JP2738904B2 - 水含有オルガノシロキサン液状組成物とその用途 - Google Patents

水含有オルガノシロキサン液状組成物とその用途

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JP2738904B2 JP25874693A JP25874693A JP2738904B2 JP 2738904 B2 JP2738904 B2 JP 2738904B2 JP 25874693 A JP25874693 A JP 25874693A JP 25874693 A JP25874693 A JP 25874693A JP 2738904 B2 JP2738904 B2 JP 2738904B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含水変性有機ケイ素化
合物が配合された水含有オルガノシロキサン液状組成物
とその用途に関するものであって、より詳しくは、膜状
ないしは繊維状の形状ポリマー、塗料や結着剤用の付着
性ポリマー、複合構造体、シートあるいは建材等に応用
されるポリシロキサン結合を主鎖とするシロキサンポリ
マー組成物が、300 ℃以下の雰囲気中に開放されて形成
可能な含水変性有機ケイ素化合物が配合された水含有オ
ルガノシロキサン液状組成物とその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】オルガノシロキサンがポリマー化し、シ
ロキサン硬化体を形成していく硬化機構は水共存下にお
ける反応性シロキサンの縮合反応もしくは付加反応によ
るとされている。本発明のオルガノシロキサンにおいて
も、第一段で官能基のアルコキシ基に水が反応して脱ア
ルコール反応が起りシラノール基を生成する。ついで第
二段でこの生成シラノール基に架橋剤のアルコキシ基が
反応して脱アルコール、脱オキシム、脱酢酸等の反応に
よる縮合反応が起りポリマー化が進行し、三次元網目構
造のポリマーシロキサン硬化体が形成されるものと考え
られている。一方、オルガノシロキサン化合物、特にシ
リコンオイルは高い撥水性を示し、基本的に水とは積極
的に馴染まない化合物である。
【0003】一般に、ワニス、塗料、接着剤、繊維等の
材料は有機樹脂類を主原料に有機溶剤を副材料に構成さ
れている。しかるに、近年変化していく生活環境の中
で、不燃・難燃性で無公害が求められる分野はますます
広範囲となっている。こうした中で、塗料等は危険で公
害等の弊害性を有する有機溶剤を併用していると共に、
主原料の有機樹脂類が無機質材料に比べて太陽光線に弱
く耐候性に乏しいこと、ならびに熱や火に弱く燃えやす
いこと等の問題点を有している。こうした問題点が解消
される代替品で、しかも無公害で地球環境に優しい塗料
等に応用される材料の開発は各分野より強く求められて
いる。-Si-O-結合を有するシロキサン化合物は熱や光さ
らに化学的酸化等に強く、耐候性に優れ、耐熱性である
ことから、以上の要望に答える研究材料として広く取り
上げられてきた。その成果は一部実用化されている。そ
の研究成果の代表例ならびに従来技術の問題点を塗料や
被覆材分野を中心に以下に列挙する。
【0004】オルガノシロキサンを塗料に応用したポピ
ュラーな例として、第二次大戦中に開発された常温乾燥
で塗膜を形成する防錆塗料として汎用されているジンク
リッチペイントが挙げられる。オルガノシロキサンもし
くはその変性オルガノシロキサンの重合体、さらにオル
ガノシロキサンと各種の有機化合物との共重合体を、そ
れ自体や他の各種有機樹脂類と共に有機溶剤に一旦希釈
溶解せしめて塗料化することは、当業界における常套手
段であり、大半の技術がこの常套手段の応用として開発
されている。その例としては、自然乾燥もしくは熱風乾
燥により耐熱性で防錆性の塗料とする技術が特公昭63-2
8942号公報等に、オルガノシロキサンを有機溶媒中で塗
料化し、常温もしくは加熱下に造膜させる技術が特公昭
63-58191号公報等多くの特許に開示されている。
【0005】有機化合物(有機樹脂類)とオルガノシロ
キサンとを単に複合化させて被覆材等に応用する技術例
も大変多く、その大半が加熱により造膜を行っている。
その代表的例として、特公昭55-41274号公報等に開示技
術が挙げられる。また、オルガノシロキサンを耐熱塗料
に利用しようとする研究は多く、その代表例として、変
性シリコーン樹脂を主材とする180 ℃焼き付け塗料の耐
熱被覆技術が開示されている特公昭63-35183号公報等を
挙げることができる。純粋なオルガノシロキサンを応用
している例としては、オルガノポリシロキサンからなる
耐久性で汚れ防止の透明膜を調製している技術(特開平
3-68676)等を挙げることができる。硬化促進剤として用
いる含金属有機化合物をポリマー形成母体のオルガノシ
ロキサン中で安定に共存させるために、ケト・エノール
型互変異性化合物を組み合わせる技術が特公昭48-17859
号公報や特開平1-129066号公報に開示されている。
【0006】一液タイプのオルガノシロキサン組成物を
常温で硬化させる技術については米国特許3,294,739
号、米国特許3,647,917 号や米国特許4,111,890 号等に
記載されている。以上の液状オルガノシロキサンを特定
条件で硬化させて、シロキサンポリマー組成物を形成せ
しめる従来技術において、この液状オルガノシロキサン
に水を予め均質液状態に配合せしめ、その配合された水
の作用によりシロキサンポリマー組成物を形成させる技
術の開示は見られない。ましてや、この水の均質分散に
際して、ポリエーテル基を有する有機ケイ素化合物の水
保有力を利用した液状オルガノシロキサンへの水分散を
積極的に可能にした応用技術の開示は見られない。
【0007】本発明者は、すでに無溶剤のオルガノシロ
キサン組成物に種々の特定条件を与え、常温もしくは加
熱下で硬化せしめ、塗膜や結着体等の各種有効用途に供
せられるポリマー組成物に関する技術発明(特願平4-18
0127号、特願平4-36273 号)を行ってきた。さらに本発
明者は、無溶剤のオルガノシロキサン液組成物中の全金
属元素濃度をMOy/2 酸化物基準で表わして25重量%以上
40重量%未満の範囲に特定する時は、生成シロキサンポ
リマーに柔軟性と基材への付着追随性とが有効に付与さ
れることを見出し、技術発明(特願平4-267544号)を行
ってきた。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】本明細書でいう「均
質液状態」とは、液組成物が二液等に分離した状態を意
味せず、組成物中のどこの内容も同一組成の均質状態に
あることをいう。本明細書では以下、ケイ素の濃度もし
くは含有量を表示するに際し、酸化物基準の重量%「Si
O2重量%」で示すことがある。また本発明の液状組成物
が含有している全金属元素(アルミニウム、ホウ素、ケ
イ素、チタン、ジルコニウム、亜鉛、コバルト等)の濃
度もしくは含有量を表示するに際し、酸化物基準の重量
%「MOy/2 重量%」で示すことがある。
【0009】また本明細書で用いる用語は次のように定
義される。本明細書では、本発明の水含有オルガノシロ
キサン液状組成物が、300 ℃以下の雰囲気中に開放され
て生成するポリシロキサン結合を主鎖とするシロキサン
硬化体を「シロキサンポリマー組成物」と略記すること
がある。この「シロキサンポリマー組成物」は、以下に
定義する形状ポリマー組成物および付着性ポリマー組成
物、ならびに複合構造体、複合シートおよび建材を構成
しているシロキサン硬化体を総称していう。
【0010】「形状ポリマー組成物」とは、膜状、薄板
のシート状、繊維状、紐状、塊状、球状、角状等ないし
は特定された形状に維持された形状体でシロキサン硬化
体を形成するポリマー組成物をいう。「付着性ポリマー
組成物」とは、塗料・ワニス、下地材やある程度の肉厚
を有する被覆保護材、さらに接着剤、バインダー、目地
剤、ならびに各種骨材等の固め剤やまとめ剤、さらにセ
メンティング材やアンカー固定材等の用途で各種基材表
面や内部に使用されて、該基材に付着した塗膜や結着体
でシロキサン硬化体を形成するポリマー組成物をいう。
【0011】「複合構造体」とは、ハニカム状、塊状、
板状、網状、繊維状、布状等の各種基材から成る補強
剤、骨材、成型体、構造加工体等と一体化した複合体を
シロキサン硬化体の仲介により形成している構造体をい
う。「複合シート」とは、膜状、網状、ネット状、布
状、織物状等のシート母体に塗布含浸された状態でシロ
キサン硬化体が形成しシート状に一体化しているシート
をいう。「建材」とは、金属製品、セメント等によるコ
ンクリート製品、窯業セラミック・粘土類製品、ホーロ
ー製品、天然素材による木・竹等の製品やその合成加工
製品等の建築資材表面に塗装された状態でシロキサン硬
化体を形成させている建材をいう。
【0012】本発明における重要なポイントは「水」に
ある。即ち、「水」は液状オルガノシロキサン化合物と
は基本的に馴染まず、所謂「水と油」の関係にある。し
たがって、液状オルガノシロキサン化合物と水とは基本
的に均質液状態を構成せず、二液分離体となる。一方、
「水」が液状オルガノシロキサン化合物を湿気硬化機構
によりポリマー化させるに重要な役割を果たすことは上
述した通りである。本発明者は、このような二律背反の
状態にある「水」とオルガノシロキサン化合物との関係
に着目し、その重要な「水」をオルガノシロキサンに有
効に作用せしめる条件を求めて本発明に至った。その結
果、重要ポイントにある「水」を特定された条件下で予
め本発明オルガノシロキサン液組成物中に加えて均質液
状態を構成させる時は、水の役割が液組成物内部より有
効に働き、本発明が目的とする有用なシロキサンポリマ
ー組成物が均質硬化により生成することを見出した。
【0013】上述した従来技術に見られるように、オル
ガノポリシロキサンをシロキサンポリマーとして塗料等
へ応用する技術は、塗膜・造膜性能、溶剤による希釈性
能、塗布後の乾燥性等に優れている-C-C- 結合を主鎖と
する有機質ポリマーや有機樹脂類を主たる材料とし、こ
れら有機化合物の塗料への応用において、その欠点を補
う目的でシロキサン化合物を補足付加させる方法・技術
から始まっている。したがって、これらの従来技術では
危険・障害性を有する有機溶剤の併用は避けられず、オ
ルガノシロキサンを主材にして無溶剤で不燃・難燃性の
膜や繊維等の形状ポリマー組成物、塗料や接着剤等の付
着性ポリマー組成物等のシロキサンポリマー組成物を積
極的に製造し、商品化している技術開示は見られない。
【0014】本発明者は、従来から使用されてきたポリ
マーが膜、繊維、塗料、被覆材、結着剤、構造体、シー
ト、建材等に応用される時、これらのポリマーが下記の
諸問題点を基本的に抱え、しかも地球の環境保全と省エ
ネルギー・省力化に配慮した技術の克服が欠如している
ことにまず着目した。 1)-C-C- 結合を主鎖とする有機化合物を主材とするポリ
マーでは; (a) 危険・障害性を有する有機溶剤の使用が避けられな
い。 (b) 熱や火による酸化に対して大変弱い。 (c) 燃えた時、有毒・有害ガスを発生する。 (c) 耐候性に大変乏しい。
【0015】2)不燃性の-Si-O-結合を主鎖とする水ガラ
スを主材とするポリマーでは; (a) フレキシビリティがなくて固く、柔軟性に欠ける。 (b) アルカリ金属元素との反応性が強く、耐アルカリ性
に乏しい。 (c) 水硬性による硬化体では水が抜けた細孔が残り耐透
水性に欠ける。 (d) 有機系材料に対する密着性がなく、重ね塗りができ
ない。 3)オルガノシロキサンを主材とするポリマーでは; (a) 無溶剤オルガノシロキサンを三次元形成ポリマーへ
の応用技術に欠ける。 (b) 現場施工可能な塗料等への応用技術が未完成であ
る。 (c) 不燃・難燃性で肉厚感のある美麗・光沢性塗料が未
