫化タングステン、シリコーンオイル、炭素原子数1
0〜22までの脂肪酸、この脂肪酸と炭素原子数2〜2
6までのアルコールとからなる脂肪酸エステル、テルペ
ン系化合物、ならびにこれらのオリゴマー等がある。上
記潤滑剤は、上層にのみ添加することも可能であるし、
上下両層に添加することも可能である。
【0073】また、本発明において、前記磁性層に研磨
剤粒子を含有させることが可能である。これらの例とし
ては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、酸
化クロム、炭化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメ
リー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化
チタン、酸化チタン(ルチル、アナターゼ)等がある。
【0074】これらの粒子は、強磁性粉末100重量部
に対して、20重量部以下が好ましく、10重量部以下
が更によい。また、モース硬度は、4以上が好ましく、
5以上が更によく、比重は2〜6が好ましく、3〜5の
範囲が更によく、平均粒径は0.5μm以下が好まし
く、0.3μm以下が更によい。
【0075】但し、これらの非磁性研摩剤粒子の平均粒
径も、強磁性粉末の場合と同様に、透過型電子顕微鏡写
真から測定し、統計処理により求めた平均値とする。
【0076】本発明において、非磁性支持体としては、
公知の材料を使用できるが、例えば、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等の
ポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン
類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテー
ト等のセルロース類、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポ
リカーボネート類に代表されるような高分子材料、或い
は、金属、ガラス、セラミックス等により形成される支
持体等である。
【0077】上記非磁性支持体上に塗膜を形成するに
は、前記上下層の形成材料を塗料としてそれぞれ塗布、
乾燥して形成されるが、この塗料化に用いられる溶剤
は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノー
ル、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、
乳酸エチル、グリセリンアセテート等のエステル系溶
媒、ジグリセリンジメチルエーテル、2−エトキシエタ
ノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライ
ド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハ
ロゲン化炭化水素系溶媒等の公知溶媒がいずれも使用可
能である。
【0078】上記塗料の作成には、混練工程、混合工
程、分散工程の各工程によって行われる。分散及び混練
には、ロールミル、ボールミル、サンドミル、アジタ
ー、ニーダー、エクストルーダー、ホモジナイザー、超
音波分散機等が用いられる。
【0079】更に、本発明の製造方法において、このよ
うに形成された塗料を非磁性支持体上に同時に重層塗布
するのが良いが、これには、高速及び定量塗布性の点で
主にダイコーターが用いられる。ダイコーターのリップ
構成は、2リップ方式、3リップ方式、4リップ方式等
が用いられる。
【0080】また、この重層塗布には上述のダイコート
方式が好適であるが、その他に、ダイレクトグラビア
法、リバースグラビア法、オフセットグラビア法等のグ
ラビア法によって重層塗布する方法も使用することがで
きる。
【0081】図3(A)は、本発明の磁気記録媒体の一
例(例えば8mmビデオテープ)の概略断面図を示すも
のであり、図3(C)は、図3(A)における上下層部
分の一部拡大概略断面図である。
【0082】即ち、この磁気記録媒体を製造するには、
非磁性支持体1上に上述した非磁性層からなる下層4a
を設け、この下層4a上に、下層4aが未乾燥のうちに
磁性層からなる上層2aを塗布する方式(いわゆる、ウ
エット・オン・ウエット方式=湿潤重層塗布方式:以
下、同様)を適用しているので、上下層間の接着力は充
分となる。
【0083】なお、この方式によると、磁性層2a中の
