JP2022094772A - 積層体、及び波長カットフィルター - Google Patents

積層体、及び波長カットフィルター Download PDF

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Abstract

【課題】発色性、基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性に優れ、且つ耐光性、及び耐候性に優れるコロイド結晶層を有する積層体の提供。【解決手段】上記課題は、少なくとも基材層、プライマー層、及び樹脂微粒子を含むコロイド結晶層をこの順に有し、前記積層体は、さらに、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層を有していてもよく、前記コロイド結晶層が、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/m2の範囲で含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/m2の範囲で含み、前記プライマー層、前記第1の樹脂層、前記第2の樹脂層、及び前記粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層が、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/m2の範囲で含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/m2の範囲で含む積層体によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、コロイド結晶層を有する積層体、及び該積層体を使用した波長カットフィルターに関し、詳細には、発色性、基材追従性、耐摩擦性、耐圧痕性、耐光性、及び耐候性に優れるコロイド結晶層を有する積層体、及び該積層体を使用した波長カットフィルターに関する。
フォトニック結晶は、屈折率が異なる物質を光の波長と同程度の間隔で並べたナノ周期構造体である。フォトニック結晶内では、屈折率が周期的に変化し、ブラッグ反射として知られる特定波長の光の反射や、フォトニックバンドギャップを利用した光閉じ込め、高い分波作用等、様々な興味深い光学特性を発現するため、現在、活発に研究が行われている。フォトニック結晶の一種であるコロイド結晶は、サブミクロンオーダーの高分子ラテックス粒子やシリカ粒子が規則的に配列した構造を有し、比較的簡便に作製できるフォトニック結晶であるが、粒子の規則配列の形成とその固定化が困難であり、大量生産されるまでには至っていない。また、発色性と耐光性、耐候性を兼ね備えるコロイド結晶は開発されていない。
例えば、特許文献1及び2には、基材上に形成したプライマー層上に、コロイド結晶層を結着、固定化させたコロイド結晶の塗膜が開示されている。
特開2006-116781号公報 特開2008-246846号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のコロイド結晶は、耐光性を付与するような骨格を有していないため、紫外光に曝されることで容易に粒子形状が崩壊し、発色が損なわれるという課題がある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、発色性、基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性に優れ、且つ耐光性、及び耐候性に優れるコロイド結晶層を有する積層体、並びに該積層体を使用した波長カットフィルターを提供することにある。
本発明の一態様に係る積層体は、少なくとも基材層、プライマー層、及び樹脂微粒子を含むコロイド結晶層をこの順に有する積層体であって、前記積層体は、さらに、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層を有していてもよく、前記コロイド結晶層が、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/mの範囲で含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/mの範囲で含み、前記プライマー層、前記第1の樹脂層、前記第2の樹脂層、及び前記粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層が、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/mの範囲で含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/mの範囲で含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記紫外線吸収剤が、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記光安定剤が、ヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記紫外線吸収剤由来の構成単位が、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構成単位であることを特徴とする。
一般式(1):エチレン性不飽和単量体(a1)
Figure 2022094772000001

[一般式(1)中、Xは、水素原子又はアルキル基を表す。]
本発明の一態様に係る積層体は、前記光安定剤由来の構成単位が、下記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)由来の構成単位であることを特徴とする。
一般式(2):エチレン性不飽和単量体(a2)
Figure 2022094772000002

[一般式(2)中、Y及びZは、各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。]
本発明の一態様に係る積層体は、前記樹脂微粒子が、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)、及び一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構成単位を含むことを特徴とする。
一般式(1):エチレン性不飽和単量体(a1)
Figure 2022094772000003

[一般式(1)中、Xは、水素原子又はアルキル基を表す。]
一般式(2):エチレン性不飽和単量体(a2)
Figure 2022094772000004

[一般式(2)中、Y及びZは、各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。]
