JPH0559323A - 塗料組成物 - Google Patents

塗料組成物

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JPH0559323A
JPH0559323A JP24404091A JP24404091A JPH0559323A JP H0559323 A JPH0559323 A JP H0559323A JP 24404091 A JP24404091 A JP 24404091A JP 24404091 A JP24404091 A JP 24404091A JP H0559323 A JPH0559323 A JP H0559323A
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JP
Japan
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acid
resin
bisphenol
polyamide
phosphoric acid
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JP24404091A
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English (en)
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Takamitsu Yabu
貴光 藪
Takahiko Omura
隆彦 大村
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Dow Chemical Japan Ltd
Original Assignee
Dow Chemical Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、速硬化性、高可とう性、水性化を同
時に満たし、さらに耐汚染性、耐薬品性、耐食性、硬度
等をバランス良く有しているエポキシ樹脂を提供するこ
とを目的とする。 【構成】本発明は、ポリアミド変性エポキシ樹脂を燐酸
変性してなるポリアミド変性エポキシ燐酸エステル樹
脂、少なくとも1種の硬化剤、及び必要に応じてその他
の添加剤を含んでなることを特徴とする塗料組成物であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エポキシ樹脂系塗料組
成物に関し、より詳しくは水性コーティング材料として
好適に利用できる水分散可能なポリアミド変性エポキシ
りん酸エステル樹脂を主成分とするエポキシ系塗料組成
物に関する。本発明の塗料組成物は、、有機溶剤系の塗
料のみならず、環境上好ましいとされている水系塗料の
原料として利用できる。しかも本発明の塗料組成物は、
水系塗料として用いた場合に、その水系懸濁液において
主成分の樹脂が、極めて微細な粒径で懸濁し得るので、
スプレーコーティング、ロールコーティングなどのコー
ティング分野への適用に対し有効であり、特に缶コーテ
ィング、プレコート鋼板コーティング用として優れた性
能を示すものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】エポキ
シ樹脂は、その優れた防錆性、耐汚染性、密着性、可と
う性などから、コーティング分野を含む種々の用途で広
く利用されている。
【0003】従来、缶コーティング、プレコート鋼板コ
ーティング等のコーティング分野で用いられるエポキシ
系塗料は、一般に、その原料となるエポキシ樹脂(特に
高分子量のもの)、硬化剤等を有機溶剤に溶解して調製
されている。
【0004】近年、有機溶剤中毒予防規則や消防法など
多くの有機溶剤の使用に関する法的規制が強化され、塗
料やその原料である樹脂の水性化が広く要望されてい
る。しかしながら、通常のエポキシ樹脂自身は水に溶解
もしくは分散することができないので、それを変性する
ことによって水性化する様々な試みがなされてきた。例
えば、アクリル変性による自己乳化型エポキシ樹脂がそ
のような変性樹脂の代表として挙げられ、特開昭第55
−3481号公報、特開昭第58−198513号公報
等に開示されている。
【0005】しかし、このようなアクリル変性樹脂は、
ビニル基を含む化合物との反応によって耐汚染性の低下
を招き、エポキシ樹脂の優れた特性が失われる危険性が
ある。また、この技術においてはエポキシ樹脂とアクリ
ル樹脂との反応を行なう余分な工程が必要となるため、
エポキシ樹脂自身を水分散可能とするための研究が続け
られてきた。
【0006】特公平第1−55299号公報には、エポ
キシ樹脂にりん酸を反応させた後、加水分解を行なうこ
とによりモノエステル化したエポキシりん酸エステル樹
脂が開示されている。この樹脂においては、エポキシ樹
脂自身を水性化することができるが、得られる水懸濁液
中の樹脂の粒径が比較的大きく、有機溶剤の使用量を押
さえた場合十分に満足し得る分散安定性を得ることがで
きない。
【0007】また、樹脂の性能に関して、コイルコーテ
ィング(家電、輸送機器、建築資材等の用途)や缶コー
ティングの分野では、特に厳しい物性が要求される。例
えば、コイルコーティングにおいて、エポキシ樹脂は耐
侯性に劣るため、プライマー用もしくは裏面コーティン
グ用として使用されているが、家電製品のごとき高い加
工性や優れた二次密着性が要求される用途に対しては、
十分に満足しうる性状を有する樹脂は得られていなかっ
た。
【0008】また、缶コーティングにおいては、かかる
物性に加え、米国FDA(Food andDrug Administratio
n)の21CFRの規定を、食缶や飲料缶に対する基準
として考慮する傾向にある。これらの性能上、規制上の
問題に対し、特開平2−286709号では、FDAの
21CFRの要求を満足し、かつ優れた密着性、可とう
性及び耐汚染性を有するエポキシ樹脂を提供している。
【0009】しかしながら、同公報におけるエポキシ樹
脂はかなり高分子量においてのみ、その優れた特性を発
揮することができた。その為、結果として得られる樹脂
の高粘度化は避けられず、作業性に適した粘度を得る為
には、多量の有機溶剤によってエポキシ樹脂を希釈する
必要性があった。また、同公報では、エポキシ樹脂の水
性化については全く検討されていない。この樹脂を水性
化するには、アクリル樹脂による変性も考えられるが、
製造工程が複雑になる上、エポキシ樹脂の優れた耐食
