JPH07149691A - 酢酸アルキルエステルの製造方法 - Google Patents

酢酸アルキルエステルの製造方法

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JPH07149691A JP6176537A JP17653794A JPH07149691A JP H07149691 A JPH07149691 A JP H07149691A JP 6176537 A JP6176537 A JP 6176537A JP 17653794 A JP17653794 A JP 17653794A JP H07149691 A JPH07149691 A JP H07149691A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、メタノールと一酸化炭素の気相カ
ルボニル化を行うにさいして、ロジウム触媒およびハロ
ゲン化物助触媒の存在下に反応条件を適切に調整するこ
とによって、酢酸メチルを選択的に製造し、さらに前記
により選択的に得られた酢酸メチルを直接用いて、エス
テル交換で酢酸アルキルエステルを経済的に製造する方
法に関するものである。 【効果】 本発明の方法によると、酢酸エステルを高収
率で選択的に製造し得、用いられる一酸化炭素の前処理
により触媒の寿命を大きく増大させ得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタノールの気相カル
ボニル化によって選択的に収得された酢酸メチルから、
各種の酢酸アルキルエステルを経済的に生産できる改良
された方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種の酢酸アルキルエステルは、溶剤お
よび可塑剤として広く用いられている。特に、分子量が
小さい酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イ
ソブチル、酢酸イソアミル等は、ラッカー、塗料、ワニ
ス、接着剤等に主に溶剤として使用されている。
【0003】このような酢酸アルキルエステルは、酢酸
とアルコールとのエステル化反応から得られる。しかし
ながら、このエステル化反応は可逆反応のため、転換率
を高めるためには、反応後直ちに生成物を除去しなけれ
ばならない。反応生成物の除去方法は、アルコールとエ
ステルの沸点の差、水とアルコールおよびエステルの間
の共沸点形成の有無等、多くの因子によって異なる。酢
酸メチルのように、エステルが当該アルコールより沸点
が低い場合には、反応と同時にエステルを容易に除去で
きるので工程が比較的簡単であるが、酢酸エチルまたは
酢酸ブチルのように、エステルの沸点が当該アルコール
の沸点とほぼ同じ位高い場合には、水とアルコールの間
の共沸蒸留で水を除去するか、ベンゼンのような第3成
分を添加して3成分共沸混合物を形成させて水を除去す
る等の複雑な工程を経なければならない。
【0004】例えば酢酸エチルは水と2成分共沸混合物
を形成させ、酢酸エチルとエタノールと水とはそれぞれ
83:9:8(%)の3成分共沸混合物を形成させる。
このような性質を用いて回分式または連続式で酢酸エチ
ルを得ることができる。酢酸エチルの回分式製法は、米
国特許第1,425,624号および第1,425,6
25号に記載されており、連続式製法は、米国特許第
1,454,462号および第1,454,463号に
記載されている。
【0005】より改良された最近の方法として、高沸点
酸性液状触媒を蒸留塔上段に注入し、各段毎に反応と同
時に生成物を蒸留させる反応蒸留工程も使用されている
が、この方法は触媒の回収問題および装置の腐蝕問題が
誘発される欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明者
らは前述の問題点を解決しようと鋭意研究を重ねた結
果、メタノールと一酸化炭素とのカルボニル化反応にお
ける反応条件を調整し、さらに該カルボニル化反応から
得られた酢酸メチルを、酢酸アルキルエステルの製造の
