JP2001329197A - 記録物、記録方法、記録装置 - Google Patents

記録物、記録方法、記録装置

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JP2001329197A
JP2001329197A JP2000150141A JP2000150141A JP2001329197A JP 2001329197 A JP2001329197 A JP 2001329197A JP 2000150141 A JP2000150141 A JP 2000150141A JP 2000150141 A JP2000150141 A JP 2000150141A JP 2001329197 A JP2001329197 A JP 2001329197A
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Satoshi Yuasa
聡 湯浅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録媒体上に、光干渉により発色する部分が
安定に固着している記録物を提供する。 【解決手段】 記録媒体上の一部に単分散粒径の球状透
明固体微粒子が凝集配列して規則的周期構造を形成して
付着して存在する記録物において、前記微粒子がガラス
転移温度を有しないかまたはガラス転移温度95℃以上
の難溶融性成分よりなるコア部分と、ガラス転移温度が
50℃以上85℃以下の易溶融性成分よりなる表層部分
とからなることを特徴とする記録物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面に光干渉による
発色を有する記録物、その記録方法、及び記録装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】通常の印刷物は色素を被印刷面に付着さ
せたものである。その印刷面は前記色素の光吸収によ
り、色素に依存した一定の波長領域の光を反射あるいは
透過することにより着色して見える。色素は多種のもの
が入手でき、特に合成有機色素は多種にして多様な色の
発色を可能としている。しかし色素による着色は光エネ
ルギーの吸収によるものであるため、吸収した光エネル
ギーにより色素が化学変化を起こす可能性を有する。こ
のような色素を用いた印刷物に光を当てた際に色あせす
る光退色現象は「ヤケ」として知られている。特に屋外
展示する印刷物は直射日光に曝されるため、その着色に
用いる色素には耐光性が必須である。
【0003】色素の中には吸収した光エネルギーを別の
波長の光として放出する性質を持つものも存在し、蛍光
色素として知られている。蛍光色素を印刷物に用いると
その色素に依存した特定の波長領域の光が吸収されるだ
けでなく、色素に依存した別の特定波長の光が放出され
るために、視覚的に強調された印象の強い印刷物が得ら
れる。狭い波長領域に発光エネルギーが集中している蛍
光色素を印刷に用いると、色純度の高い光が視認される
ために鮮やかな印象の印刷物が得られる。
【0004】色素を用いずに着色を得る技術としては光
の干渉を利用するものが知られている。光の干渉を利用
した発色は、蛍光色素を用いた場合のような色純度の高
い光が視認されることに加えて、対象物と照明や視線と
の角度により干渉条件が変化し明るさや色に変化が現れ
る。したがって蛍光色素を用いた印刷より一層印象的な
視認効果が得られる。色素を用いない着色は、色素に見
られる光褪色現象がなく、色あせしないとうい利点も有
している。
【0005】ホログラムはフィルムに光の干渉縞を記録
し、これに再生光を当てて透過光あるいは反射光に干渉
を生じさせ、着色した立体像などを表示する技術であ
る。露光/現像を必要とするホログラムは印刷物の簡便
な大量生産には向かない。しかしエンボスホログラムは
表面に光干渉を起こす凹凸を形成して前記のような像の
再生表示を可能としたもので、金型を使ったスタンピン
グなどにより凹凸を形成できるので大量生産に向くもの
である。しかし光の波長に近いサイズの精度での凹凸成
形が必要であるために、印刷には高い精度の金型が要求
される。また、凹凸形成する基体の形状や材料を自由に
選ぶことはできない。
【0006】そこでエンボスホログラムを任意の基体に
印刷する方法として、まずエンボスホログラムを形成し
た転写箔を作成し、この転写箔を基体に転写することに
より、ホログラムを基体に印刷する方法が行われてい
る。このような転写箔には予め所定の干渉パターンが記
録されているのであるから、基体への転写時にこのパタ
ーンを変更することは難しい。転写箔を基体に転写する
際にその干渉パターンの一部を消去するためには例えば
特開平5−11676で提案されるような特別な工夫が
必要であった。したがって、前記転写箔を利用する印刷
は、基体の任意の所定領域に光干渉を有する部分を形成
する方法としては、あまり簡便なものとは言えなかっ
た。
【0007】コレステリック液晶材料には、液晶層のら
せんピッチが可視光と干渉し発色するものがある。前記
のらせんピッチを温度で制御することも知られている。
例えば玉置信之らは、ADVANCED MATERIALS, 1997年
第9巻14号1102ページにおいてジアセチレン部と
コレステリル部を有する材料が100度付近でコレステ
リック液晶相を示して温度に応じて可視域の発色をする
こと、及び発色状態の前記材料を急冷すると発色状態が
固定されることを見出し、前記の材料を2枚のガラス板
に挟んだものに熱書き込み急冷固定操作をすることによ
りカラー記録ができたことを報告している。
【0008】この玉置らの方法は、加熱・冷却により繰
り返し書き換えが可能という点でカラー表示デバイスと
して優れたものではあるが、特殊な液晶材料を挟持した
ガラス板を使用する点において記録の媒体が限られてし
まう欠点がある。
【0009】粒径が一様な透明材料の微粒子を規則的に
