JP2020122043A - 水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション及びその製造方法 - Google Patents

水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション及びその製造方法 Download PDF

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侑介 帆足
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Abstract

【課題】紙やフィルムへの密着性に優れた水性軟包装用コアシェル型エマルションを提供する。【解決手段】(A)ダイマー酸、トリマー酸、ダイマー酸及び/又はトリマー酸と多価アミンを反応させて得られる酸価を有するポリアミド化合物、ダイマー酸及び/又はトリマー酸と多価アルコールを反応させて得られる酸価を有するポリエステル化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、(B)カルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体の重合物である水溶性樹脂と、(C)エチレン性不飽和単量体(c)の乳化重合物とを含む水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションであって、化合物(A)の酸価が80mgKOH/g以上、化合物(A)をエマルション固形分中に0.5〜40質量%含み、化合物(A)及び水溶性樹脂(B)がシェル部、乳化重合物(C)がコア部を成すことを特徴とする水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション。【選択図】なし

Description

本発明は特定の多価カルボン酸及び/又はその誘導体を利用した、紙やフィルムへの密着性に優れるコアシェル型の水性軟包装印刷用エマルションに関する。
食品や日用品を包装する材料として紙、プラスチックフィルムなどがあり、これらの印刷には溶剤型のインキがメインで使用されている。近年、環境問題に対応したインキとして有機溶剤を使用しない水性インキの要望が強くなってきている。
しかし、水性インキは溶剤型のインキと比較してフィルムへの濡れ性が劣るため、インキがはじかれて良好な印刷物が得られず、フィルムに対するインキの密着性が十分ではないという問題があった。
これら前記した問題を解決するため、特許文献1では、アミド基及びビニル基を併せ持つ単量体と共重合させて得られるアクリル樹脂を含有する水性インキが検討されている。
また、特許文献2では、アクリル−ウレタン樹脂、有機多価ヒドラジド化合物を含有する水性エマルションが検討されている。
しかしながら、特許文献1では、基材への耐水性や耐溶剤性、密着性がまだまだ不十分であり、特許文献2では、密着性、耐水性は向上するものの、ヒドラジドに起因した基材上でのインキ乾燥不良といった新たな問題を有するものであった。
特開2009−280659号 特開2002−088215号
本発明は、紙やフィルムへの密着性に優れた水性軟包装用コアシェル型エマルションを提供することを課題とする。
本発明者らは、特定の多価カルボン酸及び/又はその誘導体を用い、シェル側に特定の水溶性樹脂と特定の多価カルボン酸及び/又はその誘導体を含むコアシェル型のエマルションが、紙やフィルムに対する密着性に優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
<1>(A)ダイマー酸(a−1)、トリマー酸(a−2)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アミンを反応させて得られる酸価を有するポリアミド化合物(a−3)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アルコールを反応させて得られる酸価を有するポリエステル化合物(a−4)の群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、(B)カルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体の重合物である水溶性樹脂と、(C)エチレン性不飽和単量体(c)の乳化重合物とを含む水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションであって、化合物(A)の酸価が80mgKOH/g以上であり、化合物(A)をエマルション固形分中に0.5〜40質量%含み、化合物(A)及び水溶性樹脂(B)がシェル部、乳化重合物(C)がコア部を成すことを特徴とする水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション、
<2>水溶性樹脂(B)が芳香族含有エチレン性不飽和単量体及び/又は脂環構造含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物の重合物であることを特徴とする前記<1>に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション、
<3>エチレン性不飽和単量体(c)の20℃における水への溶解度が3g/100g水未満であることを特徴とする、前記<1>に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション、
<4>前記<1>〜<3>いずれか一項に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションを含むことを特徴とする水性軟包装用印刷インキ用バインダー樹脂、
<5>前記<1>〜<3>いずれか一項に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションを含むことを特徴とする水性軟包装印刷用コーティングニス、
