JP6750243B2 - 床用化粧材 - Google Patents
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しかし、木材伐採制限等により原木が入手し難く、材料不足が進んでいる。この問題は、特にラワン等の広葉樹にとって深刻である。そのため、ラワン合板に代えて使用できる木質基材の開発が進められている。ラワン代替材料としては、例えば、針葉樹合板、木質系廃材から分離した木質繊維又は木質片を接着剤により成形・固化してなる木質板や、早成樹からなる早成樹合板がある。
上記問題を改善するために、ラワン代替材料の他方の面に防湿フィルムを積層することが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。しかしながら、特許文献1〜3に記載した防湿フィルムは透湿度がせいぜい20g/m2・24時間程度であり、ラワン代替材料の反りや曳き曲がりを防止するには性能が不十分である。特に近年では、ラワン代替材料の一方の面に透湿度が低い(2g/m2・24時間以下)化粧シートを積層する場合が多いため、他方の面の透湿度を一方の面と同等又はより透湿度を下げることが求められている。
また、近年の屋内あるいは屋外の建造物床面にはフローリング材が多く用いられている。フローリングの多くは突き板に塗装を施したものであるが、木目のデザイン性や自然な風合いを持つ一方で、実用に際しては耐傷性、耐汚染性、耐候性などの表面性能が要求されることから、最近の床材は木質系基材に化粧シートをラミネートした床用化粧材も多く用いられる傾向にある。
一方、実用上の要求性能を満たすと同時に、利用者の住環境に対する意識の高まりから、床材に対しても安全性や快適性あるいは環境配慮の観点から新たな要求が出始めている。そのひとつが防滑性である。これはたとえばJIS−A1454「高分子系張り床材試験方法」によって測定され、C.S.R.値によって示される歩行を想定した滑り難さの基準値で表現される。
また、床材の防滑に対する要求は別の角度からも提起されており、例えば室内でペット特に犬を飼う際に、フローリングのすべりがペットの歩行を妨げ、脚の骨や関節に異常をきたしたり、ストレスになっているという問題がある。
ペットとフローリングとの問題はそれだけにとどまらず、特に犬を室内で飼育する場合には、犬の歩行に際してのフローリングと脚の爪の当接音や擦り音が不快な音として聞こえることが問題とされる場合もある。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本実施形態の床用化粧材10は、図1に示すように、木質基材11の一方の面(表面)に化粧シート1が設けられていると共に、上記木質基材11の他方の面(裏面)に防湿フィルム20が設けられている。
木質基材11は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きく、且つ平均含水率が6〜10質量%である木質基材を使用する。そのような木質基材11としては、例えば、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)、パーティクルボード(PB)、針葉樹合板及び早成樹合板の一つ、又はこれらの板から選択された2以上の板を積層して構成される基材が例示出来る。
このように、木質基材11としてラワン代替材料を用いる。つまり、従来のラワン合板等に置き換わる材料であって、例えば、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)、パーティクルボード(PB)、針葉樹合板、早成樹合板等の少なくとも1種を用いる。早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。これらのラワン代替材料は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きい。
(1)300mm×303mmにカットした木質基材11の試験片を用意する。
(2)常温(25℃)環境下、試験片の現在の寸法(四辺の長さ)をノギスで測定する。
(3)試験片を40℃オーブン(湿度フリー、乾燥雰囲気≒0%湿度)に1週間放置する。
(4)1週間後、試験片の質量と寸法(四辺の長さ)を測定する。
(5)両条件の測定データから1%含水率変化当たりの寸法変化率を測定する。
本実施形態では、床用化粧材10を施工場所に応じてカットして用いる場合に備えて、木質基材11として、平均含水率が6〜10質量%であり、且つ中央部の含水率が周辺部の含水率と比較して−1%〜+2%の範囲である木質基材11を用いることが好ましい。木質基材11のサイズが、例えば、縦150mm×横1840mm程度(特に短辺の長さが200mm以下)となる場合は、木質基材11の中央部と周辺部の含水率の偏りによって反りや曳き曲がりが生じ易くなる。よって、木質基材11の含水率特性を上記条件に設定することにより、床用化粧材10をカットして用いる場合でも反りや曳き曲がりの発生を抑制することができる。なお、床用化粧材10をカットして用いる場合としては、具体的には、床用化粧材10を施工する部屋の隅部分(壁際又は柱の周辺)に施工する場合が想定される。