だ汎用されていない。 (d) 絶縁性が高い材料であることから、汚れ汚染が起り
やすい。
【0016】本発明者は、シロキサン結合(Si-O結合)
が基本的に(a) 分子間結合エネルギーは大きく熱や光ま
た酸化等に強いこと、(b) 紫外線領域における波長吸収
が小さいく耐候性に優れていること、(c) 原子間結合距
離が長くて電子密度が低く結合回転が容易で、屈曲性が
大きくいこと等の特長を有していること、(d) ポリシロ
キサン結合の生成反応に水が重要な役割を果すこと等を
前提に、その応用有効利用について鋭意実験・研究を重
ねた。その結果、下記に示すように、水をオルガノシロ
キサンの液組成物中に均質液状態で配合する条件と、こ
の水含有オルガノシロキサンの液状組成物には下記に示
す特性が顕著に発揮されることを見出した。
【0017】1.側鎖にポリエーテル基を有する有機ケイ
素化合物に水を予め溶解せしめ、液状シロキサン化合物
に配合すると水含有の均質液状態組成物が調製できるこ
と。しかも使用する水を、酸性水やアルカリ性水にする
ことが可能であること。 2.生成シロキサンポリマー組成物を不燃・難燃化するた
めに、基本骨格の構成主鎖をポリシロキサン結合[(-Si-
O-)n] に求め、含有する金属元素濃度をMOy/2重量%で
表わして20重量%以上65重量%未満の範囲に管理すると
きは、脆さが解消され付着追随性に優れ、耐熱性が確保
たシロキサンポリマー組成物が形成されること。しか
も、この系を無溶剤で液状態を確保できること。 3.以上の特定されたオルガノシロキサン液状組成物を 3
00℃以下の雰囲気中に開放する時は、ポリシロキサン結
合を主鎖とするシロキサン硬化体が早期に、しかも均質
に硬化し、形状ポリマー組成物および付着性ポリマー組
成物、ならびに複合構造体、複合シート、建材等の用途
提供が可能になること。 4.生成ポリマー組成物中に水に馴染みやすいポリエーテ
ル基が配合されていることから、ポリマーの絶縁性がリ
ークされ、汚染性を防止できること。
【0018】
【発明の目的】本発明の目的は、地球環境に優しい素材
で、従来技術では達成されなかった上記諸問題を解消で
きる本発明技術により、美麗で柔軟性があり、付着性に
優れ、耐熱性で耐久性に優れたシロキサンポリマー組成
物が速やかに、しかも均質に硬化形成されることによっ
て、膜や繊維、塗料・ワニスや接着剤、複合構造体、複
合シート、建材等に有効に利用される水含有オルガノシ
ロキサン液状組成物を提供することにある。
【0019】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、以上に示
した本発明の目的を達成するために鋭意研究を重ね、本
発明技術に到達した。すなわち、本発明によれば、少な
くとも30重量%の量で配合されている含水変性有機ケ
イ素化合物(A)、液状オルガノポリシロキサン
(B)、70重量%の量で配合されている架橋剤(C)
および硬化促進剤(D)の四成分から均質液状態を構成
している混合液組成物であって; 含水変性有機ケイ素化合物(A)が、pH値が3ないし
10の範囲にある50重量%以下の水が溶解している側
鎖にポリエーテル基を有する有機ケイ素化合物であり、
液状オルガノポリシロキサン(B)が、下記一般式
(1) (式中:Rは水素原子もしくはCからCのアルキ
ル基;RないしRはそれぞれが水素原子、OR
もしくは一価の炭化水素基より選ばれた同一もしくは異
なる基、nは15より小さい数)で表わされる低分子量
液状ポリシロキサンの1種または2種以上の組み合わせ
であり、架橋剤(C)が、下記一般式(2)もしくは
(3) R M・(OR3−p ‥‥‥‥‥ (2) R Q・(OR4−m ‥‥‥‥‥ (3) (式中:Mはアルミニウムまたはホウ素元素;Qはケイ
素、チタンまたはジルコニウム元素;Rは水素原子も
しくはCないしCのアルキル基;Rは水素原子,
OR基もしくは一価有機基より選ばれた基;pは2以
下の整数;mは3以下の整数)で表わされる有機金属化
合物の1種または2種以上の組み合わせからなり、硬化
促進剤(D)が、含金属有機化合物の1種または2種以
上の組み合わせであることを特徴とする水含有オルガノ
シロキサン液状組成物が提供される。
【0020】また、本願発明によれば、前記の含水変性
有機ケイ素化合物(A)が配合された液状オルガノポリ
シロキサン(B)もしくは架橋剤(C)の単独または混
合液組成物に、官能性側鎖のOR基(Rは水素原子、C
ないしCのアルキル基)を有する固体シリコンレジ
ン(SR)が30重量%以下の量で溶解配合されている
水含有オルガノシロキサン液状組成物が提供される。ま
た、本発明によれば、前記の含水変性有機ケイ素化合物
(A)が配合された液状オルガノポリシロキサン(B)
もしくは架橋剤(C)の単独または混合液組成物に、ア
シル基を有する線状有機高分子化合物の熱可塑性樹脂
(HR)が60重量%以下の量で溶解配合されている水
含有オルガノシロキサン液状組成物が提供される。
【0021】また、本発明によれば、前記の含水変性有
機ケイ素化合物(A)が配合された液状オルガノポリシ
ロキサン(B)もしくは架橋剤(C)の単独または混合
液組成物100重量部に対し、活性剤、充填剤、顔料、
および着色剤からなる群より選ばれた1種または2種以
上の組み合わせ粉末填剤(E)が1ないし500重量部
の範囲で予め複合されている水含有オルガノシロキサン
液状組成物が提供される。また、本発明によれば、前記
の活性剤が、ホウ酸含有化合物、クロム酸含有化合物も
しくはリン酸含有化合物の1種または2種以上の組み合
わせ粉末である水含有オルガノシロキサン液状組成物が
提供される。
【0022】また、本発明によれば、前記の硬化促進剤
(D)が、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、ジ
ルコニウムまたは錫元素を含有する含金属有機化合物か
らなる群より選ばれた1種または2種以上の組み合わせ
からなる水含有オルガノシロキサン液状組成物が提供さ
れる。
【0023】また、本発明によれば、前記の硬化促進剤
(D)中に、アルキル基またはトリフルオロ基を有する
β−ケト酸エステル、β−ジケトン化合物およびマロン
酸エステルからなる群より選ばれた1種または2種以上
の組合わせケト・エノール型互変異性化合物類からなる
ブロッキング剤が50重量%以下の量で配合されている
水含有オルガノシロキサン液状組成物が提供される。ま
た、本発明によれば、前記の硬化促進剤(D)中に、一
価もしくは多価のアルコールの1種または2種以上の組
合わせアルコール類からなる遅延剤が50重量%以下の
量で配合されている水含有オルガノシロキサン液状組成
物が提供される。
【0024】また、本発明によれば、前記のケト・エノ
ール型互変異性化合物類またはアルコール類が配合され
た含金属有機化合物もしくは単独の含金属有機化合物か
らなる硬化促進剤(D)が20重量%以下の量で配合さ
れている水含有オルガノシロキサン液状組成物が提供さ
れる。
【0025】また、本発明によれば、前記の四成分から
なる混合液組成物が、該混合液組成物中の全金属元素濃
度がMOy/2酸化物基準(Mは金属元素、yは金属元
素の価数)で表わして30重量%以上65重量%未満の
量範囲を無溶剤で構成される水含有オルガノシロキサン
液状組成物が提供される。
【0026】また、本発明によれば、前記水含有オルガ
ノシロキサン液状組成物が、300℃以下の雰囲気中に
開放されて生成するポリシロキサン結合を主鎖とする独
立形状のシロキサン硬化体で形成されることを特徴とす
る形状ポリマー組成物が提供される。
【0027】また、本発明によれば、前記水含有オルガ
ノシロキサン液状組成物が、300℃以下の雰囲気中に
開放されて生成するポリシロキサン結合を主鎖とする塗
膜ないしは結着体で形成されることを特徴とする付着性
ポリマー組成物が提供される。
【0028】また、本発明によれば、前記水含有オルガ
ノシロキサン液状組成物100重量部に対し、1ないし
2000重量部の範囲で、補強材、骨材および成型体か
らなる群より選ばれた1種または2種以上の組合わせ材
料が予め複合され、300℃以下の雰囲気中に開放され
て生成するポリシロキサン結合を主鎖とするシロキサン
硬化体で一体化されることを特徴とする複合構造体が提
供される。
【0029】また、本発明によれば、前記水含有オルガ
ノシロキサン液状組成物を、布状またはネット状シート
母材に塗布含浸し、300℃以下の雰囲気中に開放され
て生成するポリシロキサン結合を主鎖とするシロキサン
硬化体で一体化されることを特徴とする複合シートが提
供される。
【0030】
【作 用】上述したように、従来のシロキサンポリマー
組成物を生成させる技術において、原料の液状オルガノ
シロキサンに対して、系外からの水、例えば大気中の湿
気との接触拡散があって初めて反応がスタートする機構
を基本としている。しかし、これらの反応では、系外か
らの水がオルガノシロキサンに接触し、その水の系内へ
の拡散速度がポリマー化速度を律速させている。したが
って、生成ポリマー組成物の硬化は系外界面から距離に
比例して順次進行していく傾向にある。したがって、系
全体が硬化を完成する以前では、ポリマー組成物の物性
は不均質状態にあり、均質物性を有するポリマー組成物
を得難い傾向にある。
【0031】オルガノシロキサンのポリマー組成物に均
質な諸物性を求めるならば、系全体が均質にして速やか
に諸物性を発現させる技術が必要である。しかしなが
ら、一般に、オルガノシロキサン液組成物の硬化反応速
度を速める手法としては、硬化促進剤(硬化触媒)の種
類やその量を検討することが考えられる。しかるに、上
述してきたように本反応のスタートが水との関わりあい
によって起る以上、硬化促進剤が関与するアルコキシ基
等の縮合反応以前に反応に関与する水の存在役割を重視
する必要がある。
【0032】したがって、反応系内に水を包含させ、系
内全体の反応を均質にスタートさせることに配慮するこ
とは重要である。しかし、オルガノシロキサン化合物と
水との関係は本質的に水と油の関係にあり、混合分散状
態、即ち均質液状態を無条件で得ることはできない。ま
た、水が系内にある時は、オルガノシロキサンが持つア
ルコキシ基等の官能基と水は容易に加水分解等の反応に
よりポリマー化が起こり、材料の安定した液状態の維持
が望めず、所謂棚寿命性の確保が困難となる。本発明者
は、以上の点に充分な検討と実験を重ね、研究した結
果、 側鎖にポリエーテル基を有する有機ケイ素化合物は、
これに水を溶解せしめると含水変性有機ケイ素化合物が
調製できること、 水を溶解せしめた含水変性有機ケイ素化合物はオルガ
ノシロキサン液組成物に容易に均質分散して均質液状態
を構成し得ること、 含水変性有機ケイ素化合物がアルコキシ基を有する時
は、オルガノシロキサン液組成物、架橋剤等と相まって
ポリマー組成物構成の一員になり得ること、 上記の条件で調製された水含有オルガノシロキサン液
組成物は、300℃以下の雰囲気中に開放されると容易
に硬化をスタートさせ、それぞれの条件下において最短
時間でポリマー組成物を形成させ、諸物性の発現がある
こと、 ここにおいて用いられる水は、pH値で示して3以上
7未満の酸根を有する酸性水であっても良く、またpH
値で示して7以上10未満の塩基性物質が溶け込んだア
ルカリ性水であっても良い。この場合、pH7の中性付
近よりも、pH値が高いかもしくは低い水を用いること
が、触媒作用を促進させ、効果的に流動性が発現するこ
と、等の現象を見出し、含水変性有機ケイ素化合物
(A)を見出した。
【0033】本発明の含水変性有機ケイ素化合物(A) の
側鎖に結合しているポリエーテル基は、エーテル結合(-
O-) を主鎖中に含む線状分子であって、一般に[-M-O-]
(Mは通常メチレン基またはポリメチレン基およびその
誘導体)単位の繰り返しで構成される高分子化合物であ
