JPH07100870B2 - 金属表面のリン酸亜鉛皮膜処理方法 - Google Patents
金属表面のリン酸亜鉛皮膜処理方法Info
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Description
膜処理方法に関し、さらに、詳しくは、鉄系表面、亜鉛
系表面、アルミニウム系表面、あるいは、これらの表面
を2種類以上組み合わせて同時に有する金属表面、とり
わけ、研削加工された部位を有するアルミニウム系表面
と鉄系および/または亜鉛系表面を組み合わせて同時に
有する金属表面に対して、電着塗装、なかでもカチオン
型電着塗装に適し、塗膜密着性、耐食性、特に耐温塩水
性、カサブタ状の錆(スキャブコロージョン)の防止性
(以下、「耐スキャブ性」と言う)に優れたリン酸亜鉛
皮膜を形成する処理方法に関する。
種分野で金属素材が利用されている。金属は、大気中の
酸素や硫黄酸化物、雨水、海水などによる腐食を防ぐた
め、塗装前処理として、リン酸亜鉛皮膜処理が施され
る。これにより形成されたリン酸亜鉛皮膜は、下地であ
る金属表面との密着性に優れているとともに、その上に
形成される塗膜との密着性に優れている必要があり、腐
食環境下でも充分な防錆力を持つことが要求される。特
に、自動車ボディは、外板部の傷から塩水、乾湿気象条
件変化を繰り返し受けるため、耐スキャブ性、より高度
の耐温塩水性などが強く望まれている。
してリン酸亜鉛皮膜処理を施す場面も増えてきている。
たとえば、自動車ボディには、塗装後の耐食性をさらに
向上させるために、鋼材の片面だけに亜鉛または合金化
亜鉛メッキした素材が用いられる。このように鉄系表面
と亜鉛系表面とを同時に有する金属表面に対して、従来
のリン酸亜鉛皮膜処理を施すと、亜鉛系表面では、鉄系
表面に比べて耐腐食性および二次密着性に劣るという問
題が生じる。このため、たとえば、特開昭57−152472号
公報などで、鉄系表面および亜鉛系表面を同時に有する
金属表面に、電着塗装に適したリン酸亜鉛皮膜を形成す
る方法が提案されている。この方法では、亜鉛イオン、
リン酸イオンおよび皮膜化成促進剤濃度の制御された処
理浴に、マンガンイオン0.6〜3g/l、および/または、
ニッケルイオン0.1〜4g/lを含有させている。また、特
公昭61−36588号公報では、処理温度を下げる目的でマ
ンガンイオンと共にフッ素イオンを0.05g/l以上加える
技術が提案されている。
せた素材も、自動車や建材など各種分野で実用されてい
る。このような素材に従来の鉄あるいは亜鉛材用の酸性
リン酸亜鉛皮膜処理液で処理を施すと、処理液中に溶出
したアルミニウムイオンが蓄積され、その量がある程度
高くなると、鉄系表面に対し化成不良をもたらすという
問題がある。すなわち、フッ素イオンを含まない処理液
ではアルミニウムイオンが5ppm以上、HBF4を含む処理液
では100ppm以上、また、H2SiF6を含む処理浴でも300ppm
以上になると、鉄系表面に対する化成不良が生じること
が見出されている。
めに、処理液に酸性フッ化カリウムと酸性フッ化ナトリ
ウムを添加し、アルミニウムイオンをK2NaAlF6あるいは
Na3AlF6として沈澱させる方法が特開昭57−70281号公報
で提案されている。また、特開昭61−104089号公報で
は、アルミニウム系表面/鉄系表面の面積比率を3/7以
下に制御し、フッ素系リン酸亜鉛皮膜処理液中のアルミ
ニウムイオン濃度を70ppm以下に維持するという方法が
提案されている。
処理対象物が極めて限定されたものになるという不利が
あり、しかも、上記のような面積比率にするだけではア
ルミニウムイオン濃度を70ppm以下に維持することは困
難である。これに対し、特開昭57−70281号公報記載の
処理方法は、処理対象物を限定せず、処理液中のアルミ
ニウムイオンを沈澱除去するという考え方を採用してい
る点で優れている。しかし、ここで生成した沈澱物は、
浮遊懸濁する傾向を示し、リン酸亜鉛皮膜に付着してこ
れを不均一にしてしまう。このため、リン酸亜鉛皮膜の
上に電着塗装を行う場合には、電着塗装不良を起こし、
塗膜の均一性欠如、塗膜の二次密着性不良などの原因と
なる。そこで、浮遊懸濁性の沈澱を除去する必要がある
が、この除去作業は繁雑である。
するべく研究を進めた結果、処理槽から取り出した処理
液に対し、単純フッ化物を加えアルミニウムイオンを沈
澱化させて除去した後、再び処理液槽に還流させること
によって、処理液槽内のアルミニウムイオン濃度を一定
値以下に保つ方法を発明し、特願平2−36432号で特許
出願している。この方法によれば、処理液のアルミニウ
ムイオン濃度が常に適正な範囲にあるので、金属表面に
