JPH073163A - 無溶剤のオルガノシロキサン液組成物とその用途 - Google Patents

無溶剤のオルガノシロキサン液組成物とその用途

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JPH073163A
JPH073163A JP5248358A JP24835893A JPH073163A JP H073163 A JPH073163 A JP H073163A JP 5248358 A JP5248358 A JP 5248358A JP 24835893 A JP24835893 A JP 24835893A JP H073163 A JPH073163 A JP H073163A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 無溶剤のオルガノシロキサン液組成物とその
用途を提供する。 【構成】 液状オルガノポリシロキサン(A) 、架橋剤
(B) 、硬化促進剤(C) の三成分からなる混合液組成物で
あって;液状オルガノポリシロキサン(A) が有機ケイ素
基であるX・Si基(Xは水素原子もしくは一価炭化水素
基)と官能性側鎖であるOR基(R は水素原子もしくはC1
からC5のアルキル基)で構成される化合物であり、架橋
剤(B) が一価有機基と少なくとも1個のアルコキシ基、
アシロキシ基もしくはオキシム基機能団を有する有機金
属化合物の1種または2種以上の組み合わせであり、硬
化促進剤(C) が含金属有機化合物であり、且つ三成分か
らなる混合液組成物が含有する全金属元素成分が酸化物
基準で表わして25重量%以上40重量%未満の範囲で含有
されていることを特徴とする無溶剤のオルガノシロキサ
ン液組成物とその用途。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液状オルガノポリシロ
キサンを主成分とする無溶剤のオルガノシロキサン液組
成物とその用途に関するもので、より詳しくは、膜ない
しは繊維、塗料もしくは結着剤、複合構造体、複合シー
トあるいは建材に応用されるポリシロキサン結合を主鎖
とした柔軟性に優れたシロキサン硬化体が、300 ℃以下
の水もしくは熱との接触により形成される無溶剤のオル
ガノシロキサン液組成物とその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から有機高分子化合物を取り扱う時
には、有機溶剤の存在は重要である。特に、塗料におけ
る溶剤の役割は重要で、その使用量から見ても塗料用素
材の45ないし50%を溶剤が占められており、その種類も
主要なものだけで50種類以上が挙げられている。特に有
機溶剤は、塗膜形成材料を溶解分散せしめて流動性を与
え、塗装適性ならびに塗膜形成適性を与える上で重要
で、欠かすことのできない素材である。このように有機
溶剤は有機高分子化合物、特に塗料にとっては切っても
切れない縁にある。しかるに、有機溶剤は可燃性が高く
危険物取扱指定を受けており、しかも人体が有機溶剤と
接すると各種の障害症状(例えば、麻酔作用、中枢神経
系や自律神経系障害、肝臓や腎臓障害、皮膚や眼の炎症
等)の発生があり、その取り扱いには充分な管理と注意
が求められている。
【0003】このように可燃性危険物であり、人体への
障害症状を発生させる有害な有機溶剤を、生活環境で汎
用されている商品に使用したり提供することは、地球環
境を保全して守っていく上から許されることではない。
したがって、塗料等の分野でも無溶剤の塗料の開発が強
く望まれている。しかし、無溶剤塗料としては水系エマ
ルジョン塗料や粉体塗料が開発されてはいるが、これら
塗料では未だ充分な塗膜性能が得られず満足されていな
い。
【0004】一般に、ワニス、塗料、接着剤、繊維等の
材料は有機樹脂類を主原料に構成されている。しかる
に、近年変化していく生活環境の中で、不燃・難燃性で
無公害が求められる分野はますます広範囲となってい
る。こうした中で、塗料等は危険で公害等の弊害性を有
する有機溶剤を使用していることと共に、主原料の有機
樹脂類が熱や火に弱く、燃えやすいことが問題視されて
いる。こうした欠点を持たず無公害で地球環境に優しい
代替製品の開発が強く求められている。
【0005】-Si-O-結合を有するシロキサン化合物は熱
や光さらに酸化等に強く、耐候性に優れ、耐熱性である
ことから、以上の要望に答える研究材料として広く取り
上げられてきた。その成果は一部実用化されている。そ
の研究成果の代表例ならびに従来技術の問題点を塗料や
被覆材分野を中心に以下に列挙する。オルガノシロキサ
ンを塗料に応用したポピュラーな例として、第二次大戦
中に開発されたジンクリッチペイントが挙げられる。こ
のペイントはほぼ同量のイソプロピルアルコール溶剤で
希釈されたテトラエトキシシラン等の加水分解物に約2
倍量の亜鉛粉末を配合した塗料で、この塗料は常温乾燥
で塗膜を形成する防錆塗料として汎用されている。
【0006】オルガノシロキサンもしくはその変性オル
ガノシロキサンの重合体、さらに各種の有機化合物との
共重合体を、それ自体や他の各種有機樹脂類と共に有機
溶剤に一旦希釈して塗料化することは、当業界における
常套手段であり、大半の技術がこの常套手段の応用とし
て開発されている。例えば、同量以上の溶剤共存下の変
性テトラアルコキシシランを造膜剤として調製し、これ
を塗布後自然乾燥もしくは熱風乾燥して耐熱性で防錆性
の塗料とする技術が特公昭63-28942号公報に、オルガノ
シロキサンを有機溶媒中で塗料化し、常温もしくは加熱
下に造膜させる技術が、例えば、特公昭63-58191号公報
等に開示されている。
【0007】有機化合物(有機樹脂類)とオルガノシロ
キサンとを単に複合化させて被覆材等に応用する技術例
も大変多く、その大半が加熱により造膜を行っている。
その代表的例として、テトラエトキシシランとメチルト
リエトキシシランをポリビニルブチラールブチル化メチ
ロールメラミンに混合して塗布し、塗布体を130 ℃に加
熱して塗膜を得ている方法が特公昭55-41274号公報等に
開示されている。オルガノシロキサンを耐熱塗料の塗膜
剤に利用しようとする研究は多く、その代表例として、
耐熱性の無機質材料(リン酸アルミニウム、モリブデン
酸亜鉛、炭酸カルシウム、ケイ酸塩亜鉛粉末等)50ない
し80重量%にわずかのアルミニウムキレート化合物を加
え、これに変性シリコーン樹脂20ないし50重量%加えた
塗料を基材に塗布後180 ℃で焼き付けて耐熱被覆する技
術として特公昭63-35183号公報を挙げることができる。
【0008】純粋なオルガノシロキサンを応用している
例としては、オルガノポリシロキサン、有機錫化合物、
揮発性ジメチルポリシロキサンからなる耐久性で汚れ防
止の透明膜を調製している技術(特開平3-68676)等を挙
げることができる。硬化促進剤として用いる含金属有機
化合物をポリマー形成母体のオルガノシロキサン中で安
定に共存させるために、ケト・エノール型互変異性化合
物を組み合わせる技術が、分子内にカルボキシル基を有
する線状共重合体とアルミニウムアルコラート錯化合物
と溶剤との混合組成物の例で特公昭48-17859号公報に開
示されている。また、同様の技術は、一部アルコキシシ
ラン基もしくはヒドロキシシラン基を反応させたイソシ
アネート基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基およ
びアミノ基の官能基を有する樹脂とエポキシ樹脂を有機
溶剤併用の許でキレート化合物の硬化剤を用いるに際
し、ケト・エノール型互変異性化合物を併用する技術が
特開平1-129066号公報に開示されている。
【0009】一液タイプのオルガノシロキサン組成物を
常温で硬化させる技術については米国特許3,294,739
号、米国特許3,647,917 号や米国特許4,111,890 号に記
載されている。しかるにこれらの特許には、組成物中に
含有されるケイ素等の金属元素濃度を特定範囲に限定し
て、金属元素が高濃度の場合の生ずる硬化体の無機質的
固さや脆さを改善し、硬化体に柔軟性を付与せしめ、さ
らに基材等への付着追随性を向上させる技術の開示はな
い。
【0010】またさらに、これらの硬化体をコーティン
グ材料の塗料等に限らず、建材、シート、繊維等に形成
せしめて柔軟性あるシロキサンポリマー材料として応用
している技術の開示はない。本発明者は、すでに無溶剤
のオルガノシロキサン組成物に種々の特定条件を与え、
常温もしくは加熱下で硬化せしめ、塗膜や結着体等の各
種有効用途に供せられるポリマー組成物に関する発明
(特願平4-180127号、特願平4-36273 号)を行ってき
た。
【0011】これらの発明技術では、無溶剤の液状オル
ガノシロキサン組成物中の全金属元素濃度を MOy/2酸化
物基準で表わして40重量%以上含有していることを特徴
としているが、その後、前記発明を追試する過程で、全
金属元素濃度が40重量%未満のオルガノシロキサン液組
成物が、金属元素が高濃度の場合の生ずる硬化体の無機
質的固さや脆さを改善し、硬化体に柔軟性を付与せし
め、さらに基材等への付着追随性を向上させるという知
見を得、本発明を完成するに至った。
【0012】
【発明が解決しようとする問題点】本明細書では、本発
明の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物が、300 ℃以
下の水もしくは熱との接触により生成するポリシロキサ
ン結合を主鎖とするシロキサン硬化体を「シロキサンポ
リマー組成物」と略記することがある。また、本明細書
では、以下アルミニウム、ホウ素、ケイ素、チタン、ジ
ルコニウム、亜鉛、コバルトの金属元素元素濃度もしく
は含有量を酸化物基準の重量%で表現するに際して、そ
の表示を省略して「MOy/2 重量%」で示すことがある。
また、本明細書で用いる「付着追随性」とは、ポリマー
材料を基材(鋼板等金属、アスベスト板等セメント製
品、木材等)に塗布、被覆、接着等の施工で付着せしめ
自然環境下に長期暴露された時、その長期の自然環境下
で起る基材の膨張収縮等の変化に追随して付着・密着が
達成されており、付着が破壊されない状態を云う。
【0013】また本明細書で用いる以下の用語は次のよ
うに定義され、後述する発明の具体的説明で詳細に述べ
る。本発明でいう「シロキサンポリマー組成物」とは、
以下に定義する形状ポリマー組成物および付着性ポリマ
ー組成物、ならびに複合構造体、複合シートおよび建材
を構成しているシロキサン硬化体を総称していう。「形
状ポリマー組成物」とは、本発明のオルガノシロキサン
液組成物が単独で膜状、薄板のシート状、繊維状、紐
状、塊状、球状、角状等ないしは特定された形状に維持
された形状体でシロキサン硬化体を形成するポリマー組
成物をいう。「付着性ポリマー組成物」とは、本発明の
オルガノシロキサン液組成物が塗料・ワニス、下地材や
ある程度の肉厚を有する被覆保護材、さらに接着剤、バ
インダー、目地剤、ならびに各種骨材等の固め剤やまと
め剤、さらにセメンティング材やアンカー固定材等の用
途で各種基材表面や内部に使用されて、該基材に付着し
た塗膜や結着体でシロキサン硬化体を形成するポリマー
組成物をいう。
【0014】「複合構造体」とは、本発明のオルガノシ
ロキサン液組成物が、ハニカム状、塊状、板状、網状、
繊維状、布状等の各種基材から成る補強剤、骨材、成型
体、構造加工体等と一体化した複合体をシロキサン硬化
体の仲介により形成している構造体をいう。「複合シー
ト」とは、本発明のオルガノシロキサン液組成物が膜
状、網状、ネット状、布状、織物状等のシート母体に塗
布含浸された状態でシロキサン硬化体が形成しシート状
に一体化しているシートをいう。「建材」とは、本発明
のオルガノシロキサン液組成物が鉄等の金属製品、セメ
ント等によるコンクリート製品、窯業セラミック・粘土
類製品、ホーロー製品、天然素材による木・竹等の製品
やその合成加工製品等の建築資材表面に塗装された状態
でシロキサン硬化体を形成させている建材をいう。
【0015】以上の従来技術に見られるように、オルガ
ノポリシロキサンをシロキサンポリマーとして塗料等へ
応用する技術は、塗膜・造膜性能、溶剤による希釈性
能、塗布後の乾燥性等に優れている-C-C- 結合を主鎖と
する有機質ポリマーや有機樹脂類を主たる材料とし、こ
れら有機化合物の塗料への応用において、その欠点を補
う目的でシロキサン化合物を補足付加させる方法・技術
から始まっている。したがって、これらの従来技術で
危険・障害性を有する有機溶剤の併用は避けられず、オ
ルガノシロキサンを主材にして無溶剤で不燃・難燃性の
膜や繊維等の形状ポリマー組成物、塗料や接着剤等の付
着性ポリマー組成物等のシロキサンポリマー組成物を積
極的に製造し、商品化していない。また一方、ケイ素元
素等の無機質成分濃度を高濃度にして不燃・難燃性や固
さを強調した製品の開発も行われてきた。しかるに、含