る。これらの合成は一般的にアルデヒド類の付加重合や
環状エーテルの開環重合等によって可能である。
【0034】ポリエーテル基を側鎖に持つ有機ケイ素化
合物が水と相互溶解できるのは、側鎖にあるポリエーテ
ル基の性質に由来すると考えられる。即ち、ポリエーテ
ル基は、エーテル基とアルコールで代表されるオキシ基
の両者の性質を有している。したがって、エーテル基の
もつゴム、樹脂類、繊維素エステル等を溶かすエーテル
の性質と、オキシ基がもつ水を良く溶かし込むアルコー
ルの性質との両性質を兼ね備えているためと考えられ
る。この場合特に、オキシ基が水素結合により会合され
て大きい分子を作って水を包含していると考えられ、有
機ケイ素化合物の中に水を大きい分子状に水素結合を以
って取り込んでいるものと思われる。
【0035】本発明液状組成物に含水変性有機ケイ素化
合物(A) が配合されていることは、予め系内に水を均質
に持ち込む作用を有するだけでなく、系内に残存する水
を包含してしまい、水をブロッキングしてしまう点でも
重要である。即ち、上述してきたように側鎖にポリエー
テル基を有する変性有機ケイ素化合物は水を溶解し、水
素結合により水を包含固定してしまう機能を有している
点でも注目する必要があり、本発明液組成物における水
の作用をコントロールする上でも重要である。
【0036】本発明の生成シロキサンポリマー組成物を
不燃・難燃性で耐熱性に優れた製品とするためには、燃
えやすい溶剤成分を排除し、熱に弱い有機成分濃度を低
く抑えて含有金属成分濃度、特にケイ素成分濃度を高め
て置く必要がある。しかるに一方、含有金属成分濃度が
高めすぎると生成シロキサンポリマー組成物の物性が限
りなく固く脆い無機質的物性に近づくき、例えば、製品
に求められる柔軟性や付着性が損なわれ本発明の目的を
達成することができない傾向にある。
【0037】本発明者は、柔軟性や付着性が損なわれ
ず、不燃・難燃性で耐熱性に優れた製品を開発するため
に鋭意研究を重ね重合度が特定範囲に維持された含水変
性有機ケイ素化合物(A)、液状オルガノポリシロキサン
(B)、架橋剤(C) と硬化促進剤(D)との四成分からなる混
合液組成物の含有全金属元素成分を MOy/2重量%で表わ
して、20重量%以上65重量%未満の量範囲に管理する
時、さらに30重量%以上65重量%未満の量範囲に管理す
る時は本発明の目的が達成できる無溶剤の水含有オルガ
ノシロキサン液状組成物の提供が可能となることを見出
した。
【0038】本発明のシロキサンポリマー組成物の基本
骨格が丈夫で強く、不燃・難燃性である-Si-O-Si- 結合
で構成され、その-Si-O-Si- 結合で高分子を構成する液
状オルガノポリシロキサン(B) のケイ素分濃度が、SiO2
換算で50重量%以上に維持されて高分子化していること
が重要である。無溶剤で液状オルガノポリシロキサン
(B) のケイ素分濃度をSiO2換算で50重量%以上、好適に
は53重量%以上の高濃度に維持するには、オルガノシロ
キサンをオリゴマー以上に重合させることによって可能
である。
【0039】さらに、本発明シロキサンポリマー組成物
の基本骨格となるSi-O結合は、既にポリマー状の -Si-O
-Si-結合をある程度形成している液状オルガノポリシロ
キサン(B) を用いることが、そのSiO2濃度を高めるだけ
でなく、求めるポリマー骨格の基本構造を確定させ、目
的とするシロキサン硬化体の構造形態をある程度予測で
きことから有効である。さらにまた、加熱硬化により短
時間でシロキサン硬化体を形成させようとする時は、あ
る程度完成されているポリマー体が配合されていること
は、ポリマー化に必要な反応時間が軽減でき、製造工程
上有効である。
【0040】以上の要望を可能にするポリマーのオルガ
ノシロキサンは、先に示した一般式(1) の[-Si-O-]n
のn を少なくとも2 以上のポリマーとしておくことによ
って成立する。しかし一方、n の数が大きくなり重合度
が大きくなると、オルガノポリシロキサンの液粘性が向
上してしまい、液粘性調整するための有機溶剤等の希釈
剤添加なしで塗料としての良好な施工作業性を確保する
ことは困難となる。本発明が地球環境に優しい素材と方
法を採用することを目的とし、各種の弊害を起こす有機
溶剤を使用しない立場にあることから、有機溶剤による
希釈手段の採用はできない。したがって、本発明の組成
物に良好な液状態を確保し、施工作業性を保証するため
には、液状オルガノポリシロキサン(B) のケイ素分濃度
や重合度にも自ずと上限が生じてくる。
【0041】本発明で用いる液状オルガノポリシロキサ
ン(B) は、有機基が酸素を介いさずケイ素に直接結合し
ている有機ケイ素基を保有していることが、無機系シロ
キサン結合からなるポリマーの物性と異なる点で重要で
ある。特に無機系シロキサン結合によるポリマーが持た
ない柔軟性、付着性、撥水性、耐透水性ならびに特に耐
アルカリ性の物性を有効に発揮させるためには、シロキ
サン結合を十分にカバーできる大きさの有機基、例えば
アルキル基、フェニル基、グリシドキシ基、メタクリロ
キシ基、アミノアルキル基等の一価の炭素水素基の有機
基であることが大切である。特に有機基がアルキル基や
フェニル基が好適である。
【0042】しかも、生成したポリマーが良質な物性を
発揮し、有用なポリマー硬化体であるためには、緻密で
丈夫な三次元に広がった網目状ポリマーであることが有
効である。しかるに、オルガノシロキサンの官能基が2
個以下の場合は線状ポリマーのみの形成であり、三次元
に広がった網目状ポリマーの形成は期待できない。緻密
で丈夫な三次元の網目状ポリマーを形成させるために
は、基本骨格のオルガノシロキサンの中間各所のポイン
ト・ポイントで少なくとも3個の官能基を有する架橋剤
(C) により、架橋や交差による結合を上下・左右の三次
元方向で進行せしめ、線上や平面でなく立体的に広がっ
た構造体を形成させる必要がある。
【0043】以上の理由から本発明を完成させるには、
用いる架橋剤(C)が果す役割が重要である。この役割
を有効に果たす架橋剤には一殿式(2)[R G・
(OR3−p]もしくは一般式(3)[R Q・
(OR4−m](式中:Gは3価のアルミニウムま
たはホウ素元素;Qは4価のケイ素、チタンまたはジル
コニウム元素;Rは水素原子もしくはCないしC
のアルキル基;Rは水素原子,OR基もしくは一価
有機基より選ばれた基;pは2以下、mは3以下の整
数)で表わされ、−ORの反応性官能基を有している有
機金属化合物が好適である。特に本発明では、生成シロ
キサンポリマー組成物に柔軟性ならびに付着性を有効に
発揮させるために、架橋剤(C)のケイ素基に直接結合
している有機基の内容について充分実験検討する必要が
あり、この有機基が、例えば炭素数の多いアルキル基、
フェニル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アミ
ノアルキル基等からなることが有効であり、好適であ
る。
【0044】さらに、本発明の架橋剤(C) に関して重要
なことは、該架橋剤(C) の有機金属化合物のアルミニウ
ム、ホウ素、チタンもしくはジルコニウムの金属元素
が、シロキサン硬化体ポリマーを構成するSi-O結合に直
接結合して、その構成員の一員としての役割を果すとこ
ろにある。特に本発明においては、ポリマーの主鎖中に
ケイ素元素以外に部分的ではあるがこれらの3価もしく
は4価の異なる金属元素を含有させることにより、寸法
大きさの異なる金属元素をSi-O結合中に部分的に結合混
在させることになる。
【0045】その結果、硬化体自身を全く規則的構造か
ら一部不規則的構造に変化し、硬化体の内部構造に遊び
や余裕の空間を生じせしめることが可能となり、結果的
に生成したポリマー組成物にタフネスな強靭さを発揮さ
せることが可能となる。この場合シロキサンポリマー組
成物の柔軟性や付着性が損なわれないために、液組成物
中に有機基、例えば炭素数の多いアルキル基、フェニル
基、メタクロキシ基やグリシドキシ基等を含有している
シロキサン化合物やアルミニウム、ホウ素、チタン、ジ
ルコニウムの有機化合物が配合されていることが重要で
ある。
【0046】しかしこのことによって、液組成物中の含
有金属成分濃度は低濃度に管理されることになり、製品
の不燃・難燃性で耐熱性等の特性が若干損なわれる傾向
にあることは否めない。しかし、有機樹脂類からなるポ
リマー製品と比べれば、この含有金属成分濃度が低濃度
に移行したシロキサン組成物ても耐熱性等の物性面で数
段優れていることは云うまでもない。さらにまた、本発
明の架橋剤(C) に関して重要なことは、詳しくは後述す
るように、該架橋剤(C) のアルミニウム、ホウ素、チタ
ンもしくはジルコニウムの有機金属化合物が架橋剤であ
ると共に硬化促進剤としての機能を兼ね備えていること
にある。したがって、該架橋剤(C) の有機金属化合物を
選ぶ時は、後述する硬化促進剤(D) の内容と配合量を充
分に考慮して配合内容を決定する必要がある。
【0047】本発明で重要なことは、従来固体状の樹脂
類(含むシリコン樹脂)を溶解せしめるのに用いていた
有機溶剤に代わって、液状のオルガノシロキサン、例え
ばメチルトリメトキシシランやフェニルトリメトキシシ
ラン、さらにはオルガノポリシロキサン等の液状シラン
化合物を、固体状高分子化合物を溶解せしめる溶剤の代
わりとして使用することが可能であることを見出したこ
とにある。その具体的例として本発明者は、予め高分子
化している固体状のシリコーンレジン(SR)を溶剤の役割
を与えたオルガノシロキサン液に30重量%以下の量で溶
解せしめ、ついで本発明液組成物に配合する時は、塗料
やバインダー用に好適に使用されることを見出した。こ
の場合、高分子化状態が明確になっているシリコーンレ
ジンが液組成物中に特定量の範囲で配合されることによ
って、液組成物の液粘性を増粘方向で調節でき作業性を
コントロールできると共に、目的とするシロキサンポリ
マー組成物の構造設計と特性を予め特定できるメリット
がある。
【0048】さらにまた以上の現象の応用として本発明
者は、その溶剤的オルガノシロキサンの性質を応用し
て、線状有機高分子化合物である熱可塑性樹脂を60重量
%以下の範囲で溶解せしめ、有機高分子化合物である樹
脂類を液状でオルガノシロキサン液組成物と混合させて
本発明に好適に使用可能な液組成物を見出した。この場
合、有機高分子化合物が配合されることによって、液組
成物中の金属元素成分の濃度は減少し、不燃・難燃性特
性は軽減する傾向にある。しかるに、本発明のシロキサ
ン組成物が有機質材料上での塗布や結着性が求められる
場合、配合された熱可塑性樹脂が有機化合物をベースと
する材料への密着性や付着性を向上させるメリットがあ
る。
【0049】本発明の液状組成物は、その用途目的と必
要に応じて活性剤、充填剤、顔料、着色剤等からなる粉
末状填料(E) を選択し、特定された量割合で予め配合し
ておくことができる。特に塗料や生活環境でポリマー組
成物を応用使用とする製品では、その美麗さや色彩感覚
から着色剤的顔料の使用は必須である。また、液組成物
の作業性を調製する上からも公知の種々充填剤等の添加
配合は必須である。この時配合される活性剤、充填剤、
顔料、着色剤等の填剤(E) は200 ミクロン以下の粉末で
精製品であることが有効である。さらに、この粉末状填
剤(E) が付着、吸着等による水分は予め可能な限り除去
されていることが好適である。またホウ酸、クロム酸、
リン酸塩等を含有する化合物を填剤(E) の活性剤として
選び配合しておくことは、基材が鉄等金属材料である時
は重要で、その防錆力をこれらの化合物が有効に発揮す
るので効果的である。
【0050】上記の架橋化反応を促進させる硬化促進剤
(D) として亜鉛、コバルト、アルミニウムまたは錫等の
金属元素からなる含金属有機化合物が有効である。ま
