JP3394588B2 - 水性被覆材組成物 - Google Patents

水性被覆材組成物

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JP3394588B2 JP06539394A JP6539394A JP3394588B2 JP 3394588 B2 JP3394588 B2 JP 3394588B2 JP 06539394 A JP06539394 A JP 06539394A JP 6539394 A JP6539394 A JP 6539394A JP 3394588 B2 JP3394588 B2 JP 3394588B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は顔料分散性、造膜性に優
れる水性被覆材組成物に関するものである。この被覆材
から形成される塗膜はその光沢、平滑性、耐水性、耐溶
剤性などが良好であり、金属、プラスチック、木、紙な
どの被覆基材に対する密着性が良好であるために、該被
覆材は各種仕上げ剤、塗料用バインダーとして有用に使
用することができる。 【0002】 【従来の技術】近年の環境問題に対する意識の高まる中
で、溶剤系被覆材に代わる水性被覆材へのニーズはます
ます高まっており、数多くの水性被覆材が開発されてい
る。従来より利用されているエマルジョン型、ディスパ
ーション型等の重合体の水分散液は、重合体が水中に分
散して存在することから、その分子量が高いものを用い
ても水性分散液の粘度上昇が生じず、高分子量の重合体
を使用する事が可能である。従ってこの水性塗料より形
成した塗膜はその物性が良好な物となるという利点を有
し、これまで多くの品種が開発されてきた。 【0003】しかし、従来開発されてきた水性塗料を構
成する水分散性重合体は比較的粒子径が大きな重合体で
あるため、いくつかの宿命的な問題がある。この水分散
性重合体を塗料用バインダーとする水性分散液に、高濃
度で顔料を分散させる場合には、顔料が再凝集を起こす
場合があり、顔料分散性の良好な塗料が得られにくい。
水性塗料中の顔料の再凝集を防止するには、重合体が水
中に溶解して存在するものの方が有効であり、この観点
からは従来より水溶性重合体を用いた水性塗料の開発が
進められてきた。ポリビニルアルコールやポリ(メタ)
アクリル酸のナトリウム塩等の水溶性重合体を用いた水
溶性塗料が、その代表例として挙げられる。 【0004】また、塗膜の平滑性、高光沢、良好な造膜
性が要求される水性塗料の開発において、粒子径の大き
な重合体の水性分散液を用いると、これらの目的を十分
に達成したものが得られないことが多い。水性塗料の造
膜性の不足はそこに含まれる比較的大きな重合体粒子が
変形し、融合して塗膜を形成するという塗膜の形成過程
での粒子の融合性不足に起因するものであり、この重合
体粒子の融合性を向上するためには、水性重合体のガラ
ス転移温度(Tg)の比較的低い重合体を用いたり、水性
分散液に造膜助剤あるいは可塑剤を添加し、粒子の変形
融合を容易にする手法が用いられている。 【0005】しかし、低Tgの重合体を含む水性塗料より
形成した塗膜は、その硬度不足からブロッキングを起こ
すという問題が起こりやすく、また、多量の造膜助剤の
添加は、その水性塗料より形成した塗膜の乾燥性に悪影
響を与える。水性塗料より形成した塗膜の平滑性や光沢
は、そこに含まれる重合体粒子の大きさに逆比例すると
考えられており、実際粒子径の小さなものを含む水性塗
料より形成したものが平滑性や光沢値(反射角60゜で測
定したグロス)が向上する傾向がある。これらのことか
ら水性塗料の顔料分散性の向上、得られる塗膜の造膜
性、平滑性、光沢の向上などの観点からは水溶性重合体
を用いた水性塗料が好ましい結果を与えることになる。 【0006】ところが従来用いられてきた水溶性重合体
には、多量の酸成分が含まれており、この水性重合体か
ら作った塗膜は耐水性が不十分であった。塗膜の耐水性
の向上は用いる重合体の酸価をさげることによりある程
度まで図ることができる。しかし、酸価の低い重合体は
水性媒体への溶解性が急激に低下し、このような重合体
は水性媒体中に分散した状態になる。このような重合体
の水性分散体は、顔料分散性が不足し、この水性分散体
より形成した塗膜はその平滑性、光沢等を低下させてし