<6>(A)ダイマー酸(a−1)、トリマー酸(a−2)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アミンを反応させて得られる酸価を有するポリアミド化合物(a−3)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アルコールを反応させて得られる酸価を有するポリエステル化合物(a−4)の群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、(B)カルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体の重合物である水溶性樹脂の存在下、水中でエチレン性不飽和単量体(c)を乳化重合してなる水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションの製造方法であって、化合物(A)の酸価が80mgKOH/g以上であり、化合物(A)をエマルション固形分中に0.5〜40質量%含むことを特徴とする水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションの製造方法、
<7>水溶性樹脂(B)が芳香族含有エチレン性不飽和単量体及び/又は脂環構造含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物の重合物であることを特徴とする前記<6>に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションの製造方法、
<8>エチレン性不飽和単量体(c)の20℃における水への溶解度が3g/100g水未満であることを特徴とする、前記<6>に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションの製造方法、
である。
本発明で提供する水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションは、紙、フィルムいずれの基材に対しても密着性に優れているため、印刷インキ用バインダーまたはコーティングニスの原料として好適に用いることができる。
本発明の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションは、少なくとも水と、(A)ダイマー酸(a−1)、トリマー酸(a−2)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アミンを反応させて得られる酸価を有するポリアミド化合物(a−3)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アルコールを反応させて得られる酸価を有するポリエステル化合物(a−4)の群から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、化合物(A)と称する)と、(B)カルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体の重合物である水溶性樹脂(以下、水溶性樹脂(B)と称する)と、(C)エチレン性不飽和単量体(c)の乳化重合物(以下、乳化重合物(C)と称する)とを含む。
化合物(A)は、ダイマー酸(a−1)、トリマー酸(a−2)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アミンを反応させて得られる酸価を有するポリアミド化合物(a−3)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アルコールを反応させて得られる酸価を有するポリエステル化合物(a−4)の群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。化合物(A)は基材への密着効果に優れ、また後述するようにダイマー酸(a−1)、トリマー酸(a−2)自体は植物由来であるため環境に優しい素材であるといえる。
ダイマー酸(a−1)は、乾性油、半乾性油などから得られる精製植物性脂肪酸を重合して得られる二塩基性酸である。代表的な原料として、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸など、炭素数18の不飽和脂肪酸が用いられるため、主成分は炭素数36のジカルボン酸となる。なお、ダイマー酸は主成分の他にトリマー酸、モノマー酸を含有する。モノマー酸の含有量は、モノマー酸、ダイマー酸、及びトリマー酸の合計100質量%に対して、0〜15質量%であり;ダイマー酸の含有量は、モノマー酸、ダイマー酸、及びトリマー酸の合計100質量%に対して、70〜100質量%であり;トリマー酸の含有量は、モノマー酸、ダイマー酸、及びトリマー酸の合計100質量%に対して、0〜15質量%であることが好ましい。
ダイマー酸(a−1)については市販のダイマー酸を用いることができる。市販のダイマー酸の具体例としては、クローダジャパン株式会社製の「PRIPOL(プリポール:登録商標)」シリーズ、ハリマ化成株式会社製の「ハリダイマー」シリーズ、BASFジャパン株式会社製の「EMPOL(エンポール:登録商標)」シリーズ、築野食品工業株式会社製の「ツノダイム(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
また、トリマー酸(a−2)は、ダイマー酸に含まれるトリマー酸成分を精製したもので、トリマー酸中のモノマー酸の含有量は、モノマー酸、ダイマー酸、及びトリマー酸の合計100質量%に対して、0〜10質量%;ダイマー酸の含有量は、モノマー酸、ダイマー酸、及びトリマー酸の合計100質量%に対して、20〜40質量%であり;トリマー酸の含有量は、モノマー酸、ダイマー酸、及びトリマー酸の合計100質量%に対して、50〜80質量%であることが好ましい。
トリマー酸(a−2)については市販のトリマー酸を用いることができる。市販されているトリマー酸としては、築野食品工業株式会社製の「ツノダイム(登録商標)346」が挙げられる。
また、化合物(A)としては、前記したダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)を多価アミンと反応させて得られる酸価を有するポリアミド化合物(a−3)を用いることもできる。
