JP7226294B2 - オーバーコート用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
したがって、コロイド結晶のオーバーコート後も発色性を良好に保つことができ、コロイド結晶層の表面を保護できる耐性(耐水性や耐溶剤性)の高い材料が求められていた。
まず、本発明に用いる水性樹脂微粒子(A)について説明する。水性樹脂微粒子(A)は、オーバーコート用樹脂組成物中において、樹脂粒子の水分散体の形態で存在し、コロイド結晶の塗膜耐性向上を目的にコロイド結晶層上に塗布され、乾燥していく過程で造膜し、コロイド結晶上にオーバーコート層を形成する。本明細書においては、コロイド結晶層とオーバーコート層を積層してなる上記の塗膜を「コロイド結晶塗膜」と呼称することにする。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tーブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、コハク酸β-(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等のカルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体;
2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸アンモニウム、ビニルスルホン酸等のスルホ基含有エチレン性不飽和単量体;
(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル-N-(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、アリルアルコール等の水酸基含有エチレン性不飽和単量体;
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシエチレン基含有エチレン性不飽和単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等が挙げられ、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有エチレン性不飽和単量体;
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体;
ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシ(メタ)アクリレート等のケトン基含有エチレン性不飽和単量体;
アリル(メタ)アクリレート、1-メチルアリル(メタ)アクリレート、2-メチルアリル(メタ)アクリレート、1-ブテニル(メタ)アクリレート、2-ブテニル(メタ)アクリレート、3-ブテニル(メタ)アクリレート、1,3-メチル-3-ブテニル(メタ)アクリレート、2-クロルアリル(メタ)アクリレート、3-クロルアリル(メタ)アクリレート、o-アリルフェニル(メタ)アクリレート、2-(アリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルラクチル(メタ)アクリレート、シトロネリル(メタ)アクリレート、ゲラニル(メタ)アクリレート、ロジニル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、ビニル(メタ)アクリレート、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル,リノレン酸ビニル、2-(2’-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等の2個以上のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和単量体;
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有エチレン性不飽和単量体;
N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アルキルエーテル化N-メチロール(メタ)アクリルアミド等;
のメチロール基含有エチレン性不飽和単量体が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる
ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩系(市販品としては、第一工業製薬株式会社製アクアロンAR-10、AR-20)、
スルフォコハク酸エステル系(市販品としては、例えば、花王株式会社製ラテムルS-120、S-120A、S-180P、S-180A、三洋化成株式会社製エレミノールJS-2等)、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩系もしくはポリオキシエチレンアルキルフェニルエステル硫酸塩系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンHS-10、HS-20、HS-30、BC-10、BC-20、株式会社ADEKA製アデカリアソープSDX-222、SDX-223、SDX-232、SDX-233、SDX-259、SE-10N、SE-20N、等)、(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製アントックスMS-60、MS-2N、三洋化成工業株式会社製エレミノールRS-30等)、リン酸エステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製H-3330PL、株式会社ADEKA製アデカリアソープPP-70等)のアニオン性の反応性乳化剤;
ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル系(市販品としては、第一工業製薬株式会社製アクアロンAN-10、AN-20等)、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンRN-10、RN-20、RN-30、RN-50、株式会社ADEKA製アデカリアソープNE-10、NE-20、NE-30、NE-40等)、(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製RMA-564、RMA-568、RMA-1114)等のノニオン性の反応性乳化剤;
ポリイソシアネートとポリオールの重付加反応により得られるウレタン樹脂であり、親水基の導入により樹脂全体が水溶化された水溶性ポリウレタン樹脂;
多価カルボン酸とポリオールの重縮合反応により得られるポリエステル樹脂であり、親水基の導入により樹脂全体が水溶化された水溶性ポリエステル樹脂;
等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。さらにこれらの樹脂は、ラジカル開始剤により溶液重合もしくは塊状重合で合成しても構わないし、市販品を使用しても構わない。また、必要に応じて前述で述べた塩基性化合物を使用する事ができる。
本発明のオーバーコート用樹脂組成物は、水と水性樹脂微粒子(A)を含有しており、コロイド結晶上に塗布、乾燥することで造膜し、オーバーコート層を形成する。コロイド結晶の諸物性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、塗膜の造膜性や各種耐性を向上させる目的で、親水性溶剤や架橋剤等の添加剤を使用することができる。
エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコール系溶剤;
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;
N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、ε-カプロラクタム等のラクタム系溶剤;
ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、出光製エクアミドM-100、エクアミドB-100等のアミド系溶剤等が挙げられる。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。
本明細書におけるコロイド結晶層用樹脂組成物は、樹脂微粒子(B)を含有しており、基材上に塗布されてコロイド結晶層を形成するための樹脂組成物を意味する。コロイド結晶層用樹脂組成物より得られたコロイド結晶層は、ブラッグ反射由来の構造色を発現し、粒子径を制御により、周期間隔も制御でき、様々な色を発色させることができる。コロイド結晶層用樹脂組成物は、乾燥時の粒子配列やコロイド結晶塗膜の諸物性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、発色性や塗工性、塗膜耐性を向上させる目的で、無彩黒色微粒子、親水性溶剤や架橋剤等の添加剤を使用することができる。使用できる親水性溶剤ならびに架橋剤としては、オーバーコート用樹脂組成物で例示したものが挙げられる。
~150℃である事がより好ましい。Tgが60℃以上であることにより、コア部形状が熱や溶剤の影響で変形する恐れが少なくなる。したがって、発色性や耐溶剤性により優れるコロイド結晶塗膜を得ることができる。
基材上に樹脂微粒子(B)と水を含有してなるコロイド結晶層用樹脂組成物を塗布する。塗布方式としては、インクジェットやスプレー、ディッピングやスピンコート等、版を使用しない印刷方式、オフセットグラビアコーター、グラビアコーター、ドクターコーター、バーコーター、ブレードコーター、フレキソコーター、ロールコーター等の有版の印刷方式、どちらを採用しても構わない。
本明細書における使用可能な基材としては、従来既知のものを任意に用いることができる。例えば、ポリ塩化ビニルシート、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルムの様な熱可塑性樹脂基材や、アルミニウム箔の様な金属基材、ガラス基材、コート紙基材などにも使用可能である。基材は印刷媒体の表面が滑らかであっても、凹凸のついたものであっても良いし、透明、半透明、不透明のいずれであっても良い。コロイド結晶塗膜の発色をより明瞭にするため、黒色等に予め着色された基材を用いる事も可能である。また、上記これらの基材の2種以上を互いに張り合わせたものでも良い。
コロイド結晶の塗膜耐性を更に上げる目的で、コロイド結晶層上にオーバーコート用樹脂組成物を塗布する。塗布方式としては、特に限定は無く、前述したコロイド結晶用樹脂組成物の塗布方法で例示した方式を採用することができる。
分散体を500倍に水で希釈し、該希釈液約5mlを動的光散乱測定法(測定装置はナノトラックUPA(株)マイクロトラックベル社製)により測定をおこなった。得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを平均粒子径とした。同時に下記式より粒子径の均斉度を表す変動係数Cv値を算出した。
