JPH0732827B2 - タコ巻縫いミシンにおける布端の振れ修正装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、ミシンによって二枚の布端をタコ巻縫いす
る際、二枚の布端が常にタコ巻ラッパ入口の一定位置に
入り込むように自動的に案内することにより、タコ巻ラ
ッパ内で正確なタコ巻が形成されるようにしたタコ巻縫
いミシンにおける布端の振れ修正装置に関するものであ
る。

［従来の技術］ 従来、ジーンズや作業ズボンの脇合せにはズボンの前側
布と後側布を強固に継ぐため、第３図に示すようにそれ
ぞれの布端（耳）を横Ｕ字状に引っ掛け形成してその上
部より縫付けたタコ巻縫いが採用されれている。

そして、この縫付け作業は、一般に人手により行なわれ
ており、その作業は、まず二枚のズボン布地の布端を左
右の手でそれぞれ保持しながらミシンの布押えの前に設
けられたタコ巻ラッパに入れ込む。そして、その布地を
タコ巻ラッパにガイドさせながらミシンの布送り方向へ
前進させてタコ巻形成すると共に、そのタコ巻部分を布
押えの下まで移送する。

次いで、このタコ巻部分上に布押えを下げた後、それぞ
れの布端を左右のそれぞれの手で注意深くタコ巻ラッパ
に係合させながらミシン縫いするという全く手動的なも
のであった。

この種の類似した装置としては、実開昭62−120973号公
報の「巻具布寄せ装置」がある。この装置は、ミシンの
布押え足手前に、２段に内向きに折返えされ折込み巻具
を設け、この折込み巻具の上面板開口部に、回転方向が
布送り方向に対して小角度傾いて自由回転する布端案内
用の小径ローラを備えると共に、前記布押え足より前記
巻具の第２折返し点背部に接して布送り方向に突出させ
たガイド棒を備えていた。

しかし、この装置においては予め二枚の布の布端をずら
せて第１工程縫い（縫い目Ａ）を形成した継ぎ合せた布
しか使用することが出来なかった。

又、布端の振れ修正手段としては、特開昭61−206478号
公報の「ミシンの被縫製物案内装置」がある。この装置
は、二枚の布端の振れを電子的な検知手段により布端の
振れを、布の布送り方向を中心として一方又は他方に方
向変更し得るローラを制御して布の振れを修正するもの
であり、これは単にミシンの縫い目の位置を布端に沿っ
てほぼ平行に形成するようにしただけのものであった。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記のような人手作業によるタコ巻縫い作業は非常な労
力と時間が掛り、生産コストの高いものとらっていた。
又、布の布端が直線状ではなく小さな曲線の場合には、
その曲線に沿ってすばやく布を振らなければならず、こ
の人手による作業においてはかなりの熟練を要しないと
布端の急な形状変化に追従できず未熟練者においては正
確なタコ巻縫いが出来なかった。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は上記のタコ巻縫いにおける問題点を前記特開昭
61−206478号公報に記載のローラの振れによる制御原理
を利用して解決したもので、タコ巻ラッパに直接、又は
タコ巻ラッパの手前に配置した布案内ガイドに布端検出
手段を設けると共に、タコ巻ラッパ入口の両外側部に軽
く回転する制御ローラを布表面に接して設け、布の移動
によってこのローラを回転させると共にこの制御ローラ
の方向をミシンの送り方向に対して左右に向きを変える
だけで布地に抵抗を与えずタコ巻ラッパの入口に入り込
む布地を左右方向に制御移動させるようにしたものであ
る。

すなわち、本出願の第１の発明の要旨は、下湾曲ガイド
溝と上湾曲ガイド溝の両湾曲部を互いにからませるよう
に配置したタコ巻ラッパの手前に布端導通用のへの字状
溝を左右点称的に有する布案内ガガイドを設け、この布
案内ガイドの左右のへの字状溝の内面にそれぞれ布端検
出手段を設けると共に、タコ巻ラッパの入口の両外側部
に、布送り方向と同一方向に布の移動によって回転する
左右二つの制御ローラをそれぞれ左右二枚の布の表面に
軽く接触させて設け、左右二枚の布端の布送り方向に対
する左右の振れを前記布端検出手段にて検知し、その信
号により制御ローラの水平な回転支軸を水平方向に適宜
振って左右二つの制御ローラの向きを個々に変えること
により、タコ巻ラッパに入り込む左右二枚の布端を正常
位置に戻すようにしたタコ巻縫いミシンにおける布端の
振れ修正装置であり、第２の発明の要旨は、下湾曲ガイ
ド溝と上湾曲ガイド溝の両湾曲部を互いにからませるよ
うに配置したタコ巻ラッパの両湾曲ガイド溝にそれぞれ
れ布端検出手段を設けると共に、タコ巻ラッパの入口の
両外側部に、布送り方向と同一方向に布の移動によって
回転する左右二つの制御ローラをそれぞれ左右二枚の布
の表面に軽く接触させて設け、左右二枚の布送り方向に
対する左右の振れを前記布端検出手段にて検知し、その
信号により制御ローラの水平な回転支軸を水平方向に適
宜振って左右二つの制御ローラの向きを個々に変えるこ
とににより、タコ巻ラッパに入り込む布端を正常位置に
戻すようにしたタコ巻縫いミシンにおける布端の振れ修
正装置である。