まう。従って、塗膜の耐水性を向上させるために、用い
る重合体の酸価を下げる方法は、改良策としては十分な
ものでない。一方、水溶性重合体は水溶液としたとき高
粘度となり易いことから低粘度の重合体水溶液を作るに
は用いる重合体の低分子量化が必要となり、分子量の小
さい重合体から形成した塗膜はその耐水性、耐溶剤性な
どが低下する傾向となっている。 【0007】このような水溶性重合体から形成した塗膜
の物性を向上させるには、架橋剤を併用するのが最良の
方法と考えられてきた。ところが、架橋剤の代表例であ
る尿素樹脂やメラミン樹脂、およびその変性体や、イソ
シアネート化合物等は、その架橋反応を促進させるのに
通常熱エネルギーを加える。アミノ樹脂系架橋剤は、加
熱による架橋処理に際してホルマリンが発生し、塗膜の
焼き付け作業環境上好ましくない。一方、イソシアネー
ト系架橋剤は、毒性問題があるとともに、一般的に二液
タイプであるために、使いにくいという問題がある。 【0008】エマルジョン型やコロイダルディスパージ
ョン型水性塗料で、常温架橋可能な一液タイプの架橋方
式としては、カルボニル基/ヒドラジン架橋系が用いら
れている。(特開昭54−110248号公報、同54
−144432号公報、同55−147562号公報、
同57−3857号公報、同58−96643号公報、
同60−38468号公報等参照)。この水系塗料は、
布、金属等の被着剤に対して強力な接着力を有する塗膜
を形成できるという非常に興味深い性質を有している。
ところが、この水性塗料は顔粉分散性、造膜性が悪く、
この塗料より形成した塗膜もその平滑性、光沢が十分で
ないという水性塗料の宿命ともいえる課題の解決には至
っていない。 【0009】特開平3−68669号公報には、水溶性
有機溶媒中で重合した高い酸価を有するビニル重合体を
塩基によって中和し、水によって希釈した水溶性樹脂の
架橋システムとしてカルボニル基/ヒドラジンによる架
橋系を採用したものが示されている。この水性塗料より
得た塗膜は、平滑性、光沢が優れているとともに、強靱
性をも備えている。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】ところがこの型の水性
塗料では高い酸価の重合体を得るに際して、水溶性有機
溶媒を使用し、その塩基による中和物を水で希釈して水
性塗料を得ているため、この水性塗料中には、かなりの
量の有機溶媒が含まれることはさけられず、その塗装工
程での環境への悪影響が懸念されるところである。 【0011】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は上
記課題を解決することを目的として、鋭意検討した結
果、特定の固形状のビニル系共重合体の特定の光線透過
率を有するアルカリ中和物を用いることによって、上記
課題を解決した。本発明の要旨は、(a)(メタ)アク
リル酸メチル、芳香族ビニル化合物より選ばれる単量体
20〜70重量%、(b)炭素数2〜18個のアルキル
基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル10〜
60重量%、(c)カルボキシル基を有するビニル系単
量体3〜40重量%、(d)分子中に少なくとも1個の
カルボキシル基、カルボン酸エステル基及びアミド基以
外のカルボニル基またはアルデヒド基より選ばれた基を
有するビニル系単量体5〜30重量%、(e)残量のそ
の他の共重合可能なビニル系単量体を重合して得た固形
状のビニル系共重合体[I]、塩基[II]および水[II
I]よりなり、ASTM規格D1003に基づいて測定
した光線透過率が90%以上のビニル重合体水溶液
(A)と、2個以上のヒドラジン残基を有する有機ヒド
ラジン誘導体(B)とを、ビニル系共重合体[I]が含
有するカルボニル基またはアルデヒド基1モルに対し、
ヒドラジン残基を0.1〜2モルとなるように配合した
ことを特徴とする水性被覆材組成物にある。 【0012】固形状のビニル系共重合体[I]を得るに
際して用いる(a)成分のビニル系単量体は(メタ)ア
クリル酸メチルと、ビニル芳香族化合物、例えばスチレ
ン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ベンジル
(メタ)アクリレートなどであり、この(a)成分は、
