JP2605817B2 - 被覆ポリエステルフイルムおよびそれを用いた蒸着フィルム - Google Patents

被覆ポリエステルフイルムおよびそれを用いた蒸着フィルム

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JP2605817B2 JP63202369A JP20236988A JP2605817B2 JP 2605817 B2 JP2605817 B2 JP 2605817B2 JP 63202369 A JP63202369 A JP 63202369A JP 20236988 A JP20236988 A JP 20236988A JP 2605817 B2 JP2605817 B2 JP 2605817B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,その表面に形成されるべき蒸着層との接着
性が,水の存在下においても極めて優れるポリエステル
フィルム,およびそれを用いた蒸着ポリエステルフィル
ムに関する。
(従来の技術) 金属や金属酸化物が蒸着されたポリエステルフィル
ム,特に金属蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム
はガスバリヤー性,水分不透過性,可視・紫外光の遮蔽
性,熱線反射性などに優れるため,各種の用途に利用さ
れている。例えば,食品や工業部品用の包装材料,装飾
用材料,窓ガラスの遮蔽用材料,金・銀糸用材料,各種
保護被膜用材料などに利用されている。しかし,上記蒸
着フィルムの基材層と蒸着層との接着性(密着性),特
に水が存在する場合の接着性は必ずしも充分であるとは
いえない。例えば,金属蒸着されたポリエステル系基材
フィルムのフィルム表面にポリオレフィン系樹脂でなる
ヒートシール層が積層されたヒートシールフィルムで食
品を包装した場合に,殺菌を目的として煮沸処理を行う
と,蒸着層が容易に剥離するという欠点がある。
ポリエステル基材フィルムと金属蒸着層との接着力を
改善する方法としては,例えば,特公昭55−232号公報
および特開昭56−16549号公報に,ポリエステルの他に
他の共重合体組成物を混合して基材フィルムを調製する
方法が開示されている。さらに,特開昭57−87357号公
報には,基材フィルムの表面状態を物理的に変化させる
方法が,そして,特公昭59−51424号公報には,基材フ
ィルム表面に特定の樹脂組成物溶液を塗布して該樹脂組
成物の層を形成する方法が開示されている。しかし,こ
れらの方法を採用しても基材フィルムもしくは積層フィ
ルムと金属蒸着層との接着性は,いまだ充分にあるとは
いえず,特に水(特に熱水)の存在下においてはその接
着性が不充分である。さらに,上記方法のうちで,特公
昭59−51424号公報に記載の樹脂組成物溶液を塗布する
方法においては,有機溶剤が使用されるため引火性や毒
性が憂慮され,作業上の危険を伴う。公害発生,省エネ
ルギーなどの点からも好ましくない。
基材フィルムとその表面に形成される被覆層との水の
存在下における接着性を高める方法としては,例えば,
特公昭55−45835号公報および特公昭55−12870号公報
に,基材フィルムと印刷層との接着性を改善する方法が
開示されている。この方法によれば,基材フィルムに特
定の組成のポリエステルがブレンドされる。しかし,こ
の方法は,基材フィルムに積層される層が印刷層である
場合には比較的優れた効果が得られるが,積層される層
が金属蒸着層である場合には,水の存在下,特に熱水の
存在下における接着性がなお充分であるとはいえない。
ポリエステル基材とそれに積層される層との接着性を
向上させる下塗り剤として,例えば特開昭48−37480号
公報には,特定のポリエステル系樹脂およびポリエーテ
ル系樹脂組成物が開示されている。これらの樹脂組成物
は基材となるポリエステルに対する接着性は良好である
が,積層されるべき金属蒸着層に対する接着性が不充分
であることが多い。さらに,上記樹脂組成物を基材に塗
布する場合には有機溶剤が使用されるため,上記特公昭
59−51424号公報の場合と同様,引火性や毒性のため作
業上の危険を伴う。
有機溶剤を使用しないで基材フィルム上に下塗り層を
形成する方法としては,特公昭54−16557号公報に,含
有成分を水溶性に変化させた組成物を含む水性溶液を塗
布する方法が開示されている。しかし,使用される組成