［実施例］ 以下、本発明を、布端検出手段を布案内ガイドに設けた
場合の実施例について図面に基づき説明する。

第１、２図に示すように25は公知の筒型二重環縫ミシン
で、このミシン25は２本の縫い針26とその下方に下向き
のバネ圧力をかけられた布押え金27を有し、この布押え
金27は針の後方に設けられた上下動可能な押え棒28の下
端に少量揺動可能に支持されており、前記ミシン25の縫
合板29上に入れられた布を押圧することにより、針26の
上下動と協働して布を縫合すると共に楕円運動して縫合
板29の上面より出入する布送り歯30と協働して布を後方
へ送るようになっている。

さらに、前記押え棒28の下端には布送り歯30に係合させ
た布送りローラ31が設けられ、このローラ31はミシンの
上軸とエキセンクランク機構（図示せず）を介して連結
されており、前記布送り歯30との間に布をはさんでミシ
ンが作動すると間欠回転して矢印Ｅ方向に布を送るよう
になっている。

一方、縫い針26の手前には、第３図に示すように二枚の
布端Ｍ、Ｍを折り曲げてその折り曲げ端を互いに引っ掛
け重合（以下単に「タコ巻」という）する公知のタコ巻
ラッパ33が設けられ、このタコ巻ラッパ33は第１図に示
すように布送り方向Ｅに沿って布押え金27の直前の出口
34からその後方の入口35まで約40mm長さ有り、その40mm
間に第４図に示すように左方より入れ込まれた布端を上
側に折り曲げる下湾曲ガイド溝36と右方より入れ込まれ
た布端を下側に折り曲げる上湾曲ガイド溝37がその両湾
曲部を互いにからませるように形成されており、このラ
ッパ33の入口35より入れ込まれた左右二枚の布端はラッ
パ33内を進行するに従い上下の湾曲ガイド溝36、37で徐
々に折り曲げられ、ラッパ33の出口34より出る時には、
第３図に示すようなタコ巻Ｔになるようになっている。

そして、このタコ巻ラッパ33の手前には、第１、２図に
示すように布端を検出するための布端検出機構40が設け
られており、この検出機構40は第５図に示すようにミシ
ン筒ベッド24上に、布送り方向に沿って布端導通用のへ
の字状溝42、43を左右点対称的に形成した布案内ガイド
41を設け、その左右のへの字状溝42、43内の両内側面に
それぞれ布端検出手段として例えば発光ダイオード44、
45を設けると共に、その左右のへの字状溝42、43内の両
外側面にはそれぞれの発光ダイオード44、45に対向させ
た二組のホトトランジスター46、47と48、49が設けられ
ている。

尚、この左右の溝42、43のへの字状の形状は水平送りさ
れてくる左右二枚の布端を最終的にタコ巻する前段階
（前処理）としてタコ巻ラッパ33にスムーズに導くため
のものである。

一方、前記タコ巻ラッパ33の入口35の両側上方には、第
１、２図に示すように左右二枚の布端（図示せず）がタ
コ巻ラッパ33の入口35の所定位置に入り込むように案内
するための左右二組の制御ローラ機構50、50が設けられ
ており、この制御ローラ機構は先ず左側の機構50から説
明すると、第２図に示すようにミシン頭部25の前面に直
立板51を設け、この直立板51の上端にエアーローター53
を固定する。そして、このエアーローター53の駆動軸下
端に継手54を介してエアーシリンダー57の後端を連結す
ると共にこのシリンダー57の先端部を前記直立板51の下
部に設けられた軸受52に回転可能に支持する。そして、
このシリンダー57のピストンロッド先端には水平な回転
支軸56を介してミシンの布送り方向Ｅに自由回転可能な
制御ローラ55が設けられており、この制御ローラ55は前
記エアーシリンダー57が突出駆動すると第４図に示すよ
うに前記タコ巻ラッパ33の下湾曲ガイド溝36の入口35の
左側部の水平面38上を移動する布地に軽く接触すると共
に、この制御ローラ55は、第２図に示すように前記エア
ーローター53が回転駆動すると前記エアーシリンダー57
を回転させ、その下端に設けられた水平な回転支軸56を
振ってその向きを変えるように構成されれている。