本発明の一態様に係る積層体は、前記プライマー層を形成する樹脂が-40℃~50℃にガラス転移点を有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記樹脂微粒子の平均粒子径が150~350nmであることを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記樹脂微粒子がコアシェル型樹脂微粒子であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記コアシェル型樹脂微粒子において、コアのガラス転移点が60℃以上であり、シェルのガラス転移点が-50~40℃であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記コロイド結晶層上に、第1の樹脂層を有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記第1の樹脂層上に、第2の樹脂層を有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、さらに粘着層を有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記コロイド結晶層が空隙を有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る波長カットフィルターは、上述の積層体を用いてなることを特徴とする。
本発明により、発色性、基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性に優れ、且つ耐光性、及び耐候性に優れるコロイド結晶層を有する積層体、並びに該積層体を使用した波長カットフィルターを提供することができる。
<積層体>
本発明の積層体は、少なくとも基材層、プライマー層、及び樹脂微粒子を含むコロイド結晶層をこの順に有し、該積層体は、さらに、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層を有していてもよく、コロイド結晶層が、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/mの範囲で含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/mの範囲で含み、プライマー層、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層が、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/mの範囲で含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/mの範囲で含むことを特徴とする。
コロイド結晶層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を所定範囲量含有することで、コロイド結晶層に到達した太陽光の紫外線から樹脂微粒子を保護することができ、太陽光による樹脂微粒子の形状変化、コロイド結晶層とプライマー層との密着性悪化、及びコロイド結晶層と後述する樹脂層との密着性悪化、等を抑制することができる。コロイド結晶層は、紫外線吸収剤由来の構成単位、又は光安定剤由来の構成単位のいずれか一方を所定範囲量含んでいればよく、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を共に含んでいてもよい。
また、プライマー層、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層が、所定範囲量の紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を含有することで、コロイド結晶層に到達する太陽光の紫外線量を著しく低減させることができる。
プライマー層、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び粘着層は、少なくとも1層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、又は光安定剤由来の構成単位のいずれか一方を所定範囲量含んでいればよく、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を共に含んでいてもよい。また、プライマー層、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び粘着層の内、複数の層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、又は光安定剤由来の構成単位を含んでいてもよい。
本願発明の積層体は、コロイド結晶層と、プライマー層、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層と、が共に、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を所定範囲量含むことで、耐光性試験、又は耐候性試験後においても、優れた発色性、及び基材追従性を発現する。
以下に本発明を構成する各層について詳細に説明する。
[コロイド結晶層]
本発明の積層体は、樹脂微粒子を含むコロイド結晶層を有し、該コロイド結晶層は規則的に配列した構造を有するためブラッグ反射由来の構造色を発現し発色機能を担う。本発明におけるコロイド結晶層は、所定範囲量の紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を含有するため、太陽光の紫外線から保護され、耐光性試験、又は耐候性試験後においても、優れた発色性、及び基材追従性を発現する。
(紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位)
コロイド結晶層は、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/m含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/m含むことが重要である。紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位の含有量がこの範囲内であることにより、太陽光による樹脂微粒子の形状破壊や溶融が抑制され、得られる積層体は、優れた耐光試験後発色性、耐候試験後発色性、及び、耐光試験後基材追従性を発揮する。
本発明におけるコロイド結晶層は、より好ましくは、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~1.0g/m含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~0.5g/m含むものである。
{紫外線吸収剤}
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン系の、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイロキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシロキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5,-トリアジン-2-イル-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(4-ブトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、ベンゾトリアゾール系の、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、ビス[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル]メタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-6-(2-フェニルプロパン-2-イル)-4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノール、2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン系の、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。
