JPH1049858A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH1049858A
JPH1049858A JP20477296A JP20477296A JPH1049858A JP H1049858 A JPH1049858 A JP H1049858A JP 20477296 A JP20477296 A JP 20477296A JP 20477296 A JP20477296 A JP 20477296A JP H1049858 A JPH1049858 A JP H1049858A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
layer
surfactant
magnetic layer
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP20477296A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Sasaki
勇一 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP20477296A priority Critical patent/JPH1049858A/ja
Publication of JPH1049858A publication Critical patent/JPH1049858A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 重層塗布型の磁気記録媒体において、長軸長
が0.2μm以下の金属磁性粉末を上層磁性層3中に高
度に分散させ、高密度記録領域における電磁変換特性を
改善する。 【解決手段】 上層磁性層3の厚さを0.5μm以下に
規制するとともに、上層磁性層3あるいは上層磁性層3
と下層非磁性層2の両層に所定の構造を有する界面活性
剤を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重層塗布型の磁気
記録媒体に関し、特に上層さらには下層での粉末成分の
分散性の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体としては、強磁性粉末や結
合剤、各種添加剤を有機溶媒とともに分散せしめて調製
された磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布乾燥すること
で磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が知られている。
【0003】この塗布型の磁気記録媒体は、オーディオ
用あるいはビデオ用の磁気テープを始め、バックアップ
用データカートリッジ、フロッピーディスク等として広
く使用されている。このような塗布型の磁気記録媒体に
対しては、最近の記録波長の短波長化、記録方式のディ
ジタル化に対応するためにさらなる高密度記録化が求め
られ、より優れた電磁変換特性を有することが要求され
るようになっている。
【0004】磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させる
手法としては、まず磁性層の薄膜化が挙げられる。磁性
層を薄膜化することで記録時の自己減磁損失が低減し、
電磁変換特性が向上する。
【0005】しかしながら、非磁性支持体上に、例えば
0.5μm以下の薄い磁性層を直接設けた場合、磁性層
の表面に非磁性支持体の表面形状が現れ易くなり、磁性
層表面の平滑化が困難になる。このため、磁性層を薄膜
化する場合には、非磁性支持体と磁性層の間に非磁性の
塗布層を介在させる重層塗布型構成が採られる場合が多
くなっている。このように非磁性層を介在させることで
非磁性支持体表面と磁性層表面の間に厚さが稼がれ、非
磁性支持体の表面形状が磁性層表面に現れ難くなる。し
たがって、厚さの薄い磁性層が平滑な表面形状で形成さ
れることになる。
【0006】非磁性支持体上にこのような2層の塗布層
を形成する方法としては、非磁性塗料,磁性塗料がそれ
ぞれ押し出される2つのスリットを有するダイヘッドを
用い、このダイヘッドによって非磁性支持体上に非磁性
塗料と磁性塗料を同時に塗布する同時重層塗布方式(ウ
ェット・オン・ウェット塗布方式)が提案されている。
この同時重層塗布方式では、塗布欠陥や塗り筋の少ない
均一な厚さの塗膜が形成できる。したがって、電磁変換
特性に優れノイズの少ない媒体が得られる。また、形成
された下層と上層とは密着性が高く、優れた耐久性が得
られる。
【0007】磁気記録媒体の電磁変換特性はこのように
磁性層の薄膜化によって改善されるが、さらに磁性層表
面の平滑化や金属磁性粉末の改良も電磁変換特性を改善
する手法として有効である。
【0008】例えば、一般に記録再生時のスペーシング
ロスを最小限にする目的で、磁性層表面の平滑化が図ら
れる。特に、高密度記録においては使用する記録波長が
短いため、記録再生に際して、磁性層表面の粗さの影響
を受け易く、この表面粗さの制御がとりわけ重要であ
る。
【0009】また、強磁性粉末の改良としては、(1)
強磁性合金粉末の使用、(2)強磁性粉末の微細化、
(3)強磁性粉末の保磁力の増加及び保磁力分布の均一
化等が挙げられる。
【0010】このうち(1),(2)については、磁性
材料の改良が積極的に進められた結果、現在では飽和磁
化が140Am2/kgを超える強磁性粉末や長軸長
0.1μm以下の強磁性粉末が開発されるに至ってい
る。
【0011】また(3)の保磁力に関する改良について
も、保磁力が160kA/mを超える強磁性粉末も見い
だされており、また強磁性粉末の保磁力分布にはその粒
