JP3442699B2 - 耐糸さび性に優れたアルミニウム合金材の洗浄方法 - Google Patents

耐糸さび性に優れたアルミニウム合金材の洗浄方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化成処理後塗装さ
れて用いられるアルミニウム合金材の洗浄方法であっ
て、耐糸さび (錆) 性に優れたアルミニウム合金材(以
下、アルミニウムを単にAlと言う)の洗浄方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】自動車、船舶あるいは車両などの輸送機
の外板や構造材あるいは部品用、また家電製品の構造材
あるいは部品用、更には屋根材などの建築、構造物の部
材用として、成形性に優れたAA乃至JIS5000 系や成形性
や焼付硬化性に優れたAA乃至JIS 6000系 (以下、単に50
00系乃至6000系と言う) のAl合金材が使用されている。
この中でも、特に、自動車のドアやフェンダーあるいは
ボンネットなどのパネル材或いはホイール等の自動車用
部材についても、前記材料特性やリサイクル性の点か
ら、圧延板材、押出材、鋳鍛材などの6000系Al合金材の
使用が検討されている。
【0003】6000系Al合金は、基本的にSi:0.2〜1.8%
(質量% 、以下同じ) 、Mg:0.2〜1.6%を含有するAl-Mg-S
i系Al合金である。そして、この6000系Al合金は、プレ
ス成形加工時には成形加工性を低耐力により確保すると
ともに、プレス成形後の焼付塗装時に時効硬化して耐力
が向上し、必要な強度を確保できる。また、スクラップ
をAl合金溶解原料として再利用する際に、比較的合金量
が少なく、元の6000系Al合金鋳塊を得やすい。したがっ
て、従来から輸送機用として使用されてきたMg量などの
合金量が多い5000系のAl合金に比して有利である。
【0004】このAl合金材の内、例えば板材を輸送機用
のパネルなどとして採用するためには、Al合金板を部材
形状にするための、深絞り、張出し、曲げ、伸びフラン
ジなどのプレス成形加工が施される。この際、深絞りや
張出し、或いは伸びフランジ成形においては、高い深絞
り性 (限界絞り比 LDRや限界絞り高さLDH0) や高い形状
凍結性を確保することが必要である。そして製品乃至部
材形状の複雑化に伴い、プレス成形加工条件は益々厳し
いものとなっている。
【0005】このため、従来から、6000系Al合金板の成
形性を向上させる手段として、6000系Al合金板の化学成
分組成を制御することが行われている。その代表例が、
Cuなどを添加して成形性を向上させることであり、特開
平6-2064号、特開平6-136478号、特開平8-109428号、特
開平9-209068号、特開平9-202933号公報等で多数提案さ
れている。また、板以外の押出材や鋳鍛材などでも、Cu
は強度や靱性を向上させる手段としても汎用されてい
る。
【0006】しかし、Cuを添加すると確かに成形性は向
上するものの、一方で、塗装後耐蝕性である耐糸さび性
が劣化する。例えば、Cuを0.05% 以上、より端的には0.
3%以上含有すると、Cuを含有しないもの(Cu が0.05% 未
満のもの) に比して、極端に耐糸さび性が劣化する。
【0007】これに対し、Al合金材の素材側からのリン
酸処理性および耐糸さび性の改善技術として、特開平6-
287672号公報では、Cuを0.01〜5%添加した6000系などの
Al合金板を、エッチングなどの処理により、表面にCuを
0.1 〜10% 析出 (濃縮) させ、析出したCuをリン酸塩処
理の際のカソード反応点として働かせて、リン酸塩処理
性を改善することが開示されている。また、軽金属学会
第93回秋期大会講演概要集(1997 年発行) にも、6000系
Al合金にCuを0.30、0.69% 含有させて、酸洗などにより
Al合金板表面にCuを0.98、3.98% 積極的に析出させて、
リン酸塩処理性を改善することが開示されている。
【0008】しかし、本発明者らの知見によれば、Al合
金材の表面にCuを濃縮させた場合、確かに、Al合金材の
リン酸塩処理性は改善されるものの、表面にCuを濃縮さ
せた6000系Al合金板の耐糸さび性の方は、逆に、極端に
低下してしまうという矛盾する現象が生じる。したがっ
て、Al合金材の表面にCuを濃縮させる前記従来技術は、
Cuを含む6000系Al合金材の耐糸さび性向上のためには、
却って逆効果となってしまう。このため、塗装後の糸さ
