JPH08240908A

JPH08240908A - 感光性樹脂組成物、それを用いた感光性平版印刷版、および平版印刷用版材の製造方法

Info

Publication number: JPH08240908A
Application number: JP7351263A
Authority: JP
Inventors: Takeshi Iwai; 武岩井; Hiroshi Komano; 博司駒野
Original assignee: Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Current assignee: Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority date: 1994-12-29
Filing date: 1995-12-27
Publication date: 1996-09-17

Abstract

(57)【要約】【課題】露光波長域が広く、可視レーザ−で良好な画像
を形成する感光性樹脂組成物、それを用いた画像のパタ
ーン部の識別性が優れ、取扱が良好で作業性に優れた感
光性平版印刷版、および前記感光性平版印刷版から簡便
に印刷用版材を作成する方法を提供すること。【構成】高分子バインダー、モノマー、トリアジン化合
物、チタノセン化合物、又はアクリジン化合物等の波長
４００〜７００ｎｍの可視光によりラジカルを発生する
光重合開始剤、波長２００〜３８０ｎｍの光により酸を
発生する光酸発生剤、および酸の存在で顕色する化合物
を含有する感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂組成物を
積層した感光性平版印刷版、および該感光性平版印刷版
に波長４００〜６００ｎｍの可視光を選択的に照射して
感光性樹脂組成物を硬化、現像したのち、波長２００〜
３８０ｎｍの光を感光性平版印刷版に照射する平版印刷
用版材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、感光性樹脂組成
物、それを用いた感光性平版印刷版、および版材の製造
方法、特に高感度、高解像度を有し、長期保存性に優れ
可視レーザー光で製版可能な感光性平版印刷版を製造す
るための感光性樹脂組成物、感光性平版印刷版、および
前記感光性平版印刷版を用いた平版印刷用版材の製造方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来よりオフセット用の感光性平版印刷
版として支持体上に感光層、酸素遮断膜が順次積層した
感光性平版印刷版が広く用いられてきた。ところが、近
年、電子デバイスの発達により、印刷分野でも原稿や画
像データの入力、編集、校正から製版までをコンピュー
タで一括管理することができるようになり製版速度が高
速化した。かかる高速製版には可視レーザー露光法が直
接描画できることから好適であり、特に波長４８８ｎｍ
のアルゴンレーザーがよい。こうしたレーザー露光法に
適合する感光性平版印刷版として、例えば米国特許第
３，１０６，４６６号明細書等で代表される感光性平版
印刷版が提案されている。ところが、前記感光性平版印
刷版は感光波長域が十分でなく、レーザー露光法の特徴
を十分発揮できる感光性平版印刷版ではなかった。その
ため感光層にＳ−トリアジン化合物からなる増感剤を含
有させ、感光波長域を近紫外から可視光領域に広げた感
光性平版印刷版が特開昭６０−２３９７３６号公報とし
て提案された。前記感光性平版印刷版は高感度ではある
が、露光、現像後のパターン部の識別性が悪く、未露光
部の現像残渣やパターン部のカケ、ハガレの検査に時間
が掛かり作業性が低いといった問題点があった。前記パ
ターン部の識別を改善するため感光性平版印刷版の酸素
遮断膜中に透明な無機粒子を含有させる方法が特開平５
−７２７３９号公報で提案されたが、含有物が無機粒子
であるところから感度が低下し、高速製版に必要な高感
度の保持が困難であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】こうした現状に鑑み、
本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、感光性樹脂組成物
に特定の波長でラジカルを発生する光ラジカル発生剤お
よび前記波長より短波長で酸を発生する酸発生剤並びに
酸で顕色化する化合物を含有せしめることにより可視レ
ーザー光で良好な露光ができる樹脂組成物、該樹脂組成
物を積層した高感度、高解像力を維持するとともに、取
扱が容易で、長期保存が可能な感光性平版印刷版および
前記感光性平版印刷版からの平版印刷用版材の製造方法
を見出し、本発明を完成したものである。すなわち