対する化成不良が生じない。しかも、処理槽内で沈澱を
生じさせないので、沈澱による皮膜への悪影響がない。
系金属表面の一部または全部が研削加工されている場合
には、この研削加工部にはリン酸亜鉛皮膜が全く形成さ
れないか、不均一な皮膜しか形成されないことになり、
この部分の耐食性が著しく劣ることになるという問題が
あることが判った。これは、アルミニウム系金属の場
合、研削加工されることによって、表面に不活性膜が形
成され、この不活性膜により皮膜の形成が阻害されるた
めである。
ば、研削加工部の不活性膜を溶解除去して化成性を改善
することができるのであるが、活性フッ素濃度が高い
と、研削加工部以外の場所、すなわち非研削加工部にお
けるアルミニウムイオンの溶解量が増加するので、処理
槽から処理液を取り出す前に、処理槽内においてアルミ
ニウムイオンの沈澱化が著しく起こり、処理槽内の処理
液に流動分散するスラッジすなわち沈澱物の濃度が高ま
って、被処理物への沈澱物の付着による電着塗装不良等
が発生してしまう。
ウム系表面、および、これらの2種以上の表面を同時に
有する金属表面に対して、同じリン酸亜鉛皮膜処理液で
処理することができ、特に、研削加工部を有するアルミ
ニウム系表面を同時に連続的に処理しても、密着性に優
れた高耐食性皮膜を安定して形成することができる金属
表面のリン酸亜鉛皮膜処理方法を提供することを課題と
する。
属表面のリン酸亜鉛皮膜処理方法は、金属表面をリン酸
亜鉛皮膜処理液に接触させて同金属表面にリン酸亜鉛皮
膜を形成させる金属表面のリン酸亜鉛皮膜処理方法にお
いて、金属表面を、まず、錯フッ化物と単純フッ化物と
を含有し、単純フッ化物の濃度が、HF濃度に換算して20
0〜300mg/lであり、錯フッ化物の濃度が、HF換算の単純
フッ化物とのモル比で〔錯フッ化物〕/〔単純フッ化
物〕≧0.01である第1のリン酸亜鉛皮膜処理液で浸漬処
理し、ついで、単純フッ化物濃度が、HF濃度に換算して
500mg/l以下で、かつ、前記第1のリン酸亜鉛皮膜処理
液よりも単純フッ化物濃度が高い第2のリン酸亜鉛皮膜
処理液で噴霧処理することを特徴としている。
は、鉄系表面単独、亜鉛系表面単独、アルミニウム系表
面単独、あるいは、これらの表面の2つ以上を合わせ持
つ金属表面であるが、とりわけ研削加工部を有するアル
ミニウム系表面を合わせ持つ金属表面を対象とする場合
に最も有効である。また、金属表面の形状は、平板をは
じめ、袋構造部を持つものであってもよく、特に制限は
ない。この発明によれば、袋構造部の内側表面もその外
側表面や平板と同様に処理することができる。
説明する。
含んでいる。単純フッ化物の濃度が200mg/l未満である
と、活性フッ素濃度が低すぎてアルミニウム系金属表面
に均一なリン酸亜鉛皮膜が形成されない。単純フッ化物
の濃度が高すぎると、アルミニウムイオンの沈澱化が著
しくなって、浸漬処理槽内での沈澱による皮膜への悪影
響が生じる。単純フッ化物としては、例えば、HF、Na
F、KF、NH4、FNaHF2、KHF2およびNH4NF2などが用いら
れる。
含まれている。錯フッ化物と単純フッ化物のモル比が0.
01未満であると、アルミニウム系表面のリン酸亜鉛皮膜
に、Na3AlF6成分が含まれることになり、表面にカチオ
ン電着塗装を施したときに、塗膜の耐温塩水性が低下す
る。錯フッ化物としては、例えば、H2SiF6、HBF4、およ
び、それらの金属塩(例えば、ニッケル塩、亜鉛塩等)
などが用いられる。但し、この発明では、錯フッ化物と
して、アルミニウム含有の錯フッ化物は含めない。
おくことが好ましい。活性フッ素濃度を管理する方法と
して、ケイ素電極メーターの指示値を基準にすることが
できる。ケイ素電極メーターは、この発明で用いるリン
酸亜鉛皮膜処理液のpH範囲(酸性領域)で感度が高く、
活性フッ素濃度に比例して指示値が大きくなるという特
性を備えており、活性フッ素濃度の測定に好ましい手段
である。このケイ素電極メーターの指示値が15〜40μA
であることが好ましい。この指示値が15μA以下では、
活性フッ素濃度が低く、皮膜の化成性に劣り、指示値が
40μAを超えると、浸漬処理槽内におけるアルミニウム
イオンの沈澱化傾向が増し、処理液のスラッジ濃度が高
まって、被処理物に沈澱が付着して、前記電着不良等が
発生する。
2号公報に開示されているケイ素電極メーターが用いら
れるが、これに限るものではなく、同等の指示値が得ら
れる各種のケイ素電極メーターを用いたり、ケイ素電極
メーターでなくても、活性フッ素濃度が測定できれば、
各種の測定装置を用いることができる。測定装置が異な
れば、同じ活性フッ素濃度に対しても、指示値は違って
くるので、前記したケイ素電極メーター以外の測定装置
