JP7351381B2 - 防湿フィルムと木質基材との積層体 - Google Patents
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Description
本発明は、反りや曳き曲がりが抑制された床用化粧材に関する。
従来、家屋の床用化粧材として用いられる木質系化粧板としては、良質な原木から得られる木質基材(例えば、広葉樹のラワン合板)の上面に接着剤を介して、天然木の意匠を有する化粧シートを貼着したものが知られている。
木質基材としては、上記広葉樹のラワンが多用されているが、近年、天然資源の窮乏、木材伐採制限等により原木が入手し難く、材料不足が進んでいる。この問題は、特にラワン等の広葉樹にとって深刻である。そのため、ラワン合板に代えて使用できる木質基材の開発が進められている。ラワン代替材料としては、例えば、針葉樹合板、木質系廃材から分離した木質繊維又は木質片を接着剤により成形・固化してなる木質板(例えば、中密度木質繊維板:MDF、高密度木質繊維板:HDF、パーティクルボード:PB)、早成樹からなる早成樹合板がある。
しかしながら、これらのラワン代替材料は、ラワン合板と比べて1%含水率変化当たりの寸法変化量が大きく、周囲環境の変化に応じて寸法変化し易いという問題がある。具体的には、ラワン合板の1%含水率当たりの寸法変化量は0.015~0.02%であるが、MDFやPBでは0.045%程度、針葉樹合板(例えば、ラジアータパイン)では0.025%程度である。そのため、ラワン代替材料は、湿度変化によって反りや曳き曲がり(床面の直角がずれる)が発生し易い特性がある。
上記問題を改善するために、ラワン代替材料の裏面に防湿シートを積層することが提案されている(例えば、特許文献1~3)。しかしながら、特許文献1~3に記載の防湿シートは透湿度がせいぜい20g/m2・24時間程度であり、ラワン代替材料の反りや曳き曲がりを防止するには性能が不十分である。特に近年では、ラワン代替材料のおもて面に透湿度が低い(2g/m2・24時間以下)化粧シートを積層する場合が多いため、裏面の透湿度をおもて面と同等又はより透湿度を下げることが求められている。
以上より、木質基材として1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きいラワン代替材料を使用し、そのおもて面に透湿性の低い化粧シートを積層した場合でも、反りや曳き曲がりの発生が抑制された床用化粧材の開発が望まれている。
本発明は、木質基材として1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きいラワン代替材料を使用し、そのおもて面に透湿性の低い化粧シートを積層した場合でも、反りや曳き曲がりの発生が抑制された床用化粧材を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の防湿フィルムを用いる場合には上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の防湿フィルムと木質基材との積層体に関する。
1.おもて面から裏面にかけて、化粧シートと、木質基材と、防湿フィルムとを具備する積層構成を備える床用化粧材に用いる前記防湿フィルムと前記木質基材との積層体Aであって、
(1)前記防湿フィルムは、
透湿度が1g/m2・24時間以下であり、
熱可塑性樹脂フィルムの片面に2液硬化型ウレタン系樹脂からなるプライマー層と、アルミニウム蒸着層と、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する表面コート層とを当該順に備えている積層体Bであり、
(2)前記木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きく、且つ平均含水率が6~10重量%である、
ことを特徴とする防湿フィルムと木質基材との積層体A。
2.前記積層体Bは、片面又は両面に、ウレタン樹脂を含有する主剤とイソシアネートを含有する硬化剤とを含む2液硬化型樹脂からなる接着用プライマー層を更に備える、上記項1に記載の防湿フィルムと木質基材との積層体A。
3.前記主剤は、前記ウレタン樹脂と硝化綿系樹脂との混合物である、上記項2に記載の防湿フィルムと木質基材との積層体A。
1.おもて面から裏面にかけて、化粧シートと、木質基材と、防湿フィルムとを具備する積層構成を備える床用化粧材に用いる前記防湿フィルムと前記木質基材との積層体Aであって、
(1)前記防湿フィルムは、
透湿度が1g/m2・24時間以下であり、
熱可塑性樹脂フィルムの片面に2液硬化型ウレタン系樹脂からなるプライマー層と、アルミニウム蒸着層と、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する表面コート層とを当該順に備えている積層体Bであり、
(2)前記木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きく、且つ平均含水率が6~10重量%である、
ことを特徴とする防湿フィルムと木質基材との積層体A。
2.前記積層体Bは、片面又は両面に、ウレタン樹脂を含有する主剤とイソシアネートを含有する硬化剤とを含む2液硬化型樹脂からなる接着用プライマー層を更に備える、上記項1に記載の防湿フィルムと木質基材との積層体A。
3.前記主剤は、前記ウレタン樹脂と硝化綿系樹脂との混合物である、上記項2に記載の防湿フィルムと木質基材との積層体A。
以下、本発明の床用化粧材について詳細に説明する。
本発明の床用化粧材は、木質基材のおもて面に化粧シートが積層されており、前記木質基材の裏面に防湿フィルムが積層されている床用化粧材であって、
(1)前記木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きく、(2)前記防湿フィルムは、透湿度が7g/m2・24時間以下であることを特徴とする。なお、透湿度は、JIS Z0208(透湿度試験方法(カップ法))に準じて温度40℃、湿度90%RH環境下での測定値である。以下、本明細書における透湿度は当該条件における測定値を示す。