塗料成分が一部拡散して下層4a中に混入し、磁性粉末
の混入した遷移層5が破線のように形成されることがあ
るが、この遷移層は厳密には上層でも下層でもない。
【0084】また、非磁性支持体1の上層2aとは反対
側の面(裏面)には、仮想線のようにバックコート層3
を有していてもよい。
【0085】図3(B)は、下層4b及び磁性層2bを
形成する場合、一層ずつ塗布及び乾燥を行う方式(いわ
ゆる、ウエット・オン・ドライ方式)によるものであ
る。この場合も、磁性層とは反対側の面に、バックコー
ト層3を有していてもよい。
【0086】図4は、本発明の製造方法に使用可能なウ
エット・オン・ウエット方式の押し出し塗布法(ダイコ
ーティング)を用いた重層塗布の三例(A)、(B)、
(C)を示すものである。
【0087】図4(A)は、コーターを2個用いた例
(4リップ方式)、図4(B)はコーターを1個用い、
別々のスリットから塗料を吐出させる例(3リップ方
式)、図4(C)はコーターを1個用い、単一のスリッ
トから各塗料を重ねて吐出させる例(2リップ方式)を
示す。
【0088】図4の塗布装置においては、例えば図3
(A)の磁気記録媒体を製造するに際し、供給された非
磁性支持体1を矢印Dの方へ送りながらエクストルージ
ョン方式のダイコーター10、11又は10によって、
下層用塗料4a’、磁性層用塗料2a’を吐出し、ウエ
ット・オン・ウエット方式で下層4a及び上層2aの2
層を形成するものである。
【0089】ダイコーターには、液溜まり部6、7が設
けられ、各塗料2a’、4a’をウエット・オン・ウエ
ット方式で同時に重ねる。
【0090】一般に、非磁性支持体上に下層4a及び上
層2aを形成する場合、1層づつ塗布及び乾燥を行う方
式(いわゆるウエット・オン・ドライ塗布方式)と、乾
燥されていない湿潤状態にある下層4a上に磁性層から
なる上層2bを重ねて塗布する方式(いわゆるウエット
・オン・ウエット塗布方式)とがある。
【0091】上記のウエット・オン・ウエット方式によ
る重層塗布においては、下層4aが湿潤(未乾燥)状態
のまま上層の磁性層2aを塗布するので、下層の表面
(即ち、上層との境界面)が滑らかになると共に上層の
表面性が良好になり、上層の塗料に対する下層の耐溶剤
性を考慮する必要がなく、かつ、上下層間の接着性も向
上するという利点がある。
【0092】この結果、特に高密度記録のために高出
力、低ノイズの要求される磁気記録媒体としての要求性
能を満たしたものとなり、かつ、膜(層)の剥離がなく
なり、膜(層)強度が向上する。またドロップアウトも
低減することが可能であり、信頼性も向上する。
【0093】また、例えば、特開平6−236543号
公報に示されているようなウエット・オン・ドライ塗布
方式による場合、下層4aとして、磁性層からなる上層
2aの塗料に対して、充分な耐溶剤性のあるものを選択
する必要とする場合がある。但し、上記のウエット・オ
ン・ウエット塗布方式による重層塗布のように、磁性層
中の塗料成分が一部拡散して下層中に混入し、磁性粉末
の混入した遷移層が形成されることはない。
【0094】また、上述したように、上記ウエット・オ
ン・ウエット重層塗布方式によって形成される上下層間
には、明確な境界が実質的に存在する場合以外に、図3
(A)及び図3(C)に示したように一定の厚みを以て
両層の成分が混在してなる境界領域が存在する場合があ
るが、こうした境界領域を除いた上層又は下層の層を上
記磁性層、上記非磁性層としてよい。何れの場合も、本
発明の範囲に含まれる。
【0095】なお、上記の重層塗布後は、乾燥機に導入
し、更に必要とあれば、カレンダ装置に導き、巻取りロ
ールに巻き取る。更に、バックコート層を重層塗布層の
反対面に塗布した後、例えば8mm幅にスリットして磁
気テープを作成し、これをカセット内に収容してテープ
カセットを製造する。
【0096】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0097】下記の組成にて、上層(磁性層)及び下層
(非磁性層)用の塗料を調製した。即ち、常法に従い、
強磁性粉末又は非磁性粉末、結合剤、添加剤、溶剤及び
ポリグリセリン脂肪酸エステルを所定の配合比で混合
し、エクストルーダーによって混練した後、サンドミル
で6時間混合、分散した。但し、以下の各実施例及び比
較例に使用したポリグリセリン脂肪酸エステルの組成及
び添加量は下記の表1にそれぞれ示した。