び発生に対する感受性が著しく高い、Cuを含む6000系Al
合金材の耐糸さび性を向上させる有効な技術は、今まで
に無かったのが実情である。
【0009】本発明者らは、この様な事情に鑑み、Cuを
含み耐糸さび性を改善したAl合金材を提供することを目
的として、Cuを含む6000系Al合金材表面について、Al酸
化皮膜最表層部から80Å程度の深さの表面部分の、Al酸
化皮膜やAl酸化皮膜下のAl合金材生地最表面部のCu含有
量が、Al合金材の耐糸さび性に大きく影響していること
を知見し、特願平11−219805号として特許出願した。
【0010】この出願は、Al合金材表面のCu含有量、特
に、Al酸化皮膜のCu含有量を含めた組成乃至性状を左右
するAl合金材の製造工程の内、Al合金材の洗浄工程に着
目したものである。通常、プレス成形用などの6000系Al
合金板を製造する際、冷間圧延などの塑性加工後の最終
の溶体化および焼入処理の後に、酸あるいはアルカリ、
更にはこれらを組み合わせた洗浄液による、Al合金材の
洗浄 (エッチング) が行われている。この洗浄工程は、
その前の工程である冷間圧延などの塑性加工や溶体化処
理によりAl合金材表面に付着している油や汚れを除去す
る、あるいは前記自動車などの輸送機製造ラインにおけ
るリン酸亜鉛などの化成処理性を阻害するMgO を含有す
る酸化皮膜を除去する目的で行われるものである。
【0011】しかし、この洗浄により、Al合金材表面の
酸化皮膜乃至Al合金板生地が強エッチングされると、残
留する酸化皮膜、或いはエッチング後の乾燥工程以降で
再生成する酸化皮膜中およびAl酸化皮膜下のAl合金材生
地最表面部には、Al合金材生地のCu量よりもCuが濃縮す
る現象が生じる。
【0012】そして、Al合金材の表面に濃縮したCuがリ
ン酸塩処理の際のカソード反応点として働き、リン酸塩
処理性は改善されるものの、Cuの濃縮によって、却っ
て、リン酸塩処理および塗装後も、Al合金材の表面にCu
が必然的に残留し、この表面のCuがAl合金材の耐糸さび
性を著しく劣化させる。
【0013】したがって、前記特願平11−219805号で
は、Al合金材表面の、特に酸化皮膜中のCu含有量を、Al
合金材生地のCu含有量以下とし、前記従来技術とは逆
に、少なくとも、酸化皮膜などのAl合金材の表面にCuを
析出乃至濃縮させないようにすることを骨子としてい
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】但し、この場合、どの
ようにして、Al合金材の表面にCuを析出乃至濃縮させな
いようにするかという手段が問題となる。前記特願平11
−219805号では、この目的を達成する手段として、既存
の洗浄方法を採ることを主としている。
【0015】即ち、硝酸、硫酸等の酸、カセイソーダ等
のアルカリ溶液、あるいは市販の洗剤等を適宜組み合わ
せた洗浄条件 (洗浄液の濃度、温度、洗浄時間等) を、
極力、酸化物皮膜やAl合金材をエッチングしない条件に
選択して行っている。このため、Al合金材表面に圧延油
などによる汚れの問題がなければ、無洗浄とすること
も、選択肢の一つとしている。
【0016】しかし、前記特願平11−219805号でも言う
通り、Al合金材表面へのCuの濃縮量は、既存のAl合金材
表面の全面的なエッチングによる洗浄に基づく限り、洗
浄条件だけでは一義的に決まらない部分もある。このた
め、既存の洗浄方法を採る限り、Al合金材表面へのCuの
濃縮の規制のためには、元のCu含有量や他の製造条件に
も注意する必要がある。
【0017】また、Al合金材表面に圧延油などによる汚
れの問題がなければ、無洗浄とすることも可能である
が、実際の圧延工程を考えた際には、表面の品質保証の
ためにも、洗浄は概ね不可避である。したがって、特願
平11−219805号の技術を工業的に実用化する場合、再現
性や経済的に実施することが難しい部分があった。
【0018】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、Cuを含むAl合金材の表面か
らCuを選択的に除去して、耐糸さび性を改善しうるとと
もに、圧延油などによる汚れも洗浄可能な、実用的な洗
浄方法を提供しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明Al合金材の要旨は、Cu (銅) を0.05% 以上含
み化成処理後塗装されて用いられるAl合金材表面を洗浄
する際、Cuと錯体を形成する化合物の水溶液 (以下、単
