JP5118275B2 - リン酸亜鉛処理剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、アルミニウム系表面を有する基材に対するリン酸亜鉛処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車ボディ、その他の自動車部品、建材、家具等各分野で金属素材が利用されている。金属は、空気中の酸素や硫黄酸化物、雨水、海水等による腐食を防ぐため、塗装前処理として、リン酸亜鉛処理が施される。これにより形成されたリン酸亜鉛皮膜は、下地である金属表面部の密着性に優れているとともに、その上に形成される塗膜との密着性(二次密着性)に優れている必要があり、腐食環境下でも充分な防錆力を持つことが要求される。特に、自動車ボディが、外板部の傷から塩水、乾湿気象条件変化を繰り返し受けるため、カサブタ状の錆(スキャブコロージョン)の防止性(耐スキャブ性)、より高度の耐温塩水性等が強く望まれている。
【0003】
近年、二種類以上の金属表面を有する金属素材に対してリン酸亜鉛処理を施す場合が増えてきている。例えば、自動車ボディには、塗装後の耐食性を更に向上させるために、鋼材の片面だけに亜鉛又は合金亜鉛メッキした素材が用いられる。かかる場合、鉄系表面と亜鉛系表面とを同時に有する金属表面に対して、リン酸亜鉛処理を施していた。
【0004】
更に、アルミニウム材と、鉄又は亜鉛材とを組み合わせた素材も、自動車や建材等の各分野で実用されている。このような素材に従来の鉄や亜鉛材用の酸性リン酸亜鉛処理液で処理を施すと、処理液中に溶出したアルミニウムイオンが蓄積され、その量がある程度高くなると、アルミニウム材、鉄材の順に化成不良を起こすという問題があった。
また、従来、アルミニウム材は、鉄材や亜鉛材に比べ良好な耐食性を有するため、その上に形成されるリン酸亜鉛皮膜量を特に規定するということはなかった。しかし、近年の防錆への要求の高まりにより、その表面にもある程度皮膜量を確保する必要が生じてきた。
【0005】
そこで、アルミニウム/鉄/亜鉛を同時に有する金属表面に対して同時に化成処理を施し、下地金属の種類に拘らず、カチオン電着塗装下地に適したリン酸亜鉛皮膜を形成する方法が、特開平3−191071号公報に提案されている。すなわち、リン酸亜鉛皮膜処理液が単純フッ化物をHF濃度に換算して200〜500mg/lの範囲で含み、かつ、単純フッ化物と錯フッ化物との割合が一定範囲内となるように濃度調整されるとともに、活性フッ素濃度がケイ素電極メータの指示値で15〜130μA/cmとなるように調整されるようになっており、このリン酸亜鉛皮膜処理液に金属表面を接触させて金属表面にリン酸亜鉛皮膜を形成する方法が開示されている。
【0006】
特開平3−267378号公報には、2.0≦Naイオン+Kイオン≦15.0(g/l)、1.0≦Mnイオン+Niイオン≦5.0(g/l)、1.6−0.02T≦Znイオン≦2.5−0.02T(g/l)、8.0T−1≦フリーFイオン≦20.0T−1(g/l)、但しT(処理液温度(℃))は20≦T≦60の条件を満足するリン酸塩水溶液を金属表面に接触させて皮膜化成させる金属表面のリン酸塩処理方法及び処理液が開示されている。
【0007】
特開平4−341574号公報には、金属表面をリン酸亜鉛処理液に接触させて該金属表面にリン酸亜鉛皮膜を形成させる金属表面のリン酸亜鉛処理方法であって、この処理液に含まれる錯フッ化物のヘキサフルオロケイ酸の酸基(SiF 2−)及び/又はテトラフルオロホウ酸の酸基(BF)に換算した濃度(単位:g/l)が、この処理液に含まれるアルミニウムイオン濃度(単位:g/l)との関係において一定の式を満足するように、錯フッ化物を添加することが開示されている。
【0008】
しかしながら、6000番系合金アルミニウム表面又は6000番系合金アルミニウムの研削加工表面に対し、上記金属表面のリン酸塩処理液で化成処理を行うと、5000番系合金アルミニウムの場合に比べ、皮膜量が少なく、皮膜の被覆性に劣るという問題がある。特に、研削表面は、研削溝の部位まで充分に被覆されない。その結果、耐糸錆性が低下する問題があった。
【0009】
この耐糸錆性を向上させるためには、アルミニウム材料そのものの改善と、化成皮膜の皮膜量、被覆性の増加といった二方向の解決策がある。