原料として直接用いることによって、商業的に実用可能
であり、製造コストも低い本発明の酢酸アルキルエステ
ルの製造方法を完成するに至った。
【0007】本発明の目的は、メタノールを気相カルボ
ニル化させて酢酸メチルを選択的に生成させた後、酢酸
メチルをエステル交換反応させることによって、酢酸ア
ルキルエステルを製造する効率的で経済的である方法を
提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)不活性
物質上に担持されたロジウム化合物の第1成分、および
アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、非金属お
よびこれらの混合物からなる群から選択された第2成分
からなるロジウム触媒、ならびにハロゲン化物助触媒の
存在下で、穏和なカルボニル化反応条件下およびメタノ
ールの高いGHSV(Gas Hourly Space Velocity :時
間当りガス空間速度)で、カルボニル化反応器中でメタ
ノールを一酸化炭素で気相カルボニル化して、酢酸と酢
酸メチルとの混合物を生成させ、(b)蒸留塔で前記混
合物から高沸点留分として酢酸を分離し、低沸点留分と
して酢酸メチルと助触媒との混合物を分離し、(c)低
沸点留分から助触媒を分離してカルボニル化反応器に再
循環し、(d)低沸点留分から分離された酢酸メチル
を、その沸点より高い温度でエステル交換反応器の下部
領域に導入し、(e)C2 またはより高級なアルコール
を、その沸点以下の温度でエステル交換反応器の上部領
域に導入し、(f)酸触媒の存在下で、酢酸メチルを前
記アルコールとエステル交換させ、望む酢酸アルキルを
含有する混合物を生成させ、(g)前記混合物から前記
酢酸アルキルを底部生成物として回収すると同時に、未
反応酢酸メチルとメタノールをカルボニル化反応器に再
循環させることを特徴とする酢酸アルキルエステルの経
済的な製造方法である。
【0009】本発明によって、ロジウム触媒およびハロ
ゲン化物助触媒(または促進剤)の存在下に、調節され
た反応条件下でメタノールを一酸化炭素(前記一酸化炭
素は場合によっては水素ガスとの混合物である)と気相
カルボニル化させ、主要量の酢酸メチルおよび少量の酢
酸の混合物を生成させた後、酢酸メチルをC2 またはよ
り高級なアルコールとエステル交換させ、目的生成物、
即ち、C2 またはより高級なアルキルを有する酢酸エス
テルに転換させることによって、装置の腐蝕を誘発せ
ず、高収率で酢酸エステルを製造することができる。
【0010】
【酢酸メチルの製造】気相カルボニル化工程中に、酢酸
より酢酸メチルを製造しようとする場合、所望の酢酸メ
チルに対する選択度は、本発明によって簡単な方法で増
大させ得る。即ち、カルボニル化反応を1乃至100,
000hr-1,さらに好ましくは500乃至50,000
hr-1、最も好ましくは1,000乃至10,000hr-1
範囲のメタノールのGHSVとして表された、反応物と
触媒とのより短い接触時間およびより穏和な反応条件、
即ち、1乃至300atm 、さらに好ましくは5乃至25
atm ,最も好ましくは8乃至15atm のより低い圧力、
および室温乃至500℃、さらに好ましくは100乃至
300℃、最も好ましくは150乃至270℃の温度で
行って、酢酸メチルをより高収率で得る。
【0011】一酸化炭素ガスまたは合成ガスは、不純物
として金属カルボニル化合物を含む。これら不純物はオ
キソ法またはカルボニル化法に用いられる触媒の汚染ま
たは有害作用を生じる。
【0012】具体的には、金属カルボニル化合物を含有
する一酸化炭素ガスを、ハロゲン、例えばヨウ素が導入
された転換カラムに供給する。ヨウ素の使用量は供給ガ
スの流量およびカラムの温度によって決定される。前記
ヨウ素は供給ガス中の金属含量の0.1乃至1,000
モル倍、さらに好ましくは0.5乃至100モル倍、最
も好ましくは1乃至10モル倍の量でカラムへ導入す
る。前記カラムにはいくつかの段(tray)が設けら
れて、供給ガスとヨウ素との間の混合を容易にする。前