を用いるときには、前記指示値範囲の数値を、それぞれ
の測定装置の指示値に換算して用いるようにする。
として、サーフプロガード101N(商品名:日本ペイント
(株)製)があり、前記指示値の数値は、このケイ素電
極メーターによる測定値を基準にしている。このケイ素
電極メーターは、被測定液に光があたらない状態で、同
液に、p−型ケイ素電極および白金製の不活性電極を接
触させ、これら両電極の間に直流電源を接続し、電流値
を読み取るようになっている。被測定液は容器の中で、
静置するかまたは一定の流れとなるようにする。そし
て、この状態で前記両電極間に直流電圧を印加し、定常
になったときの電流値を読み取ることにより、活性フッ
素濃度が求められるようになっている。
純フッ化物濃度と〔錯フッ化物〕/〔単純フッ化物〕モ
ル比が前記範囲に調整されていれば、他の成分の種類お
よび濃度は通常のリン酸亜鉛皮膜処理液と同様に設定さ
れる。これら他の成分の中でも、亜鉛イオン、リン酸イ
オンおよび皮膜化成促進剤を少なくとも含む必要がある
が、残りの成分は必要に応じて適宜配合すればよい。
については、基本的な組成または配合成分は、前記第1
の処理液と同様でよいので、相違点を説明する。
l以下で、かつ、前記第1のリン酸亜鉛皮膜処理液より
も単純フッ化物濃度が高いものを用いる。第1の処理液
よりも単純フッ化物濃度が高い第2の処理液で噴霧処理
することによって、アルミニウム系金属表面の研削加工
部にも良好な皮膜を形成できるのであるが、単純フッ化
物の濃度が500mg/lを超えると、研削加工部の表面に形
成される皮膜にNa3AlF6成分が含まれることになって、
耐食性が低下すると同時に、研削加工部以外の部分、す
なわち非研削加工部に浸漬処理において形成されていた
皮膜が再溶解してしまうので、耐食性が低下する。第1
の処理液に比べて、第2の処理液の単純フッ化物濃度を
どの程度高くしておくかは、第1の処理液の単純フッ化
物濃度の設定や、アルミニウム系金属表面の研削加工部
の状態等によって異なる。
素電極メーターの指示値で、15〜130μAで、かつ、前
記第1の処理液における指示値よりも高いものであるこ
とが好ましい。より望ましくは、指示値を40〜110μA
に設定する。指示値が15μA未満では、活性フッ素濃度
が低く、アルミニウム系金属表面の研削加工部に不均一
な皮膜が形成されて、この部分の耐食性が充分に向上し
ない。指示値が130μAを超えると、活性フッ素濃度が
高すぎ、前記単純フッ化物濃度が高すぎる場合と同様の
問題が生じる。
純フッ化物や錯フッ化物の他に、以下に説明するような
成分を含ませておくことができる。
物、錯フッ化物および活性フッ素以外の成分は、たとえ
ば、亜鉛イオン、リン酸イオンおよび皮膜化成促進剤
(a)である。皮膜化成促進剤(a)としては、亜硝酸
イオン、m−ニトロベンゼンスルホン酸イオン、過酸化
水素から選ばれる少なくとも1種が用いられる。これら
の好ましい濃度(かっこ内はより好ましい濃度)は、た
とえば、次のとおりである。亜鉛イオン0.1〜2.0(0.3
〜1.5)g/l、リン酸イオン5〜40(10〜30)g/l、亜硝
酸イオン0.01〜0.5(0.01〜0.4)g/l、m−ニトロベン
ゼンスルホン酸イオン0.05〜5(0.1〜4)g/l、およ
び、過酸化水素(H2O2100%換算)0.5〜10(1〜8)g/
lである。遊離酸度(FA)を0.5〜2.0の範囲に調節する
のが好ましい。
ン酸亜鉛皮膜が生成せず、スケが多く、一部ブルーカラ
ー状の皮膜が生成することがある。また、亜鉛イオン濃
度が2.0g/lを越えると、均一なリン酸亜鉛皮膜は生成す
るが、アルカリに溶解しやすい皮膜になりやすく、特に
カチオン電着時にさらされるアルカリ雰囲気によって皮
膜が溶解しやすくなることがある。その結果、一般に耐
温塩水性が低下し、特に鉄系表面の場合、耐スキャブ性
が劣化するなど、所望の性能が得られないので、電着塗
装、特にカチオン電着塗装下地としては不適当である。
すく、また、40g/lを越えても、効果の向上が期待でき
ず、薬品の使用量が多くなって経済的に不利である。
系表面で充分な皮膜化成ができず黄錆となりやすく、ま
た、前記範囲を越えると鉄系表面にブルーカラー状の不
均一皮膜を形成しやすい。
して中和するのに要する0.1N−NaOHの消費ml数で定義さ
れる。FAが0.5未満であると、アルミニウム系表面に均
一なリン酸亜鉛皮膜が形成されず、FAが2.0を越える
と、アルミニウム系表面にNa3AlF6成分を含むリン酸亜
鉛皮膜が形成され、耐食性の低下をもたらすことがあ
る。
オンを特定濃度範囲で含有させることが望ましい。マン