子サイズ分布が反映されるが、この粒子サイズ分布の均
一化が図られることによって保磁力分布も極めて均一な
ものになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで磁気記録媒体
が良好な電磁変換特性を発揮するためには、強磁性粉末
が結合剤中に均一に分散されていることが必要になる
が、強磁性粉末の微細化があまり進行すると、結合剤中
への当該強磁性粉末の分散が困難になる傾向がある。
【0013】この対策としては、まず、磁性塗料を調製
する段階で、混練あるいは分散にかける時間を長くする
ことが考えられる。しかし、混練や分散の時間を長くす
ると、磁性粉末が損傷し、長軸長や粒子サイズ分布が不
均一になる。また、製造効率の低下の問題も生じる。
【0014】一方、強磁性粉末の分散性を向上させる手
法としては、磁性層の結合剤に、−SO3M、−OSO3
M、−COOM、−P=O(OM)2、−NR12、−
NR123 +-、>NR12 +-(但し、Mは水素原
子もしくはリチウム,カリウム、ナトリウム等のアルカ
リ金属を表し、R1、R2、R3は水素原子あるいは炭化
水素基を表す。また、X-はフッ素,塩素,臭素,ヨウ
素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンを
表す)等の極性官能基を導入し、強磁性粉末と結合剤と
の相互作用を強化する試みがなされている。しかし、極
性官能基を結合剤に導入すると確かに、強磁性粉末の分
散性は改善されるものの、十分満足のいく程とは言えな
い。高密度記録用として開発された、長軸長が0.2μ
m以下の極めて微細な強磁性粉末を用いるためには、さ
らなる分散性改良のための検討が必要である。
【0015】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、下層非磁性層上に上層磁
性層が形成されてなる重層塗布型であって、微細な強磁
性粉末を用いた場合でも、この強磁性粉末が上層磁性層
に高度に分散される磁気記録媒体を提供することを目的
とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、非
磁性粉末、結合剤及び有機溶剤よりなる非磁性塗料を塗
布することで下層非磁性層を形成した後、この下層非磁
性層が未乾燥状態であるうちに、金属磁性粉末、結合剤
及び有機溶剤よりなる磁性塗料を塗布することで上層磁
性層が形成され、上記上層磁性層の平均厚みが0.5μ
m以下であるとともに、上記上層磁性層に化3で表され
る界面活性剤または化3で表される界面活性剤の有機ア
ミン塩の少なくともいずれかが含有されていることを特
徴とするものである。
【0017】
【化3】
【0018】重層塗布型の磁気記録媒体において、上層
磁性層の厚さを0.5μm以下に規制すると、記録時の
自己減磁損失が抑えられる。
【0019】また、上層磁性層に化3で表される界面活
性剤または化3で表される界面活性剤の有機アミン塩を
添加すると、金属磁性粉末として長軸長が0.2μm以
下の微細なものを用いた場合でも、この金属磁性粉末が
上層磁性層に高度に分散する。
【0020】したがって、この磁気記録媒体は短波記録
領域において高出力が得られ、またオーバーライト特性
も優れている。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
の実施の形態について説明する。
【0022】本発明が適用される磁気記録媒体は、図1
に示すように、非磁性支持体1上に、非磁性粉末、結合
剤及び有機溶剤よりなる非磁性塗料を塗布することで下
層非磁性層2を形成した後、この下層非磁性層2が未乾
燥状態であるうちに、金属磁性粉末、結合剤及び有機溶
剤よりなる磁性塗料を塗布することで上層磁性層3が形
成される、重層塗布型の磁気記録媒体である。
【0023】本発明では、このような重層塗布型の磁気
記録媒体の上層磁性層3に、化4で表される界面活性剤
(ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステ
ル,ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン
酸エステル)または化4で表される界面活性剤の有機ア
ミン塩の少なくともいずれかを含有させる。
【0024】
【化4】
【0025】このような構造の界面活性剤を上層磁性層
3に含有させると、界面活性剤の水酸基が金属磁性粉末
表面と相互作用を生じ、金属磁性粉末表面に界面活性剤
が吸着する。界面活性剤が吸着した金属磁性粉末は、こ
の界面活性剤の疎水基部分や極性基部分が結合剤と相互
作用することから、結合剤に対して高い分散性を示す。
したがって、例えば長軸長が0.2μm以下と微細な金
属磁性粉末を用いた場合でも、この金属磁性粉末が磁性
層中に高度に分散され、高密度記録領域において良好な
電磁変換特性が得られる。
【0026】なお、このうち化4で表される界面活性剤
の具体例としては、化5、化6、化7で表されるものが
挙げられる。
【0027】
【化5】
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】また、化4で表される界面活性剤の有機ア
ミン塩としては、例えば化8で表されるものが用いられ
る。
【0031】
【化8】
【0032】なお、これら界面活性剤は、1種類単独で
添加してもよく、複数種を組み合わせて添加しても構わ
ない。
【0033】この界面活性剤を上層磁性層3に含有させ
るには、磁性塗料の調製段階で界面活性剤を他の塗料組
成物と一緒に混合するか、あるいは金属磁性粉末表面を
予め界面活性剤で処理しておき、この処理が施された金
属磁性粉末を塗料の調製に供する方法で行ってもよい。
【0034】これら界面活性剤の上層磁性層3に含有さ
