JP6703885B2 - 水性フレキソ印刷インキ組成物 - Google Patents
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Description
同時に、最近では産業界をあげて環境にやさしい製品作りを目指しており、段ボールの材料としても、古紙や再生紙等が利用されるようになっている。このような材料から得られる段ボールは、表面の凹凸が粗いうえに不鮮明な色合いを有し、浸透性も高いため、微小印刷物を製造することは極めて困難である。加えて印刷業界では、経済性の追求から高希釈率のインキが薄膜かつ高速で印刷されており、印刷条件は厳しくなる一方である。したがって、印刷インキには、さらに高光沢で、濃度が高く、かつ高いレベリング性が要求されている。
しかし、従来のフレキソ印刷インキ組成物をディスペンシングシステム等の生産システムに適用した場合は、消泡剤を多く含有するため、消泡性には優れるものの、フレキソ印刷を行う際に、印刷紙面上のハジキが多くなったり、印版に対してインキが垂れ込んだり、ミスチングが発生することがあった。
すなわち、本発明は、
1.顔料、顔料分散用樹脂、コアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、消泡剤、水性溶剤を含有する溶剤を含有する水性フレキソ印刷インキ組成物であって、
コア部とシェル部の質量比率はシェル部:コア部=10:90〜50:50であり、
シェル部及び/又はコア部中に疎水基として炭素数4〜24の脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する水性フレキソ印刷インキ組成物。
2.顔料、顔料分散用樹脂、コアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、消泡剤、水性溶剤を含有する溶剤を含有する水性フレキソ印刷インキ組成物であって、
コア部とシェル部の質量比率はシェル部:コア部=10:90〜30:70であり、
シェル部及び/又はコア部中に疎水基として炭素数4〜6の脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する1に記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
3.シェル部及び/又はコア部中にブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する1又は2に記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
4.シェル部は、シェル部100質量部中にブチルアクリレート由来の構成単位を20〜50質量部含有し、理論酸価は100〜200であり、コア部は、コア部100質量部中にスチレン系モノマー由来の構成単位を70質量部以上有する、1〜3のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
5.顔料分散用樹脂がアルカリ可溶型水溶性樹脂を含有する1〜4のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
6.顔料分散用樹脂が(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックポリマーを含有する1〜5のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
7.レオロジーコントロール剤を含有する1〜6のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
8.レオロジーコントロール剤が、会合型のレオロジーコントロール剤及び重量平均分子量が10万〜300万の高分子型のレオロジーコントロール剤とからなるものである1〜7のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
9.会合型のレオロジーコントロール剤が、ウレタン会合型及び/又はアルカリ膨潤会合型のレオロジーコントロール剤であり、高分子型のレオロジーコントロール剤が、アルカリ可溶型のポリマー及び/又はポリエチレングリコールのレオロジーコントロール剤である1〜8のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
(顔料)
本発明の水性フレキソ印刷インキ組成物に使用される顔料としては、従来から水性フレキソ印刷インキで使用されているものを使用できる。具体的には、無機顔料として、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料を挙げることができる。また、有機顔料として、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。上記顔料は、1種でも2種以上でも用いることができる。
上記顔料の水性フレキソ印刷インキ組成物中での濃度は5〜60質量%であり、通常有機顔料の場合は、6〜35質量%、無機顔料の場合は、30〜60質量%である。
本発明の水性フレキソ印刷インキ組成物で使用するコアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂エマルジョンとしては公知の方法で製造されるものを使用することができる。
このようなコアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂エマルジョンのうち、水溶性アクリル系樹脂を高分子乳化剤として用いて、スチレン系モノマー、必要に応じて(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを共重合して得られる常温で造膜するものが好適に使用できる。
そして、コア部とシェル部の質量比率はシェル部:コア部=10:90〜50:50であり、好ましくは10:90〜30:70、より好ましくは15:85〜25:75である。コア部及び/又はシェル部中に疎水基として炭素数4〜24の脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有するスチレン−アクリル系樹脂であることが望ましく、好ましくは、コア部及び/又はシェル部中に疎水基として炭素数4〜6の脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有するスチレン−アクリル系樹脂であることが望ましく、さらに好ましくは、コア部及び/又はシェル部中にブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有するコアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂であることが望ましい。
また、シェル部は、シェル部100質量部中に疎水基として炭素数4〜24の脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を10〜50質量部含有し、さらに好ましくは20〜50質量部含有し、その理論酸価は100〜200である。
コア部は、コア部100質量部中にスチレン系モノマーに由来する構成単位を70質量部以上、好ましくは90質量部以上含有するコアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂であることが望ましい。
特に好ましくは、シェル部100質量部中にブチルアクリレートに由来する構成単位を20〜50質量部含有させることによって、表面張力を低下させた場合に、消泡剤や界面活性剤の使用量を少量としても、印版に対してインキが垂れ込んだり、ミスチングが発生することを防止できる効果が高い。
また、本発明のコアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂エマルジョンの表面張力が20〜40mN/mであるものが好ましい(表面張力は、固形分が30%となるように水に希釈して測定)。
本発明におけるコアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂エマルジョンの使用量は、水性フレキソ印刷インキ組成物中に、エマルジョンの固形分で5〜40質量部であることが望ましい。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
これらの方法の中でも本発明のコアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂エマルジョンは、シェル部となる下記高分子乳化剤の存在下で、さらにコア部となる重合性モノマー、具体的には、重合モノマー中にスチレン系モノマー70質量部以上と、必要に応じてメチルメタクリ―ト、疎水基として2−エチルヘキシル(メタ)クリレート等の炭素数4〜24の脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリレート等を有する重合性モノマーを配合して、公知の乳化重合法により重合して得ることができる。
高分子乳化剤は、カルボキシル基含有モノマーとそれ以外の他のラジカル重合性不飽和モノマーとの共重合体である。
カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノヘキシル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ−2−エチルヘキシル、マレイン酸モノラウリル等の炭素数8〜13の脂肪族炭化水素基を有するマレイン酸モノエステル化合物、マレイン酸モノミリスチル、マレイン酸モノセチル、マレイン酸モノステアリル、マレイン酸モノオレイル、マレイン酸モノエイコシル等の炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を有するマレイン酸モノエステル化合物、クロトン酸とそのエステル化合物、イタコン酸とそのエステル化合物等を挙げることができる。
他のラジカル重合性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、オレフィン系化合物等、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン等のスチレン系単量体、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等の(メタ)アクリル酸ベンジル系単量体、メタクリル酸フェニル、アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸フェニル系単量体等を挙げることができる。