ガンイオンは0.1〜3g/lの範囲が好ましく、0.6〜3g/lの
範囲がより好ましい。0.1g/l未満だと、亜鉛系表面との
密着性および耐温塩水性向上効果が不充分となり、ま
た、3g/lを越えると耐食性の向上効果が不充分となる。
ニッケルイオンは、0.1〜4g/lの範囲が好ましく、0.1〜
2g/lの範囲がより好ましい。0.1g/l未満では耐食性の向
上効果が不充分となり、また、4g/lを越えても耐食性の
向上効果が減少する傾向がある。
てもよい。皮膜化成促進剤(b)としては、たとえば、
硝酸イオンおよび塩素酸イオンなどである。硝酸イオン
は0.1〜15g/lが好ましく、2〜10g/lがより好ましい。
塩素酸イオンは0.05〜2.0g/lが好ましく、0.2〜1.5g/l
がより好ましい。これらの成分は、単独、または、2種
以上組み合わされて含有されてもよい。皮膜化成促進剤
(b)は、皮膜化成促進剤(a)と併用してもよく、
(a)と併用しなくてもよい。
えば、次のようなものが使用される。
ロベンゼンスルホン酸ソーダ、過酸化水素水など。
ンガン等。
ッケル、水酸化ニッケル等。
マンガン、硝酸ニッケル等。
る、この発明の処理方法について説明する。
漬処理槽に、被処理物を一定時間浸漬して、リン酸亜鉛
皮膜処理を行う。この浸漬処理によって、被処理物のう
ち、アルミニウム系金属表面の研削加工部を除く部分、
すなわち、鉄系や亜鉛系表面およびアルミニウム系表面
の非研削加工部等に、密着性に優れた高耐食性皮膜を形
成する。浸漬処理の具体的な処理条件や処理装置等は、
通常のリン酸亜鉛皮膜処理方法における浸漬処理と同様
でよい。
ー機構で被処理物の表面に噴霧する。このとき、処理液
が、少なくともアルミニウム系金属表面の研削加工部に
良好に接触するように噴霧するのが好ましい。この噴霧
処理によって、アルミニウム系金属表面の研削加工部に
も、密着性に優れた高耐食性皮膜が形成される。アルミ
ニウム系表面の研削加工部以外については、既に前段の
浸漬処理で皮膜が形成されているので、この噴霧処理で
は、必ずしも充分に処理液が接触しなくても構わない。
噴霧処理の処理の具体的な処理条件や処理装置等は、通
常のリン酸亜鉛皮膜処理方法における噴霧処理と同様で
よい。
理で、アルミニウム系表面を含む金属表面を連続処理す
ると、浸漬処理槽内に貯えられた第1の処理液のアルミ
ニウムイオン濃度が高まるという問題が発生する。この
アルミニウムイオン濃度が150ppmを超えるとアルミニウ
ムイオンが沈澱化してアルミニウム含有スラッジが発生
したり、化成性が不安定になる。そこで、浸漬処理にお
いて、長期間連続して良好な化成性を維持するために
は、浸漬処理槽内の第1の処理液からアルミニウムイオ
ンを選択除去することが好ましい。
432号に開示された、アルミニウムイオンの沈澱除去方
法が採用できる。具体的には、浸漬処理に使用してアル
ミニウムイオン濃度が高くなった処理液を、浸漬処理槽
の外に設けられた沈澱化槽に、連続的もしくは断続的に
送り込み、沈澱化槽で単純フッ化物を加えて、処理液中
のアルミニウムイオンを沈澱化させ、この沈澱物を濾過
して処理液から分離除去した後、アルミニウムイオンが
除去された処理液を、再び浸漬処理槽に還流させるので
ある。この方法によれば、浸漬処理液槽内における平衡
アルミニウムイオン濃度を、常に一定値以下に保つこと
ができるので、良好な化成性を長期間安定して発揮する
ことができる。沈澱処理および沈澱物の除去処理の具体
的条件や使用装置等は、通常の化学処理における処理条
件や装置を適用することができる。
物〕≦0.5(モル比)となる範囲で単純フッ化物を加え
ることが好ましい。この値が0.5を超えると、アルミニ
ウムイオンが良沈降性の水不溶性錯フッ化物を形成しな
くなるため、沈澱濾過が困難となる。また、沈澱化槽内
における活性フッ素濃度が、前記ケイ素電極メーターの
指示値で40μA以上、好ましくは130μA以上になるよ
うに単純フッ化物を加えることが望ましい。この活性フ
ッ素濃度(ケイ素電極メーター指示値)が40μA未満で
あると、アルミニウムイオンが良沈降性の水不溶性錯フ
ッ化物を形成しないため、沈澱濾過が困難になる。
流させる処理液の単純フッ化物濃度や活性フッ素濃度に
影響を与える。したがって、沈澱化槽で加える単純フッ
化物の量は、還流処理液を戻した浸漬処理槽内の第1の
処理液が、前記した単純フッ化物濃度範囲および活性フ
ッ素濃度範囲(ケイ素電極メーター指示値)から外れな
いように調整する必要がある。なお、浸漬処理槽から取
り出された処理液は、浸漬処理で消費されて単純フッ化
物濃度および活性フッ素濃度が低下しているが、沈澱処
理において単純フッ化物を加えることにより、低下した
単純フッ化物濃度または活性フッ素濃度を補うことがで