記カラムは、一定温度、例えば150乃至200℃に保
持して、全ての金属カルボニル不純物がヨウ素ガスと完
全に反応されるようにする。次に、ハロゲン化金属、例
えばヨウ化鉄を吸着カラムへ移送してカラム内の吸着剤
の上に吸着させ、所望の精製供給ガスを得る。本発明に
用いられる吸着剤の例としては、活性炭、粘土、アルミ
ナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ゼオライトおよび本分
野で通常使用される吸着剤がある。このようにして精製
された供給ガスは、例えばカルボニル化反応器へ供給さ
れる。
【0013】また、メタノールの転換率をより増大させ
るために、一酸化炭素の供給流に適当量の水素(例え
ば、使用した一酸化炭素を基準として約10モル%)を
注入することが有利であることもある。
【0014】前記前処理後に、一酸化炭素は、ほぼ反応
圧力またはそれより高い圧力、例えば13atm で、所望
の反応温度に予熱された温度、例えば250℃で導入し
得る。一酸化炭素は、メタノール対一酸化炭素の1:
0.1乃至1:100、さらに好ましくは1:0.5乃
至1:50、最も好ましくは1:0.8乃至1:3のモ
ル比で用いられる。同じように、メタノールは、反応系
への導入前、所望の温度および圧力で予熱および気化さ
れることが望ましい。
【0015】一実施態様として、233℃の反応温度お
よび150psi の反応圧力下で、触媒としてのRhC1
3 +CuC13 と、助触媒としてのCH3 Iを用いて、
一酸化炭素とメタノールとのカルボニル化反応を行い得
る。前記メタノールを5995hr-1のGHSVで触媒床
を通して、88.4モル%の酢酸メチルと11.6モル
%の酢酸を生成させる。次に生成された混合物を、ヨウ
化メチルと共に蒸留塔へ移送させて、塔低生成物として
の酢酸と水(存在すれば);軽質の最終生成物としての
酢酸メチル共沸量と、殆ど全量のヨウ化メチル(この
時、42.1℃の沸点でCH3 I:CH3 COOCH3
の共沸組成は、94.2モル%:5.8モル%であり、
これらはカルボニル反応器へ再循環される);および塔
の中間部生成物としての残りの酢酸メチルに分留する。
このようにして回収された酢酸メチルは、実際に乾燥の
状態として、例えば無水酢酸の製造に適当である。
【0016】本発明によるメタノールの気相カルボニル
化反応に用いられるロジウム触媒は、ロジウム化合物の
第1成分、およびアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷
移金属、非金属およびこれらの混合物からなる群から選
択された第2成分を含み、水または有機溶媒、例えばア
ルコールに溶かしたロジウム化合物の溶液を、前記第2
金属化合物と共に不活性物質上に担持し、これを200
乃至500℃の温度で焼結して製造する。前記不活性担
持体としては、活性炭、粘土、アルミナ、シリカ、シリ
カ−アルミナ、アルミナ−ホスフェート、アルミナ−シ
リカ−ホスフェート、マグネシア、ジルコニアなどが用
いられる。
【0017】前記ロジウム化合物としては、水または有
機溶媒に対して可溶性であり、200乃至500℃で焼
結されてロジウム酸化物を形成し得る全ての形態のロジ
ウム化合物が用いられる。例えばRhX3 、RhX3
3H2 O、Rh2 (CO)42 、〔Rh(CO)X
4 〕Y,Rh2 (CO)8 、Rh(CH3 COO)3
Rh(NO3)3 、〔Rh(CO)22 〕Y、Rh2
3 、〔Rh(C24)2X〕2 、Rh〔(C65)32
〕(CO)X、金属Rh、RhX〔(C65)3 P〕2
(CH3 X)2 、Rh(SnX3 )〔(C65
P〕3 、RhX(CO)〔(C65)3 Q〕2 、(R4
Z)〔Rh(CO)2 X〕2 、(R4 Z)2〔Rh(C
O)X4 〕、RhX〔(C65)3 P〕3 、RhX
〔(C65)3 P〕H2 、〔(C65)3 P〕3 Rh
(CO)HおよびY4 Rh22 (SnX3)4 (ここ
で、XはC1、BrまたはIであり、YはLi、Naま
たはKであり、ZはN、AsまたはPであり、QはA