また、高分子乳化剤は、理論酸価が100〜200となるようにカルボキシル基含有モノマーを使用することが好ましい。理論酸価が100未満であると、スチレン−アクリル系エマルジョンの安定性が低下し、一方、200より大きい場合は、耐水性が低下する。 また、高分子乳化剤の重量平均分子量は、3000〜15000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が3000未満であると、高分子乳化剤としての作用が低下し、一方、15000より大きい場合は、共重合体の溶解性が低下する。
高分子乳化剤は、上記カルボキシル基含有モノマーと上記他のラジカル重合性不飽和モノマーとを配合した混合物を、公知の方法で重合して、重量平均分子量3000〜15000の重合体を得、その後、塩基性化合物で中和することにより調製することができる。また、中和に使用する塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン等の有機塩基性化合物等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性フレキソ印刷インキ組成物で使用する顔料分散用樹脂としては、アルカリ可溶型水溶性樹脂であり、さらに、(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックポリマーを併用して使用することが好ましい。
アルカリ可溶型水溶性樹脂としては、通常の水性フレキソ印刷インキ組成物で使用される不飽和二重結合を有するモノマーを重合させて得られる樹脂や、官能基同士の反応によって得られる樹脂などであればとくに制限なく使用できる。
具体的には、アクリル酸あるいはメタクリル酸とそのアルキルエステル、あるいはスチレン等を主なモノマー成分として共重合した水溶性アクリル系樹脂、水溶性スチレン−アクリル系樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸系樹脂、水溶性スチレン−アクリル−マレイン酸系樹脂、水溶性ポリウレタン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂などの各種バインダー樹脂が好適な例として例示できる。
これらのアルカリ可溶型水溶性樹脂は、通常、塩基性化合物の存在下で水中に溶解させて水溶性樹脂ワニスとして使用する。上記アルカリ可溶型水溶性樹脂を水中に溶解するために使用する塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、有機アミン、アルカリ金属水酸化物等を挙げられる。具体的には、上記有機アミンとしては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等を挙げることができる。上記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。その中でも乾燥性を向上させるために、常温あるいはわずかの加温で容易に揮発するものが望ましい。
顔料に対するアルカリ可溶型水溶性樹脂の使用量は、顔料100質量部に対して固形分で2.5〜7.5質量部で、好ましくは3.0〜7.0質量部である。
(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックポリマーとしては、2以上のブロックを含み、それぞれのブロックは、ポリエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドで構成される。
(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックポリマーとしては、公知の方法で合成することができる。例えば、ポリエチレンオキサイドポリマーがプロピレンオキサイドと反応し、ポリ(プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックポリマーを形成することができ、別の方法として、ポリプロピレンオキサイドポリマーがエチレンオキサイドと反応し、ポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド)ブロックポリマーを形成することができる。
また、ポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド)ブロックポリマーは、水を含有する溶剤の安定性の面から、HLB値が8〜20であることが好ましい。
ここで、HLB値とは、界面活性剤の分野で利用されている、分子の親水性部分と親油性部分とのバランス(hydrophile-lipophile balance)を表すものであり、上記HLB値は、下記に示すグリフィン式(一定の油に対する乳化効率の測定から求めた実験値と親水部の重量分率に基づく式)を適用して求める事ができる。
〔グリフィン式〕HLB=(100/5)×親水基重量/(親水基重量+疎水性重量)
顔料に対しての(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックポリマーの使用量は、顔料100質量部に対して0〜10質量部、好ましくは0.5〜8質量部である。
顔料に対してのアルカリ可溶型水溶性樹脂+(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックポリマーの合計使用量は、顔料100質量部に対して10〜30質量部であることが好ましい。
