JP2015093419A - 光学積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐溶剤性の低い樹脂基材上にも形成可能なコロイド結晶硬化膜を提供する。【解決手段】樹脂基材上に、プライマー層(P)、次いでコロイド結晶硬化膜層(C)を順次積層した光学積層体において、前記コロイド結晶硬化膜層(C)は、コア部及びシェル部を有するコア−シェル粒子(A)と単量体(B)とを硬化して得られた硬化膜層であって、前記コア−シェル粒子(A)は硬化膜層内で規則的に周期配列しており、前記コア部の平均粒子径は50〜900nmであり、前記コア部の屈折率は所定の式を満たし、前記シェル部は、一端が前記コア部に共有結合された直鎖状ポリマーであり、前記プライマー層(P)は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有しており且つアクリル当量が120から500であるエポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートの硬化物であることを特徴とする。【選択図】なし
Description
本開示は、構造性発色を呈する色材や、特定波長域の光を反射する光学素子として使用しうるコロイド結晶を含む光学積層体に関する。本開示の光学積層体は、塗料やインキ用途、光学フィルターや光機能材料などの光学技術用途等に有用である。
単分散な粒子を三次元的に規則配列した集積体はコロイド結晶と呼ばれる。このコロイド結晶に光が入射すると回折や干渉が起こり、主にその周期構造に依存して、ある特定の波長の光が反射される(ブラッグ反射)。例えば、サブミクロンサイズの粒子のコロイド結晶は、その粒子サイズに応じて、紫外光〜可視光、さらに赤外光の範囲の光を反射する。また、その反射光の波長が可視光領域に生じる場合、構造性発色としてコロイド結晶の色を視認することができる。このコロイド結晶の研究は数多く行われており、フォトニック結晶をはじめとする様々な光学素子、光機能材料などへの展開が期待されている。コロイド結晶は、例えば、塗料やインキ、化粧品をはじめとする各種色材、光学フィルター、光メモリ材料、表示デバイス、光スイッチ、センサーやレーザー等に適用することができる。
コロイド結晶の作製例については、すでに数多く報告されている。
例えば、ポリスチレンやシリカなどの粒子を用い、水溶性溶媒の蒸発に伴う粒子の集積化を利用して結晶を成長させることにより、乾燥状態のコロイド結晶が得られる。ただし、粒子が接触だけで集積しているため、機械的強度が非常に弱く、わずかな外力でコロイド結晶は崩れてしまう。そこで、粒子間の空隙に粒子同士を固定するバインダーを充填する製造方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。また、2段階の乳化重合により作製されたコア部(粒子)の表面をシェル部の樹脂で被覆したコア−シェル粒子を用いることにより、シェル部が粒子間の空隙を埋める製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
例えば、ポリスチレンやシリカなどの粒子を用い、水溶性溶媒の蒸発に伴う粒子の集積化を利用して結晶を成長させることにより、乾燥状態のコロイド結晶が得られる。ただし、粒子が接触だけで集積しているため、機械的強度が非常に弱く、わずかな外力でコロイド結晶は崩れてしまう。そこで、粒子間の空隙に粒子同士を固定するバインダーを充填する製造方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。また、2段階の乳化重合により作製されたコア部(粒子)の表面をシェル部の樹脂で被覆したコア−シェル粒子を用いることにより、シェル部が粒子間の空隙を埋める製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
上記特許文献1に記載されているコロイド結晶では、乾燥過程において塗膜にクラックが無数に発生する傾向にある。これは、乾燥過程において粒子間距離がだんだん短くなるが、収縮が一様に起こらないと、結晶の一部が破断してクラックを生じるためである。この無数のクラックは光を散乱するため、得られるコロイド結晶に白濁感が生じる。また、機械的強度を強くするために、コロイド結晶を作製した後に、バインダーを塗布することが開示されているが、粒子が接触だけで集積しているため、そのバインダーの塗工時にコロイド結晶が崩れてしまうという問題点を有する。さらに、粒子間の空隙をバインダーで埋めても、粒子間の接点にはバインダーが存在せずに、機械的強度としては不十分である。さらに、粒子間の隙間を完全に埋めることは困難であり、さらなる機械的強度の低下とともに、無秩序に残存する空隙は光の散乱を引き起こし、コロイド結晶の白濁感は強くなる。上記特許文献2に記載されている2段階乳化重合により合成されるコア−シェル粒子を用いる方法では、空隙を埋める部材が、低分子のバインダーと比較して、流動性が乏しいポリマーであるため、空隙を完全に埋めることは難しい。また、空隙を埋めるポリマーが熱可塑性であるため、作製されるコロイド結晶の耐熱性や耐薬品性、機械的強度も十分ではない。
このような問題を解決するために、発明者らはコロイド結晶におけるコア−シェル粒子のシェル部と、バインダーとなる単量体を限定することによって、特定波長域の光を反射することができるコロイド結晶硬化膜を以前に見出している(特許文献3)。この製造方法により得られる硬化膜は、機械的強度や耐溶剤性に優れるとともに、長期安定性に優れ、さらに簡便な手法によりコロイド結晶硬化膜を形成することができるという優れた利点がある。
各種樹脂基材が、光学レンズやディスプレイ材料などの光学用途はもとより、工業用資材、建築用資材等に広く使用されている。特許文献3に開示されるコロイド結晶硬化膜は、ガラスや2軸延伸PETフィルムなどの耐溶剤性の高い基材上に作製することができる。しかしながら、作製時に使用する単量体等の溶解性が高いため、多くの樹脂基材に対して、基材に単量体が浸透してしまい、基材にクラックが生じ、さらにコロイド結晶化が起こらずに、発色を確認することができない、もしくはピーク反射率が低下する問題点を有する。そこで、本開示の目的とするところは、樹脂基材上に、コロイド結晶硬化膜層を機能層として有した光学積層体を提供することにある。
発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、樹脂基材上に、プライマー層(P)、次いでコロイド結晶硬化膜層(C)を順次積層することにより、樹脂基材上に、コロイド結晶硬化膜を機能層として有した光学積層体を作製できることを見出した。
本発明は、樹脂基材上に、プライマー層(P)、次いでコロイド結晶硬化膜層(C)を順次積層した光学積層体であって、
前記コロイド結晶硬化膜層(C)は、コア部及びシェル部を有するコア−シェル粒子(A)と単量体(B)とを硬化して得られた硬化膜層であって、
前記コア−シェル粒子(A)は硬化膜層内で規則的に周期配列しており、
前記コア部の平均粒子径は50〜900nmであり、
前記コア部の屈折率(n(core))は下記式(1)及び式(2)を満たし、
n(shell)−n(core)≧0.07・・・(1)
〔式中、n(shell)は前記シェル部の屈折率を示す〕
n(B)−n(core)≧0.07・・・(2)
〔式中、n(B)は前記単量体(B)の硬化後の屈折率を示す〕
前記シェル部は、一端が前記コア部に共有結合された直鎖状ポリマーであり、
前記プライマー層(P)は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有しており且つアクリル当量が120から500であるエポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートの硬化物であることを特徴とする。
前記コロイド結晶硬化膜層(C)は、コア部及びシェル部を有するコア−シェル粒子(A)と単量体(B)とを硬化して得られた硬化膜層であって、
前記コア−シェル粒子(A)は硬化膜層内で規則的に周期配列しており、
前記コア部の平均粒子径は50〜900nmであり、
前記コア部の屈折率(n(core))は下記式(1)及び式(2)を満たし、
n(shell)−n(core)≧0.07・・・(1)
〔式中、n(shell)は前記シェル部の屈折率を示す〕
n(B)−n(core)≧0.07・・・(2)
〔式中、n(B)は前記単量体(B)の硬化後の屈折率を示す〕
前記シェル部は、一端が前記コア部に共有結合された直鎖状ポリマーであり、
前記プライマー層(P)は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有しており且つアクリル当量が120から500であるエポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートの硬化物であることを特徴とする。