た、本発明においては、上述した架橋剤(C) の有機金属
化合物は架橋剤であると共に、上記含金属有機化合物と
組み合わせて硬化促進剤としても働き、二役をこなす点
で注目される。したがって、上述してように硬化促進剤
(D) の添加配合量は、この点も配慮して決定せねばなら
ない。
【0051】本発明者は、本発明液組成物の一液保存性
を確実に確保し、施工後起る硬化反応の進捗状況を希望
する時間間隔で管理コントロールすることを可能にする
ために、用いる硬化促進剤(D) を予め封鎖ブロッキング
しておくことを検討した。その結果、ブロッキング剤と
して、ケト・エノール型互変異性化合物やアルコール類
が有効であることを見出した。一般にケト・エノール型
互変異性化合物は、アセト酢酸エチルエステルに代表さ
れるようにケト型(βケト酪酸エチルエステル)とエノ
ール型(βオキシクロトン酸エチルエステル)との間で
平衡関係を保って共存する性質を有している。このケト
・エノール型互変異性化合物は分子内で水素結合による
キレート化が起っているため、分子間における水素結合
が起りにくく分子間会合を起こさずブロッキング効果を
発揮するものと思われる。
【0052】しかし、水酸基を共存する時はブロッキン
グ効果は解消され、金属元素を有する化合物本来の役割
である触媒作用を発揮するものと思われる。本発明のオ
ルガノシロキサンが水の作用により縮合反応を開始する
と、脱アルコール反応が起りアルコール類が該系内に副
生する。この副生アルコール類の発生が封鎖ブロッキン
グしていた金属元素を開放し本来の触媒役割を発揮させ
るものと思われる。さらに本発明においては、硬化の反
応速度を遅延コントロールさせるために、一価もしくは
多価のアルコール類を配合しておくことが有効である。
その理由は定かでないが、これらのアルコール類が既に
共存していることにより、新たに起る脱アルコール反応
を抑制し、反応速度を遅延させるものと思われる。この
場合のアルコールは、高分子を溶解させる溶媒としてで
なく、遅延剤として働く。
【0053】さらに本発明を実用化するに当って重要な
ことは、本発明の液組成物が硬化促進剤の共存下にあっ
ても一液保存性を維持できることである。本発明の液組
成物を所謂二液タイプの方法で施工することも厭わない
が、施工上好適には一液タイプであることが煩雑さがな
く望ましい。もしも、液状オルガノシロキサン原液のOR
基のR が水素原子である所謂シラノール基を有している
時は、水の非存在下でも硬化促進剤が共存すると、この
シラノール基のOH基は共存するアルコキシ基との間で脱
アルコール反応が起こり、液状組成物をポリマー化させ
る方向で変質する。
【0054】したがって、オルガノシロキサン液組成物
中、さらには着色剤や顔料等の粉末状填剤(E) が配合さ
れた混合液組成物中に水やシラノール基が含有されてい
る時は、上述してきたように保存中に湿気硬化を進行さ
せていまわないように、予めの養生工程において水やシ
ラノール基を除去消滅させておく必要がある。養生工程
は、含水変性有機ケイ素化合物(A)、液状オルガノポリシ
ロキサン(B)、架橋剤(C)、もしくはシリコーンレジンや熱
可塑性樹脂、さらに填剤(E) 等の単独もしくは混合液組
成物を予め100 ℃以下の条件下に放置して含有水やシラ
ノール基を共存するアルコキシ基との間で反応させて除
去消滅させることを見出した。
【0055】本発明では、オルガノシロキサン液状組成
物を用いて、単独もしくは各種の材料を添加配合したり
して複合化させて、常温ないし300 ℃以下の雰囲気に開
放して硬化させると、下記に例示する各用途に好適に供
せられる。 単独で膜状、薄板のシート状、繊維状、紐状、塊状、
球状、角状等ないしは特定された形状に維持される形状
ポリマー組成物。 塗料・ワニス、下地材やある程度肉厚を有する被覆保
護材、さらに接着剤、バインダー、目地剤、ならびに各
種骨材等の固め剤やまとめ剤、さらにセメンティング材
やアンカー固定材等の用途で各種基材表面や内部に使用
され、該基材に付着することにより目的効果を発揮する
付着性ポリマー組成物。 ハニカム状、塊状、板状、網状、繊維状、布状等の補
強剤、骨材、成型体、構造加工体等と複合化されて一体
化している複合構造体。 膜状、網状、ネット状、布状、織物状等のシート母体
に塗布含浸されて形成される複合シート。 鉄等の金属製品、セメント等によるコンクリート製
品、窯業セラミック・粘土類製品、ホーロー製品、天然
素材による木・竹等の製品やその合成加工製品等の建築
資材表面に塗装された建材。
【0056】
【発明の具体的説明】含水変性有機ケイ素化合物(A)
は、側鎖にポリエーテル基を有している有機ケイ素化合
物が50重量%以下の量で水を溶解保有してる化合物をい
う。本体の有機ケイ素化合物は、所謂オルガノシロキサ
ン化合物であればいずれでも良いが、側鎖のポリエーテ
ル基との合成上シリコーンオイルと呼ばれている2官能
タイプのオルガノポリシロキサン化合物であることが好
適である。特にジメチルポリシロキサン、メチルフェニ
ルポリシロキサン、メチルアルキルアラルキルポリシロ
キサン、メチルエポキシポリシロキサン等が好適であ
る。これらの有機ケイ素化合物がアルコキシ基を側鎖に
有しているか否かは問題とならない。
【0057】側鎖のポリエーテル基は、[-M-O-] を主鎖
とする線状分子であって、ポリオキシメチレンやポリエ
チレンオキシドで代表される化合物を基とするもので、
最も代表的には、ポリエチレングリコール[ HO(CH2CH
2O)nH 、n は8以下の数]を挙げることができる。本発
明では、特にアルコキシ基を有する2官能タイプのオル
ガノポリシロキサン系化合物が好適である。側鎖にポリ
エーテル基が結合する有機ケイ素化合物本体は、所謂オ
ルガノシロキサン系化合物ならいずれの化合物でも良い
が、変性のしやすさからシリコーンオイルと呼ばれてい
る2官能タイプのポリシロキサン化合物が好適である。
本発明のシロキサンポリマー組成物を不燃・難燃性で確
保するため、また生成シロキサン硬化体の骨格を安定さ
せるため、また反応時間を稼ぐため、液状オルガノポリ
シロキサン(B) に含有されるケイ素元素濃度をSiO2酸化
物基準で換算して50重量%以上の高濃度に確保しておく
必要がある。そのためには前述したように一般式(1) で
表わして、その[-SiO]n 項のn が2 以上の数であるオリ
ゴマーもしくはポリマーを選ぶことによって達成され
る。しかし、液状オルガノポリシロキサン(B) の重合度
が大きくなり過ぎると、オルガノポリシロキサン(B) を
液状態で確保することが不可能となる。したがって前記
一般式のn は15より小さい数であることが好適である。
このように用いるオルガノシロキサンの重合度を管理す
ることにより、液の粘度を3000センチポイズ以下の施工
上取り扱いやすい状態に確保することが可能となり、従
来技術にあるような有機溶剤等の希釈剤による液粘度の
調整を行う必要はなく、オルガノシロキサンをそのまま
単独で使用に供することができる。
【0058】前記の含水変性有機ケイ素化合物(A) に包
含される水は、純水であることが標準である。しかしこ
の水は、脱アルコールを促進し、基材等への密着性、さ
らには防錆性等を改善するために、有機あるいは無機を
問わず酸根もしくは塩類を有してるpH値で3以上7未満
の酸性水であっても良い。またこの水は、硬化促進剤等
の反応を活性化し、金属表面への防錆性を改善するため
に塩基性元素もしくは化合物あるいは塩類等を有してい
るpH値で7以上10未満のアルカリ性水を選ぶこともでき
る。pH値で3以上7未満の酸性水を構成させる酸根もし
くは塩類としては、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、リン酸、
クロム酸、ホウ酸等の無機酸およびカルボキシル基を有
する有機酸、および酸性を示す塩類等を挙げることがで
きる。また、pH値で7以上10未満のアルカリ性水を構成
させる塩基性元素もしくは化合物あるいは塩類として
は、アルカリ金属、アルカリ土金属、アンモニヤ等およ
びアルカリ性を示す塩類、さらにアミノ基を有する有機
化合物を挙げることができる。
【0059】本発明で用いる液状オルガノポリシロキサ
ン(B) の有機ケイ素基(X-Si)を構成しているX は、水素
原子もしくは一価の炭化水素基からなり、炭素数がC1
いしC5の範囲にあり、X の原子団が直鎖もしくは分岐し
たアルキル基、フロロアルキル基、ビニル基、アリル
基、アルケニル基、フェニル基、キセニル基、ナフチル
基、アリール基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル
基、ベンジル基、アルアルキル基、アラルアリール基、
エポキシ基、アミノアルキル基等であることが本発明の
目的を達成する上で好ましい。特に、この時のX 原子団
がアルキルのメチル基やエチル基、またフェニル基であ
ることが、耐熱性に優れたシロキサンポリマー組成物を
得る上で好適である。一方、本発明の液状オルガノポリ
シロキサン(B) が保有する官能性側鎖のOR基は、湿気硬
化による重合反応を進めていく拠点の官能基として重要
である。そのためには、このOR基のR は、一価の CnH
2n+1原子団であるアルキル基であることが好ましく、し
たがって、OR基はアルコキシ基等であることが好まし
い。
【0060】この液状オルガノポリシロキサンとして
は、側鎖基がメチル基やフェニル基で官能基を2個有す
るD 単位や官能基を3個有するT 単位のシロキサン化合
物の単独もしくはその組み合わせからなるTD単位で構成
され、一般式(1) の[-Si-O-]項の nが少なくとも2 以上
のポリマーであればよく。一方、n の上限はポリマーが
流動性を失う寸前までを選ぶことができ、一般にはその
分子量が102 ないし105オーダーの低分子量のポリシロ
キサン化合物であることが好適である。
【0061】この液状オルガノポリシロキサンとして
は、側鎖基がメチル基やフェニル基で官能基を2個有す
るD 単位や官能基を3個有するT 単位のシロキサン化合
物の単独もしくはその組み合わせからなるTD単位で構成
され、一般式(1) の[-Si-O-]項の nが少なくとも2 以上
のポリマーであればよく。一方、n の上限はポリマーが
流動性を失う寸前までを選ぶことができ、一般にはその
分子量が102 ないし105オーダーの低分子量のポリシロ
キサン化合物であることが好適である。
【0062】液状オルガノポリシロキサン(B) 中の官能
性側鎖のOR基を含めた有機基の側鎖(R) は、Si-O結合を
Siで表わして、そのR/Siの比が1/3 ないし2/2 の範囲で
あることがSiO2濃度を高濃度に保ち、重合反応を効率よ
く進め、目的とするポリマー硬化体を有効に形成させる
上で重要である。本発明で好適に用いられる液状オルガ
ノポリシロキサン(B) の代表例として、次の化合物、メ
チルメトキシシロキサンのオリゴマー、R/Siの比が1/3
ないし2/2 の範囲にあるアルキル基、フロロアルキル
基、ビニル基、アリル基、アルケニル基、フェニル基、
キセニル基、ナフチル基、アリール基、シクロヘキシル
基、シクロヘキセニル基、ベンジル基、アルアルキル
基、アラルアリール基、エポキシ基、アミノアルキル基
等を有するオルガノポリシロキサン、特に好適にはメチ
ル基もしくはフェニル基を有するオルガノポリシロキサ
ン、テトラメチルもしくはエチルオルソシリケイトのオ
リゴマー、メチルもしくはビニルトリアセトキシシラン
のオリゴマー等を挙げることができる。しかも、これら
の化合物は単独もしくは2種以上の組み合わせで使用す
ることが好適である。
【0063】本発明の液組成物を、柔軟性があって緻密
で丈夫な立体的網目構造を有する高分子ポリマーで形成
させるためには、ポリシロキサンの末端における重合だ
けでなく、ポリシロキサン中間の各所で架橋や交差によ
