JP6142721B2 - 水性インキ用バインダー樹脂組成物及び水性インキ組成物 - Google Patents

水性インキ用バインダー樹脂組成物及び水性インキ組成物 Download PDF

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Description

本発明は、水性インキ用バインダー樹脂組成物及び水性インキ組成物に関する。さらに詳しくは、非極性フィルム基材に対して、低温乾燥下、低臭気で優れた基材密着性、塗膜耐性、耐水ブロッキング性を発現し、一方でインキの保存安定性、再溶解性、版洗浄性にも優れる水性インキ用バインダー組成物及び当該バインダー組成物を用いた水性インキ組成物に関する。
水性インキ組成物は、一般的に顔料、顔料分散樹脂、水、保湿剤成分、およびバインダー樹脂により構成されている。このうちバインダー樹脂は、印字物の塗膜耐性(耐水性、耐擦性、密着性、スクラッチ性など)を向上させる目的で添加されており、優れた塗膜物性、インキ物性及び印刷適性を両立できる事から、樹脂微粒子分散体が多く使用されている。このような水性インク組成物は、これまで主に紙やダンボールなどの基材を対象として開発されてきたが、近年、省エネ、低コスト、環境負荷低減の観点から、低温乾燥条件下で、オレフィンやPETなどの非極性フィルム基材に対し、優れた塗膜物性(基材密着性や耐水摩擦性)を発現する機能が求められており、同時にそれに対応できるバインダー樹脂組成物の開発も求められている。
特許文献1では、オールアクリルタイプの樹脂微粒子分散体のバインダー樹脂組成物が開示されている。しかしながらこの樹脂微粒子分散体は合成時に発生する粗大粒子数が多い上に、顔料分散樹脂との相溶性が著しく悪い。したがって、この樹脂微粒子分散体をインキに使用した場合、造膜性が悪く、塗膜耐性が大幅に悪化する。また、紙などの浸透性基材と異なり、フィルム基材上での乾燥性が悪いため、残留成分由来の耐水ブロッキングの悪化、臭気が問題となっている。
特許文献2では、シェル成分、コア成分の組成、分子量、コア成分とシェル成分の比率、粒子径、ガラス転移温度などを規定した樹脂微粒子分散体を含有した水性インキ組成物が開示されている。しかしながら、これらの樹脂微粒子分散体も、造膜性が悪く、フィルム基材上では塗膜耐性が十分に発現しない。また、耐水ブロッキング性、臭気の問題も解決されていない。
特許文献3では、ケト基もしくはアルデヒド基を導入した樹脂微粒子分散体が開示されている。たしかに樹脂微粒子分散体のケト基やアルデヒド基を架橋する事で、非極性フィルム基材に対しての密着性、耐擦性の向上が期待できる。しかしながら、上記の樹脂微粒子分散体と同様に、フィルム基材上では乾燥不良を起こしやすく、未反応の架橋剤が溶出して逆に塗膜耐性を低下させる恐れがある。また、残留成分による臭気の改善も期待できない。
特開平02−263811号公報 特開平08−176486号公報 特開平08−113749号公報
低温乾燥条件下、非極性フィルム基材に対して、優れた塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐水ブロッキング性、低臭気)を発現し、一方で、インキの保存安定性、再溶解性、版洗浄性にも優れる水性インキ用バインダー樹脂組成物ならびにそれを用いた水性インキ組成物の提供を目的とする。
すなわち、本発明は、水溶性樹脂(A)の存在下、水性媒体中でエチレン性不飽和単量体(b)を重合してなる酸価50〜90mgKOH/gのコアシェル型樹脂微粒子分散体(B)と、
水性媒体中でエチレン性不飽和単量体(c)を重合してなる酸価0〜30mgKOH/gの樹脂微粒子分散体(C)を含有する事を特徴とする水性インキ用バインダー樹脂組成物に関する。
さらに、水性インキ用バインダー組成物の樹脂固形分の合計100重量%中、樹脂微粒子分散体(D)の量が25〜75重量%である事を特徴とする上記の水性インキ用バインダー樹脂組成物に関する。
コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)の平均粒子径が45〜90nm、ガラス転移温度が−10〜30℃である事を特徴とする上記の水性インキ用バインダー樹脂組成物に関する。
樹脂微粒子分散体(C)の平均粒子径が80〜200nm、ガラス転移温度が、−5〜30℃である事を特徴とする上記の水性インキ用バインダー樹脂組成物に関する。
さらに、顔料(D)、顔料分散樹脂(E)、水、親水性溶剤(F)及び上記の水性インキ用バインダー樹脂組成物を含有することを特徴とする水性インキ組成物に関する。
水性インキ組成物の最低造膜温度が0℃以下である事を特徴とする上記の水性インキ組成物に関する。
フレキソ印刷またはグラビア印刷に用いられる、上記の水性インキ組成物に関する。
本発明により、低温乾燥条件下、非極性フィルム基材に対して、優れた塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐水ブロッキング性、低臭気)を発現し、一方で、インキの保存安定性、再溶解性、版洗浄性にも優れる水性バインダー樹脂組成物及び水性インキ組成物を提供する事ができた。
まず、本発明で使用するコアシェル型樹脂微粒子分散体(B)について説明する。
水性インキ用コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)は、エチレン性不飽和単量体(a)を重合してなる水溶性樹脂(A)の存在下、水性媒体中でエチレン性不飽和単量体(b)を、ラジカル重合開始剤を用いて乳化重合する事によって得ることができる。具体的にコアシェル型樹脂微粒子分散体(B)の製造方法について説明する。まず、反応槽に水性媒体と塩基性化合物、水溶性樹脂(A)を仕込み、昇温して溶解させる。その後、窒素雰囲気下でエチレン性不飽和単量体(b)を滴下しながら、ラジカル重合開始剤を添加する。反応開始後、反応槽の溶液の色が青白くなるので、粒子核の形成が確認できる。エチレン性不飽和単量体の滴下完了後、更に数時間反応させる事で目的の樹脂微粒子分散体を得る事ができる。エチレン性不飽和単量体(b)はそのまま反応槽に滴下しても良いし、水性媒体であらかじめ乳化液にしてから滴下しても構わない。水溶性樹脂(A)は水性媒体中で保護コロイド(シェル成分)として働き、生成する粒子核(コア成分)を安定化する。この方法により得られる樹脂微粒子分散体は、ニュート二アンに近い粘性を有するため印刷適性に大変優れている。樹脂微粒子分散体を合成する際に使用する水溶性樹脂(A)は、エチレン性不飽和単量体(a)をラジカル開始剤により、溶液重合もしくは塊状重合し、樹脂中のカルボキシル基を塩基性化合物で中和する事で得る事ができる。
コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)を合成する際に使用する水溶性樹脂(A)は、粒子核への効率的な吸着、分散安定性、インキ中の顔料分散樹脂との相溶性を考慮して、芳香族骨格を有し、カルボキシル基を有するものが好ましい。これらの骨格はエチレン性不飽和単量体(a)として、芳香族エチレン性不飽和単量体(a−1)、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a−2)を使用する事で導入できる。
芳香族エチレン性不飽和単量体(a−1)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート等があげられる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a−2)としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、ヘキサヒドロフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等があげられる。
エチレン性不飽和単量体(a)として、上記で定めた芳香族エチレン性不飽和単量体(a−1)およびカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a−2)の他に、(a−1)、(a−2)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体(a−3)を併用する事ができる。