【０００４】本発明は、可視レーザー光で良好な露光が
可能な感光性平版印刷版を製造するための感光性樹脂組
成物を提供することを目的とする。

【０００５】また、本発明は、上記感光性樹脂組成物を
支持体に積層してなる超高感度で解像度が高く、しかも
取扱が容易で長期保存性を有する感光性平版印刷版を提
供することを目的とする。

【０００６】さらに、本発明は、上記感光性平版印刷版
から平版印刷用版材を製造する方法を提供することを目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、高分子バインダー、モノマー、波長４００〜７０
０ｎｍの可視光によりラジカルを発生する光重合開始
剤、波長２００〜３８０ｎｍの光により酸を発生する光
酸発生剤、および酸の存在で顕色する化合物を含有する
ことを特徴とする感光性樹脂組成物、それを用いた感光
性平版印刷版、および平版印刷用版材の製造方法に係
る。

【０００８】本発明の感光性樹脂組成物は上述のとおり
高分子バインダー、モノマー、波長４００〜７００ｎｍ
の可視光によりラジカルを発生する光重合開始剤（以下
光重合開始剤という）、波長２００〜３８０ｎｍの光に
より酸を発生する光酸発生剤（以下光酸発生剤とい
う）、および酸の存在で顕色する化合物（以下酸顕色化
剤という）を含有する感光性樹脂組成物であるが、高分
子バインダー成分としては、アクリル酸、メタクリル
酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチ
ルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアク
リレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレー
ト、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレ
ート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプ
ロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、
フェノキシアクリレート、フェノキシメタクリレート、
イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレー
ト、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、スチレン、α−メチルスチレン、（ｏ−、ｍ−、ま
たはｐ−）ヒドロキシスチレン、アクリルアミド、メタ
クリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセ
トンメタクリルアミド、Ｎ−メチロールアクリルアミ
ド、Ｎ−メチロールメタクリルアミド、Ｎ−ブトキシメ
チルアクリルアミド、Ｎ−ブトキシメチルメタクリルア
ミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のモノ
マーを共重合させたものが好適である。アクリル酸、メ
タクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマーを共重
合成分中に５〜４０重量％程度含有させるとアルカリ水
溶液で現像可能となり好ましい。

【０００９】上記高分子バインダーは、高分子バインダ
ー、モノマー、光重合開始剤、光酸発生剤、および酸顕
色化剤の総和１００重量部中１０〜８５重量％の量で含
有される。前記含有量が１０重量％未満では塗膜性が悪
く、また８５重量％を超えると耐刷性が低下する。

【００１０】モノマー成分としては、上記高分子バイン
ダーの合成の際に使用するモノマーが使用できるが、こ
の他にエチレングリコールジアクリレート、エチレング
リコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジ
アクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレー
ト、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラ
エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリ
コールジアクリレート、プロピレングリコールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメ
チロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロー
ルプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリトリトー
ルトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタク
リレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、
ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタ
エリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリ
トールペンタメタクリレート、ジペンタエリトリトール
ヘキサアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサメ
タクリレート等の多官能性モノマーも好適に使用でき
る。

【００１１】モノマー成分の含有量は、高分子バインダ
ー、モノマー、光重合開始剤、光酸発生剤、および酸顕
色化剤の総和１００重量部中１５〜７０重量％であるこ
とが好ましく、含有量が１５重量％未満では光硬化不良
を起こし十分な耐刷性、耐薬品性を得ることが困難とな
り、また７０重量％を超えると塗膜性が悪くなる。