る結合を上下・左右で進行が可能な架橋剤(C)が必要
がある。この架橋剤(C)としては、アルコキシル基や
シラノール基等との縮合反応が可能な官能性側鎖OR基
を有する一般式(2)[R G・(OR3−p
で示されるアルミニウム、ホウ素の液状有機化合物、も
しくは一般式(3)[R Q・(OR4−m]で
示されるケイ素、チタン、ジルコニウムの液状有機化合
物であり、しかも有機ケイ素基のRが炭素数の多い化
合物が柔軟性や付着性を発揮する上で有効である。
【0064】以下にその架橋剤(C)の代表的な例を示
す。一般式(2)のGがアルミニウム元素である場合、
pがOでRがイソプロピルもしくはセカンダリーブチ
ル等であり、またGがホウ素元素である場合、pがOで
がメチル、エチルもしくはブチル等であるトリアル
コキシ基を有する有機金属化合物であることが好適であ
る。一般式(3)のQがケイ素元素である場合、R
メトキシ基もしくはエトキシ基であるテトラメチルもし
くはエチルオルソシリケイト、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシシラン、フェニルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラ
ン、ジメチルメチルトリフロロプロピルシラン、γ−メ
タクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクロ
キシプロビルメチルジメトキシシラン、特にγ−ウレイ
ドプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノアル
キル基を有する有機金属化合物が硬化効果を向上させる
上で有効である。一般式(3)のQがチタン元素である
場合、テトラ−i−プロピルチタネイト、テトラ−n−
ブチルチタネイト等の有機金属化合物であることが好適
である。また一般式(3)のQがジルコニウム元素であ
る場合、テトラエチルジルコネイト、テトラ−i−プロ
ピルジルコネイト、テトラ−n−ブチルジルコネイト等
の有機金属化合物であることが好適である。
【0065】これらの有機金属化合物はモノマーである
ことが架橋効果を発揮する上で好適であるが、一部ダイ
マー等の重合を開始している化合物を使用することも本
発明の目的を損なうものではなく有効である。また、以
上の有機金属化合物は、目的や作業性等に合わせて単独
もしくは2種以上の組み合わせで使用することが好適で
ある。本発明で用いる架橋剤(C) は、液組成物中に70重
量%以下、好ましくは65重量%以下で配合されているこ
とがシロキサンポリマー組成物の架橋効果を向上させ、
生成ポリマー組成物の柔軟性や付着性を付与させる上で
有効である。該架橋剤(C) は有機金属化合物であること
から、上述したように、これらの金属化合物は架橋剤で
あると共に硬化促進剤としての役割も兼ねていることに
配慮する必要がある。したがって、これらの有機金属化
合物、特にアルミニウム、ホウ素、チタン、ジルコニウ
ム化合物の配合量は、本発明の硬化促進剤(D) の種類や
配合割合とも関連するが、本発明組成物中25重量%以内
に限定することが、一液保存性や硬化速度、さらに生成
シロキサンポリマー組成物の物性を管理する上から望ま
しい。
【0066】また本発明においては、基本骨格を設計す
る上、また液組成物の液粘性を調整し作業性をコントロ
ールする上、粉末状やフレーク状の固体シリコンレジン
(SR)を選び配合することができる。この場合、シリコン
レジン(SR)は液組成物中に30重量%以下、好適には25重
量%以下の範囲で配合されることが、上記の目的が達成
できると共に良好な施工作業性を確保する上で好適であ
る。しかし、これらのシリコンレジン(SR)は、一般にシ
ラノール基を3 ないし8 重量%含有している傾向にある
ことから、上述したような養生工程に付してシラノール
基を予め封鎖変質しておかないと、一液保存性の確保が
不可能となる傾向にある。
【0067】さらに本発明においては、有機質材料への
密着性向上や塗料のマイナーな改質のために熱可塑性樹
脂(HR)を配合することができる。本発明で好適な熱可塑
性樹脂(HR)として、液状オルガノシロキサンに溶解する
アシル基を有する線状有機高分子化合物が挙げられる。
その例としてアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエ
チレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルローズ等の樹脂
およびその誘導体、ならびに不飽和カルボン酸との非水
溶液中での共重合体等を選ぶことができる。単量体とし
ては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン、スチレン、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、ビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、メチルもしくはエチルアクリレート、もしくはアク
リル酸エステル等であり、不飽和カルボン酸としてはア
クリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無
水マレイン酸等を挙げることができる。これらの熱可塑
性樹脂(HR)はオルガノシロキサン液組成物中に60重量%
以下、好適には55重量%以下の範囲で配合されること
が、上記の目的が達成できると共に良好な施工作業性を
確保する上で好適である。
【0068】本発明のオルガノシロキサン液組成物に
は、生成シロキサンポリマー組成物に求められる物性、
機能性、施工性、用途目的等に応じて、200 ミクロン以
下の粉末状の活性剤、充填剤、顔料、着色剤等の群より
選ばれた粉末状填剤(E) を配合することができる。これ
らの粉末状填剤(E) は作業性や諸物性を損なわない範囲
でオルガノシロキサン液組成物 100重量部に対して1な
いし 500重量部の範囲、好適には1ないし400 重量部の
範囲で該填剤(E) を単独もしくは2種以上の組み合わせ
で配合することができる。しかし配合時期は、硬化促進
剤(D) の添加配合前に配合分散せしめておくことが好適
である。これら粉末状填剤(E) が水分やOH基等を有して
いる時は、その水分やOH基を除去する工程、例えば乾燥
や本発明の養生工程に付してから使用することが有効で
ある。使用できる粉末状填剤(E) の一例を下記に示す。
【0069】填剤(E) の活性剤としては、ホウ酸含有化
合物、クロム酸含有化合物やリン酸含有化合物の粉末も
しくはその変性品や加工品から選ぶことができる。これ
らの活性剤をオルガノシロキサン組成物に配合しておく
ことによって、例えば鉄等の金属類を基材に選ぶ時は、
オルガノシロキサンによる被覆材や結着剤と基材との密
着性を向上させ、防食性を期待することができる。
【0070】填剤(E) の充填剤としては、金属および合
金の粉末、ケイ素やアルミニウムを主成分とする酸化物
粉末、アルカリ土類金属等の酸化物粉末等、各種組成内
容の釉薬、タルク、マイカ、フライアッシュ等の粒度 2
00ミクロン以下の粉末の中から適宜選ぶことができる。
填剤(E) の顔料としては、二酸化チタン、弁柄等の無機
質有色顔料、さらに金属類、合金、非酸化物、酸化物等
からなる焼成顔料、さらにまた無機質機能性顔料、さら
には有機質顔料から目的に応じて適宜選ぶことができ
る。
【0071】填剤(E) の着色剤としては、上記無機質顔
料も使用可能であるが、本発明のオルガノシロキサンは
有機基を有していることから、当業界で汎用されてる公
知の有機系顔料ならびに染料等を単独もしくは組み合わ
せより選ぶことができる。以上の各粉末状填剤(E) は、
オルガノシロキサン組成物の使用目的等を考慮して、そ
の粒度構成、形状、細孔容積、比表面積、吸水性、吸油
性等の性状に充分配慮して乾燥、粉砕、分級、混合、燒
結、精製等が予め施された材料を単独もしくは2種以上
の組み合わせで使用することが好適である。また作業性
や使用目的等に合わせて、これら填剤(E) が各種のカッ
プリング材や界面活性剤等で表面処理された粉末を選ぶ
こともできる。
【0072】本発明で用いる硬化促進剤(D) は、亜鉛、
コバルト、アルミニウムもしくは錫元素からなる含金属
有機化合物の単独もしくは2種以上の組み合わせの中か
ら選ぶことが本発明の目的を達成する上から好適であ
る。勿論、上述したように本発明架橋剤(C) のチタンも
しくはジルコニウム有機化合物も硬化促進剤としての役
割を果す点を考慮しておく必要がある。硬化促進剤(D)
としての具体的含金属有機化合物の例としては以下の化
合物を挙げることができる。ナフテン酸亜鉛、オクチル
酸コバルト、ナフテン酸コバルト、アルミニウムトリメ
トキシドジ、トリス(アセチルアセテネート)アルミニ
ウム、アルミニウムトリ-n- ブトキシド、ジアセチル錫
ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ
アセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジアセチル錫
ジオクトエート、オクチル酸錫等の公知公用の一般的硬
化促進剤を使用することができる。
【0073】ブロッキング剤としては、アセト酢酸エチ
ルエステルが代表的で本発明でも好適に用いられる。そ
の他本発明で用いられるケト・エノール型互変異性化合
物としては、マロン酸ジエステル、β−ジケトン類であ
るアセチルアセトン等、ベンゾイルアセトン、ジベンゾ
イルメタン、β位に水酸基を有するケトン類であるダイ
アセトンアルコール等、β位に水酸基を有するエステル
類であるサルチル酸メチル類等を、さらに上記化合物中
のアルキル基がトリフルオロ基で構成されている場合等
を有効な例として挙げることができる。
【0074】ケト・エノール型互変異性化合物の使用量
は、用いる硬化促進剤(D) の種類や配合量、さらには硬
化条件等によって異なるが、一般には硬化促進剤(D) 中
に50重量%以下の配合量でブロッキング効果を挙げるこ
とができる。さらに本発明で用いる硬化速度を管理コン
トロールできる一価もしくは多価のアルコール等のアル
コール類遅延剤としては、メチルアルコール、エチルア
ルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ア
ミルアルコール等の一価のアルコール、さらにエチレン
グリコール、グリセリン、エリスリトール等の多価のア
ルコールを挙げることができる。
【0075】縮合反応速度の遅延剤となるアルコール類
は、用いる硬化促進剤(D) の種類や配合量、さらには硬
化条件や遅延の程度等によって異なるが、一般には硬化
促進剤(D) 中に50重量%以下の量で予め配合されている
ことが触媒効果を損なわない点から有効である。勿論、
上記ブロッキング剤のケト・エノール型互変異性化合物
と遅延剤のアルコール類とを併用する場合は、その配合
量は両者合わせて、硬化促進剤(D) 中に50重量%以下の
量で配合されていることが好適である。
【0076】以上のケト・エノール型互変異性化合物で
ブロッキングされた硬化促進剤(D)や反応遅延剤のアル
コール類が配合された硬化促進剤(D) 、さらに単独の硬
化促進剤(D) の使用量は、液状オルガノポリシロキサン
(B) や架橋剤(C) の内容、種類、量割合、さらに硬化促
進剤(D) の内容、種類、組み合わせ等によって異なる
が、一般には0.1 ないし10.0重量%の範囲でよい。特に
架橋剤(C) としてアルミニウム、ホウ素、チタンもしく
はジルコニウムの有機金属化合物が配合されている時、
硬化促進剤(D) の使用量は限りなく少量であってもよ
い。
【0077】また本発明においては、オルガノポリシロ
キサン(B) が有するOR基のR が水素原子であることも厭