配列すると、微粒子配列により光の干渉が起こり着色し
た反射光が得られる。シリカの単分散粒子を懸濁液から
沈殿させて熱処理することにより、着色した反射光を示
す燒結体が得られている(例えばMAYORAL らによるADVA
NCED MATERIALS, 1997年第9巻3号257ペー
ジ)。プラスチックの微粒子についても同様に発色が起
こることが知られている。例えJORNAL of the OPTICAL
SOCIETY of AMERICA, 1954年44巻8号603ペー
ジでVANDERHOFFらはビニル重合体の均一粒子系ラテック
スから強い光干渉による発色を示す材料が得られたこと
を報告している。
【0010】樹脂エマルジョンを湿潤状態のまま容器に
封入する、あるいは乾燥体としてから樹脂で被覆するこ
とによりオパール様の光沢物体とすることが特公昭45
−32046において、渡辺らによって開示されてい
る。
【0011】合成高分子の均一微粒子を重合性単量体を
溶媒として分散し、粒子の3次元配列が形成された後に
前記重合性単量体溶媒を重合することにより安定した発
色物体とし、板、棒、球や容器として装飾、ディスプレ
ー用としたり物体表面への塗装ができることが、特公昭
53−31173において巨勢らにより開示されてい
る。
【0012】これらの微粒子集合体に関する研究は、微
粒子集合体そのものが光干渉により着色する現象に注目
し、着色物体を製造する方法に関したものであった。
【0013】ところで粒径が一様な透明材料の微粒子を
配列させて光干渉により発色する配列構造を形成した場
合、その構造が壊れると発色も消えてしまう。粒子の配
列により発色する材料においては、その配列構造を安定
にしなければ、安定な発色材料として利用できない。
【0014】前記のMAYORAL らはシリカ粒子を燒結する
ことで部分的に粒子同士を融着させて安定な発色体とし
ているが、シリカの燒結には数百℃の高温が必要であ
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、透明粒子が
配列構造形成して光と干渉して発色する材料を、簡便に
安定化することを目的になされたものである。
【0016】具体的には本発明の第1の目的は、光干渉
構造形成後に低い温度で結着できる粒子を提供すること
にある。
【0017】さらに本発明の目的は、記録媒体上の所望
の位置に光干渉により発色する部分が安定に固着してい
る記録物、その記録方法及び記録装置を提供することに
ある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の記録物は、記録
媒体上の一部に単分散粒径の球状透明固体微粒子が凝集
配列して規則的周期構造を形成して付着して存在する記
録物において、前記微粒子がガラス転移温度を有しない
かまたはガラス転移温度95℃以上の比較的難溶融性成
分よりなるコア部分と、ガラス転移温度が50℃以上8
5℃以下の比較的易溶融性成分よりなる表層部分とから
なることを特徴とする記録物である。
【0019】本発明の記録方法は、記録媒体上の所望の
位置に単分散粒径の球状透明固体微粒子が凝集配列して
規則的周期構造を形成する記録方法において、ガラス転
移温度を有しないかまたはガラス転移温度95℃以上の
比較的難溶融性成分よりなるコア部分と、ガラス転移温
度が50℃以上85℃以下の比較的易溶融性成分よりな
る表層部分とからなる単分散粒径の透明固体微粒子を液
体に懸濁し、懸濁液を液滴状として記録媒体に付着せし
め前記微粒子が規則構造を形成した後に、前記易溶融成
分の融着を促進する加熱工程を施すことを特徴とする記
録方法である。
【0020】本発明の記録装置は、粒径分布が単分散で
ある透明固体微粒子を懸濁した液体を液滴状として記録
媒体に付着させる記録装置において、前記微粒子がガラ
ス転移温度を有しないかまたはガラス転移温度95℃以
上の比較的難溶融性成分よりなるコア部分と、ガラス転
移温度が50℃以上85℃以下の比較的易溶融性成分よ
りなる表層部分とからなる粒子を用い、前記易溶融性成
分の融着を促進する加熱手段を有することを特徴とする
記録装置である。
【0021】前記微粒子の表層部分として用いられる材
料は光を透過する性質を持つ必要がある。また、常温に
おいては互いに粘着せず、加熱時に融着可能なものでな
ければならない。この条件を満足するためには、材料の
ガラス転移温度が50℃以上、85℃以下とすべきであ
る。ガラス転移温度がこの範囲以下では、非加熱時に意
図せぬ融着が起こりやすい。ガラス転移温度がこの範囲
以上であると融着させるために高い温度の加熱が必要に
なり、好ましくない。
【0022】このような性質を有する透明材料として
は、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹
脂、オレフィン系樹脂、ビニルエステル系樹脂などの付
加重合体などが利用できる。適当なガラス転移温度を有
する材料とするために、複数の樹脂の混合物や、複数の
単量体からなる共重合体物を使用することもできる。
【0023】前記の透明材料として具体的には、メタク
リル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン
−メタクリル酸ブチル共重合体などを例として挙げるこ
とができる。
【0024】前記微粒子のコア部分として用いられる材
料は光を透過する性質を持つものでなければならない。
可視光に対しては、例えばシリカ、アルミナ、チタニ
ア、ジルコニアなどの無機酸化物、SiO2 ・Al2
3 、SiO2 ・B23 、TiO2 ・CeO2 、SnO
2 ・Sb25 、SiO2 ・Al23 ・TiO2 、T
iO2 ・CeO2 ・SiO2 などの複合無機酸化物、チ
タン酸金属塩などの酸素酸塩セラミクスや、メタクリル
系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン
系樹脂、ビニルエステル系樹脂などの付加重合体などが
利用できる。
【0025】このような光を透過する材料はそれぞれに
適した方法により、均一な粒子径を有する微粒子状に調
製する。前述のシリカのような無機酸化物の場合は、例
えば対応するアルコキシドの溶液から加水分解反応を行
ういわゆるゾル−ゲル法と呼ばれる工程を利用すること
により均一な粒径の微粒子を調製することができる。ま
た前述のアクリル樹脂などの付加重合体の場合には、例
えば懸濁重合・ソープフリー重合のような方法を用いる
ことにより均一な粒径の微粒子を調製することができ
る。
【0026】付加重合体の粒子においては、形状安定化
の目的のために、重合単量体の一部として二官能性架橋
単量体を混在させるとよい。前記の二官能性架橋単量体
とは、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタク
リレートなどのように分子内に複数の重合可能部位を有
する単量体のことである。
【0027】前記微粒子のコア部分は、後述の加熱工程
で溶融されない性質を有することが必須である 無機材
料からなるコア部分は、この条件を満たすに足る充分に
高いガラス転移温度を通常有する。一方、前記の付加重
合体をコア部分の材料とする場合には、その材料が充分
に高いガラス転移温度を有するものを選ぶ必要がある。
具体的には、前記の表層部の材料が互いに融着する温度
において溶融や変形を起こさないために、ガラス転移温
度が95℃以上の材料を用いるべきで上限は問わない。
こうしたコア部分の材料としてはポリスチレン、ポリメ
タクリル酸メチル、あるいはそれらを主成分とする重合
体混合物や共重合体などが利用できる。なお、前記二官
能性架橋単量体を共重合モノマーとして用いて調製した
粒子では加熱による融着や変形が起こり難くなるため、
コア部分の材料として好適である。
【0028】前記のコア部分と表層部分とからなる球状
透明固体微粒子は、平均粒径において100nm以上、
1000nm以下となるべきである。この範囲以下では
干渉が起こる光の波長が短くなり着色の目的には向かな
い。一方、この範囲以上では干渉が起こる光の波長が長
くなる上、微粒子を液体に分散した場合の沈降が速いた
めに着色用インクとして利用し難くなる。
【0029】また、粒子配列における光の干渉で充分鮮
やかな発色を得るためには前記の粒子の平均粒径に対す
る粒径の標準偏差(粒径の変動係数)が小さい、すなわ
ち単分散であることが必須である。実験の結果、粒径の
変動係数が0.05以下でないと鮮やかな着色とならな
いことがわかった。そこで本発明においては粒子の変動
係数が0.05以下である場合に、粒子が単分散である
ということにする。
【0030】光の干渉を起こす規則的な粒子配列は、前
記のコア部分の大きさで制御されるべきである。加熱工
程で融着する表層部分の厚さで制御されるべきでない。
したがって前記の単分散透明微粒子全体に対する表層部
分の比は大きすぎてはならない。一方表層部分が少ない
と、融着による充分な粒子間の接合が得られない。この
ような制約から粒子全体に対する表層部分の割合は1.
5重量%以上、15重量%以下が好ましい。これ以下で
は表層部分の材料を存在させた効果がほとんど得られ
ず、これ以上では加熱時や長期保存時の着色の減退が見
られるようになる。
【0031】前記の単分散微粒子が密に配列して規則構
造を形成すると、粒子が格子面を形成する。この格子面
による可視光の反射がブラックの条件 2nDcosθ=mλ を満たすと考えられる。前式でmは回折の次数を表わす
自然数、θは入射光が格子面の法線となす角、Dは格子
面間隔、nは粒子配列構造の平均屈折率である。格子面
間隔Dは一つの格子系に対して無数に存在するが、例え
ば六方あるいは立方の最密充填格子で最も短いものは、
粒子径をdとした場合には D=d(√2/√3) となると考えられる。
【0032】上記の条件に加えて、空気層から平均屈折
率nの層に光が入射して屈折が起こることを考慮する
と、干渉波長の式は mλ=2√/√3)d(n2 −sin2 θ)1/2 となる。平均屈折率nは、粒子の屈折率n’と粒子の体
積分率φから n=n’φ と見積もることができる。しかし光の波長オーダーのサ
イズの微粒子の屈折率を正確に測定することは難しく、
また同じ材料のバルクの屈折率と微粒子の屈折率が一致
するとも限らないため、上記の式を使って可視光の干渉
波長を予想する精度はあまり高くない。むしろ、観察さ
れた粒径と干渉光とから、見掛けの平均屈折率を得て、
同じ材料系による粒子サイズの設計に用いるとよい。
【0033】次に本発明の記録物の記録方法と、その方
法による記録を行う記録装置について説明する。本発明
の記録方法は、記録媒体上の所望の位置に単分散粒径の
球状透明固体微粒子を凝集配列して規則的周期構造を形
成する記録方法において、ガラス転移温度を有しないか
またはガラス転移温度95℃以上の比較的難溶融性成分
よりなるコア部分と、ガラス転移温度が50℃以上85
℃以下の比較的易溶融性成分よりなる表層部分とからな
る単分散粒径の透明固体微粒子を液体に懸濁し、その懸
濁液を液滴状として記録媒体に付着せしめ前記微粒子が
規則構造を形成した後に、前記易溶融成分の融着を促進
する加熱工程を施すことを特徴とする記録方法である。
【0034】前記の粒子が懸濁する液体は、粒子を実用
上溶解しない液体であって揮発性を有するものが用いら
れる。液体は1種類単独でも利用できるが、2種類以上
を混合して利用することもできる。2種類以上の液体を
混合して利用する場合には、混合する液体を均一に混ぜ
るべきである。
【0035】前記液体として普通に利用できるものの例
としては、水、あるいは水に溶解する有機液体と水との
混合物が挙げられる。有機液体は液滴のインクジェット
手段による吐出の安定性と、液滴が記録媒体に付着した
後の懸濁粒子の凝集配列性を改善する。前記有機液体の
例としてはメタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノー
ル、2−メチル−2プロパノール、2−メチル−2−ブ
タノールなどの低級アルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、チ
オジグリコール、トリエチレングリコールなどのアルキ
レングリコール類、1,3−ブタンジオール、2−メト
キシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキ
シ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノー
ルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ア
セトン、ブタノンなどのケトン類、ジアセトンアルコー
ルなどのケトアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロ
ピランなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミドなどのアミド類、N−メチル−2−ピ
ロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノンなどを挙げることができる。
【0036】前記の有機液体を用いずに水のみを前記の
粒子を懸濁する液体として用いてもよい。しかし後述す
るインクジェット手段に用いる場合に吐出の安定性を向
上するため、及び前記の粒子懸濁液を記録媒体に吐出し
た後の前記粒子の配列を改善するためで、水に前記の有
機液体を加えることが好ましい。
【0037】インクジェット手段の吐出安定化に有効な
上記の有機液体成分の割合は、粒子懸濁液重量の3〜5
0重量%の範囲であり、好ましくは、3〜40重量%の
範囲であり、使用する水はインク全重量の10〜90重
量%、好ましくは30〜80重量%の範囲である。
【0038】前記懸濁液に対する前記の単分散微粒子の
含有量は、1から20重量%、好ましくは2から15重
量%である。微粒子の含有量が低いと、発液性面に吐出
される微粒子の量が少なくなり発色が弱くなる。微粒子
の含有量が高いと後述するインクジェット方式の吐出が
難しくなる。
【0039】前記懸濁液には、前記の成分の他に、必要
に応じて所望の物性値を持つ記録液とするために、界面
活性剤、消泡材、防腐剤など、水溶性染料などを適宜添
加することもできる。
【0040】例えば界面活性剤は、前記懸濁液に対して
保存安定性などに悪影響を及ぼさないものであればよ
く、例示するならば脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エ
ステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルア
リルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン
アルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンア
ルキルエステル類、アセチレンアルコール、アセチレン
グリコールなどの非イオン性界面活性剤がある。これら
の1種または2種以上を適宜選択して使用できる。
【0041】前記界面活性剤の使用量は粒子懸濁液に対
して0.01〜1重量%が望ましい。ただし前記粒子懸
濁液の表面張力は22dyne/cm以上になるように
活性剤の添加する量を決定することが好ましい。これよ
り小さい表面張力を示すことは、インクジェット記録方
式においてはノズル先端の濡れによる印字よれなど好ま
しくない事態を起こす場合があり、また前記の記録媒体
面での乾燥時に前記懸濁粒子の配列構造形成を乱して記
録物の発色に悪影響を与える場合がある。
【0042】前記の単分散微粒子の懸濁液よりなるイン
クは、液滴状として前記記録媒体に付着させる。この工
程に用いる手段としてはインクジェット方式が便利であ
る。
【0043】インクジェット方式には、記録ヘッドの室
内の記録液に記録信号に対応した熱エネルギーを与え、
そのエネルギーにより液滴を発生させる熱エネルギー方
式や、電歪材料に電圧を加えて変形させることによって
液滴を吐出するピエゾ方式などがあるが、前記の単分散
微粒子懸濁液を吐出可能ならばいずれの方式も利用でき
る。
【0044】インクジェット方式の画像形成装置は、コ
ンピュータの出力装置として記録信号に応じて二次元画
像を形成することができることが知られている。このよ
うな装置を用いるならば、前記の単分散微粒子を懸濁し
た液体を前記の記録媒体上に任意の二次元パターン状に
吐出することができる。
【0045】前述の熱エネルギー方式のインクジェット
装置の主要部であるヘッド構成例を図1(A)、図1
(B)、図2に示す。図1(A)はインク流路に沿った
ヘッド13の構成例を説明する断面図であり、図1
(B)は図1(A)のA−B線での切断面を説明する断
面図である。図2は、図1(A)に示すヘッドを多数並
べたマルチヘッドの外観図を示す。図3は、このような
ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示
す。
【0046】図1において、ヘッド13はインクを通す
溝14を有するガラス、セラミックス、またはプラスチ
ック板などと、感熱記録に用いられる発熱ヘッド15と
を接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン
などで形成される保護膜16、アルミニウム電極17−
1,17−2、ニクロムなどで形成される発熱抵抗体層
18、蓄熱層19、アルミナなどの放熱性のよい基板2
0よりなっている。
【0047】インク21は吐出オリフィス(微細孔)2
2まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成し