木質基材11の含水率は、中央部の含水率が周辺部の含水率と比較して−1%〜+2%の範囲であることが好ましく、−0.5%〜+1.0%の範囲であることがより好ましい。なお、木質基材11の周辺部とは木質基材11の周囲5cmの範囲を意味し、木質基材11の中央部とは上記周辺部を除いた木質基材11の内部を意味する。
(A)縦303mm×横1818mmの木質基材11を用意する。
(B)木質基材11の周辺から5cmの範囲を周辺部とし、それよりも内側を中央部とする。
上記用意した木質基材11から均等に5cm×5cmのサンプルを35個採取し、全乾法により含水率を測定する。全乾法とは、各サンプルを105℃のオーブンに3日間放置した後、下記算出式から各サンプルの含水率を測定する方法である。放置前を処理前、放置後を処理後と言う。
含水率(%)={(処理前質量−処理後質量)/処理後質量}×100
(C)35個のサンプルの平均値を「平均含水率」とする。
(D)中央部のサンプル(15個)の平均値から周辺部のサンプル(20個)の平均値を引いた値を「含水率差」とする。
防湿フィルム20は、透湿度が7g/m2・24時間以下となっている。
本実施形態の透湿度は、JIS Z0208(透湿度試験方法(カップ法))に準じて、温度40℃、湿度90%RH環境下での測定値である。以下、本明細書における透湿度はこの条件での測定値である。
本実施形態の防湿フィルム20は、樹脂製の基材層21と、その基材層21上に形成された蒸着層22とを有する。これによって、透湿度が7g/m2・24時間以下となる。防湿フィルム20の透湿度が1g/m2・24時間以下のものが好ましい。
さらに、防湿フィルム20の表裏表面の少なくとも一方の面に接着用のプライマー層が形成されていることが好ましい。
透湿度が7g/m2・24時間以下である防湿フィルム20を裏面に設けることで、木質基材11の裏面の透湿性が低く抑えられている。そのため、木質基材11として1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きいラワン代替材料を用い且つ表面に透湿性の低い化粧シート1を積層した場合であっても、木質基材11の裏面と表面の透湿性を同程度に設定することができる。このため、床用化粧材10の反りや引き曲がりの発生が十分に抑制されている。このような本発明の床用化粧材10は、各種建築物の床面に施工する床用化粧材10及び特殊用途として床暖房用途に用いる床用化粧材10として適している。
蒸着層22としては、アルミニウムに代表される金属薄膜からなる無機物の蒸着層、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムに代表される無機酸化物薄膜からなる無機酸化物蒸着層が挙げられる。蒸着層22は、真空蒸着法、プラズマ活性化化学反応蒸着法等の周知の蒸着法で、合成樹脂製の基材層21に形成される。より好ましくは、蒸着層22が透明である無機酸化物蒸着層である。
蒸着層22のガスバリア性を一層向上させる目的で、蒸着層22上に表面保護層23を設けることが好ましい。
これらのプライマー層は、基材層21と蒸着層22との密着性を高めるためや、防湿フィルム20を他の層に積層する際の密着性を高めるために設ける。
プライマー層に用いる樹脂としては、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独又は混合して使用できる。プライマー層の形成は、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて行える。
上記防湿フィルム20を木質基材11に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
化粧シート1は、例えば基材シート2の上に、印刷層3(ベタインキ層・柄インキ層)と樹脂層4がこの順に設けられる。後述の凸部は、樹脂層4に形成する。
本実施形態では、樹脂層4の上にトップコート層7を有する場合を例示している。このトップコート層7は、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化型樹脂の少なくとも一方を主成分とする。
化粧シート1としては温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m2・24時間以下のものが好ましく、5g/m2・24時間以下のものが更に好ましい。
印刷層3は、柄インキ層やベタインキ層から構成される。印刷層3は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法により形成できる。柄インキ層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様等が挙げられる。ベタインキ層は、着色インキのベタ印刷により得られる。印刷層3は、柄インキ層及びベタインキ層の片方又は両方から構成される。
具体的には、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
樹脂層4には、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)等の各種の添加剤を含めてもよい。