物が本質的に水溶性であるため,例えば得られた蒸着フ
ィルムは耐水性に乏しいという欠点がある。製造工程に
おいても水系溶媒は疎水性の基材フィルムに対して濡れ
が悪く,均一な塗膜が得られにくいという欠点もある。
このように,金属などの無機蒸着層との接着性,特に
水の存在下における接着性が良好であり,例えば得られ
た製品をボイル処理することが可能であるようなポリエ
ステルフィルムおよびそれを用いた蒸着フィルムは得ら
れていないのが現状である。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は上記従来の課題を解決するものであり,その
目的とするところは,金属蒸着層との層間接着性,特に
水の存在下における接着性に優れたポリエステルフィル
ムおよびそれを用いた蒸着フィルムを提供することにあ
る。
(課題を解決するための手段および作用) 本発明の披着ポリエステルフィルムは,ポリエステル
系樹脂でなる基材フィルムの少なくとも片面に被覆層が
形成された被覆ポリエステルフィルムであって;該被覆
層が,実質的に水不溶性でかつ水分散性の熱可塑性ポリ
ウレタンを主成分とする組成物により形成され;該ポリ
ウレタンが,ポリエステルポリオール,ジイソシアネー
ト,および必要に応じて2個以上の活性水素を有する低
分子化合物から得られ;そして,該ポリエステルポリオ
ールが50モル%以上の割合で脂肪族ジカルボン酸を含有
するジカルボン酸類,およびグリコール類から得られ,
そのガラス転移温度が40℃以下である。
本発明の蒸着ポリエステルフィルムは,上記被覆ポリ
エステルフィルムの該被覆層表面に無機物蒸着層が設け
られてなる。
本発明の蒸着ポリエステルフィルムに用いられる基材
フィルムとしては,熱可塑性ポリエステル系樹脂のフィ
ルム,例えば,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチ
レンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートなどの
フィルムが好適である。特にその成分の80%以上がポリ
エチレンテレフタレートに相当する(つまりテレフタル
酸成分およびエチレングリコール成分が全成分の80%以
上である)共重合ポリエステルフィルム,またはポリエ
チレンテレフタレートを80%以上の割合で含有するポリ
エステルブレンドフィルムが好適に用いられる。このよ
うな共重合ポリエステルフィルムまたはポリエステルブ
レンドフィルムの,上記ポリエチレンテレフタレート成
分以外のポリエステル成分は,任意のポリエステル成分
であり得る。そのようなポリエステルを構成するジカル
ボン酸成分としては,芳香族,脂肪族および脂環族のジ
カルボン酸がいずれも使用され得る。芳香族ジカルボン
酸としては,イソフタル酸,オルソフタル酸,2,6−ナフ
タレンジカルボン酸などが,脂肪族ジカルボン酸として
は,コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,シュウ酸など
が,そして,脂環族ジカルボン酸としては,1,3−シクロ
ペンタンジカルボン酸,1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸などがある。芳香族ジカルボン酸としては,p−ヒドロ
キシ安息香酸などのオキシ酸の一部が好適に利用され
る。上記ポリエステルを構成するグリコール成分として
は,炭素数2〜8個の脂肪族グリコールまたは炭素数6
〜12個の脂環族グリコールが好適である。このようなグ
リコールとしては,エチレングリコール,1,2−プロパン
ジオール,1,3−プロパンジオール,1,4−ブタンジオー
ル,ネオペンチルグリコール,1,6−ヘキサンジオール,
1,2−シクロヘキサンジメタノール,1,3−シクロヘキサ
ンジメタノール,1,4−シクロヘキサンジメタノール,p−
キシレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチ
レングリコールなどがある。この他,脂肪族グリコール
としてポリエーテルグリコールを使用することも可能で
あり,それにはポリエチレングリコール,ポリプロピレ
ングリコール,ポリテトラメチレングリコールなどがあ
る。
これらの酸成分とジカルボン酸成分とは,通常の方法
により重合(あるいは共重合)されてポリエステルが調
製される。このポリエステルは,必要に応じて,適宜混
