JP4065358B2 - 光重合性組成物、画像形成材料及び感光性平版印刷版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性平版印刷版、配線板用銅エッチングレジスト、グラビア用銅エッチングレジスト、ドライフィルム、カラーフィルター、及びプラズマディスプレイ用顔料分散レジストなど各種のパターン形成に好適に使用可能な光重合性組成物に関するものであり、特に高感度な光重合性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光重合系を利用した画像形成方法は多数知られている。例えば、付加重合可能なエチレン性二重結合を含む化合物と光重合開始剤、さらに所望により用いられる有機高分子結合材などからなる光重合性組成物を支持体上に塗布して光重合性組成物の層を設けた感光材料を、露光して露光部分を重合硬化させ未露光部分を溶解除去することにより硬化レリーフ画像を形成する方法、少なくとも一方が透明である二枚の支持体間に光重合性組成物の層を設け、透明支持体側より露光し光による接着強度の変化を起こさせ、支持体を剥離することにより画像を形成する方法、その他光重合性組成物層の光によるトナー付着性の変化を利用した画像作成方法などがある。
【0003】
近年、光重合性感光材料を用いた高感度感材が種々の応用分野において検討されている。これらのうち、実用化が近いとみられるシステムとしてレーザー直接製版があり、レーザーの発振波長、例えばアルゴンイオンレーザーの488nm、FD−YAGレーザーの532nmの光での露光に対応した高感度フォトポリマー系の開発が望まれ種々提案されている。
これらにおいて最も大きな課題は、光線に対する感材感度の向上である。
【0004】
通常、光重合開始系の活性ラジカル発生能力は、450nm以上の光線に対しては急激に感応性が減少することが良く知られている。
可視光領域の光線に感応し得る光重合開始系を含有する光重合組成物に関しては、従来、幾つかの提案がなされてきた。例えば、ヘキサアリールビイミダゾールと(p−ジアルキルアミノベンジリデン)ケトンの系、ケトクマリンと活性剤の系、置換トリアジンと増感剤の系、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系、有機過酸化物と色素の系等がある。
【0005】
一方、ラジカル活性剤としてチタノセン類が光重合開始剤として有効であることは、特開昭63−221110号等に記載されており、チタノセン類と増感剤の組み合わせは比較的高感度を達成する。チタノセン類と増感剤の組み合わせとしては特開昭63−221110号等、ピロメテン錯体増感剤とラジカル発生剤の系としては特開平4−241338号、特開平7−5685号、特開平7−225474号等が挙げられる。
【0006】
また、光重合開始剤としてN−フェニルグリシンもしくはその誘導体としてのN−アリール−α−アミノ酸を含むことは知られており、例えばクマリン系色素(特開昭63ー180946号公報)、チオキサンテン系色素(特開昭63−043133号公報、特開平1ー126302号公報)、又はシアニン系色素(特開平1−287105号公報)等の光吸収性色素との組み合わせ、;アミノベンジリデンカルボニル化合物との組み合わせ(特開平1−131205号公報);トリアジン化合物とシアニン系色素との組み合わせ(特開平2ー189548号公報);ヘキサアリールビイミダゾール及びチオール化合物と色素との組み合わせ(特開平1−279903号公報)などが報告されている。
【0007】
更には、特表平9−503871号公報、特開平8−254821号公報には、チタノセン類とN−フェニルグリシンもしくはその特定構造の誘導体とを含んでなる光重合性組成物が記載されている。
しかし、上記の光重合性組成物はいずれも可視光の領域までその感光波長域を有するが感度が充分ではなく、例えば低出力のアルゴンレーザーやFD−YAGレーザーにより高速度に画像記録する場合には、更に高感度の組成物とする必要があった。
【0008】
また、そのようなN−フェニルグリシンまたはその誘導体を用いた場合は、比較的高感度が達成されるが、それでも感度は充分でなく、かつ塗布溶剤に対する溶解性が比較的低いために塗膜を形成した場合に未溶解物による塗布欠陥が生じやすく、配合量や或いは塗布溶剤が制限されるという問題がわかった。また、乾燥時に臭気を発生するという問題もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高感度・現像性・溶剤への易溶解性に優れる光重合性組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、少なくとも一種のラジカル活性剤と、少なくとも一種の後述の一般式(I)で示される特定の化合物又はその縮合物とを併用した場合、感度・溶剤への溶解性が大幅に改善され、かつ乾燥時の臭気も抑えられることを見いだし本発明に至った。
ここでいう一般式(I)で表される化合物は、従来のN−フェニルグリシン誘導体には含まれない物質であることは明らかである。
【0011】
従来のN−フェニルグリシン誘導体は、N−フェニルグリシンそれ自体或いは置換されたN−フェニルグリシンのカルボン酸塩であり、N原子とカルボニル炭素原子との間の炭素原子はただ一つしかないものである。
一方、一般式(I)で示される化合物は、N原子とカルボニル炭素原子とを結ぶ炭素原子は2つ以上である。理由は定かではないが、この構造的特徴により、上記の非常に優れた性能を発揮する。
【0012】
即ち本発明の要旨は、(A)付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合含有単量体、(B)光重合開始剤及び(C)高分子結合材を含有してなる光重合性組成物において、該光重合開始剤(B)が、(B−1)少なくとも一種のラジカル活性剤と、(B−2)少なくとも一種の下記一般式(I)で示される化合物及び/又はその縮合物を含有することを特徴とする光重合性組成物に存する。
