JP2004202843A - ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸着金属層との優れた接着性を有し、それにより蒸着後のガスバリア性,とりわけ水蒸気バリア性に優れ,かつ、ボイル、レトルトなどの高温熱水処理を施した後も、基材フィルムとの優れた接着性,ガスバリア性を有する易接着性プラスチックフィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に、(A)水溶性もしくは水分散性樹脂、(B)架橋材からなる易接着層が形成され、金属又は金属酸化物を蒸着した表面をトリフルオロ酢酸の蒸気で30秒処理した場合の処理前後のヘイズ変化が10以下であることを特徴とする易接着性プラスチックフィルム。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、易接着性プラスチックフィルムおよびその製造方法に関する。更に詳しくは蒸着金属層と優れた接着性を有し、特に蒸着後の水蒸気バリア性に優れ,包装材料、工業材料に提供される易接着プラスチックフィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムは、機械的性質、耐熱性および透明性に優れており、工業用途や食品包装用フィルムとしても広く使用されている。しかし、ポリエステルフィルム単独では、食品包材にとって極めて重要な性能の一つである、酸素および水蒸気遮断性などのいわゆるガスバリアー性に欠ける。したがって、フィルム表面にアルミニウムをはじめとする金属ないしは金属酸化物などの蒸着、いわゆるガスバリアー層を形成することによりガスバリアー性を改善し、食品保存性をさらに高めている。
【0003】
ポリエステルフィルムは優れた特性を有するが、その表面が高度に配向結晶化し表面の凝集性が高く、一般に接着性は低い。そのため、コロナ放電処理やプラズマ処理などの物理的処理方法や、酸、アルカリなどの化学薬品を使用してフィルム表面を活性化させる化学的処理方法により表面改質を図り、各種蒸着層の接着性を高める試みがなされている。しかし、このような物理的方法では、工程は簡便であるが得られる接着性は不十分であり、化学的方法では、工程は複雑となり作業環境悪化などの問題がある。
【0004】
上記の物理的、化学的処理方法とは別に、基材フィルムに接着活性を有する下塗り剤を塗布して、易接着層(以下プライマー層という)を積層する方法があるが、この方法はプライマー層の上にコートされる各種の蒸着層に応じてプライマー成分を選択できることなどから広く利用されている。
【0005】
プライマー層の構成成分としては、作業性、安全性およびコスト面から水性樹脂が汎用されているが、蒸着金属との接着性向上にはとりわけポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂などが好適に使用される。
【0006】
また、前記の水性樹脂に各種の硬化剤を配合し、プライマー層としての性能、特に耐水性、耐熱性を向上させることが実施されている。この目的で使用される硬化剤としては、たとえばイソシアネート化合物やメラミン化合物およびエポキシ化合物などが挙げられる。例えば、特公昭56−151562号公報、特公昭61−10311号公報には、イソシアネート化合物を使用して易接着性フィルムを得る方法が記載されている。また、特開平8−311221号公報には、ポリエステル樹脂とメラミン化合物とからなるプライマー層により、蒸着層の耐水接着性が向上することが示されている。また特開平8−332706号公報には、一分子当たりカルボジイミド基一つを含有するカルボジイミド単量体を使用して、易接着性積層フィルムを得る方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、これら既存の技術を用いたプライマー層は、特にボイル、レトルトなどの高温熱水処理を施した場合には、基材フィルムとトップコート層間の層間接着性が低下し、食品包材としての実用性能に問題が生じることがあった。すなわち、水性プライマーコート剤として用いられる各種硬化剤、架橋剤は、添加量が少なく,十分な層間接着性が得られておらず、昨今の食品包材に対する厳しい品質水準に鑑みて、その要求に応えられないことがしばしばある。
【0008】
プライマー層としてポリウレタンやポリエステル系樹脂等の水性樹脂に実質的に水不溶性のアミノ樹脂を添加することにより、耐熱性ならびに耐水性に優れた易接着性プラスチックフィルムが得られるが、アミノ樹脂が水不溶性であるため、安定した樹脂水溶液もしくは水分散液を調製することが困難であり,また得られたフィルムの表面ヘイズも高くなるという問題を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決し、蒸着金属層との優れた接着性を有し、それにより蒸着後のガスバリア性,とりわけ水蒸気バリア性に優れ,かつ、ボイル、レトルトなどの高温熱水処理を施した後も、基材フィルムとの優れた接着性,ガスバリア性を有する易接着性プラスチックフィルムおよびその製造方法を提供しようというものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、基材フィルムの少なくとも片面に、(A)水溶性もしくは水分散性樹脂、(B)架橋材からなる易接着層が形成され、金属又は金属酸化物を蒸着した表面をトリフルオロ酢酸の蒸気で30秒処理した場合の処理前後のヘイズ変化が10以下であることを特徴とする易接着性プラスチックフィルムである。
【0011】
【作用】