共重合可能なエチレン性不飽和単量体(a−3)としては、例えば、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tーブチルメタクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコール等のヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(日本油脂社製、ブレンマーPE−90、200、350、350G、AE−90、200、400等)ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(日本油脂社製、ブレンマー50PEP−300、70PEP−350等)、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(日本油脂社製、ブレンマーPME−400、550、1000、4000等)等のポリエチレンオキサイド基含有エチレン性不飽和単量体;
等が挙げられる。
ラジカル開始剤には公知の油溶性重合開始剤を使用でき、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリルなどのアゾビス化合物を挙げることができる。
中和剤として使用する塩基性化合物には、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリンなどのアミン類;
水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの水酸化物塩;
等が挙げられる。
エチレン性不飽和単量体(a)が、単量体全体に対して、芳香族エチレン性不飽和単量体(a−1)を20〜70重量%含有することが好ましく、さらに好ましくは50〜70重量%の範囲である。20重量%未満であると、粒子核への吸着効率が低下し、凝集物が発生しやすくなり、樹脂微粒子分散体が不安定化する。さらに顔料分散樹脂との相溶性も低下するため、結果としてインキの保存安定性や塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が悪化する。一方で70重量%を超えた場合にも、水溶性樹脂(A)の分散力が低下するため、凝集物が発生しやすくなり、樹脂微粒子分散体が不安定化する。その結果、インキの保存安定性や塗膜物性(基材密着性、塗水摩擦性)に悪影響がでる。
エチレン性不飽和単量体(a)が、単量体全体に対して、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a−2)を30〜40重量%含有することが好ましい。30重量%未満であると、水溶性樹脂(A)の分散力が低下するため、凝集物が発生しやすくなり、インキの保存安定性が悪化する。また再溶解性、版洗浄性も悪化する。さらに造膜性も悪化するので、シェル成分とコア成分との相溶に悪影響を及ぼし、塗膜物性(基材密着性、塗水摩擦性)が不良となる。一方で40重量%を超えると、塗膜における、乾燥不良の発生や、水への溶出成分の増加により、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性)が悪化する。
さらに水溶性樹脂(A)の酸価は100〜300mgKOH/gである事が好ましい。水溶性樹脂(A)の酸価が100mgKOH/g未満であると、樹脂微粒子分散体の分散安定性が低下してインキの保存安定性が悪化したり、シェル成分とコア部分との相溶性が低下して塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が低下してしまう場合がある。一方、300mgKOH/gを超えると、塗膜における、乾燥不良の発生や、水への溶出成分の増加により、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性)に悪影響を及ぼす場合がある。ここで言う酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。
続いて、コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)のコア成分を構成するエチレン性不飽和単量体(b)について説明する。
エチレン性不飽和単量体(b)としては、例えば
スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート等の芳香族エチレン性不飽和単量体;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tーブチルメタクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコール等のヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体;
アリル(メタ)アクリレート、1−メチルアリル(メタ)アクリレート、2−メチルアリル(メタ)アクリレート、1−ブテニル(メタ)アクリレート、2−ブテニル(メタ)アクリレート、3−ブテニル(メタ)アクリレート、1,3−メチル−3−ブテニル(メタ)アクリレート、2−クロルアリル(メタ)アクリレート、3−クロルアリル(メタ)アクリレート、o−アリルフェニル(メタ)アクリレート、2−(アリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルラクチル(メタ)アクリレート、シトロネリル(メタ)アクリレート、ゲラニル(メタ)アクリレート、ロジニル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、ビニル(メタ)アクリレート、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル,リノレン酸ビニル、2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等の2個以上のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和単量体;
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体;
ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシ(メタ)アクリレート等のケト基含有エチレン性不飽和単量体;
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有エチレン性不飽和単量体;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アルキルエーテル化N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有エチレン性不飽和単量体
等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。
上記で挙げたエチレン性不飽和単量体(b)の中でも、エチレン性不飽和単量体(b)は、芳香族エチレン性不飽和単量体(b−1)を含有している事が好ましい。コア成分に芳香族エチレン性不飽和単量体(b−1)を含有する事で、コア成分とシェル成分の相溶性が高まり、均質な塗膜となって、インキ塗膜の耐性を向上させる効果がある。
エチレン性不飽和単量体(b)100重量%中、芳香族エチレン性不飽和単量体(b−1)は15〜40重量%である事が好ましい。15重量%未満であると粒子核形成が不安定化して粒子径制御に悪影響を及ぼす上、シェル成分とコア成分の相溶が悪化して不均質な塗膜を形成するため、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が悪化してしまう場合がある。一方、40重量%を超えた場合にもシェル成分とコア成分の相溶が悪化するため塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が低下する場合がある。
さらにエチレン性不飽和単量体(b)は、ケト基含有エチレン性不飽和単量体(b−2)を含有している事が好ましい。ケト基含有エチレン性不飽和単量体(b−2)を含有する事で、エチレン性不飽和単量体由来のケト基が、インキ組成物中のヒドラジド化合物と反応し、塗膜の基材密着性、耐水摩擦性をさらに向上させる効果がある。