化成皮膜の被覆性の増加を目的とするものとして、特開平10−306382号公報には、亜鉛イオン0.1〜2.0g/l、ニッケルイオン0.1〜4.0g/l、マンガンイオン0.1〜3.0g/l、リン酸イオン5〜40g/l、硝酸イオン0.1〜15g/l、亜硝酸イオン0.01〜0.5g/l、並びに、フッ化物として、錯フッ化物をF換算で0.5〜1.0g/l、及び、単純フッ化物をF換算で0.3〜0.5g/l、鉄のキレート化合物をFe換算で0.005〜0.075g/l含むアルミニウム合金用リン酸亜鉛処理剤が開示されている。しかしながら、このリン酸亜鉛処理剤では、アルミニウム合金に対する仕上がりを重視すると、鉄系表面に化成ムラができる場合があるという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アルミニウム系表面、特に6000番系アルミニウム合金表面又はその研削加工表面を有する基材に対して、化成ムラが生じることがなく、耐糸錆性等の耐食性に優れた均一で緻密なリン酸亜鉛皮膜を形成させることができるリン酸亜鉛処理剤を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アルミニウム系表面を有する基材に対するリン酸亜鉛処理剤であって、亜鉛イオン0.1〜2g/l、ニッケルイオン0.1〜4g/l、マンガンイオン0.1〜3g/l、リン酸イオン5〜40g/l、硝酸イオン0.1〜15g/l、亜硝酸イオン0.01〜0.5g/l、並びに、フッ化物として、錯フッ化物をF換算で0.2〜0.4g/l、及び、単純フッ化物をF換算で0.3〜0.5g/l含むことを特徴とするリン酸亜鉛処理剤である。
以下、本発明を詳述する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のリン酸亜鉛処理剤は、亜鉛イオンを0.1〜2g/l含むものである。亜鉛イオン濃度は、より好ましくは0.3〜1.5g/lであり、上記亜鉛イオン濃度が0.1g/l未満の場合には、金属表面に均一なリン酸亜鉛皮膜が形成されず、スケが多く、一部ブルーカラー状の皮膜が形成されることがある。一方、亜鉛イオン濃度が2g/lを超える場合には、均一なリン酸亜鉛皮膜が形成されるが、アルカリに溶解しやすい皮膜になりやすく、特にカチオン電着時に晒されるアルカリ雰囲気によって皮膜が溶解しやすくなることがある。その結果、一般に耐温塩水性が低下し、特に鉄系表面の場合、耐スキャブ性(すなわち、カサブタ状の錆(スキャブコロージョン)の防止性)が劣化する等、所望の性能が得られないので、電着塗装、特にカチオン電着塗装下地には不適当である。
【0013】
本発明のリン酸亜鉛処理剤は、リン酸イオンを5〜40g/l含むものである。リン酸イオン濃度は、より好ましくは10〜30g/lであり、リン酸イオン濃度が5g/l未満の場合には、不均一皮膜を形成しやすく、また40g/lを超えても、効果の向上は期待できず、薬品の使用量が多くなって経済的に不利である。
【0014】
本発明のリン酸亜鉛処理剤は、マンガンイオンを0.1〜3g/l含むものである。マンガンイオン濃度は、より好ましくは0.6〜3g/lである。マンガンイオン濃度が0.1g/l未満の場合には、亜鉛系表面と塗膜との密着性及び耐温塩水性向上効果が不充分となる。一方、3g/lを超えると、量の増加に見合った効果が期待できず、経済的に不利である。
【0015】
本発明のリン酸亜鉛処理剤は、ニッケルイオンを0.1〜4g/l含むものである。ニッケルイオン濃度は、より好ましくは0.1〜2g/lであり、濃度が0.1g/l未満の場合には、耐食性の向上効果が不充分となり、4g/lを超えても耐食性の向上がそれ以上に期待できない。
【0016】
本発明のリン酸亜鉛処理剤は、硝酸イオンを0.1〜15g/l、及び、亜硝酸イオン0.01〜0.5g/lを含むものである。これらは、皮膜促進剤の一種である。上記硝酸イオンと亜硝酸イオンの濃度は、より好ましくは2〜10g/lと0.01〜0.4g/lである。この範囲の下限未満の場合には、皮膜のスケやムラが生じる。一方上記範囲の上限を超える場合には、鉄系表面にブルーカラー状の不均一な皮膜を形成し易くなるという不都合がある。
【0017】
本発明のリン酸亜鉛処理剤は、錯フッ化物をF換算で0.2〜0.4g/l含むものである。0.2g/l未満の場合には、アルミニウム系金属表面に均一なリン酸亜鉛皮膜が形成されず、塗装後の耐食性が劣化する、一方0.4g/lを超えると、錯フッ化物が多すぎるため鉄系表面がエッチングされ過ぎて、処理される基材のうち一部の鉄系表面においては、外観ムラが発生する。