ている。
【0048】いま、電極17−1,17−2に電気信号
が加わると、発熱ヘッドの15のnで示される領域が急
激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生
し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21を
吐出し、オリフィス22より記録小滴24となり記録媒
体25に向かって飛翔する。
【0049】図2に示すマルチヘッドはマルチ溝26を
有する天板27と、図1(A)に説明したものと同様な
発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0050】図3において、61はワイピング部材とし
てのブレードであり、その一端はブレード保持部材によ
って保持されて固定端となりカンチレバーの形態をな
す。ブレード61は記録ヘッドによる記録領域に隣接し
た位置に配設され、また、本例の場合、記録ヘッドの移
動経路中に突出した形態で保持される。62はキャップ
であり、ブレード61に隣接するホームポジションに配
設され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して
吐出面と当接しキャッピングを行う構成を具える。キャ
ップは後述のヘッド65の数と対応させて同じ形状のも
のが複数連動する。さらに63はブレード61に隣接し
て設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同
様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持され
る。上記ブレード61、キャップ62、吸収体63によ
って吐出回復部64が構成され、ブレード61及び吸収
体63によってインク吐出口面の水分、塵や埃などの除
去が行われる。
【0051】65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐
出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐
出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を
搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジ
である。図3では記録ヘッドをキャリッジ66に2つ
(65−1,65−2)装着している例を示している
が、さらに大型のキャリッジに3つ以上の記録ヘッドを
装着してもよい。複数の記録ヘッド65にはそれぞれ異
なる粒子サイズの微粒子を分散したインクを充填する。
キャリッジ66の一部は、モータ68によって駆動され
るベルト69と接続(不図示)している。これによりキ
ャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能とな
り、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領
域の移動が可能となる。
【0052】図3では記録ヘッド65を独立して同等な
2つのヘッドの組(65−1,65−2)として示した
が、図2のように一つのヘッドに複数の吐出ノズルを設
けこれに複数のインクタンク(不図示)を接続するなら
ば、外見上一つのヘッドのみであっても、本発明の記録
方法を実施可能な装置となる。また、複数の記録ヘッド
65をそれぞれ別のキャリッジ66とキャリッジ駆動系
により移動してもよい。
【0053】51は、記録媒体を挿入するための給紙
部、52は不図示のモータにより駆動される紙送りロー
ラである。これら構成によって記録ヘッドの吐出口面と
対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行するに
つれて排紙ローラ53を配した排紙部へ排紙される。
【0054】上記構成において、記録ヘッド65が記録
終了などでホームポジションに戻る際、ヘッド回復部6
4のキャリッジ62は記録ヘッド65の移動経路から退
避しているが、ブレード61は移動経路中に突出してい
る。このため、記録ヘッド65の吐出口面がワイピング
される。なお、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面
に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記
録ヘッドの移動経路中へ突出するように移動する。
【0055】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。したがって、この移動においても、記録ヘッド65
の吐出口面はワイピングされる。
【0056】上述した記録ヘッドのホームポジションへ
の移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録
ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間
隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、こ
の移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0057】図4は、ヘッドにインク供給チューブを介
して供給されるインクを収容したインクカートリッジ4
5の一例を示す図である。ここで40は供給用インクを
収納したインク袋であり、その先端にはゴム製の栓42
が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入す
ることにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給
可能にできる。44は廃インクを受容するインク吸収体
である。
【0058】本発明で使用されるインクジェット記録装