本発明は、前記単量体(B)は、下記式(3)で表される単量体(B1)および下記式(4)で表される単量体(B2)の混合物であり、前記単量体(B)における単量体(B2)の含有量は5〜70重量%であり(ただし、単量体(B1)と単量体(B2)の合計は100重量%である)、
前記直鎖状ポリマーは、スチレン及び下記式(3)で表される単量体(S)の少なくとも一方で形成されていることが好ましい。
〔式(3)において、R1は水素原子又はメチル基であり、xは0又は1である〕
〔式(4)において、R2は水素原子又はメチル基であり、yは1又は2である〕
前記直鎖状ポリマーは、スチレン及び下記式(3)で表される単量体(S)の少なくとも一方で形成されていることが好ましい。
〔式(3)において、R1は水素原子又はメチル基であり、xは0又は1である〕
〔式(4)において、R2は水素原子又はメチル基であり、yは1又は2である〕
本発明は、前記樹脂基材が、ポリカーボネート又はポリメタクリル酸メチルで形成されていることが好ましい。
本明細書において、(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートの両者を意味する。なお、(メタ)アクリロイル、(メタ)アクリル酸なども同様である。
本発明の光学積層体では、機能層であるコロイド結晶硬化膜層(C)は、コア−シェル粒子(A)のコア部とシェル部の屈折率、かつコア部と単量体(B)の屈折率差を大きくすることにより、高い反射率を示す優れた光学特性を示す。さらにプライマー層(P)の形成により、耐溶剤性の低い樹脂基材上にもコロイド結晶硬化膜を機能層として形成することができる。
また、単量体(B1)と単量体(B2)とに架橋構造を形成することによって、光学積層体表面のコロイド結晶硬化膜層の耐熱性などの熱的特性や、硬度などの機械的特性、耐薬品性を向上することができる。
また、樹脂基材をポリカーボネート又はポリメタクリル酸メチルで形成することによって、高い透明性が要求される光学レンズやディスプレイ材料などの光学用途に有用である。
また、単量体(B1)と単量体(B2)とに架橋構造を形成することによって、光学積層体表面のコロイド結晶硬化膜層の耐熱性などの熱的特性や、硬度などの機械的特性、耐薬品性を向上することができる。
また、樹脂基材をポリカーボネート又はポリメタクリル酸メチルで形成することによって、高い透明性が要求される光学レンズやディスプレイ材料などの光学用途に有用である。
本開示の光学積層体は、樹脂基材とプライマー層(P)、コロイド結晶硬化膜層(C)とで構成される。以下、各構成層について詳細に説明する。
(1)樹脂基材
樹脂基材としては、平滑性や機械的強度、耐熱性、成形性、透明性に優れたものが好ましい。具体的には、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)等の熱可塑性樹脂、ノルボルネン系重合体、環状オレフィン重合体などの脂環構造を有する非晶質オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、エピスルフィド樹脂、アリル樹脂などの熱硬化性樹脂などを挙げることができる。高い透明性や加工性が要求される場合には、ポリカーボネートやポリメタクリル酸メチルを用いることが好ましい。ポリメタクリル酸メチルは、メタクリル酸メチルを主成分とし、(メタ)アクリル酸エステル類との共重合物であっても良い。また、色材用途や光学用途において、光学積層体に入射される光に対して、コロイド結晶硬化膜層(C)で反射されずに透過された光の一部又は全部を、基材で吸収させたい場合には、色素や顔料を含む着色樹脂基材を用いることもできる。色材用途では、黒色樹脂基材を用いることにより、特に鮮やかな構造性発色を目視で確認することができる。
樹脂基材としては、平滑性や機械的強度、耐熱性、成形性、透明性に優れたものが好ましい。具体的には、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)等の熱可塑性樹脂、ノルボルネン系重合体、環状オレフィン重合体などの脂環構造を有する非晶質オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、エピスルフィド樹脂、アリル樹脂などの熱硬化性樹脂などを挙げることができる。高い透明性や加工性が要求される場合には、ポリカーボネートやポリメタクリル酸メチルを用いることが好ましい。ポリメタクリル酸メチルは、メタクリル酸メチルを主成分とし、(メタ)アクリル酸エステル類との共重合物であっても良い。また、色材用途や光学用途において、光学積層体に入射される光に対して、コロイド結晶硬化膜層(C)で反射されずに透過された光の一部又は全部を、基材で吸収させたい場合には、色素や顔料を含む着色樹脂基材を用いることもできる。色材用途では、黒色樹脂基材を用いることにより、特に鮮やかな構造性発色を目視で確認することができる。
上記基材は、フィルム状やシート状、プレート状で使用することが好ましいが、使用形態に応じて、曲率を有するレンズ形状など成型材料を使用してもよい。
樹脂基材に対するプライマー層(P)の密着性を向上させるために、有機溶媒による脱脂処理、超音波洗浄処理、研磨剤を用いた研磨処理、酸性又は塩基性水溶液による化学処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理などの表面処理を行うことができる。
(2)プライマー層(P)
樹脂基材の上に形成されるプライマー層(P)は、コロイド結晶硬化膜層(C)の塗工に対して、耐溶剤性を向上させるものである。プライマー層(P)に使用される材料は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、アクリル当量が120から500であるエポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートである。アクリル当量とは、(メタ)アクリロイル基1個あたりの分子量であり、以下に示す式で表される。
アクリル当量=分子量/1分子に含まれる(メタ)アクリロイル基の基数
アクリル当量は120から500であり、好ましくは150から450である。アクリル当量が120よりも小さい場合には、プライマー層を硬化する際の硬化収縮が大きく、樹脂基材に反りが生じたり、樹脂基材との密着性が低下する場合が多く好ましくない。一方、アクリル当量が500よりも大きい場合には、プライマー層の上にコロイド結晶硬化膜を作製する際に、耐溶剤性の確保が十分でないことから、単量体(B)がプライマー層や樹脂基材にわずかに浸透してしまい、反射波長がわずかに短波長側にシフトし、反射率も小さくなり、わずかな発色しか確認できないため好ましくない。
樹脂基材の上に形成されるプライマー層(P)は、コロイド結晶硬化膜層(C)の塗工に対して、耐溶剤性を向上させるものである。プライマー層(P)に使用される材料は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、アクリル当量が120から500であるエポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートである。アクリル当量とは、(メタ)アクリロイル基1個あたりの分子量であり、以下に示す式で表される。
アクリル当量=分子量/1分子に含まれる(メタ)アクリロイル基の基数
アクリル当量は120から500であり、好ましくは150から450である。アクリル当量が120よりも小さい場合には、プライマー層を硬化する際の硬化収縮が大きく、樹脂基材に反りが生じたり、樹脂基材との密着性が低下する場合が多く好ましくない。一方、アクリル当量が500よりも大きい場合には、プライマー層の上にコロイド結晶硬化膜を作製する際に、耐溶剤性の確保が十分でないことから、単量体(B)がプライマー層や樹脂基材にわずかに浸透してしまい、反射波長がわずかに短波長側にシフトし、反射率も小さくなり、わずかな発色しか確認できないため好ましくない。
エポキシ(メタ)アクリレートとは、ポリエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物であり、構造は特に限定されず、市販のものを使用することができる。例えば、EBECRYL−600、3701、37038(ダイセル・サイテック(株)製)、NKオリゴEA−1020、6320、6340(新中村化学(株)製)、エポキシエステル70PA、80MFA、3000A、3002A(共栄社化学(株)製)、デナコールアクリレートDA−212、DA−250、DA−314、DA−721、DA−722、DA−911M,DA−920(ナガセケムテックス(株)製)などを使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートとは、ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの付加反応物、あるいはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートから合成されるポリウレタンポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの付加反応物であり、構造は特に限定されず、市販のものを使用することができる。例えば、EBECRYL−220、1290、4858、8210、KRM8200(ダイセル・サイテック(株)製)、NKオリゴU−2PPA、U−4HA、U−6HA、UA−32P(新中村化学(株)製)、紫光UV−1700B、7600B、7630B(日本合成化学工業(株)製)などを使用することができる。
エポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上を用いることができる。
エポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートを含むプライマー層(P)の組成物には上記成分の他に、組成物の粘度を調整するためや、樹脂基材とプライマー層(P)の密着性、プライマー層(P)とコロイド結晶硬化膜層(C)との密着性、機械的強度や硬化速度などの改良のために、単官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体や、官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体、多官能(メタ)アクリレート系単量体を適宜添加することができる。
単官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体の官能基としては、アルコキシシリル基、カルボン酸基、水酸基、リン酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、複素環基などが挙げられる。具体例としては、アルコキシシリル基を有する単量体として、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。カルボン酸基を有する単量体として、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。水酸基を有する単量体として、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。リン酸基を有する単量体として、リン酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルなどを挙げることができる。アミノ基を有する単量体として、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。エポキシ基を有する単量体として、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどを挙げることができる。イソシアネート基を有する単量体として、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどを挙げることができる。複素環基を有する単量体としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリンなどを挙げることができる。
多官能(メタ)アクリレート系単量体としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレートなどを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの単官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体や、官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体、多官能(メタ)アクリレート系単量体は、エポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、30重量部以下、好ましくは10重量部以下の割合で配合することにより、性能を改善することができる。
プライマー層(P)の組成物は、熱又は光により硬化することができる。エポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートを硬化させる際には、硬化を促進するために重合開始剤を含んでいることが好ましい。重合開始剤としては、アゾ系の重合開始剤、有機過酸化物系の重合開始剤、光重合開始剤などの公知の重合開始剤を使用することができる。例えば、アゾ系のラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、有機過酸化物系の重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどを使用することができる。光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、イソプロピルチオキサントンなどを使用することができる。
重合開始剤の配合量は、エポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、好ましくは0.1から10重量部、更に好ましくは0.5〜7重量部である。配合量が少ない場合、硬化が不十分となり耐溶剤性の確保が不十分となり、コロイド結晶硬化膜(C)の光学特性が低下する。一方、多すぎる場合は残存する重合開始剤により、透明性が低下するなどの弊害が生じる恐れがある。
プライマー層(P)の組成物には、上記成分の他に、金属酸化物、紫外線吸収材、赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、着色染料、蛍光染料、顔料(有機顔料、無機顔料)などを適宜配合することができる。また、ウェットコーティング法において成膜後に乾燥させる限りは、任意の量の溶媒を添加することができる。
プライマー層(P)の組成物は、例えばスピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法、スリットコート法、ドクターブレードコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法などの種々の方法により樹脂基材の上に塗布することができる。
プライマー層(P)の組成物は、加熱、又は紫外線、電子線、放射線などの活性エネルギー線の照射により硬化させることで、プライマー層(P)を形成することができる。これらのうち、紫外線照射を行うことにより、硬化を迅速に行うことができる。紫外線照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアークランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどを使用することができる。この場合、紫外線照射に加えて硬化を促進させるために加熱を行うこともできる。加熱温度は通常10〜150℃、好ましくは20〜120℃に設定される。
プライマー層(P)の膜厚は、硬化後において0.2〜20μmであることが好ましく、0.5〜8μmであることがさらに好ましい。膜厚が0.2μmよりも薄い場合、耐溶剤性の確保が不十分となり、コロイド結晶硬化膜(C)の光学特性が低下する。さらに、密着性が不十分となる場合が多く好ましくない。膜厚が20μmよりも厚いとプライマー層(P)にクラックが生じたり、基材に反りが生じたりするため好ましくない。
(2)コロイド結晶硬化膜層(C)
コロイド結晶硬化膜(C)は、コア部及びシェル部を有するコア−シェル粒子(A)と単量体(B)を硬化して得られた硬化膜層であって、コア−シェル粒子(A)は硬化膜層内で規則的に周期配列している。この周期配列に基づく光の回折・干渉により、特定波長域の光が反射される。
コロイド結晶硬化膜(C)は、コア部及びシェル部を有するコア−シェル粒子(A)と単量体(B)を硬化して得られた硬化膜層であって、コア−シェル粒子(A)は硬化膜層内で規則的に周期配列している。この周期配列に基づく光の回折・干渉により、特定波長域の光が反射される。
<コア−シェル粒子(A)>
コア−シェル粒子(A)は、粒子からなるコア部と、コア部の表面に結合された直鎖状ポリマーで形成されるシェル部とを有している。
コア−シェル粒子(A)は、粒子からなるコア部と、コア部の表面に結合された直鎖状ポリマーで形成されるシェル部とを有している。
コア部は屈折率(n(core))が下記式(1)及び式(2)を満たす範囲で適宜選択することができる。
n(shell)−n(core)≧0.07・・・(1)
〔式中、n(shell)は前記シェル部の屈折率を示す〕
n(B)−n(core)≧0.07・・・(2)
〔式中、n(B)は前記単量体(B)の硬化後の屈折率を示す〕
n(shell)−n(core)≧0.07・・・(1)
〔式中、n(shell)は前記シェル部の屈折率を示す〕
n(B)−n(core)≧0.07・・・(2)
〔式中、n(B)は前記単量体(B)の硬化後の屈折率を示す〕