せる量は、金属磁性粉末100重量部に対して0.5〜
5重量部が適当である。界面活性剤の量がこの範囲を下
回る場合には、金属磁性粉末の分散性を十分に改善する
ことができない。また、界面活性剤の量がこの範囲を上
回る場合には、金属磁性粉末や結合剤と相互作用してい
ない未反応の水酸基が多く残存するようになり、これら
水酸基が互いに相互作用を及ぼし合う結果、金属磁性粉
末の分散性が低下する。
【0035】上層磁性層3には以上のような界面活性剤
が含有されるが、上層磁性層3のこの他の材料としては
以下のものが用いられる。
【0036】まず、金属磁性粉末としては、Fe、C
o、Ni等の金属、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−A
l、Fe−Ni−Al、Fe−Al−P、Fe−Ni−
Si−Al、Fe−Ni−Si−Al−Mn、Fe−M
n−Zn、Fe−Ni−Zn、Co−Ni,Co−P、
Fe−Co−Ni、Fe−Co−Ni−Cr、Fe−C
o−Ni−P、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−
B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等の合金
等よりなるものが用いられる。また、これら金属磁性粉
末には、還元時の焼結防止または形状維持等の目的で、
Al、Si、P、B等の軽金属元素が適当量含まれてい
ても良い。なお、これら金属磁性粉末は、1種類を単独
で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いても差し支
えない。
【0037】なお、この金属磁性粉末の比表面積、長軸
長、軸比は次の範囲であるのが望ましい。
【0038】まず、金属磁性粉末の比表面積は30〜8
0m2/gであるのが好ましく、40〜70m2/gであ
るのがより好ましい。比表面積が上記範囲であるという
ことは粉末形状が微細であることを示しており、高密度
記録が可能であり、優れたノイズ特性が得られる。
【0039】また、長軸長は0.2μm以下であるのが
望ましい。金属磁性粉末の長軸長が0.2μmを越える
と、ノイズ特性が劣化する虞れがある。また、長軸長の
下限は0.05μmであり、長軸長がこれを下回ると、
金属磁性粉末の磁性塗料中への分散が困難となる。
【0040】さらに、この金属磁性粉末の軸比は2〜1
5であるのが望ましい。軸比が2未満であると、金属磁
性粉末の配向性が損なわれ、出力の低下につながる。ま
た、軸比が15を越えると、短波長領域における信号出
力が低下する虞れがある。
【0041】なお、この金属磁性粉末の長軸長及び軸比
は、透過型電子顕微鏡写真から無作為に100サンプル
以上を選択し、その平均値を算出することで求めること
とする。
【0042】次に、結合剤としては、従来より磁気記録
媒体用の結合剤として使用される公知の熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、反応型樹脂等が用いられ、特に数平均分
子量が5000〜100000のものが好ましい。
【0043】熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル
−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニト
リル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル
共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニ
リデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、
アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタク
リル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル
酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステ
ル−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリ
デン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−
ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチ
ラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチ
レート、セルロースダイアセテート、セルローストリア
セテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロー
ス)、スチレンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げ
られる。
【0044】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂とし
ては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬
化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、
シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒ
ド樹脂等も使用可能である。
【0045】また、上記全ての結合剤には、金属磁性粉
末の分散性を向上させる目的で、−SO3M、−OSO3
M、−COOM、P=O(OM)2(但し、式中Mは水