置としては、上記のようなヘッドとインクカートリッジ
とが別体となったものに限らず、図5に示すようなそれ
らが一体になったものも好適に用いられる。
【0059】図5はヘッドとインクカートリッジが一体
となったインクジェット記録装置の一例の斜視図であ
る。
【0060】図5において、70はインクジェットカー
トリッジであって、この中にはインクを含浸させたイン
ク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のイ
ンクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からイン
ク滴として吐出される構成になっている。72はカート
リッジ内部を大気に連通させるための大気連通口であ
る。
【0061】このインクジェットカートリッジ70は、
図3で示す記録ヘッド65に代えて用いられるものであ
って、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
【0062】前記記録媒体に対して、前記の微粒子を懸
濁した液体の液滴を前記のインクジェット装置で付与す
ると、記録媒体上に微粒子の凝集物が形成される。前記
の微粒子凝集物は、粒子が密に配列しており光を当てる
と干渉による着色が見られる。凝集物の表面形状は前記
のインクの組成に依存するが、図6に示すように通常伏
せた盾型(図6(A))あるいは中央の凹んだカルデラ
状(図6(B))である。このように前記の凝集物は表
面が平面的でないために種々の方向からの光に対して干
渉して着色光を反射できる。
【0063】前記の記録媒体面における光の反射や散乱
を抑制すると、前記の微粒子凝集物による着色光の視認
が容易となり高い表示効果を有する記録物となる。記録
媒体面における光の反射や散乱を抑制するには、例えば
記録媒体面自体あるいはその下地を透明または暗色とす
るとよい。
【0064】本発明の記録方法により光干渉の起こる微
粒子配列が形成される過程を図7によって説明する。
【0065】前記の微粒子を懸濁した液体の液滴4は液
滴吐出手段5から記録媒体3に吐出されると(図8
(B))、その場で図6で示したような液溜り6を形成
する。この液溜りは液体の乾燥に伴って収縮する。この
液溜りの収縮の際に内部の微粒子が濃縮され、微粒子の
凝集物1,2が残る。前記微粒子が単分散であれば、凝
集物の内部では同一サイズの粒子が密に充填されて面心
立方格子あるいは六方最密格子またはそれに近い粒子配
列が形成される(図8(C))。この時点で凝集物は、
その規則配列に基づく光干渉により特定波長の入射光を
反射する。この規則配列の繰り返し周期は前記の単分散
粒子のサイズに依存するので、所望の周期構造を得るに
は前記粒子に適切なサイズのものを選択して用いればよ
い。
【0066】記録ヘッド5と記録媒体3いずれか一方、
あるいは双方の移動手段(不図示)を用いることによっ
て記録ヘッド5と記録媒体3との相対位置を変えてから
液滴4を記録媒体3に再び吐出することにより、記録媒
体3の上の任意の位置に液溜り6を形成することができ
る。これを乾燥することにより記録媒体3の上の任意の
位置に凝集物を形成することができる。移動手段と液滴
吐出とを所定のタイミングで制御することにより、凝集
物からなる所望の2次元パターン形状を描画できる。
【0067】前記凝集物のサイズは、前記インクジェッ
ト装置で吐出する懸濁液内の微粒子量を増すことと、懸
濁液の吐出量を増すことのいずれかあるいは両方によ
り、大きくすることができる。前記記録媒体の同じ位置
に複数回の液滴吐出を行うことも、懸濁液の吐出量を増
すことと同等の効果がある。また、一般記録媒体の上で
充分近接した位置に液滴を吐出すると、記録媒体上で液
滴の融合が起こり、融合した場所のほぼ中央に大きな液
溜りができる。したがって、所定の範囲内に充分近接し
て液滴を密集吐出しても前記の凝集物のサイズを大きく
することができる。
【0068】上記のようにして記録媒体上に微粒子凝集
物を形成した後、加熱することにより前記微粒子の表層
部を互いに融着させると、微粒子間が結着して凝集物が
強固になる。このとき微粒子と記録媒体との間の結合も
合わせて強化され、前記凝集物は記録媒体から剥離し難
くなり、しっかりと記録の定着した記録物(図7)とな
る。
【0069】加熱温度は記録媒体の種類および加熱時間
にもよるが45℃以上90℃以下で、好ましくは微粒子
の低い方のガラス転移温度−5℃〜+10℃である。
【0070】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
する。なお、本発明はこの実施例に限られるものではな
い。
【0071】実施例1 水350mlを還流冷却器付の1リットル容量の4口フ
ラスコに入れ窒素雰囲気として水浴で70℃に加熱し
た、この容器に過硫酸カリウム1gを水約20mlに溶
解して添加し10分間攪拌後、スチレン2g、メタクリ
ル酸メチル2g、メタクリル酸ヒドロキシエチル1gの
混合物を前記の容器に添加し15分間加熱攪拌をした。
【0072】上記の容器をさらに同温度に保ったまま攪
拌しながらスチレン37.5g、メタクリル酸メチル8
g、メタクリル酸ヒドロキシエチル2.5gの混合物
(比重はおよそ0.92)を0.04ml毎分の速度で
注入し、1時間後に注入速度を0.12ml毎分とし、
さらに1時間後に注入速度を0.22ml毎分とした。
前記の混合液を全量注入した後10分間加温熟成させた
(前段反応)。
【0073】得られた乳濁状の反応液の半量を別容器に
移し、残りの反応液にスチレン2g、メタクリル酸ブチ
ル1g、メタクリル酸ヒドロキシエチル0.15gの混
合液を7分間かけて加えて40分間加熱攪拌を続けた
(後段反応)。
【0074】この反応液を乾燥し走査電子顕微鏡で観察
したところ、個数平均粒径310nm、標準偏差12n
mの球状粒子であることがわかった。示差走査熱量分析