に洗浄液と言う) で洗浄することにより、Al合金材表面
に存在するCuを除去し、Al合金材表面のCu含有量をAl合
金材自体のCu含有量以下とすることである。
【0020】本発明者らは、Al合金材表面を、Cuと錯体
を形成する洗浄液により洗浄すれば、Al合金材表面の合
金元素の内、Cuが選択的乃至優先的に除去され、Al合金
材表面のCu含有量をAl合金材自体のCu含有量以下とする
ことができ、しかも、圧延油などによる汚れの洗浄性に
も優れることを知見した。
【0021】このCuと錯体を形成する化合物としては、
アンモニア等のアミン類および/ または炭酸塩から選択
され、洗浄液のpHが13以上であることが、実用的に、Al
合金材表面の汚れの洗浄およびCu含有量をAl合金材自体
のCu含有量以下とする上で好ましい (請求項2 に対応)
【0022】更に、Cuとの錯体形成を促進するために、
前記水溶液が、更に酸化剤を含むことが好ましい (請求
項3 に対応) 。
【0023】また、耐糸さび性を確実に改善するため
に、前記Al合金材表面から10Åまでの深さの表面部分に
おける、X 線光電子分光法により検出される、Cu含有量
を0at%とすることが好ましい (請求項4 に対応) 。
【0024】前記Al合金材は、Al合金の内でも、材料特
性やリサイクル性の点に優れた、Si:0.8〜1.3%、Mg:0.2
〜0.7%を含むAl-Mg-Si系Al合金材であることが好ましい
(請求項5 に対応) 。
【0025】本発明が適用される化成処理は、輸送機用
の化成処理として汎用されているリン酸塩処理であるこ
とが好ましく (請求項6 、9 に対応) 、前記リン酸塩処
理の前処理としてはコロイダルTiにより表面処理される
ことが好ましい (請求項7 に対応) 。
【0026】また、本発明が適用されるリン酸塩処理
は、糸さび性がより敏感となる、Al合金材が、鋼材とと
もに同一のラインでリン酸塩処理された後に塗装される
場合が好ましい (請求項8 に対応) 。
【0027】
【発明の実施の形態】(Cuと錯体を形成する化合物)本発
明で言う、Cuと錯体を形成する化合物とは、好ましく
は、Al合金材表面に合金元素として存在するCuと錯体を
形成しうる、アンモニア、メチルアミン、エチルアミ
ン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミ
ン、シクロヘキシルアミン、アンモニア(NH3) の水素原
子を炭化水素基R (脂肪族、芳香族)で置換したトリエ
タノールアミン、トリイソプロパノールアミン、EDTA(
エチレンジアミン四酢酸) などのアミン類、および、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムの金
属炭酸塩類のことを言う。
【0028】前記アミン類は、例えば、アンモニアでは
[Cu(NH3)4 (H2O)2]2+の化学式で示されるようなCuのア
ンモニア錯体を形成する。そして、このCuのアンモニア
錯体は、Cu原子の四周囲に4 つのNH3 が存在するととも
に、Cu原子の上下に2 つのH2O が存在するような立体配
置を有している。また、前記金属炭酸塩類は、いずれも
[Cu (CO3)2]2+の化学式で示されるCuの炭酸イオン錯体
を形成する。このCuの炭酸イオン錯体は、Cu原子の両側
に2 つのCO3 が存在するような立体配置を有している。
これら錯体は、水溶液中では比較的安定であるため、水
溶液 (洗浄液)中にAl合金材が引き続き浸漬されるよう
な場合でも、後述するように、これら錯体が、再度、Al
合金材表面に付着することがない。
【0029】これらのCuと錯体を形成する化合物の洗浄
液に加える量は、Cu除去効果と除去効果の飽和や経済性
の点から範囲が決められる。この添加範囲は、化合物の
種類などによって異なり、一概には言いにくいが、水溶
液 (洗浄液) に対し0.1 〜10% 程度の範囲とすることが
好ましい。
【0030】本発明の目的の一つである実用的な洗浄方
法として、Al合金材表面のCuの除去を行うためには、比
較的低温、短時間の反応により、Al合金材表面に存在す
るCuと錯体を形成する化合物が好ましく、同時に、これ
も比較的低温、短時間の反応により、Al合金材表面の圧
延油等の汚れの除去を行える化合物が好ましい。この
点、他にも、Cuと錯体を形成する化合物は存在するもの
の、前記実用性の点およびAl合金材表面の圧延油等の汚
れの同時除去という点からは、前記アミン類および金属
炭酸塩類が好適に選択される。