(1)前記木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きく、(2)前記防湿フィルムは、透湿度が7g/m2・24時間以下であることを特徴とする。なお、透湿度は、JIS Z0208(透湿度試験方法(カップ法))に準じて温度40℃、湿度90%RH環境下での測定値である。以下、本明細書における透湿度は当該条件における測定値を示す。
上記特徴を有する本発明の床用化粧材は、透湿度が7g/m2・24時間以下である防湿フィルムを有することにより、木質基材裏面の透湿性が低く抑えられている。そのため、木質基材として1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きいラワン代替材料を用いてそのおもて面に透湿性の低い化粧シートを積層した場合でも、木質基材のおもて面と裏面の透湿性を同程度に設定することができるため、床用化粧材の反りや引き曲がりの発生が十分に抑制されている。このような本発明の床用化粧材は、各種建築物の床面に施工する床用化粧材及び特殊用途として床暖房用途に用いる床用化粧材として適している。
以下、本発明の床用化粧材の各構成について説明する。
(木質基材)
本発明の木質基材としては、ラワン代替材料を用いる。つまり、従来のラワン合板等に置き換わる材料であって、例えば、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)、パーティクルボード(PB)、針葉樹合板、早成樹合板等の少なくとも1種を用いる。早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。これらのラワン代替材料は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きい。
(木質基材)
本発明の木質基材としては、ラワン代替材料を用いる。つまり、従来のラワン合板等に置き換わる材料であって、例えば、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)、パーティクルボード(PB)、針葉樹合板、早成樹合板等の少なくとも1種を用いる。早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。これらのラワン代替材料は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きい。
なお、本明細書における「1%含水率当たりの寸法変化量」は、次の手順により測定される寸法変化量である。
(1)300mm×303mmにカットした木質基材の試験片を用意する。
(2)常温(25℃)環境下、試験片の現在の寸法(四辺の長さ)をノギスで測定する。(3)試験片を40℃オーブン(湿度フリー、dry雰囲気≒0%)に1週間放置する。
(4)1週間後、試験片の重量と寸法(四辺の長さ)を測定する。
(5)両条件の測定データから1%含水率変化当たりの寸法変化率を測定する。
(1)300mm×303mmにカットした木質基材の試験片を用意する。
(2)常温(25℃)環境下、試験片の現在の寸法(四辺の長さ)をノギスで測定する。(3)試験片を40℃オーブン(湿度フリー、dry雰囲気≒0%)に1週間放置する。
(4)1週間後、試験片の重量と寸法(四辺の長さ)を測定する。
(5)両条件の測定データから1%含水率変化当たりの寸法変化率を測定する。
木質基材の厚みは特に限定的ではないが、2~15mm程度が好ましく、2~12mm程度がより好ましい。
本発明では、床用化粧材を施工場所に応じてカットして用いる場合に備えて、木質基材として、平均含水率が6~10重量%であり、且つ中央部の含水率が周辺部の含水率と比較して-1%~+2%の範囲である木質基材を用いることが好ましい。木質基材のサイズが、例えば、縦150mm×横1840mm程度(特に短辺の長さが200mm以下)となる場合は、木質基材の中央部と周辺部の含水率の偏りによって反りや曳き曲がりが生じ易くなる。よって、木質基材の含水率特性を上記条件に設定することにより、床用化粧材をカットして用いる場合でも反りや曳き曲がりの発生を抑制することができる。なお、床用化粧材をカットして用いる場合としては、具体的には、床用化粧材を施工する部屋の隅部分(壁際又は柱の周辺)に施工する場合が想定される。
木質基材の平均含水率は、6~10重量%が好ましく、6.5~8重量%がより好ましい。平均含水率が上記範囲内であれば、カット後の曳き曲がりや反りの発生を抑制し易い。その中でも、床用化粧材を床暖房用途に用いる場合には、平均含水率を6~9重量%に設定することが好ましい。
木質基材の含水率は、中央部の含水率が周辺部の含水率と比較して-1%~+2%の範囲であることが好ましく、-0.5%~+1%の範囲であることがより好ましい。なお、木質基材の周辺部とは木質基材の周囲5cmの範囲を意味し、木質基材の中央部とは前記周辺部を除いた木質基材の内部を意味する。
なお、本明細書における木質基材の平均含水率及び含水率差(以下、「含水率差」は、木質基材の周辺部と中央部の含水率差を示す。)は次の手順で測定される値である。
(A)図3に示す通り、縦303mm×横1818mmの木質基材を用意する。
(B)木質基材の周辺から5cmの範囲を周辺部とし、それよりも内側を中央部とする。図3に1~35で示されるように均等に5cm×5cmのサンプルを35個採取し、全乾法により含水率を測定する。全乾法とは、各サンプルを105℃のオーブンに3日間放置した後、下記算出式から各サンプルの含水率を測定する方法である。放置前を処理前、放置後を処理後と言う。
(A)図3に示す通り、縦303mm×横1818mmの木質基材を用意する。
(B)木質基材の周辺から5cmの範囲を周辺部とし、それよりも内側を中央部とする。図3に1~35で示されるように均等に5cm×5cmのサンプルを35個採取し、全乾法により含水率を測定する。全乾法とは、各サンプルを105℃のオーブンに3日間放置した後、下記算出式から各サンプルの含水率を測定する方法である。放置前を処理前、放置後を処理後と言う。
含水率(%)={(処理前重量-処理後重量)/処理後重量}×100
(C)35個のサンプルの平均値を「平均含水率」とする。
(D)中央部のサンプル(15個)の平均値から周辺部のサンプル(20個)の平均値を引いた値を「含水率差」とする。