式(1)、式(2)において屈折率差が0.07よりも小さい場合、得られるコロイド結晶硬化膜のピーク反射率が小さくなり、十分な光学特性を得ることができない。屈折率差の上限値は特に限定されるものではないが、n(shell)、n(B)は約1.6であり、空気の屈折率が1.00であることから、屈折率差の上限値は実質的には約0.6となる。各成分の屈折率は、各成分を同様の重合・硬化条件で硬化膜を作製し、アッベ屈折計を用いて25℃で測定した値である。硬化膜は、例えば、単量体と光重合開始剤からなる塗液を厚さが100μmになるようにガラス基材上に塗布し、1000mJ/cm2の紫外線照射により硬化した後に、ガラス基材から剥離することで作製される。
コア部としては、無機系粒子や有機重合体粒子、もしくはこれらの粒子の中に空孔(空気)を含む中空粒子を使用することができる。無機系粒子は低屈折率であることが望ましく、フッ化マグネシウムやシリカなどを用いることができる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、無機系粒子はシリカで形成されていることが好ましい。有機重合体粒子としてはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びこれらの共重合体などを用いることができる。有機重合体粒子は、低屈折率であり、かつ粒子径の制御が容易であることから、アクリル樹脂で形成されていることが好ましい。
コア部がアクリル樹脂で形成されている場合、コア部を製造するために用いることができる単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体を用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリルアミド系単量体としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、低屈折率であり、かつ粒子径の制御が容易であることから、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を使用することが好ましい。また、目的に応じて上記単量体を単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
さらに、コア部の加熱や有機溶剤による変形を防止するために、1分子中に2個以上の重合性基を有する架橋性単量体を併用しても良い。架橋性単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
コア−シェル粒子(A)のコア部は、動的光散乱により測定される算術平均粒子径が50〜900nmである。コア部の平均粒子径は、好ましくは80〜600nm、さらに好ましくは100〜300nmである。コア部の平均粒子径が50nmより小さい場合にはコア−シェル粒子間の凝集を抑制することが困難であり、一方、コア部の平均粒子径が900nmより大きい場合にはコア−シェル粒子の沈降などを抑制することが困難であるため、コロイド結晶を形成しにくくなる。また、コア部の粒度分布はCV値〔(粒子径標準偏差/平均粒子径)×100(%)〕で表され、そのCV値は25%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20%以下である。なお、CV値は、全ての粒子径が同一である単分散な場合には0%となる。コア部のCV値が25%より大きい場合には、粒子径が不揃いであることから、コロイド結晶を形成することが難しくなる。
コア−シェル粒子(A)のシェル部を構成する直鎖状ポリマーは分岐構造を有しておらず、また、その一端が共有結合によりコア部に結合されている。すなわち、コア部の粒子表面に直鎖状ポリマーがグラフト化されている。直鎖状ポリマーはコア部に結合されているため、モノマーや溶剤に溶解しても、コア部から脱離することが無い。これにより、コア−シェル粒子(A)の分散安定性を高めることができる。従来のコア−シェル粒子においては、シェル部は物理吸着によりコア部に結合されており、又はコア部を取り囲むように三次元的な網目構造を形成することでコア部の周囲に配置されていた。しかし、物理吸着の場合は容易にシェル部がコア部より脱離してしまうため、シェル部はコア−シェル粒子の分散安定性に寄与しなかった。また、シェル部が三次元的な網目構造によりコア部の周囲に配置されている場合は、コア−シェル粒子の分散安定性を確保できなかった。
コア−シェル粒子(A)のシェル部は屈折率(n(core))が前記式(1)を満たす範囲で適宜選択することができる。さらに、シェル部は、スチレンおよび下記式(3)で表される単量体(S)の少なくとも一方で形成されていることが好ましい。前記式(1)を満たす範囲の条件において、スチレンおよび単量体(S)は単独で、または適宜併用して用いることができる。これにより、得られるコロイド結晶硬化膜のピーク反射率が高い値を示す硬化膜を得ることができる。
単量体(S)は下記式(3)で表されるビフェニル骨格を有する(メタ)アクリレート化合物である。
〔式(3)において、R1は水素原子又はメチル基であり、xは0又は1である〕
単量体(S)は、前記式(3)で表される(メタ)アクリレート化合物のうち異なる複数の化合物を含んでいても良い。単量体(S)としては、例えば、2−フェニルフェニル(メタ)アクリレート、及び2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
単量体(S)は下記式(3)で表されるビフェニル骨格を有する(メタ)アクリレート化合物である。
〔式(3)において、R1は水素原子又はメチル基であり、xは0又は1である〕
単量体(S)は、前記式(3)で表される(メタ)アクリレート化合物のうち異なる複数の化合物を含んでいても良い。単量体(S)としては、例えば、2−フェニルフェニル(メタ)アクリレート、及び2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
コア−シェル粒子(A)の平均粒子径は、シェル部の厚みの2倍とコア粒子の平均粒子径との和として動的光散乱などにより測定される。コア−シェル粒子(A)の平均粒子径は60〜1,000nmであり、好ましくは90〜700nmであり、さらに好ましくは、110〜400nmである。コア−シェル粒子(A)の平均粒子径が60nmより小さい場合にはコア−シェル粒子(A)の凝集を抑制することが困難になり、コア−シェル粒子(A)の平均粒子径が1,000nmより大きい場合にはコア−シェル粒子(A)の沈降などを抑制することが困難になり、コロイド結晶を形成しにくくなる。
コア−シェル粒子(A)を製造する際には、様々な公知の方法が採用可能である。重合開始基を含有するコア部から、単量体をグラフト重合する方法が、直鎖状ポリマーに様々な単量体を使用することができる点において好ましい。さらに、高密度な直鎖状ポリマーを形成でき、直鎖状ポリマーの分子量を自由に設計できる点において、リビングラジカル重合開始基を含有するコア部からグラフト重合することが好ましい。例えば、特許文献3に記載の方法にて製造することができる。
<単量体(B)>
単量体(B)は前記式(2)を満たす範囲で適宜選択することができる。さらに、単量体(B)は、前記式(3)で表される単量体(B1)および下記式(4)で表される単量体(B2)の混合物であることが好ましい。単量体(B1)は、前記単量体(S)と同じ前記式(3)で表されるが、前記式(3)で表される(メタ)アクリレート化合物のうち異なる複数の化合物を含んでいても良い。単量体(B2)は下記式(4)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート化合物である。
〔式(4)において、R2は水素原子又はメチル基であり、yは1又は2である〕
単量体(B2)は、前記式(4)で表される(メタ)アクリレート化合物のうち異なる複数の化合物を含んでいても良い。単量体(B2)としては、例えば、9,9−ビス〔4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル〕フルオレンが挙げられる。
単量体(B)は前記式(2)を満たす範囲で適宜選択することができる。さらに、単量体(B)は、前記式(3)で表される単量体(B1)および下記式(4)で表される単量体(B2)の混合物であることが好ましい。単量体(B1)は、前記単量体(S)と同じ前記式(3)で表されるが、前記式(3)で表される(メタ)アクリレート化合物のうち異なる複数の化合物を含んでいても良い。単量体(B2)は下記式(4)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート化合物である。
〔式(4)において、R2は水素原子又はメチル基であり、yは1又は2である〕
単量体(B2)は、前記式(4)で表される(メタ)アクリレート化合物のうち異なる複数の化合物を含んでいても良い。単量体(B2)としては、例えば、9,9−ビス〔4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル〕フルオレンが挙げられる。