前記ポリアミド化合物(a−3)に使用される多価アミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、それらより高い分子量のポリエチレンポリアミン、メタ−キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ビス−(3−アミノプロピル)アミン、N,N’−ビスー(3−アミノプロピル)−1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノブチル)ピペラジン、N,N−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン及びN,N−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンのほか、ジエチレントリアミンを部分的にN−メチル化して得られる組成物等が挙げられる、これらを単独で用いても良いし、組み合わせて用いても良い。これらの中でも、汎用性が高く入手が容易であることからも、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンが好ましい。
さらに、化合物(A)としては、前記したダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アルコールを反応させて得られる酸価を有するポリエステル化合物(a−4)を用いることもできる。
前記ポリエステル化合物(a−4)に使用される多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2− メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタメチルグリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼンもしくはp−キシレングリコールなどのグリコール類、および、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトールなどのポリヒドロキシ化合物が挙げられる、これらを単独で用いても良いし、組み合わせても良い。これらの中でも、汎用性が高く入手が容易であることからも、プロピレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。
また、化合物(A)はアルカリ性物質で完全又は部分中和した塩として水に可溶又は分散できる程度の酸価を有していればよいが、シェル部に安定分散させるためには、酸価は80mgKOH/g以上であることが好ましい。アルカリ性物質としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、モルホリンなどのアンモニア及び有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属類を挙げることができ、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、アンモニア、水酸化ナトリウムがエマルションのハンドリングや基材に対する密着性などの観点から好ましい。アルカリ性物質の添加量は、酸価に対して50〜150当量%となるように添加することが望ましい。
水溶性樹脂(B)は、カルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体に由来する樹脂の酸基をアルカリ性物質で完全又は部分中和した塩とし、水に可溶化したものである。水溶性樹脂(B)を水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションのシェル部に用いることで、低分子の界面活性剤を用いた時に比べ、基材への密着性に優れるものとなる。とりわけ、密着性の観点からエチレン性不飽和単量体としてカルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体並びに芳香族含有エチレン性不飽和単量体及び/又は脂環構造含有エチレン性不飽和単量体を含んだ単量体混合物の重合物であることが好ましい。
前記カルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
前記芳香族含有エチレン不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等などが挙げられる。
前記脂環構造含有エチレン不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロデシル及び(メタ)アクリル酸シクロドデシル等が挙げられる。
他のエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
その他、前記したエチレン性不飽和単量体の他に、本願発明の効果を阻害しない限りにおいて、例えばリン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体などのカルボキシ基以外の酸基を有するエチレン性不飽和単量体や、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの二官能以上のエチレン性不飽和単量体を共重合する単量体構成に含んでもよい。
水溶性樹脂(B)は、公知の重合方法により得ることができる。例えば、反応に適した反応溶媒を用いて60〜200℃の範囲の重合に適した反応温度において前記エチレン性不飽和単量体の混合物を適当な重合開始剤と共に滴下することで樹脂を重合し、その後反応溶媒を必要に応じて留去し、アルカリ性物質を添加してアルカリ塩とし水溶液とする方法等が挙げられる。
重合開始剤としては、反応溶媒や反応温度に応じて、種々のアゾ系重合開始剤、有機過酸化物等、公知の重合開始剤を用いることができる。
水溶性樹脂(B)は、アルカリ塩として水に可溶化する程度の酸価を有していればよいが、50〜350mgKOH/gであることが、本発明の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションの安定性の観点から好ましい。
アルカリ性物質としては、前記した化合物(A)に用いるアルカリ性物質が同様に挙げられる。アルカリ性物質の添加量は、水溶性樹脂(B)の酸価に対して50〜150当量%となるように添加することが望ましい。