わないが、上述したように水素原子でシラノール基(OH
基)を構成している時は、液組成物の一液保存性を確保
する上から、架橋剤(C) と共に予め養生工程に付して、
シラノール基を消滅させる養生工程が必要がある。この
工程の採用はシリコーンレジンや熱可塑性樹脂、填剤
(E) を併用する時も同様に重要である。
【0078】その養生工程は、液状オルガノポリシロキ
サン(B) 、架橋剤(C) さらにはシリコーンレジン(SR)や
熱可塑性樹脂(HR)、粉末状填剤(E) の単独もしくは混合
液組成物を、水非存在下の常温ないし100 ℃以下に少な
くとも5 分以上、好ましくは8 分以上撹拌もしくは静置
状態に維持することによって達成される。この場合常温
では24時間維持の条件で充分である。この養生により、
シラノール基とアルコキシ基やアシロキシ基等との間に
脱アルコール反応がを起り、シラノール基を消滅消去さ
れる。填剤(E) が水分を多く保有している時は、大半の
含有水分は予め加熱脱水等の処理により除去してから該
養生工程に付することが有効である。
【0079】本発明の含水変性有機ケイ素化合物(A) 、
液状オルガノポリシロキサン(B) と架橋剤(C) と硬化促
進剤(D) と必要に応じて粉末状填剤(E) からなる混合あ
るいは複合液組成物は、水と接触により硬化反応をスタ
ートする。この時の水は空気中の湿気で充分であるが、
積極的に水と接触させることでも構わない。水と接触さ
せる条件は常温でも良く、また 300℃以下、好ましくは
270 ℃以下なら加熱下でも、加圧下、脱気下等の条件で
行うことも可能である。したがって、300 ℃以下の雰囲
気中、即ち大気中に暴露もしくは開放されることによっ
て、本発明の目的を充分達成させることができる。また
硬化反応をスタートさせる条件は、所望により減圧下、
窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中であっても可能であ
る。
【0080】本発明によれば、含水変性有機ケイ素化合
物(A) 、液状オルガノポリシロキサン(B) と架橋剤(C)
と硬化促進剤(D) と必要に応じて粉末状填剤(E) からな
る混合液組成を、そのまま特定された形状に維持した
り、特定される基材表面に塗布したり含浸させたり、あ
るいは各種の材料と複合化させたりして、湿気を持った
大気中に開放してシロキサンポリマー組成物を形成させ
る時、その作業環境に有機溶剤等の有害物質を拡散汚染
させる心配がない。また、本発明のポリマー組成物は、
燃焼状態にさらされても有害・有毒ガスを発生する心配
はない。したがって、本発明のオルガノシロキサン液状
組成物は地球環境に優しい素材として安心して使用する
ことができる。
【0081】本発明のオルガノシロキサン液組成物に
は、液組成物の分散性、含浸性、消泡性、流動性、塗布
性等の諸性能を改善するために、該オルガノシロキサン
液状組成物の物性ならびに作業性等を損なわない範囲で
寧ろ作業性を改善する目的で、界面活性剤やフッ素系等
の界面活性の高い化合物、また各種の有機化合物、樹脂
類、必要により有機溶剤等を本発明のMOy/2 濃度を損な
わない範囲で予め添加配合しておくことも、作業性等の
面より有効である時がある。
【0082】本発明では、オルガノシロキサン液状組成
物にバインダー的役割を持たせ、構造体に求められる施
工性、物性、機能性、用途、目的等に応じて、ハニカム
状、塊状、板状、網状、繊維状、布状等の補強剤、骨
材、成型体、構造加工体等を一体化させて複合硬化体を
形成させ複合構造体を提供することができる。この時好
適に使用される骨材、補強材、成型体は粒度 200ミクロ
ン以上の大きめの粉体もしくは下記に示す材料の中から
選ぶことができる。これらの材料は、用途、目的、作業
性、諸物性等を損なわない範囲、例えば、オルガノシロ
キサン組成物 100重量部に対し 100ないし2000重量部の
広い範囲の量割合で接触させて一体化された複合硬化体
を形成させ複合構造体にすることができる。
【0083】本発明で用られる粒度 200ミクロン以上の
好適な補強材、骨材、成型体等としては、例えば、硅
石、アルミナ、ジルコニヤ、各種雲母、アスベスト、フ
レーク状金属粉等の各種骨材を使用することができる。
さらに、人工的に製造された各種の合成軽量骨材、産業
廃棄物よる粉末状もしくは顆粒状の人工骨材等を使用す
ることができる。さらにまた、植物性繊維、フレーク状
もしくは繊維状金属や、ガラス繊維、天然鉱物繊維等の
無機質繊維や、有機系繊維の織物、網、ネット、マッ
ト、織布、不織布等の繊維質補強材や成型体も使用でき
る。さらに、以上の骨材等を素材として組み合わせて成
型されたハニカム状等の成型体も使用することができ
る。
【0084】本発明では、各種の素材、例えば天然品、
合成品、鉱物品、ガラス・セラミックス品等からなる膜
状、網状、ネット状、布状、織物状等のシート母体に本
発明のオルガノシロキサン液状組成物を塗布含浸されて
ポリマー化させて複合シートを形成させることができ
る。また本発明では、鉄等の金属製品、セメント等によ
るコンクリート製品、窯業セラミック・粘土類製品、ホ
ーロー製品、天然素材による木・竹等の製品やその合成
加工製品等の各種建築資材表面に本発明のオルガノシロ
キサン液状組成物を塗布して、各種有効な大小様々な建
築資材を製造することができる。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、水含有オルガノシロキ
サン液状組成物を調製することによって、膜もしくは繊
維等、塗料・ワニスもしくはバインダー等、複合構造
体、複合シート、建材等に有効に応用される均質で柔軟
性・付着性に優れ、耐熱性を有し耐候性に優れたシロキ
サンポリマー組成物が速やかに、しかも均質硬化体で形
成され、地球環境に優しい材料の提供が可能となる。
【0086】
【実施例】以下、本発明の水含有オルガノシロキサン液
状組成物の内容と調製方法、調製した液状組成物の物
性、及びその液状組成物を300 ℃以下の雰囲気中に開放
して形成されるシロキサンポリマー組成物の用途につい
て実施例を以って説明する。なお、本実施例において各
原料およびその調製材料を下記の通り略記する。含水変
性有機ケイ素化合物(A) を「OS−W」、液状オルガノ
ポリシロキサン(B) を「OS−P」、架橋剤(C) を「O
S−B」、液状オルガノポリシロキサン(B) と必要に応
じて配合された樹脂類の混合液状組成物を「OS−P
R」、さらに「OS−PR」と架橋剤(C) との二成分混
合液組成物を「OS−PB」、また四成分混合液組成物
からなる無溶剤の一液タイプ水含有オルガノシロキサン
液組成物を「OS液組成物」。なお、「%」および
「部」は特記なき限り重量を以って示す。
【0087】<実施例1> I 本発明液組成物(OS液組成物)の原料ならびに液組
成物の調製と内容。 1) 含水変性有機ケイ素化合物(A) (OS−W) 本実施例で採用した側鎖にポリエーテル基を有する有機
ケイ素化合物は、つぎの内容の化合物を選んだ。側鎖の
ポリエーテル基は、一般式 HO(CH2CH2O)nH (4)で表わさ
れるポリエチレンオキシドで総称され、ポリエチレング
リコールとも呼ばれており、母体の有機ケイ素化合物は
ジメチルポリシロキサンもしくは一部エポキシ基やフェ
ニル基で変性されたジメチルポリシロキサンの誘導体で
ある。これらの変性有機ケイ素化合物(変性シリコンオ
イル)に水もしくは酸性水またはアルカリ性水を所定量
添加し、簡単な撹拌混合を常温で行うことによって含水
変性有機ケイ素化合物(A) 6種類を調製した。なお、酸
性水はホウ酸を添加して調製したpHで5.5 を示すホウ酸
水を選んだ。また、アルカリ性水は水酸化カリウムを添
加して調製したpH8.0 の苛性カリ水(カリ水)を選ん
だ。含水変性有機ケイ素化合物(A) の内容とそのSiO2
度%を表1に示す。
【0088】 *:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の変性シリ
コンオイル製品名 ここに調製した各含水変性有機ケイ素化合物(A) は、室
温に6ヶ月以上放置しておいても、いずれも二液等に分
離したり、変性することがなく均質液状態を維持した。
【0089】2) 液状オルガノポリシロキサン(B) (O
S−P)の原料とそのケイ素成分濃度(SiO2 %)を表2に
併せ示す。 *:製造社 TD;東レ・ダウコーニング・シリコーン SS;信越化学工業 TM;多摩化学工業
【0090】3) 架橋剤(C)(OS-B) 原料とその含有金属
成分濃度(MOy/2 %) を表3に示す。 *製造社 TM:多摩化学工業 DC:大八化学工業 NS:日本曹達 TD:東レ・ダウコーニング・シリ
コーン KK:郡山化成 SS:信越化学工業 CM:市販試薬
【0091】4) 固体のシリコンレジンおよび熱可塑性
樹脂の固形状態の樹脂類原料、ならびにそのケイ素成分
濃度(SiO2 %)を表4に併せ示す。 表 4 ┌───┬─────────────────┬────┬───────┐ │番 号│ 化 合 物 名 │ SiO2(%)│製造社と品名 │ ├───┼─────────────────┼────┼───────┤ │SR-MF1│メチル・フェニル系高分子量 │ 51.4 │TD: SH 6018 │ │ │ フレーク状シリコーンレジン│ │ │ ├───┼─────────────────┼────┼───────┤ │SR-MF2│メチル・フェニル系高分子量 │ 55.6 │TD: DC6-2230 │ │ │ 粉末状シリコーンレジン│ │ │ ├───┼─────────────────┼────┼───────┤ │OR-AC │低分子量アクリル樹脂 │ 0. │MR: BR-101 │ ├───┼─────────────────┼────┼───────┤ │OR-EP │低分子量ポリエステル樹脂 │ 0. │MR:試作品 │ └───┴─────────────────┴────┴───────┘ *:製造社 TD;東レ・ダウコーニング・シリコーン MR;三菱レイヨン
【0092】5) 本実施例で使用する、必要に応じて表
4の樹脂類が配合れた液状オルガノポリシロキサン(B)
(OS−P)と架橋剤(C)(OS−B) の二成分からなる
中間体の液組成物(OS−PB)の調製を行い、その配
合内容とその MOy/2濃度(%) 、さらに養生工程の条件を
表5に併せ示す。 なお、樹脂類はいずれも固形状態であるため、本発明の
液状組成物を得るためには溶解させる必要がある。その
ために、表5に示されている内容のオルガノポリシロキ
サンを溶剤代わりにして常温で一旦完全に液状態に溶解
せしめてOS−PRとした後、架橋剤(C)(OS−B) を
配合してOS−PBを調製とした。また、熱可塑性樹脂
が配合される場合、配合される架橋剤(C) も溶剤代わり
に添加配合して一旦均質液状態に溶解した。
【0093】
【0094】6) 硬化促進剤(D) 原料の含金属有機化合
物ならびにブロッキング剤、反応遅延剤(それぞれ市販
試薬より選択)を併せ表6に示す。
【0095】7) 含金属有機化合物、ブロッキング剤お
よび反応遅延剤が組み合わされた硬化促進剤(D) の組成
内容を表7に示す。
【0096】<実施例2> II 水含有オルガノシロキサン液組成物とシロキサンポ
リマー組成物 水含有オルガノシロキサン液状組成物を、含水変性有機
ケイ素化合物(A) 、液状オルガノポリシロキサン(B) 、
樹脂類が配合された液組成物と架橋剤(C) による OS-PB
液組成物および硬化促進剤(D) で調製し、その内容を表
8に示した。なお、本発明を明確にするための比較例と
して、下記試料を選んだ。含水変性有機ケイ素化合物が
配合されていない液状組成物(試料番号 H- 1 )、液組
成物中の全金属元素濃度がMOy/2 酸化物基準で20重量%