(化粧シート)
木質基材のおもて面には化粧シートが積層されている。化粧シートとしては温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m2・24時間以下のものが好ましく、5g/m2・24時間以下のものが更に好ましい。化粧シートの構造は限定的ではないが、例えば、基材シート上に絵柄層(ベタインキ層・柄インキ層)、透明性樹脂層及び表面保護層を順に有するものが好ましい。以下、この化粧シートを例示的に説明する。
(C)35個のサンプルの平均値を「平均含水率」とする。
(D)中央部のサンプル(15個)の平均値から周辺部のサンプル(20個)の平均値を引いた値を「含水率差」とする。
(化粧シート)
木質基材のおもて面には化粧シートが積層されている。化粧シートとしては温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m2・24時間以下のものが好ましく、5g/m2・24時間以下のものが更に好ましい。化粧シートの構造は限定的ではないが、例えば、基材シート上に絵柄層(ベタインキ層・柄インキ層)、透明性樹脂層及び表面保護層を順に有するものが好ましい。以下、この化粧シートを例示的に説明する。
基材シートとしては、1)薄紙,上質紙,クラフト紙,和紙,チタン紙,樹脂含浸紙,紙間強化紙等の紙、2)木質繊維,ガラス繊維,石綿,ポリエステル繊維,ビニロン繊維,レーヨン繊維等からなる織布又は不織布、3)ポリオレフィン,ポリエステル,ポリアクリル,ポリアミド,ポリウレタン,ポリスチレン等の合成樹脂製シート、の1種又は2種以上の積層体が挙げられる。
基材シートの厚さは、20~300μm程度が好ましい。基材シートは、必要に応じて着色されていてもよい。また、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
絵柄層は、柄インキ層及び/又はベタインキ層から構成される。絵柄層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法により形成できる。柄インキ層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様等が挙げられる。ベタインキ層は、着色インキのベタ印刷により得られる。絵柄層は、柄インキ層及びベタインキ層の片方又は両方から構成される。
絵柄層に用いるインキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種又は2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものが使用できる。この中でも、環境問題、被印刷面との密着性等の観点より、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種又は2種以上の混合物が好ましい。
透明性樹脂層は、透明性の樹脂層であれば特に限定されず、例えば、透明性の熱可塑性樹脂により好適に形成できる。
具体的には、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
透明性樹脂層は、着色されていてもよい。この場合は、熱可塑性樹脂に着色剤を添加すればよい。着色剤としては、絵柄層で用いる顔料又は染料が使用できる。
透明性樹脂層には、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)等の各種の添加剤を含めてもよい。
表面保護層(透明性表面保護層)は、化粧シートに要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられる。この表面保護層を形成する樹脂としては、熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂が好ましい。特に、電離放射線硬化型樹脂は高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。溶液の塗布量としては、固形分で概ね5~30μm、好ましくは5~20μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線、電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190~380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100~1000keV程度が好ましく、100~300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2~15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル-N,N-ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して0.1~10重量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。溶液の塗布量としては、固形分として概ね5~30μm、好ましくは5~20μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合には、無機充填材を配合すればよい。無機充填材としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
無機充填材の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して1~80重量部程度である。
各層の積層は、例えば、基材シートの一方の面に絵柄層(ベタインキ層、柄インキ層)を順に印刷により形成後、絵柄層上に2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を介して透明性樹脂層をドライラミネーション法、Tダイ押出し法等で積層し、さらに表面保護層を形成する方法により行える。
表面保護層側からエンボス加工を施すことにより凹凸模様を形成してもよい。凹凸模様は、加熱プレス、ヘアライン加工等により形成できる。凹凸模様としては、導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。