有するケイ素等の金属元素濃度を特定範囲に限定してシ
ロキサンポリマー組成物に柔軟性を付与し、基材等への
付着追随性を向上せしめるための工夫が施された技術は
見られない。
【0016】本発明者は、従来から使用されてきたポリ
マーが膜、繊維、塗料、被覆材、結着剤、構造体、シー
ト、建材等に応用される時、これらのポリマーが下記の
諸問題点を基本的に抱え、地球の環境保全と省エネルギ
ー・省力化に配慮した技術の克服が欠如していることに
まず着目した。 1).-C-C-結合を主鎖とする有機化合物を主材とするポリ
マーでは; (a) 危険・障害性を有する有機溶剤の使用が避けられな
い。 (b) 熱や火による酸化に対して大変弱い。 (c) 燃えた時、有毒・有害ガスを発生する。 (d) 耐候性に大変乏しい。 2). 不燃性の-Si-O-結合を主鎖とするケイ素化合物を主
材とするポリマーでは; (a) フレキシビリティがなくて固く、柔軟性に欠ける。 (b) アルカリ金属元素との反応性が強く、耐アルカリ性
に乏しい。 (c) 水硬性による-Si-O-結合硬化体では細孔が生成し耐
透水性に欠ける。 (d) 有機系材料に無機-Si-O-結合材料は密着性がなく、
重ね塗りできない。 以上に加えて本発明者は、先に示した発明技術(特願平
4-180127 号、特願平4-36273号)では、基材に起る膨
張収縮等の変化に追随し得る付着性の確保に充分な注意
が払われていなかったことに注目した。
【0017】本発明者は、シロキサン結合(Si-O結合)
が基本的に(a) 原子間結合エネルギーは大きく熱や光ま
た酸化等に強いこと、(b) 紫外線領域における波長吸収
が小さいく耐候性に優れていること、(c) 原子間結合距
離が長くて電子密度が低く結合回転が容易で、屈曲性が
大きくいこと等の特長を有していることを前提に、その
応用利用、特に自然環境下に長期に暴露される基材へに
応用されるオルガノポリシロキサン組成物について鋭意
実験・研究を重ねた結果、特定されたオルガノシロキサ
ンの液組成物を調製する時は下記の特性が発揮されるこ
とを見出した。
【0018】特定されたオルガノポリシロキサン液と
有機金属化合物の架橋剤ならびに硬化促進剤から構成さ
れる液組成物は無溶剤で液状組成物が維持されること。 特に、オルガノシロキサン液組成物中の全金属元素を
MOy/2酸化物基準で表わして25重量%以上40重量%未満
の量範囲に管理する時は、耐熱性が確保されてなお生成
ポリマーの脆さが解消され、長期暴露時における基材と
の付着追随性を効果的に発揮するシロキサンポリマー組
成物が形成されること。 前記の特定されたオルガノシロキサン液組成物に含金
属有機化合物を共存させ、熱もしくは水と接触させると
湿気硬化機構により上記の有効なシロキサン硬化体のポ
リマーが形成されること。 前記の特定されたオルガノシロキサン液組成物にB-O
結合、Ti-O結合、Zr-O結合等が包含される時は、-Si-O-
結合を主鎖とするポリマーに従来にない高機能性能が付
加されること。
【0019】
【発明の目的】本発明の目的は、湿気硬化により生成す
る柔軟性で、耐熱性で耐久性に優れたシロキサンポリマ
ー組成物を、膜や繊維、塗料・ワニスや接着剤、複合構
造体、複合シート、建材に有効に応用するために、地球
環境に優しい無溶剤の特定された素材で、従来技術では
達成されなかった上記の諸問題を技術的に解消している
オルガノシロキサン液組成物を提供することにある。
【0020】
【問題点を解決するための手段】本発明によれば、液状
オルガノポリシロキサン(A) 、架橋剤(B) および硬化促
進剤(C) の三成分からなる混合液組成物であって;液状
オルガノポリシロキサン(A) が有機ケイ素基であるX・Si
基(X は水素原子もしくは一価炭化水素基)と官能性側
鎖であるOR基(R は水素原子もしくはC1からC5のアルキ
ル基あるいはアシル基)で構成される低分子量のポリシ
ロキサン化合物からなり、架橋剤(B) が一価有機基と少
なくとも1個のアルコキシ基、アシロキシ基もしくはオ
キシム基機能団を有する有機金属化合物の1種または2
種以上の組み合わせからなり、硬化促進剤(C) が含金属
有機化合物の1種または2種以上の組み合わせからな
り、且つ該三成分混合液組成物の全金属元素濃度が MO
y/2酸化物基準(M は金属元素、y は金属元素の価数)
で表わして25重量%以上40重量%未満の範囲である無溶
剤のオルガノシロキサン液組成物が提供される。
【0021】本発明によれば、前記の液状オルガノポリ
シロキサン(A) が、下記一般式 (1) (式中:R1は水素原子もしくはC1からC5のアルキル基;
R2ないしR6はそれぞれが水素原子、 OR1基もしくは一価
炭化水素基より選ばれた同一もしくは異なる基、n は15
より小さい数)で表わされる化合物の1種または2種以
上の組み合わせで構成される低分子量のポリシロキサン
であり、且つ該液状オルガノポリシロキサン中のケイ素
濃度をSiO2酸化物基準で表わして50重量%以上である無
溶剤のオルガノシロキサン液組成物が提供される。
【0022】また本発明によれば、前記の架橋剤(B)
が、下記一般式 (2)もしくは(3) R7 pN・(OR1)3-p ・・・・・・・・・・・ (2) R7 mQ・(OR1)4-m ・・・・・・・・・・・ (3) (式中:N はアルミニウムまたはホウ素元素;Q はケイ
素、チタンまたはジルコニウム元素;R1は水素原子もし
くはC1ないしC5のアルキル基;R7は水素原子、OR1基もし
くは一価有機基より選ばれた基;p は2 以下の整数;m
は3 以下の整数)で表わされる有機金属化合物の1種ま
たは2種以上の組み合わせからなる化合物である無溶剤
のオルガノシロキサン液組成物が提供される。本発明に
よれば、前記の架橋剤(B) が、少なくともアミノ基を有
する一価の有機基で構成されるオルガノトリアルコキシ
シランである無溶剤のオルガノシロキサン液組成物が提
供される。本発明によれば、前記の架橋剤(B) が、70重
量%以下の量で配合されている無溶剤のオルガノシロキ
サン液組成物が提供される。
【0023】本発明によれば、前記の液状オルガノポリ
シロキサン(A) もしくは架橋剤(B)の単独または混合組
成物に、官能性側鎖のOR基(R は水素原子、C1ないしC5
のアルキル基あるいはアシル基)を有する固体シリコン
レジンが70重量%以下の量で溶解されてる無溶剤のオル
ガノシロキサン液組成物が提供される。本発明によれ
ば、前記の液状オルガノポリシロキサン(A) もしくは架
橋剤(B)の単独または混合組成物に、アシル基を有する
線状有機高分子化合物の熱可塑性樹脂が30重量%以下の
量で溶解されている無溶剤のオルガノシロキサン液組成
物が提供される。
【0024】本発明によれば、前記の三成分からなる混
合液組成物100 重量部に対し、活性剤、充填剤、顔料、
着色剤の群より選ばれた1ないし2種以上の組み合わせ
填剤(D) が1 ないし 500重量部の範囲で予め複合配合さ
れている無溶剤のオルガノシロキサン液組成物が提供さ
れる。本発明によれば、前記の活性剤が、ホウ酸含有化
合物、クロム酸含有化合物もしくはリン酸含有化合物の
1または2種以上の組み合わせ粉末である無溶剤のオル
ガノシロキサン液組成物が提供される。
【0025】本発明によれば、前記の硬化促進剤(C)
が、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、ジルコニ
ウムまたは錫元素を含有する含金属有機化合物の群より
選ばれた1ないし2種以上の組み合わせからなる化合物
である無溶剤のオルガノシロキサン液組成物が提供され
る。本発明によれば、前記の硬化促進剤(C) 中に、アル
キル基またはトリフルオロ基を有するβ−ケト酸エステ
ル、β−ジケトン化合物およびマロン酸エステルの群よ
り選ばれた1ないし2種以上の組合わせからなるケト・
エノール型互変異性化合物が50重量%以下の量で配合さ
れて硬化促進反応がブロッキングされている無溶剤のオ
ルガノシロキサン液組成物が提供される。
【0026】本発明によれば、前記の硬化促進剤(C) 中
に、一価もしくは多価のアルコールの群より選ばれた1
ないし2種以上の組合わせからなるアルコール類が50重
量%以下の量で配合されて硬化促進反応が遅延されてい
る無溶剤のオルガノシロキサン液組成物が提供される。
本発明によれば、前記のケト・エノール型互変異性化合
物またはアルコール類が配合された含金属有機化合物も
しくは単独の含金属有機化合物からなる硬化促進剤(C)
が10重量%以下の量で配合されている無溶剤のオルガノ
シロキサン液組成物が提供される。
【0027】本発明によれば、前記の液状オルガノポリ
シロキサン(A) 、架橋剤(B) 、シリコーンレジンや熱可
塑性樹脂さらに填剤(D) の単独もしくは混合あるいは複
合液組成物を、予め水非存在下の 100℃以下で10分以上
の養生工程に付して含有水分もしくはシラノール基を除
去した後、ついで硬化促進剤(C) が配合された一液保存
性可能な無溶剤のオルガノシロキサン液組成物が提供さ
れる。
【0028】また本発明によれば、前記の無溶剤のオル
ガノシロキサン液組成物が、300 ℃以下の水もしくは熱
との接触により生成するポリシロキサン結合を主鎖とす
る独立形状のシロキサン硬化体で形成される形状ポリマ
ー組成物が提供される。また本発明によれば、前記の無
溶剤のオルガノシロキサン液組成物が、300 ℃以下の水
もしくは熱との接触により生成するポリシロキサン結合
を主鎖とする塗膜や結着体で形成される付着性ポリマー
組成物が提供される。
【0029】また本発明によれば、前記の無溶剤のオル
ガノシロキサン液組成物 100重量部に対し、1 ないし20
00重量部範囲で補強材、骨材ないしは成型体の群より選
ばれた1ないし2種以上の組合わせ材料が予め混合され
た複合物が、300 ℃以下の水もしくは熱との接触により
生成するポリシロキサン結合を主鎖とするシロキサン硬
化体で一体化される複合構造体が提供される。また本発
明によれば、前記の無溶剤のオルガノシロキサン液組成
物を布状もしくはネット状シート母体に塗布含浸し、30
0 ℃以下の水もしくは熱との接触により生成するポリシ
ロキサン結合を主鎖とするシロキサン硬化体でシート状
に一体化される複合シートが提供される。また本発明に
よれば、前記の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物を
板状もしくは特定形状の建材母体表面に塗布し、300 ℃
以下の水もしくは熱との接触により生成するポリシロキ
サン結合を主鎖とするシロキサン硬化体で塗装される建
材が提供される。
【0030】
【作 用】本発明で重要なことは、シロキサンポリマー
組成物の原料として有害な溶剤を共存せしめることなく
施工作業性良好なオルガノポリシロキサンを主材とする
液組成物を調製し、硬化生成するシロキサンポリマー組
成物に有効な諸物性を発揮させ、本発明目的の各用途に
有効なポリマーとして提供することにある。本発明の生
成シロキサンポリマー組成物を不燃・難燃性で耐熱性に
優れた製品とするためには、燃えやすい溶剤成分を排除
し、熱に弱い有機成分濃度を低く抑えて含有金属元素濃
度、特にケイ素濃度を高めておく必要がある。一方、含
有金属元素濃度を高めすぎると、生成シロキサンポリマ
ー組成物の物性が限りなく無機質的物性、例えばガラス
や陶磁器に見られるような固くて割れやすく、粘りがな
く脆くなる傾向にある。したがって、製品に求められる
柔軟性や基材に対する付着追随性が損なわれ、本発明の
目的を達成することができない。
【0031】本発明の目的である柔軟性で、長期暴露で
の付着追随性に優れ、しかも耐熱性のあるシロキサンポ
リマー組成物を得るためには、無機質的物性の欠点を補
い改善する必要がある。本発明者は、不燃・難燃性で耐
熱性に優れた無機的性質を持ちながら、有機的性質の柔
軟性や付着追随性を有する材料を開発するために鋭意研
究を重ねた。その結果、重合度を特定範囲に維持して液
状でケイ素濃度を一定量以上に確保し、有機ケイ素の有
機基が一価炭化水素基で、一方官能基が水素原子もしく
はアルコキシ基である液状オルガノポリシロキサン(A)
に、同様に特定された架橋剤(B) と硬化促進剤(C) とが
配合された三成分からなる混合液組成物において、含有
全金属元素濃度を MOy/2酸化物基準で表わして、25重量
%以上40重量%未満の量範囲に管理する時は、一般的無
機質材料に見られる固さや脆さが改善され、特に長期暴
露における基材の膨張収縮に効果的に追随できる付着性
を有し、一般有機樹脂類からなるポリマー製品に比べ、
不燃・難燃性で耐熱等の特性はなお高いレベルに維持さ
れるシロキサンポリマーが形成できる無溶剤のオルガノ
シロキサン液組成物を見出した。
【0032】Si-O結合に有機ケイ素基と官能性側鎖であ
るOR基を保有するオルガノシロキサンとして、炭素数の
最も少ないメチルトリメトキシシラン[CH3Si(OCH3)3]を