以下(試料番号 H- 2 )、二液混合液組成物に架橋剤を
配合しなかった場合(試料番号 H- 3 )、アクリル系有
機樹脂を原料とする汎用市販品塗料(試料番号 H- 4
)。調製した各液組成物の均質硬化性を下記に示す試
験方法により確認し、硬化条件(温度と時間)により得
られたシロキサンポリマー組成物の表面硬度を下記に示
す試験方法により評価した。その結果を表8に併せ示
す。
【0097】試 験 方 法 : (1) 均質硬化性 供試料の液状組成物をφ30mm×深さ5 mmのオープン容器
に満杯に採り、室温に1週間放置し、硬化試料(φ30mm
×5 mm)を容器より取り出し、その表面と裏面の硬度を
鉛筆硬度で測定し、硬度差のない試料を「均質硬化」と
評価し◎で示し、硬度差のある試料を「不均質硬化」と
評価し×で示した。 (2) 塗板試験片の作成 JIS K 5400記載の塗料一般試験方法に準拠して、0.4 mm
厚の鋼板基材に(JISG 3141)供試料の液状組成物を吹
付法により膜厚約30ミクロンで塗布して表8に示す硬化
条件で造膜硬化させて塗板試験片を作成した。 (3) 表面硬度(鉛筆硬度) 塗板試験片をJIS K 5400の6.14記載の鉛筆引っかき試験
法で測定し、その結果を鉛筆の硬度記号で評価した。 (4) 耐 熱 性 塗板試験片を250 ℃に保持された電気炉内に24時間暴露
した後 供試体の表面状態を観察し、クラック、剥れ、
変色等の異常状態が確認されない場合を耐熱性「有」、
異常状態がある場合を耐熱性「無」と評価した。 (5) 付 着 性 塗板試験片を、JIS K 5400記載の碁盤目試験法に準拠し
て密着剥離テストにより、25/25 を付着性「有」と評価
し、それ以下を「無」と評価した。
【0098】 以上の結果、本発明の水含有オルガノシロキサン液状組
成物は、均質硬化性を有しており、しかも300 ℃以下の
雰囲気中に開放されると速やかに表面硬度、付着性、耐
熱性のあるシロキサンポリマー組成物を形成し、本発明
の目的を達成することが良く理解される。これに反し
て、含水変性有機ケイ素化合物が配合されない液組成物
では、均質硬化性がなく、表面硬度を少なくともH 高度
にするのに144 時間以上を要した。架橋剤が配合されて
いない液組成物では常温に長期(一週間)開放して放置
しておいても全く硬化せず造膜が得られなかった。ま
た、MOy/2 濃度が20重量%以下では耐熱性のある造膜は
得られなかった。市販の有機樹脂系塗料では耐熱性が全
く、450 ℃以上に暴露すると悪臭を放ち黒煙を出して燃
え上がってしまった。
【0099】<実施例3> III 形状ポリマー組成物としての応用 表8に示した水含有オルガノシロキサン液状組成物(O
S液組成物)より選んだ液組成物を、単独で膜状もしく
は繊維状の形状に維持してシロキサン硬化体を形成さ
せ、シロキサンポリマー組成物として応用する例につい
て説明する。 薄膜形状の場合:表8に示したOS液組成物より選んだ
液組成物を、可塑剤入り軟質塩化ビニール板上に約50ミ
クロン厚の薄膜になるように流し、室温に48時間放置し
て薄い膜を形成せしめ、シロキサン硬化体からなる薄膜
供試体とした。この薄膜供試体について下記に示す耐熱
性試験と柔軟性試験によりシロキサンポリマー組成物と
しての物性評価を行い、表9に併せ表示した。 繊維形状の場合:表8に示したOS液組成物より選んだ
液組成物を、容器中に張り込んだ水の表面に約10ミクロ
ン厚の薄膜になるように流し、室温に3 時間放置して液
組成物を薄膜状態でポリマー化を一部進行させて液組成
物に高粘性が発生した所で、この高粘性液組成物を上部
に引上げて約0.1 mmφの太さの繊維にし、この高粘性液
組成物で形成された繊維を約200 ℃に維持された加熱部
を通過せしめることによって繊維を形成せしめ、シロキ
サン硬化体からなる繊維供試体とした。この繊維供試体
について下記に示す耐熱性試験と柔軟性試験によりシロ
キサンポリマー組成物としての物性評価を行い、表9に
併せ表示した。
【0100】試 験 方 法 : (4) 耐 熱 性 供試体を 220℃に保持された電気炉内に24時間暴露した
後、暴露供試体の状態を観察し、縮み、破れ、溶け、変
色等の異常状態が確認されない場合を耐熱性「有」、異
常状態がある場合を耐熱性「無」と評価した。 (5) 柔 軟 性 供試体を3 mmφの心棒に巻き付けた時に、供試体が破れ
たり、折れたりの形状破壊がなく、再度膜状もしくは繊
維状に広げた時に異常が認められない状態を柔軟性
「有」、異常ある状態を「無」と評価した。
【0101】 以上の結果、本発明の水含有オルガノシロキサン液状組
成物は、それ単独で膜状もしくは繊維状の形態を維持し
て300 ℃以下の雰囲気中に開放すると、柔軟性があり、
しかも耐熱性のある膜もしくは繊維がシロキサンポリマ
ー組成物で形成されることが理解される。
【0102】<実施例4> IV 付着性ポリマー組成物としての応用 表8に示した水含有オルガノシロキサン液状組成物(O
S液組成物)より選んだ液組成物を、下記に示す条件に
よりシロキサン硬化体を形成せしめ、単独で透明塗膜と
して、または填剤(E) 等を配合して塗料もしくは結着剤
バインダーとして、それぞれ付着性ポリマー組成物に応
用する例について説明する。 IV−1 透明塗膜の場合:供試体液組成物を試験方法
(2) 項記載の方法に準拠して表10に示す硬化条件により
透明塗膜の塗板試験片を作成した。この透明膜塗試験片
について、それぞれ表面硬度、付着性、耐熱性、不燃
性、耐透水性、耐酸性、耐アルカリ性、たわみ性、耐候
性の各試験(試験方法の項参照)に付して物性評価を行
い、その結果を表10に併せ表示する。
【0103】試 験 方 法 : (7) 不 燃 性 塗膜供試体を酸素が充分に通う450 ℃の電気炉内に暴露
し、供試体が自燃焼して燃え上がったり、墨状炭素に変
化する場合を不燃性「無」、以上のような変化がない場
合不燃性「有」とした。 (8) 耐透水性 東洋濾紙No6 を被塗布材料として塗布した供試体を自然
濾過用ロートに敷き、その中に水を入れ、この時供試体
を通過する水の量を求め、通過水量がない場合を耐透水
性「有」とし、通過水量がある場合を耐透水性「無」と
した。 (9) 耐 酸 性 板ガラスを被塗布材料として塗布した供試体を、JIS K
5400の7.5 記載の試験方法に準拠し、20℃の5 重量%濃
度硫酸溶液に30日間浸漬し、該試験板の表面に膨れ、あ
わ、剥れ、穴、軟化、溶出の発生がない時を耐酸性
「有」、異常がある時を耐酸性「無」とした。 (10)耐アルカリ性耐Na性) 供試体の塗布面上にpH10に調製された苛性ソダー(NaOH)
溶液約5 ccを載せ、その上を湾曲した時計ガラスで被い
揮散を防止して室温に24時間放置した後塗布面を洗浄し
て塗布面上の変化を観察し、変化がない時を耐アルカリ
性「有」、溶ける等の変化がある時を耐アルカリ性
「無」とした。 (11)たわみ性 供試体をJIS K 5400記載の6.16記載の屈曲試験機を用い
て心棒の直径3mm φ丸棒を介して屈曲させ、屈曲による
塗膜面に異常がない場合をたわみ性「有」、異常ある場
合をたわみ性「無」とした。 (12)耐候性(ウェザオメーター) 供試体をQUV 式ウェザオメーター(波長域280 ないし32
0 nm)を用いて55±15℃で照射と結露のサイクルで2500
時間暴露し、暴露後の供試体塗膜面の光沢度を測定し、
暴露前の供試体塗膜面の光沢度と比較した時の光沢度減
少率(%)を求めて示した。光沢度減少率が10%以内の
場合を耐候性「有」、減少率が10%以上の場合を耐候性
「無」とした。
【0104】 以上の結果、本発明の水含有オルガノシロキサン液組成
物は、塗布後300 ℃以下の雰囲気中に開放されると透明
な硬化膜を形成し、耐熱性で不燃で、耐酸性、耐アルカ
リ性、たわみ性、耐候性等に優れている塗料やバインダ
ーに応用される付着性ポリマーであることが良く理解さ
れる。
【0105】本実施例で用いた粉末状填剤(E) (活性
剤、充填剤、顔料、着色剤等)を表11に示す。なお、こ
れら填剤は予め約200 ℃の乾燥処理に付して吸着もしく
は付着している水分を一応脱水処理し、また粉末度を精
製調製してから使用した。 表 11 ┌────┬─────────┬───────┬───────┐ │試料番号│ 填 剤 名 称 │ 主 成 分 │ 粒 度 │ ├────┼─────────┼───────┼───────┤ │ F- 1 │ 硅石粉末 │ SiO2 │ 44μ 以下 │ │ F- 2 │ 焼成ケイ酸アルミ│ Al2O3・SiO2 │ 44μ 以下 │ │ F- 3 │ タルク粉末 │ MgO・SiO2 │ 44μ 以下 │ │ F- 4 │ シリカヒュム │ SiO2 │ 10μ 以下 │ │ F- 5 │ アルミナ粉末 │ Al2O3 │ 44μ 以下 │ │ F- 6 │ 炭化ケイ素粉末 │ SiC │ 10μ 以下 │ │ F- 7 │ 鉱物繊維粉末 │ Al2O3・SiO2 │ 44μ 以下 │ │ F- 8 │ ガラスビーズ │ SiO2 │ 80μ 以下 │ │ F- 9 │ リン酸ケイ素粉末│ 2SiO2・P2O5 │ 44μ 以下 │ │ F-10 │ リン酸ホウ素粉末│ B2O3・P2O5 │ 10μ 以下 │ │ F-11 │ クロム酸亜鉛粉末│ ZnO・CrO3 │ 20μ 以下 │ │ F-12 │ 特殊釉薬粉末 │PbO.SiO2.B2O3 │ 10μ 以下 │ │ F-13 │ 酸化チタン │ TiO2 │ 5μ 以下 │ │ F-14 │ 有機系赤色顔料 │キナクリドン系│ 5μ 以下 │ │ F-15 │ 金属アルミ粉末 │ Al │ 100μ 以下 │ └────┴─────────┴───────┴───────┘
【0106】IV−2 填剤入り塗膜もしくは結着剤の場
合 本発明の水含有オルガノシロキサン液組成物を原料とし
て、下記の方法によりまず混合OS液組成物である塗膜
もしくは結着剤(バインダー)の調製を行い、ついでこ
の混合OS液組成物を300 ℃以下の雰囲気中に開放して
付着性ポリマーとし、その各物性評価を行った。表11に
示す200 ミクロン以下の粉末状填剤(活性剤、充填剤、
顔料、着色剤)を、表5に示したOS−PB組成物中の
「OS−P組成物と樹脂類」の項に記載されている液組
成物より選択さして(表12に表示)混合し、中間混合液
組成物を調製した。この中間混合液組成物を表12に示す
条件の養生工程に一旦付して安定化させた。ついで、表
1に示した含水変性有機ケイ素化合物(OS−W)より
ポリエーテルジメチルポリシロキサン(番号 SW-1)を選
び、それぞれ「OS−P組成物と樹脂類」からなる液組
成物に対し表12に示す重量部配合で加えて混合液組成物
とした。この混合液組成物にさらに、表8に示す試料番
号(S シリーズ)に相当している内容を有する架橋剤
(OS−B)と硬化促進剤を添加配合(表12に表示)し
て7種類の混合OS液組成物を調製した。この混合OS
液組成物を塗料もしくは流動性ないし可塑性のある結着
剤として採用した。この混合OS液組成物を表12に示す
硬化条件に付して塗膜もしくは固化体として形成させて
供試体とし、この表面硬度、密着性、耐熱性、不燃性、
耐透水性、耐酸性、耐アルカリ性、たわみ性、耐候性な
らびに接着性の各試験(試験方法の項参照)に付して物
性評価を行い、その結果を表12に併せ表示する。 試 験 方 法 : (12)接 着 性 鋼板基材上に40×40×15 cm になるように作成した型の
中に調製した混合液組成物を流し込み、25℃で7 日間養
生して鋼板にシロキサン硬化体が接着した供試体を調製
する。次いで、建設省建築研究所式の接着試験法に準拠
して、接着させたアタッチメントを油圧機で上部に引っ
張り、被接着体とシロキサン硬化体との接着面が剥離さ
せた、その荷重(P) から接着力(kg/cm2)で評価した。
【0107】
【0108】以上の結果、本発明の水含有オルガノシロ