Cv値(%)=粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
ガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量計TAインスツルメント社製)により測定した。樹脂微粒子分散体を乾固したサンプル約2mgをアルミニウムパン上で秤量し、該アルミニウムパンをDSC測定ホルダーにセットし、5℃/分の昇温条件にて得られるチャートの吸熱ピークを読み取り、ガラス転移温度(Tg)を得た。
JIS K2501に記載の方法に従い、水酸化カリウム・エタノール溶液で電位差滴定をおこない算出した。滴定には平沼産業社製:自動滴定装置COM-1600を使用した。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値。乾燥させた樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、0.2%溶液を調製し、以下の装置ならびに測定条件により重量平均分子量を測定した。高分子量化により、樹脂微粒子が不溶で測定が困難なものについては、重量平均分子量が100万を超えるものとみなした。
装置:HLC-8320-GPCシステム(東ソー社製)
カラム;TSKgel-SuperMultiporeHZ-M0021488
4.6 mmI.D.×15cm×3本
溶出溶媒;テトラヒドロフラン
標準物質;ポリスチレン(東ソー社製)
流速;0.6mL/分、試料溶液使用量;10μL、カラム温度;40℃。
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水68.9部を仕込み、別途、スチレン5.0部、メチルメタクリレート45.0部、n-ブチルメタクリレート5.0部、2-エチルヘキシルアクリレート5.0部、n-ブチルアクリレート36.0部、メタクリル酸2.0部、アクリル酸1.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.0部、KH-10(第一工業製薬製重合性界面活性剤)の20%水溶液5.0部、水40.4部をあらかじめ混合、撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体の乳化液のうちの3%を反応容器に添加した。反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながらエチレン性不飽和単量体の乳化液の残りと過硫酸カリウムの5%水溶液2.0部を3時間かけて滴下し、更に4時間反応させて水性樹脂微粒子(A)の水分散体を得た。反応完了後、25%のアンモニア水1.9部添加して中和し、水を添加して最終固形分を43.0質量%に調整した。得られた水性樹脂微粒子(A)の平均粒子径は185nm、Tgは13.0℃、酸価は20.8mgKOH/g、重量平均分子量は樹脂が高分子量化して不溶であったため100万を超えるものとみなした。上記の樹脂微粒子(A)の水分散体にイソプロピルアルコールを2.0部添加して、オーバーコート用樹脂組成物を調製した。
表1、2に示す配合組成で、実施例1と同様の方法により、水性樹脂微粒子(A)の水分散体を調製した。反応完了後、25%のアンモニア水を樹脂中のカルボキシ基に対して、当モルになるように添加して中和し、更に水を加えて最終固形分を43.0%に調整した。得られた水性樹脂微粒子(A)について、実施例1と同様に、平均粒子径、Tg、重量平均分子量を測定した。上記の樹脂微粒子(A)の水分散体にイソプロピルアルコールを2.0部添加して、目的のオーバーコート用樹脂組成物を調製した。
尚、実施例3、実施例10、比較例1では、反応容器に仕込むエチレン性不飽和単量体の乳化液量を3%から1.5%、5.2%、1.1%にそれぞれ変更した。実施例2、比較例2では、別途、反応容器にKH-10(第一工業製薬製重合性界面活性剤)の20%水溶液を其々、1.0部、1.3部仕込んだ。実施例9、10では合成後の樹脂微粒子(A)の水分散体にアジピン酸ジヒドラジドを其々、1.0部、1.5部添加した。尚、表1、2中の数値は、特に断りがない限り「部」を表し、空欄は配合していないことを意味する。
[製造例1]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水68.9部を仕込み、別途、スチレン85.0部、ベンジルメタクリレート5.0部、2-エチルヘキシルアクリレート7.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.0部、アクアロンKH-10の20%水溶液5.0部、水40.4部をあらかじめ混合、撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体の乳化液のうちの3%を更に加えた。内温を70℃に昇温して十分に窒素置換した後、開始剤として過硫酸カリウムの5%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながらエチレン性不飽和単量体の乳化液の残りと過硫酸カリウムの5%水溶液2.0部を3時間かけて滴下し、更に4時間反応させて最終固形分45.0質量%の樹脂微粒子の水分散体を得た。得られた樹脂微粒子の平均粒子径とCv値を測定したところ、平均粒子径は201nm、変動係数Cvは25.8%であった。水性樹脂微粒子(A)と同様にDSC測定をおこなったところ、Tgは76.9℃であった。