例に挙げると、このケイ素濃度はSiとして20.6重量%で
あり、SiO2換算で44.1重量%に相当する。これより炭素
数の多いメチルトリメトキシシラン[C2H5Si(OC2H5)3]の
ケイ素濃度はSiとして14.6重量%であり、SiO2換算で3
1.2重量%と低い値に相当する。当然のことながら先に
示した一般式 (1)においてR1ないしR6基の炭素数が多い
オルガノポリシロキサン(A) を選べば有機成分の占める
割合はさらに増加し、ケイ素濃度は減少することは容易
に理解される。
【0033】無溶剤で液状が保持できるオルガノポリシ
ロキサン(A) のケイ素濃度をSiO2換算で50重量%以上、
好適には53重量%以上の高濃度に維持するためには、オ
ルガノシロキサンをオリゴマー以上に重合させることに
よって可能である。即ち先に示した一般式(1) の[-Si-O
-]n 項のn を少なくとも2 以上のポリマーとしておくこ
とによって成立する。例えば、上記で示したSiO2濃度4
4.1重量%のメチルトリメトキシシラン2 モルを脱アル
コールによる縮合反応させダイマーとした場合のケイ素
濃度はSiとして24.7重量%であり、SiO2換算で53.0重量
%に相当することになり、縮合反応によりケイ素濃度は
増加し高濃度側にシフトすることが容易に理解される。
【0034】しかし一方、n の数が大きくなり重合度が
大きくなってしまうと、オルガノポリシロキサン(A) の
液粘性が向上してしまい、液粘性調整するための有機溶
剤等の希釈剤添加なしで塗料等としての良好な施工作業
性を確保することは困難となる。しかも、本発明が地球
環境に優しい素材と方法を採用することを目的とし、各
種の弊害を起こす有機溶剤を使用しない立場にあること
から、有機溶剤による希釈手段を採用することはできな
い。したがって、本発明の組成物に良好な液状態を確保
し、施工作業性を保証するためには、オルガノポリシロ
キサン(A) のケイ素濃度や重合度にも自ずと上限が生じ
てくる。
【0035】本発明で用いる液状オルガノポリシロキサ
ン(A) は、有機基が酸素を介さずケイ素に直接結合して
いる有機基を保有していることが、無機系シロキサン結
合からなるポリマーの物性と異なる点で重要である。特
に無機系シロキサン結合によるポリマーが持たない柔軟
性、付着追随性、撥水性、耐透水性ならびに耐アルカリ
性の物性を有効に発揮させるためには、シロキサン結合
を十分にカバーできる大きさの有機基、例えば、アルキ
ル基、フェニル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ
基、アミノアルキル基等からなる一価炭化水素基の有機
基を有していることが大切である。特に有機基にアルキ
ル基やフェニル基が好適である。
【0036】従来技術では無機系ならびに有機系を問わ
ず-Si-O-結合を有する化合物は耐アルカリ性が乏しかっ
た事実に比べ、本発明によるポリマー硬化体が-Si-O-結
合を主体としていながら、後述する実施例にも示されて
いるように、優れた耐アルカリ性を示すことは驚きに値
する。その理由については定かでないが、上述してきた
ように、本発明のポリマー硬化体が特定化された架橋
化反応で緻密で強固な網目構造を形成していること、
しかもSi-O結合が約22Å2 の平均面積を有しているのに
対し、例えば-CH3結合は約12Å2 の平均面積を有してい
ることから、少なくとも-CH3結合を2個有している時は
Si-O結合を面積的にも充分にカバー保護し得ること、以
上のことから本発明のシロキサンポリマー組成物は耐ア
ルカリ性を示すものと思われる。
【0037】さらに、本発明シロキサンポリマー組成物
の基本骨格となるSi-O結合は、既にポリマー状の -Si-O
-Si-結合をある程度形成しているオルガノポリシロキサ
ン液であることが、そのSiO2濃度を高めるだけでなく、
求めるポリマー骨格の基本構造を確定させ、目的とする
シロキサン硬化体の構造形態をある程度予測することが
でき、求めるシロキサンポリマー組成物の物性を予測し
得る上で重要である。さらにまた、加熱硬化により短時
間でシロキサン硬化体を形成させようとする時は、ある
程度縮合反応が進んでいるポリマー、一般式 (1)の nが
2以上のオリゴマーもしくは低分子量のポリマーを原料
に選ぶことが有効である。
【0038】本発明のシロキサン液組成物を常温ないし
は300 ℃の範囲で有用なポリマーに形成させるためるに
は、液状態を構成しているオルガノポリシロキサンなら
びに有機金属化合物(架橋剤)の種類、内容、特に有機
ケイ素基、水酸基もしくはアルコキシ基の種類と組成、
ケイ素濃度、重合度合、養生工程、配合される含金属有
機化合物の触媒作用等を慎重に選択・管理コントロール
することが必要である。
【0039】しかも、ここに形成したポリマーが有用な
物性を有効に発揮しするなポリマー硬化体とするために
は、三次元に広がった網目状ポリマーを緻密で丈夫に形
成させる必要がある。しかるに例えば、オルガノシロキ
サンの官能基が2個以下である場合、線状ポリマーのみ
が形成されたり、ポリマーの末端官能基部分だけでの重
合に終り、三次元に広がった網目状ポリマーを形成させ
ることはできない。緻密で丈夫な三次元の網目状ポリマ
ーを形成させるためには、基本骨格母体となるオルガノ
ポリシロキサンの中間ポイント・ポイントで少なくとも
3個の官能基を有する架橋剤により、架橋や交差による
結合を上下・左右の三次元方向で進行せしめ、線上や平
面でなく立体的に広がった構造体を形成させる必要があ
る。
【0040】したがって、用いる架橋剤が果す役割が重
要で、この役割を有効に果たす架橋剤として、一般式
(2) [R7 pN・(OR1)3-p] 、もしくは一般式(3)[R7 mQ・(OR1)
4-m](式中:N は3価のアルミニウムまたはホウ素元
素;Q は4価のケイ素、チタンまたはジルコニウム元
素;R1は水素原子もしくはC1ないしC5のアルキル基;R7
は水素原子、OR1基もしくは一価有機基より選ばれた基;
p は2 以下、m は3 以下の整数)で表わされ、-OR の反
応性官能基を有している有機金属化合物が有効であるこ
とを見出した。
【0041】さらに、本発明者は、本発明の架橋剤(B)
において、その一価有機基にアミノアルキル基を有する
架橋剤を選ぶ時には、その塩基性アミノ基が配合される
酸性の硬化促進剤と中和反応による発熱を起し、縮合ポ
リマー化に必要な脱アルコール反応が促進させることを
見出した。この特性は、常温硬化反応において、早期に
ポリマー諸物性発現を必要とする時には特に有効であ
る。
【0042】さらに、本発明の架橋剤(B) に関して重要
なことは、該架橋剤の有機金属化合物のアルミニウム、
ホウ素、ケイ素、チタンもしくはジルコニウムが、シロ
キサンポリマーを構成するSi-O結合に直接結合して、そ
の構成員の一員としての役割をも果すところにある。特
に本発明においては、ポリマーの主鎖中にケイ素元素以
外に部分的ではあるがこれらの3価もしくは4価の金属
元素を含有させることにより、寸法大きさの異なる金属
元素をSi-O結合中に部分的に混在させることになる。そ
の結果、硬化体自身を全く規則的構造から一部不規則的
構造に変化させることになり、硬化体構造に遊びや余裕
の空間を生じせしめることになり、結果的に生成したポ
リマーにタフネスな強靭さを発揮させることが可能とな
る。
【0043】さらにまた、本発明の架橋剤(B) に関して
重要なことは、詳しくは後述するように、該架橋剤(B)
のアルミニウム、ホウ素、チタンもしくはジルコニウム
の有機金属化合物が架橋剤であると共に硬化促進剤とし
ての機能を兼ね備えていることにある。したがって、該
架橋剤(B) の有機金属化合物を選ぶ時は、後述する硬化
促進剤(C) の内容と配合量を充分に考慮して配合内容を
決定する必要がある。
【0044】さらに、本発明のオルガノシロキサン液組
成物が、水ガラス等の無機系シロキサン組成物の場合と
基本的に異なる点は、アルカリ金属成分を含有していな
いことにある。しかも、本発明の液組成物では、縮合に
関与したアルキル基等は脱アルコールによりシキロキサ
ン結合より外れると共に、硬化体系より揮散してしま
う。その結果、無機系シロキサン組成物の場合に起るア
ルカリ金属成分が組成物系内に残存することにより生ず
る弊害が解消されるばかりでなく、生成したシロキサン
ポリマー組成物のSi-O結合周辺における電子密度が低く
なり、自由度が高くなってシロキサン硬化体のSi-O結合
に屈曲性が生じてくる。その結果、本発明のSi-O結合を
主鎖とするシロキサン硬化体には柔軟性が付与され、薄
板、布やシート等のフレキシビリティー基材の屈曲に追
随できる被覆材料となる。
【0045】さらに本発明者は、予め高分子化している
固体シリコーンレジンをオルガノシロキサン液に溶解せ
しめておいて液組成物に配合する時は、塗料やバインダ
ー用に使用される液組成物として好適であることを見出
した。本発明で云う固体シリコーンレジンとは、ペース
ト状、フレーク状、ゲル状もしくは粉末状の非流動性シ
リコーンレジンを意味する。この場合、高分子化状態が
予め確保されているシリコーンレジンが液組成物中に特
定量の範囲で配合されることによって、液組成物の液粘
性を増粘方向で調節でき、作業性をコントロールできる
と共に、目的とするシロキサンポリマー組成物の構造設
計と特性を予め特定できるメリットがある。
【0046】本発明者は、オルガノシロキサン液に溶解
可能な線状有機高分子化合物である熱可塑性樹脂を30重
量%以下の範囲で溶解せしめ、予め有機高分子化合物が
複合された液組成物も本発明で好適に使用し得ることを
見出した。この場合、有機高分子化合物が配合されるこ
とによって、液組成物中の全金属元素濃度は減少し、不
燃・難燃性は軽減する傾向にある。しかるに、本発明の
シロキサン組成物が有機質材料上での塗布や結着性が求
められる場合、配合された熱可塑性樹脂が有機化合物を
ベースとする材料への密着性や付着性を向上させるメリ
ットがある。
【0047】なお、オルガノシロキサンによるポリマー
硬化体中のケイ素濃度を向上させる他の手段として、原
料オルガノシロキサン中に固体のコロイド状もしくは微
粉末状シリカやケイ酸塩を添加配合して複合体とする方
法もある。しかしこの場合、添加されたシリカもしくは
ケイ酸塩等が、原料オルガノシロキサンと反応して一つ
の化合物となり、シロキサン結合の一員としてのポリマ
ー形成は期待できず、所詮混合物である。したがって、
添加混合したシリカもしくはケイ酸塩等に不燃・難燃性
を期待することはできても、シリカもしくはケイ酸塩等
をまとめるシロキサンポリマー硬化体自身に不燃・難燃
性がない限り、この複合体に形状が維持できる不燃・難
燃性や耐熱性を期待することはできない。
【0048】さらに本発明の無溶剤液組成物は、その用
途目的に応じて当業界で一般に用いられている活性剤、
充填剤、顔料、着色剤等からなる填料(D) を目的に応じ
て選択して特定された量割合で予め配合しておくことが
できる。用いられる活性剤、充填剤、顔料、着色剤等の
填料(D) は200 ミクロン以下、好適には100 ミクロン以
下の粉末であることが目的を達成する上で有効である。
【0049】上記の架橋化反応を促進させる硬化促進剤
(C) として、亜鉛、コバルト、アルミニウムまたは錫等
の金属元素からなる含金属有機化合物が有効である。ま
た、本発明においては、上述した架橋剤(B) の有機金属
化合物は架橋剤であると共に、上記含金属有機化合物と
組み合わせて硬化促進剤としても働き、二役をこなす点
で注目される。したがって、上述したように硬化促進剤
(C) の添加配合量は、この点も配慮して決定しなければ
ならない。
【0050】本発明者は、本発明液組成物の一液保存性
を確実に確保し、施工後起る硬化反応の進捗状況を希望
する時間間隔で管理コントロールすることを可能にする
ために、用いる硬化促進剤(C) を予め封鎖ブロッキング
しておくことのできるブロッキング剤を検討し、無水状
態で以上の条件を満足するケト・エノール型互変異性化
合物やアルコール類がブロッキング剤として有効である
ことを見出した。
【0051】一般にケト・エノール型互変異性化合物
は、アセト酢酸エチルエステルに代表されるようにケト
型(βケト酪酸エチルエステル)とエノール型(βオキ
シクロトン酸エチルエステル)との間で平衡関係を保っ
て共存する性質を有している。したがって、このケト・
エノール型互変異性化合物は分子内で水素結合によるキ
レート化が起っているため、分子間における水素結合が
起りにくく分子間会合を起こさずブロッキング効果を発
揮するものと思われる。
【0052】ケト・エノール型互変異性化合物のエノー
ル型は、水素結合によるキレート化が起るため安定化し
ていると考えられている。しかるに、水、アルコールや
酢酸のような水酸基を有する化合物が共存すると、この
水酸基はケト型カルボニル基の酸素原子と水素結合をつ