素原子あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のア
ルカリ金属を表す)や、−NR12、−NR123 +
-の末端基を有する側鎖型アミン、>NR12 +-で表
される主鎖型アミン(但し、式中R1,R2,R3は水素
原子あるいは炭化水素基を表し、X-はフッ素、塩素、
臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機イオ
ン、有機イオンを表す)、さらに−OH、−SH、−C
N、エポキシ基等の極性官能基が導入されていてもよ
い。これら極性官能基の結合剤への導入量は、10-8
10-1mol/gであるのが好ましく、10-6〜10-2
mol/gであるのがより好ましい。なお、これら結合
剤は、1種類を単独で用いてもよく、複数種を組み合わ
せても差し支えない。
【0046】上層磁性層3で用いる結合剤の量は、金属
磁性粉末100重量部に対して1〜200重量部である
のが好ましく、10〜50重量部であるのがより好まし
い。この範囲よりも多量に結合剤を用いた場合には、磁
性層に含有される金属磁性粉末の量が相対的に少なくな
ることから、出力の低下を招く。また、ドライブ装置上
で繰り返し摺動されたときに磁性層が塑性流動を起こし
易く、走行耐久性が劣化する。一方、結合剤を上記範囲
よりも少ない量で使用した場合には、磁性層が脆くな
り、十分な走行耐久性が得られない。
【0047】塗料化に用いる溶剤としては、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノー
ル、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、
エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジ
エチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエ
タノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライ
ド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハ
ロゲン化炭化水素系溶媒等が用いられる。
【0048】磁性塗料は、以上のような金属磁性粉末、
結合剤及び有機溶剤を混練、混合、分散することで調製
される。この混練及び分散装置としては、ロールミル、
ボールミル、サンドミル、アジター、ニーダー、エクス
トルーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等が用いら
れる。
【0049】一方、下層非磁性層2の材料としては以下
のものが用いられる。
【0050】まず、非磁性粉末としては、α−Fe23
等の非磁性酸化鉄、ゲータイト、ルチル型酸化チタン、
アナターゼ型酸化チタン、酸化錫、酸化タングステン、
酸化珪素、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、チタ
ンカーバイト、BN、α−アルミナ、β−アルミナ、γ
−アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モ
リブデン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バ
リウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等が挙
げられる。これら非磁性粉末には、目的に応じて適当量
の不純物がドープされていても良く、分散性の改良、導
電性の付与さらには色調の改善等の目的で、Al,S
i,Ti,Sn,Sb,Zr等を含む化合物によって表
面処理が施されていても構わない。これら非磁性粉末の
比表面積は、30〜80m2/gであるのが好ましく、
40〜70m2/gであるのがより好ましい。なお、こ
れら非磁性粉末は、1種類単独で用いてもよく、複数種
を組み合わせて用いても構わない。
【0051】また、非磁性粉末には、必要に応じてゴム
用ファーネス、熱分解カーボン、カラー用ブラック、ア
セチレンブラック等のカーボンブラックが含まれていて
も良い。これらカーボンブラックは、比表面積が100
〜400m2/g、DBP吸油量が20〜200ml/
100gであることが好ましい。
【0052】なお、カーボンブラック及びこの他の非磁
性粉末の比表面積を上述の範囲に設定するのは、上層磁
性層3の表面を平滑化し、変調ノイズ特性を改善すると
ともに、スペーシングロスの影響を抑えるためである。
【0053】すなわち、上層磁性層3が非常に薄い厚さ
で形成される重層塗布型の磁気記録媒体では、下層非磁
性層の表面性が上層磁性層3に顕著に反映される。した
がって、上層磁性層3を表面平滑化するには下層非磁性
層が平滑に形成されていることが必要である。
【0054】ここで、この下層非磁性層2に含有させる
非磁性粉末の比表面積が上記範囲の下限以上であるとい
うことは粉末形状が微細であることを示しており、下層
非磁性層表面にこの非磁性粉末の形状が現れ難い。した
がって、下層非磁性層2が表面平滑に形成され、それを
反映して上層磁性層3も表面平滑化される。
【0055】但し、非磁性粉末は磁気的な凝集力を有さ
ないので、磁性粉末に比べて微細化による分散性の低下
は起き難いが、比表面積が上記範囲の上限以上になる
と、やはり分散が困難になる。これにより、下層非磁性
層2、ひいては上層磁性層3の表面平滑性が損なわれ、
高密度記録領域において十分な電磁変換特性が得られな
くなる。
【0056】下層非磁性層2の結合剤及び有機溶剤とし
ては、上層磁性層3で例示したものがいずれも使用可能