性、耐薬品性等の特性が失われる危険性がある。さら
に、この樹脂に、燐酸を反応させて水性化することは、
ポリアミド変性の際の反応条件とエポキシ基に燐酸を反
応させる際の反応条件が種々異なるため容易ではなかっ
た。
【0010】本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑
みてなされたもので、近年の三大テーマである速硬化
性、高可とう性、水性化を同時に満たし、さらに耐汚染
性、耐薬品性、耐食性、硬度等をバランス良く有してい
るエポキシ樹脂を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、前期目
的を達成するために、ポリアミド変性エポキシ燐酸エス
テル樹脂及び少なくとも1種の硬化剤を含んでなること
を特徴とする塗料組成物が提供される。
【0012】本発明において、好ましく用いられるポリ
アミド変性エポキシ燐酸エステル樹脂は、 (a)分子当り平均1個より多い隣接エポキシ基を有す
るエポキシ樹脂; (b)分子当り平均1個より多い水酸基を有するフェノ
ール化合物;及び (c)ダイマー酸に基づく重合脂肪酸とジアミンとを、
2:1.0〜1.9、好ましくは2:1.0〜1.2の
モル比において反応させて得られる、0〜20、好まし
くは0〜5のアミン価及び20〜200の酸価を有する
ポリアミドジカルボン酸を、成分(a)、(b)及び
(c)の全量に対して成分(c)を、0.1〜50重量
%、好ましくは1〜20重量%となる量比において反応
して得られる、酸価が0〜5、好ましくは0〜2である
ポリアミド変性エポキシ樹脂に、 (d)りん酸を反応させ、その後加水分解して得られる
水希釈可能なエポキシ樹脂である。このようなエポキシ
樹脂を主成分とする塗料組成物は、有機溶剤系塗料とし
て利用できる。
【0013】本発明の塗料組成物を水系塗料として用い
る場合は、上記ポリアミド変性エポキシ燐酸エステル樹
脂を水性化する必要がある。水性化は、上記ポリアミド
変性エポキシ燐酸エステル樹脂に、アミン化合物を加え
pH7〜10に調製した後、水を滴下して行なう。
【0014】上記ポリアミド変性エポキシ燐酸エステル
樹脂及びそのエポキシ樹脂の製造方法は、本出願人が先
に出願した特願平第3−60777号に詳細に開示され
ている。
【0015】本発明において用いられる、成分(a)と
して用いられるエポキシ樹脂としては、公知のエポキシ
樹脂が用いられる。ここで用いられる好ましいエポキシ
樹脂としては、エポキシ当量が170〜3,500、よ
り好ましくは175〜1,000であり、重量平均分子
量が340〜18,000、より好ましくは340〜
3,000のものである。
【0016】成分(a)のエポキシ樹脂として、例え
ば、特開平第1−153715号公報、特にその第5頁
左上欄第2行〜同頁右下欄第8行に記載されたエポキシ
樹脂が使用できる。より具体的には、分子当り平均2個
の隣接エポキシ基を有するエポキシ樹脂が好適であり、
例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールK、ビスフ
ェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールADお
よびそれらの混合物のジグリシジルエーテルが挙げられ
る。最も好ましいエポキシ樹脂は、ビスフェノールAの
ジグリシジルエーテルである。市販のエポキシ樹脂とし
ては、例えば、D.E.R. 331L; D.E.R. 383J; D.E.R. 66
1; D.E.R. 664; D.E.R. 667; D.E.R. 669E(いずれもザ
・ダウ・ケミカル・カンパニーの商標)などが使用でき
る。
【0017】本発明において、成分(b)として用いら
れるフェノール化合物としては、エポキシ樹脂の原料と
して公知のものが使用できる。成分(b)のフェノール
化合物として、例えば、特開平第1−153715号公
報、特にその第6頁左上欄第7行〜同頁右下欄第3行に
記載されたものが使用できる。より具体的には、分子当
り2個の水酸基を有するフェノール化合物が好適であ
り、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールK、ビ
スフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールA
D、これらのハロゲン化物およびそれらの混合物等が挙
げられる。最も好ましいフェノール化合物は、ビスフェ
ノールAである。
【0018】成分(a)と成分(b)は、重量比で、好
ましくは60:40〜100:0、より好ましくは6
5:35〜8:15で配合される。ここで、成分(b)
が40重量%を越えると、フェノール化合物の水酸基が
エポキシ基に対して過剰になり、得られる生成物のエポ
キシ基が少なくなるため、エポキシ樹脂特有の良好な性
能を失う。
【0019】本発明において用いられる成分(c)は、
ダイマー酸に基づく重合脂肪酸とジアミンとを、2:
1.0〜1.9、好ましくは2:1.0〜2:1.2の
モル比において反応させて得られる、20以下、好まし
くは5以下のアミン価、及び20〜200、より好まし
くは80〜100の酸価を有するポリアミドジカルボン
酸である。
【0020】ここで用いられる「ダイマー酸に基づく重
合脂肪酸」とは、不飽和脂肪酸の二量体(ダイマー酸)
を好ましくは70重量%、より好ましくは95重量%以
上含み、残量として単量体又は三量体を含んでいるもの
をいう。前記不飽和脂肪酸は好ましくは炭素数(カルボ
キシル基の炭素原子も含む)12〜24個、より好まし
くは15〜22個を有する。1分子中に不飽和結合1個
の脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、エライジン
酸、セトレイン酸などがあり、不飽和結合2個の脂肪酸
としては、例えば、ソルビン酸、リノール酸等があり、
不飽和結合3個以上の脂肪酸としては、例えば、リノレ
イン酸、アラキドン酸等が例示される。
【0021】本発明においては、市販の重合脂肪酸、例
えば、ハリダイマー300、ハリダイマー200(いず
れも播磨化成工業社製)、バーサダイム288(ヘンケ
ル白水社製)、プリポール1004(ユニケマ・インタ
ーナショナル社製)等を用いることができる。
【0022】本発明においては、前記ジアミンとして
は、エチレンジアミン、4,4−メチレンジアニリン、
N−オレイル−1,3−プロパンジアミン等が使用でき
る。これらのジアミンは、FDAの21CFR175.