さらに、単量体(B2)は式(2)を満たす範囲において、他の高屈折率モノマーも使用することができる。例えば、ビス(4−(メタ)アクリロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィド、及びビス(4−(メタ)アクリロキシエチルチオフェニル)スルフィド)、2,2−ビス〔4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル〕プロパンが挙げられる。これらは単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
さらに、単量体(B)は上記成分の他に、組成物の粘度を調整するためや、プライマー層(P)とコロイド結晶硬化膜(C)の密着性、機械的強度や硬化速度などの改良のために、前述したプライマー層(P)に使用される単官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体や、官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体、多官能(メタ)アクリレート系単量体を、前記式(2)を満たす範囲において適宜添加することができる。単量体(B)100重量部に対して、15重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で配合することにより、性能を改善することができる。15重量部よりも多い場合、コロイド結晶硬化膜の光学特性が低下するため好ましくない。
コロイド結晶用硬化膜中のコア−シェル粒子(A)の含有量は25〜65重量%、好ましくは30〜60重量%、さらに好ましくは32〜50重量%である。ただし、コア−シェル粒子(A)と単量体(B)の合計は100重量%である。25重量%よりも少ない場合は、コア−シェル粒子(A)が相互に隣接する濃度に達しないためコロイド結晶化が起こらない。もしくはコロイド結晶化が起こってもコア−シェル粒子(A)の割合が少ないため、十分な光学特性を発揮することができない。一方、コア−シェル粒子(A)の含有率が65重量%よりも多い場合には、コア−シェル粒子(A)の割合が多すぎるため、コロイド結晶にクラックや歪が生じ、また反射率が低くなるため好ましくない。
単量体(B)が、前記式(3)で表される単量体(B1)および前記式(4)で表される単量体(B2)の混合物である場合、単量体(B)における単量体(B2)の含有量は、5〜70重量%、好ましくは7〜60重量%、さらに好ましくは10〜45重量%である。ただし、単量体(B1)と単量体(B2)の合計は100重量%である。5重量%よりも少ない場合は、耐熱性や耐薬品性が十分でない。70質量%よりも多い場合、硬化収縮が大きくなり、密着性が低下する傾向を有する。
コロイド結晶硬化膜は、例えば特許文献3に記載の方法にて製造することができる。コア−シェル粒子(A)および単量体(B)からなるコロイド結晶用組成物を、基材上で結晶化した後に、単量体(B)を熱もしくは光により硬化することにより作製され、コア−シェル粒子(A)の規則配列が硬化後も維持されているとともに、機械的強度が高められる。コロイド結晶硬化膜において、三次元的なコア−シェル粒子(A)の規則配列が硬化後も維持されているか否かの確認は、反射及び透過スペクトルの測定から反射ピークを確認する方法や、反射ピークが可視光線の範囲であれば、構造性発色として視覚的に確認する方法が挙げられる。コロイド結晶硬化膜の用途により必要な光学特性は異なるが、一例として色材用途を考慮した場合、鮮やかな構造色を視覚的に認識するためには、反射率測定において、反射ピークの反射率が50%以上であることが好ましい。反射ピークの反射率を上げる一つの方法としては、膜厚を厚くし、コロイド結晶の粒子の層数を増やすことが挙げられる。なお、本開示では、組成物を膜状に成形した状態で、組成物中の単量体を重合したものを硬化膜と定義する。したがって、本開示における硬化は、二重結合を二つ有する単量体を含む組成物の架橋構造の形成による硬化のみではなく、二重結合を一つ有する単量体の重合による硬化なども含む。
コロイド結晶硬化膜の膜厚は、硬化後において1〜100μmであることが好ましく、3〜50μmであることがさらに好ましい。膜厚が1μmよりも薄い場合、得られるコロイド結晶硬化膜のピーク反射率が小さくなり、十分な光学特性が得られない。一方、膜厚が100μmよりも厚い場合、クラックや歪が生じやすいためにヘイズ値が高くなる傾向にある。
プライマー層(P)に対するコロイド結晶硬化膜層(C)の密着性を向上させるために、有機溶媒による脱脂処理、超音波洗浄処理、研磨剤を用いた研磨処理、酸性又は塩基性水溶液による化学処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理などの表面処理を行うことができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
[製造例1]
<コア部の製造>
2段階のシード乳化重合により、コア部の合成を行った。1段階目として、冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を装着した容量500mLの四つ口フラスコに、反応性乳化剤としてアクアロンKH−5(第一工業製薬(株)製、0.0315g)及びイオン交換水(330g)を仕込んだ。これに単量体としてエチルメタクリレート(EMA、30.6g)、tert−ブチルアクリレート(t−BA、13.5g)及び架橋性単量体としてエチレングリコールジメタクリレート(EGDM、0.900g)を加え、窒素気流下で攪拌混合し、65℃まで加温した。次いで、重合開始剤として過硫酸カリウム(0.0180g)を上記反応液に添加し、65℃で5時間重合反応を行った後、室温まで冷却した。
[製造例1]
<コア部の製造>
2段階のシード乳化重合により、コア部の合成を行った。1段階目として、冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を装着した容量500mLの四つ口フラスコに、反応性乳化剤としてアクアロンKH−5(第一工業製薬(株)製、0.0315g)及びイオン交換水(330g)を仕込んだ。これに単量体としてエチルメタクリレート(EMA、30.6g)、tert−ブチルアクリレート(t−BA、13.5g)及び架橋性単量体としてエチレングリコールジメタクリレート(EGDM、0.900g)を加え、窒素気流下で攪拌混合し、65℃まで加温した。次いで、重合開始剤として過硫酸カリウム(0.0180g)を上記反応液に添加し、65℃で5時間重合反応を行った後、室温まで冷却した。
次いで2段階目として、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム(0.675g)を反応液に加え、室温、窒素気流下で攪拌混合した。そして、単量体としてEMA(11.3g)、t−BA(13.5g)及び架橋性単量体としてEGDM(18.0g)に、リビングラジカル重合開始基を含む単量体として2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(3’−ビニルフェニル)エタノールと2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(4’−ビニルフェニル)エタノールのm/p体混合物(下記化合物1、m/p比=57/43、2.25g)及び重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN、0.450g)を加え溶解させた。この混合溶液を反応液に徐々に加え、室温で3時間攪拌混合した。その後、反応液を65℃まで加温し、65℃で5時間さらに85℃で2時間重合反応を行った後、室温まで冷却した。続いて、ナイロンメッシュで凝集物を濾別することにより、粒子分散液を得た。遠心分離機で粒子を分離し、水及びメタノールで洗浄した後に減圧乾燥することによりコア部を得た。得られたコア部について、平均粒径及びCV値と、屈折率とを下記に示す方法によって測定した。その結果、平均粒子径は176nm、CV値は12%であり、コア部の屈折率(n(core))は1.48であった。
《平均粒子径(nm)及びCV値(%)》
光散乱光度計ELS−8000〔大塚電子(株)製〕を用い、イオン交換水を分散媒としてコア部の粒子を動的光散乱法により測定し、平均粒子径及びCV値を算出した。
光散乱光度計ELS−8000〔大塚電子(株)製〕を用い、イオン交換水を分散媒としてコア部の粒子を動的光散乱法により測定し、平均粒子径及びCV値を算出した。
《屈折率》
コア部の屈折率(n(core))は、コア部用の単量体と重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とからなる塗液を厚さが100μmになるようにガラス基材上に塗布し、65℃で5時間さらに85℃で2時間の加熱で得られた膜をガラス上から剥離して測定した。測定は、アッベ屈折計〔(株)アタゴ製〕を用いて25℃にて行った。