本発明の水性フレキソ印刷インキ組成物で使用するレオロジーコントロール剤は、会合型のレオロジーコントロール剤、重量平均分子量が10万〜300万の高分子型のレオロジーコントロール剤で、特に会合型のレオロジーコントロール剤と重量平均分子量が10万〜300万の高分子型のレオロジーコントロール剤とを併用して使用することが好ましい。
会合型のレオロジーコントロール剤としては、アクリル膨潤会合型レオロジーコントロール剤及び/又はウレタン会合型レオロジーコントロール剤で、具体例としては、RM−5、TT−615、TT−935、RM−8、RM−825、RM−1020、SCT−275、RM−2020、RM−SW、RM−2020NPR、RM−R、RM−12W、DR−1、DR−72、DR−300、RM−7、RM−50000、RM−60000、RM−845、RM−995(ローム・アンド・ハース社製)、アデカノールVF、UH−462、UH−752、UH−140S、UH−420、UH−438、UH−472、UH−450、UH−540、UH−550、UH−541VF、UH−526、UH−530(ADEKA社製)、コグニス3220、RheovisPE1332、PU1190、PU1191、PU1214、PU1215、PU1250、PU1251、PU1256、PU1270、PU1280、PU1291、PU1331(BASF社製)、RHEOLATE266、288、244、255、278(RHEOX社製)、SNシックナーA−803、A−804、A−807、A−812、A−814(サンノプコ社製)等が例示できる。なかでも、ウレタン変性エーテル会合型レオロジーコントロール剤が好適に使用できる。
また、高分子型のレオロジーコントロール剤としては、重量平均分子量が10万〜300万の範囲のアルカリ可溶型のポリマー及び/又はポリエチレングリコールのレオロジーコントロール剤、具体的には、プライマルASE−60、TT−615、ASE−75、ASE−108、RM−5、ASE−95NP(ローム・アンド・ハース社製)、アルコックスR−1000、R−400、R−150、E−60、E−45、E−30、E−300、E−240、E−160、E−100、E−75(明成化学工業社製)、RheovisAS1125、AS1130、AS1188、AS1956(BASF社製)、アロンA−20L、A−7100、A−10H、A−7255、A−7185、A−7195、A−7075、A−7055、B−300K、B−500(東亜合成社製)等が例示できる。
本発明において使用される消泡剤としては、公知の消泡剤を採用することができる。
そのような消泡剤としては、例えば、疎水性ポリジメチルシロキサン系消泡剤、長鎖アルキル基又はアラルキル基を含有するポリシロキサンとポリオキシアルキレン鎖含有ポリシロキサンとを組み合わせた消泡剤、シルカルベン単位とシロキサン単位からなるポリシルカルベンシロキサンを主成分とする消泡剤、アルキレンオキシド化合物とアルコール性水酸基を有するシリコーンとイソシアナート化合物の反応物からなる消泡剤、シロキサン−グリコール共重合体とポリプロピレングリコールからなる消泡剤等を使用することができる。
消泡剤ごとに異なる消泡効果に依存するが、特にコアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂エマルジョンのシェル部100質量部に対してブチルアクリレートに由来する構成単位を20〜50質量部使用することによって、本発明において使用する消泡剤の量は通常のインキ中に配合される消泡剤の量よりも少量とすること、さらに界面活性剤の使用量をより少量とすることができ、その結果として、印版に対してインキが垂れ込んだり、ミスチングが発生したりすることを防止することができる。
消泡剤の使用量としては、水性フレキソ印刷インキ組成物の0.3質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.2質量%以下である。
本発明の水性フレキソ印刷インキ組成物で使用する水性溶剤としては、水及び本発明の水性フレキソ印刷インキ組成物の性能低下をきたさない範囲で、水溶性有機溶剤を使用する。
水溶性有機溶剤としては、アルコールおよび多価アルコール系溶剤で、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジピロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン等を添加することができる。
本発明の水性フレキソ印刷インキ組成物には、必要に応じて各種添加剤を使用することができる。
具体的には、乾燥性を向上させるために、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク等の体質顔料、防滑性を付与するために無機系微粒子及び粘着性樹脂(アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂)、レベリング性を向上させるためにレベリング剤、再溶解性を付与するために苛性ソーダ等の塩基性化合物、塗膜耐性を付与するためにワックス、造膜エマルジョン等の各種添加剤を挙げることができる。