くりやすく、金属元素のキレート化を妨害しブロッキン
グ効果は解消され、金属元素による触媒作用を発揮する
ものと思われる。
【0053】さらに本発明においては、硬化の反応速度
を遅延コントロールさせるために、一価もしくは多価の
アルコール類を配合しておくことが有効である。その理
由は定かでないが、これらのアルコール類が既に共存し
ていることにより、新たに起る脱アルコール反応を抑制
し、反応速度を遅延させるものと推測される。
【0054】さらに本発明を実用化するに当って重要な
ことは、本発明の液組成物が硬化促進剤の共存下にあっ
ても一液保存性を維持できることである。本発明の液組
成物を所謂二液タイプの方法で施工することも厭わない
が、施工上好適には一液タイプであることが煩雑さがな
く望ましい。この一液タイプを可能にするには、オルガ
ノシロキサン液組成物中のOR基のR は硬化促進剤の存在
下でも安定に存在する有機基のアルコキシ基やアシロキ
シ基等のみであることが重要である。
【0055】もしも、液状オルガノシロキサン原液のOR
基のR が水素原子である所謂シラノール基を有している
時は、水の非存在下でも硬化促進剤が共存すると、この
シラノール基のOH基は共存するアルコキシ基等との間で
脱アルコール反応が起こり、液組成物をポリマー化させ
る方向で変質する。その結果、液組成物の一液保存性は
損なわれ、製品の品質管理を困難にし、製品が目的とす
る諸物性発現を望めない材料としてしまうことから充分
に注意する必要がある。
【0056】したがって、オルガノシロキサン液組成物
中、さらには着色剤や顔料等の填料(D) が配合された複
合液組成物中に水やシラノール基が含有されている時
は、上述してきたように保存中に湿気硬化を進行させて
いまわないように、予めの養生工程において水やシラノ
ール基を除去消滅させておく必要がある。養生工程は、
調製されたオルガノシロキサン液組成物や複合組成物を
予め100℃以下の条件下に放置して含有水やシラノール
基を共存するアルコキシ基との間で反応させて除去消滅
させることができる。この現象を利用することによっ
て、従来困難とされてきた着色剤や顔料等の填料をオル
ガノシロキサン液組成物にオープン状態で分散混合させ
る工程を容易に行えるようにした。
【0057】本発明の液組成物は、既に述べてきたよう
に、大気中に暴露され湿気硬化条件が与えられると、縮
合反応を開始してシロキサンポリマー硬化体を形成す
る。勿論、該反応は常温においても充分可能であるが、
300 ℃以下、好ましくは 270℃以下の加熱で湿気硬化条
件が与えられてもシロキサンポリマー組成物形成を損な
うことはなく、寧ろ脱アルコール反応が促進されポリマ
ー形成が早められる。したがって、本発明の反応を工場
ライン等の物理的ならびに時間的制約を受ける条件下で
生産性向上が求められる時は、加熱下の硬化反応は大変
有効である。
【0058】本発明では、無溶剤のオルガノシロキサン
液組成物を用いて、単独もしくは各種の材料を添加配合
したり複合化させて、常温ないし300 ℃以下の条件で湿
気硬化をさせると、下記に示す各用途に好適に供せられ
る。 単独で膜状、薄板のシート状、繊維状、紐状、塊状、
球状、角状等ないしは特定された形状に維持される形状
ポリマー組成物。 塗料・ワニス、下地材やある程度肉厚を有する被覆保
護材、さらに接着剤、バインダー、目地剤、ならびに各
種骨材等の固め剤やまとめ剤、さらにセメンティング材
やアンカー固定材等の用途で各種基材表面や内部に使用
され、該基材に付着することにより目的効果を発揮する
付着性ポリマー組成物。 ハニカム状、塊状、板状、網状、繊維状、布状等の補
強剤、骨材、成型体、構造加工体等と複合化されて一体
化している複合構造体。 膜状、網状、ネット状、布状、織物状等のシート母体
に塗布含浸されて形成される複合シート。 鉄等の金属製品、セメント等によるコンクリート製
品、窯業セラミック・粘土類製品、ホーロー製品、天然
素材による木・竹等の製品やその合成加工製品等の建築
資材表面に塗装された建材。
【0059】
【発明の具体的説明】液状オルガノポリシロキサン(A)
は、無溶剤で液状混合組成物を調製し、本発明のポリマ
ー硬化体を形成する基礎母体である。したがって、液状
オルガノポリシロキサン(A) の内容は、施工作業性や生
成シロキサンポリマー組成物の物性を決定する上で重要
であり、その選択には充分な検討を行う必要がある。
【0060】本発明で用いる液状オルガノポリシロキサ
ン(A) の有機ケイ素基(X-Si)を構成するX は、水素原子
もしくは一価炭化水素基からなり、炭素数がC1ないしC5
の範囲にあり、X の原子団が直鎖もしくは分岐したアル
キル基、フロロアルキル基、ビニル基、アリル基、アル
ケニル基、フェニル基、キセニル基、ナフチル基、アリ
ール基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、ベン
ジル基、アルアルキル基、アラルアリール基、エポキシ
基、アミノアルキル基等であることが本発明の目的を達
成する上で好ましい。以上の有機ケイ素基より、液状オ
ルガノポリシロキサン(A) のケイ素濃度が可能な限り高
濃度で、しかも本発明の液組成物中の全金属元素濃度が
酸化物基準で25重量%以上40重量%未満に維持され、施
工作業性に良好な液状態が確保される時、目的とする物
性、特に柔軟性で付着追随性が発揮され、撥水性、耐ア
ルカリ性、耐透水性等の諸物性発現が可能となる。この
時のX 原子団がアルキルのメチル基やエチル基、またフ
ェニル基であることが、本発明に有効である。
【0061】一方、本発明の液状オルガノポリシロキサ
ン(A) が保有する官能性側鎖のOR基は、湿気硬化による
重合反応を進めていく拠点の官能基として重要である。
したがって、このOR基は水との加水分解により脱アルコ
ールされてシラノール基を形成したり、硬化促進剤の共
存によりOH基を有するシロキサンと脱アルコール反応に
より重合反応を促進する官能基として重要である。その
ためには、このOR基のR は、一価の CnH2n+1原子団であ
るアルキル基であることが好ましく、したがって、OR基
はアルコキシ基であることが好ましい。
【0062】本発明シロキサンポリマー組成物の不燃・
難燃性を確保するために、オルガノポリシロキサン(A)
のケイ素濃度をSiO2酸化物基準で50重量%以上の高濃度
に確保する必要がある。その目的は、一般式(1) で表わ
される液状オルガノポリシロキサン(A) の[-SiO]n 項の
n が2 以上の数であるオリゴマーもしくはポリマーを選
ぶことによって達成される。
【0063】しかし、オルガノポリシロキサン(A) の液
状態を確保するために、前記一般式(1) のn は15より小
さい数であることが好適である。このように用いるオル
ガノシロキサンの重合度を管理することにより、液の粘
度を3000センチポイズ以下の施工上取り扱いやすい状態
に確保することが可能となり、従来技術にあるような有
機溶剤等の希釈剤による液粘度の調整を行う必要はな
く、単独純粋なオルガノシロキサン液組成物をそのまま
施工に供することができる。
【0064】液状オルガノポリシロキサン(A) がある程
度重合された化合物であることは、生成シロキサン硬化
体の大枠の骨格が大半でき上がっていることになり、し
かも官能性側鎖にOR基を保有していることによって、特
定された骨格のシロキサンポリマー組成物を予め設計で
きることから有効である。この液状オルガノポリシロキ
サンとしては、側鎖基がアルキル基で官能基を2個有す
るD 単位や官能基を3個有するT 単位のシロキサン化合
物の単独、あるいはその組み合わせからなるTD単位で構
成され、一般式(1) の[-Si-O-]項の nが少なくとも2 以
上のポリマーであればよく。一方、n の上限はポリマー
が流動性を失う寸前までを選ぶことができ、一般にはそ
の分子量が102 ないし105 オーダーの低分子量のポリシ
ロキサン化合物であることが好適である。
【0065】液状オルガノポリシロキサン(A) 中の官能
性側鎖のOR基を含めた有機基の側鎖(R) は、Si-O結合を
Siで表わして、そのR/Siの比が1/3 ないし2/2 の範囲で
あることがSiO2濃度を高濃度に保ち、重合反応を効率よ
く進め、目的とするポリマー硬化体を有効に形成させる
上で重要である。本発明で好適に用いられる液状オルガ
ノポリシロキサン(A) の代表例として、次の化合物、メ
チルメトキシシロキサンのオリゴマー、R/Siの比が1/3
ないし2/2 の範囲にあるアルキル基、フロロアルキル
基、ビニル基、アリル基、アルケニル基、フェニル基、
キセニル基、ナフチル基、アリール基、シクロヘキシル
基、シクロヘキセニル基、ベンジル基、アルアルキル
基、アラルアリール基、エポキシ基、アミノアルキル基
等を有するオルガノポリシロキサン、特に好適にはメチ
ル基もしくはフェニル基を有するオルガノポリシロキサ
ン、テトラメチルもしくはエチルオルソシリケイトのオ
リゴマー、メチルもしくはビニルトリアセトキシシラン
のオリゴマー等を挙げることができる。しかも、これら
の化合物は単独もしくは2種以上の組み合わせで使用す
ることが好適である。
【0066】本発明の液組成物を、柔軟性があって緻密
で丈夫な立体的網目構造を有する高分子ポリマーにする
ためには、ポリシロキサンの末端における重合だけでな
く、ポリシロキサン中間の各所で架橋や交差による結合
を上下・左右で進行が可能な架橋剤(B) が必要がある。
この目的を遂行できる架橋剤(B) として、本発明者はア
ルコキシル基やシラノール基等との縮合反応可能な官能
性側鎖OR基を有する一般式(2) [R7 pN・(OR1)3-p] で示さ
れるアルミニウム、ホウ素の液状有機化合物、もしくは
一般式(3) [R7 mQ・(OR1)4-m] で示されるケイ素、チタ
ン、ジルコニウムの液状有機化合物が有効である。しか
も有機ケイ素基のR7が炭素数の多い化合物であることが
柔軟性や付着追随性を発揮する上で好適である。
【0067】以下にその架橋剤(B) の代表的な例を示
す。一般式(2) のN がアルミニウム元素である場合、p
が0でR1がイソプロピルもしくはセカンダリーブチル等
であり、またN がホウ素元素である場合、p が0でR1
メチル、エチルもしくはブチル等であるトリアルコキシ
基を有する有機金属化合物であることが好適である。
【0068】一般式(3) のQ がケイ素元素である場合、
R7がメトキシ基もしくはエトキシ基であるテトラメチル
もしくはエチルオルソシリケイト、メチルトリメトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシ
ラン、ジメチルメチルトリフロロプロピルシラン、γ−
メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
ロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイド
プロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリエトキシシラン等の有機金属化
合物であることが好適である。
【0069】一般式(3) のQ がチタン元素である場合、
テトラ−i−プロピルチタネイト、テトラ−n−ブチル
チタネイト等の有機金属化合物であることが好適であ
る。また一般式(3) のQ がジルコニウム元素である場
合、テトラエチルジルコネイト、テトラ−i−プロピル
ジルコネイト、テトラ−n−ブチルジルコネイト等の有
機金属化合物であることが好適である。
【0070】これらの有機金属化合物はモノマーである
ことが架橋効果を発揮する上で好適であるが、一部ダイ
マー等の重合を開始している化合物を使用することも本
発明の目的を損なうものではなく有効である。また、以
上の有機金属化合物は、目的や作業性等に合わせて単独
もしくは2種以上の組み合わせで使用することが好適で
ある。本発明で用いる架橋剤(B) は、液組成物中に70重
量%以下、好ましくは65重量%以下で配合されているこ
とがシロキサンポリマー組成物の架橋効果を向上させ、
柔軟性や付着追随性を付与させる上で有効である。
【0071】該架橋剤(B) は有機金属化合物であること
から、上述してように、これらの金属化合物は架橋剤で
あると共に硬化促進剤としての役割も兼ねていることに
配慮する必要がある。したがって、これらの有機金属化
合物、特にアルミニウム、ホウ素、チタン、ジルコニウ
ム化合物の配合量は、本発明の硬化促進剤(C) の種類や
配合割合とも関連するが、本発明組成物中25重量%以内
に限定することが、一液保存性や硬化速度、さらに生成
シロキサンポリマー組成物の物性を管理する上から望ま
しい。
【0072】また本発明においては、生成シロキサンポ
リマー組成物の基本骨格を設計する上からも、液組成物
の液粘性を調製し作業性をコントロールする上からも、