により、95℃と62℃にガラス転移が見られた。
【0075】後述の比較例1も参照すると、前段反応で
はガラス転移点95℃の粒子コア部分が形成され、後段
反応で粒子の表層部分が形成され、その重量割合は、反
応原料の使用量から89:11と計算される。
【0076】前記の反応液50mlに、2−プロパノー
ル20mlと水30mlとの混合液を加えて希釈した白
色の乳濁液の一部を紙の上に塗り乾燥した。この紙の上
に、見る角度により赤い反射光が観察できる光沢のある
膜が形成された後、この紙を60℃の恒温乾燥器に3時
間入れた。次にこの紙を乾燥器から温度25℃、相対湿
度55%の保存庫に移し30分間保った。
【0077】この紙を保存庫から取り出し、曲率半径2
5mmまで5回繰り返し撓めて、赤い反射光を有する膜
が紙から剥離しないことを確かめた。
【0078】比較例1 上記実施例1で別容器に保存していた前記半量の乳濁液
を乾燥し観察したところ、個数平均粒径300nm、標
準偏差12nmの球状粒子であることがわかった。示差
走査熱量分析により、97℃にガラス転移が見られた。
【0079】前記反応液50mlに実施例と同じく、2
−プロパノール20mlと水30mlとの混合液を加え
て希釈した白色の乳濁液の一部を紙の上に塗り乾燥し
た。この紙の上に、見る角度により赤い反射光が観察で
きる光沢のある膜が形成された後、この紙を60℃の恒
温乾燥器に3時間入れた。次にこの紙を乾燥器から温度
25℃、相対湿度55%の保存庫に移し30分間保っ
た。
【0080】この紙を保存庫から取り出し、曲率半径2
5mmまで5回繰り返し撓めたところ、赤い反射光を有
する膜に多数の細かい亀裂が生じ、一部が紙から剥離し
た。
【0081】実施例2 水350mlを還流冷却器付の1リットル容量の4口フ
ラスコに入れ窒素雰囲気として水浴で70℃に加熱し
た。この容器に過硫酸カリウム1gを水約20mlに溶
解して添加し10分間攪拌。スチレン2g、メタクリル
酸メチル2g、メタクリル酸ヒドロキシエチル1gの混
合物を前記の容器に添加し15分間加熱攪拌をした。
【0082】上記の容器をさらに同温度に保ったまま攪
拌しながらスチレン34.5g、メタクリル酸メチル9
g、メタクリル酸ヒドロキシエチル2.5gの混合物を
0.04ml毎分の速度で注入し、1時間後に注入速度
を0.12ml毎分とし、さらに1時間後に注入速度を
0.22ml毎分とした。前記の混合液を全量注入した
後10分間加温熟成させた(前段反応)。
【0083】得られた反応液にスチレン4g、メタクリ
ル酸ブチル2g、メタクリル酸ヒドロキシプロピル0.
3gの混合液を7分間かけて加えて、40分間加熱攪拌
を続けた(後段反応)。この反応液を乾燥し走査電子顕
微鏡で観察したところ、個数平均粒径260nm、標準
偏差9nmの球状粒子であることがわかった。示差走査
熱量分析により、96℃と64℃にガラス転移が見られ
た。
【0084】前段反応ではガラス転移点96℃の粒子の
コア部分が形成され、後段反応でガラス転移点64℃の
粒子の表層部分が形成され、その重量割合は反応原料の
使用量から89:11と計算される。
【0085】前記の反応液50mlに、2−プロパノー
ル20mlとエチレングリコール0.5mlと水30m
lとの混合液を加えて微粒子懸濁インクとした。
【0086】前記の微粒子インクをキヤノン(株)製の
BC−02バブルジェットヘッドに充填し、図3に示し
たような記録装置のキャリッジに固定した。被記録材と
してA4サイズの透明ポリエステルフィルム(ルミラー
100T−60(パナック株式会社製))を用い、上記
の記録装置を用いて所定の二次元パターンの前記微粒子
インク吐出を行った。
【0087】吐出したインクが乾いた後にフィルム表面
を観察すると、微粒子の配列に基づく緑色の着色反射光
が確認できた。このフィルムを65℃の恒温乾燥器に1
2分入れてから取り出した。このフィルムは表面に緑色
の着色反射光を有するパターンが確認でき、手で屈曲さ
せても前記着色パターンの剥離が起こらなかった。
【0088】比較例2 65℃の恒温乾燥器に入れることを省略した以外は実施
例2と同様にして、微粒子インクをポリエステルフィル
ムの表面の所定パターン上に吐出し、室内に放置して乾
燥したフィルムを作成した。このフィルム表面に形成さ
れた緑色の着色反射光を有するパターンは、フィルムを
手で数回屈曲させるとフィルム面から一部が剥離した。
【0089】実施例3 熱処理手段として、縦30cm横22cmのアルミニウ
ム製の加熱プレートを作成し、電熱ヒータによりその表
面温度を72℃とした。
【0090】実施例2と同様にして表面に微粒子インク
を吐出して乾燥し、表面に着色反射光が現れたフィルム
を上記の加熱プレート上に導き、被吐出面の反対側を加
熱プレート上に20秒間接した。
【0091】このフィルムは放冷後も表面に緑色の着色
反射光を有するパターンが確認でき、また手で屈曲させ
ても前記着色パターンの剥離は起こらなかった。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように本発明の記録物は光
の干渉による発色を利用した、鮮やかな色を有し、被記
録面の屈曲に耐える堅固な記録物となる。また、照明方
向や観察の角度を変えると干渉条件が変化するため色調
が微妙に変化する記録物である。このような記録物は通
常の色素を用いた記録物で得られない強い印象を見るも
のに与えることができる。
【0093】また本発明の記録方法は上記のような光の
干渉を利用した記録物を、特別な版を作成することなく
製造可能である。本発明の記録装置は、電気信号に応じ
て上記のような光の干渉を利用した任意パターンの記録
物を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録物を調整するための微粒子懸濁液
を噴射するヘッドの一実施例を示す断面図である。
(A)はヘッドの構成を説明する断面図である。(B)