紫外線吸収剤は、紫外線の吸収効率と光に対する安定性の観点から、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ここで、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤は、トリアジン環に直接結合するフェニル基のオルト位にヒドロキシ基が置換された構造を有する化合物であり、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾールの2位に結合するフェニル基のオルト位にヒドロキシ基が置換された構造を有する化合物であり、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、ベンゾフェノンの2位にヒドロキシ基が置換された構造を有する化合物である。
{光安定剤}
前記光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系の1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル、メタクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-2-ブチル-2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジtert-ブチルベンジル)プロパンジオエート、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサン-1,6-ジアミンが挙げられる。
光安定剤は、光に対する安定性の観点から、好ましくはヒンダードアミン系光安定剤(以下、HALS)であり、より好ましくは、一般式(3)で表されるヒンダードアミン構造を有する化合物である。
一般式(3):ヒンダードアミン構造
Figure 2022094772000005
[一般式(3)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、黒点は結合手を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。]
(コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子)
コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子は特に制限されないが、好ましくはエチレン性不飽和単量体の重合体であり、より好ましくはアクリル樹脂であり、更に好ましくはスチレンアクリル樹脂である。コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子がアクリル樹脂である場合、(メタ)アクリル単量体を含むエチレン性不飽和単量体を乳化重合することにより、目的の樹脂を得ることができる。
紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、コロイド結晶層を形成する樹脂微粒子が、アクリル樹脂である場合、下記に示す手順で、樹脂微粒子内部に導入することができる。
まず、反応槽に水性媒体と界面活性剤とを仕込み、昇温する。その後、窒素雰囲気下でエチレン性不飽和単量体と紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤の乳化液を滴下しながら、ラジカル重合開始剤を添加する。反応開始後、滴下量に従って粒子は徐々に成長して樹脂微粒子が形成され、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤は粒子に内包される。なお、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤がエチレン性不飽和単量体である場合、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位は、樹脂微粒子に直接組み込まれる。
{エチレン性不飽和単量体}
コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子は、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)、及び下記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。
より詳細には、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子は、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)、及び一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むエチレン性不飽和単量体の重合体であることが好ましく、該重合体ユニットを有する複合樹脂であってもよい。
紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位が、樹脂微粒子に組み込まれることにより、コロイド結晶層中において、耐光性骨格が均一に分布するため、積層体の耐光試験後発色性、耐候試験後発色性、及び耐光試験後基材追従性が一層向上する。
一般式(1):エチレン性不飽和単量体(a1)
Figure 2022094772000006
[一般式(1)中、Xは、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。]
一般式(2):エチレン性不飽和単量体(a2)
Figure 2022094772000007
[一般式(2)中、Y及びZは、各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。]
前記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)としては、例えば、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチル(メタ)アクリラートが挙げられる。
前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)としては、例えば、メタクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル、メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルが挙げられる。
{その他エチレン性不飽和単量体}
コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子は、前記単量体(a1)及び(a2)以外の、その他単量体に由来する構成単位を有していてもよい。
上記その他エチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族系エチレン性不飽和単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tーブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、又は、これらのアルキル若しくはアルケニルモノエステル、コハク酸β-(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等のカルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体;2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸アンモニウム、ビニルスルホン酸等のスルホ基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル-N-(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、アリルアルコール等の水酸基含有エチレン性不飽和単量体;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシエチレン基含有エチレン性不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等が挙げられ、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有エチレン性不飽和単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシ(メタ)アクリレート等のケトン基含有エチレン性不飽和単量体;アリル(メタ)アクリレート、1-メチルアリル(メタ)アクリレート、2-メチルアリル(メタ)アクリレート、1-ブテニル(メタ)アクリレート、2-ブテニル(メタ)アクリレート、3-ブテニル(メタ)アクリレート、1,3-メチル-3-ブテニル(メタ)アクリレート、2-クロルアリル(メタ)アクリレート、3-クロルアリル(メタ)アクリレート、o-アリルフェニル(メタ)アクリレート、2-(アリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルラクチル(メタ)アクリレート、シトロネリル(メタ)アクリレート、ゲラニル(メタ)アクリレート、ロジニル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、ビニル(メタ)アクリレート、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル,リノレン酸ビニル、2-(2’-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等の2個以上のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和単量体;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3-アクリロキシメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有エチレン性不飽和単量体;N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アルキルエーテル化N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有エチレン性不飽和単量体;が挙げられる。
これらの単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
{反応性基}
また、エチレン性不飽和単量体は、コロイド結晶層内の架橋形成、コロイド結晶層とプライマー層との間の架橋形成、コロイド結晶層と後述する第1の樹脂層との架橋形成を目的として、反応性基を有していてもよい。コロイド結晶層内に架橋を形成することで、積層体の基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性が良好となる。また、コロイド結晶層とプライマー層との間の架橋形成やコロイド結晶層と第1の樹脂層との架橋形成により、コロイド結晶層とプライマー層、又は第1の樹脂層との結着がより強化され、積層体の基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性が向上する。
このような、コロイド結晶層内の架橋、コロイド結晶層とプライマー層との間の架橋、及びコロイド結晶層と後述する第1の樹脂層との間の架橋は、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の反応性基同士を反応させる方法、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子とプライマー層を形成する樹脂の反応性基同士を反応させる方法、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子と第1の樹脂層を形成する樹脂の反応性基同士を反応させる方法、多官能の架橋剤を介してコロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の反応性基同士を反応させる方法、多官能の架橋剤を介してコロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の反応性基とプライマー層を形成する樹脂の反応性基とを反応させる方法、多官能の架橋剤を介してコロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の反応性基と第1の樹脂層を形成する樹脂の反応性基とを反応させる方法、により導入することができる。
エチレン性不飽和単量体が有していてもよい反応性基としては、エポキシ基、カルボキシ基、水酸基、ケトン基、ヒドラジド基等が挙げられ、より好ましくはケトン基である。特に、反応性基がケトン基であり、架橋剤がヒドラジド架橋剤である場合、ケトン・ヒドラジド架橋を形成することができる。ケトン・ヒドラジド架橋は、コロイド結晶の諸物性に悪影響を及ぼさず、水の揮発により低温且つ短時間で架橋を形成できる点から好適に用いられ、加熱によりダメージを受けやすいフィルム基材を用いる場合に有効である。
また、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の作製に、親水性が高いケトン基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合組成に用いると、ケトン基は樹脂微粒子の外側、すなわち水媒体との界面付近に導入され、ヒドラジド架橋剤と効率的に架橋を形成できると考えられる。
コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子がケトン基を含む場合、ケトン基の好ましい含有量は、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の質量を基準として、0.05~0.3mmol/gの範囲である。0.05~0.3mmol/gの範囲で導入することにより、コロイド結晶層内及びコロイド結晶層とプライマー層との結着に優れるため、積層体の基材追従性、耐摩擦性、耐圧痕性が向上する。
{ラジカル重合開始剤}
コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の製造に用いられるラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ(2-エチルヘキサノエート)、tert-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス-シクロヘキサン-1-カルボニトリル等のアゾビス化合物;が挙げられる。
乳化重合においては、水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、水溶性重合開始剤としては例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)、過酸化水素、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドのような従来既知のものを好適に使用することができる。
{界面活性剤}
エチレン性不飽和単量体を乳化重合する場合、界面活性剤を用いることで、水性樹脂の安定性や単分散性を向上させることができる。界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性のものが挙げられ、好ましくはアニオン性界面活性剤である。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
{その他成分}
エチレン性不飽和単量体の重合体の製造では、必要に応じて還元剤、緩衝材、連鎖移動剤、中和剤を使用することができる。
(コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の性状)
コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の平均粒子径は、好ましくは150~350nmである。平均粒子径がこの範囲にあると、積層体の可視光領域での発色がより明瞭になるため好ましい。
平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子製「JSM-7800F」)を用いて、拡大倍率15000倍で観察したコロイド結晶層の断面画像を、画像処理ソフト(三谷商事株式会社製「Winroof」)に導入して球状構造の抽出を行い、各粒子の円相当径の平均値として測定することができる。
また、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子における円相当径の変動係数(CV値)は、好ましくは10%以下である。変動係数がこの範囲にあると、積層体の発色が一層優れる。
円相当径の変動係数は、上記平均粒子径の測定方法により求められた円相当径の値を用いて、下記式により計算することができる。
式: 円相当径の変動係数(%)=(σn/Dn)×100
σ:円相当径の標準偏差
D:円相当径の平均値
なお、ここで円相当径とは、粒子として認識した図形面積に相当する、真円の直径であり、標準偏差と円相当径の平均値の単位は同一である。
コロイド結晶を構成する樹脂微粒子は、コア及びシェルが水に不溶なポリマーであり、互いに相溶しないコア(内層)とシェル(外層)の構造を含むコアシェル型構造であることが好ましい。コアは球状形状の維持として機能し、シェルは流動性を有して結着部位として機能する。コアシェル型樹脂微粒子を含む組成物(以下、コロイド結晶層用組成物ともいう)を基材に塗布し、コアシェル型樹脂微粒子が移流集積して規則的に配列しコロイド結晶層を形成することで、隣接したコアシェル型樹脂微粒子のシェル同士、コアシェル型樹脂微粒子のシェルとプライマー層とが、容易に結着し、積層体は、優れた基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性を発揮する。
コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子がコアシェル型樹脂微粒子である場合、コアシェル型樹脂微粒子のコアのガラス転移点は、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは60℃~250℃の範囲である。ガラス転移点が上記の範囲であることにより、熱によりコアが過剰に融着することを防ぎ、粒子と粒子間隙の屈折率差が維持される。したがって、積層体の発色性が良好となる。
コアシェル型樹脂微粒子のシェルのガラス転移点は、好ましくは-50~40℃の範囲である。シェルのガラス転移点が-50℃以上であると、塗膜乾燥時の熱によりシェルが過剰に流動することを防ぎ、粒子間隙がシェルで埋まりにくくなる。したがって、コロイド結晶層に空隙が十分に存在し粒子と粒子間隙の屈折率差が大きくなるため、積層体の発色性が良好になる。一方、シェルのガラス転移点が40℃以下であると、シェルの融着が十分に促進され、コアシェル型樹脂微粒子間、コアシェル型樹脂微粒子とプライマー層間の結着がより強固になり、積層体の基材追従性、耐摩擦性及び耐圧痕性が良好となるため好ましい。
本明細書におけるガラス転移点は、DSC(示差走査熱量計)を用いて求めた値である。
コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子がコアシェル型である場合、コアシェル型樹脂微粒子のシェルの含有量は、コアの質量を基準として、好ましくは10~150質量%の範囲である。シェルの含有量が10質量%以上であると、塗膜乾燥時にシェルの融着が十分に進み、コアシェル型樹脂微粒子間、コアシェル型樹脂微粒子とプライマー層間の結着がより強固になり、基材追従性、耐摩擦性及び耐圧痕性に優れる積層体が得られるため好ましい。シェルの含有量が150質量%以下であると、熱や溶剤によりシェルが過剰に融着することを防ぎ、コロイド結晶層の空隙が十分に維持されるため好ましい。コロイド結晶層において粒子間隙に空気が存在すると、粒子とマトリクスの屈折率差が大きくなるため、積層体の発色性が良化する。
(コロイド結晶層の形成)
コロイド結晶層の形成方法は特に制限されないが、例えば、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子と、前述の紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位と、水とを含有するコロイド結晶層用組成物を、基材上に塗布することで形成することができる。また、本発明のコロイド結晶層は空隙を有することが好ましい。コロイド結晶層が空隙を有することで、粒子と粒子間隙の屈折率差が大きくなるため、積層体が優れた発色性を発現する。
コロイド結晶層用組成物は、積層体の諸物性に悪影響を及ぼさない範囲で、塗工性、塗膜耐性、積層体の発色性を向上させる目的で、着色剤、親水性溶剤、ノニオン性界面活性剤、架橋剤等を含有しても良い。
{着色剤}
上記着色剤としては、例えば、染料や顔料を用いることができる。積層体の発色に与える悪影響が少ないため、自己分散型の水性顔料が好ましい。