【００１２】上記光重合開始剤としては、トリアジン化
合物、チタノセン化合物、およびアクリジン化合物から
選ばれる少なくとも１種が好適に使用される。

【００１３】トリアジン化合物としては下記化５〜１０
の化合物が特に有利に使用される。

【００１４】

【化５】

【００１５】

【化６】

【００１６】

【化７】

【００１７】

【化８】

【００１８】

【化９】

【００１９】

【化１０】（式中、Ｒ₁、Ｒ₂、Ｒ₃、Ｒ₄は炭素数１〜３のアルキル
基を表わす。）

【００２０】また、チタノセン化合物としては下記化合
物化１１が有利に使用される。

【００２１】

【化１１】

【００２２】さらに、アクリジン化合物として下記化１
２〜１５の化合物が有利に使用される。

【００２３】

【化１２】

【００２４】

【化１３】

【００２５】

【化１４】

【００２６】

【化１５】

【００２７】上記光重合開始剤にさらに必要に応じてベ
ンゾフェノン、４、４’−ビス（ジメチルアミノ）ベン
ゾフェノン、３，３’−ジメチル−４−メトキシ−ベン
ゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、アントラキノ
ン、２−メチルアントラキノン、２−エチルアントラキ
ノン、ｔｅｒｔ−ブチルアントラキノン等のアントラキ
ノン誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、
ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテ
ルなどのベンゾインアルキルエーテル誘導体、２−クロ
ロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロ
ピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンな
どのチオキサントン誘導体、アセトフェノン、２，２−
ジメトキシ−２−フェニルアセトフェノン、２−ヒドロ
キシ−２−メチルプロピオフェノン、４’−イソプロピ
ル−２−ヒドロキシ−２−メチルプロピオフェノン、２
−メチル−１−〔４−（メチルチオ）フェニル〕−２−
モルフォリノ−１−プロパノンなどのアセトフェノン誘
導体、２，４，６−（トリクロロメチル）トリアジン、
２−（ｏ−クロロフェニル）−４，５−ジフェニルイミ
ダゾリル二量体、９−フェニルアクリジン、１，７−ビ
ス（９−アクリジニル）ヘプタン、１，５−ビス（９−
アクリジニル）ペンタン、１，３−ビス（９−アクリジ
ニル）プロパン、２−ベンジル−２−ジメチルアミノ−
１−（４−モルフォリノフェニル）−ブタン−１−オン
等から選ばれた少なくとも一種を添加することもでき
る。

【００２８】光重合開始剤は、高分子バインダー、モノ
マー、光重合開始剤、光酸発生剤、および酸顕色化剤の
総和１００重量部中に１〜３０重量％含有されることが
好ましく、含有量が１重量％未満では光硬化不良を起こ
し十分な耐刷性、耐薬品性を得ることが困難になり、ま
た３０重量％を超えると耐刷性が悪くなる。

【００２９】上記光重合開始剤と併用される光酸発生剤
としては、四臭化炭素、ヨードホルム、ヘキサクロロエ
タン、２，２，２−トリブロモエタノール、ｐ−ニトロ
ベンゾトリクロリド、ベンゾトリブロミド、α，α，
α，α’，α’，α’−ヘキサクロロキシレン、ジクロ
ロブロモメタン、２−ω，ω，ω−トリクロロメチル−
６−ニトロベンゾチアゾール、ω，ω，ω−トリブロモ
キナルジン、４−ω，ω，ω−トリブロモメチルピリジ
ン等のハロゲン化炭化水素類、トリクロロアセトアミ
ド、Ｎ−エチル−トリブロモアセトアミド、ｐ−ニトロ
−α，α，α−トリブロモアセトフェノン、α，α，α
−トリクロロアセトフェノン等のハロゲン含有ケトン
類、ペンタブロモジメチルスルホキシドなどのスルホキ
シド類、ヘキサブロモメチルスルホン、トリクロロメチ
ル−フェニルスルホン、ヘキサクロロジメチルスルホン
等のスルホン類、２−トリブロモメチルスルホニル−６
−メトキシ−ベンゾチアゾール、２−トリブロモメチル
スルホニル−５−ニトロベンゾチアゾール等のチアゾー
ル類、１−メチル−２−トリブロモメチルスルホン−ベ
ンゾイミダゾール、１−メチル−２−トリブロモスルホ
ン−ベンゾイミダゾール等イミダゾール類等が挙げられ
る。中でもトリクロロアセトアミド、Ｎ−エチル−トリ
ブロモアセトアミド、ｐ−ニトロ−α，α，α−トリブ
ロモアセトフェノン、α，α，α−トリクロロアセトフ
ェノン等のハロゲン含有ケトン類、２−トリブロモメチ
ルスルホニル−６−メトキシ−ベンゾチアゾール、２−
トリブロモメチルスルホニル−５−ニトロベンゾチアゾ
ール等のチアゾール類、１−メチル−２−トリブロモメ
チルスルホン−ベンゾイミダゾール、１−メチル−２−
トリブロモスルホン−ベンゾイミダゾール等のイミダゾ
ール類、特にトリクロロアセトアミド、２−トリブロモ
メチルスルホニル−６−メトキシ−ベンゾチアゾール、
１−メチル−２−トリブロモメチルスルホン−ベンゾイ
ミダゾール、１−メチル−２−トリブロモスルホン−ベ
ンゾイミダゾールは波長２００〜３８０ｎｍの光により
効率的に酸を発生することができ、長期保存した後も変
質することが少なく、好適に使用できる。

