JP2004116038A - 床材 - Google Patents

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Hiroshi Shibata
柴田 洋
Atsushi Makiguchi
巻口 篤
Kazuteru Kato
加藤 一照
Masahiro Yamazoe
山添 眞宏
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Abstract

【課題】床材1の強度を著しく低下させたり、反り又は裏面の不陸等により床下地2上への施工を著しく困難にさせたりすることなく、十分な防音効果を容易に得ることができる床材1を提供する。
【解決手段】基材11の裏面に、多数の円錐形凹部12が2次元的に配列されて設けられた床材1である。円錐形凹部12の直径は3〜8mm程度、深さは基材11の厚み(5〜15mm程度)の1/6〜2/3程度、ピッチは15〜25mm程度とするのが良い。基材11は合成樹脂系基材等が好ましく用いられ、その表面に化粧シート13、裏面に繊維質シート又は発泡樹脂シート等の緩衝材層14を積層しても良い。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物におけるコンクリートスラブ又は荒床等の床下地上に施工するための平板状の床材に関するものであり、特に、床面を歩行したり床面に物を落としたりした時の音鳴りを抑制する防音性に優れた床材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記用途の床材としては、積層合板又は木質繊維板等を基材とし、その表面に突板又は印刷シート等の化粧シートを積層して化粧を施したものなどが主流である。しかし、積層合板等の基材の裏面を、コンクリートスラブ又は荒床等の床下地上に、直接接触させる様にして施工すると、床面を歩行したり床面に物を落としたりした時の衝撃音がそのまま階下に伝わり、階下の住人に騒音被害をもたらすという問題がある。そこで、上記衝撃音を和らげ、騒音被害を緩和するために、床材の基材である積層合板等の裏面に、鋸挽きにより床材の一辺又は二辺に平行な平行溝を施し、さらにその面に、繊維質シート又は発泡樹脂シート等の緩衝材層を積層する方法が、従来広く採用されている(特許文献1、2)。
【0003】
しかし、上記した基材の裏面への平行溝の形成による防音方法は、溝の数を増し、溝の深さを板厚近くまで深くするほど有効であるが、溝をあまり深くすると床材の強度が低下し、特に、平行溝と直交方向への折り曲げに弱く、床面に掛かる荷重や衝撃の影響で床材が平行溝に沿って割れてしまう場合があるという問題がある。また、近年では、環境問題の観点から、森林資源の浪費につながる積層合板に代えて、リサイクル利用が容易な合成樹脂製の基材を用いた床材も提案されている(特許文献3)が、この合成樹脂製の基材の裏面に平行溝を設けると、樹脂成形時の内部応力等のバランスが溝の存在により崩され、溝と平行な方向に反り(しなり)が発生し易く、基材の裏面全体を床下地上に均一に密着させることが困難となり、事実上施工不能となる場合があるという問題もある。
【0004】
この様な防音性能と強度との両立の困難性に鑑み、木質基材の裏面に部分的に鋸挽きによる細溝を設ける代わりに、基材の裏面全体を断面鋸歯状の凹凸面とした床材も提案されている(特許文献4)。しかしこの床材は、材料の加工に手間がかかり材料の無駄も多いほか、断面鋸歯状の凹凸面の突端部分のみで床下地面と接することになるので、該突端部分の高さが均一でないと床下地上でがたつきを発生し易く、加工精度の限界のために必ずしも十分な効果が得られないという問題がある。
【0005】
以下に本発明に関連する先行技術文献情報を挙げる。
【特許文献1】
実願平4−814号(実開平5−57193号)のCD−ROM
【特許文献2】
特開平5−287893号公報
【特許文献3】
特開2002−120347号公報
【特許文献4】
特開2000−64571号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記の問題点を解決すべくなされたものであり、床材の強度を著しく低下させたり、反り又は裏面の不陸等により床下地上への施工を著しく困難にさせたりすることなく、十分な防音効果を容易に得ることができる床材を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の床材は、コンクリートスラブ又は荒床等の床下地上に施工するための平板状の床材において、支持体である基材の裏面に、多数の円錐形凹部が2次元的に配列されて設けられてなることを特徴とするものである。