乳化重合物(C)を構成するエチレン性不飽和単量体(c)としては、前記水溶性樹脂(B)を構成するエチレン性不飽和単量体のほかに、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテルなどのビニル化合物類;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルなどのエポキシ基含有単量体などが挙げられる。これらの中でも、塗膜の均一性に影響するエマルションの親水性と疎水性のバランスを考慮すると、乳化重合物(C)を構成するエチレン性不飽和単量体(c)としては、20℃における水への溶解度が3g/100g未満のエチレン性不飽和単量体であることが好ましい。より好ましくは、スチレン(水への溶解度:0.1g/100g水以下)、メタクリル酸メチル(水への溶解度:1.0g/100g水)、アクリル酸エチル(水への溶解度:1.5g/100g水)、メタクリル酸エチル(水への溶解度:0.4g/100g水)、アクリル酸ブチル(水への溶解度:0.1g/100g水)、メタクリル酸ブチル(水への溶解度:0.1g/100g水以下)、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル(水への溶解度:0.1g/100g水以下)、(メタ)アクリル酸ベンジル(水への溶解度:0.1g/100g以下水)、メタクリル酸グリシジル(水への溶解度:2.3g/100g水)である。乳化重合物(C)は、これらを1種又は2種以上組み合わせて、後述する乳化重合に供することで得られる。
本発明の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションは、親水性のシェル部と疎水性のコア部からなるコアシェル型の構造を有する粒子が水中に安定分散されたエマルションである。具体的には、化合物(A)と水溶性樹脂(B)がシェル部、乳化重合物(C)がコア部をそれぞれ構成する。化合物(A)がコア部に導入されると、密着性が悪化する。また、化合物(A)がコアシェルエマルションの外側、つまり水溶性樹脂(B)と乳化重合物(C)とからなるコアシェルエマルションに化合物(A)を混合したタイプだと、経時で分離が起こる(その結果、インキ物性やコーティング適性に悪影響を及ぼすおそれがある)。
本発明の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションの重合方法は特に限定されないが、例えば、化合物(A)と水溶性樹脂(B)とを含む水溶液中に、乳化重合物(C)を構成するエチレン性不飽和単量体(c)を滴下し乳化重合することで得ることができる。別の方法としては、化合物(A)と水溶性樹脂(B)とを含む水溶液と乳化重合物(C)を構成するエチレン性不飽和単量体(c)を予め混合して単量体ミセルを形成させた後に乳化重合することで得ることができる。
乳化重合に用いる重合開始剤としては、公知の水溶性及び油溶性重合開始剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションは、製造時の乳化安定性やハンドリング、製品の貯蔵安定性に問題のない範囲において、インキ、コーティングニスに求められる諸物性に応じて適宜前記(A)〜(C)成分の割合を任意に設定することができるが、通常は(A)〜(C)成分全量に対して、(A)成分0.5〜40質量%、(B)成分5〜60質量%、(C)成分39.5〜80質量%である。密着性の観点から、好ましくは(A)成分10〜40質量%、(B)成分10〜50質量%、(C)成分40〜80質量%であり、(A)成分20〜40質量%、(B)成分10〜40質量%、(C)成分40〜70質量%がより好ましい。
本発明の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションには、本発明の効果に差支えのない範囲において、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、レベリング剤、防錆剤、滑剤(ワックス)、凍結安定剤、填料等の各種添加剤や、他の樹脂ワニスやエマルション、有機溶媒等を添加することができる。
本発明の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションをインキに用いる場合には、顔料分散剤にて顔料を分散した分散体中に、バインダー樹脂として添加して用いる。また、コーティングニスとする場合には、水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションに前記した各種添加剤等を求められる諸物性に応じて添加することで得られる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<化合物(A)の合成>
(合成例1)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器にダイマー酸(A1)495gを仕込み、窒素置換後、撹拌を行いながらエチレンジアミン13.1gを10分で滴下した。その後内温を170℃まで昇温し、7.8gの水を除去した。これをダイマー酸ポリアミド(A3)とする。得られたダイマー酸ポリアミド(A3)の酸価は150mgKOH/gであった。
(合成例2)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器にダイマー酸(A1)489gを仕込み、窒素置換後、撹拌を行いながらエチレンジアミン26.2gを10分で滴下した。その後内温を170℃まで昇温し、15.7gの水を除去した。これをダイマー酸ポリアミド(A4)とする。得られたダイマー酸ポリアミド(A4)の酸価は80mgKOH/gであった。
(合成例3)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器にダイマー酸(A1)495gを仕込み、窒素置換後、撹拌を行いながらジエチレントリアミン22.5gを15分で滴下した。その後内温を170℃まで昇温し、7.9gの水を除去した。これをダイマー酸ポリアミド(A5)とする。得られたダイマー酸ポリアミド(A5)の酸価は145mgKOH/gであった。
(合成例4)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器にダイマー酸(A1)470gを仕込み、窒素置換後、撹拌を行いながらジエチレングリコール44.5gを仕込み、その後内温を170℃まで昇温し、15.2gの水を除去した。これをダイマー酸ポリエステル(A6)とする。得られたダイマー酸ポリエステル(A6)の酸価は150mgKOH/gであった。