【0018】
本発明のリン酸亜鉛処理剤は、単純フッ化物をF換算で0.3〜0.5g/l含むものである。0.3g/l未満の場合には、アルミニウム合金表面へのリン酸塩皮膜の形成が不充分になり、耐糸錆性が低下する。また、0.5g/lを超える場合には、Alのエッチング増加により、Al表面でAl、F、Naを主成分とする副生成物の生成が促進され、耐水二次密着性及び耐糸錆性が低下する。
【0019】
上記亜鉛イオンの供給源は、例えば酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硝酸亜鉛等である。また、ニッケルイオンの供給源は、例えば炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、リン酸ニッケル、水酸化ニッケル等である。また、マンガンイオンの供給源は、例えば炭酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、リン酸マンガン等である。リン酸イオンの供給源は、例えばリン酸、リン酸亜鉛、リン酸マンガン等である。硝酸イオンの供給源は、例えば硝酸、硝酸ソーダ、硝酸アンモニウム、硝酸亜鉛、硝酸マンガン、硝酸ニッケル等である。亜硝酸イオンの供給源は、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸亜鉛等である。
【0020】
また、フッ化物の1つである錯フッ化物としては、例えばSiF、BF等が挙げられ、SiFの供給源は、例えば珪フッ化水素酸、珪フッ化水素酸ニッケル、珪フッ化水素酸亜鉛、珪フッ化水素酸マンガン、珪フッ化水素酸鉄、珪フッ化水素酸マグネシウム、珪フッ化水素酸カルシウム等である。BFの供給源は、例えば硼フッ化水素酸、硼フッ化水素酸ニッケル、硼フッ化水素酸亜鉛、硼フッ化水素酸マンガン、硼フッ化水素酸鉄、硼フッ化水素酸マグネシウム、硼フッ化水素酸カルシウム等である。
【0021】
また、フッ化物の1つでありフリーフッ素イオンを供給する単純フッ化物としては、例えばフッ化水素酸、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム及び酸性フッ化カリウム、酸性フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム及び酸性フッ化アンモニウム等が挙げられる。化成処理中にアルミニウム合金から溶出したアルミニウムイオンは、処理液中のフリーFイオンと結び付き錯イオンを形成し、化成皮膜形成を促進させる。
【0022】
本発明のリン酸亜鉛処理剤は、更に、鉄のキレート化合物をFe換算で0.005〜0.075g/l、及び/又は、鉄イオンとキレート結合可能なキレート剤を0.025〜0.45g/l含有することが好ましい。上記範囲を下回ると、6000番系合金のアルミニウム表面に対する皮膜被覆性能が低下し、鉄イオンの効果(すなわち、金属表面上に、緻密で均一な被覆性の高いリン酸亜鉛皮膜を形成させること)ができない。一方、上記範囲を上回ると、皮膜量は減少し糸錆性が低下する。
【0023】
上記鉄のキレート化合物は、Fe換算で0.01〜0.02g/lであることが好ましい。鉄のキレート化合物としては、鉄イオンとキレート結合可能なキレート剤と鉄イオンの化合物及びその塩である。
【0024】
上記鉄のキレート化合物としては、例えばクエン酸鉄(III)アンモニウム、クエン酸鉄(III)カリウム、クエン酸鉄(III)n水和物、クエン酸鉄(II)アンモニウム、クエン酸鉄(II)カリウム、クエン酸鉄(II)n水和物、酒石酸鉄(III)アンモニウム、酒石酸鉄(III)カリウム、酒石酸鉄(III)n水和物、酒石酸鉄(II)アンモニウム、酒石酸鉄(II)カリウム、酒石酸鉄(II)n水和物、グルコン酸鉄(II)n水和物、コハク酸鉄(III)n水和物、リンゴ酸鉄(III)n水和物が挙げられ、nは0以上の整数である。
【0025】
鉄イオンが鋼板等の表面からの鉄溶出により供給される場合には、鉄イオンとキレート結合可能なキレート剤を処理液中に添加することにより、被処理物からの溶出鉄を処理液中に保持でき、金属に、緻密で均一な被覆性の高いリン酸亜鉛皮膜を形成させることができる。