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、nは2〜10の整数を表し、R1 〜R5 はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い芳香族複素環基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアシル基、置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアクリロイルオキシ基、ハロゲン原子、ホルミル基、置換基を有していても良いアルキルカルボニルオキシ基、ニトロ基、スルホ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、置換基を有していても良いアルキルスルホニル基、置換基を有していても良いフェニルスルホニル基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いアミド基を表す。R6 は、水素原子又は置換基としてアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、芳香族複素環基、水酸基を有していても良いアルキル基を表す。R7 は水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い芳香族複素環基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していても良いアクリロイル基を表す。)
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の光重合性組成物において第一の必須成分として含まれる付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合含有単量体(A)(以下「エチレン性単量体」と略す)とは、光重合性組成物が活性光線の照射を受けた場合、第二の必須成分である光重合開始系の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性不飽和二重結合を有する単量体である。なお、本発明における単量体の意味するところは、いわゆる高分子体に相対する概念であって、従って、狭義の単量体以外にも二量体、三量体、オリゴマーをも包含するものである。
【0016】
本発明の組成物は、エチレン性不飽和結合を一個有する化合物を含んでいても良い。具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、エチレン性不飽和結合を一個有するカルボン酸と多(単)価アルコールのモノエステル等が挙げられる。
本発明においては、1分子中にエチレン性不飽和結合を二個以上有する多官能エチレン性化合物を使用することが望ましい。
【0017】
かかる多官能エチレン性化合物の例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸及び多価カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
【0018】
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルは限定されないが、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0019】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0020】
不飽和カルボン酸及び多価カルボン酸ならびに多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物である必要はない。代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等がある。
【0021】
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、トリレンジイソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートとの付加反応物の様なウレタンアクリレート類;ジエポキシ化合物とヒドロキシエチルアクリレートとの付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
【0022】
本発明に用いられる付加重合可能なエチレン性単量体としては、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有するリン酸エステル化合物を含有するのが、感光性平版印刷版に使用した時の耐刷性、非画線部の抜け性の点で特に有用である。特に限定はされないが、具体的には例えば下記一般式(II)、(III )で示される化合物が挙げられる。
【0023】
【化3】
【0024】
(一般式(II)、(III )中、R8 、R9 は水素原子又はメチル基を表し、lは1〜25の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)
一般式(II)、(III )で表される化合物の内、lが1〜10であるものが特に耐刷力及び非画線部の抜け性を改善する点で好ましい。一般式(II)、(III )で表される化合物の内、特に好ましい化合物の具体例としては、メタクリルオキシエチルフォスフェート、ビス(メタクリルオキシエチル)フォスフェート、メタクリルオキシエチレングリコールフォスフェート等が挙げられる。
【0025】