固体状のシリコンレジンを選び配合することができる。
ただしこの場合、本組成物を液状態で取り扱うとに鑑み
固体シリコンレジンをオルガノシロキン液で一旦溶解さ
せてから使用することが重要である。この場合、シリコ
ンレジンは液組成物中に70重量%以下、好適には60重量
%以下の範囲で配合されることが、上記の目的が達成で
きると共に良好な施工作業性を確保する上で好適であ
る。しかし、これらのシリコンレジンは、一般にシラノ
ール基を3 ないし8 重量%含有している傾向にあること
から、上述したような養生工程に付してシラノール基を
予め封鎖変質しておかないと、一液保存性の確保が不可
能となる傾向にある。
【0073】さらに本発明においては、有機質材料への
密着性向上や塗料としてのマイナーな改質のために熱可
塑性樹脂をオルガノシロキサン中に溶解共存させておく
ことができる。本発明で用いられる熱可塑性樹脂として
は、オルガノシロキサンに溶解するアシル基を有する線
状有機高分子化合物が好適である。その例としては、ア
クリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポ
リ塩化ビニール樹脂、セルローズ等の樹脂およびその誘
導体、ならびに不飽和カルボン酸との非水溶液中での共
重合体等を挙げることができる。
【0074】単量体としては、エチレン、プロピレン、
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、スチレン、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、メチルもしくはエチルアクリ
レート、もしくはアクリル酸エステル等であり、不飽和
カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロト
ン酸、イタコン酸、無水マレイン酸等を挙げることがで
きる。これらの熱可塑性樹脂は、原料オルガノシロキサ
ン液組成物中に30重量%以下、好適には25重量%以下の
範囲で配合されることが、上記の目的が達成できると共
に良好な施工作業性を確保する上で好適である。
【0075】本発明のオルガノシロキサン液組成物に
は、生成シロキサンポリマー組成物に求められる物性、
機能性、施工性、用途目的等に応じて、200 ミクロン以
下の粉末状の活性剤、充填剤、顔料、着色剤等の群より
選ばれた填剤(D) を配合することができる。これらの填
剤(D) は作業性や諸物性を損なわない範囲でオルガノシ
ロキサン液組成物 100重量部に対して1ないし 500重量
部の範囲、好適には1ないし400 重量部の範囲で該填料
(D) を単独もしくは2 種以上の組み合わせで配合するこ
とができる。配合時期は、硬化促進剤(C) の添加配合前
に配合分散せしめておくことが好適である。これら填料
(D) が水分やOH基等を有している時は、これら水分やOH
基を除去する処理工程、例えば乾燥や本発明で特定して
いる養生工程に付してから使用することが重要である。
填料(D) の一例を下記に示す。
【0076】活性剤としては、ホウ酸含有化合物、クロ
ム酸含有化合物やリン酸含有化合物の粉末品を選ぶこと
ができる。この活性剤をオルガノシロキサン組成物に予
め配合しておくことによって、例えば鉄等の金属類を基
材に選ぶ時は、オルガノシロキサンによる被覆材や結着
剤と基材との密着性を向上させ、防食性を期待すること
ができる。このホウ酸、クロム酸やリン酸含有の活性剤
化合物として、ホーケイ酸ガラス、ホウ酸亜鉛、リン酸
ホウ素、ホウ酸のアルカリ土類金属塩、ホウ酸のアルカ
リ金属塩、クロム酸亜鉛、クロム酸ストロンチウム、ク
ロム酸鉛、リン酸ケイ素、リン酸アルミニウム、リン酸
亜鉛、リン酸のアルカリ土類金属塩等の粉末もしくはそ
の変性品や加工品から選ぶことができる。
【0077】充填剤としては、ステンレス、シリコン、
亜鉛、アルミニウムや鉄等の金属および合金の粉末、ガ
ラス粉末、陶磁器粉末、ダイヤモンド粉末、酸化ケイ素
(硅砂粉末、硅石粉末、シリカ粉末、シリカヒューム
等)、溶融アルミナ粉、マグネシヤ粉、炭酸カルシウ
ム、ジルコンサンド、各種粘土(ベントナイト、スメク
タイト、ガイロメ、木節粘土等の精製品)、焼成クレー
(ボーキサイト、モンモリロナイト、カオリン等の焼成
品)、石膏、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、
硫酸バリウム、フッ化アルミニウム、ケイ酸カルシウ
ム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、炭酸バリウ
ム、水酸化バリウム、ケイ酸アルミニウム、各種組成内
容の釉薬、タルク、マイカ、フライアッシュ等の粒度 2
00ミクロン以下の粉末の中から適宜選ぶことができる。
【0078】顔料としては、二酸化チタン、弁柄、酸化
クロム、黄鉛、カーボンブラック、群青等の無機質有色
顔料、さらに金属類、合金、非酸化物、酸化物等からな
る焼成顔料、さらにまたシリカ系ホワイトカーボン、ア
ルミナ、酸化亜鉛、磁性酸化鉄、窒化ホウ素、炭化ケイ
素、各種の粘土粉末等の無機質機能性顔料、さらには有
機質顔料から目的に応じて選ぶことができる。
【0079】着色剤としては、上記無機質顔料も使用可
能であるが、本発明のオルガノシロキサンは有機基を有
していることから、当業界で汎用されてる公知の有機系
顔料ならびに染料等を単独もしくは組み合わせより選ぶ
ことによって、希望する色相のシロキサンポリマー組成
物を得ることができる。
【0080】以上の各填剤(D) は、オルガノシロキサン
組成物の使用目的等を考慮して、その粒度構成、形状、
細孔容積、比表面積、吸水性、吸油性等の性状に充分配
慮して乾燥、粉砕、分級、混合、燒結、精製等が予め施
された材料を単独もしくは2種以上の組み合わせで使用
することが好適である。また作業性や使用目的等に合わ
せて、これら填剤が各種のカップリング材や界面活性剤
等で表面処理された粉末をも選ぶことができる。
【0081】本発明で用いる硬化促進剤(C) は、亜鉛、
コバルト、アルミニウムもしくは錫元素からなる含金属
有機化合物の単独もしくは2種以上の組み合わせの中か
ら選ぶことが本発明の目的を達成する上から好適であ
る。勿論、上述したように本発明の架橋剤(B) のチタン
もしくはジルコニウム有機化合物も硬化促進剤としての
役割を果す点を考慮しておく必要がある。硬化促進剤
(C) としての具体的含金属有機化合物の例としては以下
の化合物を挙げることができる。ナフテン酸亜鉛、オク
チル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、アルミニウムト
リメトキシドジ、トリス(アセチルアセテネート)アル
ミニウム、アルミニウムトリ-n- ブトキシド、ジアセチ
ル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル
錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジアセチ
ル錫ジオクトエート、オクチル酸錫等の公知公用の一般
的硬化促進剤を使用することができる。
【0082】本発明において重要なことは、用いる硬化
促進剤(C) をケト・エノール型互変異性化合物で予め封
鎖ブロッキングして、液状オルガノポリシロキサン(A)
と架橋剤(B) と硬化促進剤(C) との三成分混合液よりな
る本発明組成物の一液貯蔵安定性を長期に亙り確実に確
保することが可能となることにある。ケト・エノール型
互変異性化合物については作用の項で述べたように、ケ
ト型とエノール型との間で平衡関係を保って共存する化
合物で、分子内に水素結合によるキレート化が起ってい
る。この化合物として、アセト酢酸エチルエステルが代
表的で本発明でも好適に用いられる。その他本発明で用
いられるケト・エノール型互変異性化合物としては、マ
ロン酸ジエステル、β−ジケトン類であるアセチルアセ
トン等、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、β
位に水酸基を有するケトン類であるダイアセトンアルコ
ール等、β位に水酸基を有するエステル類であるサルチ
ル酸メチル類等を、さらに上記化合物中のアルキル基が
トリフルオロ基で構成されている場合等を有効な例とし
て挙げることができる。
【0083】ケト・エノール型互変異性化合物の使用量
は、用いる硬化促進剤(C) の種類や配合量、さらには硬
化条件等によって異なるが、予め簡単な予備実験を行う
ことによって容易に決定することができる。一般には硬
化促進剤(C) 中に50重量%以下の量で配合されているこ
とがブロッキング効果を挙げる上から有効である。さら
に本発明において重要なことは、用いる硬化促進剤(C)
を一価もしくは多価のアルコール等のアルコール類で縮
合の反応速度を遅延させることが可能になることにあ
り、このことによって、本発明において硬化ポリマーを
形成させる時の硬化速度を管理コントロールすることが
可能となることにある。
【0084】本発明で有効に用いられる遅延剤としての
アルコール類の例として、メチルアルコール、エチルア
ルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ア
ミルアルコール等の一価のアルコール、さらにエチレン
グリコール、グリセリン、エリスリトール等の多価のア
ルコールを挙げることができる。縮合反応速度の遅延剤
となるアルコール類は、用いる硬化促進剤(C) の種類や
配合量、さらには硬化条件や遅延の程度等によって異な
るが、これも簡単な予備実験を予め行うことによって容
易に決定することができる。一般には硬化促進剤(C) 中
に50重量%以下の量で予め配合されていることが触媒効
果を損なわない点から有効である。勿論、上記ブロッキ
ング剤のケト・エノール型互変異性化合物と遅延剤のア
ルコール類とを併用する場合は、その配合量は両者合わ
せて、硬化促進剤(C) 中に50重量%以下の量で配合され
ていることが好適である。
【0085】以上のケト・エノール型互変異性化合物で
ブロッキングされた硬化促進剤(C)や反応遅延剤のアル
コール類が配合された硬化促進剤(C) 、さらに単独の硬
化促進剤(C) の使用量は、液状オルガノポリシロキサン
(A) や架橋剤(B) の内容、種類、量割合、さらに硬化促
進剤(C) の内容、種類、組み合わせ等によって異なる
が、一般には0.1 ないし10.0重量%の範囲でよい。特に
架橋剤(B) としてアルミニウム、ホウ素、チタンもしく
はジルコニウムの有機金属化合物が配合されている時、
硬化促進剤(C) の使用量は限りなく少量であってもよ
い。以上の配合条件を選ぶことによって本発明の硬化縮
合反応は順調に進行し、本発明が目的とするシロキサン
ポリマー組成物の生成を好適に完成させることが可能と
なる。
【0086】また本発明においては、オルガノポリシロ
キサン(A) が有するOR基のR が水素原子であることも厭
わないが、上述したように水素原子でシラノール基(OH
基)を構成している時は、液組成物の一液保存性を確保
する上から、架橋剤(B) と共に予め養生工程に付して、
シラノール基を消滅させる養生工程が必要である。この
工程の採用はシリコーンレジンや熱可塑性樹脂、填剤
(D) を併用する時も同様に重要である。
【0087】その養生工程は、液状オルガノポリシロキ
サン(A) 、架橋剤(B) さらにはシリコーンレジンや熱可
塑性樹脂、填剤(D) の単独もしくは混合あるいは複合液
組成物を、水非存在下の常温ないし100 ℃以下に少なく
とも5 分以上、好ましくは8分以上撹拌もしくは静置状
態に維持することによって達成される。この場合常温で
は24時間維持の条件で充分である。この養生により、シ
ラノール基とアルコキシ基やアシロキシ基等との間に脱
アルコール反応がを起り、シラノール基を消滅消去され
る。填剤(D) が水分を多く保有している時は、大半の含
有水分は予め加熱脱水等の処理により除去してから該養
生工程に付することが有効である。
【0088】本発明の液状オルガノポリシロキサン(A)
と架橋剤(B) と硬化促進剤(C) と必要に応じて填料(D)
からなる混合あるいは複合液組成物は、水と接触により
硬化反応をスタートする。この時の水は空気中の湿気で
充分であるが、積極的に水と接触させることでも構わな
い。水と接触させる条件は、常温でも良く、また 300℃
以下、好ましくは270 ℃以下なら加熱下でも、加圧下、
脱気下等の条件で行うことも可能である。また所望によ
り減圧下、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で施工する
ことも可能である。要は液組成物中の官能基であるOR基
が水により加水分解されてまずOH基であるシラノール基
を生成し、ついでこのシラノール基が残る官能基である
OR基と脱アルコール反応を起こしてシロキサン結合の縮