【００３０】酸の存在により顕色する化合物（以下酸顕
色化剤という）としては、下記化１６および１７等のト
リフェニルメタン−フタリド系化合物、

【００３１】

【化１６】

【００３２】

【化１７】

【００３３】下記化１８および１９等のフルオラン系化
合物、

【００３４】

【化１８】

【００３５】

【化１９】

【００３６】下記化２０および２１等のフェノチアジン
系化合物、

【００３７】

【化２０】

【００３８】

【化２１】

【００３９】下記化２２等のインドリルフタリド系化合
物、

【００４０】

【化２２】

【００４１】下記化２３および２４等のロイコオーラミ
ン系化合物、

【００４２】

【化２３】

【００４３】

【化２４】

【００４４】下記化２５等のスピロピラン系化合物、

【００４５】

【化２５】

【００４６】下記化２６等のローダミンラクタム系化合
物、

【００４７】

【化２６】

【００４８】下記化２７および２８等のトリフェニルメ
タン系化合物、

【００４９】

【化２７】

【００５０】

【化２８】

【００５１】下記化２９等のアザフタリド系化合物、

【００５２】

【化２９】

【００５３】下記化３０等のクロメノインドール系化合
物、

【００５４】

【化３０】等が挙げられる。中でもトリフェニルメタン−フタリド
系化合物、フルオラン系化合物、ロイコオーラミン系化
合物およびローダミンラクタム系化合物、特に下記化３
１〜３４の化合物

【００５５】

【化３１】

【００５６】

【化３２】

【００５７】

【化３３】

【００５８】

【化３４】は酸の存在による発色性が高く、これを用いた平版印刷
版は製版時に画像パターン部の識別に優れ、長期保存時
の変質も少なく好ましく用いることができる。

【００５９】上記光酸発生剤および酸顕色化剤は、高分
子バインダー、モノマー、光重合開始剤、光酸発生剤、
および酸顕色化剤の総和１００重量部中にそれぞれ０．
００１〜５重量部の範囲で含有するのが好ましい。前記
含有量が０．００１重量部未満ではパターンの識別性が
改善されず、５重量部を超えると感度や耐刷性が低下す
る。

【００６０】上記各成分からなる本発明の感光性樹脂組
成物には、必要によりエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコー
ルモノエチルエーテルアセテート、２−メトキシブチル
アセテート、３−メトキシブチルアセテート、４−メト
キシブチルアセテート、２−メチル−３−メトキシブチ
ルアセテート、３−メチル−３−メトキシブチルアセテ
ート、３−エチル−３−メトキシブチルアセテート、２
−エトキシブチルアセテート、４−エトキシブチルアセ
テート、４−プロポキシブチルアセテート、２−メトキ
シペンチルアセテート等の溶剤、ヒドロキノン、ヒドロ
キノンモノエチルエーテル等の重合禁止剤、シリコーン
系、フッ素系消泡剤、アニオン系、カチオン系、ノニオ
ン系界面活性剤、シリカ等のマット剤等の公知の添加剤
を加えることができる。

【００６１】本発明の感光性平版印刷版は少なくとも上
記感光性樹脂組成物を支持体上に積層した印刷版であ
る。前記積層感光性平版印刷版の感光性樹脂組成物層の
上にさらに必要に応じて酸素遮断膜を設けることができ
る。

【００６２】上記支持体としては、紙、ポリエチレンテ
レフタレート、鉄、アルミニウム等の材料が好適である
が、支持体として特に好ましいのは砂目立て処理、陽極
酸化処理および必要によって封孔処理等の表面処理が施
されたアルミニウム板を挙げることができる。