エチレン性不飽和単量体(b)100重量%中、ケト基含有エチレン性不飽和単量体(b−2)は1〜3重量%である事が好ましい。1重量%未満であると、塗膜物性において、架橋の効果が確認できない場合がある。一方で3重量%を超えた場合には、シェル成分とコア成分の相溶性が悪くなり、逆に塗膜物性に悪影響を及ぼす場合がある。また、再溶解性や版洗浄性にも悪影響を及ぼす場合がある。コア成分とシェル成分との優れた相溶性、ケト・ヒドラジド架橋の効果を両立する上で、本発明のコアシェル型樹脂微粒子分散体の組成に最適なケト基含有エチレン性不飽和単量体の導入量は1〜3重量%の範囲が最適と言える。
コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)の合成時に用いられる水溶性樹脂(A)の量は、エチレン性不飽和単量体(B)の合計100重量部に対し、40〜60重量部である事が好ましい。40重量部未満であると、樹脂微粒子分散体の合成時において、粒子核が不安定となり、凝集物が発生し、インキの保存安定性に悪影響を及ぼす場合がある。また、造膜時にコア部とシェル部の相溶が阻害されるので、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)も悪化する恐れがある。一方、60重量部を越えると、乾燥不良が発生しやすくなり、水への溶出成分が増加するため、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐水ブロッキング性)が大幅に低下する場合がある。
コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)の平均粒子径は45〜90nmの範囲である事が好ましい。平均粒子径が45nm未満であると、インキ組成物中における樹脂微粒子分散体の分散安定性が低下してインキの保存安定性、再溶解性、版洗浄性に悪影響を及ぼす場合がある。一方、90nmを越えると乾燥時における造膜性が低下して、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐水ブロッキング性)が悪化する場合がある。ここで言う平均粒子径とは樹脂微粒子水分散体(B)の水希釈液にレーザー光を照射して、その散乱光から粒子のブラウン運動を検出する動的光散乱法により測定した体積平均粒子径の値である。
コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)の酸価は50〜90mgKOH/gの範囲である事が好ましい。酸価が60mgKOH/g未満であると造膜時に樹脂微粒子分散体(B)との相溶が阻害され、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が悪化する。一方、酸価が90mgKOH/gを超えると、乾燥不良が発生し、残留成分も多くなるため、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐水ブロッキング性)が大幅に低下し、乾燥後の臭気も悪化する。
コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)のガラス転移温度(Tg)は−10〜30℃の範囲である事が好ましい。ガラス温度が−10℃未満であると、塗膜強度が低下して塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性)が悪化する場合がある。一方でガラス転移温度が30℃を超えた場合にも、低温乾燥下における分子鎖の運動が阻害されるため、造膜時のコア成分とシェル成分の相溶が不十分となり、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が悪化する場合がある。
上記のガラス転移温度(Tg)は下のFOXの式より計算した理論値の事をさす。
<FOX式>1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+Wi/Tgi+…+Wn/Tgn
〔上記FOX式は、n種の単量体からなる重合体を構成する各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度をTgi(K)とし、各モノマーの質量分率を、Wiとしており、(W1+W2+…+Wi+…Wn=1)である。〕
コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)の合成時に用いられる水性媒体としては、水が挙げられる。また、親水性の有機溶剤も本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
本発明で使用するコアシェル型樹脂微粒子分散体(B)を得るに際して用いられる重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができる。
油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリルなどのアゾビス化合物を挙げることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。
本発明においては水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドなど、従来既知のものを好適に使用することができる。
また、乳化重合を行うに際して、所望により重合開始剤とともに還元剤を併用することができる。これにより、乳化重合速度を促進したり、低温において乳化重合を行ったりすることが容易になる。
このような還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、エルソルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラートなどの金属塩等の還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元性無機化合物、塩化第一鉄、ロンガリット、二酸化チオ尿素などを例示できる。これら還元剤は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.05〜5.0重量部の量を用いるのが好ましい。なお、前記した重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射等によっても重合を行うことができる。重合温度は各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常80℃程度とすればよい。重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。
さらに必要に応じて、緩衝剤として、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが、また、連鎖移動剤としてのオクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、ステアリルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類が適量使用できる。
次に本発明で使用する樹脂微粒子分散体(D)について説明する。
樹脂微粒子分散体(D)は、界面活性剤(C)の存在下、水性媒体中でエチレン性不飽和単量体(d)を、ラジカル重合開始剤を用いて乳化重合する従来既知の乳化重合法によって得る事ができる。
界面活性剤(C)としては、エチレン性不飽和基を有する反応性界面活性剤やエチレン性不飽和基を有しない非反応性界面活性剤など、従来公知のものを任意に使用することができる。
エチレン性不飽和基を有する反応性界面活性剤はさらに大別して、アニオン系、ノニオン系のものが例示できる。反応性界面活性剤を用いると、塗膜からの溶出成分が減少するため塗膜耐性が向上する。これらの反応性界面活性剤は1種を単独で使用しても、複数種を混合して用いても良い。
エチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性界面活性剤の一例として、以下にその具体例を例示するが、本発明において使用可能とする乳化剤は、以下に記載するもののみを限定するものではない。前記界面活性剤としては、アルキルエーテル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンKH−05、KH−10、KH−20、株式会社ADEKA製アデカリアソープSR−10N、SR−20N、花王株式会社製ラテムルPD−104など);
スルフォコハク酸エステル系(市販品としては、例えば、花王株式会社製ラテムルS−120、S−120A、S−180P、S−180A、三洋化成株式会社製エレミノールJS−2など);
アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンH−2855A、H−3855B、H−3855C、H−3856、HS−05、HS−10、HS−20、HS−30、株式会社ADEKA製アデカリアソープSDX−222、SDX−223、SDX−232、SDX−233、SDX−259、SE−10N、SE−20N、など);
(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製アントックスMS−60、MS−2N、三洋化成工業株式会社製エレミノールRS−30など);
リン酸エステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製H−3330PL、株式会社ADEKA製アデカリアソープPP−70など)が挙げられる。
本発明で用いることのできるノニオン系反応性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル系(市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製アデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40、花王株式会社製ラテムルPD−420、PD−430、PD−450など);
アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50、株式会社ADEKA製アデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30、NE−40など);
(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製RMA−564、RMA−568、RMA−1114など)が挙げられる。
非反応性界面活性剤についても、アニオン系と非反応性のノニオン系とに大別することができる。
非反応性ノニオン系乳化剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;
ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;
ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;
オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどを例示することができる。
また、非反応性アニオン系界面活性剤の例としては、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;
ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;
ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;
モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩およびその誘導体類;
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩類などを例示することができる。
乳化重合時に使用する界面活性剤量はエチレン性不飽和単量体(d)の合計100重量部に対して、0.5〜3.0重量部である事が好ましい。乳化剤量が0.5重量部未満であると、乳化重合時に不安定化して分散安定性のよい樹脂微粒子分散体が得られない場合がある。一方で界面活性剤量が3.0重量部を超えると、溶出成分が多くなり、塗膜耐性が悪化する場合がある。
本発明で使用する樹脂微粒子分散体(D)を得るに際して用いられるエチレン性不飽和単量体(d)としては、上記のエチレン性不飽和単量体(a)ならびエチレン性不飽和単量体(b)で挙げられたエチレン性不飽和単量体が使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。
本発明で使用する樹脂微粒子分散体(D)を得るに際して用いられる重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができる。また、所望によって還元剤や緩衝剤を併用することもできる。
重合開始剤、還元剤、緩衝剤としては、上記のコアシェル型樹脂微粒子分散体(B)の説明で挙げた重合開始剤、還元剤、緩衝剤などが使用できる。
また、乳化重合終了後に得られた樹脂微粒子分散体(D)について、塩基性化合物で中和することができる。塩基性化合物としては、上記の水溶性樹脂(A)の中和で使用する塩基性化合物が挙げられる。
樹脂微粒子分散体(D)の平均粒子径は80〜200nmの範囲である事が好ましい。平均粒子径が80nm未満であると、インキ組成物中における樹脂微粒子分散体の分散安定性が低下してインキの保存安定性、再溶解性、版洗浄性に悪影響を及ぼす恐れがある。一方、200nmを越えると乾燥時における造膜性が低下して、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐水ブロッキング性)が悪化する恐れがある。
樹脂微粒子分散体(D)の酸価は0〜30mgKOH/gの範囲である事が好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、乾燥不良が発生し、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐水ブロッキング性)が大幅に低下する。また乾燥後の塗膜の臭気も悪化する。
樹脂微粒子分散体(D)のガラス転移温度(Tg)は−5〜30℃の範囲である事が好ましい。ガラス温度が−5℃未満であると、塗膜強度が低下して塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性)が悪化する場合がある。一方でガラス転移温度が30℃を超えた場合にも、造膜が阻害されるため、コア成分とシェル成分の相溶が不十分となり、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が悪化する場合がある。
上記で説明したコアシェル型樹脂微粒子分散体(B)と樹脂微粒子分散体(D)を組み合わせる事により、浸透する紙基材と比較して、残留成分による乾燥不良が起こりやすい非極性フィルム基材上においても、低温乾燥条件下で、優れた耐水摩擦性、基材密着性、耐水ブロッキング性を発現する事が可能であり、塗膜の臭気も大幅に低減される。さらにインキ物性においても、良好な分散安定性、再溶解性、洗浄性が担保されている。
本発明の水性インキ用バインダー組成物は、樹脂固形分の合計100重量%中、樹脂微粒子分散体(D)の含有量が25〜75重量%である事が好ましい。樹脂微粒子分散体(D)の量が25重量%未満であると、塗膜の乾燥不良が起こりやすく、耐水ブロッキング性が低下してしまう場合がある。また塗膜からの臭気が悪化する場合もある。一方で75重量部を超えると、印刷適性が低下し、耐水摩擦性が低下してしまう場合がある。さらに、インキの再溶解性、洗浄性が悪化する場合がある。
次に本発明の水性インキ組成物について説明する。本発明の水性インキ組成物は、水性インキバインダー組成物の他に、顔料分散樹脂(E)、顔料(F)、親水性溶剤(G)および水を含有する。
本発明の水性インキ用バインダー組成物は水性インキ組成物100重量%中、樹脂固形分換算で5〜40重量%使用するのが好ましく、さらに好ましくは10〜30重量%の範囲である。樹脂固形分が5%未満であると、レベリング性が悪化すると同時に、基材と顔料、もしくは顔料同士の結着力が不十分となるため、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が低下する場合がある。一方で40重量%を超えると、インキ組成物の粘度が著しく上昇し、インキの分散安定性が悪化したり、乾燥不良が起こり、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が悪化する場合がある。