合反応が起る条件が整っていればよい。
【0089】本発明によれば、液状オルガノポリシロキ
サン(A) と架橋剤(B) と硬化促進剤(C) と必要に応じて
填料(D) からなる混合あるいは複合液組成を、そのまま
特定された形状に維持したり、特定される基材表面に塗
布したり含浸させたり、各種の材料と複合化させたりし
て、湿気を持った大気中に暴露してシロキサンポリマー
組成物を形成させる時、作業環境に有機溶剤等の有害物
質を拡散汚染させる心配がなく、また燃焼状態にさらさ
れても有害・有毒ガスの発生がなく、本発明組成物が地
球環境に優しい材料として安心して使用できることが良
く理解される。
【0090】本発明のオルガノシロキサン組成物には、
組成物の分散性、含浸性、消泡性、流動性、塗布性等の
諸性能を改善するために、該オルガノシロキサン組成物
の物性ならびに作業性等を損なわない範囲で、フッ素系
等の界面活性剤や各種の有機化合物、樹脂、必要により
溶剤等を予め添加配合しておくこともできる。本発明の
オルガノシロキサンの混合液と上記の填剤との混合工程
は、組成物が湿気等の水分と接触してしまうと硬化反応
をスタートすることから、湿気や水分を避けた条件で行
う必要がある。そのためには混合工程を乾燥空気中や減
圧下で行うよう配慮する必要がある。また、他の方法と
して、硬化促進剤を組成物に添加する前にこれら填料を
混合配合し、ついで、前記で示した養生工程に付して養
生した後、最後に硬化促進剤(C) を所定量添加する方法
も採用できる。
【0091】混合方法は、オルガノシロキサン液組成物
の内容や使用目的等により自ずと異なるが、土木業界、
セメント業界、コンクリート業界、塗料業界、食品業
界、化学品製造業界等で一般に用いられている混合機、
例えば、モルタルミキサー、撹拌機、混合機、ロール、
ホモジナイザー等の中から適宜選んで、均質な液状、ペ
ースト状もしくはモルタル状の混合物が得られる方法を
採用すればよい。混合時ならびに作業時の気象条件や環
境条件等、例えば冬や夏等を考慮して、混合前の材料
(液部や粉部)を予め冷却もしくは加温等の処理調整を
行ってから使用することも有効である。
【0092】本発明の無溶剤のオルガノシロキサン液組
成物は、そのままもしくは一部湿気硬化をスタートさせ
た液組成物を繊維状もしくは膜状の形状を維持させつ
つ、例えば 300℃以下の熱雰囲気中に60秒以上暴露する
と、形状ポリマー組成物の糸状繊維や膜を形成させるこ
とができる。好適な一例としては、該液組成物を水面状
に流して薄膜状とした後、この薄膜に流動性あるうちに
上部に引上げると糸状繊維で引上げることができる。こ
の糸状繊維を 300℃以下の熱雰囲気中を通過させると繊
維状形状ポリマー組成物を回収することができる。膜の
場合も水面上を膜形成場所とすると容易に膜状形状ポリ
マー組成物を回収することができる。
【0093】均質液状態に混合調製されたモルタル状、
ペースト状もしくは液状の本発明オルガノシロキサン液
組成物は、それ自体公知の方法、例えば、吹き付け法、
スプレー法、ハケ塗り、ローラー塗り、コテ塗り、浸漬
法、引き上げ法、ノズル法、巻き取り法、流し塗り、流
し込み、盛り付け法、パッチング法等の当業界で汎用さ
れている施工方法で自動もしくは手動で目的や用途に合
わせ形状ポリマー組成物にしたり、塗装、被覆、保護、
接着、固め、まとめ、アンカー等の施工に付して付着性
ポリマー組成物とすることができる。勿論、重ね塗りや
下地と上塗りとを異なった内容と種類の液組成物で組み
合わせ施工することも目的、条件、方法等によっては充
分有効である。
【0094】本発明では、オルガノシロキサン液組成物
を結着バインダーとして、各種の構造体に求められる施
工性、物性、機能性、用途目的等に応じて、ハニカム
状、塊状、板状、網状、繊維状、布状等の補強剤、骨
材、成型体、構造加工体等を一体化させた複合硬化体に
よる複合構造体を提供することができる。この時好適に
使用される骨材、補強材、成型体は粒度 200ミクロン以
上の大きめの粉体もしくは下記する材料の中から選ぶこ
とができる。これらの材料は、用途目的、作業性、諸物
性等を損なわない範囲、例えば、オルガノシロキサン組
成物 100重量部に対し 100ないし2000重量部の広い範囲
の量割合で接触させて一体化された複合硬化体による複
合構造体にすることができる。
【0095】本発明で用られる粒度 200ミクロン以上の
好適な補強材、骨材、成型体等としては、例えば、硅
石、硅砂、ロウ石、長石、シャモット、ムライト、アル
ミナ、ドロマイト、マグネシヤ、ジルコニヤ、カルシ
ヤ、ジルコン、炭素、黒鉛、炭化もしくは窒化物、各種
雲母、アスベスト、フレーク状金属粉等の各種骨材を使
用することができる。さらに、人工的に製造された大小
のガラスビーズ、中空ガラス微細粒、ガラスフレーク、
金属フレーク、パーライト、各種の合成軽量骨材、スラ
ッグやフライアッシュ等の産業廃棄物による粉末状もし
くは顆粒状の人工骨材等を使用することができる。さら
にまた、木、竹、植物性繊維、フレーク状もしくは繊維
状金属や、ガラス繊維、ロックウール、天然鉱物繊維、
カーボン繊維等の無機質繊維や、有機系繊維のステーブ
ル、織物、スライバー、網、ネット、マット、織布、不
織布等の繊維質補強材や成型体も使用できる。さらに、
以上の骨材等を素材として組み合わせ成型されたハニカ
ム状等の成型体も使用することができる。
【0096】本発明で用られる以上の骨材、補強材、成
型体等は各種の粒度構成ならびに形状を有しているが、
それらは用途目的や求められる諸物性等により適宜選び
使用することができる。また、施工作業上や用途目的等
によっては、各種カップリング材、界面活性剤、樹脂類
等で予め処理された材料をも使用することができる。こ
れらの骨材、補強材、成型体等に対して本発明のオルガ
ノシロキサン組成物をバインダーに一体化した複合硬化
体の固化体もしくは構造体とする方法は種々あるが、例
えば、骨材、補強材、成型体等と本発明のオルガノシロ
キサン組成物を一緒に混合した後一定の型枠や容器内で
全体を一緒に硬化させる方法や、さらには骨材、補強
材、成型体等を予め型枠や容器内に投入、もしくは放置
された状態で、本発明組成物をその中に流し込んだり、
含浸させて硬化させて一体化させ複合硬化体とする方法
等がある。これらの方法は、目的、用途、環境条件等に
より適宜選んで採用することができる。
【0097】本発明では、各種の素材、例えば天然品、
合成品、鉱物品、ガラス・セラミックス品等からなる膜
状、網状、ネット状、布状、織物状等のシート母体に本
発明のオルガノシロキサン液組成物を塗布含浸されてポ
リマー化させて複合シートを形成させることができる。
また本発明では、鉄等の金属製品、セメント等によるコ
ンクリート製品、窯業セラミック・粘土類製品、ホーロ
ー製品、天然素材による木・竹等の製品やその合成加工
製品等の各種建築資材表面に本発明のオルガノシロキサ
ン液組成物を塗布して、各種有効な大小様々な建築資材
を製造することができる。
【0098】以上の内容から理解されるように、本発明
の無溶剤オルガノシロキサン液組成物は幅広い用途分
野、例えば社会・生活関連、製造・工業界、建設・土木
業界、サービス業界等での使用が可能で、特に限定され
るものではないが、次の対象物や被施工場所等を例とし
て挙げることができる。紙やパルプ、鉄等金属、ステン
レス等合金、岩石、ガラス、石膏、セラミックス、スラ
ッグ、アスファルト、木材、繊維等で構成されている部
品、各種材料、構造物、各種装置、床、壁、ブロック、
煙道、煙突、炉および炉回り、道路、トンネル、橋、建
材、建造物等の表面;また、ロットマーキングの必要な
インゴットや装置等の面;また、被含浸対象物として上
記材料による各種織物、成型体、構造物、ハニカム体等
をそれぞれ有用な被施工場所や対象物等として挙げるこ
とができる。
【0099】本発明のオルガノシロキサン液組成物は、
上記の各箇所における補修、下地処理、前処理、穴埋め
材、仕上げ材、盛り付け材、耐スベリ材等の材料として
好適に使用することができる。また、本発明の液組成物
に各種の窯業材料、繊維質材料、研磨材、耐摩耗材、各
種無機化合物等が配合されて、耐水、耐熱、耐火、耐酸
等の各種ニーズに応える複合材料として応用でき、上記
と同様の各種材料の固化材、加工材、接着剤、結着剤、
目地材等として、化学工場、食品工場、メッキ工場、温
泉、食堂、ホテル等の厨房、煙道、排水溝、建材等に応
用できる。
【0100】さらにまた、本発明のオルガノシロキサン
液組成物は、各種成型用型材の流し込み成型固め材とし
て、耐火炉材、煙突、ボイラー、構造物等の損傷箇所の
流し込み補修材料として、さらにまた、ガラクタ状(不
規則形状)もしくは特定な形状に成型された産業廃棄
物、例えば、原子力発電所から廃棄される放射性廃棄物
の固形体等を処理処分する注入固化材として好適に使用
することもできる。さらにまた本発明のオルガノシロキ
サン液組成物は、タンク、タワー、建造物等の構造物や
装置類等のアンカー固定材、さらに上記した各分野での
埋め込みや可塑性パッチング材等が求められる箇所での
固定セメント材としても好適に使用することができる。
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、膜もしくは繊維等、塗
料・ワニスもしくはバインダー等、複合構造体、複合シ
ート、建材等に有効に応用される柔軟性で付着追随性に
優れ、耐熱性を有し耐候性に優れたシロキサンポリマー
組成物を湿気硬化により形成させる地球環境に優しい無
溶剤のオルガノシロキサン液組成物が提供される。
【0102】
【実施例】以下本発明の無溶剤のオルガノシロキサン液
組成物とその用途について具体的実施例を以って説明す
る。なお、本実施例において、原料液状オルガノポリシ
ロキサン(A) を「OS−A」、OS−Aと架橋剤(B) の
二成分混合組成物を「OS−AB」、さらに硬化促進剤
の配合された本発明無溶剤オルガノシロキサン液組成物
を「OS液組成物」と省略記載する。%は重量で示す。
【0103】実施例 1 (I) 本発明液組成物(OS液組成物)の原料ならびに液
組成物の調製と内容。 1) 液状オルガノポリシロキサン(A) (OS−A)に用
いた液状のシロキサン原料とそのケイ素濃度(SiO2 %)を
表1に併せ示す。 a):製造社 TD;東レ・ダウコーニング・シリコーン
SS;信越化学工業 TM:多摩化学工業
【0104】2) 架橋剤(B) の原料とその含有金属元素
濃度(MOy/2 %) を表2示す。 b): TM:多摩化学工業 SS:信越化学工業
KK:郡山化成 NS:日本曹達 CM:市販試薬 DC:大
八化学工業 TD:東レ・ダウコーニング・シリコーン
【0105】3) 固体シリコンレジンおよび熱可塑性樹
脂の樹脂類原料、ならびにそのケイ素濃度(SiO2 %)を表
3に併せ示す。なお、これらの樹脂類は表4に示される
架橋剤(B) に溶解せしめてからOS−Aと配合してOS
−ABに調製した。なお、本実施例では固体シリコンレ
ジンや熱可塑性樹脂の樹脂類原料を架橋剤(B) のフェニ
ルトリメトキシシラン(仮称:B-FTM )に50重量%濃度
で溶解せしめて液組成物(仮称:BSR-MF1、BSR-MF2、BHR-
AC、BHR-PE )としてからOS−ABに配合調製した。 c):製造社 TD;東レ・ダウコーニング・シリコーン
MR;三菱レイヨン
【0106】4) 表1に示したOS−Aと表2に示した
架橋剤(B) ならびにフェニルトリメトキシシランに30重
量%濃度で溶解せしめた樹脂類原料で調製された二成分
混合液組成物(OS−AB)の配合内容とその MOy/2
度(%) 、さらに各養生工程条件を表4に併せ示す。一方
比較例(AB−11、12)の配合内容等も同時に示す。な
お本実施例においては、後述する総合硬化促進剤[含む
ブロッキング剤や反応遅延剤]の MOy/2濃度(%) は全て
40重量%以下であり、その配合量も10重量%以下である
ことから、本発明OS液組成物中の MOy/2濃度(%) をO
S−AB組成物段階で便宜上示して参考とした。
【0107】5) 本実施例で用いた硬化促進剤(C) 原料
の含金属有機化合物ならびにブロッキング剤、反応遅延
剤をそれぞれ市販試薬より選択し、表5に併せ示す。な
お、含金属有機化合物中の金属元素濃度を MOy/2濃度
(重量%)表示により併せて表5に示す。
【0108】6) 含金属有機化合物、ブロッキング剤お
よび反応遅延剤が組み合わされた総合硬化促進剤(C) の
組成内容を表6に示す。なお、含有金属元素濃度を MO
y/2濃度表示で表6に併せ示す。
【0109】実施例 2 (II)オルガノシロキサン液組成物とシロキサンポリマー
組成物 本実施例調製してオルガノシロキサン液組成物17種類を
表7に示す。比較例として次の6種類を選んだ。OH基を
有するシリコーンレジンが配合された液組成物(OS−
AB試料番号:AB−3)を養生工程に付さなかった場