300に記載されており、これらのジアミンを使用して
も食品缶コーティング用として問題なく利用できる。食
品缶コーティング用以外の分野(コイルコーティング)
で用いる場合は、FDAにこだわる必要がないため、ジ
アミンとして、例えば、メタキシレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、イソホロンジアミン等が使用可能で
ある。
【0023】重合脂肪酸とジアミンとの反応は、2:
1.0〜1.9のモル比において、副生成物である水を
除去しながら、公知の重合方法に基づいて行なうことが
できる。ジアミンのモル比が1.0未満の場合、アミド
基の濃度よりもカルボキシル基の濃度が高くなり、得ら
れる樹脂は、加工性に劣る。ジアミンのモル比が1.9
より大きい場合は、アミン価20以下かつ酸価20以上
のポリアミドジカルボン酸の合成が困難となる。この
時、アミン価が20を越えると、得られる塗料の粘度が
高くなり過ぎ、作業性に悪影響を及ぼす。酸価について
は、20未満の場合、得られる樹脂の分子量が大きくな
り過ぎ(例えば、重量平均分子量100,000以
上)、有機溶剤への溶解性が不十分となる。酸価が20
0を越えるものを合成するのは、原料である重合脂肪酸
の酸価を考慮すると困難である。
【0024】上記により得られた成分(c)は、全固形
分(成分(a)、(b)及び(c)の全量)に対し、
0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%で配合
される。成分(c)の占める割合が0.1重量%未満の
場合、得られる樹脂の特性は従来用いられてきたエポキ
シ樹脂のそれと何等変わらなくなる。成分(c)の占め
る割合が50重量%を越える場合、得られる塗膜が耐蝕
性に劣る。
【0025】本発明においては、上記成分(a)、
(b)及び(c)を反応させて得られるポリアミド変性
エポキシ樹脂は、エポキシ当量が好ましくは170〜
5,000、より好ましくは500〜2000であり、
酸価が5以下、好ましくは2以下である。このポリアミ
ド変性エポキシ樹脂は好ましくは340〜40,00
0、より好ましくは5,000〜25,000の重量平
均分子量を有する。そのエポキシ当量が170未満であ
ると、接着性及び密着性に寄与するといわれる2級水酸
基濃度が低くなり過ぎ、十分な、密着性、加工性及び耐
汚染性が得られない場合がある。エポキシ当量が5,0
00を越えると次の反応段階であるりん酸エステル化に
おいてゲル化が起こりうる。又、酸価が5を越える場
合、分子鎖末端に存在するカルボン酸のために本発明の
特性の一つである高可とう性が得られない場合がある。
したがって、酸価は0に近いほど望ましい。
【0026】本発明に係る中間生成物としてのポリアミ
ド変性エポキシ樹脂は、これに限定されないが、例え
ば、次のごとき方法により製造することができる。 (1) 成分(a)と成分(b)とを70〜100%の
固形分(不揮発分)濃度において、触媒の存在下に、1
20〜200℃の温度で反応させ、これにより得られ
る、500〜5,000のエポキシ当量及び1,000
〜40,000の重量平均分子量を有するビスフェノー
ル型固形エポキシ樹脂と成分(c)とを70〜100%
の固形分濃度において、所望ならば触媒の存在下に、1
20〜200℃の温度で重合させることを含む方法。 (2) 成分(a)と成分(c)とを80〜100%の
固形分濃度において、所望ならば触媒の存在下に、12
0〜200℃の温度で反応させ、これにより得られる、
5以下の酸価、180〜300のエポキシ当量及び50
0〜3,000の重量平均分子量を有する半固形もしく
は液状のポリアミド変性エポキシ樹脂の製造方法、又得
られた樹脂にさらに成分(b)を加え、70〜100%
の固形分濃度において、触媒の存在下に120〜200
℃の温度で重合させることを含む方法。 (3) 成分(b)と成分(c)とを80〜100%の
固形分濃度において、120〜200℃の温度で縮合さ
せ、これにより得られる、5以下の酸価及び500〜
3,000の重量平均分子量を有するポリアミドビスフ
ェノールエステル樹脂と成分(a)とを70〜100%
の固形分濃度において、触媒の存在下に、120〜20
0℃の温度で重合させることを含む方法。 (4) 成分(a)、(b)及び成分(c)を70〜1
00%の固形分濃度において、所望ならば触媒の存在下
に、120〜200℃の温度で縮合させることを含む方
法。
【0027】上記(1)〜(4)の方法において、反応
時間、反応温度、固形分濃度、触媒の種類及び添加量等
の反応条件は当業者によって適宜選択される。反応時間
は、他の条件により異なるが、一般には1〜15時間と
短くてよい。反応温度は、触媒活性等を考慮して適宜決
められる。又、反応は常圧下、加圧下のいずれでも行な
うことができ、又空気中でも行なうことができるが、不
活性ガス雰囲気下、例えば窒素気流中で行なうのが好ま
しい。又、上記(3)の方法では、縮合反応により水が
副生されるので、水を除去できる装置を備えた反応装置
を用いて反応を行なうのがよい。
【0028】方法(1)におけるビスフェノール型固形
エポキシ樹脂として、市販の、エポキシ当量300〜
5,500の固形エポキシ樹脂、例えば、D.E.R. 661;
D.E.R. 664; D.E.R. 669 (いずれもザ・ダウ・ケミカ
ル・カンパニーの商標)などが使用できる。
【0029】上記の製造方法において、高分子量のポリ
アミド変性エポキシ樹脂を製造する場合、有機溶剤を用
いて反応系中の粘度を下げ、攪拌効率を上げることによ
り、均一な反応を行なうことができる。この時に用いら
れる有機溶剤は、エポキシ樹脂への溶解度が高く、かつ
沸点が110℃好ましくは140℃以上の有機溶剤が望
ましい。そのような有機溶剤として、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール等のグリコール系溶剤、ダワ
ノールEB、ダワノールDB、ダワノールPnB(いず
れもザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの商標)等のグリ
コールモノエーテル系溶剤;酢酸ブチル、ダワノールP
MA(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの商標)等のア
セテート系溶剤;n−ブタノール、アミルアルコール、
シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤;キシレン、
ソルベッソ100(エッソスタンダード社製)等の芳香
族系;エチル3ーエトキシプロピオネート等のエステル
系溶剤を用いることができる。希釈された反応系の固形
分濃度は70〜100%が望ましく、近年水性塗料中に
おける有機溶剤量は規制される傾向にある故、固形分濃
度は許容粘度範囲であれば高いほど望ましい。
【0030】本発明においては、触媒として、特公平第
2−11613号公報の第7頁左欄第26行〜第44行
に示されているごとき公知の触媒を用いることができ、
例えば、2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ト
リエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミ
ン等の第3級アミン類;エチルトリフェニルホスホニウ
クロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、
エチルトリフェニルホスホニウムアセテート酢酸錯体等
のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウム
クロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシ
ド等のアンモニウム塩類が挙げられる。本発明において
は、酸性触媒の方が好適である。触媒の使用量は、反応
混合物全量中、0.001〜1重量%、より好ましくは0.01〜
0.1重量%である。
【0031】次に、本発明においては、上記のようにし
て得られたポリアミド変性エポキシ樹脂に、成分(d)
であるりん酸を反応させ、その後加水分解してモノエス
テル化し、ポリアミド変性エポキシりん酸エステル樹脂
を得る。
【0032】本発明において成分(d)として用いられ
るりん酸としては、例えば、100%正りん酸、1/2
水和物(2H3PO4・H2O)、少なくとも18重量%
のりん酸(水25モル当り1モルのりん酸)、種々のり
ん酸縮合体(例えば、過燐酸、部分無水物)、ピロりん
酸、オルトりん酸、三りん酸等が使用できる。好ましく
は85〜120%濃度のりん酸、特に好ましくは105
〜116%の過燐酸である。
【0033】りん酸は、上記ポリアミド変性エポキシ樹
脂に対し、例えば100〜135℃の温度下、少量ずつ
滴下され、例えば10〜120分間加熱攪拌されること
により反応する。
【0034】反応に使用されるりん酸の量は、変性エポ
キシ樹脂に対し、好ましくは0.1〜5.0重量%、よ
り好ましくは0.5〜2.0重量%である。りん酸の量
が0.1重量%未満では、未反応のエポキシ基が多く残
存する故、最終生成物を水に分散した際、増粘したり、
分散安定性に劣る場合がある。又、2.0%を越える場
合は、反応中にゲル化を起こすか、次の反応段階である
加水分解中に多くのフリーのりん酸を生成するので望ま
しくない。フリーのりん酸は、塗膜をレトルト処理した
際、白化を起こす原因となり得る。上記りん酸はそのま
ま滴下されてもよいが、エポキシ基とりん酸との反応が
速いため、水酸基を有する溶剤、例えば前記のグリコー
ルモノエーテル系溶剤で希釈するのが有効である。水酸
基を有する溶剤を使用することにより、りん酸の自己縮
合を防ぎ、均一な反応を行なうことができる。このよう
な溶剤は、りん酸のモル数に対して、2倍モル、好まし
くは4倍モル以上用いる。
【0035】以上の反応により生成されたポリアミド変
性エポキシりん酸エステル樹脂のほとんどはトリエステ
ルもしくはジエステルの形態である故、加水分解により
モノエステル化することができる。モノエステル化する
ことにより変性エポキシりん酸エステル樹脂の粘度が下
がり、取扱が容易となる。又、分子末端にりん酸が存在
するので、りん酸自身の持つ優れた耐蝕性を有効に利用
でき、さらにりん酸が触媒的な効果をもたらし、塗膜硬
化を促進させる働きを持たせかつ塗膜に可とう性を与え
ることが可能となる。但し、加水分解後の変性エポキシ
りん酸エステル樹脂には、モノエステル以外に若干のジ
エステル、トリエステル、及びフリーのりん酸が含まれ
ており、エポキシ基はほとんど残存しない。
【0036】上記のポリアミド変性エポキシりん酸エス
テル樹脂は、例えば、1種以上のアミン化合物を加えp
H7〜10に調製した後、水を滴下し、その後攪拌する
ことにより水性化することができる。調製された変性エ
ポキシりん酸エステル樹脂のpHが7未満あるいは10
を越える場合、水系懸濁液の分散安定性に劣る。
【0037】ここで用いられるアミン化合物としては、
例えば、特公昭第62−3857号公報、特にその第2
4頁第27行〜同頁右欄第24行に記載された公知のア
ミン化合物が使用できるが、好ましくは、N,N−ジメ
チルエタノールアミン等のアルカノールアミンであり、
特に好ましくは、N,N−ジメチルエタノールアミンと
ジエタノールアミン等を50:50〜70:30の重量
比で調製したアミン混合物である。
【0038】本発明においては、中和は室温でも可能だ
が、樹脂が高分子量、高固形分などの理由で、反応系が
高粘度である場合は、使用するアミン化合物の沸点以下
の熱を加えて行なう。例えば、N,N−ジメチルエタノ
ールアミン等の低沸点のアミン化合物を使用すると、9
0℃以上で蒸発する恐れがある。
【0039】中和された変性エポキシりん酸エステル樹
脂に水を添加する場合、添加速度が遅く、反応系内の攪
拌が強く、かつ長い程、懸濁液の粒径は小さくなる。
又、攪拌効率を上げるため、加熱により反応系内の粘度
を低下させることもできる。通常、水の沸点やアミン化
合物の蒸発などを考慮して、20〜90℃で行なわれ
る。滴下と滴下後の攪拌には各々好ましくは30分以
上、より好ましくは1時間〜10時間かける。水の滴下
時間が30分未満の場合、懸濁液に分散する樹脂の粒径
が大きくなり、それゆえ、分散安定性に悪影響を与え
る。滴下する水の量は、通常、添加する有機溶剤の量に
対して等量以上である。
【0040】以上のようにして本発明の塗料組成物の主
成分を成すエポキシ樹脂を調製することができる。な
お、本発明においては、最終生成物か゛所望の特性を有
する限りは、他の公知のエポキシ樹脂を併用することが
できる。
【0041】本発明の塗料組成物は、上記のようにして
得られたポリアミド変性エポキシ燐酸エステル樹脂に、