【0031】これらのアミン類および金属炭酸塩類は、
Al合金材表面に合金元素として存在するCuと選択的に反
応して、錯体を形成し、洗浄液中に銅の錯イオンとして
存在させる。この結果、Al合金材表面からCuと選択的に
除去するとともに、洗浄液中の銅の錯イオンは、再び、
Al合金材表面に再付着することがない。本発明におい
て、Al合金材表面に合金元素として存在するCuを錯体と
して除去するのは、錯体とすることによって、Cuを効率
的に除去するためであり、更に、一旦洗浄除去されたCu
が、再度、Al合金材表面に付着し、塗装後の耐食性に悪
影響を及ぼすことがないようにするためである。
【0032】前記特開平6-287672号公報等の、強エッチ
ングを行い、Al酸化皮膜およびAl合金材の溶解量を大き
くした場合、著しくCuは濃縮しやすくなる。前記特開平
6-287672号公報等でも、Al合金板のCu量が0.01〜5%であ
るのに対し、強エッチングにより、表面のCu量は0.1 〜
10% と数倍〜数十倍に濃縮析出している。
【0033】この傾向は、従来汎用されている、硝酸、
硫酸等の酸、カセイソーダ等のアルカリ溶液、あるいは
市販の洗剤等を適宜組み合わせた洗浄方法でも、同様に
生じる。これらの洗浄方法は、圧延油などによる汚れの
除去効果が高く、また、Al合金材表面に合金元素として
存在するCuの除去効果も高い。しかし、これらの洗浄方
法では、Al合金材表面から一旦は除去されて、前記洗浄
液中に存在する (活性化した)Cu が、Al合金材表面に再
び吸着 (再デポジット) する現象が生じる。したがっ
て、前記したAl合金材表面へのCuの濃縮が生じることと
なる。
【0034】(酸化剤)また、本発明洗浄方法において、
Al合金材表面に存在するCuの除去を、比較的低温、短時
間の反応により、実用的に行い得るものとするために
は、前記Cuと錯体を形成する化合物のCuとの錯体化反応
を促進させる条件を選択することが好ましい。そして、
このために、前記Cuと錯体を形成する化合物に加えて、
酸化剤を洗浄液 (水溶液) 中に加えることが好ましい。
この酸化剤としては、過酸化水素(H2O2)、過マンガン酸
カリウム (KMnO4)等が例示される。これらの酸化剤の量
は、酸化剤の種類や錯体形成化合物量などによって異な
るが、水溶液に対し、0.5〜10質量% 程度の範囲で添加
する。
【0035】(洗浄液のpH)更に、本発明洗浄方法を実用
的な洗浄方法とするために、洗浄液のpHは高い方が好ま
しい。好ましい洗浄液のpHは13以上であり、前記した錯
体形成剤や酸化剤を加えても、pHが13以上にならない場
合は、水酸化ナトリウム、NaAlO2等のアルカリ乃至pH調
節剤を添加して、洗浄液のpHを13以上とすることが好ま
しい。
【0036】(Al合金材表面のCu含有量)本発明では、Al
合金材表面のCu含有量について、Al合金材表面のCu含有
量をAl合金材自体のCu含有量以下とすることにより、耐
糸さび性等の塗装後の耐食性を向上させることができ
る。ただ、この耐糸さび性等の塗装後の耐食性を確実に
向上させるためには、Al合金材表面から10Åまでの深さ
の表面部分における、X 線光電子分光法により検出され
る、Cu含有量を0at%とすることが好ましい。これによっ
て、耐糸さび性に影響している、酸化皮膜中乃至Al生地
の最表面部 (酸化被膜とAl生地との界面部) に存在する
Cuが実質的に無くなり、Al合金材の耐糸さび性は更に向
上する。
【0037】本発明でいう、前記表面部分のCu含有量と
は、エスカ(Electron Spectroscopyfor Chemical Analy
sis) とも呼称されるX 線光電子分光法(XPS:X-ray Phot
oelectron Spectroscopy)分析により検出されるCuおよ
びCu量を言う。Al合金材表面の、特にAl酸化皮膜のよう
な薄膜中のCu量は、通常の材料の成分分析に使用される
カント分析 (発光分光分析) では不可能であり、本発明
では、固体表面分析に汎用される、X 線光電子分光法を
用いて、Al合金材の表層部のCu量(at%) を測定する。そ
して、より具体的には、このX 線光電子分光法により、
Al酸化皮膜最表層部から深さ (厚み) 方向に対し、例え
ば80Å (オングストローム) の深さまで、10Å毎の各ポ
イント (深さ位置) で検出されるCu量の平均を、この深
さ部分のCu含有量(at%) とする。また、前記Al合金材表
面から10Åまでの深さの表面部分における、Cu含有量を