【0008】
また本発明の床材は、上記の床材において、前記円錐形凹部は、開口部の直径が3mm以上8mm以下、深さが前記基材の厚みの6分の1以上3分の2以下であり、15mm以上25mm以下のピッチで設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
また本発明の床材は、上記の床材において、前記基材が、合成樹脂系基材であることを特徴とするものである。
【0010】
また本発明の床材は、上記の床材において、前記基材の表面に、化粧シートが積層されてなることを特徴とするものである。
【0011】
また本発明の床材は、上記の床材において、前記基材の裏面に、緩衝材層が積層されてなることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の床材1は、図1に示す様に、平板状の基材11の裏面に、その水平面断面形状が、裏面開口部で最大の直径を有し、基材11の表面側に行くに従って直径を減ずる円形であり、基材11の表面に到達する前に1点に収束して最奥部となる円錐形凹部12が多数、基材11の裏面全体に亘って2次元的に配列されて設けられていることを特徴としている。
【0013】
円錐形凹部12の配列は、要するに基材11の裏面全体に亘って万遍なく分布するようにされていれば良く、無作為なランダム配列であっても良いし、格子状等の規則的配列であっても良い。ランダム配列は、幅広い周波数帯に亘り平均的な防音効果が得られる利点がある反面、床材1の強度や防音性能が場所により不安定になり勝ちである短所もある。従って、施工する建築物において主に問題となる周波数帯に合わせて設計した規則的配列とすることが合理的である。
【0014】
その規則的配列の様式として具体的には、図2に示す様な碁盤目状の格子状配列が最も一般的である。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、碁盤目状格子の格子点にさらに各格子の四角形の対角線の交点を加えた配列(これは45度傾けて見れば格子間隔が1/√2の碁盤目状配列となる)や、縦横比の異なる碁盤目状配列、縦横の角度が90度でない傾斜碁盤目状配列、三角形配列(平面を正三角形で埋め尽くした時の各正三角形の頂点の配列)、六角形配列(平面を正六角形で埋め尽くした時の各正六角形の頂点の配列)等、要するに平面全体を埋め尽くし得る配列様式であれば良い。なお、特定方向に過度に撓んだり沿ったりする現象を防止するためには、方向による配列密度の偏りが極力少ない、等方的な配列とすることが望ましい。
【0015】
なお、上記したランダム配列と規則的配列との折衷型として、碁盤目状等の規則的配列を基礎としつつ、その格子点から格子間隔(ピッチ)の半分より短い距離の一定範囲内で(例えば、半径が格子間隔の1/5の円内で)、規則的に又はランダムに変位した点に配置させた配列とすることも可能である。この様にすると、床材1の強度が過度に低下するのを防止しながら、十分な防音効果が得られる周波数帯の幅を広げ、発生原因の異なる様々な音に対して優れた防音効果を有する床材1を得ることも可能である。
【0016】
円錐形凹部12のピッチ(最近接の円錐形凹部12間の平均間隔)は、広すぎると結果的に円錐形凹部12の絶対数が少なくなるので十分な防音効果が得られにくく、逆に狭すぎると、床材1が極端に撓みやすくなって表面に不陸が現れる原因となったり、床材1の強度が低下して割れ易くなる原因となったりする。円錐形凹部12の深さは、浅すぎると十分な防音効果が得られにくく、逆に深すぎると、円錐形凹部12の最奥部と基材11の表面との間に残された基材11の厚みが薄くなって、床材1の強度が低下し、割れ易くなる原因となる。円錐形凹部12の開口部の直径は、小さすぎると十分な防音効果が得られにくく、逆に大きすぎると、床材1の強度が低下して、撓みが大きくなり過ぎたり、割れ易くなったり、キャスターの転動や家具の脚等による凹み傷が発生し易くなったりする。
【0017】
従って、円錐形凹部12のピッチ、深さ及び開口部の直径は、基材11の材質や厚み、外形寸法、施工条件等に応じて適宜設計する必要がある。この種の床材1にあっては、基材11の材質は木質又は合成樹脂等、厚みは5〜15mm程度、外形寸法は75〜900mm×300〜1800mm程度とされるのが一般的であり、その範囲では、円錐形凹部12のピッチは15〜25mm程度、深さは基材11の厚みの6分の1以上3分の2以下程度、開口部の直径は3〜8mm程度の範囲内で概ね良好な結果が得られる。
【0018】