本発明の水性フレキソ印刷インキ組成物において添加することができる造膜エマルジョンとしては、ガラス転移温度が10℃以下で造膜する樹脂エマルジョンが好ましい。このような樹脂エマルジョンとしては、アクリル系樹脂エマルジョン、水溶性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、水溶性スチレン−マレイン酸系樹脂エマルジョン、水溶性スチレン−アクリル−マレイン酸系樹脂エマルジョンが挙げられ、中でも、水溶性アクリル系樹脂を高分子乳化剤として用いて、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等を共重合して得られたものが好適に使用できる。
本発明の水性フレキソ印刷インキ組成物を従来法で製造する方法としては、顔料と、顔料分散用樹脂と、表面張力が20〜40mN/mのスチレン−アクリル系樹脂エマルジョンと、レオロジーコントロール剤と、水を含有する水性溶剤とを混合した後、各種練肉機、例えば、ビーズミル、パールミル、サンドミル、ボールミル、アトライター、ロールミル等を利用して練肉し、さらに、消泡剤、必要に応じて所定の材料の残り及び添加剤を混合する。
次いで、印刷時に希釈が必要な場合は、さらに水を含有する溶剤を加え水性フレキソ印刷インキ組成物を得る。この水性フレキソ印刷インキ組成物を用いた印刷物の製造方法としては、段ボールやカートン等の紙器に、上記水性フレキソ印刷インキ組成物を用いてフレキソ印刷機で印刷する方法が例示できる。
なお、ディスペンシングシステム等の生産システムに適用する場合は、高顔料濃度水性フレキソ印刷インキベース組成物とワニス組成物を別々に得ておき、次いでこれらを混合して高顔料濃度水性フレキソ印刷インキ組成物を得てもよい。
表1に示すシェル部を構成するアルカリ可溶性樹脂のジメチルエタノールアミン水溶液を高分子乳化剤として得た。次いで、コア部を構成するために、スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートを添加し、常法により乳化重合し、固形分50%のスチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(1)〜(15)を得た。
2HEA:2−エチルヘキシルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
EA:エチルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
LA:ラウリルアクリレート
表2に記載の比率となるように、顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)、アルカリ可溶型水溶性樹脂(ジョンクリルHPD−671、ジョンソンポリマー社製、固形分25%)、ポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックポリマー(ポリ(EO/PO)ブロックポリマー、HLB値14、Mw16000)、ジブチレングリコール及び水をビーズミルで混練後、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(1)〜(15)、会合型のレオロジーコントロール剤(SNシックナー 623N、固形分30%)、高分子型のレオロジーコントロール剤(チクゾールK502、固形分21%)、消泡剤(SN デフォーマー 777 #C、サンノプコ社製)を表2の割合となるように加え混合して、高顔料濃度水性フレキソ印刷インキベース組成物(A)〜(P)を得た。
表3の割合となるように、アルカリ可溶型水溶性樹脂(ジョンクリルHPD−671、ジョンソンポリマー社製、固形分25%)、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(1)〜(15)、会合型のレオロジーコントロール剤(SNシックナー 623N、固形分30%)、高分子型のレオロジーコントロール剤(チクゾールK502、固形分21%)、ポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックポリマー(ポリ(EO/PO)ブロックポリマー、HLB値14、Mw16000)、体質顔料(一次粒子径0.1μmの重炭酸カルシウムを75%含有しているスラリー)、シリカ(富士デビソン社製、平均粒子径5μm)、造膜エマルジョン(ジョンクリル390、ジョンソンポリマー社製、ガラス転移温度2℃、固形分46%)及び水を加え混合して、ワニス組成物(a)〜(r)を得た。
表4の割合となるように、高顔料濃度水性フレキソ印刷インキベース組成物(A)〜(P)とワニス組成物(a)〜(r)と水を配合して、実施例1〜17、比較例1、参照例1のフレキソ印刷インキ組成物を調製した。なお、表中の高顔料濃度水性フレキソ印刷インキベース組成物及びワニス組成物を示す記号の横の数値は質量部を示す。
<ピグメントショック>
実施例1〜17、比較例1、参照例1のフレキソ印刷インキ組成物を調製して10分間静置後、100メッシュの網でこして残渣を目視で評価した。
評価
〇:残渣が無いもの
×:残渣が有るもの
実施例1〜17、比較例1、参照例1のフレキソ印刷インキ組成物の23℃の粘度を4号ザーンカップで測定した。
評価
〇:7.5秒以上であるもの
×:7.5秒未満であるもの
実施例1〜17、比較例1、参照例1のフレキソ印刷インキ組成物を密閉したサンプル瓶に入れ、40℃14日間保存した後のインキの流動性を目視で評価した。
評価
〇:良好な流動性であるもの
△:増粘しているもの
×:流動性がなく固まっているもの
実施例1〜17、比較例1、参照例1のフレキソ印刷インキ組成物を、ディスパーで1時間撹拌した後の、泡発生状態を観察することにより以下のように評価した。