【0098】 <上層(磁性層)用の磁性塗料組成> Fe系の強磁性金属粉末(Fe80−Co20) 100重量部 (保磁力=160kA/m、飽和磁化量=145Am2 /kg、 比表面積=51m2 /g、長軸長=0.08μm、針状比=3、) ポリ塩化ビニル樹脂(−SO3 K含有) 14重量部 (日本ゼオン社製のMR−110) ポリエステルポリウレタン樹脂(−SO3 Na含有) 3重量部 (東洋紡社製のUR8300) α−Al2 3 5重量部 ステアリン酸 1重量部 ヘプチルステアレート 1重量部 メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部
【0099】 <下層(非磁性層)用の非磁性塗料組成> 針状α−Fe2 3 100重量部 (比表面積=53m2 /g、長軸長=0.15μm、針状比=5) ポリ塩化ビニル樹脂(−SO3 K含有) 13重量部 (日本ゼオン社製のMR−110) ポリエステルポリウレタン樹脂(−SO3 Na含有) 4重量部 (東洋紡社製のUR8300) ポリグリセリン脂肪酸エステル (種類及び添加量は下記の表1に記載) ステアリン酸 1重量部 ヘプチルステアレート 1重量部 メチルエチルケトン 105重量部 シクロヘキサノン 105重量部
【0100】以上の組成で得られた上層用磁性塗料及び
下層用非磁性塗料に、硬化剤としてポリイソシアネート
(日本ポリウレタン社製のコロネートL)を各々3重量
部加え、図4(A)に示した如き4リップ方式のダイコ
ーターを用いて、非磁性支持体としての厚さ7μmのポ
リエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に同時
重層塗布し、しかる後にソレノイドコイルにより配向処
理した後、乾燥、カレンダ処理及び硬化処理を行った。
ここで、各層の厚みは、磁性層からなる上層が0.2μ
m、非磁性層からなる下層が2.0μmとした。
【0101】更に、下記組成のバックコート層用塗料
を、上記塗布面とは反対側の非磁性支持体面(裏面)に
塗布し、しかる後に8mm幅にスリットしてテープ化し
た。
【0102】 <バックコート層の塗料組成> カーボンブラック 100重量部 (旭カーボン社製の旭#50) ポリエステルポリウレタン 100重量部 (日本ポリウレタン社製のニッポランN−2304) メチルエチルケトン 500重量部 トルエン 500重量部
【0103】例1〜例27 下記の表1に示すような添加量(重量部)及び構造のポ
リグリセリン脂肪酸エステルを分散剤として使用し、上
述した塗料組成で、磁気テープ(例1〜例27)を得
た。なお、例23はソニー社製の8mm Hi8テープ
を用いた。この例23のサンプルテープは、非磁性層を
設けないで磁性層を設けたテープである(従って、磁性
層には勿論ポリグリセリン脂肪酸エステルからなる分散
剤は含有されていない)。
【0104】また、例26のサンプルテープは、非磁性
層に分散剤として従来より使用されているチタネートカ
ップリング剤を使用したものであり、例27のサンプル
テープも、非磁性層に分散剤として従来より使用されて
いるシランカップリング剤を使用したものである。
【0105】また、例22のサンプルテープは例4のサ
ンプルテープとその組成及び膜厚において同様である
が、例22以外のサンプルテープの非磁性層(下層)用
の塗料は、ポリグリセリン脂肪酸エステルと非磁性粉末
と結合剤とを溶剤と共に混練及び分散して作製されたも
のであるのに対して、例4のサンプルテープの非磁性層
(下層)用の塗料は、予めポリグリセリン脂肪酸エステ
ルで処理した非磁性粉末を、結合剤及び溶剤と共に混練
及び分散して作製されたものである。
【0106】即ち、例22のサンプルテープの非磁性層
(下層)用塗料は、予め非磁性粉末(α−Fe2 3
とポリグリセリン脂肪酸エステルとを溶液中で充分に混
合し、この混合溶液をポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステ
ルポリウレタン樹脂等の結合剤、及びメチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン等の溶剤や他の添加剤と共に混練
及び分散して作製したものである。
【0107】また、例25のサンプルテープは、前記一
般式(I)において、R1 、R2 及びR3 をすべて水素
原子としたものである。即ち、前記一般式(I)の化合
物はグリセリンとなり、アシル基を含んでおらず、例2
5のサンプルテープに含有されている化合物は脂肪酸エ
ステル類ではない。
【0108】更に、例17以外のサンプルテープのポリ
グリセリン脂肪酸エステルは全て直鎖状であり、また、