0at%とする場合には、10Åの深さまで、5 Å毎の各ポイ
ント (深さ位置) で検出されるCu量の平均を、この深さ
部分のCu含有量(at%) とする。
【0038】なお、酸化皮膜中乃至Al生地の最表面部に
存在するCuが耐糸さび性に影響していることは疑いがな
いものの、このCuの存在形態および特に耐糸さびに影響
するCuの存在形態は、金属Cuであるのか、Cuの酸化物で
あるのか、必ずしも明確ではない。したがって、本発明
では、種々存在すると推考されるCuの存在形態によら
ず、前記X 線光電子分光法による計測される、Al合金材
の表層部のCu含有量を規定する。
【0039】そして、一方、これと比較すべき、Al合金
材の方のCu含有量は、本発明のAl合金材の主要成分量の
測定などに用いる、通常のカント分析によるものではな
く、Al合金材の表層部のCu量と同じく、前記X 線光電子
分光法により測定されるCu含有量(at%) とする。そし
て、その規準測定位置は、Al酸化皮膜最表層部から300
Åの深さのAl合金材の生地部分とする。この規準測定位
置は、300 Å以上の深さであれば、Al合金材の生地部分
となり、いずれの深さでも良いが、測定位置による多少
のばらつきを考慮して、本発明では300 Åとする。Al合
金材の方のCu含有量の測定もX 線光電子分光法によるも
のとしたのは、Al合金材の表層部のCu量とAl合金材の生
地のCu量との比較(Cu 量の濃縮度) を正確に行うため
に、両者の測定のベースを同じとするためである。ま
た、本発明のようなÅ単位の極薄膜でもある、酸化皮膜
や、これにつながるAl生地のCu量を求めるためには、通
常のAl合金成分量を求める前記カント分析 (質量%)で
は、測定が困難であることにもよる。
【0040】また、本発明において、Al合金材自体のCu
含有量を0.05%(質量%)以上としたのは、0.05% 以上の、
実質的にCuを含有しているAl合金材において、耐糸さび
性等の塗装後の耐食性が問題となり、Cu含有量が0.05%
未満のAl合金材では、Cuによる塗装後の耐食性低下が実
質的に問題とならないからである。
【0041】Al合金材の表面部分のCu含有量が、Al合金
材のCu含有量を越えて、濃縮して存在した場合、前記し
た通り、Al合金材の塗装後の糸さび発生の感受性が著し
く高くなり、耐糸さびが著しく低下する。中でも、特
に、人工時効処理後の高耐力化を狙い、Si量を1.0%程度
と高くするとともに、Siの粒界への析出の抑制のため、
連続熱処理炉にて溶体化処理および焼入れされる高Si系
の6000系Al合金材において、Cuを0.05% 以上含有した場
合、塗装後の糸さび発生の感受性が著しく高くなる。
【0042】(適用Al合金)次に、本発明Al合金材に適用
するAl合金を説明する。本発明Al合金材には、自動車、
船舶などの輸送機材や構造材あるいは部品用などの、具
体的な用途毎の特性を満足するために、Al合金材自体の
Cu含有量を0.05% 以上含む、AA乃至JIS 3000系、Al-Mg
系の6000系、Al-Mg-Si系の6000系、Al-Zn-Mg系の7000系
等のAl合金が適宜使用される。なお、Al合金材として
は、圧延による板材のみではなく、押出による形材、或
いは鍛造による鍛造材が適宜選択され、要はAl合金材の
形状や製造方法は限定されない。
【0043】この中でも、6000系Al合金は、特に自動車
のパネル材やフレーム材として、基本的に、耐力が120N
/mm2以上でプレス成形性や曲げ加工性に優れることや、
成形後の塗装焼付後に150N/mm2以上、好ましくは200N/m
m2以上の耐力となる人工時効硬化性、あるいは、合金元
素量が少なく、スクラップが元の合金用の溶解原料とし
て使用できるリサイクル性などの特性に優れている。
【0044】そして、6000系Al合金における、好ましい
化学成分組成としては、前記自動車のパネル材やフレー
ム材としての諸要求特性を満足するために、6000系Al合
金の成分規格 (AA 6101 、6111、6003、6151、6061、6N
01、6063など) に相当するものとして、基本的にSi:0.2
〜1.8%、Mg:0.2〜1.6%、Cu:0.05 〜1.5%を含有し、その
他、必要により、Zn:0.005〜1.0%、Ti:0.001〜0.1%、B:
1 〜300ppm、Be:0.1〜100ppmの一種または二種以上、M
n:1.0% 以下、Cr:0.3% 以下、Zr:0.15%以下、V:0.15%
以下の一種または二種以上を、選択的に合計で0.01〜1.