少なくとも1種の硬化剤を配合して調製される。
【0042】本発明の組成物に配合される硬化剤として
は、例えば、メラミン・ホルムアルデヒド、ウレア・ホ
ルムアルデヒド等のアミノ樹脂;そのアミノ樹脂をメタ
ノール、エタノール等の低級アルコールでエーテル化し
たアルキルエーテル化アミノ樹脂;イソホロンジイソシ
アネート、m−キシレンジイソシアネート等のポリイソ
シアネート;そのポリイソシアネートにメタノール等の
アルコール類やクレゾール等のフェノール類のブロック
剤を導入したブロックイソシアネート;アリルエーテル
モノメチロールフェノール等のアルキルエーテル化フェ
ノール樹脂が挙げられる。
【0043】本発明の組成物は、好ましくは、前記ポリ
アミド変性エポキシ燐酸エステル樹脂対前記硬化剤の重
量比が70:30〜98:2、特に好ましくは80:2
0〜95:5となるように配合される。
【0044】本発明における塗料組成物は、水性塗料と
しても、また有機溶剤系塗料としても用いることができ
る。
【0045】本発明の塗料組成物を有機溶剤系塗料とし
て用いる場合は、粘度調整のための希釈剤として用いら
れる有機溶剤として、例えば、前記のグリコール系、グ
リコールエーテル系、アルコール系、芳香族系、エステ
ル系及びメチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、これらの混合
物等を用いることができる。
【0046】この場合は、通常、組成分中の不揮発成分
(ポリアミド変性エポキシ燐酸エステル樹脂と硬化剤の
総重量)100重量部に対して、有機溶剤を700〜1
00重量部、好ましくは500〜150重量部、より好
ましくは250〜170重量部を配合する。
【0047】本発明の塗料組成物を水性塗料として用い
る場合は、水を配合して水性塗料組成物とすることがで
きる。この場合は、通常、組成分中の不揮発成分(ポリ
アミド変性エポキシ燐酸エステル樹脂と硬化剤の総重
量)100重量部に対して、水を700〜100重量
部、好ましくは400〜130重量部、より好ましくは
300〜170重量部を配合する。なお、水性塗料の場
合でも、少量の(例えば、塗料中0.1〜12重量%)
アルコール等の水溶性有機溶剤を併用することもでき
る。
【0048】さらに、本発明の塗料組成物には、必要に
応じて顔料、可塑剤、着色剤、流れ調整剤、硬化促進用
触媒、抑泡剤、チキソトロピー剤、紫外線安定剤、充填
剤、表面活性剤等を適量添加することもできる。
【0049】本発明の塗料組成物に配合される顔料とし
ては、公知の無機及び有機顔料が使用でき、例えば、酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄のような金属酸化物;アル
ミニウムフレークのような金属フレーク;カーボンブラ
ック等が挙げられる。
【0050】以上の方法により得られた塗料組成物は、
亜鉛メッキ鋼板、ティンフリースチール、ブリキ(ティ
ン・スティール)等の鉄系鋼板、アルミ等の非鉄系鋼板
等にスプレー塗装、ロール塗装等の公知の方法により塗
装できる。
【0051】本発明の塗料組成物は、プレコート鋼板コ
ーティング用塗料及び缶コーティング用塗料として用い
ることができる。
【0052】プレコート鋼板コーティング用塗料として
用いる場合は、通常は、プライマーとして使用される。
この場合は、トップコートとして通常の公知の塗料が塗
布される。このようなトップコート用塗料としては、例
えば、アルキド樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、
熱硬化性アクリル樹脂系塗料、ビニル樹脂系塗料、シリ
コン樹脂系塗料等が挙げられる。
【0053】また、本発明の塗料組成物は、缶コーティ
ング、特に缶の内面コーティング用としても優れた性能
を示す。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0055】なお、以下の実施例において、特に断わら
ない限り、「部」及び「%」は、重量に基づく。
【0056】ポリアミドジカルボン酸の合成例36−ダイマー酸[ハリダイマー300(播磨化成工業
社製);モノマー1%、ダイマー97%、トリマー2
%、酸価195]950部とエチレンジアミン53部を
反応容器に入れ、窒素気流、無触媒下、60℃で30分
間発熱させ、続いて2時間かけて240℃まで昇温し、
その温度で3時間反応させた。得られたポリアミドカル
ボン酸は、アミン価1及び酸価91を有していた。
【0057】(実施例1〜5:有機溶剤系プレコート鋼
板用塗料)コンデンサーを付した反応容器に、(a)ビ
スフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 331L
;ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの商標)、(b)
ビスフェノールA、上記合成例において得られた(c)
ポリアミドジカルボン酸及び触媒であるエチルトリフェ
ニルホスホニウムアセテート酢酸錯体の70%メタノー
ル溶液を、表1に示す組成で導入し、窒素気流下、16
0℃で1時間反応させた。その後、ダワノールPM/E
B(1:1重量比)の混合溶剤を加えて、不揮発成分濃
度を72〜77%とするとともに、反応系の温度を12
5℃まで下げた。その後、表1に示した量の(d)10
5%濃度の過燐酸をダワノールPM/EB(1:1重量
比)の混合溶剤で4倍に希釈した溶液を滴下し、20分
間反応させた。得られた生成物に、表1に示した量の水
を加え、加水分解することにより、ポリアミド変性エポ
キシ燐酸モノエステル樹脂を得た。
【0058】ここで、実施例1〜5において使用された
原料の組成比及び各生成物の重量平均分子量を表1に示
す。
【0059】
【表1】
【0060】このようにして得た樹脂を用いて、下記に
示した組成(1)を有する塗料組成物A〜E(実施例1
〜5)を調製した。 組 成 (1) 1.各実施例及び比較例のエポキシ樹脂(不揮発成分) −−− 95部 2.硬化剤:サイメル303 (メチル化メラミン; 三井サイアナミッド社製) −−− 5部 3.触媒:キャタリスト6000(三井東圧社製) −−− 0.2部 4.顔料:チタン白 −−− 100部 5.溶剤:ダワノールPM/EB(1:1混合溶剤) −−− 600部
【0061】(比較例 1)コンデンサーを付した反応
容器に、ビスフェノールAのグリシジルエーテル(D.E.