例18〜例21のサンプルテープは前記一般式(I)で
表されるポリグリセリン脂肪酸エステルの両端部がアシ
ル基であるものである。
【0109】また、電磁変換特性の測定は、固定ヘッド
式電磁変換特性測定器(ソニー社製の改造ビデオデッ
キ)を用いて行った。この測定器は、回転するドラム
と、これに接触する磁気ヘッドから構成されており、磁
気テープは前記ドラムに巻き付けられる構成となる。実
際の測定は、まず、各サンプルテープの最適記録電流で
10MHzの矩形波信号を記録し、スペクトラムアナラ
イザーにより10MHzでの出力レベル(10MHz再
生出力)を検出したものである。なお、テープとヘッド
との間の相対速度は3.33m/sとし、例26のリフ
ァレンス(再生出力0dB)にはソニー社製の8mm
Hi8テープを用いた。
【0110】更に、表面粗さRaは、各サンプルテープ
について、レーザー光干渉方式による非接触型表面粗さ
計(ZYGO社製のレーザー干渉測定用顕微鏡(Maxim
3D Model 5700 ))を用いて、磁性層表面の中心線平均
粗さRa(nm)を測定した。
【0111】これらの結果を下記の表2に示す。また、
例1〜8及び例24の各サンプルテープについて、ポリ
グリセリン脂肪酸エステルの添加量(重量部/非磁性粉
末100重量部)による10MHz再生出力(dB)及
び表面粗さRa(nm)の変化を示すグラフを図1に示
した。また、例4及び例9〜例13の各サンプルテープ
について、ポリグリセリン脂肪酸エステルの重合度xに
よる10MHz再生出力(dB)及び表面粗さRa(n
m)の変化を示すグラフを図2に示した。
【0112】 表1
【化4】 例 添加量 重合度 R1 2 3 (重量部) X 1 0.3 2 C17H35CO- -H -H 2 0.5 2 C17H35CO- -H -H 3 1 2 C17H35CO- -H -H 4 3 2 C17H35CO- -H -H 5 5 2 C17H35CO- -H -H 6 7 2 C17H35CO- -H -H 7 10 2 C17H35CO- -H -H 8 12 2 C17H35CO- -H -H 9 3 1 C17H35CO- -H -H 10 3 3 C17H35CO- -H -H 11 3 5 C17H35CO- -H -H 12 3 7 C17H35CO- -H -H 13 3 10 C17H35CO- -H -H 14 3 2 C17H33CO- -H -H 15 3 2 C17H31CO- -H -H 16 3 2 C15H31CO- -H -H 17 3 2 C8H17CH(C8H17)CO- -H -H 18 3 2 C17H35CO- C17H35CO- -H 19 3 2 C17H35CO- C17H33CO- -H 20 3 2 C17H35CO- C17H31CO- -H 21 3 2 C17H35CO- C15H31CO- -H 22 3 2 C17H35CO- -H -H 23 − − − − − 24 0 − − − − 25 3 2 -H -H -H 26 3 − − − − 27 3 − − − − ────────────────────────────────────
【0113】 表2 例 10MHz 再生出力 表面粗さ 例 10MHz 再生出力 表面粗さ (dB) Ra(nm) (dB) Ra(nm) 1 +3.0 5.1 15 +5.4 3.5 2 +4.0 4.4 16 +5.5 3.4 3 +5.3 3.7 17 +5.6 3.4 4 +5.5 3.4 18 +5.8 3.2 5 +5.4 3.5 19 +5.8 3.2 6 +5.2 3.8 20 +5.7 3.3 7 +3.9 4.6 21 +5.7 3.3 8 +2.5 5.5 22 +5.5 3.3 9 +5.3 3.7 23 0 8.3 10 +5.5 3.4 24 +2.7 5.3 11 +5.5 3.5 25 +3.0 5.1 12 +5.3 3.7 26 +3.1 4.9 13 +5.0 4.0 27 +3.1 4.9 14 +5.4 3.5 ────────────────────────────────────
【0114】結果 表2より、本実施例(例1〜例22:以下、同様)によ
るサンプルテープは、例23のリファレンステープ、或
いは非磁性粉末からなる下層に分散剤を添加していない
例24のサンプルテープと比較して、磁性層の表面が平
滑(即ち、表面粗さRaが小さい)であり、かつ、電磁
変換特性に優れている(即ち、10MHz再生出力が大
きい)ことがわかる。なお、例23のリファレンステー