又、前記エアーローター53は第５図に示すように前記布
端検出機構40の下側のへの字状溝42に設けらた検出部分
から出力さる布端検出信号により制御部を介して駆動す
るように制御されており、布端が第６図の二点鎖線S₁で
示すように左方の逃げ位置へずれた時は、制御ローラ55
の向きを右に変えてこのローラ55に接触している布地を
誘導し、前記タコ巻ラッパ33の入口に入り込む側の布端
を右方へ移動する。

又、布端が第６図の二点鎖線S₂で示すように右方のくい
込み位置へずれた時は、制御ローラ55の向きを左に変え
て前記タコ巻ラッパ33の入口にはいり込む側の布端を左
方へ移動する。

一方、前記左側の制御ローラ機構50の右側には第１、２
図に示すように前記と同様の制御ローラ機構50が対称的
に設けられており、この右側の制御ローラ55はエアーシ
リンダー57が突出駆動すると、第４図に示すようにタコ
巻ラッパ33の上湾曲ガイド溝37の入口35の右側部の水平
面39上を移動する布地に軽く接触すると共に、この制御
ローラ55はエアローター53が回転駆動するとその向きを
変えられるように構成されている。上記の本発明ミシン
の実施例においては前記した構造の動作順序はシーケン
ス制御によりコントロールして行なうものである。

尚、上記実施例においては布端検出手段として発光ダイ
オード44、45及びホトトランジスター46、47と48、49
を、それぞれ布案内ガイド41の左右のへの字状溝42、43
の内面に設けたが、これらをタコ巻ラッパ33の両湾曲ガ
イド溝36、37にそれぞれ直接設けても良いことは言うま
でもない。

［作用］ 最初、作業者が、ミシンの布押え金27を上げて、左右二
枚のズボン布地を保持しながらミシンの筒ベッド24上を
滑らせ、次いでその左右二枚の布地の布端をそれぞれ前
記タコ巻ラッパ33の下湾曲ガイド溝36と上湾曲ガイド溝
37に入れ込むと共に、その手前に配置された布端検出機
構40の左右のへの字状溝42、43に入れ込む。そしてその
左右二枚の布地をタコ巻ラッパの両ガイド溝36、37にそ
れぞれガイドさせながらミシンの布送り方向へ前進させ
て布地の始端をタコ巻形成すると共に、タコ巻始端をミ
シンの針26下まで移送する。

次いで、作業者が布押え金27を下げて前記針26下のタコ
巻始端を押える。

次いで、作業者がミシンの始動をすると前記左右二組の
制御ローラ機構50、50のエアーシリンダー57、57が突出
して前記左右の制御ローラ55、55を下げ、それぞれタコ
巻ラッパ33の入口35の両側部の水平面38、39上に位置す
る左右の布地に軽く接触する。次いで二本の針26が上下
動すると同時に布送り歯30と布送りローラ31が駆動して
前記タコ巻始端より縫い送りを開始する。すると、前記
布端検出機構40が作動し、左右二枚の布端検出作用を開
始する。

そして、このミシンが作動している間、前記検出機構40
のへの字状溝42又は43を通過する布端が前記した逃げ位
置にずれた時はそれぞれのへの字状溝42又は43に設けら
れたホトトランジスター46又は48が検知して制御部を介
して前記エアーローター53又は53を駆動し、左側の制御
ローラ55を右に向け、又は右側の制御ローラ55を左に向
けて左右二枚の布端をそれぞれ第６図（左の布端につい
て示す）の正常位置Ｓまで移動させる。

又、前記の布端が前記したくい込み位置にずれた時は前
記ホトトランジスター47又は49が検知して前記左側の制
御ローラ55を左に向け、又は右側の制御ローラ55を右に
向けて左右二枚の布端をそれぞれ正常位置まで移動させ
るようにしている。

これによりタコ巻ラッパ33に入り込む左右二枚の布端は
ミシン作動中、常にタコ巻ラッパ33入口の一定位置に案
内され、そのラッパ33内を通過した左右二枚の布端は第
３図に示すように安定的にタコ巻Ｔ形成されてミシンの
針26下へ供給される。