本発明のプラスチックフィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に、(A)水溶性もしくは水分散性樹脂、(B)架橋材からなる易接着層を含む。前記易接着層は、基材フィルムとの密着性に優れており,かつ,蒸着層を積層する場合の衝撃に十分耐える強度を有しており,蒸着層との密着性にも優れることにより、蒸着層が基材フィルムより剥がれたり,あるいは蒸着層が割れたりすることが抑制される為,優れたガスバリア性を発現することができる。
このような易接着層を有する本発明のプラスチックフィルムは、蒸着後のガスバリア性,酸素バリア性は元より水蒸気バリア性に優れるという特長を有し、特にガスバリア包装用途に好適なポリエステルフィルムである。
【0012】
前記特長は、易接着層に金属又は金属酸化物を蒸着した表面をトリフルオロ酢酸の蒸気で30秒処理した場合の処理前後のヘイズ変化が10以下であることという物性で表現することができる。
蒸着フィルムのガスバリア性において,特に水蒸気バリア性においては蒸着層と基材フィルム間の水の浸透性がポイントとなり,浸透力が強いと水蒸気の透過する面積が広がるため,水蒸気バリア性は低下する.蒸気トリフルオロ酢酸蒸気処理はこの透過性に関する有効な評価方法であることを見出した.すなわち,基材フィルムおよび蒸着層の密着性が十分に強いと,トリフルオロ酢酸蒸気処理では変化が見られないが,プライマー層がない,あるいは密着性が弱い場合はトリフルオロ酢酸の浸透により剥離が起こり,ヘイズが上昇する。
前記のトリフルオロ酢酸処理前後のヘイズ変化の上限値は、水蒸気バリア性の観点から、10以下であることが好ましく、好ましくは8以下,特に好ましくは6以下,更に好ましくは4以下である。
また,上記易接着層を設けることにより,加熱時の基材フィルムからのオリゴマー析出/凝集も抑制されている.このことにより,蒸着時の異物による欠陥が抑制されており,よりハイレベルな水蒸気バリアフィルムを形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明におけるプライマー層の構成に適用される水溶性もしくは水分散性樹脂としては、ウレタン樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
【0014】
本発明におけるプライマー層の構成に適用される水溶性もしくは水分散性ポリウレタン樹脂としては、各種ポリウレタン樹脂、ポリウレタンポリ尿素樹脂およびそれらのプレポリマー等が例示できる。このようなウレタン樹脂の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネートなどのジイソシアネート成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエチレングリコールなどのジオール成分との反応物、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、アミノ化合物、アミノスルホン酸塩、ポリヒドロキシカルボン酸、重亜硫酸などとの反応物などを挙げることができる。
【0015】
また、水溶性もしくは水分散性ポリエステル樹脂としては、各種ポリエステル樹脂およびそれらの変性物が例示できる。このようなポリエステル樹脂の具体例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールなどのジオール成分との反応物が挙げられ、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などによる変性物も含まれる。
【0016】
本発明におけるプライマー層には、架橋剤を用いることが必要である。架橋剤としては、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネ−ト化合物およびその各種ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン化合物などを挙げることが出来る。この中でアミノ樹脂,多官能イソシアネ−ト化合物およびその各種ブロックイソシアネート化合物が硬度,密着性の両立の面から特に好ましい。
【0017】
フェノール樹脂としてはたとえばアルキル化フェノール類、クレゾール類のホルムアルデヒド縮合物を挙げることが出来る。具体的にはアルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル)フェノール、p-tert- アミルフェノール、4, 4'-sec- ブチリデンフェノール、p-tert- ブチルフェノール、o-,m-,p-クレゾール、p-シクロヘキシルフェノール、4,4'- イソプロピリデンフェノール、p- ノニルフェノール、p-オクチルフェノール、3-ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニルo-クレゾール、p-フェニルフェノール、キシレノールなどのホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。
【0018】
アミノ樹脂としては、例えば尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどのホルムアルデヒド付加物、さらにこれらの炭素原子数が1〜6のアルコールによるアルキルエーテル化合物を挙げることができる。具体的にはメトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N-エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメトキシ化メチロールベンゾグアナミンであり、それぞれ単独または併用して使用することができる。