コア部の屈折率(n(core))は、コア部用の単量体と重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とからなる塗液を厚さが100μmになるようにガラス基材上に塗布し、65℃で5時間さらに85℃で2時間の加熱で得られた膜をガラス上から剥離して測定した。測定は、アッベ屈折計〔(株)アタゴ製〕を用いて25℃にて行った。
[製造例2]
<コア−シェル粒子(A)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を装着した容量500mLの四つ口フラスコに、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、192g)に、単量体(S)として2−フェニルフェノキシエチルアクリレート(BPEA、下記化学式参照、42.0g)、スチレン(St、38.0g)、コア部粒子に結合されていないリビングラジカル重合開始剤として2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−フェニルエタノール(0.400g)を加えて溶解させた。これに製造例1により得られたコア部(80.0g)を加え、ホモジナイザーで30分間混合してコア部を分散させた。得られた分散液を125℃で6時間重合を行った。内容物にTHFを加え、遠心分離器により粒子を分離した。得られた粒子をTHFにより2回洗浄し、減圧乾燥することによりコア−シェル粒子を得た。得られたコア−シェル粒子のグラフト率は30%、平均粒子径は211nm、CV値は18%であり、シェル部の屈折率(n(shell))は1.60であった。なお、コアーシェル粒子の平均粒子径及びCV値の測定は、上記コア部での方法にて、コア部の粒子に替えてコアーシェル粒子を用い、分散媒をテトラヒドロフラン(THF)に変更して行った。また、シェル部の屈折率(n(shell))の測定は、上記コア部での方法にてコア部用の単量体に替えてシェル部用の単量体を用いて行った。
<コア−シェル粒子(A)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を装着した容量500mLの四つ口フラスコに、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、192g)に、単量体(S)として2−フェニルフェノキシエチルアクリレート(BPEA、下記化学式参照、42.0g)、スチレン(St、38.0g)、コア部粒子に結合されていないリビングラジカル重合開始剤として2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−フェニルエタノール(0.400g)を加えて溶解させた。これに製造例1により得られたコア部(80.0g)を加え、ホモジナイザーで30分間混合してコア部を分散させた。得られた分散液を125℃で6時間重合を行った。内容物にTHFを加え、遠心分離器により粒子を分離した。得られた粒子をTHFにより2回洗浄し、減圧乾燥することによりコア−シェル粒子を得た。得られたコア−シェル粒子のグラフト率は30%、平均粒子径は211nm、CV値は18%であり、シェル部の屈折率(n(shell))は1.60であった。なお、コアーシェル粒子の平均粒子径及びCV値の測定は、上記コア部での方法にて、コア部の粒子に替えてコアーシェル粒子を用い、分散媒をテトラヒドロフラン(THF)に変更して行った。また、シェル部の屈折率(n(shell))の測定は、上記コア部での方法にてコア部用の単量体に替えてシェル部用の単量体を用いて行った。
[製造例3−1]
<コロイド結晶用組成物(C1)の製造>
製造例2において得られたコア−シェル粒子(5.00g)、単量体(B1)としてBPEA(5.25g)、単量体(B2)として9,9−ビス〔4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン(FL1A、下記化学式参照、2.25g)、有機溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(DGBA、3.75g)及びプロピレングリコールグリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMA、3.75g)を加え、ホモジナイザーで60分間混合してコア−シェル粒子を分散させた。次いで、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド(イルガキュア819〔BASF社製〕、0.225g)および2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(イルガキュア127〔BASF社製〕、0.150g)、レベリング剤としてBYK−UV3510(〔ビックケミー・ジャパン社製〕、0.0625g)を加えて混合溶解させ、コロイド結晶用組成物(C1)を調製した。
<コロイド結晶用組成物(C1)の製造>
製造例2において得られたコア−シェル粒子(5.00g)、単量体(B1)としてBPEA(5.25g)、単量体(B2)として9,9−ビス〔4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン(FL1A、下記化学式参照、2.25g)、有機溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(DGBA、3.75g)及びプロピレングリコールグリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMA、3.75g)を加え、ホモジナイザーで60分間混合してコア−シェル粒子を分散させた。次いで、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド(イルガキュア819〔BASF社製〕、0.225g)および2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(イルガキュア127〔BASF社製〕、0.150g)、レベリング剤としてBYK−UV3510(〔ビックケミー・ジャパン社製〕、0.0625g)を加えて混合溶解させ、コロイド結晶用組成物(C1)を調製した。
[製造例3−2]
<コロイド結晶用組成物(C2)の製造>
単量体(B1)としてBPEA(6.75g)、単量体(B2)としてFL1A(0.75g)を用いた以外は製造例3−1と同様にして、コロイド結晶組成物(C2)を調製した。
<コロイド結晶用組成物(C2)の製造>
単量体(B1)としてBPEA(6.75g)、単量体(B2)としてFL1A(0.75g)を用いた以外は製造例3−1と同様にして、コロイド結晶組成物(C2)を調製した。
[製造例3−3]
<コロイド結晶用組成物(C3)の製造>
単量体(B1)として2−フェニルフェニルアクリレート(BPA、下記化学式参照、4.12g)、単量体(B2)として9,9−ビス〔4−(2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル〕フルオレン(FL2A、下記化学式参照、3.38g)を用いた以外は製造例3−1と同様にして、コロイド結晶組成物(C2)を調製した。
<コロイド結晶用組成物(C3)の製造>
単量体(B1)として2−フェニルフェニルアクリレート(BPA、下記化学式参照、4.12g)、単量体(B2)として9,9−ビス〔4−(2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル〕フルオレン(FL2A、下記化学式参照、3.38g)を用いた以外は製造例3−1と同様にして、コロイド結晶組成物(C2)を調製した。
[製造例4−1]
<プライマー組成物(P1)の製造>
エポキシアクリレートとしてEBECRYL−600(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:500、官能基数:2、6.00g)、有機溶剤としてイソプロピルアルコール(6.00g)を加え、次いで、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド(イルガキュア819〔BASF社製〕、0.120g)、レベリング剤としてBYK−355(〔ビックケミー・ジャパン社製〕、0.0300g)を加えて溶解させ、プライマー組成物(P1)を調製した。
<プライマー組成物(P1)の製造>
エポキシアクリレートとしてEBECRYL−600(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:500、官能基数:2、6.00g)、有機溶剤としてイソプロピルアルコール(6.00g)を加え、次いで、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド(イルガキュア819〔BASF社製〕、0.120g)、レベリング剤としてBYK−355(〔ビックケミー・ジャパン社製〕、0.0300g)を加えて溶解させ、プライマー組成物(P1)を調製した。