本発明で使用するリン酸エステル化合物は単独でも、複数の化合物の混合物でも良い。
該リン酸エステル化合物の含有割合は、エチレン性単量体合計に対して1〜50重量%が好ましい。
次に本発明の光重合性組成物の第二の必須成分である光重合開始剤(B)について説明する。
【0026】
本発明は光重合開始剤として、(B−1)少なくとも一種のラジカル活性剤と、(B−2)前記一般式(I)で示される化合物及び/又はその縮合物を含有することを特徴とする。
【0027】
一般式(I)で表される化合物は、従来のN−フェニルグリシン又はその誘導体とは異なり、N原子とカルボニル基の炭素原子との間の炭素数nは2以上であることを構造的特徴としており、理由は定かではないものの、上記構造的特徴により、非常な高感度・現像性・溶剤への易溶解性といった優れた性能を達成する。
【0028】
一般式(I)において、nは2〜10の整数を表すが、好ましいnとしては、2〜5が挙げられる。より好ましくは、2〜4が挙げられる。
好ましいR1 〜R5 としては、水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。
より好ましくは、水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有していても良い炭素数1〜5のアルコキシ基が挙げられる。
【0029】
好ましいR6 としては、水素原子、又はアリール基、芳香族複素環基、水酸基等で置換されていても良い炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、のアルキル基が挙げられる。
【0030】
好ましいR7 としては、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数5〜10のアリール基、置換基を有していても良い炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していても良いアクリロイル基が挙げられる。
更に好ましいR7 としては、水素原子、置換基を有していても良いフェニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜10、特に好ましくは1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基が挙げられる。
【0031】
より好ましくは、R7 が水素原子、置換基を有していても良いフェニル基又は置換基を有していても良い炭素数1〜5のアルキル基であり、最も好ましくは水素原子、フェニル基又は非置換の炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
又、一般式(I)で示される化合物の縮合物としては、一般式(I)で示される複数の化合物が、R1 〜R7 の位置で、直接又は接合基を介して結合した化合物が挙げられる。接合基としては2価以上の連結基であれば特に限定されるものではなく、通常、2〜5量体が挙げられる。
【0032】
R1 〜R7 で定義された基が有していても良い置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニル基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、芳香族複素環基、水酸基が挙げられ、これらの置換基もさらに置換されていても良い。これら置換基の中でも好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基及び水酸基等である。
【0033】
一般式(I)の化合物及びその縮合物の中、(B−2)成分としては、一般式(I)の化合物がより好ましい。
以下に、一般式(I)の化合物及びその縮合物の具体例を示すが、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
これら一般式(I)で表される化合物又はその縮合物の添加量は、付加重合可能なエチレン性単量体100重量部に対して好ましくは0.1〜80重量部、特に好ましいのは0.5〜60重量部の範囲である。
また、後に詳述する成分(B−1)のラジカル活性剤10重量部に対して好ましくは0.1〜100重量部、特に好ましくは0.5〜80重量部、更に好ましくは1〜60重量部の範囲である。
【0037】
更に、一般式(I)で表される化合物及びその縮合物は、二種以上併用しても良い。
成分(B−1)のラジカル活性剤としては、前記エチレン性単量体の重合を開始させうるものは全て使用できる。特にその内でも可視領域の光線に対して感光性を有するものであれば、いずれも好適に使用し得る。このうち、光励起された増感剤と何らかの作用を及ぼしあうことにより活性ラジカルを生成する活性剤としては、例えば、チタノセン類、ヘキサアリールビイミダゾール類、ハロゲン化炭化水素誘導体、ジアリールヨオードニウム塩、有機過酸化物等を挙げることができる。この内、特にチタノセン類と一般式(I)の化合物を組み合わせた光重合性組成物が、感度、保存性、塗膜の基盤への密着性等が特に良好で好ましい。
【0038】
チタノセン類としては、種々のものを用いることができるが、例えば特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載されているチタンを中心金属とする錯体である各種チタノセン類から適宜選んで用いることができる。更に具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げることができる。これらは、二種以上を併用して用いても良い。
【0039】