は図1(A)のA−B線での切断面を説明する断面図で
ある。
【図2】図1(A)に示されるヘッドを多数並べたマル
チヘッドを説明する外観図である。
【図3】図1のヘッドを組み込んだインクジェット記録
装置を説明する斜視図である。
【図4】ヘッドにインク供給チューブを介して供給され
るインクを収容したインクカートリッジの一例を説明す
る断面図である。
【図5】ヘッドとインクカートリッジが一体となったイ
ンクジェット記録装置の例を説明する斜視図である。
【図6】記録媒体上に形成された微粒子凝集物の形状図
である。(A)は付せた盾状、(B)は中央の凹んだ形
状を示す。
【図7】本発明の記録物を示す概念図である。
【図8】記録媒体上に微粒子凝集物が形成される過程の
概念的説明図である。(A)はコア部分と表層部分とか
ら構成された微粒子、(B)は微粒子懸濁液滴付与工
程、(C)は微粒子が配列凝集した状態を示す。加熱工
程により配列微粒子が融着した状態は図7に示した。。
【符号の説明】
1 微粒子コア部分 2 微粒子表層部分 3 記録媒体 4 液滴 5 液滴吐出手段 6 液溜り 13 ヘッド 14 溝 15 発熱ヘッド 16 保護膜 17 (17−1,17−2)アルミニウム電極 18 発熱抵抗体層 19 蓄熱層 20 基板 21 インク 22 吐出オリフィス 23 メニスカス 24 記録小滴 25 被記録体 26 マルチ溝 27 天板 28 発熱ヘッド 40 インク袋 42 栓 44 インク吸収体 45 インクカートリッジ 51 給紙部 52 紙送りローラ 53 排紙ローラ 61 ブレード 62 キャップ 63 インク吸収体 64 吐出回復部 65 (65−1,65−2)記録ヘッド 66 キャリッジ 67 ガイド軸 68 モータ 69 ベルト 70 インクジェットカートリッジ 71 ヘッド部 72 大気連通口

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体上の一部にの単分散粒径の球状
    透明固体微粒子が凝集配列して規則的周期構造を形成し
    て付着して存在する記録物において、前記微粒子がガラ
    ス転移温度を有しないかまたはガラス転移温度95℃以
    上の難溶融性成分よりなるコア部分と、ガラス転移温度
    が50℃以上85℃以下の易溶融性成分よりなる表層部
    分とからなることを特徴とする記録物。
  2. 【請求項2】 前記微粒子の表層部分が合成樹脂からな
    ることを特徴とする、請求項1記載の記録物。
  3. 【請求項3】 前記微粒子の合成樹脂が付加重合体から
    なることを特徴とする、請求項2記載の記録物。
  4. 【請求項4】 前記微粒子中の易溶融性成分の割合が
    1.5重量%以上、15重量%以下であることを特徴と
    する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の記録
    物。
  5. 【請求項5】 前記微粒子の粒径が100nmから10
    00nmの範囲にあることを特徴とする、請求項1ない
    し4のいずれか1項に記載の記録物。
  6. 【請求項6】 記録媒体上の所望の位置に単分散粒径の
    球状透明固体微粒子が凝集配列して規則的周期構造を形
    成する記録方法において、ガラス転移温度を有しないか
    またはガラス転移温度95℃以上の難溶融性成分よりな
    るコア部分と、ガラス転移温度が50℃以上85℃以下
    の易溶融性成分よりなる表層部分とからなる単分散粒径
    の透明固体微粒子を液体に懸濁し、懸濁液を液滴状とし
    て記録媒体に付着せしめ、前記微粒子が規則構造を形成
    した後に、前記易溶融成分の融着を促進する加熱工程を
    施すことを特徴とする記録方法。
  7. 【請求項7】 前記微粒子の表層部分が合成樹脂からな
    ることを特徴とする、請求項6記載の記録方法。
  8. 【請求項8】 前記微粒子の合成樹脂が付加重合体から
    なることを特徴とする、請求項7記載の記録方法。
  9. 【請求項9】 前記微粒子中の易溶融性成分の割合が3
    重量%以上、15重量%以下であることを特徴とする、
    請求項6ないし8のいずれか1項に記載の記録方法。
  10. 【請求項10】 前記微粒子の粒径が100nmから1
    000nmの範囲にあることを特徴とする、請求項6な
    いし9のいずれか1項に記載の記録方法。
  11. 【請求項11】 粒径分布が単分散である透明固体微粒
    子を懸濁した液体を液滴状として記録媒体に付着させる
    記録装置において、前記微粒子がガラス転移温度を有し
    ないかまたはガラス転移温度95℃以上の難溶融性成分
    よりなるコア部分と、ガラス転移温度が50℃以上85
    ℃以下の易溶融性成分よりなる表層部分とからなる粒子
    を用い、前記易溶融性成分の融着を促進する加熱手段を
    有することを特徴とする記録装置。
  12. 【請求項12】 前記記録装置において、前記微粒子の
    表層部分が合成樹脂からなることを特徴とする、請求項
    11記載の記録装置。
  13. 【請求項13】 前記記録装置において、前記合成樹脂
    が付加重合体からなることを特徴とする、請求項12記
    載の記録装置。
  14. 【請求項14】 前記記録装置において、前記微粒子に
    おける易溶融性成分の割合が3重量%以上、15重量%
    以下であることを特徴とする、請求項11ないし13の
    いずれか1項に記載の記録装置。
  15. 【請求項15】 前記記録装置において、前記微粒子の
    粒径が100nmから1000nmの範囲にあることを
    特徴とする、請求項11ないし14のいずれか1項に記
    載の記録装置。
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