合され,通常,溶融・押出により,あるいは溶剤に溶解
させてキャスティングすることによりフィルム(基材フ
ィルム)が得られる。使用される基材フィルムは,必要
に応じて,一軸もしくは二軸延伸される。
上記基材フィルム表面に形成される被覆層に用いられ
る組成物中の主成分であるポリウレタンは実質的に水不
溶性でかつ水分散性の熱可塑性ポリウレタンである。こ
こで「実質的に水不溶性である」とは,試験すべきポリ
ウレタンを80℃の熱水に浸漬し撹拌しても,この熱水中
に該重合体が消散しないことをいう。さらに具体的に
は,試験すべきポリウレタンをチップ状とし,これを大
過剰の熱水(80℃)に入れ,24時間撹拌を行なったとき
に,該重合体の重量の減少が5重量%以下であることを
いう。このようなポリウレタンとしては,ポリエステル
ポリオールとジイソシアネート類とから得られるポリウ
レタン;または該ポリウレタンをプレポリマーとし,こ
れにジオールまたはジアミンのような2個以上の活性水
素を有する低分子化合物を作用させて得られるポリウレ
タンが用いられる。
上記ポリエステルポリオールは,ジカルボン酸とグリ
コールとの反応によって得られる。これらのうちジカル
ボン酸としては,芳香族,脂肪族,脂環族のジカルボン
酸がいずれもが使用され得るが,脂肪族ジカルボン酸が
50モル%以上,好ましくは70モル%以上の割合で含有さ
れることが必要である。脂肪酸ジカルボン酸としては,
コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,シュウ酸などが用
いられる。脂肪族以外のジカルボン酸のうち芳香族ジカ
ルボン酸としては,テレフタル酸,イソフタル酸,オル
ソフタル酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸などがある。
p−ヒドロキシ安息香酸のようなオキシ酸の一部も用い
られ得る。脂環族ジカルボン酸としては,1,3−シクロペ
ンタンジカルボン酸,1,2−シクロヘキサンジカルボン
酸,1,3−シクロヘキサンジカルボン酸,1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン
酸が過少であると,得られるポリウレタンを含む組成物
により形成される被覆膜の水存在下(特に熱水存在下)
における接着性に劣る。さらに,未延伸の基材フィルム
上に被覆膜が形成される場合には,得られた被覆フィル
ムの延伸を行うと被覆膜の基材フィルムに対する追随性
に劣る。
ポリエステルポリオールを形成するグリコール成分と
しては,炭素数2以上の脂肪族グリコール類および脂環
族グリコール類がいずれも使用され得る。炭素数4以上
のアルキレングリコール類(例えば,ブタンジオール,
ヘキサンジオール)と,脂環族グリコール類(例えば,
シクロヘキサンジメタノール)またはビスフェノール系
化合物とを併用することが好ましい。
上記ジカルボン酸成分と多価アルコール成分とを用
い,通常,溶融重縮合法により,ポリエステルポリオー
ルが調製される。例えば,上記各成分を直接反応させて
水を留去しエステル化するとともに,重縮合を行なう直
接エステル化法;あるいは上記ジカルボン酸成分のジア
ルキルエステルとグリコール成分とを反応させてアルコ
ールを留出しエステル交換を行わせるとともに重縮合を
行なうエステル交換法などにより調製される。溶融重合
法の他,溶液重縮合法,界面重縮合法なども採用され得
る。
このようにして得られる水不溶性かつ水分散性のポリ
エステルポリオールは,そのガラス転移温度(Tg)が40
℃以下,好ましくは20℃以下であることが必要である。
ガラス転移温度が40℃を越えると,得られるポリウレタ
ンを含む組成物を基材フィルムに塗布するときの造膜性
が悪いため,得られる被覆層と基材フィルムとの密着性
が不充分となり,その結果,得られる被覆フィルムとこ
れに積層される蒸着層との密着性にも劣る。
このようにして得られるポリエステルポリオールに反
応させるジイソシアネート類としては,芳香族,脂肪
族,および脂環族ジイソシアネートがいずれも使用され
得る。例えば,トルエンジイソシアネートのような芳香
族ジイソシアネートが好適である。このような芳香族ジ
イソシアネートを用いて得られるポリウレタンを含む組
成物が形成する被覆膜は強度が高く,得られる被覆フィ
ルムの蒸着層との水存在下における接着性にも優れる。
上記ポリエステルポリオールに上記ジイソシアネート