5%含み、残部Alおよび不可避的不純物からなるAl合金と
する。
【0045】しかし、本発明では成形性の向上のため
に、Cuの含有を必須とするため、このCuの含有量は必ず
しも各々のAA乃至JIS の成分規格内とはならない場合が
ある。また、基本となる成分のSi、Mg以外の元素は、AA
乃至JIS の各成分規格通りにならずとも、前記基本的な
特性を有してさえいれば、更なる特性の向上や他の特性
を付加するための、適宜成分組成の変更は許容される。
この点、用途および要求特性に応じて、Fe、Ni、Sc、Ag
などの他の元素を適宜含むことは許容される。更に、酸
素や水素等の不純物は、Al合金材の諸特性を劣化させな
い程度の含有は許容される。
【0046】(Al合金材の製法)本発明におけるAl合金材
自体は常法により製造が可能である。例えば、6000系Al
合金成分規格範囲内に溶解調整されたAl合金溶湯を、連
続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶
解鋳造法を適宜選択して鋳造する。次いで、このAl合金
鋳塊に均質化熱処理を施した後、熱間圧延および冷間圧
延 (必要により中間焼鈍) 、または押出、或いは鍛造な
どの塑性加工方法により、板材、型材、線棒材、鍛造材
など、所望のAl合金材の形状に塑性加工される。そし
て、塑性加工された圧延材あるいは押出材は、圧延ある
いは押出や鍛造ままか、必要によりT6処理 (溶体化処理
後焼入れ) 或いは時効処理、過時効処理などの調質処理
が行われ、前記した所望の機械的性質とされる。
【0047】但し、6000系Al合金板材のプレス成形性を
より向上させるとともに、プレス成形後の焼付塗装時の
時効硬化能をより向上させるためには、前記した通り、
Si量を0.8 〜1.3%として、Si量を高めることが好まし
い。しかし、Si量を高めた場合には、前記調質処理の
際、粒界へのSi析出による成形性の低下の問題が大きく
なる。このため、これを防止するためには、短時間で板
を加熱および急速に冷却することが必要で、この点、特
に最終的な溶体化処理および水焼入れ処理をバッチ式で
はなく、コイルから板を連続的に通板して熱処理するこ
とのできる連続熱処理炉にて行うことが好ましい。
【0048】更に、表面部分のCu含有量を制御したAl合
金材の、保管等によるAl酸化皮膜の経時変化 (酸化によ
る膜厚の増加) や組成変化(Mg 量の増加) を抑制するこ
とが、リン酸塩処理性の点から好ましい。そのための実
施態様として、表面に、更に亜鉛めっきを施すことが好
ましい。亜鉛めっき (純亜鉛や亜鉛合金めっきを含む)
を施せば、リン酸塩処理などの化成処理性をより優れた
ものとすることができる。但し、この亜鉛めっきを施す
場合には、リン酸塩処理などの化成処理後、亜鉛めっき
層が残留すると、却って耐糸さび性などの塗装後の耐蝕
性を劣化させる。したがって、リン酸塩処理などの化成
処理後に、Al合金材の表面に亜鉛めっき層が残留しない
量乃至厚さだけ亜鉛めっきを施すことが好ましい。
【0049】また、Al合金材表面に防錆油や潤滑油など
塗布することも、プレス成形などの成形性向上のために
も好ましい。言い換えると、単に無処理のAl合金材だけ
ではなく、このような新たな特性向上のための表面処理
が本発明では許容される。そして、以上のAl合金材製造
上の対策を行うことにより、このAl合金材を使用する側
における長期の保管も可能になる利点もある。
【0050】なお、Al合金材表面へのCuの濃縮により、
耐糸さび性が劣化する問題は、前処理としてコロイダル
Tiにより表面処理されるリン酸亜鉛処理などのリン酸塩
処理だけではなく、他の燐酸- クロム酸塩処理、クロム
酸塩処理やジルコニウムやチタンを含む非クロム酸塩処
理、或いはAlの水和酸化物系皮膜を設ける処理等の、塗
装下地としての化成処理が施された上で塗装される場合
でも同様に生じる。したがって、本発明で言う化成処理
とは、塗装下地処理として汎用されているこれら化成処
理も含む。
【0051】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。表1 に示
すA 〜C の組成のAl合金の鋳塊をDC鋳造法により溶製
後、470 ℃×8 時間の範囲で均質化熱処理を施し、厚さ
3.5mm まで熱間圧延した。次に厚さ1.0mm まで冷間圧延
し、連続熱処理炉において、560 ℃で数秒溶体化処理し
た後、水冷による焼入れ処理を行って、Al合金板を作成
した。
【0052】更に、表1 に示すD 、E の組成のAl合金鋳
塊をDC鋳造法により150mmvφビレットを溶製後、470 ℃
×8 時間の範囲で均質化熱処理を施し、押出温度500
℃、押出速度10m/分で厚さ2mm 、幅100mm の平板材を押
出した。この際、押出直後に、プラテン内で押出材の周
囲と長手方向に水スプレーを延在させ、強制的に水冷し
た。そして、バッチ式熱処理炉において、560 ℃で数十
分溶体化処理した後、水冷による焼入れ処理を行ってAl
合金形材を作成した。
【0053】これら溶体化処理および焼入れ処理後のAl