次いで、作業者がミシンを停止させると前記エアーシリ
ンダー57、57が引っ込み左右の制御ローラ55、55を上げ
る。

次いで、作業者は新たな二枚の布を前記と同作業にてミ
シンにセットし、ミシンを始動させることにより上記し
た作業をくり返し、自動的に二枚の布地をタコ巻縫いす
る。

尚、布端検出手段をタコ巻ラッパ33に直接設けたものに
おいては、布端の振れ検出装置がミシン針に近い分だけ
小さな曲線のタコ縫いの場合でも確実な制御が行なえ
る。

［発明の効果］ 本発明においては、軽く回転可能な左右二つの制御ロー
ラがそれぞれ左右二枚の布の表面に軽く接触しており、
左右二枚の布の移動に伴って回転するため布に対して抵
抗がほとんど加わらず伸びが生じない。又、タコ巻ラッ
パに入り込む左右二枚の布端が、逃げ位置又はくい込み
位置へずれた時は光電センサー等の布端検出手段により
布端の左右の振れを検知し、この振れに応じて単に左右
二つの制御ローラの向きを個々に変えるだけという簡単
な機構により布に大きな抵抗を与えず布端を正常位置に
戻して正確なタコ巻を得ることが出来る。

又、本発明によれば最初に作業者が二枚のズボン布地の
布端をタコ巻ラッパ33に係合させてタコ巻始端を形成
し、そのタコ巻始端をミシンにセットするだけで、タコ
巻ラッパ33に入り込む二枚の布端の左右の振れ検知、二
枚の布端の左右の振れ修正、二枚の布端のタコ巻、タコ
巻の縫付けを自動的に行ない、第３図に示すような正確
なタコ巻Ｔ縫いを形成することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明におけるタコ巻縫いミシンの平面図、第
２図は第１図の左側面図、第３図は布端をタコ巻した形
態を示す説明図、第４図はタコ巻ラッパと本発明の制御
ローラの正面図、第５図は本発明の布端検出機構の正面
図、第６図は本発明の布端検出機構の作動態様を示す説
明図である。 図中、33はタコ巻ラッパ、36、37はタコ巻ラッパの湾曲
ガイド溝、41は布案内ガイド、42、43は案内ガイドのへ
の字状溝、44、45は発光ダイオード、46、47、48、49は
ホトトランジスター、55は制御ローラ、56は回転支軸で
ある。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下湾曲ガイド溝と上湾曲ガイド溝の両湾曲
   部を互いにからませるように配置したタコ巻ラッパの手
   前に布端導通用のへの字状溝を左右点対称的に有する布
   案内ガイドを設け、この布案内ガイドの左右のへの字状
   溝の内面にそれぞれ布端検出手段を設け、ミシン頭部の
   前面左右に垂直配置された上下及び回転可能なピストン
   ロッドの先端に水平な回転支軸を介して布送り方向と同
   一方向に布の移動によって回転する制御ローラを設ける
   と共に、この左右二つの制御ローラをタコ巻ラッパの入
   口の両外側部に、それぞれ左右二枚の布の表面に軽く接
   触させて設け、左右二枚の布端の布送り方向に対する左
   右の振れを前記布端検出手段にて検知し、その信号によ
   り制御ローラの水平な回転支軸を水平方向に適宜振って
   左右二つの制御ローラの向きを個々に変えることによ
   り、タコ巻ラッパに入り込む左右二枚の布端を正常位置
   に戻して、正確なタコ巻を形成するように構成したこと
   を特徴とするタコ巻縫いミシンにおける布端の振れ修正
   装置。
2. 【請求項２】下湾曲ガイド溝と上湾曲ガイド溝の両湾曲
   部を互いにからませるように配置したタコ巻ラッパの両
   湾曲ガイド溝にそれぞれ布端検出手段を直接設けると共
   に、タコ巻ラッパの入口の両外側部に、ミシン頭部の前
   面左右に垂直配置された上下及び回転可能なピストンロ
   ッドの先端に水平な回転支軸を介して布送り方向と同一
   方向に布の移動によって回転する制御ローラをそれぞれ
   左右二枚の布の表面に軽く接触させて設け、左右二枚の
   布端の布送り方向に対する左右の振れを前記布端検出手
   段にて検知し、その信号により制御ローラの水平な回転
   支軸を水平方向に適宜振って左右二つの制御ローラの向
   きを個々に変えることにより、タコ巻ラッパに入り込む
   左右二枚の布端を正常位置に戻して、正確なタコ巻を形
   成するように構成したことを特徴とするタコ巻縫いミシ
   ンにおける布端の振れ修正装置。