(合成例5)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器にダイマー酸(A1)495gを仕込み、窒素置換後、撹拌を行いながらプロピレングリコール16.6gを仕込み、その後内温を170℃まで昇温し、7.9gの水を除去した。これをダイマー酸ポリエステル(A7)とする。得られたダイマー酸ポリエステル(A7)の酸価は146mgKOH/gであった。
(比較用合成例1)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器にダイマー酸(A1)486gを仕込み、窒素置換後、撹拌を行いながらエチレンジアミン34.7gを10分で滴下した。その後内温を170℃まで昇温し、20.1gの水を除去した。これをダイマー酸ポリアミド(RA1)とする。得られたダイマー酸ポリアミド(RA1)の酸価は40mgKOH/gであった。
(比較用合成例2)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器にアジピン酸(AA)400gを仕込み、窒素置換後、撹拌を行いながらエチレンジアミン41.0gを10分で滴下した。その後内温を170℃まで昇温し、36.0gの水を除去した。これをポリアミド(RA2)とする。得られたポリアミド(RA2)の酸価は546mgKOH/gであった。
<水溶性樹脂(B)の合成>
(合成例6)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル1000gを仕込み、窒素置換下、撹拌を行い、145℃まで昇温した。次いで、スチレン200g、αメチルスチレン450g、エチルジグリコールアクリレート30g、アクリル酸320gと重合開始剤であるジターシャリーブチルパーオキサイド10gの混合液を、180分かけて滴下した後、145℃で120分保持し、減圧蒸留にて溶剤を留去し、酸価249mgKOH/gの芳香族含有アクリル系樹脂B1を得た。
(合成例7)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル1000gを仕込み、窒素置換下、撹拌を行い、145℃まで昇温した。次いで、メタクリル酸メチル650g、アクリル酸ブチル230g、メタクリル酸120gと重合開始剤であるジターシャリーブチルパーオキサイド10gの混合液を、180分かけて滴下した後、145℃で120分保持し、減圧蒸留にて溶剤を留去し、酸価78mgKOH/gのアクリル系樹脂B2を得た。
(合成例8)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル1000gを仕込み、窒素置換下、撹拌を行い、145℃まで昇温した。次いで、スチレン100g、αメチルスチレン400g、アクリル酸2―エチルヘキシル50g、アクリル酸ブチル50g、アクリル酸400gと重合開始剤であるジターシャリーブチルパーオキサイド10gの混合液を、180分かけて滴下した後、145℃で120分保持し、減圧蒸留にて溶剤を留去し、酸価311mgKOH/gの芳香族含有アクリル系樹脂B3を得た。
(合成例9)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル1000gを仕込み、窒素置換下、撹拌を行い、145℃まで昇温した。次いで、スチレン330g、αメチルスチレン400g、アクリル酸270gと重合開始剤であるジターシャリーブチルパーオキサイド10gの混合液を、180分かけて滴下した後、145℃で120分保持し、減圧蒸留にて溶剤を留去し、酸価210mgKOH/gの芳香族含有アクリル系樹脂B4を得た。
(合成例10)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル1000gを仕込み、窒素置換下、撹拌を行い、145℃まで昇温した。次いで、メタクリル酸メチル590g、アクリル酸シクロヘキシル250g、メタクリル酸160gと重合開始剤であるジターシャリーブチルパーオキサイド10gの混合液を、180分かけて滴下した後、145℃で120分保持し、減圧蒸留にて溶剤を留去し、酸価104mgKOH/gの脂環構造含有アクリル系樹脂B5を得た。
<コアシェル型エマルションの合成>
(実施例1)
撹拌モーター、撹拌翼、温度センサー、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に化合物(A)としてダイマー酸(A1)40g、水溶性樹脂(B)として芳香族含有アクリル系樹脂B1を40g、水200gを仕込み撹拌した。そこに化合物(A)と水溶性樹脂(B)各々の酸価に対して100mol%となる量のアンモニア(28%アンモニア水を15.7g)を加え、内温80℃まで昇温し溶解した。その後、反応容器内を十分に窒素置換した後、乳化重合物(C)の原料であるエチレン性不飽和単量体(c)混合物110g(スチレン56gとアクリル酸2−エチルヘキシル64gの混合液)を過硫酸アンモニウム1.2gを水36gに溶かした水溶液と共に3時間かけて反応容器内に滴下し80℃で乳化重合させた。反応終了後、30度以下に冷却した後、固形分35%以上、かつ粘度を150〜3000mPa・s/25℃の範囲に調整するための水を添加し、水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション(E1)を得た。なお、本発明において粘度とはB型粘度計にて測定した25℃におけるエマルション原液の粘度であり、固形分とは各エマルションをアルミカップに2g計量したものを140℃で1時間乾燥し、その後乾燥剤の入ったデシケーター中で25℃まで冷却してその残存物の質量を測定し、エマルション中の揮発しない成分の質量割合(%)を算出したものである。
(実施例2〜13)
(A)〜(B)成分の種類や仕込量を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様にして実施例2〜13の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション(E2〜E13)を得た。
(実施例14)