きる。
処理に使用された処理液を浸漬処理槽の外に導き、この
処理液に単純フッ化物を加え、生成されたアルミニウム
イオン沈澱物を除去した後、この処理液を噴霧処理にお
ける第2の処理液として使用し、噴霧処理で使用された
処理液を、再び浸漬処理槽に還流させて第1の処理液と
して使用することを特徴としている。
理液に対し、前記したようなアルミニウムイオンの沈澱
除去処理を行った後、このアルミニウムイオンが除去さ
れた処理液を、噴霧処理における第2の処理液として使
用する。
処理条件で行うが、沈澱除去処理で加える単純フッ化物
の量等の処理条件を適当に調整することによって、アル
ミニウムイオンが除去された処理液として、前記した第
2の処理液として必要な要件をすべて満たすものが得ら
れる。すなわち、沈澱除去処理を終えた処理液を直ちに
浸漬処理槽に還流させる前記方法では、還流液を戻した
浸漬処理槽内の処理液が、第1の処理液としての条件を
備えるように、沈澱除去処理条件を調整するのに対し、
この方法では、アルミニウムイオンが除去された処理液
が、第2の処理液として必要な条件を備えるように、沈
澱除去処理条件を調整するのである。但し、通常の沈澱
除去処理では、アルミニウムイオンを確実に沈澱させる
ために、単純フッ化物の添加量は、処理液中のアルミニ
ウムイオンを沈澱させるのに必要な量よりも多めに設定
されるので、沈澱除去処理を終えた処理液は、第1の処
理液よりも単純フッ化物濃度が高くなるのが普通であ
り、特別な処理条件を設定しなくても、沈澱除去処理を
終えた処理液は、第2の処理液としての要件を満たすこ
とができる。
いれば、前記したような良好な噴霧処理が可能になる。
特に、この処理液には、スラッジ(沈澱物)を全く含有
しないか極めて低濃度であるので、浸漬処理後の被処理
物表面にスラッジが付着していても、噴霧処理におい
て、スラッジを良好に洗浄除去することが可能になる。
して必要な要件をすべて満たしているので、これを浸漬
処理槽に還流させれば、第1の処理液として使用するこ
とができる。これは、第2の処理液を噴霧処理に用いる
と、処理に伴う消費で、単純フッ素濃度もしくは活性フ
ッ素濃度が低下するので、単純フッ素濃度の低い第1の
処理液の条件を満たすのである。
を、浸漬処理槽における浸漬処理、沈澱化槽等における
アルミニウムイオンの沈澱除去処理、スプレー機構等に
おける噴霧処理、再び浸漬処理へと、順番に循環供給さ
せることになる。
を示すと、次のとおりである。金属表面を、まずアルカ
リ性脱脂剤を用いて温度20〜60℃で2分間スプレーおよ
び/または浸漬処理して脱脂し、ついで水道水で水洗す
る。その後、前記第1のリン酸亜鉛皮膜処理液を用いて
金属表面を温度20〜70℃で15秒間以上浸漬処理し、つい
で、第2のリン酸亜鉛皮膜処理液を用いて20〜70℃で15
秒間以上スプレー機構による噴霧処理を行う。その後、
水道水による水洗、脱イオン水による水洗いをすればよ
い。脱脂を浸漬により行った場合には、リン酸亜鉛処理
の前に、表面調整剤を用いて金属表面を室温で10〜30秒
間スプレーおよび/または浸漬処理するのがよい。
の温度は20〜70℃が好ましく、35〜60℃がより好まし
い。この範囲よりも低いと皮膜化成性が悪く、長時間の
処理を要することになる。また、この範囲よりも高いと
皮膜化成促進剤の分解および処理液の沈澱発生などで処
理液のバランスがくずれやすく、良好な皮膜が得られに
くい。
く、30〜120秒間がより好ましい。15秒未満だと、所望
結晶を有する皮膜が充分に形成されないことがある。第
1の処理液による噴霧処理時間は、15秒以上が好まし
く、30〜60秒間がより好ましい。15秒未満であると、研
削加工部のアルミニウム系金属表面に充分に皮膜が形成
されない。なお、浸漬処理時に付着したフラッジを、噴
霧処理で洗い落とすには、噴霧処理時間は可能な限り長
時間であることが好ましい。
分を所定含有量よりも多目に含む濃厚原液を予め用意し
ておいて、これを水で希釈する等して各成分を所定含有
量となるよう調整することにより簡単に得ることができ
る。第1の処理液と第2の処理液は、別々に用意された
原液を用いてもよいし、前記のように、同一の処理液を
浸漬処理および噴霧処理の両方に循環させる場合には、
1種類の原液を用意するだけでよい。この場合の1種類
の原液は、通常、第1の処理液に相当するものが好まし
い。
具体的には、下記のような態様のものが挙げられる。
での重量比で、亜鉛イオン:リン酸イオン=1:2.5〜400
となるように混合されている1液タイプ濃縮原液。
成促進剤(b)をも含む上記記載の1液タイプ濃縮原
液。
給源用化合物、マンガンイオン供給源用化合物、単純フ