本発明の水性塗料から形成する塗膜に硬度を付与する成
分であり、その共重合量が20〜70重量%となるよう
に用いる。この共重合量が20重量%未満の重合体を含
む塗料より形成した塗膜は、その硬度が不足する傾向と
なり、一方、その共重合量が70重量%をこえて多い共
重合体を含む塗料より形成した塗膜はその柔軟性が不足
し、より好ましい共重合量は25〜55重量%の範囲で
ある。 【0013】(b) 成分のビニル系単量体の具体例として
は、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレー
ト、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリ
ル(メタ)アクリレートなど、炭素数2〜18個のアルキ
ル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙
げられる。これらの中でも2−エチルヘキシルアクリレ
ート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレートが
好ましい。これら(b) 成分単量体は、これら(b) 成分を
共重合した共重合体を含む水性塗料より形成した塗膜に
柔軟性を付与する成分であり、その共重合量は10〜60重
量%の範囲となるように用いる。該(b) 成分の共重合量
が10重量%未満の重合体を含む水性塗料より形成した塗
膜は柔軟性が不足し、一方、その共重合量が60重量%を
越える重合体を含む水性塗料より形成した塗膜は硬度が
不足する傾向となる。より好ましくは、20〜45重量%の
範囲である。 【0014】(c) 成分のカルボキシル基を含有するビニ
ル系単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸などの一塩基性カルボン酸のほ
か、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸などの二塩基
性カルボン酸もしくは、その部分エステル等が挙げられ
る。これらの中でもアクリル酸、メタクリル酸、イタコ
ン酸、マレイン酸が好ましい。これら(c) 成分は、本発
明で用いるビニル重合体[I] 中に3〜40重量%の範囲と
なるように共重合する。その共重合が3重量%未満の重
合体のアルカリ中和物は、水溶解性が不足するため、本
発明の目的とする水性塗料を作ることはできず、一方そ
の共重合量が40重量%を越えて大きな共重合体を含む水
性塗料より形成した塗膜は、その耐水性が不足する傾向
がある。より好ましくは、6〜25重量%の範囲である。 【0015】(d)成分のカルボニル基またはアルデヒ
ド基を有するビニル系単量体とは、分子中に少なくとも
一個のケト基もしくは、アルデヒド基と、重合可能な二
重結合を有する単量体であって、カルボキシル基カル
ボン酸エステル基、アミド基に含まれるカルボニル基は
含まない。このようなビニル単量体(d)は、本発明
で用いる固形状のビニル共重合体中に5〜30重量%と
なる割合で共重合される。その共重合量が5重量%未満
の共重合体を含む水性塗料にて形成した塗膜は、加熱に
よる十分な硬化性能が得られず、30重量%を超えて
重合したものを含む水性塗料より形成した塗膜はその強
靱性が不足する。より好ましくは、5〜20重量%の範
囲である。(d)成分の具体例としては、アクロレイ
ン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ホルミルスチ
ロール、ビニルアルキルケトン、好ましくは4〜7個の
炭素原子を有するもので、ビニルメチルケトン、ビニル
エチルケトン、ビニルイソブチルケトンのほか、次式
[1]で表される(メタ)アクリルオキシアルキルプロ
パナール(式中Rは水素原子またはメチル基、R
は水素原子または1〜3個の炭素原子を有するアル
キル基、R 1〜4個の炭素原子を有するアルキル基
を示す。)、 【化1】 CH2=CR−COO−CHR−CR(R)−CHO (メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、アセトニ
ルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート
アセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)