樹脂微粒子(B)の分散体を500倍に水希釈し、該希釈液約5mlを動的光散乱測定法(測定装置はナノトラックUPA(株)マイクロトラックベル社製)により測定をおこなった。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを平均粒子径とした。同時に下記式より粒子径の均斉度を表す変動係数Cv値を算出した。
Cv値 %=粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
表3に示す配合組成に変更した以外は、製造例1と同様の方法により、最終固形分45.0質量%の樹脂微粒子の水分散体をそれぞれ調製した。得られた樹脂微粒子について、製造例1と同様に、平均粒子径、Cv値、Tgを測定した。尚、表3中の数値は、特に断りがない限り「部」を表し、空欄は配合していないことを意味する。
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水95.0部と別途、スチレン97.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.0部、第一工業製薬製アクアロンKH-10の20%水溶液を5.0部、水39.1部を混合、撹拌して調製した一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液のうちの1.5%を更に加えた。反応容器の内温を70℃に昇温して十分に窒素置換した後、開始剤として、過硫酸カリウムの2.5%水溶液5.7部を添加して重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を維持しながら一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液の残りと過硫酸カリウムの2.5%水溶液4.0部を2時間かけて滴下しながら反応させ、コア粒子を合成した。生成したコア粒子の平均粒子径は205nmであった。一段目の滴下完了から20分後、別途、メチルメタクリレート15.0部、n-ブチルアクリレート26.1部、アクリル酸0.9部、アクアロンKH-10の20%水溶液2.1部、水16.8部を混合、撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液の滴下を開始した。内温を80℃に保ちながら二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と過硫酸カリウムの2.5%水溶液2.1部を2時間かけて滴下しながら反応を更に進め、最終固形分45.0質量%のコアシェル型の樹脂微粒子(B)の水分散体を得た。得られたコアシェル型樹脂微粒子について、平均粒子径、Cv値、Tgを測定したところ、平均粒子径は253nm、Cv値は25.7%、コア部のTgは100.1℃、シェル部のTgは-12.5℃であった。
表4、5に示す配合組成に変更した以外は、製造例4と同様の方法により、コアシェル型の樹脂微粒子(B)の水分散体をそれぞれ調製した。合成の際、エチレン性不飽和単量体の乳化液は、乳化液中のエチレン性不飽和単量体の濃度が69.0質量%、乳化剤の濃度が0.69質量%になる様、水を添加して調製した。合成後、水の添加や減圧ストリッピングによる脱水等により樹脂微粒子の水分散体の最終固形分は45.0%に調整した。尚、製造例10、11については、反応槽に分割して仕込む一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液量を1.5%から3.0%、1.0%にそれぞれ変更した。得られたコアシェル型樹脂微粒子は製造例4と同様に、平均粒子径、Cv値、Tgの測定を行った。尚、表4、5中の数値は、特に断りがない限り「部」を表し、空欄は配合していないことを意味する。
[製造例19]
製造例1の樹脂微粒子(B)の水分散体100部に、無彩黒色微粒子としてオリエント化学工業社製BONJET BLACK CW-1(表面変性カーボンブラック 平均粒子径62nm 顔料分20.0%)2.3部を添加して撹拌し、コロイド結晶層用樹脂組成物を調製した。
表6、7に示す配合組成に変更した以外は、製造例19と同様の方法によりコロイド結晶層用樹脂組成物をそれぞれ調製した。尚、表6、7中の数値は、特に断りがない限り「部」を表し、空欄は配合していないことを意味する。
[製造例37]
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ製FOR 膜厚20.0μm)のコロナ処理面に、真空デバイス社製PIB-20を用いて、プラズマ処理を施した。処理条件は下記の通り。
雰囲気ガス:空気
雰囲気ガス圧:20Pa
放電電流:20mA
処理時間:1分間
その後、プラズマ処理を施した表面上に製造例19のコロイド結晶層用樹脂組成物を乾燥膜厚が7μmになるようにバーコーターで塗工し、50℃・3分の条件で乾燥させて、コロイド結晶層を得た。更にコロイド結晶層上に、実施例1で調製したオーバーコート用樹脂組成物を乾燥換算で膜厚が7μmになるようにバーコーターで塗工し、70℃・2分の条件で乾燥させて、目的のコロイド結晶塗膜を得た。処理PETフィルム(東洋紡社製E5100 膜厚12.0μm)においても、上記と同様の方法により、コロイド結晶塗膜を作製した。
表8~10で示す組み合わせで、製造例37と同様にしてコロイド結晶塗膜を作製した。尚、比較製造例5には、オーバーコート用樹脂組成物として、SYLGARD184溶液(東レダウ社製シリコーンエラストマー前駆体 主剤A液(固形分99.6%):架橋剤B液(固形分76.2%)=10:1(質量比))、比較製造例6には、ポリビニルアルコール20%水溶液(クラレ社製ポバール22-88)、比較製造例7にはゼラチン2%水溶液(ナカライテスク社製ゼラチン)を用いた。