プに比べて重層塗布の例24のテープは、出力及び表面
性共に向上はしている。
【0115】例26及び例27のサンプルテープは、ポ
リグリセリン脂肪酸エステルではなく、チタネートカッ
プリング剤やシランカップリング剤を使用した例である
が、非磁性粉末への吸着がポリグリセリン脂肪酸エステ
ルほど進んでいないようなので、粉末の分散性が向上し
ておらず、出力レベル、表面性等が本実施例のサンプル
テープほどは改善されていない。
【0116】また、例25のサンプルテープは前記一般
式(I)において、R1 、R2 及びR3 をすべて水素原
子としたものであるが、アシル基を含有していないの
で、表面の平滑性が不十分であり、再生出力も低くなっ
ている。即ち、本実施例においては、脂肪酸とエステル
とを形成していることが必要となることがわかる。
【0117】また、図1に、例1〜8及び例24の各サ
ンプルテープのポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量
(重量部)による10MHz再生出力(dB)及び表面
粗さRa(nm)の変化を示したが、特に、上記添加量
が0.5〜10重量部の範囲内にあるときは、再生出力
及び表面粗さにおいて、非常に優れた値を示している。
また、5重量部以下が優れており、1.0〜5重量部の
範囲内が更に効果があることがわかる。
【0118】即ち、上記添加量が0.5重量部より少な
くなると、分散剤の効果が充分に発揮されず、上記範囲
内のサンプルテープよりは磁性層の表面が平滑でなく、
再生出力が低くなる傾向がある。また、10重量部より
多くなると、分散剤の添加量が多くなりすぎて、結合剤
と未反応の官能基とが非磁性層中に多く残存し、これら
が相互作用を及ぼし合うため分散性が低下する傾向があ
る。
【0119】また、例4と例22のサンプルテープの特
性にはほとんど差がないので、非磁性層(下層)用の塗
料は、ポリグリセリン脂肪酸エステルと非磁性粉末と結
合剤とを溶剤と共に混練及び分散して作製されたもので
あってもよいし、予めポリグリセリン脂肪酸エステルで
処理した非磁性粉末を、結合剤及び溶剤と共に混練及び
分散して作製されたものであってもよいことがわかる。
【0120】また、例4及び例14〜21の各サンプル
テープのように、前記一般式(I)中の「R1 」及び
「R2 」がそれぞれ変化しても電磁変換特性(再生出
力)や表面粗さRa等の特性に大きく影響せず、いずれ
も結果が良好である。但し、上述したように、前記一般
式(I)中の「R1 」及び「R2 」がアシル基を含んで
いないサンプルテープ(例25)では、表面平滑性、再
生出力共に低くなっている。
【0121】更に、例18〜例21のサンプルテープの
ように前記一般式(I)で表されるポリグリセリン脂肪
酸エステルの両端部がアシル基となっているものの方
が、一方の端部のみがアシル基であるものよりも、その
特性においてやや優れていることがわかる。
【0122】また、本実施例のサンプルテープにおいて
は、いずれも高い再生出力値と良好な表面粗さRaが得
られているが、表2及び図2に示すように、即ち、例4
及び例9〜13のサンプルテープより、前記一般式
(I)で表されるポリグリセリン脂肪酸エステルの重合
度xの値には最適値が存在し、重合度xは1〜10の範
囲内とすることが好ましい事がわかる。また、この重合
度xの値が大きくなりすぎると、非磁性粉末に吸着でき
るポリグリセリン脂肪酸エステルの分子数が減少し、ポ
リグリセリン脂肪酸エステル中の非磁性粉末との結合性
官能基の分布密度が小さくなるため、分散効果が低下す
る傾向にある。従って、優れた分散性を発揮するために
は最適値が存在し、重合度xは、2以上、特に2〜5の
範囲内であることが更に望ましい。
【0123】
【発明の作用効果】本発明の磁気記録媒体によれば、非
磁性粉末が結合剤中に分散された非磁性層からなる前記
下層にグリセリン脂肪酸エステル(又はポリグリセリン
脂肪酸エステル)からなる分散剤が含有されているの
で、特に磁性層(上層)の平均厚み(カレンダー処理
後)が特に0.5μm以下と薄くても、下層(即ち、非
磁性層)中の非磁性粉末をグリセリン脂肪酸エステルに
よって結合剤及び溶剤中に均一に分散させることができ
ると共に、上層(即ち、磁性層)の表面を平滑にし、高
密度記録に好適な高い電磁変換特性を有する磁気記録媒
体を得ることができる。
【0124】また、本発明の製造方法によれば、本発明
の磁気記録媒体を製造するに際し、前記下層を形成する
ための非磁性塗料と前記上層を形成するための磁性塗料