エチレン性不飽和単量体(c)混合物の組成をスチレン56gとアクリル酸ブチル64gに変えたほかは、実施例3と同様にして水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション(E14)を得た。
(実施例15)
エチレン性不飽和単量体(c)混合物の組成をメタクリル酸メチル56gとアクリル酸2−エチルヘキシル64gに変えたほかは、実施例3と同様にして水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション(E15)を得た。
(実施例16)
エチレン性不飽和単量体(c)混合物の組成をスチレン54gとアクリル酸2−エチルヘキシル64gとメタクリル酸グリシジル2gに変えたほかは、実施例3と同様にして水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション(E16)を得た。
(実施例17)
エチレン性不飽和単量体(c)混合物の組成をスチレン56gとアクリル酸メチル64gに変えたほかは、実施例3と同様にして水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション(E17)を得た。
(比較例1、2、4〜6、8)
(A)〜(C)成分の種類や仕込量を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様にして水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションを得ようとしたが、乳化重合中にエマルションがゲル化し、次の評価に供することができなかった。
なお、比較例1は、エチレン性不飽和単量体(c)混合物の組成をスチレン47gとアクリル酸2−エチルヘキシル53gとした。
(比較例3)
実施例1において、化合物(A)を用いないで、水溶性樹脂(B)として芳香族含有アクリル系樹脂B1を80g用いたほかは、実施例1と同様にして実施例1と同様にして比較例3のエマルションを得た。
(比較例7)
(A)〜(C)成分の種類や仕込量を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様にして水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションを得たが、冷却後静置するとエマルションが分離し、次の評価に供することができなかった。
(比較例9〜12)
(A)〜(C)成分の種類や仕込量を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様にして比較例9〜12のエマルションを得た。
表1に各実施例及び比較例で使用した(A)〜(C)成分の種類と仕込量を、表2に各実施例及び比較例で得られたエマルションの物性及びエマルション固形分をそれぞれ示す。
<酸価の測定方法>
化合物(A)、水溶性樹脂(B)の酸価は、試料を0.1g採取し、50mLのTHFに溶解した後、指示薬としてフェノールフタレイン試液を数滴加えた後、撹拌下、THF溶解液が30秒間以上、淡赤色に呈色するまで、0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を滴下した。
滴下に使用した0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量をYmLとし、
酸価 = Y×0.5×56.1として算出した。
Figure 2020122043
(表中の略号)
(A)成分
A1:ダイマー酸(ツノダイム216R、築野食品工業株式会社製)、酸価192mgKOH/g
A2:トリマー酸(ツノダイム346、築野食品工業株式会社製)、酸価180mgKOH/g
AA:アジピン酸(旭化成ケミカルズ株式会社製)、酸価768mgKOH/g
SA:セバシン酸(豊国精油株式会社製)、酸価555mgKOH/g
OA:オレイン酸(新日本理化株式会社製)、酸価199mgKOH/g
LA:リノール酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)、酸価200mgKOH/g
ISA:イソステアリン酸(日産化学工業株式会社製)、酸価198mgKOH/g
RCA:リシノール酸(伊藤製油株式会社製)、酸価188mgKOH/g
(B)成分
B6:ニューコール2320−SN(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、日本乳化剤株式会社製)
(C)成分
St:スチレン(水への溶解度:0.1g/100g水以下)
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル(水への溶解度:0.1g/100g水以下)
MMA:メタクリル酸メチル(水への溶解度:1.0g/100g水)
BA:アクリル酸ブチル(水への溶解度:0.1g/100g水)
GMA:メタクリル酸グリシジル(水への溶解度:2.3g/100g水)
MA:アクリル酸メチル(水への溶解度:6.0g/100g水)
Figure 2020122043
<水性顔料分散液の調製>
顔料として、酸化チタンCR−90(石原産業株式会社製)60部、顔料分散用樹脂としてM−30(スチレンマレイン酸系樹脂ワニス、酸価155mgKOH/g、星光PMC株式会社製)8部、イオン交換水32部、及びガラスビーズ150部を250mlのポリ瓶に仕込み、ペイントシェーカーにて60分間振とうした後、ガラスビーズを除いて水性顔料分散液を得た。
<水性インキの調製>
得られた水性顔料分散液50部と、水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション50部とを混合して水性軟包装用インキを得た。インキ塗膜の密着性を、下記の方法で評価した。
<密着評価>
基材として市販のコート紙、ポリエステルフィルムであるPETフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムであるOPPフィルム、二軸延伸ポリスチレンフィルムであるOPS(登録商標)フィルムを用い、作製した水性軟包装用印刷インキをバーコーター#6で塗工した。一日室温で乾燥させた後、その塗膜部分に幅18mmのセロテープ(登録商標、ニチバン(株)) を密着させた後にテープを剥がし、剥離部分の状態を目視で評価した。塗工物が全く剥がれていない場合を(5)、剥がれた部分の面積が全体の10%未満であるものを(4)、剥がれた部分の面積が全体の10%以上20%未満であるものを(3)、剥がれた面積が全体の20%以上50%未満であるものを(2)、剥がれた面積が全体の50%以上であるものを(1)とした。数字が大きいものほど、密着性が優れていることを表し、(3)以上において実用レベルである。