顔料分散に使用する顔料分散樹脂(E)としては、インキの安定性を維持し、顔料分散能を有するものであれば任意の水溶性樹脂を用いる事ができる。
顔料分散樹脂(E)としては、例えば、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(市販品としては例えば、ISP社製K−30、K−60、K−90など)、ポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、マレイン酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルピロリドン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー株式会社製 ポリナスPS−1、ポリナスPS―5など)、スチレンスルホン酸−マレイン酸共重合体、ポリイタコン酸、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエステル、カルボキシビニルポリマー等の水溶性のビニル系共重合体;
ポリイソシアネートとポリオールの重付加反応により得られるウレタン樹脂であり、親水基の導入により樹脂全体が水溶化された水溶性ポリウレタン樹脂;
多価カルボン酸とポリオールの重縮合反応により得られるポリエステル樹脂であり、親水基の導入により樹脂全体が水溶化された水溶性ポリエステル樹脂;
メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボシキメチルスセルロース、アルカリ金属カルボキシメチルセルロース、アルカリ金属セルロース硫酸塩、セルロースグラフト重合体等のセルロース誘導体;
ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等のポリペプチド類;
等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。
上記で挙げた水溶性樹脂の中でも、優れた顔料吸着能と分散安定性の観点から、顔料分散樹脂(E)は、メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、マレイン酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体である事が好ましい。さらにこれらの樹脂は、ラジカル開始剤により溶液重合もしくは塊状重合で合成しても構わないし、市販品を使用しても構わない。また、必要に応じて先述で述べた塩基性化合物を使用する事ができる。
市販品としては、例えば、BASF社製JONCRYL67、JONCRYL678、JONCRYL586、JONCRYL611、JONCRYL683、JONCRYL690、JONCRYL57J、JONCRYL60J、JONCRYL61J、 JONCRYL62J、JONCRYL63J、JONCRYLHPD−96J、JONCRYL501J、JONCRYLPDX-6102B、ビックケミー社製DISPERBYK、DISPERBYK180、DISPERBYK187、DISPERBYK190、DISPERBYK191、DISPERBYK194、DISPERBYK2010、DISPERBYK2015、DISPERBYK2090、DISPERBYK2091、DISPERBYK2095、DISPERBYK2155、ゼネカ社製SOLSPERS41000、サートマー社製、SMA1000H、SMA1440H、SMA2000H、SMA3000H、SMA17352H等が挙げられる。
さらに水性バインダー樹脂組成物との相溶性の観点から、顔料分散樹脂(E)は、芳香族エチレン性不飽和単量体(e−1)、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(e−2)を含むエチレン性不飽和単量体(e)を重合してなる水溶性樹脂である事が好ましい。
エチレン性不飽和単量体(e)としては、上記で説明したエチレン性不飽和単量体(a)等が挙げられる。
エチレン性不飽和単量体(e)の合計100重量%中、芳香族エチレン性不飽和単量体(e−1)を20〜70重量%含有する事が好ましい。芳香族エチレン性不飽和単量体(e−1)の含有量が20重量%未満であると、造膜時に樹脂微粒子分散体との相溶性が低下して塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が低下する場合がある。一方で70重量%を超えた場合にも、樹脂微粒子分散体との相溶性が低下して塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が低下する場合がある。
エチレン性不飽和単量体(e)の合計100重量%中、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(e−2)を10〜40重量%含有する事が好ましい。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(e−2)が10重量%未満であると、造膜時に樹脂微粒子分散体との相溶性が低下して膜物性が低下する場合がある。一方で40重量%を超えると、乾燥不良が発生し、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性)が低下する場合がある。上記の組成の顔料分散樹脂(E)は、樹脂微粒子分散体との相溶に大変優れており、低温乾燥下においても、均質な塗膜を形成する。したがって、組み合わせる事でさらに塗膜物性向上を期待する事ができる。
上記の組成の顔料分散樹脂(E)は、本発明の水性インキ用バインダー樹脂組成物との相溶に大変優れており、低温乾燥下でも、塗膜耐性に優れた均質な塗膜を形成する。したがって、組み合わせる事でさらに塗膜物性向上を期待する事ができる。
顔料分散樹脂(E)は、顔料100重量部に対し、固形分換算で10〜60重量部の範囲で使用する事が好ましい。顔料分散樹脂が顔料100重量部に対して10重量部未満であると顔料分散安定性が低下して、インキ組成物の分散安定性、保存安定性が悪化する場合がある。一方、顔料分散樹脂が顔料100重量部に対して60重量部を超えるとインキ組成物の粘度が著しく上昇し、インキの保存安定性に悪影響を及ぼす場合がある。また、塗膜の乾燥不良の発生や水への溶出成分が増加するため、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性)についても低下する場合がある。
顔料(F)としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色の顔料または有彩色の有機顔料が使用できる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系有機顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系有機顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンエローなどのキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエローなどのイソインドリン系有機顔料、その他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86 93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