とを前記非磁性支持体上に重層塗布(特に、塗布された
非磁性塗料が未乾燥状態のまま磁性塗料を塗布するウエ
ット・オン・ウエット方式の塗布)するので、前記上層
を表面性良好に形成することができる。特に、ウエット
・オン・ウエット塗布方式の場合には、下層の表面(即
ち、上層との境界面)が平滑になると共に、上層の表面
性が良好となり、かつ、上下両層間の接着性も向上す
る。この結果、特に高密度記録のために高出力、低ノイ
ズの要求される磁気記録媒体として要求される性能を満
たすものとなり、膜(層)剥離が減少し、膜(層)強度
が向上する。また、ドロップアウト等も低減することが
可能となり、磁気記録媒体の信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量(重量
部)による10MHz再生出力(dB)及び表面粗さR
a(nm)の変化を示すグラフである。
【図2】ポリグリセリン脂肪酸エステルの重合度xによ
る10MHz再生出力(dB)及び表面粗さRa(n
m)の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図
(A)、同磁気記録媒体の他の一例の概略断面図
(B)、同磁気記録媒体の一部拡大概略断面図(C)で
ある。
【図4】同、磁気記録媒体の製造方法に使用可能な4リ
ップ方式のダイコート塗布装置(A)、同3リップ方式
のダイコート塗布装置(B)、同2リップ方式のダイコ
ート塗布装置(C)である。
【図5】本発明に使用可能なグリセリン脂肪酸エステル
の構造を示す図(A)、同グリセリン脂肪酸エステルと
非磁性粉末とが吸着(結合)するときの様子を表す図
(B)である。
【符号の説明】
1…非磁性支持体、2a、2b…磁性層(上層)、2
a’、4a’…塗料(塗膜)、3…バックコート層、4
a、4b…非磁性層(下層)、5…遷移層、10、11
…押し出しコーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 7/12 C09D 7/12 A Z G11B 5/842 G11B 5/842 Z (72)発明者 佐々木 勇一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性粉末が結合剤中に分散された非磁
    性層からなる下層と、磁性粉末が結合剤中に分散された
    磁性層からなる上層とが非磁性支持体上に設けられ、グ
    リセリン脂肪酸エステルからなる分散剤が前記下層に含
    有されている磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記グリセリン脂肪酸エステルが 【化1】 (但し、上記一般式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ
    アシル基又は水素原子であって、互いに同一であるか或
    いは異なっており、R1 、R2 及びR3 のうち少なくと
    も1つが前記アシル基であり、xは重合度を示す。)で
    表されるポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項
    1に記載した磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記一般式(I)で表されるポリグリセ
    リン脂肪酸エステルにおいて、前記重合度xを1〜10
    の範囲内とする、請求項2に記載した磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記一般式(I)において、R1 、R2
    及びR3 のうち少なくとも1つが一般式(II): Cn 2(n-m)+1CO− (但し、上記一般式中、nは1〜25、mは0〜5の整
    数であり、n>mである。)で表されるアシル基からな
    る、請求項2に記載した磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記一般式(I)において、R1 、R2
    及びR3 が、それぞれ互いに同一の若しくは異なるアシ
    ル基である、請求項2に記載した磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記下層に、前記一般式(I)で表され
    るポリグリセリン脂肪酸エステルが少なくとも一種含有