上記化粧シートは、最下層(木質基材と接着する層)に厚さ100μm以上の合成樹脂層(いわゆるバッカー層)を有していてもよい。なお、バッカー層は、床用化粧材において衝撃吸収等を目的とした緩衝層を意味する。バッカー層を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上で使用できる。バッカー層の厚さの上限は限定的ではないが、600μmが適当である。
上記化粧シートを木質基材に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1~50μm程度が好ましい。
(防湿フィルム)
防湿フィルムは、木質基材の裏面に設けられる。本発明では、防湿フィルムは、温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m2・24時間以下のものを用いる。その中でも透湿度が5g/m2・24時間以下のものが好ましい。
(防湿フィルム)
防湿フィルムは、木質基材の裏面に設けられる。本発明では、防湿フィルムは、温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m2・24時間以下のものを用いる。その中でも透湿度が5g/m2・24時間以下のものが好ましい。
防湿フィルムは上記透湿度を満たす限り限定されず、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のエステル系熱可塑性樹脂などの合成樹脂製フィルムが使用できる。この中でも、特に少なくとも合成樹脂製基材層と蒸着層とを有するものが好ましい。以下、この態様について例示して説明する。
合成樹脂製基材層としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン-プロピレン共重合体,エチレン-ビニルアルコール共重合体,これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂;ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等のエステル系熱可塑性樹脂;ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂;ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂などが挙げられる。
合成樹脂製基材層は、一軸又は二軸方向に延伸したシートであっても、未延伸であってもよい。合成樹脂製基材層は、更に蒸着層が積層されることが好ましく、蒸着層が形成される基材としての位置付けから、機械的強度が強く、寸法安定性に優れるなどの理由から二軸方向に延伸したシートが好ましい。合成樹脂製基材層の厚さは、概ね9~25μmが適当である。
蒸着層としては、アルミニウムに代表される金属薄膜からなる無機物の蒸着層、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムに代表される無機酸化物薄膜からなる無機酸化物蒸着層が挙げられる。蒸着層は、真空蒸着法、プラズマ活性化化学反応蒸着法等の周知の蒸着法で、合成樹脂製基材層に形成される。より好ましくは、蒸着層が透明である無機酸化物蒸着層である。
蒸着層のガスバリア性を一層向上させる目的で、蒸着層上に表面コート層を設けてもよい。表面コート層としては、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。また、一般式R1
nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は炭素数1~8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更にゾル-ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下でゾルゲル法によって重縮合して調製される組成物が挙げられる。また、ポリビニルアルコール及びエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせることによって、ガスバリア性、耐水性、耐候性などが著しく向上する。上記組成物にはシランカップリング剤等を添加してもよい。これらの樹脂又は組成物を蒸着層上にロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布方法で塗布することにより表面コート層が得られる。表面コート層は蒸着層の保護層としても機能し、その厚さは概ね1~10μmが適当である。
上記合成樹脂製基材層及び/又は上記表面コート層は、必要に応じて、コロナ処理等の表面処理を施すことができる。このような表面処理によって、更に隣接層との接着強度を高めることができる。
本発明では、合成樹脂製基材層と蒸着層との間、並びに防湿フィルムの片面又は両面に更にプライマー層を設けてもよい。従って、防湿フィルムの好適な態様は、例えば、「合成樹脂製基材層/プライマー層/蒸着層/表面コート層」の態様であり、更に、当該防湿フィルムの片面又は両面にプライマー層を設けた態様でも良い。
これらのプライマー層は、合成樹脂製基材層と蒸着層との密着性を高めるためや、防湿フィルムを他の層に積層する際の密着性を高めるために設ける。
このようなプライマー層に用いる樹脂としては、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独又は混合して使用できる。プライマー層の形成は、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて行える。
この中でも、プライマー層は、(i)アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体と(ii)イソシアネートとから形成するのが好ましい。即ち、(i)のアクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとなし、該プレポリマーに更にジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られるものである。この反応によりポリエステルウレタンが形成されると共にアクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル-ポリエステルウレタン共重合体が形成される。このアクリル-ポリエステルウレタン共重合体の末端の水酸基を(ii)のイソシアネートと反応させて硬化させて形成する。