s、PまたはSbであり、RはC1-12アルキル基または
アリール基である)などが用いられ、その中でRhC1
3 ・3H2OまたはRh(NO3)3 が望ましい。
【0018】ロジウム化合物の使用量は、不活性担持体
の量を基準として0.01乃至20重量%、好ましくは
0.1乃至10重量%、最も好ましくは0.3乃至5重
量%のRh量であり、遷移金属化合物の使用量は、ロジ
ウムの量を基準として1乃至1,000モル%、好まし
くは10乃至500モル%、最も好ましくは30乃至3
00モル%の量である。また、アルカリ金属またはアル
カリ土類金属の使用量は、ロジウムの量を基準として1
乃至2,000モル%、好ましくは50乃至1,000
モル%、最も好ましくは200乃至800モル%の量で
ある。
【0019】ロジウム触媒において、第2成分として用
いられるアルカリ金属としては、Li、Na、K、R
b、CsおよびFrがある。第2成分として用いられる
アルカリ土類金属としては、Be、Mg、Ca、Sr、
BaおよびRaがある。
【0020】第2成分として用いられる遷移金属として
は、Co、Ru、Fe、Pd、Pt、Os、Ir、N
i、Mn、Re、Cr、Cu、Ag、Au、Zn、C
d、Hg、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、H
f、Sc、Y、LaおよびAcがある。第2成分として
用いられる非金属としては、Ga、In、Tl、Al、
Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、S、
Se、TeおよびPoがある。
【0021】本発明によるカルボニル化反応用触媒は、
不活性物質上に担持されたロジウム化合物に、一定量の
CoCl2 、RuCl3 、PdCl2 、PtCl2 、C
uCl2 、AgNO3 、AuCl3 、CdCl2 、Zn
Cl2 、OsCl3 、IrCl3 、NiCl2 、MnC
2 、ReCl5 、CrCl3 、MoCl3 、WCl
6 、VCl3 ,NbCl5 、TaCl5 、TiCl4
ZrCl4 、HfCl4、LiI、NaI、KI、Rb
Cl、BeCl2 、MgCl2 、CaCl2 、SrCl
2 、BaCl2 のような、第2金属化合物の少なくとも
一種を加えることによって容易に製造し得る。
【0022】酢酸メチルの選択的な製造のために、本発
明の気相反応ではロジウム触媒の存在下でハロゲン化物
助触媒を用いうる。
【0023】助触媒として用いられるハロゲン化物とし
ては、CH3 I、CH3 Br、CH3 Cl、I2 、Br
2 、Cl2 、HI、HBr、HClなどがあり、その中
でもCH3 Iが望ましい。
【0024】ハロゲン化物助触媒は、用いられたメタノ
ールの総量を基準として0.001乃至5、好ましくは
0.01乃至1、最も好ましくは0.05乃至0.15
のモルの割合で用いられる。
【0025】
【酢酸エステルの製造】前述のように、本発明のカルボ
ニル化工程によって得られた酢酸メチルから直接的に酢
酸アルキルを製造することができる。
【0026】カルボニル化反応において、用いられた反
応条件を簡単に調整し、さらに、適切な触媒、例えば活
性炭上のRhCl3 +CuCl3 を用いることによっ
て、酢酸メチルを高選択度、例えば88%の選択度で製
造し得る。蒸留塔で、反応混合物から低沸点留分として
の酢酸メチルと助触媒の混合物を分離し得る。なお、酢
酸は反応混合物から高沸点留分として回収することがで
きる。
【0027】酢酸メチルの全てまたは大部分を、連続し
て蒸留塔で助触媒から分離した後、少量の酢酸メチルを
含有するか含有しない分離された助触媒を、カルボニル
化反応器に再循環させながら、分離された酢酸メチルを
その沸点より高い温度でエステル交換反応器の下部領域
へ導入する。また、C2 またはより高級なアルコールを
その沸点以下の温度でエステル交換反応器の上部領域に
導入する。エステル交換反応器で、酢酸メチルをアルコ
ールとエステル交換させ、C2 またはより高級なアルキ
ルを有する酢酸エステルを含有する反応混合物が生成さ