R. 669E ;ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの商標)2
50部に、ダワノールEB90部を加え125℃で加熱
溶解した後、105%濃度の燐酸2部をダワノールEB
12部で希釈した溶液を滴下し、30分間反応させた。
これに、水5部を加え加水分解をすることにより、重量
平均分子量が17,700のポリアミド変性していない
エポキシ燐酸モノエステル樹脂を得た。このようにして
得た樹脂を用いて、上記組成(1)に示した組成を有す
る塗料組成物Fを調製した。
【0062】(比較例 2)ビスフェノールAのグリシ
ジルエーテル(D.E.R. 669E ;ザ・ダウ・ケミカル・カ
ンパニーの商標;重量平均分子量18,600)を使用
した以外は、実施例1と同様にして上記組成(1)に示
した組成を有する塗料組成物Gを調製した。
【0063】(試験例 1)上記塗料組成物A〜Gを、
0.7mm厚の亜鉛メッキ鋼板にバーコータで乾燥膜厚
が5μmとなるように塗布し、塗装鋼板温度が、60秒
間で室温から210℃となるように焼き付けて、試験片
を作成した。得られた試験片について、下記のようにし
て、耐溶剤性試験、可とう性試験、密着性試験及び硬度
試験を行なった。
【0064】(耐溶剤性試験)2ポンド(906g)の
丸型金槌にガーゼを巻き、そのガーゼにメチルエチルケ
トンをしみこませた後、試験片上の塗面を擦り、鋼板表
面が露出するまでの回数を測定した。
【0065】(可とう性試験)得られた試験片の塗面が
外側となるように曲げ、その曲げ部の間に0.7mm厚
のスペーサーを複数枚挟み、これをプレスした後、15
倍ルーペにて加工部の損傷を観察した。順次スペーサー
を一枚ずつ減らした後、同じ操作を繰り返し、塗膜に損
傷が観察されなかったスペーサーの最小の数(T)によ
り、可とう性を評価した。
【0066】(密着性試験)カッターで、カッター刃が
鋼板の表面までに達するようにして塗膜に線を入れ、塗
膜上に一辺1mmの正方形100個からなる碁盤目を作
製し、セロテープにて塗膜を剥離し、残存した碁盤目数
を測定した。
【0067】(鉛筆硬度試験)塗膜の硬度をJIS K
5401に基づき測定した。
【0068】以上の試験結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】表2に示された結果から分かるように、実
施例1〜5において調製された塗料A〜Eは、いずれも
良好な耐溶剤性、可とう性、密着性及び硬度を有してい
た。これに対し、比較例1(ポリアミド未変性のエポキ
シ燐酸モノエステル樹脂を使用)及び比較例2(ポリア
ミド未変性かつ燐酸未変性のエポキシ樹脂を使用)にお
いて調製された塗料組成物F及びGは、いずれも可とう
性において劣ることが分かった。特に比較例2の塗料G
は、耐溶剤性において著しく劣ることが明らかとなっ
た。
【0071】(試験例 2)上記で得られた塗装鋼板
に、さらに下記の組成(2)を有するトップコートを膜
厚が17μmとなるように塗布し、塗装鋼板温度が60
秒間で室温から230℃に加熱されるように焼き付け
て、試験片を作成した。 組 成 (2) 1.樹脂:バイロン300(固形、 共重合ポリエステル、東洋紡社製) −−− 40部 2.硬化剤:サイメル303 (メチル化メラミン; 三井サイアナミッド社製) −−− 16部 3.触媒:キャタリスト6000(三井東圧社製) −−− 0.4部 4.顔料:チタン白 −−− 80部 5.溶剤:シクロヘキサノン −−− 600部 6.溶剤:アロマティック100(エクソン社製) −−− 160部
【0072】得られた試験片について、下記のような耐
汚染性試験、耐食性試験、光沢試験、可とう性試験及び
二次密着性試験を行なった。
【0073】(耐汚染性試験)黒、赤のマジックインキ
で塗面を着色し、24時間後にn−ブタノールをしみこ
ませたガーゼでふきとり、着色の残存度を観察した。 ○:良好(インキ跡なし) △:やや不良 X:不良(インキ跡が濃く残る)
【0074】(光沢試験)グロスメーターを用いて60
度反射率を測定した。
【0075】(耐食性試験)塩水噴霧試験器中に試験片
を240時間放置し、端面からの膨れの長さを測定し
た。
【0076】(可とう性試験及び二次密着性試験)試験
例1の可とう性試験と同様に試験片を折り曲げ、可とう
性試験を行なった。その後、試験片を沸水に2時間浸漬
し、塗膜加工部の劣化(二次密着性)を15倍ルーペに
て観察した。
【0077】以上の試験結果を表3に示す。
【0078】
【表3】
【0079】表3に示した結果から明らかなように、実
施例1〜5において調製された塗料A〜Eは、耐汚染
性、耐食性、光沢、可とう性及び二次密着性のいずれの
性状においても極めて優れていることが分かった。これ
に対し、比較例1の塗料Fは耐食性及び二次密着性にお
いて劣り、比較例2の塗料Gは、耐汚染性、耐食性、光
沢、可とう性及び二次密着性のいずれにおいても劣って
いることが分かった。
【0080】(実施例6〜10:有機溶剤系缶用塗料)
コンデンサーを付した反応容器に、(a)ビスフェノー
ルAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 331L ;ザ・ダウ
・ケミカル・カンパニーの商標)、(b)ビスフェノー
ルA、上記合成例において得られた(c)ポリアミドジ
カルボン酸及び触媒であるエチルトリフェニルホスホニ
ウムアセテート酢酸錯体の70%メタノール溶液を、表
4に示す組成で導入し、窒素気流下、160℃で1時間