アクリレート、ブタンジオール−1,4−アクリレート
−アセチルアセテート、アクリルアミドメチルアニスア
ルデヒド等が挙げられるが、中でも、アクロレイン、ジ
アセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトンがとくに
好ましい。これらの単量体は、単独または2種以上併用
できる。 【0016】(e) 成分の他の共重合可能なビニル系単量
体の具体例としては、2-ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、4-ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレー
ト、などのヒドロキシル基含有の単量体、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコール
(メタ)アクリレート、等のグリコールジ(メタ)アク
リレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のア
ルキルアミノ(メタ)アクリレート、およびそのアルキ
ルハライド塩、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イ
ソブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メ
タ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルア
ミドおよびそのアルキロール誘導体、その他アリル(メ
タ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
アクリロニトリル等の公知の重合性ビニル単量体が挙げ
られる。 【0017】本発明で用いる固形状のビニル系共重合体
[I]の重合方法としては、種々の重合法を用い得る
が、懸濁重合法、溶液重合法でビニル系共重合体を作る
のが好ましい。懸濁重合法を適用して固形状のビニル系
共重合体[I]を作る場合は、懸濁重合後得られた反応
液を濾過し、固形状ビニル系共重合体を水等の分散媒体
から分離する。この方法は、固形状ビニル系共重合体
生産性、生産コスト等を考慮した場合には特に好ましい
方法である。また、懸濁重合法により製造した固形状ビ
ニル系共重合体の塩は、とくに水への溶解性が優れてお
り、その水溶液は高い光線透過率を示す。また、その水
溶液は、顔料分散性が良好という特徴がある。また本発
明で用いる固形状のビニル系共重合体[I]は溶液重合
法によって作るのも好ましい方法である。(a)〜
(e)の単量体を溶液重合して得た重合体溶液は、そこ
から有機溶剤を脱気することにより固形状ビニル系共重
合体とする。この方法のよって固形状のビニル系共重合
を作ると、乳化剤のごとき塗膜特性を低下させる不純
物の混入がさけられ、この方法によって作られた固形状
ビニル系共重合体を用いた本発明の塗料からは、良好な
特性を備えた塗膜を形成することができる。 【0018】溶液重合より、固形状ビニル重合体を作る
に際して用いる有機溶媒としては、本発明で用いるビニ
ル単量体および生成するビニル重合体を溶解するもので
あればとくに制限を受けないがメタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、n-ブタノール等のアルコ
ール類、エチルセルソルブ、セルソルブアセテート、ブ
チルカルビトール、プロピレングリコールメチルエーテ
ル等のグリール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エ
ステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン等のケトン類等が例として挙げられる。 【0019】ビニル重合体[I] の製造に用いる重合開始
剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開
始剤やベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開
始剤等、従来公知の開始剤を目的に応じて任意に使用す
ることができる。さらに、分子量調節は必要に応じてn-
ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等
の連鎖移動剤を上記ビニル系単量体の混合物に添加する
ことにより行うことができる。懸濁重合によりビニル重
合体を作るに際して水性媒体に加える分散剤としては、
70〜100 モル%の範囲のケン化度のポリビニルアルコー
ル、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム塩等公知の水溶
性高分子を用いることができる。固形状ビニル重合体は
平均分子量5,000 〜100,000 、ガラス転移点10〜80℃、
固形酸価20〜260mgKOH/gの重合体であることが好まし
い。平均分子量5,000 未満或いはガラス転移点が10℃未
満の重合体は、塗膜性能が不足する傾向にあり、一方、
重量平均分子量100,000 を越える、あるいは、ガラス転
移点が80℃を越える重合体を用いた水性塗料は塗膜の形
成性が低下する傾向にある。また、固形酸価が20mgKOH/
g 未満の重合体のアルカリ水和物は、水溶性が不足する
傾向にあり、固形酸価が260mgKOH/gを越える重合体のア
ルカリ水和物からなる水性塗料は、その塗膜の耐水性が
低下する傾向にある。 【0020】ビニル重合体水溶液(A)は、水[III]
中においてビニル系共重合体[I]を揮発性の塩基[I
I]によって中和することにより光線透過性のある水溶
液とすることによって得られるが、この水溶液のAST
M規格D1003に基づいて測定した光線透過率は、9
0%以上である必要がある。光線透過率が90%未満の
水溶液は、顔料分散性が低下する傾向にありより好ま
しくは光線透過率が95%以上である。また、ビニル系
共重合体[I]は、含有する酸基の60〜100%が揮
発性の塩基[II]によって中和されることが好ましい。
酸基の中和が60%未満になると、ビニル系共重合体
[I]の水溶性が低下し、ビニル重合体水溶液(A)が
水分散性となるため、この水分散液では顔料分散性が低
下する傾向にあり、酸基の80〜100%が中和される
ことがより好ましい。 【0021】塩基[II]の例としては、アンモニア、トリ
エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリ
プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1-ア
ミノオクタン、2-ジメチルアミノエタノール、エチルア
ミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、1-アミ
ノ−2-プロパノール、2-アミノ−1-プロパノール、3-ア
ミノ−1-プロパノール、1-ジメチルアミノ−2-プロパノ
ール、3-ジメチルアミノ−1-プロパノール、2-プロピル
アミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベ
ンジルアルコール、モルホリン等があげられる。 【0022】架橋剤として用いる2個以上のヒドラジン
残基を有する有機ヒドラジン誘導体[IV]は、ビニル系重
合体[I] 中に含まれるケト基もしくは、アルデヒド基1
モルに対して0.1 〜2モルの割合となるように用いら
れ、好ましくは、0.3 〜1モルの範囲である。該架橋剤
[IV]は、炭素数2〜10個、とくに4〜6個の下記のジカ
ルボン酸ジヒドラジドであり、具体例としては、シュウ
酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒ
ドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒド
ラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラ
ジド、フマル酸ジヒドラジドおよびイタコン酸ジヒドラ
ジドがある。また、2〜4個の炭素原子を有する脂肪族
の水溶性ジヒドラジンには、例えばエチレン−1,2-ヒド
ラジン、プロピレン−1,3-ヒドラジン、ブチレン−1,4-
ジヒドラジンがある。これらの中でもアジピン酸ジヒド
ラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒド
ラジド、コハク酸ジヒドラジドが好ましい。 【0023】本発明の水性被覆材組成物は、ASTM規