○:泡が合一し、速やかに消沈するもの
△:泡の合一と消沈がやや遅いもの
×:合一、破泡は遅いが、最終的には消沈するもの
実施例1〜17、比較例1、参照例1のフレキソ印刷インキ組成物を、ハンドプルーファーで展色し、紙への飛散状態を目視評価することにより以下のように評価した。
○:飛散がすくないもの
×:やや飛散があるもの
実施例1〜17、比較例1、参照例1のフレキソ印刷インキ組成物を、0.15mmのメアバーを用いてKライナー(王子製紙社製)に展色した各印刷物を、を2.5cm×25cmに切断してテストピースとし、学振型耐摩擦試験機(大栄科学精器製作所製)を使用して、当て紙(コピー用紙)を印刷物の印刷面に当てて、500gの荷重で100回ずつ摩擦して耐性を評価した。
評価
◎:コピー用紙の汚染が汚染用グレースケール5〜4のもの
○:コピー用紙の汚染が汚染用グレースケール3のもの
×:コピー用紙の汚染が汚染用グレースケール2〜1のもの
実施例1〜17、比較例1、参照例1のフレキソ印刷インキ組成物を、0.15mmのメアバーを用いてKライナー(王子製紙社製)に展色した各印刷物の乾燥性を指触して評価した。
実施例1では速やかに乾燥した。
実施例1〜17、比較例1、参照例1のフレキソ印刷インキ組成物を、0.15mmのメアバーを用いてKライナー(王子製紙社製)に展色し、得られた各印刷物の滑り角度を、東洋精機社製滑り角度試験機により測定した。
それに対して、本発明通りに行っておらず、シェル部及び/又はコア部中に疎水基として炭素数4〜24の脂肪族アルキル基を有しない比較例1の結果によれば、消泡性に劣る結果となった。またシェル部及び/又はコア部中に疎水基として炭素数4〜24の脂肪族アルキル基を有することなく、消泡剤を多く添加してなる参照例1によれば、比較例1による結果よりも消泡性は改善するがミスチングが発生した。
Claims (9)
- 顔料、顔料分散用樹脂、コアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、消泡剤、水性溶剤を含有する溶剤を含有する水性フレキソ印刷インキ組成物であって、
コア部とシェル部の質量比率はシェル部:コア部=10:90〜50:50であり、
シェル部及び/又はコア部中に疎水基として炭素数4〜24の脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する水性フレキソ印刷インキ組成物(ただしコア部がスチレンとブチルアクリレートのコポリマーであり、かつシェル部がスチレンとアクリル酸とアルファメチルスチレンのコポリマーである場合を除く)。 - 顔料、顔料分散用樹脂、コアシェル構造を有するスチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、消泡剤、水性溶剤を含有する溶剤を含有する水性フレキソ印刷インキ組成物であって、
コア部とシェル部の質量比率はシェル部:コア部=10:90〜30:70であり、
シェル部及び/又はコア部中に疎水基として炭素数4〜6の脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する請求項1に記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。 - シェル部及び/又はコア部中にブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する請求項1又は2に記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
- シェル部は、シェル部100質量部中にブチルアクリレート由来の構成単位を20〜50質量部含有し、理論酸価は100〜200であり、コア部は、コア部100質量部中にスチレン系モノマー由来の構成単位を70質量部以上有する、請求項1〜3のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
- 顔料分散用樹脂がアルカリ可溶型水溶性樹脂を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
- 顔料分散用樹脂が(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックポリマーを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
- レオロジーコントロール剤を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
- レオロジーコントロール剤が、会合型のレオロジーコントロール剤及び重量平均分子量が10万〜300万の高分子型のレオロジーコントロール剤とからなるものである請求項1〜7のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
- 会合型のレオロジーコントロール剤が、ウレタン会合型及び/又はアルカリ膨潤会合型のレオロジーコントロール剤であり、高分子型のレオロジーコントロール剤が、アルカリ可溶型のポリマー及び/又はポリエチレングリコールのレオロジーコントロール剤である請求項1〜8のいずれかに記載の水性フレキソ印刷インキ組成物。
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