前記成分Aは、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。具体的には、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)が耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れ、ウレタンと共重合させるのが容易である点から好ましい。前記成分Aは、共重合体においてアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000~7000(重量平均分子量)のものが耐候性、接着性が特に良好であるために好ましく用いられる。また、前記成分Aは、両末端に水酸基を有するもののみを用いてもよいが、片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端に水酸基を有するものと混合して用いてもよい。
前記成分Bは、ジイソシアネートと反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成する。前記成分Bは、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエステルジオールとしては、芳香族又はスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物又はその誘導体、又はエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、及び、環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることができる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンテンジオール等の短鎖ジオール;1,4-シクロへキサンジメタノール等の脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。また、二塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物、特にアジピン酸が好ましく、ジオール成分として3-メチルペンテンジオール及び1,4-シクロへキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
前記プライマー層において、前記成分Bと前記成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、前記プライマー層に柔軟性を与え、接着性向上に寄与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、前記プライマー層において耐候性および耐ブロッキング性に寄与する。ウレタン樹脂において、前記成分Bの分子量は前記プライマー層に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよく、アジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3-メチルペンタンジオール及び1,4-シクロへキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、500~5000(重量平均分子量)が好ましい。
前記成分Cは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族又は脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4’-シクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることができる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性及びコストの点で好ましい。上記の成分A~Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオールおよび後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合もある)と、イソシアネート基の当量比はイソシアネート基が過剰となるようにする。
上記の三成分A、B、Cを60~120℃で2~10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共にアクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基及び水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。このプレポリマーに鎖延長剤として、例えば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を前記鎖延長剤と反応させ、鎖延長することでアクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有する(i)のアクリル-ポリエステルウレタン共重合体を得ることができる。
(i)のアクリル-ポリエステルウレタン共重合体に、(ii)のイソシアネートを加えると共に、塗布法、乾燥後の塗布量を考慮して必要な粘度に調節した塗布液となし、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布することにより前記プライマー層を形成すればよいものである。また、(ii)のイソシアネートとしては、(i)のアクリル-ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、たとえば、2価以上の脂肪族ないし芳香族イソシアネートが使用でき、特に熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、これらの2量体、3量体などの多量体、或いは、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げることができる。