キサン液状組成物からなる混合OS液状組成物を、常乾
ならに熱乾タイプの塗料もしくは接着剤、結着剤、アン
カー材等に調製して、300 ℃以下の雰囲気に開放する
と、所定の硬度を有する塗膜や結着剤等を耐熱性でしか
も耐候性等に優れた状態で付着性ポリマー組成物として
形成されていることが良く理解される。
【0109】<実施例5>本実施例で用いた補強材、骨
材、成型体等の材料を表13に示す。なお、これらの材料
は予め約200 ℃の乾燥処理に付し充分脱水処理してから
使用した。
【0110】V 複合構造体としての応用 本発明の水含有オルガノシロキサン液状組成物を原料に
付着性ポリマー組成物の項で調製した混合OS液組成物
に、表13に示す200 ミクロン以上の材料(補強材、骨
材、成型体)を加え一体化複合させ、300 ℃以下の雰囲
気に開放して複合構造体を調製した。この複合構造体に
ついて、耐熱性、不燃性、耐候性、圧縮強度の各試験を
行い、物性評価を行った。その結果を表14に併せ表示し
た。 試 験 方 法 : (13)圧 縮 強 度 JIS A 1108に記載の方法に準拠し、本発明の液組成物で
一体化された複合組成物を長方形の型(2×2 ×8 cm) の
中で調製し、室温に7 日間放置してた後脱型して複合構
造体の供試体とする。この角状供試体をJIS A 1132に記
載の方法に準拠しての圧縮試験機を用いて圧縮強度(kg/
cm2)を求めた。
【0111】
【0112】以上の結果、本発明の水含有オルガノシロ
キサン液状組成物と填剤との混合液組成物を、各種の補
強材、骨材、成型体等の材料と共に一体化された複合物
は、300 ℃以下の雰囲気中に開放されるとシロキサン硬
化体のポリマー組成物で一体化された複合構造体を形成
し、この複合構造体が耐熱性、不燃性、耐候性、圧縮強
度等に優れていることがよく理解される。
【0113】<実施例6> VI シートとしての応用 市販されているガラス繊維製の不燃性ガラス繊維織物
布(試料番号:R-1 )とステンレス繊維製の325 メッ
シュ目のフレキシブル金網(試料番号:R-2 )の2種類
を本実施例で用いるシート母体として選んだ。このシー
ト母体に本発明の水含有オルガノシロキサン液状組成物
を原料として前記のIV付着性ポリマー組成物の項で調製
した混合OS液組成物を含浸塗布し、複合シート組成物
とした。この複合シート組成物を表15に示す硬化条件に
付してシロキサン硬化体で一体化された複合シートを形
成させて供試体とした。この供試体について、柔軟性、
耐熱性、不燃性、耐候性の試験をそれぞれ行い、シロキ
サンポリマー組成物で複合化されたシートの物性評価を
行い、その結果を表15に併せ表示した。以上の結果、本
発明の水含有オルガノシロキサン液組成物と填剤との混
合液組成物を、シート母体に含浸塗布し、300 ℃以下の
雰囲気中に開放することによりシロキサン硬化体のポリ
マー組成物で一体化させて形成した複合シートは、柔軟
性に富み、熱に強く燃えず、したがって有害ガスの発生
もなくて耐熱性・不燃性があり、しかも耐候性に優れて
いる複合シートであることがよく理解される。
【0114】
【0115】<実施例7> VII 建材としての応用 市販されているアスベスト板(試料番号:U-1 )と
ガラス繊維で補強された緻密なコンクリート素材による
建材母材(試料番号:U-2 )と鋼板製外壁材(試料番
号:U-3 )の3種類を建築資材用母材として選んだ。こ
の建築資材用母材に本発明の水含有オルガノシロキサン
液状組成物を原料として前記のIV付着性ポリマー組成物
の項で調製した混合OS液組成物をを吹付け塗布し、オ
ルガノシロキサン液組成物の塗布処理された建材とし
た。この建材を表16示す硬化条件に付してシロキサン硬
化体のポリマー組成物で表面処理された建材供試体とし
た。この供試体について、表面硬度、耐熱性、不燃性、
耐候性の各試験を行い、シロキサンポリマー組成物で塗
装方式により表面被覆処理された建材の物性評価を行っ
た。その結果を表16に併せ表示した。
【0116】
【0117】以上の結果、本発明の水含有オルガノシロ
キサン液組成物と填剤との混合液組成物からなる塗料
を、建築資材の母材に吹付け塗布した建材は、300 ℃以
下の雰囲気中に開放することによりシロキサン硬化体の
塗膜で表面処理された建材が、熱強く燃えることなく耐
熱性・不燃性があり、しかも耐候性に優れていることが
よく理解される。

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも30重量%の量で配合されてい
    る含水変性有機ケイ素化合物(A)、液状オルガノポリシロ
    キサン(B)、70重量%の量で配合されている架橋剤(C) お
    よび硬化促進剤(D) の四成分から均質液状態を構成して
    いる混合液組成物であって; 含水変性有機ケイ素化合物(A) が、pH値が3ないし10の
    範囲にある50重量%以下の水が溶解している側鎖にポリ
    エーテル基を有する有機ケイ素化合物であり、 液状オルガノポリシロキサン(B) が、下記一般式(1) R3 R2 | | R4・[SiO]n・SiOR1 ・・・・・・・・・・ (1) | | R5 R6 (式中:R1は水素原子もしくはC1からC5のアルキル基;
    R2ないしR6はそれぞれが水素原子、 OR1基もしくは一価
    の炭化水素基より選ばれた同一もしくは異なる基、n は
    15より小さい数)で表わされる低分子量液状ポリシロキ
    サンの1種または2種以上の組み合わせであり、 架橋剤(C) が、下記一般式(2) もしくは(3) R7 pG・(OR1)3-p ・・・・・・・・・・ (2) R7 mQ・(OR1)4-m ・・・・・・・・・・ (3) (式中:G はアルミニウムまたはホウ素元素;Q はケイ
    素、チタンまたはジルコニウム元素;R1は水素原子もし
    くはC1ないしC5のアルキル基;R7は水素原子、OR1基もし
    くは一価有機基より選ばれた基;p は2 以下の整数;m
    は3 以下の整数)で表わされる有機金属化合物の1種ま
    たは2種以上の組み合わせからなり、 硬化促進剤(D) が、含金属有機化合物の1種または2種
    以上の組み合わせであることを特徴とする水含有オルガ
    ノシロキサン液状組成物。
  2. 【請求項2】 前記の含水変性有機ケイ素化合物(A) が
    配合された液状オルガノポリシロキサン(B) もしくは架
    橋剤(C) の単独または混合液組成物に、官能性側鎖のOR
    基(R は水素原子、C1ないしC5のアルキル基)を有する
    固体シリコンレジン(SR)が30重量%以下の量で溶解配合
    されている請求項1に記載の水含有オルガノシロキサン
    液状組成物。
  3. 【請求項3】 前記の含水変性有機ケイ素化合物(A) が
    配合された液状オルガノポリシロキサン(B) もしくは架
    橋剤(C) の単独または混合液組成物に、アシル基を有す
    る線状有機高分子化合物の熱可塑性樹脂(HR)が60重量%
    以下の量で溶解配合されている請求項1または2項に記
    載の水含有オルガノシロキサン液状組成物。
  4. 【請求項4】 前記の含水変性有機ケイ素化合物(A) が
    配合された液状オルガノポリシロキサン(B) もしくは架
    橋剤(C) の単独または混合液組成物100重量部に対し、
    活性剤、充填剤、顔料、および着色剤からなる群より選
    ばれた1種または2種以上の組み合わせ粉末填剤(E) が
    1 ないし 500重量部の範囲で予め複合されている請求項
    1ないし3のいずれか1項に記載の水含有オルガノシロ
    キサン液状組成物。
  5. 【請求項5】 前記の活性剤が、ホウ酸含有化合物、ク
    ロム酸含有化合物もしくはリン酸含有化合物の1種また
    は2種以上の組み合わせ粉末である請求項1ないし4の
    いずれか1項に記載の水含有オルガノシロキサン液状組
    成物。
  6. 【請求項6】 前記の硬化促進剤(D) が、亜鉛、コバル
    ト、アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたは錫元素
    を含有する含金属有機化合物からなる群より選ばれた1
    種または2種以上の組み合わせからなる請求項1ないし
    5のいずれか1項に記載の水含有オルガノシロキサン液
    状組成物。
  7. 【請求項7】 前記の硬化促進剤(D) 中に、アルキル基
    またはトリフルオロ基を有するβ−ケト酸エステル、β
    −ジケトン化合物およびマロン酸エステルからなる群よ
    り選ばれた1種または2種以上の組合わせケト・エノー
    ル型互変異性化合物類からなるブロッキング剤が50重量
    %以下の量で配合されている請求項1ないし6のいずれ
    か1項に記載の水含有オルガノシロキサン液状組成物。
  8. 【請求項8】 前記の硬化促進剤(D) 中に、一価もしく
    は多価のアルコールの1種または2種以上の組合わせア
    ルコール類からなる遅延剤が50重量%以下の量で配合さ
    れている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水含
    有オルガノシロキサン液状組成物。
  9. 【請求項9】 前記のケト・エノール型互変異性化合物
    類またはアルコール類が配合された含金属有機化合物も
    しくは単独の含金属有機化合物からなる硬化促進剤(D)
    が20重量%以下の量で配合されている請求項1ないし8
    のいずれか1項に記載の水含有オルガノシロキサン液状
    組成物。
  10. 【請求項10】 前記の四成分からなる混合液組成物
    が、該混合液組成物中の全金属元素濃度が MOy/2酸化物
    基準(M は金属元素、y は金属元素の価数)で表わして
    30重量%以上65重量%未満の量範囲を無溶剤で構成され
    る請求項1ないし9のいずれか1項に記載の水含有オル
    ガノシロキサン液状組成物。
  11. 【請求項11】 前記請求項1ないし10のいずれか1項
    に記載の水含有オルガノシロキサン液状組成物が、300
    ℃以下の雰囲気中に開放されて生成するポリシロキサン
    結合を主鎖とする独立形状のシロキサン硬化体で形成さ
    れることを特徴とする形状ポリマー組成物。
  12. 【請求項12】 前記請求項1ないし10のいずれか1項
    に記載の水含有オルガノシロキサン液状組成物が、300
    ℃以下の雰囲気中に開放されて生成するポリシロキサン
    結合を主鎖とする塗膜ないしは結着体で形成されること
    を特徴とする付着性ポリマー組成物。
  13. 【請求項13】 前記請求項1ないし10のいずれか1項
    に記載の水含有オルガノシロキサン液状組成物 100重量
    部に対し、1 ないし2000重量部の範囲で、補強材、骨材
    および成型体からなる群より選ばれた1種または2種以
    上の組合わせ材料が予め複合され、300 ℃以下の雰囲気
    中に開放されて生成するポリシロキサン結合を主鎖とす
    るシロキサン硬化体で一体化されることを特徴とする複
    合構造体。
  14. 【請求項14】 前記請求項1ないし10のいずれか1項
    に記載の水含有オルガノシロキサン液状組成物を、布状
    またはネット状シート母材に塗布含浸し、300 ℃以下の
    雰囲気中に開放されて生成するポリシロキサン結合を主
    鎖とするシロキサン硬化体で一体化されることを特徴と
    する複合シート。
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