上記キレート剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、EDTA、グルコン酸、コハク酸、タンニン酸及びリンゴ酸と、これらの化合物や誘導体が挙げられる。
【0026】
上記鉄のキレート化合物と鉄イオンとキレート結合可能なキレート剤とを併用する場合には、本発明のリン酸亜鉛処理剤中に鉄イオン濃度が0.005〜0.075g/lとなるように、添加することが好ましい。この場合、上記リン酸亜鉛処理剤中の鉄イオン濃度は、原子吸光法によって測定することができる。
【0027】
本発明のン酸亜鉛処理剤を用いた金属表面処理方法は、上記リン酸亜鉛処理剤を金属表面に接触させ、水洗・乾燥させる。また、上記金属表面処理剤のpHは、約2〜5であり、好ましくは3〜4である。この時、pHの調整は、NaOH、アンモニア水溶液、硝酸等により行う。本発明のリン酸亜鉛処理剤と金属基材との接触温度は、30〜50℃が好ましく、より好ましくは33〜37℃である。
【0028】
上記金属基材に対してスプレー処理の場合には、約1分間〜10分間、好ましくは1.5〜3分間である。浸漬法を用いる場合も同様である。その他、フローコート法、ロールコート法で接触させても良い。
上記のように、化成処理を施された金属基材は、水洗され、乾燥工程に入るが、乾燥温度は80〜120℃である。
【0029】
本発明のリン酸亜鉛処理剤は、アルミニウム系表面を有する基材に対して適用するものである。本発明のリン酸亜鉛処理剤で処理した場合に優れた効果を得ることができる点から、アルミニウム系表面と鉄系表面を両方とも有する基材に対して適用することが好ましく、また、上記アルミニウム系表面は、その一部又は全部が6000番系アルミニウム合金からなるものであることが好ましい。上記基材としては、自動車ボディ用の基材が好ましい。本発明において、アルミニウム系表面を有する基材とは、基材の表面の一部又は全部がアルミニウム及び/又はその合金からなるものを意味し、鉄系表面を有する基材とは、基材の表面の一部又は全部が鉄及び/又はその合金からなるものを意味する。
【0030】
本発明のリン酸亜鉛処理剤は、上記アルミニウム系表面、特に6000番系合金アルミニウム表面やそれらの研削加工表面に対しても、充分な皮膜量が得られ、皮膜の被覆性に優れ、研削表面であっても、研削溝の部位まで充分に被覆されるため、優れた耐糸錆性を有する皮膜を得ることができる。
更に、基材が鉄系表面をも有している場合には、アルミニウム系表面に対する仕上がり性を維持しつつ、化成ムラを生じず、防錆性に優れた皮膜を得ることができる。
【0031】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0032】
実施例及び比較例
(1)処理対象金属:
6000番系アルミニウム合金板:0.8Mg−0.95Si−0.1Cuの6000番系アルミニウム合金
SPC鋼板:G3141 SPCC−SD(日本テストパネル社製)
【0033】
(2)処理工程:
(a)脱脂→(b)水洗→(c)表面調整→(d)化成処理(ディップ処理)→(e)化成後乾き→(f)水洗→(g)純水洗→(h)水切り乾燥→(i)塗装の順に処理を行った。
【0034】
[各処理条件]
(a)脱脂:アルカリ脱脂処理剤(日本ペイント(株)社製、商品名「サーフクリーナーSD250」)のA剤:1.5wt%、B剤:0.9wt%水溶液を用い、43℃で2分間、処理対象金属を浸漬処理した。
(b)水洗:処理対象金属に室温で水道水を15秒間スプレーした。
(c)表面調整:表面調整剤(日本ペイント(株)社製、商品名「サーフファイン5N−10」建浴用)の0.1wt%水溶液を用い、室温で30秒間、処理対象金属を浸漬処理した。
【0035】
(d)化成処理:リン酸亜鉛処理剤を処理浴として処理対象金属を浸漬して化成処理を行った。処理浴は、亜鉛イオン1g/l、ニッケルイオン1g/l、マンガンイオン0.8g/l、リン酸イオン15g/l、硝酸イオン6g/l、亜硝酸イオン0.12g/lとなるように添加したものを用いた。更に、単純フッ化物としては、酸性フッ化ソーダをF換算で0.35g/lになるように添加し、鉄のキレート化合物としては、クエン酸鉄(III)アンモニウムをFe換算で0.015g/lになるように添加した。錯フッ化物としては、珪フッ化水素酸をF換算で表1に示す量になるように添加した。また、処理浴は、T.O(トーナー)値が2.5pt、T.A(全酸)値が22pt、F.A(遊離酸)値が0.5ptになるように、管理した。