なお、前記プライマー層の乾燥後の塗布量としては、1~20g/m2であり、好ましくは1~5g/m2である。また、前記プライマー層は、必要に応じてシリカ粉末などの充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加した層としてもよいものである。
上記防湿シートを木質基材に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1~50μm程度が好ましい。
本発明の床用化粧材は、透湿度が7g/m2・24時間以下である防湿フィルムを有することにより、木質基材裏面の透湿性が低く抑えられている。そのため、木質基材として1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きいラワン代替材料を用いてそのおもて面に透湿性の低い化粧シートを積層した場合でも、木質基材のおもて面と裏面の透湿性を同程度に設定することができるため、床用化粧材の反りや引き曲がりの発生が十分に抑制されている。このような本発明の床用化粧材は、各種建築物の床面に施工する床用化粧材及び特殊用途として床暖房用途に用いる床用化粧材として適している。
1.化粧シート
2.接着剤層
3.木質基材(ラワン代替材料)
4.接着剤層
5.防湿フィルム
2.接着剤層
3.木質基材(ラワン代替材料)
4.接着剤層
5.防湿フィルム
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
(1)合成樹脂層を含む化粧シート(0.4mm)を、中央理化工業製接着剤(BA-10L/BA-11B,9g/尺角)を用いて5.5mm厚のMDF(木質基材)のおもて面に貼り合わせた。当該MDFの1%含水率変化当たりの寸法変化率は0.05%であった。なお、尺角とは、縦303mm×横303mmで表される平面の面積を示す(以下同じ)。
(2)MDFの裏面に、中央理化工業製接着剤(BA-10L/BA-11B,9g/尺角)を用いて防湿フィルムを貼り合わせた。この状態の積層体を化粧板と称する。
(3)化粧板をギャングソーで縦313mm×横1840mmの大きさにカットした。
(4)また、テノーナ加工機にて、サネ加工、端部面取り加工及びV溝加工(V溝加工幅は1.5mm幅)を行った。
(5)更に、塗装ラインにて、サネ加工部、端部面取り部及びV溝加工部に塗料を塗布(塗料:2液硬化型ウレタン樹脂を含む塗料)した。
(1)合成樹脂層を含む化粧シート(0.4mm)を、中央理化工業製接着剤(BA-10L/BA-11B,9g/尺角)を用いて5.5mm厚のMDF(木質基材)のおもて面に貼り合わせた。当該MDFの1%含水率変化当たりの寸法変化率は0.05%であった。なお、尺角とは、縦303mm×横303mmで表される平面の面積を示す(以下同じ)。
(2)MDFの裏面に、中央理化工業製接着剤(BA-10L/BA-11B,9g/尺角)を用いて防湿フィルムを貼り合わせた。この状態の積層体を化粧板と称する。
(3)化粧板をギャングソーで縦313mm×横1840mmの大きさにカットした。
(4)また、テノーナ加工機にて、サネ加工、端部面取り加工及びV溝加工(V溝加工幅は1.5mm幅)を行った。
(5)更に、塗装ラインにて、サネ加工部、端部面取り部及びV溝加工部に塗料を塗布(塗料:2液硬化型ウレタン樹脂を含む塗料)した。
以上の工程を経て床用化粧材を作製した。
防湿フィルムの作製は次の通りとした。即ち、12μm厚さの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、片面に2液硬化型ウレタン系樹脂からなるプライマー層を設けた。更にプライマー層の上にアルミニウム蒸着層を設けた。これにより得られるフィルムを「蒸着PETフィルム」と呼称する。
前記蒸着PETフィルム上にPVA/シリケート系からなる表面コート層を0.2g/m2(乾燥状態)を形成し、積層体(合成樹脂製基材層(PET)/蒸着層/表面コート層)を作製した。前記積層体の両面を、コロナ放電処理した後、主剤(ウレタン樹脂及び硝化綿系樹脂の混合物)に硬化剤(イソシアネート)を添加した2液硬化型樹脂をグラビア印刷法にてそれぞれ固形分として5g/m2の塗布量で塗布し、接着用プライマー層を両面に形成した。これにより防湿フィルム(透湿度1g/m2・24時間)を得た。
実施例2
木質基材として9mm厚のパーティクルボード(1%含水率変化当たりの寸法変化率は0.049%)を用いた以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
木質基材として9mm厚のパーティクルボード(1%含水率変化当たりの寸法変化率は0.049%)を用いた以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
実施例3
木質基材として12mm厚の針葉樹合板(ラジアータパイン、1%含水率変化当たりの寸法変化率は0.026%)を用いた以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
木質基材として12mm厚の針葉樹合板(ラジアータパイン、1%含水率変化当たりの寸法変化率は0.026%)を用いた以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
実施例4
防湿フィルムとしてPE(ポリエチレンシート。透湿度7g/m2・24時間)を用いた以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
防湿フィルムとしてPE(ポリエチレンシート。透湿度7g/m2・24時間)を用いた以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
比較例1
防湿フィルムを用いない以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