格D1003にて測定した光線透過率が90%以上と、ビ
ニル重合体[I] が水性媒体に極めて良好に溶解してお
り、顔料の分散性もよく鮮明な色彩を有し光沢、平滑性
も良好で、強靱でかつ基材に対する密着性も極めて良好
なものとなっている。さらに、用いるビニル系重合体
は、固形状で有機溶媒を含んでいないため、本発明の水
性被覆材は、その塗装に際して、作業環境を悪化させる
事もなく、環境にやさしい水性被覆材となっている。本
発明の水性被覆材組成物を塗料およびインクとして用い
る場合、高度の性能を発現させるために消泡剤、顔料分
散剤、増粘剤、防腐剤等の添加剤を添加することも可能
である。 【0024】 【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、とくに記載のない限り「部」は「重量部」を、
「%」は「重量%」である。なお、表2に記載している
特性および評価の基準を以下に示す。 (水性被覆剤組成物の調整)攪拌機、温度計、還流凝縮
機を備えた加温と冷却がいずれも可能である 300mlフラ
スコ中に、固形ビニル系共重合体[I] 50gおよび下記の
計算式(1) より求められる量の脱イオン水を投入し、錨
型攪拌羽根を200rpmで攪拌を開始する。その後、下記の
計算式(2) より求められる量の28%アンモニア水溶液を
約5分かけてゆっくりと添加し、50℃に昇温して攪拌を
90分継続することによりビニル系共重合体[I] のアルカ
リ水溶液を得た。さらに、ビニル系共重合体[I] 中に含
まれるカルボニル基と等モル量のアジピン酸ジヒドラジ
ドを加え、溶解することにより水性被覆剤組成物を作
り、次の評価に供した。 (脱イオン水)g= 200−(ビニル系共重合体量)−(28%アンモニア水添 加量) …… (1) 【0025】(光線透過率)光線透過率は、株式会社村
上色彩技術研究所作製のヘイズメーターHM-65 型を用
い、ASTM規格D1003に基づいて測定した。 (顔料分散性)カーボンブラック(Degussa 社、#100
)20部をアジピン酸ジヒドラジドを添加する前の重合
体水溶液 100部に添加し、これを遊星ボールミル(FRIT
CH社製)で2時間ミキシングし、顔料分散した。この顔
料分散した重合体水溶液を 100日間室温で静置し、顔料
が沈殿する挙動を目視により判定した。 優秀:静置後 100日間経過しても顔料の沈殿が見られな
い。 良好:静置後20日目で顔料の沈殿が確認された。 不良:静置後2日目で顔料の沈殿が確認された。 (平滑性)上記の水性被覆材組成物をガラス板にソリッ
ド膜厚50μmになるように塗布し、室温で7日間乾燥
後、目視によりその平滑性を優秀、良好、不良の3段階
で評価した。 (耐水性)カーボンブラック(Degussa 社、#100 )20
部を上記の水性被覆剤組成物 100部に添加し、遊星ボー
ルミル(FRITCH社製)で2時間ミキシングし、顔料分散
した。顔料分散直後の顔料分散水性被覆剤組成物をガラ
ス板にソリッド膜厚50μmとなるように塗布し、室温で
7日間乾燥後20℃の水に10日間浸漬し、塗膜が受けたダ
メージの挙動を目視で観察した。 優秀:浸漬後、10日間経過しても塗膜にダメージが観察
されない。 良好:浸漬後、10日目で塗膜に白化、膨れ等のダメージ
が観察された。 不良:浸漬後、1日目で塗膜に白化、膨れ等のダメージ
が観察された。 (耐溶剤性)上記の水性被覆剤組成物をガラス板にソリ
ッド膜厚50μmとなるように塗布し、室温で7日間乾燥
後、エチルメチルケトンを含浸させたガーゼで塗膜面を
往復摩擦試験(50回)を行い塗膜の受けたダメージの挙
動を目視で観察した。 優秀:塗膜に傷が僅かに確認される程度。 良好:塗膜に多くの傷が確認された。 不良:塗膜が破損した。 【0026】[ビニル系重合体(P−1)の製造]攪拌
機、温度計、還流濃縮機を備えた加温と冷却がいずれも
可能である重合装置中に脱イオン水 200部にポリビニル
アルコール(ケン化度80モル%、重合度1700)0.6 部を
加えて攪拌を行い、ポリビニルアルコールを完全に溶解
した後に一度攪拌を停止し、メチルメタクリレート34
部、スチレン10部、n-ブチルアクリレート31部、メタク
リル酸10部、ジアセトンアクリルアミド15部を加えて再
度攪拌を開始し、アゾビスイソブチロニトリル 0.5部及