を通常の方法により反応させて,ポリウレタンが得られ
る。さらに,ジオール,ジアミンなどの2個以上の活性
水素を有する低分子化合物(鎖延長剤)を反応させて鎖
延長させることも可能である。上記ジオールとしては1,
6−ヘキサンジオールなどが,ジアミンとしてはヘキサ
メチレンジアミンなどが用いられ得る。
被覆層を形成する組成物には,上記ポリウレタンに加
えて架橋性を有する樹脂成分が加えられていてもよい。
それには例えば,メラミン系,エポキシ系,アジリジン
系,ウレタン系などの樹脂がある。これらを含有させる
ことにより得られる被覆層の強度が高くなるという効果
が得られる。しかし,これらを含む組成物の水系分散液
の安定性が低下する;得られる被覆フィルムを冷却しつ
つ連続して蒸着を行う場合に蒸着層との充分な接着力が
得られない;得られた被覆フィルムに金属蒸着を施した
場合にこれを熱水処理すると金属光沢が失われて透明化
する;および得られた被覆フィルムまたは蒸着フィルム
を溶融または溶解して再利用するのが難しいという欠点
がある。従って,上記架橋成分の添加は,目的に応じて
適宜行われる。
組成物には,さらに他の添加剤が含有されていてもよ
い。それには例えば,シリカ,炭酸カルシウム,カオリ
ナイト,アルミナ,タルク,硫酸バリウムなどの無機不
活性粒子;ベンゾグアナミン系樹脂,ポリスチレン系樹
脂などの有機不活性粒子(いずれも粒径0.01〜10μm程
度)があり,これらを添加することにより,滑り性や耐
ブロッキング性が改良され得る。さらに必要に応じて顔
料;有機系,無機系の制電剤;防腐剤;消泡剤;紫外線
吸収剤などが用いられ得る。添加剤の種類および量は,
得られる被覆フィルムの水の存在下における蒸着層との
層間接着力を大きく阻害しない限り特に制限されない。
基材フィルム上に被覆されるべき上記組成物は,種々
の方法により水系分散液とされる。例えば,上記ポリウ
レタンの微粒子と乳化剤とを水中に加え,強撹拌下で分
散させる方法;該ポリウレタンを合成するときに,末端
にイソシアネート基を有するポリウレタン(プレポリマ
ー),鎖延長剤および乳化剤を水中で強撹拌して反応さ
せ,機械的剪断力による分散化と高分子量化を同時に行
う方法;ポリウレタンの側鎖または末端に水酸基,アミ
ノ基,カルボキシル基などのイオン性基を導入すること
により自己乳化性を付与して分散させる方法などが用い
られる。得られる被覆膜の耐水性を考慮すると,乳化剤
を使用しない方法が望ましい。得られたポリウレタンの
分散液に,必要に応じて各種添加物が加えられ,あるい
は上記分散工程においてこれらの添加剤が適宜添加され
て均一な水系分散液が調製される。
上記水系分散液は,上記基材フィルム上に既知の方法
により塗工される。例えば,溶融・押出により得られた
未延伸の基材フィルム,該未延伸フィルムを一軸もしく
は二軸延伸した基材フィルム上に上記分散液の塗工が行
われ,必要に応じてさらに延伸および後加熱処理が行わ
れる。未延伸または,一軸方向に延伸した基材フィルム
上に分散液を塗工し,さらに一軸または二軸延伸し,熱
処理して得られる二軸配向フィルムが,被覆層の密着
性,経済性などの点から好適である。特に作業性の面か
らは,一軸延伸した基材フィルム上に分散液を塗工し,
次に直交する方向に延伸して二軸延伸フィルムを得る方
法が好適である。上記水性分散液の塗工には,ロールコ
ーティング法(グラビア法,リバース法など),ナイフ
コーティング法,ロッドコーティング法,ノズルコーテ
ィング法,エアーナイフコーティング法など既知の方法
がいずれも採用され得る。塗工量は,目的に応じて決め
られるが,通常,二軸延伸などを行い最終的に得られる
被覆フィルムの単位面積(m2)上に存在する組成物量
は,0.01〜5g,好ましくは0.02〜1gである。塗工量が0.01
g/m2を下まわると所期の効果が得られず,5g/m2を越える
と得られる被覆フィルムのブロッキングが生じやすい。
得られた被覆フィルムに金属蒸着を施した場合に,これ
を熱水処理すると蒸着面の光沢が失われるという欠点も
ある。組成物水分酸液を塗工する際には,必要に応じ
て,基材フィルム表面にコロナ処理,または物理的,化
学的表面処理が行われてもよい。
このようにして得られる本発明の被覆ポリエステルフ
ィルム表面に無機物が蒸着される。蒸着されるべき無機
物としては,金属,金属酸化物,金属以外の無機酸化物
などが用いられる。上記金属としては,金,銀,アルミ