    されている、請求項2に記載した磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記下層に、前記非磁性粉末100重量
    部に対して、前記グリセリン脂肪酸エステルが0.5〜
    10重量部含有されている、請求項1に記載した磁気記
    録媒体。
  8. 【請求項8】 前記非磁性粉末の比表面積が30〜80
    2 /gの範囲内である、請求項1に記載した磁気記録
    媒体。
  9. 【請求項9】 前記上層の平均厚みが0.5μm以下で
    ある、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 非磁性粉末が結合剤中に分散された非
    磁性層からなる下層と、磁性粉末が結合剤中に分散され
    た磁性層からなる上層とが非磁性支持体上に設けられ、
    グリセリン脂肪酸エステルからなる分散剤が前記下層に
    含有されている磁気記録媒体を製造するに際し、前記下
    層を形成するための非磁性塗料と前記上層を形成するた
    めの磁性塗料とを前記非磁性支持体上に重層塗布する、
    磁気記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記非磁性塗料を前記非磁性支持体上
    に塗布し、この塗料が未乾燥の状態で前記磁性塗料を塗
    布する、請求項10に記載した製造方法。
  12. 【請求項12】 ダイコーターを用いて前記下層と前記
    上層とを前記非磁性支持体上に同時重層塗布する、請求
    項11に記載した製造方法。
  13. 【請求項13】 前記グリセリン脂肪酸エステルと前記
    非磁性粉末と前記結合剤とを溶剤と共に混練及び分散し
    て前記非磁性塗料を作製する、請求項10に記載した製
    造方法。
  14. 【請求項14】 予め前記グリセリン脂肪酸エステルで
    処理した前記非磁性粉末を、前記結合剤及び溶剤と共に
    混練及び分散して前記非磁性塗料を作製する、請求項1
    0に記載した製造方法。
  15. 【請求項15】 前記グリセリン脂肪酸エステルとして 【化2】 (但し、上記一般式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ
    アシル基又は水素原子であって、互いに同一であるか或
    いは異なっており、R1 、R2 及びR3 のうち少なくと
    も1つが前記アシル基であり、xは重合度を示す。)で
    表されるポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する、請
    求項10に記載した製造方法。
  16. 【請求項16】 前記一般式(I)で表されるポリグリ
    セリン脂肪酸エステルにおいて、前記重合度xを1〜1
    0の範囲内とする、請求項15に記載した製造方法。
  17. 【請求項17】 前記一般式(I)において、R1 、R
    2 及びR3 のうち少なくとも1つを一般式(II): Cn 2(n-m)+1CO− (但し、上記一般式中、nは1〜25、mは0〜5の整
    数であり、n>mである。)で表されるアシル基とす
    る、請求項15に記載した製造方法。
  18. 【請求項18】 前記一般式(I)において、R1 、R
    2 及びR3 を、それぞれ互いに同一の若しくは異なるア
    シル基とする、請求項15に記載した製造方法。
  19. 【請求項19】 前記下層に、前記一般式(I)で表さ
    れるポリグリセリン脂肪酸エステルを少なくとも一種含
    有させる、請求項15に記載した製造方法。
  20. 【請求項20】 前記下層に、前記非磁性粉末100重
    量部に対して、前記グリセリン脂肪酸エステルを0.5
    〜10重量部含有させる、請求項10に記載した製造方
    法。
  21. 【請求項21】 前記非磁性粉末の比表面積を30〜8
    0m2 /gの範囲内とする、請求項10に記載した製造
    方法。
  22. 【請求項22】 前記上層の平均厚みを0.5μm以下
    とする、請求項10に記載した製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010246526A (ja) * 2009-03-25 2010-11-04 Fujifilm Corp 低密度リポ蛋白コレステロールの測定方法

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