合(試料番号:H- 1)、含有金属元素濃度が40重量%以
上である二液混合液組成物(OS−AB試料番号:AB
−10)の場合(試料番号:H- 2)、含有金属元素濃度が
25重量%以下である二液混合液組成物(OS−AB試料
番号:AB−11)の場合(試料番号:H- 3)、二液混合
液組成物(OS−AB試料番号:AB−3)の配合で架
橋剤を配合しなかった場合(試料番号:H- 4)、また有
機化合物を原料とする汎用塗料(市販品)のアクリル系
塗料の場合(試料番号:H- 5)、市販品の焼付硬化型水
ガラス系塗料の場合(試料番号:H- 6)を選んだ。オル
ガノシロキサン液組成物の一液保存性を下記に示す試験
方法で確認し、ついでシロキサン硬化体を表7に示す硬
化条件で行い、生成シロキサン硬化体について下記に示
す試験方法により付着追随性ならびに耐熱性について試
験し、各資料の評価を行い、その結果を表7に併せ示
す。
【0110】試 験 方 法 : 一液保存性 供試料のオルガノシロキサン液組成物を密封した容器に
採り、室温に1ヶ月間放置し、放置後の供試料が全く変
化していない場合を一液保存性「有」、ゲル化や皮張り
現象等を起こしている場合を一液保存性「無」とした。耐 熱 性 JIS K 5400記載の塗料一般試験方法に準拠して、JIS G
3141に規定されている0.4 mm厚の鋼板基材に、試料の液
組成物を吹き付け法により膜厚約30ミクロンで塗布し、
表7に示す硬化条件で造膜硬化させて鋼板に試料が塗布
された供試体を調製した。この供試体を 250℃に保持さ
れた電気炉内に24時間暴露した後供試体の表面状態を観
察し、クラック、剥れ、変色等の異常状態が確認されな
い場合を耐熱性「有」、異常状態がある場合を耐熱性
「無」と評価した。付着追随性 耐熱性の試験法において調製した0.4 mm厚の鋼板基材に
試料が塗布されて造膜硬化された供試体を用いて、JIS
K 5400 6.16 に記載の屈曲試験機を用いて心棒4 mmφを
介して屈曲させ、この屈曲により供試体塗膜面にクラッ
クや剥れ等の異常のない状態を付着追随性「有」、異常
ある状態を「無」と評価した。
【0111】
【0112】以上の結果、本発明のオルガノシロキサン
液組成物を無溶剤で全金属成分濃度をMOy/2 酸化物基準
で表わして25重量%以上40重量%未満の範囲に管理して
一液保存性のある液組成物に調製する時は、生成するシ
ロキサンポリマー組成物に耐熱性、付着追随性いずれの
物性をも付与されていることが良く理解される。これに
反し、養生工程に付されなかった液組成物では一液保存
性がなく一週間でゲル化してしまった。また、MOy/2
化物基準で40重量%以上の金属元素濃度の液組成物では
3 mmφでの屈曲では塗膜に亀裂が生じ付着追随性がな
く、MOy/2 酸化物基準で25重量%以下の金属元素濃度で
は耐熱性がなかった。また液組成物に架橋剤が配合され
ていないと常温に長期(一週間)放置しても全く硬化せ
ず造膜しなかった。有機樹脂系の塗料では耐熱性が全く
なかった。水ガラス系の塗料では付着追随性が全くなか
った。
【0113】実施例 3 (III) 形状ポリマー組成物としての応用 表7に示したオルガノシロキサン液組成物(OS液組成
物)より選んだ液組成物を単独で膜状もしくは繊維状の
形状に維持してシロキサン硬化体を形成させ、シロキサ
ンポリマー組成物に応用する例について説明する。 薄膜形状の場合:表7に示したOS液組成物より選んだ
液組成物を、可塑剤入り軟質塩化ビニール板上に約25ミ
クロン厚の薄膜になるように流し、室温に72時間放置し
て薄い膜を形成せしめ、シロキサン硬化体からなる薄膜
供試体とした。 繊維形状の場合:表7に示したOS液組成物より選んだ
液組成物を、張り込んだ水の表面に約10ミクロン厚の薄
膜状態に流し、室温に1 時間放置して液組成物を薄膜状
態でポリマー化を一部進行させて高粘性状態とし、これ
を上部に引上げて約0.1 mmφの太さの糸状繊維にし、こ
の糸状繊維を約200 ℃に維持された加熱部を通過せしめ
る繊維を形成せしめ、シロキサン硬化体からなる繊維供
試体とした。この薄膜供試体と繊維供試体について下記
に示す耐熱性試験と柔軟性試験によりシロキサンポリマ
ー組成物としての物性評価を行い、表8に併せ表示し
た。
【0114】試 験 方 法 : (1) 耐 熱 性 供試体を 250℃に保持された電気炉内に24時間暴露した
後、暴露供試体の状態を観察し、縮み、破れ、溶け、変
色等の異常状態が確認されない場合を耐熱性「有」、異
常状態がある場合を耐熱性「無」と評価した。 (2) 柔 軟 性 供試体を3 mmφの心棒に巻き付けた時に、供試体が破れ
たり、折れたりの形状破壊がなく、再度膜状もしくは繊
維状に広げた時に異常が認められない状態を柔軟性
「有」、異常ある状態を「無」と評価した。
【0115】 以上の結果、本発明のオルガノシロキサン液組成物を膜
状ないしは繊維状に形成せしめて硬化させると、それぞ
れ耐熱性があり、しかも柔軟性のあるフイルムないしは
繊維の製造が可能であることが良く理解される。
【0116】実施例 4 (IV)付着性ポリマー組成物としての応用 表7に示したオルガノシロキサン液組成物(OS液組成
物)より選んだ液組成物を、単独もしくは填料等を配合
して塗料もしくは結着剤バインダーとし、それぞれの用
途でシロキサン硬化体を形成させた場合の付着性ポリマ
ー組成物として応用例について説明する。
【0117】IV−1 透明塗膜の場合:鋼板に(II)項の
試験方法耐熱性に記載の方法により、表7のOS液組成
物より選んだクリヤーなオルガノシロキサン液組成物を
塗布し、表9に示す硬化条件によりシロキサン硬化体を
透明塗膜で形成させ塗板供試体とした。この透明膜塗板
供試体について、下記に示す表面硬度、密着性、耐熱
性、不燃性、耐透水性、耐酸性、耐アルカリ性、たわみ
性、耐候性試験方法により付着性ポリマー組成物として
のシロキサンポリマー組成物の物性評価を行い、その結
果を表9に併せ表示した。
【0118】試 験 方 法 : (1) 表面硬度 生成した塗板供試体をJIS K 5400の6.14記載の鉛筆引っ
かき試験法で測定し、その結果を鉛筆の硬度記号で表9
に併せ示した。 (2) 密 着 性 塗板供試体を、JIS K 5400の6.15記載の碁盤目試験法に
準拠して、塗板の塗布面にカッターナイフで1.0 mm間隔
の碁盤目状の切込を6本づつ入れ、切込んだ碁盤目に上
にセロハンテープを密着させてから剥がし、この時の塗
膜面の剥れ状態を観察して、全く剥れや傷がない場合を
25/25 で評価し、剥れや損傷が生じた碁盤目の数を25/2
5 の分子より減じて表示した。 (3) 耐 熱 性 (II)項の試験方法耐熱性に記載の方法と同様にして、塗
膜供試体を250 ℃の電気炉内に24時間暴露し、電気炉よ
り取り出し室温に放冷後、供試体の膜面を観察し、膨
れ、クラック、剥れ等がなく、堅牢な状態にある時を耐
熱性「有」、異常ある時を耐熱性「無」とした。 (4) 不 燃 性 塗膜供試体を酸素が充分に通う450 ℃の電気炉内に暴露
し、供試体が自燃焼して燃え上がったり、墨状炭素に変
化する場合を不燃性「無」、以上のような変化がない場
合不燃性「有」とした。 (5) 耐透水性 東洋濾紙No6 を被塗布材料として試料を塗布した供試体
を自然濾過用ロートに敷き、その中に水を注ぎ込み、こ
の時供試体を通過する水の量を求め、通過水量が全くな
い場合を耐透水性「有」とし、少しでも通過水量がある
場合を耐透水性「無」とした。 (6) 耐 酸 性 板ガラスを被塗布材料として塗布した供試体を、JIS K
5400の7.5 記載の試験方法に準拠し、20℃の5 重量%濃
度硫酸溶液に30日間浸漬し、該試験板の表面に膨れ、あ
わ、剥れ、穴、軟化、溶出の発生がない時を耐酸性
「有」、異常がある時を耐酸性「無」とした。 (7) 耐アルカリ性耐Na性) 供試体の塗布面上にpH10に調製された苛性ソーダ(NaOH)
溶液約5 ccを載せ、その上を湾曲した時計ガラスで被い
揮散を防止して室温に24時間放置した後塗布面を洗浄し
て塗布面上の変化を観察し、変化がない時を耐アルカリ
性「有」、溶ける等の変化がある時を耐アルカリ性
「無」とした。 (8) たわみ性 供試体をJIS K 5400記載の6.16記載の屈曲試験機を用い
て心棒の直径3mm φ丸棒を介して屈曲させ、屈曲による
塗膜面に異常がない場合をたわみ性「有」、異常ある場
合をたわみ性「無」とした。 (9) 耐候性(ウェザーメーター) 供試体をQUV 式ウェザーメーター(波長域280 ないし32
0 nm)を用いて55±15℃で照射と結露のサイクルで2500
時間暴露し、暴露後の供試体塗膜面の光沢度を測定し、
暴露前の供試体塗膜面の光沢度と比較した時の光沢度減
少率(%)を求めて示した。光沢度減少率が10%以内の
場合を耐候性「有」、減少率が10%以上の場合を耐候性
「無」とした。
【0119】 以上の結果、本発明の無溶剤で一液保存性があるオルガ
ノシロキサン液組成物は、鋼板に塗布すると湿気硬化に
より透明な硬化膜を形成し、その透明膜は一定の表面硬
度を持ち、耐熱性で不燃で、耐酸性、耐アルカリ性、た
わみ性、耐候性等に優れている付着性ポリマーとなり、
基材の保護膜として有用であることがよく理解される。
【0120】 IV−2 填剤入り塗膜もしくは結着剤の場合 本実施例で用いた填剤を表10に示す。なお、これら填剤
は予め約200 ℃の乾燥処理に付し一応脱水処理してから
使用した。
【0121】表10に示す200 ミクロン以下の粉末状填剤
(活性剤、充填剤、顔料、着色剤)をOS−AB組成物
より選択した液組成物(配合組み合わせは表11に表示)
に添加し、アルミナボールを用いたSGミルに入れて約
1時間稼動して填剤を分散せしめる。この填剤の分散混
合された液組成物を表11に示す条件で養生工程に付して
安定化させた後、硬化促進剤剤を混合配合(配合組み合
わせは表11に表示)して塗料もしくは流動性ないし可塑
性のある結着剤の材料試料とした。なお、試料番号PE-
1、 PE-2、 PE-3 はエアガンによる吹付け法により、試料
番号 PE-4 はロール法により、試料番号 PE-5、 PE-6、 P
E-7 はコテにより、ブラスト処理された鋼板上に施工し
た。この填料の分散混合されたOS液組成物試料を表11
に示す硬化条件に付して硬化させ塗膜もしくはバインダ
ーに形成させて供試体とした。この供試体についてIV−
1項に示した表面硬度、密着性、耐熱性、不燃性、耐透
水性、耐酸性、耐アルカリ性、たわみ性、耐候性試験方
法ならびに下記に示す接着性試験方法(10)によりシロキ
サンポリマー組成物としての物性評価を行い、その結果
を表11に併せ表示した。 (10)接着性試験方法 鋼板基材上に40×40×15 cm になるように作成した型の
中に調製した混合液組成物を流し込み、25℃で7 日間養
生して鋼板にシロキサン硬化体が接着した供試体を調製
する。次いで、建設省建築研究所式の接着試験法に準拠
して、試験機アタッチメントをエポキシ樹脂系接着剤で
接着させ、試験機の油圧で上部の方向に引っ張り、被接
着体とシロキサン硬化体との接着面が剥離させた時の荷
重(P) から、接着力(kg/cm2)を測定し結着性を評価し
た。
【0122】
【0123】以上の結果、本発明の無溶剤で一液保存性
があるオルガノシロキサン液組成物は、湿気硬化により
シロキサンポリマー硬化体が有用な塗膜、被覆体や結着
体に形成され、この付着性ポリマーは表面硬度を持ち、
耐熱性で不燃で、耐酸性、耐アルカリ性、たわみ性、耐
候性、接着性等に優れていることがよく理解される。
【0124】実施例 5 (V) 複合構造体としての応用 本実施例で用いた補強材、骨材、成型体等の材料を表12
に示す。なお、これらの補強材、骨材、成型体等は予め
約200 ℃の乾燥処理に付し充分脱水処理してから使用し
た。
【0125】表12に示す大きさが200 ミクロン以上の材
料(補強材、骨材、成型体)を、粉末状填剤(活性剤、
充填剤、顔料、着色剤)が混合配合された混合OS液組
成物(表11に表示されているPEシリーズ)と一体化させ
て複合組成物とした。この複合組成物を表13に示す硬化
条件に付して複合組成物中でシロキサン硬化体を形成さ
せ複合構造体の供試体とした。この供試体について、下
記に示す耐熱性、不燃性、耐候性、圧縮強度試験方法に
よりシロキサンポリマーで複合された構造体の物性評価
を行い、その結果を表13に併せ表示した。 試 験 方 法 : (1) 耐 熱 性、(2) 不 燃 性および(3) 耐 候 性 透明塗膜試験方法の場合と同様 (4) 圧 縮 強 度 JIS A 1108に記載の方法に準拠し、本発明の液組成物で
一体化された複合組成物を長方形の型(2×2 ×8 cm) の
中で調製し、室温に7 日間放置してた後脱型して複合構
造体の供試体とする。この角状供試体をJIS A 1132に記
載の方法に準拠しての圧縮試験機を用いて圧縮強度(kg/
cm2)を求めた。
【0126】
【0127】以上の結果、本発明の無溶剤のオルガノシ