トップコート層7(トップコート層)は、化粧シート1に要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられる。このトップコート層7を形成する樹脂としては、熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂が好ましい。特に、電離放射線硬化型樹脂は高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂でトップコート層7を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。溶液の塗布量としては、固形分で概ね5〜30μm、好ましくは5〜20μm程度である。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線、電子線が望ましい。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂から形成されたトップコート層7に、耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合には、無機充填材を配合すればよい。無機充填材としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
無機充填材の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して1〜80質量部程度である。
各層の積層は、例えば、基材シート2の一方の面に印刷層3(ベタインキ層、柄インキ層)を順に印刷により形成後、印刷層3上に2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を介して透明性樹脂層4をドライラミネーション法、Tダイ押出し法等で積層し、さらにトップコート層7を形成する方法により行える。
化粧シート1を木質基材11に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
本実施形態の床用化粧材10は、化粧シート1側の表面には、複数の凸部5が形成されている。
その各凸部5の高さは20μm以上80μm以下の範囲であり、平面視における上記各凸部5は、その面積を円形状に換算した場合に、円の直径が40μm以上200μm以下の範囲である。さらに、平面視における単位面積当たりに上記複数の凸部5の占める割合が0.05以上0.5以下の範囲で、当該複数の凸部5がランダムに配置されている。
各凸部5はそれぞれ、平面視で、正多角形状若しくは円形状の一方からなることが好ましい。ただし、複数の凸部5は、互いに同一の形状及び大きさになっているほうが良い。
複数の凸部5は、化粧シート1の透明熱可塑性樹脂からなる樹脂層4に設ければよい。凸部5の形成方法は、例えばエンボス型を用いて加熱、加圧して樹脂層4の表面に凹凸形状を形成する方法(いわゆるエンボス加工)などでもよい。押し出し機により樹脂層4を形成する場合は、押し出しの直後にエンボスロールなどによって、樹脂層4の表面に凸部5を形成することができる。
凸部5のランダムな配置は、規則性を持たないように考慮して配置してもよく、その場合も一定の効果が期待できる。また、凸部5のランダムな配置は、乱数計算を用いて無作為の配置をすることによってより効果的なものとなる。
凸部5としては、高さ20μm以上80μm以下が好ましい。凸部5の高さが20μm未満では防滑性能が劣り、80μmより大きいと凸部5形状の形成が難しい等の製造工程が困難となる。ここで、凸部5の高さとは、図1(b)に示すように、凸部5の底部から頂部までの高さAのことである。この高さAは、樹脂層4の表面に形成された凹凸のうち、隣り合う凸部5と凹部6との高低差でもある。
以上のような床用化粧材10は、床暖房用床材としても使用可能である。この場合には、図6に示すように、例えば床用化粧材10の下側に、通湯パイプなどの暖房手段を備えた暖房器具100が配置されるが、暖房器具100からの湿気による床用化粧材10の反りが防止されて、滑り防止効果の経年的な劣化をより有効に防止可能となる。
上記の実施形態では、凸部5の平面形状が正方形である場合について説明した。しかしながら、本発明において、凸部5の平面形状は正方形に限定されるものではない。凸部5の平面形状は長方形でもよいし、四角以外の多角形(三角形、五角形、六角形、…)でもよい。
図3(a)に示すように、凸部5の平面形状は正三角形でもよい。図3(b)に示すように、正三角形の一辺の長さBは40μm以上200μm以下が好ましい。一辺の長さBが40μm未満では防滑性が劣り、200μmより大きいと凸部5が肉眼で視認し易くなり意匠感が好ましくない。また、この変形例1においても、凸部5の面密度(すなわち、平面視で単位面積当たりの凸部5が占める割合)は、0.05以上0.5以下が好ましい。この面密度が0.05未満の場合や0.5より大きい場合はいずれも防滑性が劣る。凸部5の平面形状が正三角形の場合、その面密度は、n×(√3/4)×B2/C2で表すことができる。ここで、Cは、平面視で任意に画定した正方形の一辺の長さであり、nはこの正方形に含まれる正三角形の凸部5の個数である。
また、図示しないが、この変形例1においても、凸部5の高さは20μm以上80μm以下が好ましい。凸部5の高さが20μm未満では防滑性能が劣り、80μmより大きいと凸部5形状の形成が難しい等の製造工程が困難となる。