表1に示す浴温度にて、2分間処理を行い、処理対象金属の全部を同じ処理浴に浸漬処理した。
【0036】
(e)化成後乾き:室温で30秒放置。
(f)水洗:処理対象金属に室温で水道水を15秒間スプレーした。
(g)純水洗:処理対象金属に室温でイオン交換水を15秒間スプレーした。
(h)乾燥:80℃で5分間、処理対象金属を乾燥させた。
【0037】
(i)塗装:処理対象金属にカチオン電着塗料(日本ペイント(株)社製、商品名「パワートップV50グレー」)をカチオン電着塗装により塗装し、温度170℃で25分間焼き付けした。焼付乾燥膜厚は30μmであった。更に電着塗装上に中塗り塗料(日本ペイント(株)社製、商品名「オルガP−5A N−2.0」)をスプレー塗装により塗装し、温度140℃で20分間焼き付けした。形成された中塗り塗膜は焼付乾燥膜厚は35μmであった。次いで中塗り塗膜の上に上塗り塗料(日本ペイント(株)社製、商品名「スーパーラックM−95H B YR−511P」)をスプレー塗装により塗装し、温度140℃で20分間焼き付けした。形成された上塗り塗膜は焼付乾燥膜厚は15μmであった。更に上塗り塗膜のクリヤー塗料(日本ペイント(株)社製、商品名「スーパーラックO−100−Z クリヤー」)をスプレー塗装により塗装し、温度140℃で20分間焼き付けした。形成された上塗り塗膜は焼付乾燥膜厚は35μmであった。
【0038】
得られた塗装板について、皮膜外観、皮膜重量、最大糸錆長さを調べ、結果を表1に示した。
(3)皮膜評価方法:
a)皮膜外観:6000番系アルミニウム合金板については、化成処理後にリン酸亜鉛皮膜の外観をSEMで観察して調べた。SPC鋼板については、目視により観察した。
【0039】
b)皮膜重量:皮膜重量は、6000番系アルミニウム合金板について、化成処理後にHNO30%水溶液にて常温1分間浸漬しリン酸亜鉛皮膜を溶解させ、その溶解前後の重量を測定して計算した。
尚、アルミニウム系表面では、皮膜重量が1.5〜3.5g/mであることが好ましい(より好ましくは2〜2.5g/m)。
【0040】
c)最大糸錆長さ:6000番系アルミニウム合金板について、4コート板の塗膜に鋭利なカッターを用いてクロスカット(カット長さ20cm)を入れ、JIS−Z2371に準じた塩水噴霧を24時間実施した後、温度40℃、相対湿度70〜75%の湿潤雰囲気下に、240時間放置することを1サイクルとし、4サイクル後のカット部からの最大腐食幅(カット部の片側)を測定した。3mm以内が良好である。
【0041】
【表1】
Figure 0005118275
【0042】
これらの結果から、本発明のリン酸亜鉛処理剤によれば、6000番系アルミニウム合金表面及びSPC鋼板の両方について、ムラが生じることなく、均一緻密で良好なリン酸塩皮膜が形成され、耐糸錆性も優れていた。
【0043】
【発明の効果】
本発明のリン酸亜鉛処理剤によれば、アルミニウム系表面を有する基材、特に6000番系アルミニウム合金表面と鉄系表面とをともに有する基材に対して、化成ムラが生じることがなく、耐糸錆性等の耐食性に優れた均一で緻密なリン酸亜鉛皮膜を形成させることができる。本発明のリン酸亜鉛処理剤は、自動車ボディに対して好適を用いることができる。

Claims (3)

  1. アルミニウム系表面及び鉄系表面を有する基材に対するリン酸亜鉛処理剤であって、亜鉛イオン0.1〜2g/l、ニッケルイオン0.1〜4g/l、マンガンイオン0.1〜3g/l、リン酸イオン5〜40g/l、硝酸イオン0.1〜15g/l、亜硝酸イオン0.01〜0.5g/l、並びに、フッ化物として、錯フッ化物をF換算で0.2〜0.4g/l、及び、単純フッ化物をF換算で0.3〜0.5g/l含み、
    更に、鉄のキレート化合物をFe換算で0.005〜0.075g/l、及び/又は、鉄イオンとキレート結合可能なキレート剤を0.025〜0.45g/l含有するリン酸亜鉛処理剤。
  2. アルミニウム系表面は、その一部又は全部が6000番系アルミニウム合金からなるものである請求項記載のリン酸亜鉛処理剤。
  3. 基材は、自動車ボディ用のものである請求項2に記載のリン酸亜鉛処理剤。
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