ロキサン液組成物と填剤との混合液組成物用いて、各種
の補強材、骨材、成型体等の複合構造体を形成し得る材
料と共に一体化させて湿気硬化させると、シロキサンポ
リマー硬化体がバインダー役で形成された複合構造体
が、耐熱性、不燃性、耐候性、圧縮強度に優れた床材、
建材構造物、廃棄物処理等に有効に利用されることがよ
く理解される。
【0128】実施例 6 (VI)シートとしての応用 市販されているガラス繊維製の不燃性ガラス繊維織物
布(試料番号:R-1 )とステンレス繊維製の325 メッ
シュ目のフレキシブル金網(試料番号:R-2 )の2種類
をシート母体として選び、このシート母体に粉末状填剤
(活性剤、充填剤、顔料、着色剤)が混合配合された混
合OS液組成物(表11に表示されているPEシリーズ)を
含浸塗布し、複合シート組成物とした。この複合シート
組成物を表14に示す硬化条件に付してシロキサン硬化体
で複合シートの供試体とした。この供試体について、形
状ポリマー組成物および複合構造体の項で採用した試験
方法により柔軟性、耐熱性、不燃性、耐候性試験でシロ
キサンポリマー組成物で複合化されたシートの物性評価
を行い、その結果を表14に併せ表示した。
【0129】以上の結果、本発明の無溶剤で一液保存性
のあるオルガノシロキサン液組成物と填剤との混合液組
成物を、シート母体に含浸塗布物は、湿気硬化により生
成したシロキサン硬化体により一体化されてシートを形
成し、この複合シートが柔軟性に富み、熱に強く燃える
ことなく耐熱性・不燃性があり、しかも耐候性に優れて
いる有用な複合シートであることがよく理解される。
【0130】実施例 7 (VII) 建材としての応用 市販されているアスベスト板(試料番号:U-1 )と
ガラス繊維で補強された緻密なコンクリート素材による
建材母材(試料番号:U-2 )と鋼板製外壁材(試料番
号:U-3 )の3種類を建築資材の母材として選び、この
建築資材の母材に粉末状填剤(活性剤、充填剤、顔料、
着色剤)が混合配合された混合OS液組成物(表11に表
示されているPEシリーズ)を吹付け塗布し、オルガノシ
ロキサン液組成物の塗布処理された建材とした。この建
材を表15に示す硬化条件に付してシロキサン硬化体のポ
リマー組成物で表面処理された建材供試体とした。この
供試体について、複合構造体の項で採用した試験方法に
より表面硬度、光沢、耐熱性、不燃性、耐候性緒試験を
それぞれ行い、シロキサンポリマー組成物で複合された
シートの物性評価を行い、その結果を表15に併せ表示し
た。
【0131】
【0132】以上の結果、本発明の無溶剤で一液保存性
のあるオルガノシロキサン液組成物と填剤との混合液組
成物からなるエナメル塗料を、建築資材の母材に吹付け
塗布した建材は、湿気硬化法によりシロキサン硬化体の
塗膜で表面処理された建材を形成し、この建材が、熱強
く燃えることなく耐熱性・不燃性があり、しかも表面光
沢が良く耐候性に優れている建材であることがよく理解
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 183/06 PMT ZAB // C08J 5/18 CFH 9267−4F

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状オルガノポリシロキサン(A) 、架橋
    剤(B) および硬化促進剤(C) の三成分からなる混合液組
    成物であって;液状オルガノポリシロキサン(A) が有機
    ケイ素基であるX・Si基(X は水素原子もしくは一価炭化
    水素基)と官能性側鎖であるOR基(R は水素原子もしく
    はC1からC5のアルキル基)で構成される低分子量のポリ
    シロキサン化合物からなり、架橋剤(B) が一価有機基と
    少なくとも1個のアルコキシ基、アシロキシ基もしくは
    オキシム基機能団を有する有機金属化合物の1種または
    2種以上の組み合わせからなり、硬化促進剤(C) が含金
    属有機化合物の1種または2種以上の組み合わせからな
    り、且つ該三成分混合液組成物の全金属元素濃度が MO
    y/2酸化物基準(M は金属元素、y は金属元素の価数)
    で表わして25重量%以上40重量%未満の範囲であること
    を特徴とする無溶剤のオルガノシロキサン液組成物。
  2. 【請求項2】 前記の液状オルガノポリシロキサン(A)
    が、下記一般式 (1) (式中:R1は水素原子もしくはC1からC5のアルキル基;
    R2ないしR6はそれぞれが水素原子、 OR1基もしくは一価
    炭化水素基より選ばれた同一もしくは異なる基、n は15
    より小さい数)で表わされる化合物の1種または2種以
    上の組み合わせで構成される低分子量のポリシロキサン
    であり、且つ該液状オルガノポリシロキサン中のケイ素
    濃度をSiO2酸化物基準で表わして50重量%以上である請
    求項1記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物。
  3. 【請求項3】 前記の架橋剤(B) が、下記一般式 (2)も
    しくは(3) R7 pN・(OR1)3-p ・・・・・・・・・・ (2) R7 mQ・(OR1)4-m ・・・・・・・・・・ (3) (式中:N はアルミニウムまたはホウ素元素;Q はケイ
    素、チタンまたはジルコニウム元素;R1は水素原子もし
    くはC1ないしC5のアルキル基;R7は水素原子、OR1基もし
    くは一価有機基より選ばれた基;p は2 以下の整数;m
    は3 以下の整数)で表わされる有機金属化合物の1種ま
    たは2種以上の組み合わせからなる化合物である請求項
    1ないし2記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記の架橋剤(B) が、少なくともアミノ
    基を有する一価有機基で構成されるオルガノトリアルコ
    キシシランである請求項1ないし3記載の無溶剤のオル
    ガノシロキサン液組成物。
  5. 【請求項5】 前記の架橋剤(B) が、70重量%以下の量
    で配合されている請求項1ないし4記載の無溶剤のオル
    ガノシロキサン液組成物。
  6. 【請求項6】 前記の液状オルガノポリシロキサン(A)
    もしくは架橋剤(B)の単独または混合液組成物に、官能
    性側鎖のOR基(R は水素原子、C1ないしC5のアルキル
    基)を有する固体シリコンレジンが70重量%以下の量で
    溶解されている請求項1ないし5記載の無溶剤のオルガ
    ノシロキサン液組成物。
  7. 【請求項7】 前記の液状オルガノポリシロキサン(A)
    もしくは架橋剤(B)の単独または混合液組成物に、アシ
    ル基を有する線状有機高分子化合物の熱可塑性樹脂が30
    重量%以下の量で溶解されている請求項1ないし6記載
    の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物。
  8. 【請求項8】 前記の液状オルガノポリシロキサン(A)
    もしくは架橋剤(B)の単独または混合液組成物100 重量
    部に対し、活性剤、充填剤、顔料、着色剤の群より選ば
    れた1ないし2種以上の組み合わせ填剤(D) が1 ないし
    500重量部の範囲で予め複合されている請求項1ないし
    7記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物。
  9. 【請求項9】 前記の活性剤が、ホウ酸含有化合物、ク
    ロム酸含有化合物もしくはリン酸含有化合物の1または
    2種以上の組み合わせ粉末である請求項1ないし8記載
    の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物。
  10. 【請求項10】 前記の硬化促進剤(C) が、亜鉛、コバル
    ト、アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたは錫元素
    を含有する含金属有機化合物の群より選ばれた1ないし
    2種以上の組み合わせからなる化合物である請求項1な
    いし9記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物。
  11. 【請求項11】 前記の硬化促進剤(C) 中に、アルキル基
    またはトリフルオロ基を有するβ−ケト酸エステル、β
    −ジケトン化合物およびマロン酸エステルの群より選ば
    れた1ないし2種以上の組合わせからなるケト・エノー
    ル型互変異性化合物が50重量%以下の量で配合されて硬
    化促進反応がブロッキングされている請求項1ないし10
    記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物。
  12. 【請求項12】 前記の硬化促進剤(C) 中に、一価もしく
    は多価のアルコールの群より選ばれた1ないし2種以上
    の組合わせからなるアルコール類が50重量%以下の量で
    配合されて硬化促進反応が遅延されている請求項1ない
    し11記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物。
  13. 【請求項13】 前記のケト・エノール型互変異性化合物
    またはアルコール類が配合された含金属有機化合物もし
    くは単独の含金属有機化合物からなる硬化促進剤(C) が
    10重量%以下の量で配合されている請求項1ないし12記
    載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物。
  14. 【請求項14】 前記の液状オルガノポリシロキサン(A)
    、架橋剤(B) 、シリコーンレジンや熱可塑性樹脂さら
    に填剤(D) の単独もしくは混合あるいは複合液組成物
    を、予め水非存在下の 100℃以下で10分以上の養生工程
    に付して含有水分もしくはシラノール基を除去した後、
    ついで硬化促進剤(C) が配合された一液保存性可能な請
    求項1ないし13記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組
    成物。
  15. 【請求項15】 前記請求項1ないし14のいずれか1項に
    記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物が、300 ℃
    以下の水もしくは熱との接触によりポリシロキサン結合
    を主鎖とする独立形状のシロキサン硬化体で形成される
    ことを特徴とする形状ポリマー組成物。
  16. 【請求項16】 前記請求項1ないし14のいずれか1項に
    記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物が、300 ℃
    以下の水もしくは熱との接触によりポリシロキサン結合
    を主鎖とする塗膜ないしは結着体で形成されることを特
    徴とする付着性ポリマー組成物。
  17. 【請求項17】 前記請求項1ないし14のいずれか1項に
    記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物 100重量部
    に対し、1 ないし2000重量部範囲で補強材、骨材ないし
    は成型体の群より選ばれた1ないし2種以上の組合わせ
    材料が予め混合された複合物が、300 ℃以下の水もしく
    は熱との接触によりポリシロキサン結合を主鎖とするシ
    ロキサン硬化体で一体化されることを特徴とする複合構
    造体。
  18. 【請求項18】 前記請求項1ないし14のいずれか1項に
    記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物を布状もし
    くはネット状シート母体に塗布含浸し、300℃以下の水
    もしくは熱との接触により生成するポリシロキサン結合
    を主鎖とするシロキサン硬化体でシート状に一体化され
    ることを特徴とする複合シート。
  19. 【請求項19】 前記請求項1ないし14のいずれか1項に
    記載の無溶剤のオルガノシロキサン液組成物を板状もし
    くは特定形状の建材母体表面に塗布し、300℃以下の水
    もしくは熱との接触により生成するポリシロキサン結合
    を主鎖とするシロキサン硬化体で塗装されることを特徴
    とする建材。
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