表3に各サンプルの密着性試験の評価結果を示す。
Figure 2020122043
本発明の条件を満足する実施例1〜17で得られた水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション(E1〜E17)の基材への密着性はすべて実用レベル以上であった。一方、本発明の条件を満たさない比較例1〜12は、エマルションが得られないもしくは基材への密着が不十分であった。
評価例4と評価例5との比較より、(B)成分として芳香族エチレン性不飽和単量体を含む水溶性樹脂を用いた場合に、基剤への密着性に優れることが分かる。
また、評価例13と、評価例3、11、12との比較により、(B)成分として脂環構造含有エチレン性不飽和単量体を含む水溶性樹脂を用いた場合、基材への密着性評価に優れることが分かる。
さらに、評価例3、14〜16と評価例17との比較より、(C)成分として20℃における水への溶解度が3g/100g水未満であるエチレン性不飽和単量体を用いると、基材への密着性に優れることが分かる。
本発明で提供する水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションは紙、フィルムいずれの基材に対しても密着性に優れているため、印刷インキ用バインダーまたはコーティングニスの原料として有用である。また、(A)成分におけるダイマー酸、トリマー酸は植物由来であるため、環境負荷の低い材料である。

Claims (8)

  1. (A)ダイマー酸(a−1)、トリマー酸(a−2)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アミンを反応させて得られる酸価を有するポリアミド化合物(a−3)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アルコールを反応させて得られる酸価を有するポリエステル化合物(a−4)の群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
    (B)カルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体の重合物である水溶性樹脂と、
    (C)エチレン性不飽和単量体(c)の乳化重合物
    とを含む水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションであって、
    化合物(A)の酸価が80mgKOH/g以上であり、化合物(A)をエマルション固形分中に0.5〜40質量%含み、化合物(A)及び水溶性樹脂(B)がシェル部、乳化重合物(C)がコア部を成すことを特徴とする水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション。
  2. 水溶性樹脂(B)が芳香族含有エチレン性不飽和単量体及び/又は脂環構造含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物の重合物であることを特徴とする請求項1に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション。
  3. エチレン性不飽和単量体(c)の20℃における水への溶解度が3g/100g水未満であることを特徴とする、請求項1に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション。
  4. 請求項1〜3いずれか一項に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションを含むことを特徴とする水性軟包装用印刷インキ用バインダー樹脂。
  5. 請求項1〜3いずれか一項に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションを含むことを特徴とする水性軟包装印刷用コーティングニス。
  6. (A)ダイマー酸(a−1)、トリマー酸(a−2)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アミンを反応させて得られる酸価を有するポリアミド化合物(a−3)、ダイマー酸(a−1)及び/又はトリマー酸(a−2)と多価アルコールを反応させて得られる酸価を有するポリエステル化合物(a−4)の群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
    (B)カルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体の重合物である水溶性樹脂
    の存在下、水中でエチレン性不飽和単量体(c)を乳化重合してなる水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションの製造方法であって、
    化合物(A)の酸価が80mgKOH/g以上であり、化合物(A)をエマルション固形分中に0.5〜40質量%含むことを特徴とする水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションの製造方法。
  7. 水溶性樹脂(B)が芳香族含有エチレン性不飽和単量体及び/又は脂環構造含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物の重合物であることを特徴とする請求項6に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションの製造方法。
  8. エチレン性不飽和単量体(c)の20℃における水への溶解度が3g/100g水未満であることを特徴とする、請求項6に記載の水性軟包装印刷用コアシェル型エマルションの製造方法。
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