である。なお、下層非磁性層2で用いる結合剤の量は、
非磁性粉末100重量部に対して1〜200重量部であ
るのが好ましく、10〜50重量部であるのがより好ま
しい。この範囲よりも多量に結合剤を用いた場合には、
媒体がドライブ装置上で繰り返し摺動されたときにこの
非磁性層が塑性流動を起こし易く、走行耐久性が劣化す
る。一方、結合剤を上記範囲よりも少ない量で使用した
場合には、非磁性層が脆くなり、十分な走行耐久性が得
られない。
【0057】また、この下層非磁性層2に、上層磁性層
3に添加する化4で表される界面活性剤または化4で表
される界面活性剤のアミン塩の少なくともいずれかを添
加するようにしても良い。このような構造の界面活性剤
を下層非磁性層2に含有させると、界面活性剤の水酸基
が非磁性粉末表面と相互作用を生じ、非磁性粉末表面に
界面活性剤が吸着する。この界面活性剤の作用によって
非磁性粉末が結合剤中に高度に分散され、下層非磁性層
2、ひいては上層磁性層3がより表面平滑に形成される
ようになる。
【0058】なお、この場合も界面活性剤は、1種類単
独で添加してもよく、複数種を組み合わせて添加しても
構わない。
【0059】また、界面活性剤を下層非磁性層2に含有
させるには、非磁性塗料の調製段階で界面活性剤を他の
塗料組成物と一緒に混合するか、あるいは非磁性粉末表
面を予め界面活性剤で処理しておき、この処理が施され
た非磁性粉末を塗料の調製に供する方法で行ってもよ
い。
【0060】これら界面活性剤の非磁性層に含有させる
量は、非磁性粉末100重量部に対して0.5〜5重量
部が適当である。界面活性剤の量がこの範囲を下回る場
合には、非磁性粉末の分散性を十分に改善することがで
きない。また、界面活性剤の量がこの範囲を上回る場合
には、非磁性粉末や結合剤と相互作用していない未反応
の水酸基が多く残存するようになり、これら水酸基が互
いに相互作用を及ぼし合う結果、非磁性粉末の分散性が
低下する。
【0061】非磁性塗料は、以上のような非磁性粉末、
結合剤及び有機溶剤を混練、混合、分散することで調製
される。この混練及び分散装置も、上層磁性層3で例示
したものがいずれも使用可能である。
【0062】以上のような材料によって調製される上層
の磁性塗料、下層の非磁性塗料は、非磁性支持体1上に
塗布、乾燥されて上層磁性層3、下層非磁性層2とな
る。
【0063】非磁性支持体1としては、ポリエチレンテ
レフタレート,ポリエチレン−2,6−ナフタレート等
のポリエステル類、セルローストリアセテート,セルロ
ースジアセテート等のセルロース類、ビニル系樹脂、ポ
リイミド類、ポリカーボネート類に代表されるような高
分子材料、あるいは金属、ガラス、セラミクス等よりな
る支持体が用いられる。
【0064】調製された2種類の塗料を非磁性支持体1
上に塗布するには、湿潤状態にある下層塗膜の上に上層
塗膜を重ねて塗布する、いわゆるウェット・オン・ウェ
ット塗布方式(湿潤重層塗布方式)が用いられる。
【0065】このウェット・オン・ウェット塗布方式で
塗料を塗布する塗布装置の一例を図1に示す。
【0066】この塗布装置は、先端部に塗料が押し出さ
れる2つのスリット部(下層塗料用のスリット部11,
上層塗料用のスリット部12)を有するダイヘッド18
(4リップ方式ダイヘッド)を有して構成される。すな
わち、このダイヘッドでは、2つのスリット部11,1
2の背面側にそれぞれ下層塗料、上層塗料が供給される
下層塗料溜まり13,上層塗料溜まり14が形成され、
この塗料溜まり13,14に供給された下層塗料、上層
塗料がスリット11,12を介して当該ダイヘッド先端
部に押し出される。一方、塗料が塗布される支持体1
は、上記ダイヘッドの先端面に沿って下層塗料用のスリ
ット部11から上層塗料用のスリット部12に向かって
図中A方向に走行する。
【0067】このようにして走行する非磁性支持体1に
は、まず下層塗料用のスリット部11を通過する際に、
このスリット部11から押し出された下層塗料が表面に
塗布され下層塗膜16が形成される。そして、上層塗料
用のスリット部12を通過する際に、このスリット部1
2から押し出された上層塗料が湿潤状態の下層塗膜16
上に塗布され、2層の塗膜16,17が形成される。そ
して、この湿潤状態の2層の塗膜を乾燥し、必要に応じ
てカレンダー処理等の表面平滑化処理を施すことで、重
層塗布型の磁気記録媒体は作製される。
【0068】なお、ダイヘッドとしては、4リップ方式
の他に、3リップ方式、2リップ方式等もある。
【0069】このようにしてウェット・オン・ウェット
塗布方式で形成された下層,上層は、湿潤状態の下層塗
膜上に上層塗料が塗布されることで形成されているの
で、下層の表面、すなわち下層と上層の境界面がなめら
かに形成されている。そのため上層の表面性も非常に良
好になっており、ドロップアウトが抑えられ、高出力、
低ノイズが厳しく求められる高密度記録用として好適で
ある。また、下層と上層の密着性が高いので、膜剥離が
起き難く、優れた耐久性が得られる。
【0070】なお、ウェット・オン・ウェット塗布方式
で形成された下層と上層の間には、明確な境界が実質的
に存在する場合と、一定の厚みをもって両層の成分が混
在している境界領域が存在する場合がある。本発明で
は、こうした境界領域が存在する場合には、この境界領
域を除いて当該境界領域よりも下側の層を下層、上側の
層を上層とする。
【0071】下層非磁性層2と上層磁性層3はこのよう
にして形成され、本発明ではこのうち特に上層磁性層3
の厚さを、カレンダー処理後で0.5μm以下に規制す
る。上層磁性層3の厚さを0.5μm以下にすること
で、記録時の自己減磁損失が抑えられ、短波長領域にお
ける出力が増大するとともにオーバーライト特性が改善
される。
【0072】以上が本発明の磁気記録媒体の基本的な構