その他ラジカル活性剤として例えば、ヘキサアリールビイミダゾール類も好適に用いられる。ヘキサアリールビイミダゾール類としては、種々のものを用いることができるが、例えば、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−フルオロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ヨードフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロルナフチル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロル−p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジブロムフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール類等のベンゼン環上にハロゲン置換基を有するヘキサアリールビイミダゾール類が好ましい。
【0040】
これらのヘキサアリールビイミダゾール類は、必要に応じ、多種のビイミダゾールと併用して使用することもできる。ビイミダゾール類は例えばBull.Chem.Soc.Japan.33,565(1960)及びJ.Org.Chem.36[16]2262(1971)に開示されている方法により容易に合成することができる。
【0041】
本発明では光重合開始剤として増感剤を含有するのが有利である。本発明における増感剤とは、前述の活性剤と共存した場合、可視光線照射により、効果的に活性ラジカルを発生しうる化合物を意味している。
代表的な増感剤の例としては、例えば、米国特許第3,479,185号明細書に開示されているロイコクリスタルバイオレットやロイコマラカイトグリーンの様なトリフェニルメタン系ロイコ色素、エリスロシンやエオシンYのような光還元性染料、米国特許第3,549,367号明細書、米国特許第3,652,275号明細書等に開示されているミヒラーズケトンやアミノスチリルケトンの様なアミノフェニルケトン類、米国特許第3,844,790号明細書に示されるβ−ジケトン類、米国特許第4,162,162号明細書に見られるインダノン類、特開昭52−112681号公報に示されるケトクマリン類、特開昭59−56403号公報で開示されているアミノスチレン誘導体やアミノフェニルブタジエン誘導体、米国特許第4,594,310号明細書に見られるアミノフェニル複素環類、米国特許第4,966,830号明細書に示されるジュロリジン複素環類、特開平5−241338号公報に示されるピロメテン系色素等が挙げられる。
【0042】
この中でも特に、クマリン及びピロメテン系色素が好ましい。
更に、本発明で用いる光重合開始剤に必要に応じて2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、N−フェニルグリシン、N,N−ジアルキル安息香酸アルキルエステル等の水素供与性化合物を加えることによって更に光重合開始能力を高めることができる。このうち特に好ましいのは、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等のメルカプト基を有する化合物や、N,N−ジアルキル安息香酸アルキルエステルである。
【0043】
次に、本発明の第3の必須成分である高分子結合材(C)について説明する。具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイミド等の単独もしくは共重合体、その他、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、またはポリビニルブチラール等が挙げられる。高分子結合剤(C)としては、アルカリ性現像液に対する溶解性の点で分子内にカルボキシル基を有する高分子結合材が好ましく、中でも(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一種と(メタ)アクリル酸を共重合成分として含有する共重合体が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルのエステルを構成する基としては、特に限定されないが、C1 〜C16程度の脂肪族又は芳香族炭化水素基が一般的である。分子内にカルボキシル基を有する高分子結合材の好ましい酸価の値は10〜250であり、好ましい重量平均分子量(以下Mwと略す)は5千から100万である。
これらの高分子結合材は、側鎖に不飽和結合を有する事が望ましく、特に下記一般式(1)〜(3)で示される少なくとも1種の不飽和結合を有する事が好ましい。
【0044】
【化6】
【0045】
(式中、R8 は水素原子又はメチル基を示す。また、R9 〜R13は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を有し、Zは酸素原子、硫黄原子、イミノ基、又はアルキルイミノ基を示す。)
このような高分子結合材の合成法としては、大別して下記の2手法がある。
【0046】
(合成法1)
分子内にカルボキシル基を有する高分子結合材の不活性有機溶剤溶液(例えばアルコール系、エステル系、芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系等が挙げられる。)とエポキシ基含有不飽和化合物とを約80〜120℃、約1〜50時間の反応条件で反応させることにより合成する方法。エポキシ基含有不飽和化合物と反応させるカルボキシル基の割合は本発明の効果を達成しうる範囲であれば特に限定されないが、全カルボキシル基に対して5〜90mol%を反応させるのが好ましく、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。上記範囲であると現像性が良好であると共に接着性が良好である。
【0047】