{親水性溶剤}
コロイド結晶層用組成物が親水性溶剤を含むことで、コロイド結晶層用組成物のレベリング性が向上し、ムラの少ないコロイド結晶層を形成できるため、積層体の基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性が良好となる。
上記親水性溶剤としては、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールのような一価のアルコール溶剤;エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、のようなグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル系溶剤;N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、ε-カプロラクタムのようなラクタム系溶剤;ホルムアミド、N-メチルホルムアミドのようなアミド系溶剤;が挙げられる。
{ノニオン性界面活性剤}
コロイド結晶層用組成物がノニオン性界面活性剤を含むことで、コロイド結晶層用組成物の印刷適性が向上し、ムラの少ないコロイド結晶層が形成されるため、積層体の基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性が良好となる。
ノニオン性界面活性剤のHLB値は10.0~19.0であることが好ましい。このようなHLB値を有するノニオン性界面活性剤を用いることで、コロイド結晶層用組成物の印刷適性が向上し、ムラの少ないコロイド結晶層が形成されるため、積層体の基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性が良化する。
HLB値は、材料の親水・親油性を数値で表したものであり、前記HLB値が小さいほど親油性が高いことを示す。本明細書においてHLB値は、下記式(1)で表されるグリフィン法の計算式よって算出される。
式(1): HLB値=20×(親水性部の式量の総和)÷(材料の分子量)
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製エマルゲン1108、1118S-70、1135S-70、1150S-60、A-60、A-90、A-500、B-66や、第一工業製薬株式会社製ノイゲンLF-60X、LF-80X、LF-100X、LP-70、LP-100、LP-180、EA-87、EA-137、EA-157、EA-167、EA-177、EA-197D、EA-207D、が挙げられる。
{架橋剤}
コロイド結晶層用組成物に添加可能な架橋剤としては特に制限されず、例えば、活性カルボニル基と反応してケト-ヒドラジド架橋を形成するヒドラジド基を2つ以上有するヒドラジド化合物(ポリヒドラジド)、水酸基やアミノ基と反応してウレタン結合やウレア結合を形成するイソシアネート化合物、カルボキシ基やアミノ基等と反応するエポキシ化合物が挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。
より詳細には、樹脂微粒子がカルボキシ基を有する場合は、エポキシ架橋剤を介して架橋を形成することができる。また、例えば、樹脂微粒子が水酸基を有する場合は、ポリイソシアネート架橋剤を介して架橋を形成することができる。また、例えば、樹脂微粒子がケトン基を有する場合、ヒドラジド架橋剤を介して架橋することができる。
架橋剤としては、上述のとおり、ケトン・ヒドラジド架橋を形成するために、ヒドラジド架橋剤を用いることが好ましい。ヒドラジド架橋剤としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、多官能のヒドラジド基が変性された水溶性樹脂が挙げられる。
[プライマー層]
本発明におけるプライマー層は、基材層とコロイド結晶層との間に設けられ、基材層とコロイド結晶層との間の界面剥離を抑制する働きを担う。プライマー層を設けることで、コロイド結晶層との結着性が向上し、積層体の基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性が良化する。
また、プライマー層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を含有する場合、プライマー層を透過してコロイド結晶層に到達する太陽光の紫外線量を著しく低減することができるため、得られる積層体は、耐光試験後発色性、耐候試験後発色性、及び耐光試験後基材追従性に優れる。
(紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位)
プライマー層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を含有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/m含むか、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/m含むことが重要である。紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位の含有量がこの範囲内であると、プライマー層を透過してコロイド結晶層へ到達する太陽光の紫外線量を著しく低減することができ、得られる積層体は、優れた耐光試験後発色性、耐候試験後発色性、及び耐光試験後基材追従性を発揮する。
{紫外線吸収剤}
プライマー層に導入する紫外線吸収剤としては、[コロイド結晶層]における{紫外線吸収剤}の項の記載を援用できる。紫外線吸収剤は、紫外線の吸収効率と光に対する安定性の観点から、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
{光安定剤}
プライマー層に導入する光安定剤としては、[コロイド結晶層]における{光安定剤}の項の記載を援用できる。光安定剤は、光に対する安定性の観点から、好ましくはヒンダードアミン系光安定剤であり、より好ましくは、一般式(3)で表されるヒンダードアミン構造を有する化合物である。
(プライマー層を形成する樹脂)
本発明のプライマー層を形成する樹脂は、特に制限されず、基材やコロイド結晶層の種類に応じて適宜選択できるが、好ましくは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂であり、より好ましくは、アクリル樹脂であり、特に好ましくはスチレンを構成単位に含むアクリル樹脂(以下スチレンアクリル樹脂)である。アクリル樹脂を用いると、基材層やコロイド結晶層への密着性、プライマー層の基材追従性に優れ、積層体の基材追従性、耐摩擦性、耐圧痕性が優れる。
これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
プライマー層を形成する樹脂は、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子と親和性の高い有機溶剤等の含有率が低いことが好ましく、水性樹脂が好適に用いられる。ここで水性樹脂とは、水性媒体中に分散又は溶解し得る樹脂を表す。また水性媒体は、水性の分散媒又は水性の溶媒を表し、水の他に、水と混和し得る分散媒又は溶媒を含む。