[製造例4−2]
<プライマー組成物(P2)の製造>
エポキシアクリレートとしてEBECRYL−3701(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:850、官能基数:2、6.00g)、有機溶剤としてイソプロピルアルコール(4.20g)および酢酸n−プロピル(1.80g)を用いた以外は製造例4−1と同様にして、プライマー組成物(P2)を調製した。
<プライマー組成物(P2)の製造>
エポキシアクリレートとしてEBECRYL−3701(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:850、官能基数:2、6.00g)、有機溶剤としてイソプロピルアルコール(4.20g)および酢酸n−プロピル(1.80g)を用いた以外は製造例4−1と同様にして、プライマー組成物(P2)を調製した。
[製造例4−3]
<プライマー組成物(P3)の製造>
エポキシアクリレートとしてEBECRYL−3703(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:850、官能基数:2、6.00g)を用いた以外は製造例4−2と同様にして、プライマー組成物(P3)を調製した。
<プライマー組成物(P3)の製造>
エポキシアクリレートとしてEBECRYL−3703(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:850、官能基数:2、6.00g)を用いた以外は製造例4−2と同様にして、プライマー組成物(P3)を調製した。
[製造例4−4]
<プライマー組成物(P4)の製造>
エポキシアクリレートの代わりに、ウレタンアクリレートとしてEBECRYL−220(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:1000、官能基数:6、6.00g)を用いた以外は製造例4−1と同様にして、プライマー組成物(P4)を調製した。
<プライマー組成物(P4)の製造>
エポキシアクリレートの代わりに、ウレタンアクリレートとしてEBECRYL−220(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:1000、官能基数:6、6.00g)を用いた以外は製造例4−1と同様にして、プライマー組成物(P4)を調製した。
[製造例4−5]
<プライマー組成物(P5)の製造>
エポキシアクリレートの代わりに、ウレタンアクリレートとして紫光UV1700B(〔日本合成化学工業(株)製〕、分子量:2000、官能基数:10、6.00g)を用いた以外は製造例4−2と同様にして、プライマー組成物(P5)を調製した。
<プライマー組成物(P5)の製造>
エポキシアクリレートの代わりに、ウレタンアクリレートとして紫光UV1700B(〔日本合成化学工業(株)製〕、分子量:2000、官能基数:10、6.00g)を用いた以外は製造例4−2と同様にして、プライマー組成物(P5)を調製した。
[製造例4−6]
<プライマー組成物(P6)の製造>
エポキシアクリレートの代わりに、ウレタンアクリレートとして紫光UV7630B(〔日本合成化学工業(株)製〕、分子量:2200、官能基数:6、6.00g)を用いた以外は製造例4−2と同様にして、プライマー組成物(P6)を調製した。
<プライマー組成物(P6)の製造>
エポキシアクリレートの代わりに、ウレタンアクリレートとして紫光UV7630B(〔日本合成化学工業(株)製〕、分子量:2200、官能基数:6、6.00g)を用いた以外は製造例4−2と同様にして、プライマー組成物(P6)を調製した。
[比較製造例1−1]
<プライマー組成物(P7)の製造>
エポキシアクリレートとしてEBECRYL−3708(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:1500、官能基数:2、6.00g)を用いた以外は製造例4−2と同様にして、プライマー組成物(P7)を調製した。
<プライマー組成物(P7)の製造>
エポキシアクリレートとしてEBECRYL−3708(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:1500、官能基数:2、6.00g)を用いた以外は製造例4−2と同様にして、プライマー組成物(P7)を調製した。
[比較製造例1−2]
<プライマー組成物(P8)の製造>
エポキシアクリレートの代わりに、ウレタンアクリレートとしてEBECRYL−8701(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:2000、官能基数:3、6.00g)を用いた以外は製造例4−2と同様にして、プライマー組成物(P8)を調製した。
<プライマー組成物(P8)の製造>
エポキシアクリレートの代わりに、ウレタンアクリレートとしてEBECRYL−8701(〔ダイセル・サイテック(株)製〕、分子量:2000、官能基数:3、6.00g)を用いた以外は製造例4−2と同様にして、プライマー組成物(P8)を調製した。
[比較製造例1−3]
<プライマー組成物(P9)の製造>
エポキシアクリレートの代わりに、多官能アクリレート系単量体としてジペンタエリスルトールヘキサアクリレート(DPHA、分子量:579、官能基数:6、6.00g)を用いた以外は製造例4−1と同様にして、プライマー組成物(P9)を調製した。
<プライマー組成物(P9)の製造>
エポキシアクリレートの代わりに、多官能アクリレート系単量体としてジペンタエリスルトールヘキサアクリレート(DPHA、分子量:579、官能基数:6、6.00g)を用いた以外は製造例4−1と同様にして、プライマー組成物(P9)を調製した。
[実施例1−1]
<光学積層体の作製>
樹脂基材である厚さ1mmで50mmx50mmのポリカーボネートシート(PC、型番PS600〔タキロン(株)製〕)に、製造例4−1で調製したプライマー組成物(P1)をバーコーター(#5)により塗布した後に、送風定温恒温機(DNF600〔ヤマト科学(株)製〕)内に静置し、80℃で3分間かけて有機溶剤を揮発させた。次いで、高圧水銀ランプ(紫外線照射装置トスキュア401〔ハリソン東芝ライティング(株)製〕)を用い、積算光量が500mJ/cm2になるように紫外線を照射することにより硬化させ、プライマー層を得た。得られたプライマー層について、膜厚測定システム(F20−EXR〔フィルメトリクス(株)製〕)で膜厚を測定した結果、4μmであり、下記方法で反りを観察した結果、反りは観察されなかった。
<光学積層体の作製>
樹脂基材である厚さ1mmで50mmx50mmのポリカーボネートシート(PC、型番PS600〔タキロン(株)製〕)に、製造例4−1で調製したプライマー組成物(P1)をバーコーター(#5)により塗布した後に、送風定温恒温機(DNF600〔ヤマト科学(株)製〕)内に静置し、80℃で3分間かけて有機溶剤を揮発させた。次いで、高圧水銀ランプ(紫外線照射装置トスキュア401〔ハリソン東芝ライティング(株)製〕)を用い、積算光量が500mJ/cm2になるように紫外線を照射することにより硬化させ、プライマー層を得た。得られたプライマー層について、膜厚測定システム(F20−EXR〔フィルメトリクス(株)製〕)で膜厚を測定した結果、4μmであり、下記方法で反りを観察した結果、反りは観察されなかった。
《反り》
樹脂基材の四隅の反り高さを観察し、反りが1mm未満であった場合を○、1mm以上の反りが観察された場合を×とした。
樹脂基材の四隅の反り高さを観察し、反りが1mm未満であった場合を○、1mm以上の反りが観察された場合を×とした。
得られたプライマー層に、製造例3−1で調製したコロイド結晶用組成物(C1)をバーコーター(#26)により塗布した後に、送風定温恒温機(DNF600〔ヤマト科学(株)製〕)内に静置し、90℃で25分間かけて有機溶剤を揮発させることにより、コア−シェル粒子を結晶化させた。次いで、このコロイド結晶に、高圧水銀ランプ(紫外線照射装置トスキュア401〔ハリソン東芝ライティング(株)製〕)を用い、積算光量が1000mJ/cm2になるように紫外線を照射することにより単量体(B1)および単量体(B2)を硬化させ、コロイド結晶硬化膜を得た。得られたコロイド結晶硬化膜について、膜厚測定システム(F20−EXR〔フィルメトリクス(株)製〕)でコロイド結晶硬化膜の膜厚を測定した結果、26μmであった。また、反射波長及び反射率を下記に示す方法によって測定した。その結果、このコロイド結晶硬化膜は、550nmに反射ピークを有し、その反射ピークの反射率は68%であった。単量体(B1)および単量体(B2)の硬化後の屈折率(n(B))は1.61であった。また、外観を観察した結果、クラックは認められなかった。
《反射波長(nm)及び反射率(%)》