側鎖に不飽和基を有するエチレン性高分子結合材の製造に用いるエポキシ基含有不飽和化合物は、一分子中に少なくとも一つの付加重合可能な不飽和結合と、エポキシ基とを有する化合物である。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−エチルグリシジルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネート、イタコン酸モノアルキルエステルモノグリシジルエステル、フマール酸モノアルキルエステルモノグリシジルエステル、マレイン酸モノアルキルエステルモノグリシジルエステル等の脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物および下記一般式(4)〜(17)で示される脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が挙げられる。
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
(各一般式中、R14は水素原子又はメチル基を示す。R15は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。R16は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。kは0〜10の整数を示す。)
上記エポキシ基含有不飽和化合物の好ましい具体例としては、グリシジルメタアクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等が挙げられる。これらの中で特に好ましい化合物は、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートである。
【0051】
(合成法2)
前記一般式(2)および(3)で示されるような、反応性の低い不飽和結合を1種類以上とこれらより反応性に富む不飽和結合1種類の合計2種以上の不飽和結合を有する化合物と不飽和カルボン酸とを共重合させて合成する方法。
一般式(2)で示される不飽和基を有する化合物の具体例としては、アリル(メタ)アクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、シンナミル(メタ)アクリレート、クロトニル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
一般式(3)で示される不飽和基を有する化合物の具体例としては、ビニル(メタ)アクリレート、ビニルクロトネート、1−プロペニル(メタ)アクリレート、1−クロロビニル(メタ)アクリレート、2−フェニルビニル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0053】
これら(2)、(3)の構造を有する化合物の中で好ましい化合物としては、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらのモノマーを不飽和カルボン酸、好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸と共重合させることにより該不飽和基を有する共重合体を得る。共重合するモノマーは不飽和カルボン酸に加えて他のモノマーが共重合されてもよく、例えばアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。共重合させる(2)、(3)の構造を有する化合物の、ポリマー全体の成分に占める割合は10〜90mol%、さらに好ましくは、30〜80mol%である。この範囲より少ないと画像再現性に劣り、多くなると現像性が悪くなる。
【0054】
以上、本発明の光重合性組成物の主要構成成分について詳述してきたが、それ等の好適な使用比率は重合可能なエチレン性単量体100重量部に対して光重合開始剤の内増感剤が、好ましくは0.01〜20重量部、特に好ましいのは0.05〜10重量部、式(I)で表される化合物又はその縮合物が好ましくは0.1〜80重量部、特に好ましいのは0.5〜60重量部、ラジカル活性剤が好ましくは0.1〜80重量部、特に好ましいのは0.5〜60重量部、また高分子結合材が、好ましくは10〜400重量部、特に好ましくは20〜200重量部の範囲である。
【0055】
更に、例えばラジカル活性剤10重量部のとき、一般式(I)で表される化合物の好ましい添加量は0.1〜100重量部、より好ましいのは0.5〜80重量部である。
本発明の光重合性組成物は前記の各必須成分の他に、その目的に応じて更に他の物質を含有することができる。例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等の熱重合防止剤;有機又は無機の染顔料からなる着色剤;ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤、三級アミンやチオールのような感度特性改善剤、その他色素前駆体等の添加剤も加えることができる。
【0056】
また、本発明の光重合性組成物は、塗布性改良剤として界面活性剤を含有することが出来る。その中でも特に好ましいのはフッ素系界面活性剤である。
以上述べた添加剤の好ましい添加量は、エチレン性単量体100重量部に対して熱重合防止剤2重量部以下、着色剤20重量部以下、可塑剤40重量部以下、色素前駆体30重量部以下、界面活性剤10重量部以下の範囲である。
【0057】