図3に示す変形例1も、上記の実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態において、凸部5の平面形状は多角形に限定されるものでなく、円形(正円形や、楕円形など)でもよい。
図4(a)に示すように、凸部5の平面形状は正円形でもよい。図4(b)に示すように、正円形の直径Bは40μm以上200μm以下が好ましい。直径Bが40μm未満では防滑性が劣り、200μmより大きいと凸部5が肉眼で視認し易くなり意匠感が好ましくない。また、この変形例2においても、凸部5の面密度(すなわち、平面視で単位面積当たりの凸部5が占める割合)は、0.05以上0.5以下が好ましい。この面密度が0.05未満の場合や0.5より大きい場合はいずれも防滑性が劣る。凸部5の平面形状が正円形の場合、その面密度は、n×(π/4)×B2/C2で表すことができる。ここで、Cは、平面視で任意に画定した正方形の一辺の長さであり、nはこの正方形に含まれる正円形の凸部5の個数である。
また、図示しないが、この変形例2においても、凸部5の高さは20μm以上80μm以下が好ましい。凸部5の高さが20μm未満では防滑性能が劣り、80μmより大きいと凸部5形状の形成が難しい等の製造工程が困難となる。
図4に示す変形例2も、上記の実施形態と同様の効果を奏する。
また、図1に示したように、上記の実施形態では、凸部5の断面視による形状(以下、断面形状)が矩形である場合(つまり、底部から頂部にかけて幅が一定の柱状である場合)について説明した。しかしながら、本発明において、凸部5の断面形状は矩形に限定されるものではない。本発明において、凸部5の断面形状は台形(すなわち、底部から頂部に向かって、幅が徐々に小さくなる柱状)でもよいし、錐状でもよい。このような構成であっても、上記の実施形態と同様の効果を奏する。
本発明の実施形態は以下の効果を奏する。
(1)床用化粧材10は、透湿度が7g/m2・24時間以下である防湿フィルム20を有する。
この構成によれば、木質基材11の裏面の透湿性が低く抑えられている。そのため、木質基材11として1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きいラワン代替材料を用いて、表面に化粧シート1を積層した場合でも、木質基材11の一方の面と他方の面の透湿性を同程度に設定することができる。この結果、床用化粧材10の反りや引き曲がりの発生が十分に抑制されている。
このような本発明の床用化粧材10は、各種建築物の床面に施工する床用化粧材10及び特殊用途として床暖房用途に用いる床用化粧材10として適している。
(2)平面視で、凸部5の一辺の長さBは40μm以上200μm以下である。また、凸部5の面密度(すなわち、平面視で単位面積当たりの凸部5が占める割合)は、0.05以上0.5以下である。凸部5の高さAは、20μm以上である。
これにより、高い防滑性能を実現することができる。
これにより、擦り音の周波数は均一ではなくなり、擦り音の共鳴、増幅が抑制されるため、耳に聞こえる不快な擦り音の抑制を実現することができる。
以上から、一般の床材としての防滑性能を損なうことなく、ペット等の歩行に伴う不快な擦り音の発生を防止することのできる防滑床用化粧シート1およびそれを用いた床用化粧材10を提供することができる。
(4)また、表面に凸部5を有する樹脂層4はトップコート層7で覆われている。
これにより、耐久性(すなわち、耐候性、耐傷性、耐汚染性)に優れた防滑床用化粧シート1及び床用化粧材10を提供することができる。
<実施例1>
基材シート2として、ポリプロピレンフィルム(リケンテクノス(株)製「OW」)を使用し、その片面に印刷層3としてグラビアインキ(東洋インキ製造(株)製「ラミスター」)で木目印刷をグラビア印刷機により印刷して設けた。その後、基材シート2の印刷層3とは逆の面(すなわち、他方の面)に、シリカ粉末を含有する2液ウレタン系プライマー樹脂を乾燥後の厚さが1μmとなるようにグラビア塗工した。印刷層3上に、ポリエステルポリオールを主剤としイソホロンジイソシアネートを硬化剤とする2液ウレタン樹脂系接着剤を、乾燥後の塗布量が2g/m2となるように塗工した。その後、透明熱可塑性樹脂層4として、透明接着層(マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂)10μmおよびホモポリプロピレン(プライムポリマー(株)製)を主成分とした透明熱可塑性樹脂層4の80μmを、接着層が印刷層3側になるように共押出ラミネートにて形成し、同時にエンボスにより凸部5を形成した。
凸部5の配置がランダムであり、凸部5の高さAが20μm、一辺の長さBが40μm、面密度(n×B2/C2)が0.05とした以外は実施例1と同じ手順で実施例2の防滑床用化粧シート1を作製した。
<実施例3>
凸部5の配置がランダムであり、その高さAが80μm、一辺の長さBが200μm、面密度(n×B2/C2)が0.50とした以外は実施例1と同じ手順で実施例3の防滑床用化粧シート1を作製した。
床用化粧シート1の凸部5の配置がランダムであり、その高さAが30μm、一辺の長さBが30μm、面密度(n×B2/C2)が0.20とした以外は実施例1と同じ手順で比較例1の防滑床用化粧シート1を作製した。
<比較例2>
床用化粧シート1の凸部5の配置がランダムであり、その高さAが10μm、一辺の長さBが120μm、面密度(n×B2/C2)が0.20とした以外は実施例1と同じ手順で比較例2の防滑床用化粧シート1を作製した。