ッ化物供給源用化合物、錯フッ化物供給源用化合物等の
うちの適当な化合物を含んでいてもよい。
含むA液と、上記皮膜化成促進剤(a)を少なくとも含
むB液とからなり、亜鉛イオン供給源およびリン酸イオ
ン供給源がイオン形態での重量比で亜鉛イオン:リン酸
イオン=1:2.5〜400となるように使用されている2液タ
イプ濃縮原液。
原液状態で、亜鉛イオン供給源およびリン酸イオン供給
源との共存に障害のある化合物が挙げられる。
化物供給用化合物は、好ましくは、このような化合物を
含む濃縮原液(C)を用意しておいて、前記沈澱化槽に
供給するようにすればよい。
(重量比)、A液で10〜100倍(重量比)、B液で100〜
1000倍(重量比)、C液で10〜100倍(重量比)に希釈
して使うよう各成分を含んでいる。
液タイプの場合、原液状態では共存が不都合な化合物を
別々にしておくことができる。
供給源、硝酸イオンの供給源、ニッケルイオンの供給
源、マンガンの供給源、錯フッ化物供給源は、A液に含
まれる。単純フッ化物供給源は、C液のみに含まれてい
てもよいし、必要であれば、A液にも単純フッ化物供給
源が含まれていてもよい。塩素酸イオンの供給源は、A
液、B液のいずれに含まれてもよい。亜硝酸イオンの供
給源、m−ニトロベンゼンスルホン酸イオンの供給源、
過酸化水素の供給源は、B液に含まれる。
イオン源はB液に含ませることが好ましい。
理液中の成分が偏って消費されるので、その分だけ補充
する必要がある。この補充用の濃厚液は、たとえば、前
記1液タイプ濃厚原液、A液、B液およびC液におい
て、各成分を消費される割合に応じて比率を変えて配合
したものである。
を備えた第1の処理液による浸漬処理と、同じく特定の
要件を備えた第2の処理液による噴霧処理を順次行うこ
とによって、鉄系、亜鉛系、アルミニウム系等の金属表
面、特に研削加工部を有するアルミニウム系金属表面を
含む金属表面に対するリン酸亜鉛皮膜処理を良好に行う
ことができる。
条件が規定された第1の処理液で浸漬処理を行うことに
より、アルミニウム系金属表面の研削加工部を除いた、
全ての金属表面に対して良好なリン酸亜鉛皮膜が形成さ
れる。第1の処理液は、比較的単純フッ化物濃度が低い
ので、アルミニウムイオンの過剰な溶解が生じない。但
し、この浸漬処理のみでは、化成性の悪い不活性面が存
在するアルミニウム系金属表面の研削加工部には良好な
皮膜を形成することができない。
化物濃度を第1の処理液よりも高くした第2の処理液を
用いて、噴霧処理を行うことにより、前記浸漬処理では
皮膜が形成出来なかったアルミニウム系金属表面の研削
加工部に対しても、良好な皮膜が形成されることにな
る。すなわち、噴霧処理では、処理液が被処理物の表面
に吹き付けられるので、皮膜の形成作用が高くなること
に加え、単純フッ化物濃度の高い第2の処理液を用いて
いるので、一層のこと皮膜の形成作用が高くなり、浸漬
処理では皮膜が形成できなかった研削加工部に対して
も、良好な皮膜を形成できるのである。なお、前記研削
加工部以外の表面については、既にリン酸亜鉛皮膜が形
成されているので、噴霧処理によって過剰に溶解する心
配はない。しかも、噴霧処理では、被処理物に吹きつけ
られた処理液は、直ちに被処理物の表面から流れ落ちる
ので、単純フッ化物濃度が高くても、アルミニウムイオ
ンによる沈澱が皮膜に悪影響を与えることがない。
に被処理物の表面に付着した沈澱物が、噴霧処理によっ
て処理液とともに洗い流されるので、沈澱物の付着によ
る電着塗装性の低下の問題が解消できる。
場合は、アルミニウム系金属の研削加工部には良好な皮
膜が形成できたとしても、被処理物が、複雑な凹凸形状
や溝、穴等を有していると、これらの凹凸形状等の奥ま
では処理液を接触させることができず、被処理物の表面
全体に均一な皮膜を形成させることが難しい。しかし、
この発明のように、浸漬処理を組み合わせれば、浸漬処
理では、被処理物の凹凸形状に関係なく、全ての表面に
均一な皮膜が形成されることになる。
を、浸漬処理、アルミニウムイオンの沈澱除去処理、噴
霧処理、再び浸漬処理の順番に循環させて使用している
ので、処理液を効率良く利用することができ、浸漬処理
と噴霧処理で別々の処理液を用意しておく必要がない。
では、処理液として単純フッ化物濃度の条件設定が異な
るものを用いなければならないが、浸漬処理で使用した
処理液に対するアルミニウムイオンの沈澱除去処理にお
いて、アルミニウムイオンを沈澱化させるのに単純フッ
化物を加えているので、この単純フッ化物を加える量を
適当に調整することによって、浸漬処理に使用された第
1の処理液から、噴霧処理に用いる第2の処理液が簡単
に得られる。また、噴霧処理に第2の処理液を使用する