以上述べた光重合性組成物は、適当な溶媒で希釈して、支持体上に塗布・乾燥し感光層を形成することにより、画像形成材料となる。画像形成材料が、感光性平版印刷版の場合、支持体として表面を粗面化した後、陽極酸化処理したアルミニウム支持体が好適に使用し得る。粗面化の方法としては、一般に公知のブラシ研磨法、ボール研磨法、電解エッチング法、化学エッチング法、液体ホーニング法、サンドブラスト法等の方法及びこれらの組み合わせが挙げられ、好ましくはブラシ研磨法、ボール研磨法、電解エッチング法、化学エッチング法、液体ホーニング法が挙げられる。更に粗面化処理が施されたアルミニウム板は、必要に応じて酸またはアルカリ水溶液にてデスマット処理される。こうして得られたアルミニウム板は、通常、陽極酸化処理されるが、特に好ましくは、硫酸を含む電解液で処理する方法が挙げられる。硫酸を含む電解液で陽極酸化する方法は、従来公知の方法、例えば特開昭58−213894号公報に記載の方法等に準じて行われる。具体的には、例えば硫酸濃度5〜50重量%、好ましくは15〜30%の硫酸が用いられ、温度は5〜50℃程度、好ましくは15〜35℃であり、電流密度1〜60A/dm2 で5秒〜60秒間程度で行なわれる。また、更に必要に応じて珪酸ソーダ等の珪酸アルカリや熱水による処理、その他カチオン性4級アンモニウム基を有する樹脂やポリビニルホスホン酸等の水性高分子化合物を含有する水溶液への浸漬等による表面処理を行うことができる。
【0058】
感光性組成物の塗布方法としては、ディップコート、コーティングロッド、スピナーコート、スプレーコート、ロールコート等の周知の方法により塗布することが可能である。
更に、前述の感光層の上には、酸素による重合禁止作用を防止するために酸素遮断層を設けることができる。その具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、セルロース等の水溶性高分子が挙げられる。この内、特に酸素ガスバリア性の高いポリビニルアルコールを含むものが好ましい。
【0059】
本発明の組成物に適用し得る露光光源としては、特に限定されないが例えば、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、ヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、ヘリウムネオンレーザーらが特に好適に使用し得る。
【0060】
本発明の光重合性組成物は、かかる光源にて画像露光を行った後、界面活性剤とアルカリを含有する水溶液を用いて現像すれば支持体上に画像を形成することができる。この水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤、染料または顔料を含有することができる。適当なアルカリ剤としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等の無機アルカリ剤、及びトリメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン類などの有機アミン化合物などが挙げられ、これらは単独もしくは組み合わせて使用できる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能である。また、有機溶剤としては例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等を必要により含有させることが可能である。
【0061】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0062】
<結合剤の合成>
合成例1
メチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレート/メタクリル酸=35/20/10/35mol%(仕込み比)の共重合体、Mw=7万(以下「結合材−1」と略す。)を200重量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(エポキシ含有不飽和化合物)75重量部、p−メトキシフェノール2.5重量部、テトラブチルアンモニウムクロライド8重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800重量部を反応容器中に加え、110℃、24時間空気中で攪拌反応させてエチレン性高分子結合材(酸価60、結合材−1のメタアクリル酸成分全体の6割に不飽和基が反応。以下「結合材−2」と略す。)溶液を得た。
【0063】
合成例2
(α−メチル)スチレン/アクリル酸の共重合体(商品名“SCXー690”Jhonson社製、酸価240、MW=1万5千)を855重量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート490重量部、p−メトキシフェノール1.3重量部、テトラエチルアンモニウムクロライド4.3重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1800重量部を反応容器中に加え、120℃、15時間空気中で攪拌反応させてエチレン性高分子結合材(酸価約170、結合材−2のメタアクリル酸成分全体の約5割に不飽和基が反応。以下「結合材−3」と略す。)溶液を得た。
【0064】
<アルミニウム支持体の製造>
アルミニウム板を3%水酸化ナトリウムにて脱脂し、これを11.5g/l塩酸浴中で25℃、80A/dm2 の電流密度で11秒電解エッチングし、水洗後30%硫酸浴中で30℃、11.5A/dm2 の条件で15秒間陽極酸化し、水洗、乾燥して平版印刷版用アルミニウム板(以下「支持体−1」と略す。)を得た。
【0065】
実施例1〜8、比較例1〜3
上記支持体−1上に、下記の光重合性組成物塗布液−1をバーコーターを用いて乾燥膜厚2g/m2 となるように塗布乾燥した。更にこの上に、ポリビニルアルコール水溶液をバーコーターを用いて乾燥膜厚3g/m2 となるように塗布乾燥し感光性平版印刷板を作製した。得られた感光性平版印刷版について下記の項目について評価した。結果を表−1に示す。
【0066】
光重合性組成物塗布液−1