なお、円錐形凹部12の深さ及び開口部の直径は、全ての円錐形凹部12について完全に同一である必要は必ずしもなく、深さ及び/又は開口部の直径の異なる複数種類の円錐形凹部12を規則的に(例えば2種類を交互に)配列したり、各円錐形凹部12の深さ及び/又は開口部の直径を所定の範囲内でランダムに変化させたりしても良い。この様にして、円錐形凹部12の深さ及び/又は開口部の直径に変化を持たせることによって、十分な防音効果が得られる周波数帯の幅を広げ、発生原因の異なる様々な音に対して優れた防音効果を有する床材1を得ることも可能である。
【0019】
基材11の側面には、従来の床材における基材の場合と同様、床下地2上への施工時に床材1同士を側面で連結して固定させるための、雄雌実、雇い実、ダボ、相欠き、合决り等による連結構造が設けられていても良い。基材11が木質系基材である場合には、加工の容易な雄雌実が一般的であるが、基材12が合成樹脂系基材である場合には、図1に示した様な、合决り構造における突出部の先端に嵌合用の鈎部を有する鈎付き合决り構造などが、施工性に優れ好適である。
【0020】
本発明の床材1において、基材11の材質は特に限定されるものではなく、例えば天然木の無垢板や積層合板、木質繊維板(中密度繊維板、硬質繊維板)等の木質系基材や、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の合成樹脂系基材、アルミニウム等の金属系基材、或いはそれらの複数種からなる複合材料系基材等、従来より床材の基材として用いられて来た任意の素材を用いることができる。
【0021】
特に、合成樹脂系基材を用いた床材に本発明を適用した場合には、従来の平行溝付きの床材で問題になっていた、特定方向への過度の反りや撓みの問題が解消され、施工し易く、施工後に床面の歪みが目立ちにくい床材が得られる利点がある。しかも、合成樹脂系基材は加工性に優れているので、仕上がりの良好な円錐形凹部12を容易に形成可能である利点もある。
【0022】
合成樹脂系基材を構成する合成樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂と、例えばポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等の熱硬化性樹脂とがあるが、床材1に要求される適度の可撓性や柔軟性、使用後のリサイクル適性などを考慮すると、熱可塑性樹脂を使用することが望ましい。
【0023】
そして、上記した各種の熱可塑性樹脂の中でも、可撓性や柔軟性、成形性、加工性、燃焼時の無害性等を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル樹脂を使用することが最も望ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の金属中和物(アイオノマー)等、ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等を使用することができる。
【0024】
合成樹脂基材には、必要に応じて着色剤や充填剤等の添加剤を適宜添加することができる。着色剤としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料や、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニン等の有機顔料等、充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、シリカ等の無機充填剤や、パルプ、木粉、紙粉、籾殻粉等の有機充填剤等を使用することができる。その他、例えば分散剤、滑剤、核剤、相溶化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、発泡剤、帯電防止剤等の任意の添加剤を添加することができる。
【0025】
床材としての諸物性及びリサイクル適性等を考慮して、基材11として最も望ましいのは、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂と木粉とからなる木質樹脂成形体である。その配合比は、寸法安定性、曲げ強さ、切削性などを考慮すると、熱可塑性樹脂70〜50重量%、木粉30〜50重量%の範囲内が望ましい。分散性を向上させるために、不飽和カルボン酸又はその無水物をグラフト重合した変性ポリオレフィン系樹脂などの相溶化剤や、アクリル変性ポリテトラフロロエチレン系滑剤などを、熱可塑性樹脂と木粉との配合物100重量部当たり0.1〜5重量部程度配合すると良い。また、アゾジカルボンアミド系又は重曹−クエン酸系等の熱分解型化学発泡剤の添加による化学発泡及び/又はブタン等の低沸点液体の導入による物理発泡により、基材11の内部に発泡層を設けると、得られる床材1にクッション性が付与され、歩行感の向上や冷触感の防止などに有効である。