ニウム,亜鉛,錫,銅,ニッケル,鉄,コバルト,クロ
ム,マンガン,パラジウム,チタン,インジウムなどが
用いられる。特にアルミニウムが汎用される。無機酸化
物としては酸化硅素化合物などが用いられる。これらは
1種もしくは2種以上が組み合わせて用いられる。これ
らの無機物は,通常の方法で上記被覆フィルムの被覆膜
表面に蒸着される。真空蒸着法などが好適に用いられ
る。このようにして得られる蒸着ポリエステルフィルム
は,各種用途に用いられる。特に,被覆層上や金属や金
属酸化物を蒸着して得られる蒸着層上に,各種樹脂素材
でなるシートもしくはフィルムを積層して食品包装材料
などに好適に利用することが可能であり,このような積
層体は熱水中に浸漬しても剥離が起こらない。上記積層
すべきシートやフィルムを構成する樹脂材料としては,
ポリエチレン,ポリプロピレン,各種アイオノマー,エ
チレン−酢酸ビニル共重合体,ポリ塩化ビニリデン共重
合体,ポリエステル,ポリアミドなどが用いられる。
このように,本発明の被覆ポリエステルフィルムは,
基材と被覆層との層間接着性,および被覆層とその表面
に形成される層,特に蒸着層との層間接着性に優れる。
従って,これを用いて得られる本発明の蒸着ポリエステ
ルフィルムは,蒸着層の密着性,特に水の存在下におけ
る接着性に極めて優れる。そのため,このような蒸着ポ
リエステルフィルムは,熱水殺菌処理などが行われる食
品包装用フィルムとして特に好適に用いられる。
(実施例) 以下に本発明を実施例について述べる。
実施例1 (A)ポリウレタンおよび水系分散液の調製;ジカルボ
ン酸成分としてアジピン酸を;そしてグリコール成分と
して1,4−ブタンジオール60モル%(グリコール成分
の),およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド
(1モル)付加物40モル%を用いて,Tgが−5℃のポリ
エステル(ポリエステルポリオール)を得た。このポリ
エステルにトルエンジイソシアネートを作用させてウレ
タンポリマーを得た。これをプレポリマーとし,1,6−ヘ
キサンジオールを作用させて鎖延長すると共にアミノカ
ルボン酸塩を末端に反応させ,水不溶性でかつ水分散性
のポリウレタンを得た。これを撹拌しながら熱水中に分
散させ,25%水系分散液を得た。
上記ポリウレタンの水系分散液を,イオン交換水およ
びイソプロピルアルコールの等量混合液中に加え,固形
分が5%となるような分散液を得た。
(B)蒸着フィルムの調製:ポリエチレンテレフタレー
トを280〜300℃で溶融押出し,15℃の冷却ロールで冷却
して,厚さ約150μmの未延伸フィルムを得た。この未
延伸フィルムを,周速の異なる85℃の一対のロール間で
縦方向に3.5倍延伸した。次いで,(A)項で得られた
ポリウレタンを含む水系分散液をロールコーター方式で
塗布し,70℃の熱風で乾燥し,次いでテンターで98℃で
横方向に3.5倍延伸し,さらに200〜210℃で熱固定し,
厚さ12μmの二軸延伸コーティングポリエステルフィル
ムを得た。最終的なコート剤(被覆用組成物)塗布量は
約0.04g/m2であった。得られた被覆フィルムの被覆層を
形成する樹脂成分の組成,性質などを表1に示す。この
被覆フィルムの被覆層表面に,アルミニウムを600Åの
厚みに蒸着した。
(C)蒸着フィルムの性能評価:(B)項で得られた蒸
着フィルムの蒸着層表面に厚さ60μmの未延伸ポリプロ
ピレン(PP)シートを通常のドライラミネート法により
積層した後,エージング処理を行った。得られた積層体
を15mm幅の短冊状にカットし,95℃以上の沸騰水に30分
間浸漬した(ボイル処理)。別のサンプルを用いて120
℃の高圧水中で30分間浸漬処理する実験(レトルト処
理)も行なった。
上記未処理,ボイル処理およびレトルト処理後の積層
体の端部のPPフィルムと基材フィルムとを一部剥離し,
剥離した端部をそれぞれ東洋ボールドウィン社製テンシ
ロンのチャックに固定し,200mm/分の速度で長さ方向に
引っ張り,T型剥離を行なった。同様の条件下において剥
離界面に水滴をつけつつ行なう剥離実験を別に行なっ
た。それぞれの層間接着力(g/15mm)を表2に示す。
実施例2 トルエンジイソシアネートの代わりにイソホロンジイ
ソシアネートを用いたこと以外は実施例1と同様であ
る。
実施例3 ジカルボン酸成分としてアジピン酸50モル%,セバシ
ン酸20モル%およびテレフタル酸30モル%を用いて,Tg