と、噴霧処理の過程で単純フッ化物濃度が低下するの
で、噴霧処理を終えた処理液を、そのまま浸漬処理に使
用すれば、浸漬処理用の第1の処理液になるのである。
処理液を用意しなくても、浸漬処理と噴霧処理の間に、
アルミニウムイオンの沈澱除去処理を行って処理液を循
環させるだけで、極めて簡単かつ確実に、浸漬処理およ
び噴霧処理の何れの段階でも、それぞれの要求に合った
第1および第2の処理液を供給できるのである。
が、この発明は下記実施例に限定されず、発明の範囲内
で自由に変更できる。
を示す。
漬可能な量で、第1の処理液20が貯えられる。被処理物
Wは、ハンガーコンベア機構30の昇降自在なハンガー34
に吊り下げられた状態で、浸漬処理槽10の処理液20に投
入され、浸漬処理槽10を徐々に移動するか、一定時間止
められるかして、浸漬処理を施された後、浸漬処理槽10
から引き上げられる。
プレー機構40が設けられており、ハンガー34に吊り下げ
られた被処理物Wにスプレー機構40で噴霧処理が施され
る。スプレー機構40の下方には、一端が前記浸漬処理槽
10につながる液受部42が設けられており、被処理物Wに
噴霧された処理液22は液受部42で受けられて浸漬処理槽
10に戻される。
程となる水洗工程部や乾燥工程部、電着塗装工程部等ま
でつづいて設けられており、浸漬処理および噴霧処理に
よるリン酸亜鉛皮膜処理を終えた被処理物Wは、順次後
工程へと送られる。
ンプ58が接続されている。配管12は沈澱化槽50につなが
っている。沈澱化槽50は、処理液20に単純フッ化物を加
えて、アルミニウムイオンを沈澱化させる装置である。
沈澱化槽50につづいて沈澱分離槽52が設けられており、
単純フッ化物を加えられた処理液20は沈澱分離槽52に送
られ、ここで処理液から沈澱物が濾過分離される。沈澱
物が除去された処理液は、つぎの還流化槽54に送られ
る。還流化槽54につづいてポンプ56が設けられており、
ポンプ56の吐出口にはスプレー機構40につながる配管44
が連結されている。上記した沈澱化槽50、沈澱分離槽5
2、還流化槽54およびポンプ56からなる機構で、処理液
からの沈澱除去処理および循環供給を行う。
行った。
HFが単純フッ化物に相当し、H2SiF6が錯フッ化物に相当
する。なお、全体の処理液容量は160lであった。
脂→(b)水洗→(c)表面調整→(d)化成(浸漬処
理+噴霧処理)→(e)水洗→(f)純水洗→(g)乾
燥→(h)塗装の各工程にしたがって処理し、塗装金属
板を得た。
リナーSD250」)の2重量%濃度水溶液に、40℃で2分
間浸漬した。このときの浴管理は、アルカリ度(ブロム
フェノールブルーを指示薬として、10mlの浴の中和に要
する0.1N−HClのml数で表す)を初期値に維持するよう
にした。補給用薬剤として、前記サーフクリーナーSD25
0を用いた。
行った。
5N−5」)の0.1重量%濃度水溶液に、室温で15秒間浸
漬した。浴管理は、上記サーフファイン5N−5を補給し
て、前記同様にアルカリ度を維持することにより行っ
た。
は、第1の処理液20を、被処理物Wを浸漬可能な量とし
て100l貯えた。被処理物Wは、ハンガー34の降下によ
り、浸漬処理槽10の処理液20に浸漬され、2分間の浸漬
処理を施された後、浸漬処理槽10の上方に引き上げられ
た。
40で、第2の処理液22を噴霧して、被処理物Wに30秒間
の噴霧処理を施した。噴霧処理に使用された処理液22は
液受部42から浸漬処理槽10に戻された。
つぎの水洗工程へと送られる。
澱化槽50(容量10l)に送られた。沈澱化槽50で必要量
の単純フッ化物が加えられ、アルミニウムイオンが沈澱
化させられた処理液20は、沈澱化槽52(容量40l)に送
られた。沈澱化槽52で沈澱が除去された処理液は、還流
化槽54(容量10l)に送られた後、ポンプ56を経て、配
管44からスプレー機構40に供給された。このスプレー機
構40に供給された処理液が、前記第2の処理液となっ
た。
理槽10内の浴管理は、処理液中の各イオン組成の濃度お
よび遊離酸度(ブロムフェノールブルーを指示薬とし
て、10mlの浴の中和に要する0.1N−NaOHのml数で表す)
を初期値に維持することにより行った。Zn、PO4、Mn、N
i、NO3および珪フッ化物の各イオン濃度を維持するため
に、それぞれに対応して亜鉛華、リン酸、硝酸マンガ
ン、炭酸ニッケル、硝酸および珪フッ酸を含有する補給
用濃厚処理剤Aと、NO2のイオン濃度を維持するため
に、亜硝酸ナトリウムを含有する補給用濃厚処理剤Bと
を、直接浸漬処理槽10内に添加した。また、沈澱化槽50
では、アルミニウムイオンを沈澱させるために、酸性フ
ッ化ナトリウムを含む補給用濃厚処理剤Cを添加した。