【0026】
基材11の裏面に円錐形凹部12を形成する方法は、本発明において特に限定されるものではなく、基材11の材質や成形方法などに応じて適宜選択すれば良い。木質系基材の場合には、ルーター等による機械切削法が好適である。合成樹脂系基材の場合には、樹脂成形技術を利用して、例えば射出成形法や熱圧縮成形法等により、基材11自体の成形と同時に円錐形凹部12を形成することも可能であるし、或いは、異形押出成形法等により、まず円錐形凹部12を有しない板状の基材11を成形した後に、ルーター等による機械切削法又はエンボス版を用いた熱圧エンボス法等により、円錐形凹部12を形成することも可能である。
【0027】
基材11の表面には、床面の意匠性を高めるために、例えば塗装、印刷、転写、化粧シート13の積層、又はそれらの組み合わせなどによる化粧加工を施すことが望ましい。一般的には、床面として十分な耐摩耗性や耐傷付性を備えさせるために、化粧シート13の積層による方法が採用される場合が多く、必要に応じてその上にさらにクリヤー塗料による塗装が施される。化粧シート13としては、例えば天然木の突板や、紙又は合成樹脂シートに木目柄、石目柄、抽象柄等の印刷を施した印刷シートなどが用いられる。
【0028】
特に、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂シートに印刷を施し、該印刷面にさらに透明な熱可塑性樹脂層を積層し、その表面にトップ層として紫外線硬化型樹脂等によるハードコート層を施した、硬質トップ層付きダブリング化粧シートが、床材としての苛酷な使用条件に耐える優れた耐摩耗性や耐傷付性を備えたものとして最も好適である。
【0029】
基材11と化粧シート13との積層方法は特に問わず、例えば適宜の接着剤を介したドライラミネート法又はウェットラミネート法や、感熱接着剤を介するか又は介さない熱ラミネート法、溶融押出した熱可塑性樹脂の薄層を介して接着するサンドラミネート法等、従来公知の手法を任意に採用できる。中でも、湿気硬化型ホットメルト接着剤を使用したホットメルト接着法によると、溶剤を用いずに迅速に接着可能であり、しかも硬化後の接着強度に優れるので、接着強度の要求の厳しい床材の用途には特に好適である。
【0030】
本発明の床材1には、従来の床材と同様に、基材11の裏面に例えば繊維質シート又は発泡樹脂シート等の緩衝材層14を積層することが望ましい。この緩衝材層14は、床下地2面の不陸を吸収して、床材1のがたつきを防止するほか、床面に適度のクッション性を与えて、歩行感を向上したり、床面に物が落下した際の衝撃を和らげて、床面の傷付きを少なくしたり、衝突音を小さくしたりする。また、床材1に衝撃が加わった時の、基材11の振動を抑えると共に、基材11の裏面と床下地2面とがぶつかり合うのを阻止して、階下への騒音の伝播を抑制することによる防音効果もある。
【0031】
緩衝材層14に用いる繊維質シートとしては、例えば天然繊維、合成繊維、無機繊維等又はそれらの混合物等よりなる織布又は不織布や、木材繊維等からなる軟質繊維板(インシュレーションボード)、発泡パルプシート等を使用することができる。また、発泡樹脂シートとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン等の合成樹脂や、天然ゴム又は合成ゴム等のエラストマー等を発泡させつつシート化した、発泡倍率5〜20倍程度のものなどを使用することができる。これら緩衝材層14の厚みは、1〜10mm程度の範囲で任意に選択でき、厚いほど効果が高いが、通常2〜3mm程度あれば十分な効果が期待できる。
【0032】
【実施例】
以下に、本発明の床材の実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明する。
【0033】
実施例1
ホモポリプロピレン樹脂70重量部、木粉30重量部、アクリル変性ポリテトラフロロエチレン系滑剤(商品名「メタブレン」)3重量部及び重曹−クエン酸系発泡剤1重量部の配合物を材料として異形押出法により、両側面に鈎付合决り連結構造部を有する有効幅150mm、厚み6mmの長尺板状に押出し、長さ900mm毎に裁断した後、その裏面に図2に示す様に、開口部の直径4mm、深さ4mmの円錐形凹部を、ピッチ20mmの碁盤目状配列で、ルーターにより切削形成して基材を作製した。
【0034】