れ、この時反応生成物は反応器の中央部に位置した酸触
媒層内で分離される。即ち、生成された酢酸アルキルは
反応器の底部生成物として得ることができ、未反応の酢
酸メチルとメタノールの混合物は反応器の上部生成物と
して収得し得るが、該混合物はカルボニル化反応器また
は酢酸メチル蒸留塔に再循環させることにより、全ての
工程がより経済的になし得る。
【0028】本発明で用いられる酸触媒は、シリカ、珪
砂、アルミナまたは珪藻土上に担持されている天然粘土
鉱物、H2 SO4 、H3 PO4 およびCH2 (COO
H)2、陽イオン交換樹脂、熱処理された木炭、酸化金
属および硫化金属、金属塩、混合酸化物およびヘテロ多
価酸から成る群から選択される。酸触媒層は酸触媒で充
填され、該酸触媒は固体酸、即ち通常的な方法によって
酸で処理されたイオン交換樹脂が好ましい。
【0029】本発明の方法を行うためのエステル交換反
応器の一例が図1に図示されている。図1において、蒸
留塔(1)の材質はパイレックス(pyrex)であり、塔の
内径は15mmであり、高さは150cmである。アルコー
ルおよび酢酸メチルの注入口(2)および(3)は、塔
の上段および下段から45cm間隔に位置し、相互60cm
間隔で設ける。リボイラ(reboiler)(4)には油浴を
使用し、塔下部に設けて、塔の圧力差を測定するために
蒸留水を満たしたU字管は、リボイラ(4)とコンデン
サー(5)の間に設ける。
【0030】反応器の中間領域、即ち塔の上段または下
段の間で75cmの長さにある酸触媒層(6)を、アンバ
ーリスト(Amberlyst)イオン交換樹脂を酸、例えばH2
SO4 で通常的な方法で処理して満たしておき、塔の残
り空間にはヘリックスリング(helices ring)を満た
す。このリングは反応領域で生成された混合物を分離し
て、未反応物質は反応領域へ、生成物は塔上部および下
部で除去する役目を行う。
【0031】塔内部の温度を測定するために、温度計を
塔内部に一定間隔で嵌め込んで温度を測定し、塔外部は
ガラスウールで2cm程度覆いかぶせて保温処理する。反
応器上部は、冷却器によって凝縮された生成物が一定に
還流されるように、ソレノイド(solenoid)バルブと時
間調節器を装着する。
【0032】酢酸メチルとアルコールは、別途にそれぞ
れ移送ポンプおよび予熱器によって蒸留塔(1)の下部
領域および上部領域に一定量導入される。酢酸メチルは
凝縮点以上の温度で維持し、アルコールは沸点以下の温
度で維持する。エステル交換反応が終了した後に、目的
とするC2 またはより高級なアルキルを有する酢酸エス
テルおよび酢酸メチルとメタノールとの混合物を、それ
ぞれ底部生成物および上部生成物として回収することが
できる。
【0033】前述したように、本発明のカルボニル化工
程によって、高収率で収得した酢酸メチルから、本発明
のエステル交換工程により、C2 またはより高級なアル
キルを有する酢酸エステルを経済的に合成することがで
きる。
【0034】本発明のエステル交換工程によって生成さ
れる酢酸エステルのアルキル基またはカルボキシル基
を、目的とする他の基で置換させることによって、多様
なエステルを得ることができる。
【0035】本発明のカルボニル化工程から収得された
無水酢酸メチルをエステル交換反応に使用することによ
って、メタノールで酢酸をエステル化させて酢酸メチル
を生成させる先行技術の方法に比べて、必要なコストが
少なく、所要される乾燥工程が排除できる。
【0036】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。
【0037】実施例1 活性炭の量を基準として0.6重量%のRhと、Rhの
量を基準として400モル%のLiIを、活性炭の上に
担持させた後、300℃で焼結して触媒を製造した。こ
の触媒5gを直径約1.27cm(1/2インチ)、長さ
40cmの反応管に充填した後、反応管の上部と低部にア
ルカリで前処理されたガラス繊維を充填して、触媒床の
長さが10cmになるようにし、管の中間には直径約0.