表−1に示す光重合開始剤(表中の数字は添加重量部を示す)
下記エチレン性単量体−1 22 重量部
下記エチレン性単量体−2 22 重量部
下記エチレン性単量体−3 11 重量部
高分子結合材−2 26 重量部
高分子結合材−3 10 重量部
顔料(P.B.15:6) 4 重量部
Disperbyk 161(ビックケミー社製) 2 重量部
旭硝子(株)社製フッ素系界面活性剤S−381 0.3重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート600 重量部
シクロヘキサノン 545 重量部
【0067】
〔エチレン性単量体〕
単量体−1
【0068】
【化9】
【0069】
単量体−2
【0070】
【化10】
【0071】
単量体−3
【0072】
【化11】
【0073】
評価項目
<感 度>
感光性平版印刷版を回析分光照射装置(ナルミ社製、RM−23)を用いて露光した後、無水炭酸ナトリウム0.8重量%、ペレックスNBL(花王(株)社製)3重量%を含む水溶液中に、25℃で30秒浸漬後スポンジで7回擦ることにより現像を行い、得られた硬化画像の高さより、532nmの光線による光硬化に要する光エネルギー量を求めた。
【0074】
<現像性>
感光性平版印刷版を未露光のまま感度の評価の場合と同様にして現像を行う。得られたサンプルにメチルセロソルブ一滴を落とし乾燥させ、最後に現像インク(商品名“SPO−1”コニカ(株)社製)でインク盛りをする。
このとき、全くインクが載らないレベルを○、メチルセロソルブ滴下跡にフリンジが発生するレベルを△、全体にインクが着肉するレベルを×とした。
これは、非画線部の残膜の有無の指標となる。
【0075】
【表1】
【0076】
【化12】
【0077】
【化13】
【0078】
【化14】
【0079】
【化15】
【0080】
実施例9〜12
実施例1で用いた化合物1の代りに表−2記載の化合物5重量部を使用した以外は、実施例1と同様に感光性平版印刷版を作製し、同様に評価を行った。結果を表−2に示した。
【0081】
【表2】
表−2
*:表中の光重合開始剤の成分は下記化合物を示す。
【0082】
【化16】
【0083】
参考例1〜3
前記化合物−1、−2及び−4を、10gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに加え、一時間攪拌し、未溶解物が存在するかどうかを評価した。全く溶け残りのない場合を○、一部未溶解物が存在する場合を×とした。
結果を表−3に示した。
【0084】
【表3】
表 − 3
【0085】
【発明の効果】
本発明の光重合性組成物は、高感度かつ現像性が良好であり、かつ含有される光重合開始剤の溶解性が良好であるため塗布欠陥も生じ難く、特に、画像形成材料として用いた場合に有用である。
Claims (10)
- (A)付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合含有単量体、(B)光重合開始剤及び(C)高分子結合材を含有してなる光重合性組成物において、該光重合開始剤(B)が、(B−1)少なくとも一種のラジカル活性剤と、(B−2)少なくとも一種の下記一般式(I)で示される化合物及び/又はその縮合物を含有することを特徴とする光重合性組成物。
- R1 〜R7 で定義した基が有していても良い置換基が、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基及び水酸基から選ばれることを特徴とする請求項1記載の光重合性組成物。
- 成分(B−2)が、少なくとも1種の一般式(I)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の光重合性組成物。
- 一般式(I)におけるnが、2から5の整数であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光重合性組成物。
- 一般式(I)におけるR 7 が、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基又は置換基を有していても良いアリール基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光重合性組成物。
- ラジカル活性剤が、少なくとも一種のチタノセン類を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光重合性組成物。
- 光重合開始剤が、可視光領域に吸収を持つ増感剤を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光重合性組成物。
- 付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合含有単量体が、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を持つリン酸エステル化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光重合性組成物。
- 基板上に形成される感光性樹脂層上に、更に酸素遮断層を設けた画像形成材料において、感光性樹脂層が請求項1乃至8のいずれかに記載の光重合性組成物から成ることを特徴とする画像形成材料。
- 粗面化及び陽極酸化処理が施され、更に必要により親水化処理が施されたアルミニウム基板上に感光性樹脂層を有する感光性平版印刷版において、陽極酸化処理が硫酸を含む電解液中でおこなわれたものであり、かつ感光性樹脂層が請求項1乃至8のいずれかに記載の光重合性組成物により形成されて成ることを特徴とする感光性平版印刷版。
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