反応させた。その後、ダワノールPM/EB(1:1重
量比)の混合溶剤を加えて、不揮発成分濃度を72〜7
7%とするとともに、反応系の温度を125℃まで下げ
た。その後、表4に示した量の(d)105%濃度の過
燐酸をダワノールPM/EB(1:1重量比)の混合溶
剤で4倍に希釈した溶液を滴下し、20分間反応させ
た。得られた生成物に、表4に示した量の水を加え、加
水分解することにより、ポリアミド変性エポキシ燐酸モ
ノエステル樹脂を得た。
【0081】ここで、実施例6〜10において使用され
た原料の組成比及び各生成物の重量平均分子量を表4に
示す。
【0082】
【表4】
【0083】このようにして得た樹脂を用いて、下記に
示した組成(3)を有する塗料組成物H〜L(実施例6
〜10)を調製した。 組 成 (3) 1.各実施例及び比較例のエポキシ樹脂(不揮発成分) −−− 90部 2.硬化剤:ヒタノール4020 (不揮発成分; フェノール樹脂;日立化成工業社製) −−− 10部 3.溶剤:ダワノールPM/EB(1:1混合溶剤) −−− 300部
【0084】(比較例3)コンデンサーを付した反応容
器に、ビスフェノールAのグリシジルエーテル(D.E.R.
331L;ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの商標)39
6部に、ビスフェノールA203部、上記合成例におい
て得られたポリアミドジカルボン酸32部、ダワノール
PMA79部及びソルベッソ100(エッソスタンダー
ド社製)79部を導入し、窒素気流下、160℃で2.
5時間反応させた。その後、ダワノールPMA310
部、ソルベッソ100310部及びシクロヘキサノン3
90部を加えて、不揮発成分濃度35%、重量平均分子
量18,800のポリアミド変性エポキシ樹脂を得た。
このようにして得た樹脂を用いて、上記組成(3)に示
した組成を有する塗料組成物Mを調製した。
【0085】(比較例4)コンデンサーを付した反応容
器に、ビスフェノールAのグリシジルエーテル(D.E.R.
331K;ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの商標)10
42部に、ビスフェノールA578部、エチルトリフェ
ニルホスホニウムホスフェートの70%メタノール溶液
2部、ダワノールEB180部及びキシレン81部を導
入し、窒素気流下、170℃で40分間反応させた。そ
の後、ダワノールEBを加えて不揮発成分80%とする
とともに反応系の温度を125℃まで下げた。その後、
105%濃度の過燐酸13部をダワノールEBで4倍モ
ルに希釈した溶液を滴下し、20分間反応させた。得ら
れた生成物に、水38部を加え、加水分解することによ
り重量平均分子量17,700のポリアミド変性してい
ないエポキシ燐酸モノエステル樹脂を得た。このように
して得た樹脂を用いて、上記組成(3)に示した組成を
有する塗料組成物Nを調製した。
【0086】(比較例5)ビスフェノールAのグリシジ
ルエーテル(D.E.R. 669E ;ザ・ダウ・ケミカル・カン
パニーの商標;重量平均分子量18,600)を使用し
た以外は、実施例6と同様にして上記組成(3)に示し
た組成を有する塗料組成物Oを調製した。
【0087】(試験例 3)上記塗料組成物H〜Oを、
0.3mm厚のティン・フリー・スチールに、バーコー
タで乾燥膜厚が6μmとなるように塗布し、200℃の
温度下で10分間焼き付けて、試験片を作成した。得ら
れた試験片について、上述した耐溶剤性試験及び密着性
試験を行ない、さらに下記のような可とう性試験及び耐
水性試験を行なった。
【0088】(可とう性試験)試料台に、3cmx3c
mに裁断した試験片を塗面が外側となるように2つ折り
にし、その曲げ部の間に0.3mm厚のスペーサを複数
枚挟み、約2kgの鉄の重りを75cmの高さから落下
させた時の折り曲げ部分の塗膜の亀裂の具合いをルーペ
にて観察した。そして、順次スペーサーを一枚ずつ減ら
した後、同じ操作を繰り返し、損傷の観察されないスペ
ーサーの最小の数(T)により可とう性を評価し、1T
以下を合格とした。
【0089】(耐水性)上述した密着性試験と同様の碁
盤目を施した鋼板の試験片を、125℃、30分間レト
ルト処理した後、塗膜に白化や膨れが生じたか否かを観
察した。また、耐水性試験後の試料についても上述した
と同様に密着性試験を行なった。
【0090】以上の試験結果を表5に示す。
【0091】
【表6】
【0092】表5に示された結果から分かるように、実
施例6〜10において調製された塗料H〜Lは、耐溶剤
性、密着性、可とう性及び耐水性のいずれにおいても優
れていることが分かった。これに対し、比較例3(燐酸
未変性ポリアミド変性エポキシ樹脂を使用)及び比較例
4(ポリアミド未変性エポキシ燐酸モノエステル樹脂を
使用)において調製された塗料M及びNはいずれも耐溶
剤性において劣っていることが分かった。また比較例5
(燐酸変性もポリアミド変性もしていない例)において
調製された塗料Oは耐溶剤性及び可とう性において劣っ
ていることが分かった。
【0093】(実施例11〜13:水系缶用塗料)各原
料を表6に示す組成で導入した以外は、実施例6と同様
にして、ポリアミド変性エポキシ燐酸モノエステル樹脂
を得た。
【0094】ここで、実施例11〜13において使用さ
れた原料の組成比及び各生成物の重量平均分子量を表6
に示す。
【0095】
【表6】
【0096】このようにして得られた樹脂は、80℃に
加熱され、pH7.0〜10になるようにN,N−ジメ