カーボンブラックの具体例としては、デグサ社製「Special Black350、250、100、550、5、4、4A、6」「PrintexU、V、140U、140V、95、90、85、80、75、55、45、40、P、60、L6、L、300、30、3、35、25、A、G」、キャボット社製「REGAL400R、660R、330R、250R」「MOGUL E、L」、三菱化学社製「MA7、8、11、77、100、100R、100S、220、230」「#2700、#2650、#2600、#200、#2350、#2300、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#850、#750、#650、#52、#50、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#332、#30、#25、#20、#10、#5、CF9、#95、#260」等が挙げられる。
酸化チタンの具体例としては、石原産業社製「タイペークCR−50、50−2、57、80、90、93、95、953、97、60、60−2、63、67、58、58−2、85」「タイペークR−820,830、930、550、630、680、670、580、780、780−2、850、855」「タイペークA−100、220」「タイペークW−10」「タイペークPF−740、744」「TTO−55(A)、55(B)、55(C)、55(D)、55(S)、55(N)、51(A)、51(C)」「TTO−S−1、2」「TTO−M−1、2」、テイカ社製「チタニックスJR−301、403、405、600A、605、600E、603、805、806、701、800、808」「チタニックスJA−1、C、3、4、5」、デュポン社製「タイピュアR−900、902、960、706、931」などが挙げられる。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの有機顔料は、水性インキ組成物100重量%中、5〜30重量%の割合で配合する事が好ましい。また、白の酸化チタンの場合は通常10〜60重量%の割合で配合することが好ましい。
さらに本発明の水性インキ組成物は、基材への濡れ性、インキの乾燥性を制御する目的で、親水性溶剤(G)を含有している。
水性インキ組成物100重量%中、親水性溶剤(G)は1〜10重量%含有していることが好ましく、より好ましくは2〜5重量%の範囲内である。親水性溶剤(G)が1重量%未満であると、レベリング性が悪化して塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性)が低下する場合がある。一方、親水性溶剤(G)の含有量が10重量%を超えると、塗膜の乾燥不良が発生し、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性)が低下してしまう場合がある。
親水性溶剤(G)としては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノールなどの一価のアルコール溶剤;
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコール系溶剤;
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;
N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、ε-カプロラクタム等のラクタム系溶剤;
ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、出光製エクアミドM−100、エクアミドB−100等のアミド系溶剤
等が挙げられる。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。
本発明の水性インキ組成物には、基材への密着性向上やケト・ヒドラジド架橋の形成を目的として水溶性のヒドラジド化合物を適宜、使用する事ができる。水溶性のヒドラジド化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジドや、多官能のヒドラジド基が変性された水溶性樹脂などが挙げられる。
樹脂微粒子分散体がケト基を含有している場合には、ケト基に対してヒドラジド基が当モルになるよう添加するのが好ましい。
また、基材への密着性をさらに向上させる目的で、本発明の水性インキ組成物は、インキの保存安定性や樹脂同士の相溶性に悪影響を及ぼさない範囲で、カルボジイミド基などの反応性基を含有する架橋剤を併用する事もできる。市販の架橋剤としては、例えば、日清紡社製、カルボジライトE−02、E−03A、SV−02、V−02、V−02−L2、V−04等が挙げられる。
上記の併用する架橋剤の添加量は、水性インキ組成物100重量%中、固形分換算で0.5〜15重量%程度使用するのが好ましい。
また、本発明の水性インキ組成物には、塗膜の耐摩擦性を向上させる目的で市販のワックス微粒子分散体を使用する事ができる。ワックス樹脂微粒子分散体としては、例えば、三井化学社製、ケミパールW100、W200、W300、W310、W306、W400、W401、W4005、W410、W500、WF640、W700、W800、W900、W950、WH201、WP100などが挙げられる。
ワックス微粒子分散体の添加量は、塗膜物性における耐摩擦性向上と色相への悪影響のバランスを考慮して、水性インキ組成物100重量%中、固形分換算で1〜5重量%程度使用するのが好ましい。
また。本発明の水性インキ組成物は、基材へのレベリング性を調節する目的で各種表面調整剤を使用する事ができる。表面調整剤としては例えば、日信化学社製、サーフィノール104E,104H、104A、104PA,104PG−50、104S、420、440、465、485、SE,SE−F、PSA−336、61、2502、ダイノール604、607、ビックケミー社製BYK−381、3441、302、307、325、331、333、342、345、346、347、348、349、378、3455等が挙げられるがこれらに限らない。
表面調整剤の添加量は、塗膜物性への悪影響のバランスを考慮して、水性インキ組成物100重量%中、固形分換算で0〜1重量%程度使用するのが好ましい。
本発明の水性インキ組成物の最低造膜温度(MFT)は0℃以下である事が好ましい。0℃を超える場合には、乾燥時の造膜性が不十分となり、耐水摩擦性、基材密着性、耐水ブロッキング性が低下する場合がある。
本発明の水性インキ組成物は、低温乾燥条件下においても、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエチレンテレフタラートなどの非極性フィルム基材に良好な基材密着性を有し、優れた耐水摩擦性や耐ブロッキング性を発現するため、これまで非極性フィルム基材などの基材拡張が困難であった水性のフレキソ印刷、グラビア印刷への展開が可能である。また、上質紙などの浸透性基材やアート紙、コート紙など、従来の基材に対しても塗膜物性向上の目的で使用する事も可能である。
水性インキ組成物の乾燥工程であるが、基材に悪影響を及ぼさない範囲であれば任意の温度をかける事が可能である。水性フレキソ印刷においては、40〜100℃の低温乾燥で1〜200秒の範囲で処理する事が一般的である。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
<水溶性樹脂(A)の製造>
[製造例1]
攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた別の反応容器に、メチルイソブチルケトン94.0部を仕込み、攪拌しながら、窒素還流下で温度100℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、スチレン55.0部、アクリル酸30.0部、ラウリルメタクリレート15.0部を3時間かけて滴下した。もう一方からは、ジメチル2,2‘−アゾビスイソブチレート10.0部をメチルイソブチルケトン12.0部に溶解させ、4時間かけてそれを滴下した。滴下完了後、更に10時間反応させた。冷却後、得られた水溶性樹脂(A)溶液に25%アンモニア水28.3部部を加えて中和した。更にイオン交換水を加えて、加熱しながら溶剤置換をおこない、水溶性樹脂(A)の水溶液を得た。最後にイオン交換水により、水溶性樹脂(A)溶液の固形分を35.0%に調整した。水溶性樹脂(A)の酸価は212、重量平均分子量は12800であった。
[製造例2〜7]