前述で作製したコロイド結晶塗膜を用い、オーバーコート後の発色性、追従性、耐摩擦性、耐ラビング性、耐水性、耐溶剤性を評価した。表10~12にその結果を示す。
各基材上で作製したコロイド結晶塗膜の反射スペクトルを、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製V-770D、積分球ユニットISN-923)を用いて波長250~850nmの範囲を測定した。各波長における反射率は、反射率が既知の標準白板(ラブスフェア社製SRS-99-010)をリファレンスとして用いて測定した相対反射率である。得られた反射スペクトルについて、構造色に由来する反射率の最大値と構造色によらないベースラインの反射率の差分(△R)を算出した。△Rが大きくなるほど、発色性に優れることを示す。オーバーコート前のコロイド結晶層についても同様に△Rを求め、オーバーコートによる△Rの変化(低下率)を評価した。△Rが低下するほど、コロイド結晶塗膜が退色していることを示す。
評価基準は以下の通りである。
◎;△Rが15%以上であり、△Rが変化していない。(極めて良好)
○;△Rが15%以上であり、オーバーコート後の低下率が5%未満。(良好)
△;△Rが15%以上であり、オーバーコート後の低下率が5%以上、30%未満。(不良)
×;△Rが15%未満である、または、△Rが15%以上であり、オーバーコート後の低下率が30%以上。(極めて不良)
処理OPPフィルムおよび処理PETフィルム上で作製したコロイド結晶塗膜の試験片(5cm×5cm)を10回、180度に折り曲げ、傷や剥がれを観察した。
◎;剥がれや傷が無く、発色に変化無し。(極めて良好)
○;僅かに剥がれが有るが、発色に変化なし。(試験片全体で剥がれた面積が5%未満)(良好)
△;剥がれがやや有るが、発色に変化なし。(試験片全体で剥がれた面積が5%以上、10%未満)(不良)
×;剥がれも有り、退色している箇所がある。(試験片全体で剥がれた面積が10%以上)(極めて不良)
処理OPPフィルムおよび処理PETフィルムで作製したコロイド結晶塗膜の試験片(5cm×5cm)を指の腹で15往復擦り、傷や剥がれのつき易さを観察した。評価基準は以下の通りである。
◎;傷や剥がれが全くない。(極めて良好)
○;わずかに傷や剥がれがある(擦った箇所全体のうち、剥がれた面積が10%未満)(良好)
△;傷や剥がれがある(擦った箇所全体のうち、剥がれた面積が10%以上、20%未満)(不良)
×;傷や剥がれがある(擦った箇所全体のうち、剥がれた面積が20%以上)(極めて不良)
処理OPPフィルムおよび処理PETフィルム上で作製したコロイド結晶塗膜の試験片(5cm×5cm)について、水またはエタノール溶液を浸漬させた綿棒で15往復、試験片を擦り、傷や剥がれのつき易さを観察した。評価基準は以下の通りである。
◎;傷や剥がれが全くない。(極めて良好)
○;わずかに剥がれがある(擦った箇所全体のうち、剥がれた面積が10%未満)(良好)
△;剥がれがある(擦った箇所全体のうち、剥がれた面積が10%以上、20%未満)(不良)
×;剥がれがある(擦った箇所全体のうち、剥がれた面積が20%以上)(極めて不良)
処理OPPフィルムおよび処理PETフィルム上で作製したコロイド結晶塗膜の試験片に、水またはエタノールをオーバーコートを施した表面上に滴下した後、50℃・3分間乾燥して、前述の発色性評価と同様に反射スペクトルを測定した。滴下前後での反射スペクトルの比較から反射率の最大値の変化を評価した。反射率の最大値が低下するほど、コロイド結晶塗膜が退色していることを示す。
評価基準は以下の通りである。
◎;反射率の最大値が変化していない。(極めて良好)
○;反射率の最大値がやや低下している。(低下率が10%未満)(良好)
△;反射率の最大値が低下している。(低下率が10%以上、30%未満)(不良)
×;反射率の最大値が大幅に低下している。(低下率が30%以上)(極めて不良)
SYLGARD184溶液;東レダウ社製シリコーンエラストマー前駆体溶液 主剤A液(固形分99.6%):架橋剤B液(固形分76.2%)=10:1(質量比)
PVA水溶液;ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製ポバール22-88固形分20.0%)
ゼラチン水溶液;ゼラチン2%水溶液(ナカライテスク社製ゼラチン)
Claims (5)
- コロイド結晶層の表面を保護するためのオーバーコート用樹脂組成物であって、水性樹脂微粒子(A)と水とを含有してなり、水性樹脂微粒子(A)は、平均粒子径が60~300nm、重量平均分子量が50,000以上、酸価が5~70mgKOH/g、かつガラス転移温度(Tg)が-30~50℃であり、エポキシ基、カルボキシ基、水酸基、ケトン基、及びヒドラジド基からなる群より選ばれる一種以上の基を有するアクリル樹脂またはスチレンアクリル樹脂である、オーバーコート用樹脂組成物。
- コロイド結晶層が、コアシェル型樹脂微粒子を含有してなる請求項1記載のオーバーコート用樹脂組成物。
- コアシェル型樹脂微粒子中のコア100質量部に対するシェルの質量が、10~50質量部である請求項2記載のオーバーコート用樹脂組成物。
- コアシェル型樹脂微粒子中のコア部のTgが、60℃以上である請求項2または3記載のオーバーコート用樹脂組成物。
- コアシェル型樹脂微粒子中のシェル部のTgが、-50以上20℃未満である請求項2~4いずれか記載のオーバーコート用樹脂組成物。
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