びn-ドデシルメルカプタン5部を加えて75℃に昇温し、
反応温度を75〜80℃を維持して3時間反応させ、その後
90℃に昇温して1時間維持し反応を終了させた。得られ
た反応液を目開き30μmのメッシュにて濾過し、粒状ビ
ニル系重合体の固形物を得た。得られた重合体は重量平
均分子量10000 、酸価65mgKOH/g 、二次転移温度40℃で
あった。 【0027】[ビニル系重合体(P−2)〜(P−5)
の製造]ビニル系重合体(P−1)の製造方法と同様な
操作によって、表1に示したビニル系単量体組成物をラ
ジカル開始剤および連鎖移動剤を用いてそれぞれ重合し
た。得られたビニル系重合体(P−2)〜(P−5)の
組成および特性値を表1に示した。 【0028】[ビニル系重合体(P−6)の製造]攪拌
機、温度計、還流濃縮機を備えた加温と冷却がいずれも
可能である重合装置中にイソプロピルアルコール 100
部、メチルメタクリレート34部、スチレン10部、n-ブチ
ルアクリレート31部、メタクリル酸10部、ジアセトンア
クリルアミド15部、アゾビスイソブチロニトリル2部お
よびn-ドデシルメルカプタン5部を加えて攪拌を開始
し、80℃に昇温して反応を開始した。その後1時間ごと
にアゾビスイソブチロニトリル 0.2部を添加しながら9
時間、温度を維持した後、反応を終了し、固形分51%、
粘度7,000cpsのビニル系共重合体のイソプロピルアルコ
ール溶液を得た。この溶液をステンレス製バットに流し
込み、70℃に加熱しながら減圧することにより、イソプ
ロピルアルコールを蒸留除去し、固形のビニル系重合体
(P−6)を得た。この塊状重合体を粉砕機で粉砕し、
粒状のビニル系重合体(P−6)を得た。得られた重合
体は、重量平均分子量8,000 、酸価65mgKOH/g 、二次転
移温度40℃であった。 【0029】[ビニル系共重合体(P−7)の製造]ビ
ニル系重合体(P−6)の製造方法と同様な操作によっ
て、表1に示したビニル系単量体組成物をラジカル開始
剤および連鎖移動剤を用いてそれぞれ重合した。 【0030】[ビニル系共重合体(P−8)の水性分散
液の製造]攪拌機、温度計、還流凝縮機、供給容器、窒
素導入管を備えた加温と冷却がいずれも可能である重合
装置中に、脱イオン水90部、ラウリル硫酸ナトリウム1
部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.8
部、ピロリン酸ソーダ 0.2部、ロンガリッド 0.4部、硫
酸第一鉄 0.001部を投入して攪拌し、反応器内を窒素置
換した。次に滴下カラムに脱イオン水12部、メタクリル
酸メチル22部、スチレン10部、n-ブチルアクリレート43
部、ダイアセトンアクリルアミド5部、メタクリル酸2
部、t-ブチルハイドロパーオキサイド 0.4部、ポリオキ
シエチレンラウリルエーテルの20%水溶液9部、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム
0.5部を混合した乳濁液を充填した。攪拌下に内温を60
℃まで昇温し、窒素を流しながら4時間かけてゆっくり
とモノマー混合物を反応容器内に滴下した。滴下終了
後、30分後に得られるビニル重合体の重合率を上げるた
め、再度t-ブチルハイドロパーオキサイド 0.3部を添加
して70℃に昇温し、1時間熟成した。反応液を室温まで
放冷後、得られたエマルジョンのpHが9.0 となるまで28
%アンモニア水溶液を加え、固形分45%、二次転移温度
20℃のビニル系共重合体(P−8)の水性分散液を得
た。 【0031】 【実施例1】ビニル系重合体(P−1)50部と、脱イオ
ン水 146.5部、28%アンモニア水溶液 3.5部とを混合し
て溶解し、これにアジピン酸ジヒドラジド 3.9部を添加
して溶解し、水性被覆材組成物を得た。 【0032】 【実施例2】ビニル系重合体(P−3)50部と、脱イオ
ン水 146.5部、28%アンモニア水溶液 1.8部とを混合し
て溶解し、重合体水溶液を得た。これにアジピン酸ジヒ
ドラジド 3.9部を添加して溶解し、水性被覆材組成物を
得た。 【0033】 【比較例1】ビニル系重合体(P−1)50部と、脱イオ
ン水 146.5部、28%アンモニア水溶液 3.5部とを混合し
て溶解し、水性被覆材組成物を得た。 【0034】 【実施例3】ビニル系重合体(P−4)50部と、脱イオ