防湿フィルムを用いない以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
比較例2
防湿フィルムを用いない以外は実施例2と同様にして床用化粧材を作製した。
防湿フィルムを用いない以外は実施例2と同様にして床用化粧材を作製した。
比較例3
防湿フィルムを用いない以外は実施例3と同様にして床用化粧材を作製した。
防湿フィルムを用いない以外は実施例3と同様にして床用化粧材を作製した。
比較例4
防湿フィルムとして防湿紙(ポリエチレンを芯層とし、その両面を紙で積層したもの。透湿度10g/m2・24時間)を用いた以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
防湿フィルムとして防湿紙(ポリエチレンを芯層とし、その両面を紙で積層したもの。透湿度10g/m2・24時間)を用いた以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
従来例1
木質基材として12mm厚のラワン合板(1%含水率変化当たりの寸法変化率は0.016%)を使用し、防湿フィルムを用いない以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
木質基材として12mm厚のラワン合板(1%含水率変化当たりの寸法変化率は0.016%)を使用し、防湿フィルムを用いない以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
試験例1(40℃雰囲気での反りと曳き曲がり)
実施例1~4、比較例1~4及び従来例1で作製した床用化粧材を40℃雰囲気(dry雰囲気)中に放置(7日間)し、床用化粧材の反り量と曳き曲がり量を測定した。
実施例1~4、比較例1~4及び従来例1で作製した床用化粧材を40℃雰囲気(dry雰囲気)中に放置(7日間)し、床用化粧材の反り量と曳き曲がり量を測定した。
反り量と曳き曲がり量の模式図を図2に示す。反り量と曳き曲がり量は隙間ゲージで測定した。反り量が20mm/1840mm(横長さに対する反り量)以下は合格(実用に適する)である。また、曳き曲がり量0.3mm/1840mm(横長さに対する曳き曲がり量)以下が合格(実用に適する)である。結果を表1に示す。
試験例2(40℃、90%RH雰囲気での反りと曳き曲がり)
実施例及び比較例で作製した床用化粧材を40℃、90%RH雰囲気中に放置(7日間)し、試験例1と同様にして床用化粧材の反り量と曳き曲がり量を測定した。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で作製した床用化粧材を40℃、90%RH雰囲気中に放置(7日間)し、試験例1と同様にして床用化粧材の反り量と曳き曲がり量を測定した。結果を表1に示す。
上記表1の結果から明らかなように、透湿度が7g/m2・24時間以下である防湿フィルムを設けた本発明の床用化粧材は、防湿フィルムの存在により木質基材の湿度による寸法変化が効果的に抑制されている。その結果、床用化粧材の反りや曳き曲がりが防止され、従来例1(ラワン合板使用)の試験結果により近づいた結果となっている。
実施例5
(1)フロア用化粧シート(0.16mm厚、透湿度:3g/m2・24時間)を、中央理化工業製接着剤(BA-10L/BA-11B,9g/尺角)を用いて12mm厚のパーティクルボード(PB)(木質基材)のおもて面に貼り合わせた。当該PBの1%含水率変化当たりの寸法変化率は0.045%であり、平均含水率は6.5重量%であった。
(2)PBの裏面に、中央理化工業製接着剤(BA-10L/BA-11B,9g/尺角)を用いて防湿フィルム(PETフィルム+蒸着層、透湿度:3g/m2・24時間)を貼り合わせた。この状態の積層体を化粧板と称する。
(3)化粧板をギャングソーで縦313mm×横1840mmの大きさにカットした。
(4)また、テノーナ加工機にて、サネ加工、端部面取り加工及びV溝加工(V溝加工幅は1.5mm幅)を行った。
(5)更に、塗装ラインにて、サネ加工部、端部面取り部及びV溝加工部に塗料を塗布(塗料:2液硬化型ウレタン樹脂を含む塗料)した。
(1)フロア用化粧シート(0.16mm厚、透湿度:3g/m2・24時間)を、中央理化工業製接着剤(BA-10L/BA-11B,9g/尺角)を用いて12mm厚のパーティクルボード(PB)(木質基材)のおもて面に貼り合わせた。当該PBの1%含水率変化当たりの寸法変化率は0.045%であり、平均含水率は6.5重量%であった。
(2)PBの裏面に、中央理化工業製接着剤(BA-10L/BA-11B,9g/尺角)を用いて防湿フィルム(PETフィルム+蒸着層、透湿度:3g/m2・24時間)を貼り合わせた。この状態の積層体を化粧板と称する。
(3)化粧板をギャングソーで縦313mm×横1840mmの大きさにカットした。
(4)また、テノーナ加工機にて、サネ加工、端部面取り加工及びV溝加工(V溝加工幅は1.5mm幅)を行った。
(5)更に、塗装ラインにて、サネ加工部、端部面取り部及びV溝加工部に塗料を塗布(塗料:2液硬化型ウレタン樹脂を含む塗料)した。
以上の工程を経て床用化粧材を作製した。なお、各工程間では化粧板をPPフィルム(30μm厚、透湿度15g)で包んで防湿処理した。
実施例6
各工程間でPPフィルムを用いた防湿処理をしない以外は、実施例5と同様に床用化粧材を作製した。これにより、木質基材の周辺部の含水率を中央部よりも高くした。
各工程間でPPフィルムを用いた防湿処理をしない以外は、実施例5と同様に床用化粧材を作製した。これにより、木質基材の周辺部の含水率を中央部よりも高くした。
実施例7
木質基材の中央部の含水率が周辺部より2%高いPB基材を使用した以外は、実施例5と同様に床用化粧材を作製した。
木質基材の中央部の含水率が周辺部より2%高いPB基材を使用した以外は、実施例5と同様に床用化粧材を作製した。
実施例8
木質基材の中央部の含水率が周辺部より1.7%高い針葉樹合板を使用した以外は、実施例5と同様に床用化粧材を作製した。
木質基材の中央部の含水率が周辺部より1.7%高い針葉樹合板を使用した以外は、実施例5と同様に床用化粧材を作製した。
比較例5
木質基材として平均含水率が5.5%のPBを使用した以外は、実施例6と同様にして床用化粧材を作製した。