64cm(1/4インチ)のチタンを入れて熱電対を装着
した。反応管の外部はオイルジャケットで被って、熱媒
により反応管を加熱し得るようにした。かかる反応管に
メタノールと一酸化炭素を1:2.3のモル比で流入
し、メタノール量を基準として10モル%の助触媒CH
3 Iの存在下、反応圧力150psi 、反応器の内部温度
約233℃で反応させた。
【0038】前記反応条件下で、ガス空間速度(GHS
V)によるメタノールの転化率および酢酸の收率などを
求めて、下記の表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】GHSV=時間当りガス空間速度〔Gas Ho
urly Space Velocity (hr-1)〕:時間当り触媒床を通す
気相の反応物、即ちメタノールの量を測定する尺度とし
て、このGHSV値が高ければ高いほど触媒と反応物の
接触時間はさらに短くなり、単位時間当り反応物の処理
量は増加する。
【0041】
【数1】
【0042】実施例2 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として50モル%のCuCl2 を活性炭に担持させ
た触媒を用いた以外は、実施例1と同様に反応させて、
その結果を下記の表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】実施例3 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として200モル%のNaIを活性炭に担持させた
触媒、200psi の反応圧力および240℃の反応温度
を用いた以外は、実施例1と同様に反応させて、その結
果を下記の表3に示した。
【0045】
【表3】
【0046】実施例4 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として200モル%のKIを活性炭に担持させた触
媒を用いた以外は、実施例1と同様に反応させて、その
結果を下記の表4に示した。
【0047】
【表4】
【0048】実施例5 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として50モル%のMgC12 を活性炭に担持させ
た触媒を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。そ
の結果を下記の表5に示した。
【0049】
【表5】
【0050】実施例6 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として50モル%のIrC13 を活性炭に担持させ
た触媒を用い、反応温度を255℃とした以外は、実施
例1と同様に実施した。その結果を下記の表6に示し
た。
【0051】
【表6】
【0052】実施例7 GHSVを異にし、活性炭に0.6重量%のRhと、R
hの量を基準として200モル%のPdC12 を担持さ
せた触媒を用い、255℃の反応温度および150psi
の圧力を用いた以外は、実施例1と同様に行った。その
結果を下記の表7に示した。
【0053】
【表7】
【0054】実施例8 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として50モル%のRuCl3 を活性炭上に担持さ
せた触媒を用い、255℃の反応温度を用いた以外は、
実施例1と同様に行った。その結果を下記の表8に示し
た。
【0055】
【表8】
【0056】実施例9 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として50モル%のCoCl2 を活性炭に担持させ
た触媒を用い、210℃の反応温度を用いた以外は、実
施例1と同様に行った。その結果を下記の表9に示し
た。
【0057】
【表9】
【0058】実施例10 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として50モル%のNiCl2 を活性炭に担持させ
た触媒を用い、210℃の反応温度を用いた以外は、実
施例1と同様に行った。その結果を下記の表10に示し
た。
【0059】
【表10】
【0060】実施例11 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として50モル%のMnを活性炭の上に担持させた
触媒を用い、反応温度を270℃とした以外は、実施例
1と同様に行った。その結果を下記の表11に示した。
【0061】
【表11】
【0062】実施例12 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として100モル%のLiと25モル%のMnが活
性炭の上に担持させた触媒を用い、反応温度を270℃
とした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を下