成であるが、この磁気記録媒体には、重層塗布型の磁気
記録媒体で通常用いられている付加的な構成を持たせる
ことで特性の改善を図るようにしても構わない。
【0073】例えば、上層磁性層3、下層非磁性層2に
は、必要に応じて潤滑剤や研磨剤粒子等の添加剤を添加
させても構わない。
【0074】潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン等の固体潤滑剤や、シリコーン
オイル、炭素数10〜22の脂肪酸、炭素数10〜22
の脂肪酸と炭素数2〜26のアルコールにより合成され
る脂肪酸エステル、テルペン系化合物及びこれらのオリ
ゴマー等が挙げられる。これら潤滑剤は、上層のみに添
加しても良く、上層,下層の両方に添加しても構わな
い。
【0075】また、研磨剤粒子は上層磁性層3に添加さ
れ、例えば酸化アルミニウム(α,β,γ)、酸化クロ
ム、炭化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、
窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化チタ
ン、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)等が用いら
れる。
【0076】これら研磨剤粒子は、モース高度が4以
上、好ましくは5以上であるのがよく、また比重が2〜
6、好ましくは3〜5の範囲であるのがよい。また、平
均粒径は、0.5μm以下であるのが好ましく、さらに
は0.3μm以下であるのが好ましい。なお、この研磨
剤粒子の平均粒径も、透過型電子顕微鏡写真から無作為
に100サンプル以上を選択し、その平均値を算出する
ことで求めることとする。
【0077】なお、これら研磨剤粒子の上層磁性層3へ
の添加量は、金属磁性粉末100重量部に対して20重
量部以下、好ましくは10重量部以下とするのが良い。
【0078】さらに、結合剤を架橋硬化させるためのポ
リイソシアネートを併用し、塗膜強度を高めるようにし
ても良い。このポリイソシアネートとしては、トルエン
ジイソシアネートならびにこれらの付加体、アルキレン
ジイソシアネートならびにこれらの付加体等が使用でき
る。これらポリイソシアネートの添加量は、結合剤10
0重量部に対して5〜80重量部、好ましくは10〜5
0重量部が適当である。このポリイソシアネート類は、
上層下層の両層に用いてもよく、上層のみに用いても構
わない。上層下層の両層に用いる場合には、その量を各
層で等しくしてもよく、任意の比率で変えても良い。
【0079】また、さらに、この磁気記録媒体には、非
磁性支持体1の上層,下層を形成した側とは反対側の面
に走行性の向上や帯電防止,転写防止等を目的として、
バックコート層を設けてもよい。また、下層と非磁性支
持体1との間に、下層と支持体との接着性を強化する目
的で下塗り層を設けるようにしても良い。
【0080】
【実施例】以下、本発明の実施例について実験結果に基
づいて説明する。
【0081】実施例1 まず、以下の組成に基づいて上層塗料を調製した。塗料
化は、常法に従って、金属磁性粉末、結合剤、添加剤、
溶剤及び界面活性剤を混合した後、エクストルーダによ
り混練し、さらにサンドミルで6時間分散させることで
行った。
【0082】 上層塗料組成 Fe系メタル強磁性粉末 100重量部 (保磁力:160kA/m,飽和磁化量:145Am2/kg,比表面積:5 1m2/g,長軸長:0.08μm,針状比:3) ポリ塩化ビニル樹脂 14重量部 (極性基としてスルホン酸カリウム含有 日本ゼオン社製,商品名MR−11 0) ポリエステルポリウレタン樹脂 3重量部 (極性基としてスルホン酸ナトリウム含有 東洋紡社製) 添加剤:Al23 5重量部 界面活性剤 ステアリン酸 1重量部 ヘプチルステアレート 1重量部 メチルエチレンケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 なお、界面活性剤は表1に示す陰イオン性界面活性剤で
あり、この界面活性剤を同表に示す量で添加した。
【0083】次に、以下の組成に基づいて下層塗料を調
製した。塗料化は、常法に従って、非磁性粉末、結合
剤、添加剤、溶剤及び界面活性剤を混合した後、エクス
トルーダにより混練し、さらにサンドミルで6時間分散
させることで行った。
【0084】 下層塗料組成 針状α−Fe23 100重量部 (比表面積:53m2/g,長軸長:0.15μm,針状比:5) ポリ塩化ビニル樹脂 13重量部 (極性基としてスルホン酸カリウム含有 日本ゼオン社製,商品名MR−11 0) ポリエステルポリウレタン樹脂 4重量部 (極性基としてスルホン酸ナトリウム含有 東洋紡社製) 添加剤:ステアリン酸 1重量部 ヘプチルステアレート 1重量部 メチルエチルケトン 105重量部 シクロヘキサノン 105重量部 そして、調製された上層塗料,下層塗料にそれぞれポリ
イソシアネートを3重量部添加した後、これら塗料を4
リップ方式のダイコーターを用いて、厚さ7μmのポリ
エチレンテレフタレートフィルム上に同時重層塗布し
た。そして、未乾燥の状態で、上層塗膜をソレノイドコ
イルにより配向処理した後、乾燥、カレンダー処理、硬
化処理を行うことで、上層磁性層、下層非磁性層を形成
した。なお、各層の塗布厚は、カレンダー処理後で上層
が0.2μm、下層が2.0μmである。
【0085】一方、下記の組成に基づいてバック塗料を
調製した。
【0086】 バック塗料の組成 カーボンブラック(商品名旭#80) 100重量部 ポリエステルポリウレタン(商品名ニッポランN−2304) 100重量部 メチルエチルケトン 500重量部 トルエン 500重量部 このバック塗料を、非磁性支持体の上層及び下層を形成