【００６３】また、酸素遮断膜としては、酸素遮断効果
が高く、しかも水、アルカリ水溶液に可溶なポリビニル
アルコール、水溶性ナイロン等の線状有機高分子重合体
が好適に用いられる。前記酸素遮断膜の厚さは乾燥膜厚
で０．１〜１０μｍの範囲がよく、０．１μｍ未満では
酸素遮断効果がなく、また１０μｍを超えると感光性が
阻害される。

【００６４】上記感光性平版印刷版は、その支持体上に
感光性樹脂組成物、さらに必要に応じて溶剤、分散助
剤、消泡剤等を加え、ホイラー、ロールコーター、リバ
ースコーター、静電塗装機、スピンコーター、バーコー
ター等で乾燥後の重量が０．５〜１０ｇ／ｍ²となるよ
うに塗布して製造される。酸素遮断膜をさらに設ける場
合は、前記感光性樹脂組成物層上に線状有機高分子重合
体を水、アルコールなどの有機溶剤に溶解したのち、バ
ーコーター、ホイラー等で塗布することにより製造され
る。

【００６５】本発明の感光性平版印刷版はアルゴンレー
ザー光等の可視レーザーにより直接露光されるが、その
際のレーザー光のエネルギー量は０．０３〜５ｍＪ／ｃ
ｍ²が良い。前記アルゴンレーザー光に露光、現像した
のち、さらに波長２００〜３８０ｎｍの光を前記現像し
た感光性平版印刷版の全面または一部に照射し平版印刷
用版材が製造される。現像は浸漬法、スプレー法等によ
り行われ、現像液としては、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチ
ルアンモニウムヒドロキシド等の有機系のものや、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アン
モニア等の水溶液が使用される。

【００６６】

【発明の実施の形態】次に本発明を具体例を用いて説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。

【００６７】

【実施例】

実施例１下記の１〜１０の各成分を均一にかきまぜて感光性樹脂
組成物を得た。１．メチルメタクリレート／アクリル酸／２−ヒドロキシエチルメタクリレート／ベンジルメタクリレート＝５０／２０／２０／１０（重量比）からなる高分子バインダー６０重量部２．トリメチロールプロパントリアクリレート１０重量部３．化３５の構造式を有するトリアジン化合物３重量部４．化３６の構造式を有するチタノセン化合物１０重量部５．化３７の構造式を有するアクリジン化合物３重量部６．メチルヒドロキノン（重合禁止剤）０．０５重量部７．化３８の酸顕色化剤０．１重量部８．トリクロロアセトアミド０．１重量部９．プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート１００重量部１０．３−メチル−３−メトキシブチルアセテート５０重量部

【００６８】

【化３５】

【００６９】

【化３６】

【００７０】

【化３７】

【００７１】

【化３８】

【００７２】上記感光性樹脂組成物を予め陽極酸化処
理、封孔処理が施された０．３ｍｍ厚のアルミニウム板
上にホイラーを用いて乾燥後の重量が３ｇ／ｍ²となる
ように塗布し、１００℃で２分間乾燥させ、支持体上に
感光性樹脂組成物層を設けた。次いで前記感光性樹脂組
成物層上にポリビニルアルコール２０％水溶液（ケン化
度８０モル％、重合度５００）をバーコーターを用いて
乾燥後の膜厚が５μｍとなるように塗布、乾燥し、感光
性平版印刷版を製造した。得られた感光性平版印刷版に
０．８ｍＪ／ｃｍ²の４８８ｎｍのアルゴンレーザー光
を照射し画像露光を行い印刷版を完成した。露光後、
０．５％炭酸ナトリウム水溶液を用いて２５℃で２分間
浸漬し印刷パターンを得た。さらに乾燥後、超高圧水銀
灯を用いて１分間紫外線照射した。得られたパターンは
容易に識別でき、作業性は良好であった。ガム引き後、
印刷機にかけて印刷したところ良好な印刷物が１５万枚
得られた。