床用化粧シート1の凸部5の配置がランダムであり、その高さAが30μm、一辺の長さBが120μm、面密度(n×B2/C2)が0.03とした以外は実施例1と同じ手順で比較例3の防滑床用化粧シート1を作製した。
<比較例4>
床用化粧シート1の凸部5の配置がランダムであり、その高さAが30μm、一辺の長さBが120μm、面密度(n×B2/C2)が0.60とした以外は実施例1と同じ手順で比較例4の防滑床用化粧シート1を作製した。
図5は、比較例5に係る床用化粧シート1の構成例を模式的に示す平面図である。図5に示すように、比較例5では、床用化粧シート1表面の凸部5’がX軸方向に200μm間隔、Y軸方向に200μm間隔で格子状に規則正しく配置されており、高さAが30μm、一辺の長さBが120μm、面密度(n×B2/C2)が0.14とした以外は実施例1と同じ手順で防滑床用化粧シート1を作製した。
実施例1〜3および比較例1〜5に記載した防滑床用化粧シート1を、床用基材である厚さ3mmのMDF(広葉樹)の表面に、接着剤として2液水性エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製「リカボンド」(質量比BA−10L/BA−11B=100:2.5))をウェット状態で100g/m2に塗工した後貼り合わせ、24時間養生することで、それぞれの床用化粧材10を形成した。
これらの床用化粧材10を以下の(1)(2)の方法により評価した。
(1)防滑性能:JIS−A1454に準じて試験を行い、C.S.R.値を求めた。
(2)擦り音:官能試験にて評価した。評価は10人の試験員で行った。
評価基準は次の通りである。
×:良いとした人0人
△:1〜6人
○:7〜10人
評価結果を表1に示す。
ここで、実施例1〜3の床用化粧材10に対し、40℃雰囲気(乾燥雰囲気)中に7日間放置(7日間)し、床用化粧材10の反り量を測定したが、反りが抑制されていることを確認している。
また、実施例1〜3の床用化粧材10に対し、40℃雰囲気(湿度90%の雰囲気)中に7日間放置(7日間)し、床用化粧材10の反り量を測定したが、反りが抑制されていることを確認している。
2 基材シート
3 印刷層
4 樹脂層
5 凸部
6 凹部
7 トップコート層
10 床用化粧材
11 木質基材
20 防湿フィルム
21 基材層
22 蒸着層
23 表面保護層
Claims (8)
- 木質基材の一方の面に化粧シートが設けられると共に、上記木質基材の他方の面に防湿フィルムが設けられた床用化粧材であって、
上記木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きく、且つ平均含水率が6〜10質量%の範囲であり、
上記防湿フィルムは、透湿度が7g/m2・24時間以下であり、
さらに、上記床用化粧材における化粧シート側の表面には、複数の凸部が形成され、
上記凸部の高さは20μm以上80μm以下の範囲であり、
平面視における上記各凸部は、その面積を円形状に換算した場合に、円の直径が40μm以上200μm以下の範囲であり、
平面視における単位面積当たりに上記複数の凸部の占める割合が0.05以上0.5以下の範囲であり、
擦り音の周波数を均一にしないように当該複数の凸部がランダムに配置されることにより擦り音の共鳴又は増幅を抑制するものである
ことを特徴とする床用化粧材。 - 上記各凸部はそれぞれ、平面視で、正多角形状若しくは円形状の一方からなる
ことを特徴とする請求項1に記載した床用化粧材。 - 上記化粧シートは、基材シートの上に、印刷層と樹脂層がこの順に設けられ、
上記凸部は、上記樹脂層に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した床用化粧材。 - 上記化粧シートの表面にトップコート層を有し、
上記トップコート層は、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化型樹脂の少なくとも一方を主成分とする
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載した床用化粧材。 - 上記複数の凸部は、互いに同一の形状及び大きさになっている
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載した床用化粧材。 - 上記木質基材は、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)、パーティクルボード(PB)、針葉樹合板及び早成樹合板の一つ、又はこれらの板から選択された2以上の板を積層して構成される
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した床用化粧材。 - 上記防湿フィルムは、樹脂製の基材層と、その基材層上に形成された蒸着層とを有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した床用化粧材。 - 上記防湿フィルムは、上記蒸着層の上に表面保護層を有する
ことを特徴とする請求項7に記載した床用化粧材。
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