した側と反対側の面に、で塗布することでバックコート
層を形成した。
【0087】そして、この上層、下層及びバックコート
層が形成されたテープ原反を、8mm幅にスリットする
ことでテープ化した。
【0088】実施例2〜実施例4 上層塗料に添加する界面活性剤として表1に示す構造の
ものを用い、この界面活性剤を同表に示す添加量で添加
したこと以外は実施例1と同様にして磁気テープを作製
した。
【0089】実施例5〜実施例8 上層塗料に添加する界面活性剤として表2に示す構造の
ものを用い、この界面活性剤を同表に示す添加量で添加
するとともに、下層塗料に表2に示す構造の界面活性剤
を同表に示す添加量で添加したこと以外は実施例1と同
様にして磁気テープを作製した。
【0090】比較例1 上層塗料に界面活性剤を添加しないこと以外は実施例1
と同様にして磁気テープを作製した。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】このようにして作製された磁気テープにつ
いて、電磁変換特性及び表面粗さRaを測定した。
【0094】なお、電磁変換特性の測定は、固定ヘッド
式電磁変換特性測定機を用いて行った。この測定機は、
回転するドラムとこれに接触するヘッドを有し、磁気テ
ープは前記ドラムに巻き付けられる。この測定機上で、
まず各磁気テープに、最適記録電流で10MHzの矩形
波信号を記録した後、スペクトラムアナライザーにより
10MHzの出力レベルを検出した。なお、テープ−ヘ
ッド間の相対速度は3.33m/sに設定した。また、
電磁変換特性の値は、ソニー社製の8mmHi8テープ
をリファレンステープとし、このリファレンステープで
の出力レベルを0dBとした相対値で表した。
【0095】また、表面粗さRaは、JIS B060
1で規定される中心線平均粗さRaであり、レーザ光干
渉方式による非接触型表面粗さ計を用いて測定した。
【0096】これらの測定結果を表3に示す。
【0097】
【表3】
【0098】表3に示すように、上層磁性層に所定の構
造を有する界面活性剤を添加した実施例1〜実施例4の
磁気テープ、上層磁性層と下層非磁性層の両方に所定の
構造を有する界面活性剤を添加した実施例5〜実施例8
の磁気テープは、上層下層のいずれにも界面活性剤を添
加していない比較例1に比べて表面粗さRaが低く、大
きな再生出力が得られる。特に、上層下層の両方に界面
活性剤を添加した系では、上層のみに界面活性剤を添加
した系に比べてより表面粗さRaが低くなっており、再
生出力が高くなる傾向がある。
【0099】このことから、上層磁性層、さらには上層
磁性層と下層非磁性層の両方に所定の構造の界面活性剤
を添加することは、上層磁性層の表面平滑性を高め、電
磁変換特性を改善する上で有効であることがわかった。
【0100】界面活性剤の添加量の検討1 上層磁性層に添加する界面活性剤の添加量を表4に示す
ように変えたこと以外は実施例1と同様にして磁気テー
プを作製した(実験例1〜実験例5)。
【0101】
【表4】
【0102】作製した磁気テープについて上述と同様に
して電磁変換特性及び表面粗さRaを測定した。その測
定結果を表5に示す。
【0103】
【表5】
【0104】表5に示すように、界面活性剤の上層磁性
層への添加量が0.1重量部では、表面粗さRaを十分
に低めることができず、再生出力も比較例1の磁気テー
プとあまり変わらない。また、界面活性剤の上層磁性層
への添加量が0.5〜5重量部の範囲では、界面活性剤
の添加量の増大に伴って表面粗さRaが低くなり、再生
出力が増大する。さらに、界面活性剤の添加量が6重量
部になると表面粗さRaが上昇してしまい、再生出力が
低下する。
【0105】以上のことから、界面活性剤の上層磁性層
への添加量は金属磁性粉末100重量部に対して0.5
〜5重量部とするのが適当であることがわかった。
【0106】界面活性剤の添加量の検討2 上層塗料に添加する界面活性剤として表6に示す構造の
ものを用い、この界面活性剤を同表に示す添加量で添加
するとともに、下層塗料に表6に示す構造の界面活性剤
を同表に示す添加量で添加したこと以外は実施例1と同
様にして磁気テープを作製した(実験例6〜実験例
9)。
【0107】
【表6】
【0108】作製した磁気テープについて上述と同様に
して電磁変換特性及び表面粗さRaを測定した。その測
定結果を表7に示す。
【0109】
【表7】
【0110】表7に示すように、界面活性剤の添加量が
上層磁性層、下層非磁性層ともに0.5〜5重量部の範
囲内にある実験例6,実験例8の磁気テープは、表面粗
さRaが低く、大きな再生出力が得られる。これに対し
て上層磁性層あるいは下層非磁性層に5重量部を越えた
量で界面活性剤を添加した実験例6,実験例9の磁気テ
ープは、表面粗さRaが高い値になっており、再生出力
が小さい。
【0111】このことから、上層磁性層、下層非磁性層
の両方に界面活性剤を添加する場合にも、界面活性剤の
添加量は金属磁性粉末あるいは非磁性粉末100重量部
に対して0.5〜5重量部とするのが良いことがわかっ
た。
【0112】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気記録媒体は、重層塗布型の磁気記録媒体であっ
て、上層磁性層の厚さを0.5μm以下に規制している
ので記録時の自己減磁損失が抑えられる。また、少なく
とも上層磁性層に所定の構造を有する界面活性剤を添加
するので、金属磁性粉末として長軸長が0.2μm以下
と比較的微細なものを用いた場合でもこの金属磁性粉末
を上層磁性層に高度に分散させることができる。したが
って、高密度記録領域において良好な電磁変換特性が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の一構成例を示