合金板および形材を、各発明例は、表 2に示すCu錯体形
成剤、酸化剤、その他pH調整剤を含む組成の洗浄液によ
り洗浄した。発明例において、Cu錯体形成剤として、発
明例No.1〜4 はアンモニア、発明例No.5、6 はトリエタ
ノールアミン、発明例No.7はジプロパノールアミン、発
明例No.8、9 は炭酸ナトリウム、発明例No.10 は炭酸水
素カリウムを用いた。なお、洗浄条件は、各発明例と
も、洗浄液の温度を50℃、洗浄時間を3 分としたが、発
明例 6、10のふたつは洗浄時間のみを10分と変えて行っ
た。
【0054】因みに、洗浄後の洗浄液を化学分析した結
果、洗浄液中に、各々のCu錯体( 錯イオン) が形成され
ているのを確認した。
【0055】比較のために、表 2に示す通り、表1 のA
〜D のAl合金板を用い (発明例とAl合金板は同じとし
て) 、50℃の5%水酸化ナトリウム水溶液により3 分間エ
ッチングを伴う洗浄を行った比較例No.11 、12、13、14
の供試材を準備した。
【0056】これら洗浄後の供試材表面のAl酸化皮膜の
膜厚を前記XPS により測定した。また、Al酸化皮膜最表
層部から80Åの深さの表面部分の主要元素量、即ち、Cu
含有量を、前記XPS により、深さ方向に10Å毎の各ポイ
ントで検出される元素量(at%) を測定し、これの平均値
とした。なお元素量の測定際、C(カーボン) が誤差因子
となるので、測定の際には、このC 量を除いて (補正し
て) 測定した。更にAl合金材の生地の元素含有量は、前
記XPS により、Al酸化皮膜最表層部から300 Åの深さ部
分の元素含有量(at%) を測定した。なお、酸化皮膜が厚
い (μm オーダー) 発明例No.6、10は1000倍のSEM によ
る断面観察にて酸化皮膜膜厚を測定した。これらの結果
を表3 に示す。
【0057】また、洗浄後の供試材表面の圧延油の残存
率を、洗浄前の供試材表面の圧延油量と洗浄後の供試材
表面の圧延油量を、前記XPS による測定を用い、供試材
最表面のカーボン量として測定し、両者の比から圧延油
の残存率(%) を算出した。これらの結果を表3 に示す。
【0058】次に、これら洗浄後の供試材をそのまま
(発明例No.2のみはジンケート処理により亜鉛めっきを1
g/m2 表面に付着させ、1 ケ月放置後) 、リン酸チタン
のコロイド分散液による処理を行い、次いでフリーフッ
素を150ppmの低濃度含むリン酸亜鉛浴に浸漬してリン酸
亜鉛処理を行い、各々の供試材へのリン酸亜鉛の被覆率
を測定した。リン酸亜鉛の被覆率の測定は、1000倍のSE
M 観察により、各々の供試材表面の単位面積 (0.04mm2)
当たりの、リン酸亜鉛が被覆された供試材表面面積率を
求めて行った。これらの結果を表3 に示す。
【0059】そして、更にこのリン酸亜鉛皮膜を設けた
供試材に、カチオン電着塗装およびスプレー塗装により
2 コート2 ベークの塗装皮膜を設け、これら塗膜を設け
た供試材に対し、耐糸さび性評価試験を行った。これら
の結果を表3 に示す。なお、2 コート2 ベークの塗装皮
膜は、中塗り塗装として、30μm 厚さのポリエステルメ
ラミン系塗装皮膜を設けて、140 ℃×20分の焼き付けを
行い、更に上塗り塗装として、30μm 厚さのポリエステ
ルメラミン系塗装皮膜を設けて、180 ℃×20分の焼き付
けを行った。
【0060】因みに、表2 の発明例の溶体化処理後に水
量を大として水冷で焼入れ処理したAl板および前記押出
後直ちに水量を大として水冷した形材は、いずれも、こ
れらの塗装焼付後に200N/mm2以上の耐力を有していた。
【0061】また、塗装試験片の耐糸さび性評価試験の
結果を表3 に示す。耐糸さび性評価のための試験条件
は、各塗装試験片に一片が7cm のクロスカットを施した
後、35℃の3%HCl 水溶液に2 分間浸漬した後、40℃、85
RHの恒温恒湿の雰囲気に1500時間放置し、その後発生し
た糸さびの最大長さL(クロスカットより垂直方向の距
離) を測定した。この際、比較のために、各発明例、比
較例の無洗浄材の塗装試験片も準備し、同様に耐糸さび
性の評価試験を行った。そして、各発明例、比較例の塗
装試験片に発生した糸さび長さを、各々の比較塗装試験
片 (無洗浄材) に発生した糸さび長さと比較して、耐糸
さび性の評価を行った。より具体的には、各比較塗装試
験片に発生した糸さびの最大長さL0と、各発明例、比較
例の糸さびの最大長さL とを比較し、○:L/L0 ≦1.0 、
×:L/L0 >1.0 と評価した。したがって、表3 における
耐糸さび性評価は、表1 に示した各合金(A〜E)内での、
同じ合金同士の比較で行われるべきであり、合金例が違
いCu含有量が異なる場合同士の単純な比較はできない。
【0062】表3 から明らかな通り、本発明洗浄方法に
より、発明例No.1〜10では、Al合金材の表面の(Al 酸化
皮膜最表層部から80Å程度の深さの)Cu 含有量は、Al合
金材生地の(300Åの深さ部分の)Cu 含有量以下となって
いる。このため、表3 から明らかな通り、この要件から