記の表12に示した。
【0063】
【表12】
【0064】実施例13 GHSVを異にし、0.6重量%のRhと、Rhの量を
基準として50モル%のOsを活性炭に担持させた触媒
を用い、反応温度を270℃とした以外は、実施例1と
同様に行った。その結果を下記の表13に示した。
【0065】
【表13】
【0066】実施例14 次のようにエタノールから酢酸エチルを製造した。エス
テル交換反応器として図1に図示した蒸留塔(1)に、
前記実施例1で収得した酢酸メチルを1.78モル/hr
の流量で、62℃で蒸留塔の下部領域(3)に供給しな
がら、エタノールを0.46モル/hrの流量で、60℃
の温度で、蒸留塔の上部領域(2)に供給した。これら
の成分等の還流比は3であった。このとき、リボイラ
(4)の温度は76.5℃であり、塔上部の温度は55
℃であった。塔上部の流速は1.85モル/hr、塔下部
の流速は0.39モル/hrであった。このときの転換率
は約80.7%であった。収得された生成物の塔上部と
塔下部での濃度を下記の表14に示した。
【0067】
【表14】
【0068】実施例15 試験装置および試験方法、エタノールの流量および注入
温度、酢酸メチルの流量および注入温度は、実施例14
と同一ではあるが、リボイラの温度は79.2℃を保つ
ように維持した。このときの塔上部と塔下部での濃度は
次のようであり、塔上部生成物の流量は1.94モル/
hrであり、塔下部生成物の流量は0.29モル/hrであ
る。このときの転換率は約80.4%であった。収得さ
れた生成物の塔上部と下部での濃度を下記の表15に示
した。
【0069】
【表15】
【0070】実施例16 エタノールのかわりにブタノールを供給して、実施例1
4と同一な手続きによって酢酸ブチルを製造した。ブタ
ノールの流量は0.23モル/hrであり、注入口の温度
は43.8℃であった。酢酸メチルの流量は0.68モ
ル/hrであり、注入口の温度は70.6℃であった。還
流比は5であった。リボイラの温度は128.7℃であ
って、塔上部の温度は53.3℃であった。塔上部の生
成物の流量は0.68モル/hrであり、塔下部生成物の
流量は0.23モル/hrであった。収得された生成物の
塔上部および塔下部での濃度を下記の表16で示した。
【0071】
【表16】
【0072】実施例17 エタノールの代りにイソプロパノールを供給して、実施
例14の手続きによって酢酸イソプロピルを製造した。
イソプロピルアルコールの流量は0.26モル/hrであ
り、注入口の温度は45℃であった。酢酸メチルの流量
は0.83モル/hrであり、注入口の温度は72℃であ
った。還流比は5であった。リボイラの温度は88℃で
あって、塔上部の温度は54℃であった。塔上部生成物
の流量は0.83モル/hrであって、塔下部生成物の流
量は0.26モル/hrであった。収得された生成物の塔
上部および下部での濃度を下記の表17で示した。
【0073】
【表17】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のエステル交換反応を行うため
のエステル交換反応器を図示した概略図である。
【符号の説明】
1 蒸留塔 2 アルコール注入口 3 酢酸メチル注入口 4 リボイラ 5 コンデンサー 6 酸触媒層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300 (72)発明者 呉 俊 雨 大韓民国ソウル特別市道峰区牛耳洞1番地 成源アパート2棟1101号 (72)発明者 朱 五 心 大韓民国ソウル特別市城北区上月谷洞41番 地7号 (72)発明者 鄭 光 徳 大韓民国ソウル特別市瑞草区蚕院洞51番地 韓信ファミリーアパート2棟1505号 (72)発明者 李 文 相 大韓民国ソウル特別市道峰区牛耳洞1番地 成源アパート2棟1207号

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)不活性物質上に担持されたロジウ
    ム化合物の第1成分、およびアルカリ金属、アルカリ土
    類金属、遷移金属、非金属およびこれらの混合物からな
    る群から選択された第2成分からなるロジウム触媒、な
    らびにハロゲン化物助触媒の存在下で、穏和なカルボニ
    ル化反応条件下およびメタノールの高い時間当りガス空
    間速度(GHSV)で、カルボニル化反応器中でメタノ
    ールを一酸化炭素で気相カルボニル化して、酢酸と酢酸
    メチルの混合物を生成させ、 (b)蒸留塔で前記混合物から高沸点留分として酢酸を
    分離し、低沸点留分として酢酸メチルと助触媒との混合
    物を分離し、 (c)低沸点留分から助触媒を分離してカルボニル化反
    応器に再循環し、 (d)低沸点留分から分離された酢酸メチルを、その沸
    点より高い温度でエステル交換反応器の下部領域に導入