表1に示す配合組成で、製造例1と同様の方法で水溶性樹脂(A)溶液を調製した。中和剤である25%アンモニア水は、水溶性樹脂(A)のカルボキシル基とアンモニアが等モルになるように添加した。さらに製造例1と同様の操作をおこない、固形分35%の水溶樹脂(A)水溶液を調製した。水溶性樹脂(A)については、酸価、重量平均分子量を評価した。
[酸価]
樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数。乾燥させた水溶性樹脂(A)について、JIS K2501に記載の方法に従い、水酸化カリウム・エタノール溶液で電位差滴定をおこない算出した。
[重量平均分子量]
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値。乾燥させた水溶性樹脂(A)をテトラヒドロフランに溶解させ、0.1%の溶液を調製し、東ソー製HLC−8320−GPC(カラム番号M−0053 分子量測定範囲約2千〜約400万)により重量平均分子量を測定した。
Figure 0006142721
<コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)の製造>
[製造例8]
攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた別の反応容器に、イオン交換水91.8部と製造例1で調製した水溶性樹脂(A)溶液40.5部仕込み、攪拌しながら、窒素還流下で温度80℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、スチレン20.0部、ベンジルメタクリレート18.0部、n-ブチルアクリレート62.0部を2時間かけて滴下した。もう一方からは、過硫酸アンモニウム20%水溶液4.0部(固形分で0.8部)を2時間かけて滴下した。滴下完了後、更に4時間反応させて樹脂微粒子分散体を得た。イオン交換水により、樹脂微粒子分散体の固形分を45.0%に調整した。樹脂微粒子分散体の酸価は61、ガラス転移温度(Tg)は7℃、平均粒子径は84nmであった。樹脂微粒子分散体の酸価は、水溶性樹脂(A)の酸価と仕込み量から計算して算出した。ガラス転移温度(Tg)についてはエチレン性不飽和単量体の組成から、先述のFOXの式により算出した。
[製造例9〜21]
表2に示す配合組成で、製造例1と同様の方法で樹脂微粒子分散体を調製した。製造例15、21については、合成後、架橋剤のアジピン酸ジヒドラジドを、樹脂微粒子分散体中におけるケト基に対してヒドラジド基が等モルになるように添加した。製造例8と同様に、)イオン交換水により、樹脂微粒子分散体の固形分を全て45%に調整した。得られた樹脂微粒子分散体について、平均粒子径について評価した。
[平均粒子径]
樹脂微粒子分散体を500倍に水希釈し、該希釈液約5mlを動的光散乱測定法(測定装置はマイクロトラック(株)日機装製)により測定をおこなった。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを平均粒子径とした。
Figure 0006142721
<樹脂微粒子分散体(D)の製造>
[製造例22]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水39.0部と界面活性剤(C)としてハイテノールLA−12(有効成分:95% 第一工業製薬製)0.5部とを仕込み、別途、スチレン25.0部、メチルメタクリレート30.0部、2−エチルヘキシルアクリレート41.0部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.5部、アクリルアミド1.0部、アクリル酸1.5部、イオン交換水66.0部、および乳化剤として、ハイテノールLA−12 1.0部を攪拌混合して調製した乳化液を、7.0部加えた。内温を80℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液12.0部を添加して重合を開始した。内温を80℃に保ちながら上記の乳化液の残りを3時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。反応終了後、温度を30℃まで冷却し、25%アンモニア水1.4部で中和した。さらにイオン交換水により、樹脂微粒子分散体(D)の固形分を45.0%に調整した。樹脂微粒子分散体の酸価は10、ガラス転移温度(Tg)は17℃、平均粒子径は125nmであった。樹脂微粒子分散体の酸価はカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体の仕込み量から計算して算出した。ガラス転移温度(Tg)についてはエチレン性不飽和単量体の組成から、先述のFOXの式により算出した。
[製造例23〜31]
表3に示す配合組成で、製造例22と同様の方法で樹脂微粒子分散体(D)を調製した。合成後、カルボキシル基に対してアンモニアが等モルになるように25%アンモニア水で中和した。製造例22と同様に、イオン交換水により、樹脂微粒子分散体の固形分を全て45.0%に調整した。得られた樹脂微粒子分散体について、平均粒子径を評価した。
Figure 0006142721
<水性インキ用バインダー樹脂組成物の調製>
[実施例1]
製造例8で合成した樹脂微粒子分散体(B)50.0部と製造例22で合成した樹脂微粒子分散体(D)50.0部をホモミキサーで撹拌して水性インキ用バインダー樹脂組成物を調製した。(樹脂固形分45.0%)
[実施例2〜15および比較例1〜5]
表4、表5に示す配合組成で実施例1と同様の方法で水性インキ用バインダー組成物を調製した。
Figure 0006142721
Figure 0006142721
<顔料分散樹脂(E)の製造>
[製造例32]
攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた別の反応容器に、メチルイソブチルケトン94.0部を仕込み、攪拌しながら、窒素還流下で温度100℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、スチレン55.0部部、α−メチルスチレン5.0部、メタクリル酸30.0部、エチルアクリレート15.0部を3時間かけて滴下した。もう一方からは、ジメチル2,2‘−アゾビスイソブチレート5部をメチルイソブチルケトン10部に溶解させ、4時間かけてそれを滴下した。滴下完了後、更に10時間反応させて反応を完了した。得られた顔料分散樹脂(E)溶液に25%アンモニア水23.7部部を加えて中和した。更にイオン交換水を加えて、加熱しながら溶剤置換をおこない、水溶性樹脂(A)の水溶液を得た。最後にイオン交換水をさらに加えて、水溶性樹脂(A)溶液の固形分を30.0%に調整した。顔料分散樹脂(E)の酸価は179、重量平均分子量は10500であった。
[製造例33〜38]
表6に示す配合組成で、製造例32と同様の方法で、製造例33〜38の顔料分散樹脂(E)水溶液を調製した。中和剤として25%アンモニア水を、顔料分散樹脂(E)のカルボキシル基に対して、アンモニアが等モルになるように添加して中和し、さらに製造例32と同様の操作をおこない、固形分30.0%の顔料分散樹脂(E)水溶液を調製した。また、製造例39、40のように、市販の固形樹脂を顔料分散剤として使用する場合には、イオン交換水を加え、25%アンモニア水を顔料分散樹脂(E)のカルボキシル基とアンモニアが等モルになる様に添加し、加熱、撹拌しながら水溶化させ、固形分を30.0%に調整した。表7に使用した市販の固形樹脂の概要を示す。顔料分散樹脂(E)については、水溶性樹脂(A)と同様の方法で酸価ならびに重量平均分子量を評価した。
Figure 0006142721
Figure 0006142721
<濃縮顔料分散液の製造>
[製造例41]
<濃縮白顔料分散液の製造>
顔料[タイペークCR80 石原産業社製]67.5部、製造例32の顔料分散剤水溶液(固形分30.0%)21.3部、イオン交換水5.8部、表面調整剤[サーフィノール420 日信化学工業製]0.4部をペイントコンディショナーにて2時間分散し、濃縮白顔料分散液を得た。
[製造例42〜49]
表8に示す配合組成で、製造例41と同様の方法で濃縮白顔料分散液を調製した。
Figure 0006142721
[製造例50]
<濃縮藍顔料分散液の製造>