上記基材の表面に、着色オレフィン系樹脂シートの表面に木目の絵柄印刷層を介して透明オレフィン系樹脂シートを積層し、さらに厚さ20μmの紫外線硬化型(UV)ハードコートを施した、総厚0.1mmのオレフィン系化粧シートを、湿気硬化型ホットメルト接着剤(日本フーラー株式会社製、RAKOLL JU−6574L、塗布量60μm)を介して積層し、該基材の裏面に、厚さ2mmの発泡ポリエチレンシート(日立化成工業株式会社製、ハイエチレンS EF1003K)を積層して、図2に示す構成からなる本発明の床材を作製した。
【0035】
比較例1
上記実施例1において、基材の裏面への円錐形凹部の切削形成を省略し、その他は上記実施例1と同一の要領にて、図3に示す構成からなる床材を作製した。
【0036】
比較例2
上記実施例1において、基材の裏面に円錐形凹部を切削形成する代わりに、幅3mm、深さ2mmの溝を基材の長手方向に平行に20mm間隔で切削形成して、図4に示す構成からなる床材を作製した。
【0037】
比較例3
上記実施例1において、基材の裏面に円錐形凹部を切削形成する代わりに、幅3mm、深さ2mmの溝を基材の長手方向に直角な方向に20mm間隔で切削形成して、図5に示す構成からなる床材を作製した。
【0038】
評価
上記実施例1及び比較例1〜3の床材について、防音試験と、長手方向及び幅方向の反りの有無の評価を行った。防音試験は、図6に示す要領で、厚さ150mmのコンクリートスラブ3上に各床材を両面粘着テープにて貼り付け、該床材の表面に、質量500gの鉄球を高さ500mmから自由落下させて衝突させ、その衝撃音をコンクリートスラブの下(図6の人の位置)で騒音計(リオン株式会社製、NA09型、A特性(各周波数に対する感度は、人の耳が40ホンで感じる時を基準に調整))にて測定した。その結果を下表に示す。
【0039】
Figure 2004116038
【0040】
実施例2〜7
上記実施例1において、円錐形凹部の深さ、直径(開口部)及びピッチを下表のように変更して床材を作製し、それらについて上記と同様の要領で防音試験を行うと共に、これら実施例1〜7の床材について、キャスター試験(直径25mmのナイロン製キャスターに1輪当たり294N(30kgf)の荷重を掛け、直線上を200往復転動後、表面状態を目視観察し評価)を行った。その結果を下表に示す。
【0041】
Figure 2004116038
【0042】
【発明の効果】
以上詳述の通り、本発明の床材は、基材の裏面に多数の円錐形凹部を2次元的に配列して形成したことにより、従来の裏面に平行溝を設けた床材と同等若しくはそれを上回る優れた防音効果を有している。また、上記2次元的に配列された円錐形凹部により、基材に等方的な可撓性が付与され、しかも、平行溝付きの床材と異なり、特定方向に反ることがないので、床下地面の不陸を吸収しつつ、極端な歪みのない床面を容易に施工することができる、施工性にも優れたものである。さらに、溝に沿って割れ易い平行溝付きの床材と異なり、強度の異方性が小さく、特定の方向に応力が集中して割れたりはしにくいので、家具等の重量物の設置による荷重や、歩行時又は物品の落下等による衝撃応力にも強く、耐久性に優れた床材であることなど、種々の実用上の利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の床材の施工状態を示す側断面図。
【図2】本発明の実施例1の床材の平面図及び側断面図。
【図3】比較例1の床材の平面図及び側断面図。
【図4】比較例2の床材の平面図及び側断面図。
【図5】比較例3の床材の平面図及び側断面図。
【図6】防音試験方法の概念図。
【符号の説明】
1   床材
11  基材
12  円錐形凹部
13  化粧シート
14  緩衝材層
2   床下地
3   コンクリートスラブ
4   鉄球

Claims (5)

  1. コンクリートスラブ又は荒床等の床下地上に施工するための平板状の床材において、支持体である基材の裏面に、多数の円錐形凹部が2次元的に配列されて設けられてなることを特徴とする床材。
  2. 前記円錐形凹部は、開口部の直径が3mm以上8mm以下、深さが前記基材の厚みの6分の1以上3分の2以下であり、15mm以上25mm以下のピッチで設けられていることを特徴とする請求項1に記載の床材。
  3. 前記基材が、合成樹脂系基材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の床材。
  4. 前記基材の表面に、化粧シートが積層されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の床材。
  5. 前記基材の裏面に、緩衝材層が積層されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の床材。
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