    し、 (e)C2 またはより高級なアルコールを、その沸点以
    下の温度でエステル交換反応器の上部領域に導入し、 (f)酸触媒の存在下で、酢酸メチルを前記アルコール
    とエステル交換させ、望む酢酸アルキルを含有する混合
    物を生成させ、 (g)前記混合物から前記酢酸アルキルを底部生成物と
    して回収すると同時に、未反応酢酸メチルとメタノール
    をカルボニル化反応器に再循環させることを特徴とする
    2 またはより高級なアルキルを有する酢酸アルキルエ
    ステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記段階(a)に使用する一酸化炭素
    を、カルボニル化反応器へ導入する前に、吸着剤が充填
    された吸着カラムに通すことを特徴とする請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 前記一酸化炭素を吸着カラムに通す前
    に、ハロゲンで処理することを特徴とする請求項2記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 前記段階(a)に使用するロジウム化合
    物が、RhX3 、RhX3 ・3H2 O、Rh2 (CO)
    42 、〔Rh(CO)X4 〕Y、Rh2 (CO)8
    Rh(NO3)3 、〔Rh(CO)22 〕Y、Rh2
    3 、Rh(CH3 COO)3 、〔Rh(C24)2 X〕
    2 、Rh〔(C65)3 P〕2 (CO)X、Rh金属、
    RhX〔(C65)3 P〕2 (CH3 X)2 、Rh
    (SnX3 )〔(C65 )P〕3 、RhX(CO)
    〔(C65)3 Q〕2 、(R4 Z)〔Rh(CO)2
    X〕2 、(R4 Z)2 〔Rh(CO)X4 〕、RhX
    〔(C65)3 P〕3 、RhX〔(C65)3 P〕H
    2 、〔(C65)3 P〕3 Rh(CO)HおよびY4
    22 (SnX3)4 (ここで、XはC1、Brまたは
    Iであり、YはNa、LiまたはKであり、ZはN、A
    sまたはPであり、QはAs、PまたはSbであり、R
    はC1-12アルキル基またはアリール基である)から成る
    群から選択されることを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 前記アルカリ金属が、Li、Na、K、
    Rb、CsおよびFrから成る群から選択されることを
    特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記アルカリ土類金属が、Be、Mg、
    Ca、Sr、BaおよびRaから成る群から選択される
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記遷移金属が、Cu、Ag、Au、Z
    n、Cd、Co、Ru、Pd、Pt、Os、Ir、N
    i、Mn、Re、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、T
    i、ZnおよびHfから成る群から選択されることを特
    徴とする請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記非金属が、Ga、In、Tl、A
    l、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、
    S、Se、TeおよびPoから成る群から選択されるこ
    とを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記助触媒が、CH3 I、CH3 Br、
    CH3 Cl、I2 、Br2 、Cl2 、HI、HBrおよ
    びHClから成る群から選択されることを特徴とする請
    求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記助触媒が、CH3 Iであることを
    特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記酸触媒が、シリカ、珪砂、アルミ
    ナまたは珪藻土上に担持された天然粘土鉱物、H2 SO
    4 、H3 PO4 およびCH2 (COOH)2、陽イオン
    交換樹脂、熱処理された木炭、酸化金属および硫化金
    属、金属塩、混合酸化物およびヘテロ多価酸から成る群
    から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記酸触媒が、陽イオン交換樹脂であ
    ることを特徴とする請求項11記載の方法。
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