【００７３】実施例２実施例１において酸顕色化剤を下記化合物化３９

【００７４】

【化３９】０．１重量部に代えた外は実施例１と同様に製版作業を
行って平版印刷版材を作成したが実施例１と同様に作業
性は良好であった。さらにガム引きを行ったのち、印刷
機にかけて印刷したところ良好な印刷物が約１５万枚得
られた。

【００７５】実施例３実施例１においてトリクロロアセトアミド０．１重量部
を２−トリブロモメチルスルホニル−６−メトキシベン
ゾチアゾール０．１重量部に代えた外は実施例１と同様
に製版作業を行って平版印刷版を作成したが実施例１と
同様に作業性は良好であった。さらにガム引きを行った
のち、印刷機にかけて印刷したところ良好な印刷物が約
１５万枚得られた。

【００７６】実施例４実施例１において使用した酸顕色化剤を０．００５重量
部とした外は実施例１と同様に製版作業を行って平版印
刷版を作成したが実施例１と同様に作業性は良好であっ
た。さらにガム引きを行ったのち、印刷機にかけて印刷
したところ良好な印刷物が約１５万枚得られた。

【００７７】実施例５実施例１において使用した酸発生剤を０．００５重量部
とした外は実施例１と同様に製版作業を行って平版印刷
版を作成したが実施例１と同様に作業性は良好であっ
た。さらにガム引きを行ったのち、印刷機にかけて印刷
したところ良好な印刷物が約１５万枚得られた。

【００７８】実施例６実施例２において使用した酸顕色化剤を２重量部とした
外は実施例２と同様に製版作業を行って平版印刷版を作
成したが実施例２と同様に作業性は良好であった。さら
にガム引きを行ったのち、印刷機にかけて印刷したとこ
ろ良好な印刷物が約１５万枚得られた。

【００７９】実施例７実施例１において使用した酸発生剤を２重量部とした外
は実施例１と同様に製版作業を行って平版印刷版を作成
したが実施例１と同様に作業性は良好であった。さらに
ガム引きを行ったのち、印刷機にかけて印刷したところ
良好な印刷物が約１５万枚得られた。

【００８０】比較例１実施例１においてトリクロロアセトアミドおよびロイコ
オーラミンを添加しない感光性樹脂組成物を用いて実施
例１と同様に製版作業を行ったところ、パターン部のカ
ケ、剥がれ等の識別作業が困難であった。さらにガム引
きを行ったのち、印刷機にかけて印刷したところ若干地
汚れがみられ、修正作業が必要であった。

【００８１】実施例８実施例１においてトリクロロアセトアミド０．１重量部
を１−メチル−２−トリブロモスルホン−ベンゾイミダ
ゾール０．１重量部に代え、酸顕色化剤を下記化４０

【００８２】

【化４０】０．１重量部に代えた外は実施例１と同様に製版作業を
行って平版印刷版を作成したが実施例１と同様に作業性
は良好であった。さらにガム引きを行ったのち、印刷機
にかけて印刷したところ良好な印刷物が約１５万枚得ら
れた。

【００８３】実施例９実施例１において酸顕色化剤を下記化３９

【００８４】

【化４１】０．１重量部に代えた外は実施例１と同様に製版作業を
行って平版印刷版を作成したが実施例１と同様に作業性
は良好であった。さらにガム引きを行ったのち、印刷機
にかけて印刷したところ良好な印刷物が約１５万枚得ら
れた。

【００８５】

【発明の効果】本発明の感光性樹脂組成物は、露光波長
域が広く、可視レーザ−で良好な画像を形成する樹脂組
成物である。該樹脂組成物を使用して製造した感光性平
版印刷版は、画像のパターン部の識別性が優れ、しかも
取扱が良好で作業性に優れている。

【００８２】上記感光性平版印刷版から印刷用版材を作
成するに当っては、感光性平版印刷版を４００〜７００
ｎｍの可視光で画像露光し、次いで前記波長より短い２
００〜３８０ｎｍの波長を照射するという簡便な方法で
製造でき工業的に有利な製造方法である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｇ０３Ｆ 7/20 ５１１Ｇ０３Ｆ 7/20 ５１１