が5℃のポリエステルポリオールを得たこと以外は実施
例1と同様である。
比較例1 ジカルボン酸成分として,テレフタル酸50モル%およ
びイソフタル酸50モル%を,そして,グリコール成分と
してエチレングリコール70モル%およびジエチレングリ
コール30%を用い,実施例1に準じてTgが55℃のポリエ
ステル(ポリエステルポリオール)を得た。これにヘキ
サメチレンジイソシアネートを作用させてウレタンポリ
マーを得,以下実施例1に準じて行なった。
比較例2 ポリエステルポリオールの代わりにポリ(オキシテト
ラメチレン)グリコールを用い,これにトルエンジイソ
シアネートを作用させて,ポリエーテル型ポリウレタン
を調製した。これに鎖延長剤としてヘキサメチレンジア
ミンを作用させ,以下,実施例1に準じて行なった。
比較例3 得られたポリウレタンにエポキシ系硬化剤としてソル
ビトールポリグリシジルエーテルを固形分比20重量%の
割合で,そして触媒として4級アンモニウム塩を添加し
たこと以外は実施例2と同様である。
比較例4 ポリウレタンを含む水系分散液を塗布しなかったこと
以外は実施例1と同様である。
表1および2から,本発明の蒸着ポリエステルフィル
ムは,基材フィルムと蒸着層とが熱水存在下においても
優れた接着性を示すことがわかる。これに対して,所定
の組成のポリウレタンを含む組成物でなる被覆層が形成
されていない比較例4のフィルムはこのような効果が得
られない。被覆層を形成する組成物中のポリウレタンを
形成するポリエステルポリオールのジカルボン酸成分と
して脂肪族ジカルボン酸が使用されず,該ポリエステル
ポリオールのTgが高い場合には,基材と蒸着層との充分
な接着効果,特に熱水存在下における充分な接着効果が
得られない。被覆層も均一でなく,従って均一な蒸着層
が得られない。(比較例1)。ポリウレタンがポリエス
テルポリオールではなくポリエーテルポリオールを用い
て調製された場合(比較例2)も充分な接着効果が得ら
れない。さらに,ポリウレタン樹脂の組成が特許請求の
範囲にあっても架橋剤を併用し樹脂組成物を熱硬化性と
した場合には,基材と蒸着層との充分な接着効果は得ら
れるものの,被覆層が均一ではなく,従って均一な蒸着
層が得られない。レトルト処理を行なうと金属光沢を失
って透明化するという欠点もある。
(発明の効果) 本発明によれば,このように,その表面に形成される
層,特に無機物蒸着層との接着性に優れた被覆ポリエス
テルフィルムおよびそれを用いた蒸着フィルムが得られ
る。蒸着層と基材フィルムとの接着力は水,特に熱水の
存在下においても充分である。このような蒸着フィルム
は食品包装用フィルム,装飾用材料,各種保護フィルム
などの用途に利用され,特に熱水による加熱処理が行わ
れる食品包装用フィルムに好適に用いられる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル系樹脂でなる基材フィルムの
    少なくとも片面に被覆層が形成された被覆ポリエステル
    フィルムであって, 該被覆層が,実質的に水不溶性でかつ水分散性の熱可塑
    性ポリウレタンを主成分とする組成物により形成され, 該ポリウレタンが,ポリエステルポリオール,ジイソシ
    アネート,および必要に応じて2個以上の活性水素を有
    する低分子化合物から得られ,そして, 該ポリエステルポリオールが50モル%以上の割合で脂肪
    族ジカルボン酸を含有するジカルボン酸類;およびグリ
    コール類から得られ,そのガラス転移温度が40℃以下で
    ある, 被覆ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】少なくとも一軸方向に配向された特許請求
    の範囲第1項に記載の被覆ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項に記載の被覆ポリエ
    ステルフィルムの該被覆層表面に,無機物蒸着層が設け
    られた,蒸着ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】前記被覆ポリエステルフィルムが,少なく
    とも一軸方向に配向された特許請求の範囲第3項に記載
    の蒸着ポリエステルフィルム。
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