この補給用濃厚処理剤Cの添加量により、噴霧処理にお
ける第2の処理液22および浸漬処理槽10における第1の
処理液20の単純フッ化物濃度あるいは活性フッ素濃度が
調整され、所定の数値範囲に管理された。浸漬処理槽10
内の活性フッ素濃度を測定するために、ケイ素電極メー
ター(日本ペイント株式会社製「サーフプロガード101
N」)を用いた。
ップU−1000」を用い、常法にしたがってカチオン電着
塗装(膜厚3μm)を施し、その上に、日本ペイント株
式会社製のメラニンアルキッド系中上塗塗料を用い、常
法にしたがって中上塗塗装(膜厚30μmおよび40μm)
を施した。
方法でも、塗装金属板を作製した。
スプレー機構40および配管44がなく、ポンプ56からの配
管が、そのまま浸漬処理槽10につながっている点が異な
っている。そして、処理工程としては、化成工程におい
て、噴霧処理を行わず浸漬処理のみを行った以外は、前
記実施例と同様の工程を経て塗装金属板を得た。
処理液に対するアルミニウムイオンの除去処理装置がな
く、また、スプレー機構40を浸漬処理槽10とは別の位置
に設け、スプレー機構40で噴霧された処理液22は、回収
槽46に戻した後、ポンプ59および配管48を経てスプレー
機構40に循環供給されるようになっている点が異なって
いる。そして、処理工程としては、化成工程において、
浸漬処理槽10および回収槽46の処理液に対して、それぞ
れ補給用濃厚処理剤Cを添加して、第1の処理液20、第
2の処理液22としての濃度組成等を管理し、第2の処理
液22の単純フッ化物濃度を50mg/lにした以外は、実施例
と同様の工程を経て塗装金属板を得た。
工程における化成性および塗装工程における塗装性につ
いて、以下の基準で評価を行った。
む)であるか、全く皮膜が形成されなかった。
処理対象金属の何れに対しても化成性および塗装性が良
好であった。これに対し、噴霧処理を行わなかった比較
例1では、アルミニウム材の研削部に不均一なリン酸亜
鉛皮膜が形成され、他の部分に比較して塗膜耐食性が劣
化していた。また、処理物の表面にアルミニウム含有ス
ラッジが固着する傾向があり、電着塗膜のハダが不均一
になる問題も生じていた。また、噴霧処理における単純
フッ化物濃度が低過ぎる比較例2では、比較例1と同様
に、アルミニウム材の研削部に不均一なリン酸亜鉛皮膜
しか形成されなかった。
皮膜処理方法によれば、前記第1の処理液による浸漬処
理と、前記第2の処理液による噴霧処理とを順次組み合
わせて行うことによって、従来の処理方法では、どうし
ても対応できなかった、アルミニウム系金属表面の研削
加工部と、非研削加工部およびその他の金属表面とが混
在する被処理物に対して、研削加工部および被研削加工
部の何れについても、均一で良好なリン酸亜鉛皮膜を形
成することができる。
い、自動車ボディーその他の金属製品に対して、密着性
や耐食性に優れたリン酸亜鉛皮膜を形成できることにな
る。また、このようなリン酸亜鉛皮膜が形成された金属
表面に電着塗装を行う際の塗装性を良好にすることがで
きる。
理方法の実施例を示す処理装置全体の配置構造図、第2
図および第3図はそれぞれ別の比較例で用いた処理装置
全体の配置構造図である。 10…浸漬処理槽、20…第1の処理液、22…第2の処理
液、40…スプレー機構、50…沈澱化槽、52…沈澱分離
槽、54…還流化槽、56,58…ポンプ、W…被処理物
Claims (2)
- 【請求項1】金属表面をリン酸亜鉛皮膜処理液に接触さ
せて同金属表面にリン酸亜鉛皮膜を形成させる金属表面
のリン酸亜鉛皮膜処理方法において、金属表面を、ま
ず、錯フッ化物と単純フッ化物とを含有し、単純フッ化
物の濃度が、HF濃度に換算して200〜300mg/lであり、錯
フッ化物の濃度が、HF換算の単純フッ化物とのモル比で
〔錯フッ化物〕/〔単純フッ化物〕≧0.01である第1の
リン酸亜鉛皮膜処理液で浸漬処理し、ついで、単純フッ
化物濃度が、HF濃度に換算して500mg/l以下で、かつ、
前記第1のリン酸亜鉛皮膜処理液よりも単純フッ化物濃
度が高い第2のリン酸亜鉛皮膜処理液で噴霧処理するこ
とを特徴とする金属表面のリン酸亜鉛皮膜処理方法。 - 【請求項2】浸漬処理に使用された処理液を浸漬処理槽
の外に導き、この処理液に単純フッ化物を加え、生成さ
れたアルミニウムイオン沈澱物を除去した後、この処理
液を噴霧処理における第2の処理液として使用し、噴霧
処理で使用された処理液を、再び浸漬処理槽に還流させ
て第1の処理液として使用することを特徴とする請求項
1記載の金属表面のリン酸亜鉛皮膜処理方法。
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