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】高分子バインダー、モノマー、波長４００
〜７００ｎｍの可視光によりラジカルを発生する光重合
開始剤、波長２００〜３８０ｎｍの光により酸を発生す
る光酸発生剤、および酸の存在で顕色する化合物を含有
することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項２】波長４００〜７００ｎｍの可視光によりラ
ジカルを発生する光重合開始剤がトリアジン化合物、チ
タノセン化合物およびアクリジン化合物から選ばれる少
なくとも１種であることを特徴とする請求項１記載の感
光性樹脂組成物。
【請求項３】波長２００〜３８０ｎｍの光により酸を発
生する光酸発生剤がハロゲン化炭化水素類、ハロゲン含
有ケトン類、スルホキシド類、スルホン類、ベンゾチア
ゾール類およびベンゾイミダゾール類から選ばれる少な
くとも１種であることを特徴とする請求項１記載の感光
性樹脂組成物。
【請求項４】波長２００〜３８０ｎｍの光により酸を発
生する光酸発生剤がトリクロロアセトアミド、Ｎ−エチ
ル−トリブロモアセトアミド、ｐ−ニトロ−α，α，α
−トリブロモアセトフェノン、α，α，α−トリクロロ
アセトフェノン、２−トリブロモメチルスルホニル−６
−メトキシ−ベンゾチアゾール、２−トリブロモメチル
スルホニル−５−ニトロベンゾチアゾール、１−メチル
−２−トリブロモメチルスルホン−ベンゾイミダゾール
および１−メチル−２−トリブロモスルホン−ベンゾイ
ミダゾールから選ばれる少なくとも１種であることを特
徴とする請求項３記載の感光性樹脂組成物。
【請求項５】波長２００〜３８０ｎｍの光により酸を発
生する光酸発生剤がトリクロロアセトアミド、２−トリ
ブロモメチルスルホニル−６−メトキシ−ベンゾチアゾ
ール、１−メチル−２−トリブロモメチルスルホン−ベ
ンゾイミダゾール及び１−メチル−２−トリブロモメチ
ルスルホン−ベンゾイミダゾールから選ばれる少なくと
も１種であることを特徴とする請求項４記載の感光性樹
脂組成物。
【請求項６】酸の存在により顕色する化合物がトリフェ
ニルメタン−フタリド系化合物、フルオラン系化合物、
フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合
物、ロイコオーラミン系化合物、スピロピラン系化合
物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン
系化合物、アザフタリド系化合物およびクロメノインド
ール系化合物から選ばれる少なくとも１種であること特
徴とする請求項１記載の感光性樹脂組成物。
【請求項７】酸の存在により顕色する化合物がトリフェ
ニルメタン−フタリド系化合物、フルオラン系化合物、
ロイコオーラミン系化合物およびローダミンラクタム系
化合物から選ばれる少なくとも１種であること特徴とす
る請求項６記載の感光性樹脂組成物。
【請求項８】酸の存在により顕色する化合物が下記化１
〜４【化１】【化２】【化３】【化４】の化合物から選ばれる少なくとも１種であることを特徴
とする請求項７記載の感光性樹脂組成物。
【請求項９】支持体上に高分子バインダー、モノマー、
波長４００〜７００ｎｍの可視光によりラジカルを発生
する光重合開始剤、波長２００〜３８０ｎｍの光により
酸を発生する光酸発生剤、および酸の存在で顕色する化
合物を含有する感光性樹脂組成物が積層されていること
を特徴とする感光性平版印刷版。
【請求項１０】感光性樹脂組成物が乾燥重量で０．５〜
１０ｇ／ｍ²塗布されていることを特徴とする請求項９
に記載の感光性平版印刷版。
【請求項１１】感光性樹脂組成物層上にさらに酸素遮断
膜が積層されていることを特徴とする請求項９に記載の
感光性平版印刷版。
【請求項１２】酸素遮断膜の厚さが０．１〜１０μｍの
範囲であることを特徴とする請求項１１記載の感光性平
版印刷版。
【請求項１３】感光性樹脂組成物を積層した感光性平版
印刷版に波長４００〜６００ｎｍの可視光を選択的に照
射して感光性樹脂組成物を硬化、現像したのち、波長２
００〜３８０ｎｍの光を感光性平版印刷版に照射するこ
とを特徴とする平版印刷用版材の製造方法。