顔料[リオノールブルーFG7330、トーヨーカラー社製]35.9部、製造例32の顔料分散剤水溶液(固形分30.0%)21.5部、イオン交換水39.7部、表面調整剤[サーフィノール420 日信化学工業製]0.4部をペイントコンディショナーにて2時間分散し、濃縮藍顔料分散液を得た。
[製造例51〜58]
表9に示す配合組成で、製造例50と同様の方法で濃縮藍顔料分散液を調製した。
Figure 0006142721
<水性インキ組成物の調製>
[実施例16]
実施例1で得られた水性インキ用バインダー樹脂組成物40.2部に対して、製造例24の濃縮白顔料分散液47.5部、ケミパールW500 5部、親水性溶剤としてN-プロパノール部2.5部、ジエチレングリコールモノエチルエーテル1.0部、イオン交換水3.8部を加えた後、混練して白色水性インキ組成物を得た。
[実施例17〜30および比較例6〜10]
表10および表11に示す配合組成で、実施例16と同様の方法で調製し、白色水性インキ組成物を得た。
Figure 0006142721
Figure 0006142721
[実施例31]
実施例1で得られた水性インキ用バインダー樹脂組成物40.9部に対して、製造例50の濃縮藍顔料分散液41.6部、ケミパールW500 4.5部、親水性溶剤としてN-プロパノール部3.0部、イオン交換水10.0部を加えた後、混練して藍色水性インキ組成物を得た。
[実施例32〜45および比較例11〜15]
表12および表13に示す配合組成で、実施例31と同様の方法で調製し、藍色水性インキ組成物を得た。
[最低造膜温度]
最低造膜温度(MFT)は、300μのアプリケーターで水性インキ組成物をガラス板に塗工したものを熱勾配試験機(理学工業社製)にかけて測定した。
Figure 0006142721
Figure 0006142721
<水性インキ組成物の評価>
上記で調製した水性インキ組成物について、インキ物性として、保存安定性、再溶解性、版洗浄性を評価した。水性インキ組成物を、フレキシプルーフ100(アニロックスローラー80線/cm)を用いて、処理OPP(2軸延伸ポリプロピレンフィルム)基材に塗工した。塗工後、基材をオーブンで60℃・1分ほど加熱処理して評価用塗膜を得た。これを用いて、塗膜物性(基材密着性、耐水摩擦性、耐水ブロッキング性、臭気)を評価した。表14〜表17にその結果を示す。
[保存安定性]
水性インキ組成物について、40℃・1週間の条件下での粘度の経時変化を評価した。粘度はザーンカップ(No.4)を使用して測定した。
評価基準は以下の通りである。(実用可能レベルは○以上)
◎;インキの粘度変化が±10%未満である
○;インキの粘度変化が±10%以上、±15%未満である
△;インキの粘度変化が±15%以上、±20%未満である
×;インキの粘度変化が±20%以上である
[再溶解性]
水性インキ組成物を、処理OPP上にバーコーター(No.8)で塗工して室温で15分静置した。
静置後、塗工面にインキを垂らし、経時で拭き取りながら、インキが再溶解するまでの時間を測定した。評価基準は以下の通りである。(実用可能レベルは○以上)
◎;30秒以内に再溶解する
○;60秒以内に再溶解する
△;120秒以内に再溶解する
×;120秒以上経過しても再溶解しない
[版洗浄性]
フレキシプルーフ100版について、インキ塗工後に各種溶剤を用いて版洗浄性を評価した。
評価基準は以下の通りである。(実用可能レベルは△以上)
○;アルコール溶剤もしくはマジックリン(花王社製)で洗浄可能である。
△;マジックリン(花王社製)で洗浄可能である。
×;アルコール溶剤もしくはマジックリン(花王社製)で洗浄できない。
[基材密着性]
評価用塗膜にセロハンテープ(ニチバン社製18mm幅)を貼り付け、垂直方向に剥離試験をおこない、インキの剥がれた面積の割合から基材密着性について評価した。
評価基準は以下の通りである。(実用可能レベルは○以上)
◎;インキの剥がれがない
○;インキの剥がれがややある(10%未満)
△;インキの剥がれがある(10%以上、50%未満)
×;インキの剥がれがかなりある(50%以上)
[耐水摩擦性]
評価用塗膜を1分間水に浸漬させた。浸漬後、摩擦子にカナキン(JIS L 0803)を用い、水をたらした塗膜表面を学振試験機(テスター産業社製)により、荷重500gで500往復させた。インキの剥がれた面積の割合から耐水摩擦性について評価した。評価基準は以下の通りである。(実用可能レベルは○以上)
◎;インキの剥がれがない
○;インキの剥がれがややある(5%未満)
△;インキの剥がれがある(5%以上、30%未満)
×;インキの剥がれがかなりある(30%以上)
[耐水ブロッキング性]
評価用塗膜について、水を一滴垂らし、塗工面と裏面を重ね合わせ、ブロッキングテスターにより5kg/cmの荷重をかけて、恒温恒湿室で温度40℃・湿度80%の条件で24時間放置した。その後、
評価用塗膜を取り出し、インキの裏写りの有無、剥離音の有無を確認した。評価基準は以下の通りである。(実用可能レベルは○)
◎;インキが裏面に裏写りせず、剥離音もしない
○;インキが裏面に裏写りはないが、剥離音がする
△;インキが裏面に裏写りしている(全面積の1%未満)
×;インキが裏面に裏写りしている(全面積の1%以上)
[臭気]
10cm×10cmの評価用塗膜を500mlマヨ瓶に入れ、40℃で2時間静置した。任意で5名選出し、マヨ瓶の中を嗅いで、ブランク(塗工していない基材)に対して、臭気を感じるか官能試験を実施した。
評価基準は以下の通りである。(実用可能レベルは○)
◎5名全員が臭気を感じない
○5名中、1名が臭気を感じる
△5名中、2名が臭気を感じる
×5名中、3名以上が臭気を感じる
Figure 0006142721
Figure 0006142721
Figure 0006142721
Figure 0006142721
表14および表16に示すように、実施例1〜15の水性インキ用バインダー樹脂組成物を使用した白色水性インキ組成物(実施例16〜30)ならびに藍色水性インキ組成物(実施例31〜45)はインキ物性(保存安定性、再溶解性、版洗浄性)が良好であり、非極性フィルム基材に対して、低温乾燥で優れた基材密着性、耐水摩擦性、耐水摩擦性を発現する事が確認された。また、乾燥不良が起こりやすい非極性フィルム基材における、耐水ブロッキング、臭気の問題も克服されている。これらは全ての項目において、実用上可能なレベルを満たしている。一方、表15および表17に示すように、比較例1〜5の水性インキ用バインダー組成物を使用した白色水性インキ組成物(比較例6〜10)ならびに藍色水性インキ組成物(比較例11〜15)においては、全てにおいて、インキ塗膜物性が不良な結果となった。

Claims (7)

  1. エチレン性不飽和単量体(a)を重合してなる水溶性樹脂(A)の存在下、水性媒体中でエチレン性不飽和単量体(b)を重合してなる酸価50〜90mgKOH/gのコアシェル型樹脂微粒子分散体(B)と、
    界面活性剤(C)存在下、水性媒体中でエチレン性不飽和単量体(d)を重合してなる酸価0〜30mgKOH/gの樹脂微粒子分散体(D)とを含有する事を特徴とする水性インキ用バインダー樹脂組成物。
  2. 水性インキ用バインダー樹脂組成物の樹脂固形分の合計100重量%中、樹脂微粒子分散体(D)の量が固形分換算で25〜75重量%である事を特徴とする請求項1記載の水性インキ用バインダー樹脂組成物。
  3. コアシェル型樹脂微粒子分散体(B)の平均粒子径が45〜90nm、ガラス転移温度が−10〜30℃であることを特徴とする請求項1または2記載の水性インキ用バインダー樹脂組成物。
  4. 樹脂微粒子分散体(D)の平均粒子径が80〜200nm、ガラス転移温度が−5〜30℃であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水性インキ用バインダー樹脂組成物。
  5. 顔料分散樹脂(E)、顔料(F)水、親水性溶剤(G)及び請求項1〜4いずれか記載の水性インキ用バインダー樹脂組成物を含有することを特徴とする水性インキ組成物。
  6. 水性インキ組成物の最低造膜温度が0℃以下である事を特徴とする請求項5記載の水性インキ組成物。
  7. フレキソ印刷またはグラビア印刷に用いられる、請求項5または6記載の水性インキ組成物。
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