【0019】
エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p-オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0020】
さらにイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
【0021】
イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3-ジクロロ-2- プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t-ブタノール、t-ペンタノールなどの第3級アルコール類、ε- カプロラクタム、δ- バレロラクタム、γ- ブチロラクタム、β- プロピルラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。
【0022】
本発明におけるプライマー層において、水溶性もしくは水分散性樹脂(A)と架橋剤(B)の構成比はA/B=60/40〜5/95(質量比)にする必要があり、好ましくは45/55〜10/90,更に好ましくは50/50〜15/85である。この範囲内とすることにより、水分散性を確保することができるとともに、基材フィルムと蒸着層間の接着性に優れ、優れたガスバリア性,特に水蒸気バリア性を発揮することができる。架橋剤(B)の水溶性もしくは水分散性樹脂(A)に対する配合比が40質量%より低いと接着性が得られず、また95質量%より多くしても得られる接着性に大きな向上は認められず、かえって耐熱水/レトルト接着性が低下する。
【0023】
本発明において、基材フィルムに塗工するプライマー層の水溶液もしくは水分散液の濃度は、1〜30質量%とするのが適当であり、フィルムへの塗工性ならびに作業性から3〜10質量%がさらに好ましい。
また、該水溶液または水分散液ならびに基材フィルムには、本発明の効果を妨げない範囲において、必要に応じて帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を配合することも可能である。
本発明における易接着性プライマー層を形成する基材フィルムは特に限定されないが、特にポリエステルフィルムに適用すると優れた効果が得られる。ポリエステルフィルムとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレートなどが例示できるが、特にポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が最も好ましい。機械的性質、耐熱性および透明性などに優れ、好適な食品包材である。
【0024】
本発明におけるプライマー層の水溶液または水分散液を基材フィルムにコーティングする方法として、たとえば二軸配向結晶化終了前の基材フィルム、すなわち未延伸ないしは一軸延伸フィルムに上記水溶液または水分散液を塗布し、延伸熱処理を経て二軸延伸フィルムを得るいわゆるインラインプリコート法に適用できる。インラインプリコート法は、未延伸ないしは一軸延伸フィルムに上記水溶液または水分散液を塗布したのち延伸熱処理を実施するため、ポストコート法よりもプライマー層を薄くすることが可能であり、基材フィルムとトップコート層との密着性を高めることができる。また、プライマーの塗布工程が基材フィルムの製造工程に組み込まれていることから、低コストで該プライマーコートフィルムの製造が可能である。なお基材フィルムの延伸方法に関しては、材質に応じてテンター式同時二軸延伸法や逐次二軸延伸法を適用することができる。
本発明において、水溶液または水分散液を塗布、熱処理してなるプライマー層の厚みは、0.01 〜0.5μmが好ましい。0.01μmより薄いと接着性が低下し、0.5μmより厚いと易接着性向上等に有意な変化が見られず、むしろフィルム巻物にブラッシングないしはブロッキングが生じ、プライマー層の裏写りやフィルム巻出し時のプライマー層損壊やさらにはフィルム切断が発生するなど弊害が生じ、コスト面にも不利である。水分散液の塗布方法としては、既知の任意の方法を選択することができ、例えば、バーコート法、エアーナイフコート法、リバースロールコート法、グラビアロールコート法を適用することができる。
本発明により提供される易接着性プラスチックフィルムは、その表面にコロナ処理をはじめとする表面活性処理を施したり、印刷、各種機能コーティング、ラミネート等を行うことにより諸性能を付加し、その利用価値をさらに向上させることも可能である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)ラミネートフイルムの作成
蒸着源として、3mm〜5mm程度の粒子状SiO2(純度99.9%)とAl2O3(純度99.9%)を用いて、電子ビーム蒸着法で、得られた易接着フィルム上に酸化アルミニウムと二酸化ケイ素の混合ガスバリア層の形成を行った。真空層内には、巻き出し部、コーティング部、巻取り部が入っており、連続でフィルムに蒸着が可能である。蒸着時の圧力を1.0×10-4Torrになるように調整した。SiO2とAl2O3は、混合せずに2つに区切って入れた。加熱源として、電子銃(以下EB銃)を用い、2種類の原料をそれぞれ時分割で加熱した。その時のEB銃のエミッション電流を1.2Aとし、SiO2とAl2O3の加熱比を1:2で加熱した。フィルムの送り速度は、130m/minとし、150Å(オングストローム)厚の膜を作った。また、蒸着時のフィルムを冷却する為のロールの温度を-10℃に調整した。次に、フィルムの蒸着面にポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製,TM-590/)を約3μm塗布し、80℃で熱処理した後、低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡績製 L6102 厚み40μm)を80℃に加熱した金属ロール上で490kPaのニップ圧力でドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