積分球装置を取り付けた紫外可視分光光度計V−560〔日本分光(株)製〕を用いて測定を行った。硫酸バリウムを標準反射板として使用した。350〜850nmの範囲でコロイド結晶硬化膜の分光反射スペクトルを測定し、反射ピークの波長(nm)及び反射率(%)を読み取った。
積分球装置を取り付けた紫外可視分光光度計V−560〔日本分光(株)製〕を用いて測定を行った。硫酸バリウムを標準反射板として使用した。350〜850nmの範囲でコロイド結晶硬化膜の分光反射スペクトルを測定し、反射ピークの波長(nm)及び反射率(%)を読み取った。
《屈折率》
単量体(B1)および単量体(B2)の硬化後の屈折率(n(B))は、各単量体と光重合開始剤であるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド(イルガキュア819〔チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製〕)からなる塗液を厚さが100μmになるようにガラス基材上に塗布し、1000mJ/cm2の紫外線照射により硬化した膜を、ガラス上から剥離して測定した。測定は、アッベ屈折計〔(株)アタゴ製〕を用いて25℃にて行った。
単量体(B1)および単量体(B2)の硬化後の屈折率(n(B))は、各単量体と光重合開始剤であるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド(イルガキュア819〔チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製〕)からなる塗液を厚さが100μmになるようにガラス基材上に塗布し、1000mJ/cm2の紫外線照射により硬化した膜を、ガラス上から剥離して測定した。測定は、アッベ屈折計〔(株)アタゴ製〕を用いて25℃にて行った。
《外観》
樹脂基材にクラックが生じなかった場合を○、クラックが生じた場合を×とした。
樹脂基材にクラックが生じなかった場合を○、クラックが生じた場合を×とした。
[実施例1−2〜1−8]
実施例1−1と同様にして、プライマー組成物(P2)〜(P6)、コロイド結晶組成物(C2)〜(C3)を用いて光学多層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
コロイド結晶用組成物(C2)および(C3)の、単量体(B1)および単量体(B2)の硬化後の屈折率(n(B))は、1.61および1.62であった。
実施例1−1と同様にして、プライマー組成物(P2)〜(P6)、コロイド結晶組成物(C2)〜(C3)を用いて光学多層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
コロイド結晶用組成物(C2)および(C3)の、単量体(B1)および単量体(B2)の硬化後の屈折率(n(B))は、1.61および1.62であった。
[実施例2−1〜2−6]
樹脂基材として厚さ1mmで50mmx50mmのポリメタクリル酸メチルシート(PMMA、型番コモグラスP〔(株)クラレ製〕)を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、プライマー組成物(P1)〜(P6)を用いて光学多層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
樹脂基材として厚さ1mmで50mmx50mmのポリメタクリル酸メチルシート(PMMA、型番コモグラスP〔(株)クラレ製〕)を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、プライマー組成物(P1)〜(P6)を用いて光学多層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
[比較例1−1]
プライマー組成物(P1)の塗工を行わなかった以外は、実施例1−1と同様にして光学積層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
プライマー組成物(P1)の塗工を行わなかった以外は、実施例1−1と同様にして光学積層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
[比較例1−2〜1−4]
実施例1−1と同様にして、プライマー組成物(P7)〜(P9)を用いて光学多層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
実施例1−1と同様にして、プライマー組成物(P7)〜(P9)を用いて光学多層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
[比較例2−1]
プライマー組成物(P1)の塗工を行わなかった以外は、実施例2−1と同様にして光学積層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
プライマー組成物(P1)の塗工を行わなかった以外は、実施例2−1と同様にして光学積層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
[比較例2−2〜2−4]
実施例2−1と同様にして、プライマー組成物(P7)〜(P9)を用いて光学多層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
※1:分光反射スペクトルの測定において、反射ピークが見られなかった。
※2:樹脂基材に反りが生じたため、コロイド結晶硬化膜層(C)の作製を実施しなかった。
実施例2−1と同様にして、プライマー組成物(P7)〜(P9)を用いて光学多層体の作製を行った。この結果を表1に示す。
※1:分光反射スペクトルの測定において、反射ピークが見られなかった。
※2:樹脂基材に反りが生じたため、コロイド結晶硬化膜層(C)の作製を実施しなかった。
実施例1−1〜1−8および実施例2−1〜2−6の結果において、プライマー(P)を樹脂基材に塗工することにより、樹脂基材にコロイド結晶硬化膜層(C)を塗工することができ、反射ピークの反射率が50%以上であり、構造性発色の色彩効果を目視で十分に確認することができた。比較例1−1および2−1の結果において、プライマー層が無い場合、コロイド結晶硬化膜層(C)の塗工において、樹脂基材にクラックが生じ、コロイド結晶硬化膜層(C)の反射ピークは形成されず、構造性発色は全く見られなかった。比較例1−2、1−3、2−2、2−3の結果において、アクリル当量が500よりも大きなエポキシアクリレートもしくはウレタンアクリレートをプライマー層に用いた場合、コロイド結晶硬化膜層(C)の塗工に対して耐溶剤性の確保が十分ではなく、反射ピークの反射率が小さくなり、構造性発色の色彩効果も十分ではなかった。比較例1−4および2−4の結果において、アクリル当量が120よりも小さな多官能アクリレート単量体をプライマー層に用いた場合、プライマー層(P)の硬化時の硬化収縮により樹脂基材に反りが生じ、コロイド結晶硬化膜層(C)の塗工を行うことができなかった。
本開示の光学多層体は、樹脂基材上にコロイド結晶硬化膜を機能層として有し、特定波長域の光を、高い反射率で反射することから光学特性に優れる。このため、光学フィルターなど光機能性材料に有用である。さらに、コロイド結晶硬化膜に用いられるコア−シェル粒子の粒径に応じて紫外光から可視光、赤外光に対して反射ピークを有する硬化膜を作製することができ、各種光学素子に有用である。また、構造性発色の特異な色彩効果から、高意匠性の塗料やインキなどの色材用途に有用である。
Claims (3)
- 樹脂基材上に、プライマー層(P)、次いでコロイド結晶硬化膜層(C)を順次積層した光学積層体において、
前記コロイド結晶硬化膜層(C)は、コア部及びシェル部を有するコア−シェル粒子(A)と単量体(B)とを硬化して得られた硬化膜層であって、
前記コア−シェル粒子(A)は硬化膜層内で規則的に周期配列しており、
前記コア部の平均粒子径は50〜900nmであり、
前記コア部の屈折率(n(core))は下記式(1)及び式(2)を満たし、
n(shell)−n(core)≧0.07・・・(1)
〔式中、n(shell)は前記シェル部の屈折率を示す〕
n(B)−n(core)≧0.07・・・(2)
〔式中、n(B)は前記単量体(B)の硬化後の屈折率を示す〕
前記シェル部は、一端が前記コア部に共有結合された直鎖状ポリマーであり、
前記プライマー層(P)は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有しており且つアクリル当量が120から500であるエポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートの硬化物であることを特徴とする光学積層体。 - 前記樹脂基材が、ポリカーボネート又はポリメタクリル酸メチルで形成されている請求項1から2に記載の光学積層体。
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