木質基材として平均含水率が5.5%のPBを使用した以外は、実施例6と同様にして床用化粧材を作製した。
比較例6
テノーナ加工後に防湿処理をせずに1週間放置した以外は、実施例6と同様に床用化粧材を作製した。
テノーナ加工後に防湿処理をせずに1週間放置した以外は、実施例6と同様に床用化粧材を作製した。
比較例7
木質中央部の含水率が周辺部より2.5%高いPB基材を使用した以外は、実施例5と同様に床用化粧材を作製した。
木質中央部の含水率が周辺部より2.5%高いPB基材を使用した以外は、実施例5と同様に床用化粧材を作製した。
比較例8
平均含水率を10.5%に調整し、木質中央部の含水率が周辺部より1.3%低いPB基材を使用した以外は、実施例5と同様に床用化粧材を作製した。
平均含水率を10.5%に調整し、木質中央部の含水率が周辺部より1.3%低いPB基材を使用した以外は、実施例5と同様に床用化粧材を作製した。
試験例3(床用化粧材をカット後の曳き曲がり及び施工適性評価)
<カット後の曳き曲がり量評価>
実施例5~8及び比較例5~8で作製した床用化粧材(縦313mm×横1840mm)を、中央部で約半分(縦150mm×横1840mm)にカットした。
<カット後の曳き曲がり量評価>
実施例5~8及び比較例5~8で作製した床用化粧材(縦313mm×横1840mm)を、中央部で約半分(縦150mm×横1840mm)にカットした。
カットされた床材を直線定規とスキマゲージを用いて横方向の曳き曲がり量を測定した。測定はカット後30分以内に行った。曳き曲がり量は、各サネ側(オスサネ、メスサネ)が凸になる状態を+表示とした。
なお、カット後の曳き曲がり量は「-1.0mm/横1840mm~+0.7mm/横1840mm」の範囲であれば許容される。
<施工適性評価>
実施例5~8及び比較例5~8で作製した床用化粧材(縦313mm×横1840mm)を、そのままの大きさで先ず施工した。その後、中央部で約半分(縦150mm×横1840mm)にカットした床用化粧材をカット後30分以内に施工し、カット後の施工適性を評価した。評価基準は次の通りとした。
<施工適性評価>
実施例5~8及び比較例5~8で作製した床用化粧材(縦313mm×横1840mm)を、そのままの大きさで先ず施工した。その後、中央部で約半分(縦150mm×横1840mm)にカットした床用化粧材をカット後30分以内に施工し、カット後の施工適性を評価した。評価基準は次の通りとした。
○:カット前と同様に、問題なく施工でき、継ぎ目に隙間が認められない。
△:手間をかければ何とか施工でき、継ぎ目に隙間は認められない。
×:施工が困難である上、継ぎ目に0.3mmを超える隙間が認められる。
試験例4(床暖房システム試験)
実施例5~8及び比較例5~8で作製した床用化粧材(縦313mm×横1840mm)を、床暖房システム試験に供した。床暖房システムは部屋の隅部分(壁際又は柱の周辺)には一般に施工されず、隅部分を除く部屋の中心部に施工される。よって、試験例4では、床用化粧材(縦313mm×横1840mm)について床暖房システム試験を行った。
実施例5~8及び比較例5~8で作製した床用化粧材(縦313mm×横1840mm)を、床暖房システム試験に供した。床暖房システムは部屋の隅部分(壁際又は柱の周辺)には一般に施工されず、隅部分を除く部屋の中心部に施工される。よって、試験例4では、床用化粧材(縦313mm×横1840mm)について床暖房システム試験を行った。
具体的には、床用化粧材をサネ組み施工したものを試験片とし、図4に示される床暖房システム試験(仕上げ材・下地材編「II.耐久性能 熱耐久試験」80℃温水×1100時間連続通湯、ガス会社統一基準方式)に供した。
試験後の試験片について、
(1)サネ組み部分(勘合部)の隙間変位量が0.5mm以下であれば合格
(2)サネ組み部分(勘合部)の段差変位量が0.5mm以下であれば合格
(3)横方向(1840mm)の反り(=幅反り)量が1mm未満であれば合格
の基準に従って評価を行った。全て合格であるものと○とし、一つでも満たさない要件があるものを×とした。
(1)サネ組み部分(勘合部)の隙間変位量が0.5mm以下であれば合格
(2)サネ組み部分(勘合部)の段差変位量が0.5mm以下であれば合格
(3)横方向(1840mm)の反り(=幅反り)量が1mm未満であれば合格
の基準に従って評価を行った。全て合格であるものと○とし、一つでも満たさない要件があるものを×とした。
各評価・試験結果を下記表2に示す。
上記表2の結果から明らかなように、特に平均含水率が6~10重量%であり、且つ中央部の含水率が周辺部の含水率と比較して-1%~+2%の範囲である木質基材を用いることにより、カット後の曳き曲がりを効果的に抑制することができる。また、本発明の床用化粧材は、防湿フィルムの透湿度が7g/m2・24時間以下であることにより、床暖房用床材としても実用に供することができる。
Claims (3)
- おもて面から裏面にかけて、化粧シートと、木質基材と、防湿フィルムとを具備する積層構成を備える床用化粧材に用いる前記防湿フィルムと前記木質基材との積層体Aであって、
(1)前記防湿フィルムは、
透湿度が1g/m2・24時間以下であり、
熱可塑性樹脂フィルムの片面に2液硬化型ウレタン系樹脂からなるプライマー層と、アルミニウム蒸着層と、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する表面コート層とを当該順に備えている積層体Bであり、
(2)前記木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きく、且つ平均含水率が6~10重量%である、
ことを特徴とする防湿フィルムと木質基材との積層体A。 - 前記積層体Bは、片面又は両面に、ウレタン樹脂を含有する主剤とイソシアネートを含有する硬化剤とを含む2液硬化型樹脂からなる接着用プライマー層を更に備える、請求項1に記載の防湿フィルムと木質基材との積層体A。
- 前記主剤は、前記ウレタン樹脂と硝化綿系樹脂との混合物である、請求項2に記載の防湿フィルムと木質基材との積層体A。
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