す概略断面図である。
【図2】下層用塗料、上層用塗料を塗布するための塗布
装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体 2 下層非磁性層 3 上層磁性層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、非磁性粉末、結合剤
    及び有機溶剤よりなる非磁性塗料を塗布することで下層
    非磁性層を形成した後、この下層非磁性層が未乾燥状態
    であるうちに、金属磁性粉末、結合剤及び有機溶剤より
    なる磁性塗料を塗布することで上層磁性層が形成され、
    上記上層磁性層の平均厚みが0.5μm以下の磁気記録
    媒体において、 上記上層磁性層は、化1で表される界面活性剤または化
    1で表される界面活性剤の有機アミン塩の少なくともい
    ずれかを含有することを特徴とする磁気記録媒体。 【化1】
  2. 【請求項2】 金属磁性粉末の長軸長が、0.20μm
    以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 上層磁性層の上記界面活性剤の含有量
    が、金属磁性粉末100重量部に対して0.5〜5重量
    部であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 上層磁性層の結合剤が、極性基を含有し
    ていることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 下層非磁性層は、化2で表される界面活
    性剤または化2で表される界面活性剤の有機アミン塩の
    少なくともいずれかを含有することを特徴とする請求項
    1記載の磁気記録媒体。 【化2】
  6. 【請求項6】 下層非磁性層の上記界面活性剤の含有量
    が、非磁性粉末100重量部に対して0.5〜5重量部
    であることを特徴とする請求項5記載の磁気記録媒体。
JP20477296A 1996-08-02 1996-08-02 磁気記録媒体 Withdrawn JPH1049858A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20477296A JPH1049858A (ja) 1996-08-02 1996-08-02 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20477296A JPH1049858A (ja) 1996-08-02 1996-08-02 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1049858A true JPH1049858A (ja) 1998-02-20

Family

ID=16496097

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20477296A Withdrawn JPH1049858A (ja) 1996-08-02 1996-08-02 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1049858A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5773133A (en) Magnetic recording medium
JP3852198B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH10149531A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH1049858A (ja) 磁気記録媒体
JP3360317B2 (ja) 磁気記録媒体用のマスキング層付き非磁性支持体、及び磁気記録媒体
JPH10124851A (ja) 磁気記録媒体
JPH1173640A (ja) 磁気記録媒体
JP2000011359A (ja) 磁気記録媒体
JP2000067426A (ja) 磁気記録媒体
JPH11224417A (ja) 磁気記録媒体
JPH10308014A (ja) 磁気記録媒体
JPH09128736A (ja) 磁気記録媒体
JPH0997415A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH1040534A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH10149534A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH10149532A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH11316937A (ja) 磁気記録媒体
JPH10149533A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH113517A (ja) 磁気記録媒体
JPH11316938A (ja) 磁気記録媒体
JPH11316936A (ja) 磁気記録媒体
JPH11232637A (ja) 磁気記録媒体
JPH10188266A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH10172136A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH10149535A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20031007