ン水 146.5部、28%アンモニア水溶液 3.5部とを混合し
て溶解し、重合体水溶液を得た。これにアジピン酸ジヒ
ドラジド 3.9部を添加して溶解し、水性被覆材組成物を
得た。 【0035】 【比較例2】ビニル系重合体(P−2)50部と、脱イオ
ン水 146.5部、28%アンモニア水溶液 3.5部とを混合し
て溶解し、重合体水溶液を得た。これにアジピン酸ジヒ
ドラジド 1.3部を添加して溶解し、水性被覆材組成物を
得た。 【0036】 【実施例4】ビニル系重合体(P−5)50部と、脱イオ
ン水 146.5部、28%アンモニア水溶液 3.5部とを混合し
て溶解し、重合体水溶液を得た。これにアジピン酸ジヒ
ドラジド 3.9部を添加して溶解し、水性被覆材組成物を
得た。 【0037】 【実施例5】ビニル系重合体(P−6)50部と、脱イオ
ン水 146.5部、28%アンモニア水溶液 3.5部とを混合し
て溶解し、重合体水溶液を得た。これにアジピン酸ジヒ
ドラジド 3.9部を添加して溶解し、水性被覆材組成物を
得た。 【0038】 【実施例6】ビニル系重合体(P−7)50部と、脱イオ
ン水 146.5部、28%アンモニア水溶液10.6部とを混合し
て溶解し、重合体水溶液を得た。これにアジピン酸ジヒ
ドラジド 3.9部を添加して溶解し、水性被覆材組成物を
得た。 【0039】 【比較例3】ビニル系重合体(P−8)の水性分散液 1
00部にアジピン酸ジヒドラジド 1.1部を添加して溶解
し、水性被覆材組成物を得た。 【0040】[実施例1]〜[実施例6]および[比較
例1]〜[比較例3]で作った水性被覆材組成物におけ
る重合体水溶液の光線透過率、顔料分散性、および、こ
れら水性覆材組成物より形成した塗膜の平滑性、耐水
性、耐溶剤性について測定した結果を表2に示した。 【表1】 【表2】【0041】 【発明の効果】本発明の水性被覆材組成物は、透明性に
優れており、顔料分散性が良好であり、得られる塗膜の
平滑性、光沢、耐水性、耐溶剤性が良好であり、かつ、
基材に対する密着性も良好なものであった。また、本発
明の水性被覆材組成物は、作業環境の汚染もなく、その
塗装、塗膜の架橋硬化に際しての環境へ与える影響は極
めて小さいものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−302037(JP,A) 特開 平5−247376(JP,A) 特開 平5−179102(JP,A) 特開 平1−234416(JP,A) 特開 平3−68669(JP,A) 特開 昭64−33110(JP,A) 特開 平2−214756(JP,A) 特開 平7−113063(JP,A) 特開 平7−26196(JP,A) 特開 平7−242855(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 10/00 C09D 101/00 - 201/10

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (a)(メタ)アクリル酸メチル、芳香
    族ビニル化合物より選ばれる単量体20〜70重量%、
    (b)炭素数2〜18個のアルキル基を有する(メタ)
    アクリル酸アルキルエステル10〜60重量%、(c)
    カルボキシル基を有するビニル系単量体3〜40重量
    %、(d)分子中に少なくとも1個のカルボキシル基、
    カルボン酸エステル基及びアミド基以外のカルボニル基
    またはアルデヒド基より選ばれた基を有するビニル系単
    量体5〜30重量%、(e)残量のその他の共重合可能
    なビニル系単量体を重合して得た固形状のビニル系共重
    合体[I]、塩基[II]および水[III]よりなり、AS
    TM規格D1003に基づいて測定した光線透過率が9
    0%以上のビニル重合体水溶液(A)と、2個以上のヒ
    ドラジン残基を有する有機ヒドラジン誘導体(B)と
    を、ビニル系共重合体[I]が含有するカルボニル基ま
    たはアルデヒド基1モルに対し、ヒドラジン残基を0.
    1〜2モルとなるように配合したことを特徴とする水性
    被覆材組成物。
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