外れる比較例No.11 〜14に比して、即ち、表1 のA のAl
合金の場合は発明例No.1、6 〜10と比較例No.11 との比
較において、表1 のBのAl合金の場合は発明例No.2と比
較例No.12 との比較において、表1 のC のAl合金の場合
は発明例No.5と比較例No.13 との比較において、表1 の
D のAl合金の場合は発明例No.3と比較例No.14 との比較
において、表1 のE のAl合金の場合は発明例No.4と比較
例No.15 との比較において、リン酸亜鉛の被覆率は却っ
て少ないものの、耐糸さび性が向上している。これは、
各比較例が、Cuの表面濃縮により、リン酸亜鉛の被覆率
は向上しているものの、逆にCuの表面濃縮により、塗装
Al合金材の耐糸さび性が低下していることを裏付けてい
る。
【0063】また、pH調節剤を添加して、pHを13以上と
した発明例No.9は、Al合金材の表面のCu含有量が、同じ
Al合金を用いたNo.1、7 、8 の発明例に比して、少なく
なっており、洗浄液のpHを13以上とする好ましい条件の
意義が分かる。この結果は、pHを13以上とした発明例N
o.3でも同様である。更に、洗浄液の処理時間を10分と
長くした発明例No.6、10は、Al合金材の表面のCu含有量
がゼロ(0at%)となっている。
【0064】そして、本発明洗浄方法により、発明例N
o.1〜10のAl合金材は、比較例と同様に、圧延油の残存
率も低くなっており、本発明洗浄方法が圧延油などの汚
れの除去効果もあることが分かる。
【0065】これらの結果から、本発明洗浄方法の意義
が裏付けられる。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、Cuを含むAl合金材の表
面からCuを選択的に除去して、耐糸さび性を改善しうる
とともに、圧延油などによる汚れも洗浄可能な、実用的
な洗浄方法を提供することができる。したがって、Al合
金板の自動車、車両、船舶などの輸送機材用への用途の
拡大を図ることができる点で、多大な工業的な価値を有
するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−111532(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 1/22 C23C 22/78

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cuを0.05% 以上含み化成処理後塗装され
    て用いられるアルミニウム合金材表面を洗浄する際、Cu
    と錯体を形成する化合物の水溶液で洗浄することによ
    り、アルミニウム合金材表面に存在するCuを除去し、ア
    ルミニウム合金材表面のCu含有量をアルミニウム合金材
    自体のCu含有量以下とすることを特徴とする耐糸さび性
    に優れたアルミニウム合金材の洗浄方法。
  2. 【請求項2】 前記Cuと錯体を形成する化合物が、アミ
    ン類および/ または炭酸塩から選択され、水溶液のpHが
    13以上である請求項1に記載の耐糸さび性に優れたアル
    ミニウム合金材の洗浄方法。
  3. 【請求項3】 前記水溶液が、更に酸化剤を含む請求項
    1または2に記載の耐糸さび性に優れたアルミニウム合
    金材の洗浄方法。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム合金材表面から10Åま
    での深さの表面部分における、X 線光電子分光法により
    検出される、Cu含有量を0at%とする請求項1乃至3のい
    ずれか1項に記載の耐糸さび性に優れたアルミニウム合
    金材の洗浄方法。
  5. 【請求項5】 前記アルミニウム合金材が、Si:0.8〜1.
    3%、Mg:0.2〜0.7%を含むAl-Mg-Si系アルミニウム合金で
    ある請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耐糸さび性
    に優れたアルミニウム合金材の洗浄方法。
  6. 【請求項6】 前記化成処理がリン酸塩処理である請求
    項1に記載の耐糸さび性に優れたアルミニウム合金材の
    洗浄方法。
  7. 【請求項7】 前記リン酸塩処理の前処理としてコロイ
    ダルTiにより表面処理されるものである請求項6に記載
    の耐糸さび性に優れたアルミニウム合金材の洗浄方法。
  8. 【請求項8】 前記アルミニウム合金材が、鋼材ととも
    に同一のラインでリン酸塩処理された後に塗装される請
    求項6または7に記載の耐糸さび性に優れたアルミニウ
    ム合金材の洗浄方法。
  9. 【請求項9】 前記アルミニウム合金材が輸送機用であ
    る請求項1乃至9の何れか1項に記載の耐糸さび性に優
    れたアルミニウム合金材の洗浄方法。
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