チルエタノールアミンとジエタノールアミンの混合物に
より中和した後、水を1時間かけて滴下し、さらに1時
間攪拌することにより水分散型懸濁液を得た。このよう
にして得た樹脂を用いて、下記に示した組成(4)を有
する塗料組成物P〜R(実施例11〜13)を調製し
た。 組 成 (4) 1.各実施例及び比較例のエポキシ樹脂(不揮発成分) −−− 90部 2.硬化剤:PCL−681(不揮発成分; フェノール樹脂;昭和高分子社製) −−− 10部 3.樹脂中に含有される溶剤+水 −−− 300部
【0097】(比較例6)比較例4において得られた樹
脂にさらにダワノールEBを加え、不揮発分50%にし
た後、80℃に加熱し、pH7.0〜10になるように
N,N−ジメチルエタノールアミンとジエタノールアミ
ンとの混合物で中和した。そしてこれに水を1時間かけ
て滴下し、さらに1時間攪拌することにより水分散型懸
濁液を得た。このようにして得た樹脂を用いて、上記組
成(4)を有する塗料組成物Sを調製した。
【0098】(試験例4)上記塗料組成物P〜Sを、
0.3mm厚のティン・フリー・スチールに、バーコー
タで乾燥膜厚が6μmとなるように塗布し、200℃の
温度下で10分間焼き付けて、試験片を作成した。得ら
れた試験片について、上述したような、耐溶剤性試験、
密着性試験、可とう性試験及び耐水性試験を行なった。
【0099】以上の試験結果を表7に示す。
【0100】
【表7】
【0101】表7に示した結果から明らかなように、実
施例11〜13において調製された塗料P〜Rは、耐溶
剤性、密着性、可とう性及び耐水性のいずれにおいても
優れていることが分かった。これに対し、比較例6(比
較例4の樹脂を中和し水分散性とした樹脂を使用)にお
いて調製された塗料Sは、耐溶剤性、耐水性、及びレト
ルト処理後の密着性において劣っていることが分かっ
た。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の塗料組成
物は、耐溶剤性、可とう性、密着性、硬度、耐汚染性、
耐食性、及び二次密着性等の各物性に対し、バランスの
とれた塗膜を供与することが可能である。
【0103】また、本発明のエポキシ樹脂は水系への応
用も可能であり、近年の塗料の水性化という要求を解決
するものであり、工業的に極めて利用価値が大である。
特に、本発明の塗料組成物を水性塗料として用いる場
合、他の水性塗料として必要な性状を有する他に、水性
塗料の従来からの欠点であった耐水性に関して極めて優
れた性能を有している。
【表5】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミド変性エポキシ燐酸エステル樹脂
    及び少なくとも1種の硬化剤を含んでなることを特徴と
    する塗料組成物。
  2. 【請求項2】前記ポリアミド変性エポキシ燐酸エステル
    樹脂が、 (a)分子当り平均1個より多い隣接エポキシ基を有す
    るエポキシ樹脂; (b)分子当り平均1個より多い水酸基を有するフェノ
    ール化合物;及び (c)ダイマー酸に基づく重合脂肪酸とジアミンとを、
    2:1.0〜1.9、好ましくは2:1.0〜1.2の
    モル比において反応させて得られる、0〜20のアミン
    価及び20〜200の酸価を有するポリアミドジカルボ
    ン酸を、成分(a)、(b)及び(c)の全量に対して
    成分(c)を、0.1〜50重量%となる量比において
    反応して得られる、酸価が0〜5であるポリアミド変性
    エポキシ樹脂に、 (d)りん酸を反応させ、その後加水分解して得られる
    エポキシ樹脂である、請求項2記載の塗料組成物。
  3. 【請求項3】前記ポリアミド変性エポキシ燐酸エステル
    樹脂が、アミン化合物によって中和され、さらに水の滴
    下によって水性化されている、請求項2記載の塗料組成
    物。
  4. 【請求項4】前記成分(a)が、ビスフェノールA、ビ
    スフェノールK、ビスフェノールF、ビスフェノール
    S、ビスフェノールADおよびそれらの混合物のジグリ
    シジルエーテルから選ばれ、かつ前記成分(b)が、ビ
    スフェノールA、ビスフェノールK、ビスフェノール
    F、ビスフェノールS、ビスフェノールADおよびそれ
    らの混合物から選ばれる、請求項2又は3記載の塗料組
    成物。
  5. 【請求項5】前記成分(c)の重合脂肪酸が、オレイン
    酸、エライジン酸、セトレイン酸、ソルビン酸、リノー
    ル酸、リノレイン酸及びアラキドン酸から選ばれ、かつ
    前記成分(c)のジアミンが、エチレンジアミン、4,
    4−メチレンジアニリン、N−オレイル−1,3−プロ
    パンジアミン、メタキシレンジアミン、ヘキサメチレン
    ジアミン、イソホロンジアミン及びそれらの混合物から
    選ばれる、請求項2又は3記載の塗料組成物。
  6. 【請求項6】前記成分(d)の燐酸が、少なくとも18
    %以上の濃度を有する燐酸水溶液、燐酸溶液または燐酸
    濃縮物である、請求項2又は3記載の塗料組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020122043A (ja) * 2019-01-29 2020-08-13 星光Pmc株式会社 水性軟包装印刷用コアシェル型エマルション及びその製造方法

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