(2)トリフルオロ酢酸蒸気処理でのヘイズ変化
22℃50%RHに調温調湿した部屋の中で,口径16mm,30mL容量のガラス瓶にトリフルオロ酢酸を10mL入れ,5分間静置し,液上部をトリフルオロ酢酸蒸気で満たす.その後,サンプルフイルムをガラス瓶の口部上部に当て,30秒間表面を蒸気で処理する.処理前後のへイズを下記方法で測定する.ヘイズはJIS−K7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
(3)ラミネートフイルムの熱水処理
試験片を95℃ 熱水中で30分,ボイル処理した。
(4)酸素バリアの測定
作成したフィルムの酸素透過率を酸素透過率測定装置(モダンコントロールズ社製 OX-TRAN100)を用いて測定した。
(5)水蒸気バリアの測定
作成したフィルムを40℃、100%R.H.の条件で米国、モコン(MOCON)社製の測定機(PARMATRAN-W)を用いて測定した。
(6)ラミ強度の測定
作成した試料を長さ15cm、1.5cm幅に切りだし剥離面に蒸留水をスポイトで一適落とした後、チャック間距離1cm、100mm/minの条件で測定した。
(実施例1)
アミノ樹脂(サイメル370,三井サイテック(株)製,固形分88%)22質量部に、水性ポリウレタン樹脂(HW340,大日本インキ株式会社製,固形分25%)78質量部を加え30分間撹拌したのち、水,イソプロパノールで希釈して総固形分濃度が5質量%となるよう濃度調整し、さらに20分間撹拌して水性樹脂配合液を得た。極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン=60/40)のPETを予備結晶化後,本乾燥し,Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し,表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た.得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃4.0倍延伸した.得られた一軸延伸フィルムの片面に,上記塗布液をファウンテンバーコート法により延伸前の樹脂固形分厚みが0.2μmとなる様に塗布し,引き続き乾燥しつつテンターに導き、100℃で予熱し、横延伸を120℃で4.0倍延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら225℃で熱処理を行い,厚さは12μmのニ軸延伸ポリエステルフィルムを得た.該プライマーコートフィルムに蒸着加工を施し、ラミネート強力を測定した結果を表1に示す。
(実施例2,比較例1,2)
樹脂成分と配合比を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様の手順で水性樹脂配合液およびプライマーコートフィルムを得た。水性樹脂配合液を評価した結果、および、フィルムのラミネート強力を測定した結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 2004202843
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、蒸着金属層に対し、熱水処理後も高い水蒸気バリア性を維持することが可能な易接着性プラスチックフィルムを提供することができる。そして、本発明の易接着性ポリエステルフィルムは、電気・電子部品、建材、写真製版、粘着テープ、離型などの一般工業用フィルムおよび食品包装用フィルムなど多様な用途において極めて有用であり、本フィルムを使用することにより、蒸着、ラミネートなどの加工工程において作業性が改善されるという利点も有する。

Claims (6)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に、(A)水溶性もしくは水分散性樹脂、(B)架橋材からなる易接着層が形成され、金属又は金属酸化物を蒸着した表面をトリフルオロ酢酸の蒸気で30秒処理した場合の処理前後のヘイズ変化が10以下であることを特徴とするプラスチックフィルム。
  2. 水溶性もしくは水分散性樹脂がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のプラスチックフィルム。
  3. 架橋材がアミノ樹脂またはポリイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1記載のプラスチックフィルム。
  4. 易接着層を形成する各成分の構成比が、成分(A)と成分(B)の質量比が40/60〜5/95であることを特徴とする請求項1記載のプラスチックフィルム。
  5. 基材フィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1記載のプラスチックフィルム。
  6. 水溶液または水分散液を二軸配向結晶化終了前の基材フィルムに塗布、乾燥した後、少なくとも一方向に延伸した後、熱処理することを特徴とする請求項5記載のプラスチックフィルムの製造方法。
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