プライマー層を形成する樹脂が水性樹脂である場合、乳化重合のように水性媒体中でエチレン性不飽和単量体を重合する方法や、非水系にて重合を行った後、脱溶剤しながら水相に転相する転相乳化法のような任意の方法で調製することができる。中でも工程数が少なく、低粘度で高固形分化が可能である点、より高分子量の樹脂を得られる点から、好ましくは乳化重合法である。
{アクリル樹脂}
プライマー層を形成する樹脂が、アクリル樹脂である場合、(メタ)アクリル単量体を含むエチレン性不飽和単量体の乳化重合により、目的の樹脂を得ることができる。
アクリル樹脂が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、上述の[コロイド結晶層]における(コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子)の記載を援用できる。
{エチレン性不飽和単量体}
上記エチレン性不飽和単量体としては、前記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)及び、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)に加えて、前述の[コロイド結晶層]における{その他エチレン性不飽和単量体}の記載を援用できる。
プライマー層を形成する樹脂は、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)、及び一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むエチレン性不飽和単量体の重合体、又は、該重合体ユニットを有する複合樹脂であることがより好ましい。
紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位が重合体に組み込まれることにより、形成されるプライマー層中に、耐光性骨格が均一に分布するため、得られる積層体は、耐光試験後発色性、耐候試験後発色性、及び耐候試験後基材追従性に優れる。
また、上記エチレン性不飽和単量体は、プライマー層内、及びプライマー層とコロイド結晶層との間に架橋を形成する目的で反応性基を有していてもよい。プライマー層内及びプライマー層とコロイド結晶層との間に架橋を形成することで、積層体の基材追従性、耐摩擦性、耐圧痕性が良好になる。
プライマー層内及びプライマー層とコロイド結晶層との間の架橋は、プライマー層を形成する樹脂の反応性基同士を反応させる方法、プライマー層を形成する樹脂とコロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の反応性基同士を反応させる方法、多官能の架橋剤を介してプライマー層を形成する樹脂の反応性基同士を架橋させる方法、多官能の架橋剤を介してプライマー層を形成する樹脂の反応性基とコロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の反応性基を架橋させる方法、により導入することができる。
エチレン性不飽和単量体が有していてもよい反応性基としては、エポキシ基、カルボキシ基、水酸基、ケトン基、ヒドラジド基等が挙げられ、より好ましくはケトン基である。特に、反応性基がケトン基であり、架橋剤がヒドラジド架橋剤である場合、ケトン・ヒドラジド架橋を形成することができる。ケトン・ヒドラジド架橋は、積層体の諸物性に悪影響を及ぼさず、水等の媒体の揮発により低温且つ短時間で架橋を形成できる点から好適に用いられ、加熱によりダメージを受けやすいフィルム基材を用いる場合に有効である。また、水性アクリル樹脂が、水性媒体中に分散可能な樹脂微粒子である場合、親水性が高いケトン基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合組成に用いると、ケトン基は樹脂微粒子の外側、すなわち水媒体との界面付近に導入され、ヒドラジド架橋剤と効率的に架橋を形成できると考えられる。
{ラジカル重合開始剤、界面活性剤、その他成分}
アクリル樹脂の製造に用いられるラジカル重合開始剤、界面活性剤、その他成分としては、前述の[コロイド結晶層]における{ラジカル重合開始剤}{界面活性剤}、{その他成分}の記載を援用でき、適宜選択して用いることができる。
{ウレタン樹脂}
プライマー層を形成する樹脂が水性ウレタン樹脂である場合、水性ウレタン樹脂としては特に制限されず、例えば、非水系にて任意のポリオールとポリイソシアネートとを重付加反応させ、得られたウレタン樹脂を、界面活性剤を用いて水中に分散させる方法、又は、ウレタン樹脂中にカルボキシ基等の親水基を導入して自己乳化させる方法、により得ることができる。
水性ウレタン樹脂は、末端イソシアナト基にジアミンやジヒドラジド化合物を反応させて、末端に官能基を導入してもよく、鎖延長により高分子量化を行ってもよい。また、水性ウレタン樹脂は、反応性基を介してアクリル樹脂骨格やオレフィン樹脂骨格をグラフトする等、異なる樹脂と複合化してもよい。
ウレタン樹脂が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、下記に示す手順で、ウレタン樹脂内部に導入することができる。
まず、非水系にて任意のポリオールとポリイソシアネートとを重付加反応させ、ウレタン樹脂を得る。その後、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤を添加した後、脱溶剤しながら水を添加し、界面活性剤を用いて水中に分散させる方法、又は、ウレタン樹脂中にカルボキシ基等の親水基を導入して自己乳化させる方法、によりウレタン樹脂微粒子が形成され、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤は粒子に内包される。なお、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤がエチレン性不飽和単量体である場合、ウレタン樹脂が有する反応性基を介して、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を、ウレタン樹脂に組み込むことができる。
紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤であるエチレン性不飽和単量体としては、前述の一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)、一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)が好適に用いられる。
ウレタン樹脂を構成するポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA等の二官能ポリオールや、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三官能ポリオールと、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の二塩基酸を反応させてなるポリエステルポリオール;前述の二官能ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネートとを反応させてなるポリカーボネートポリオール;水酸基含有ポリブタジエン、酸基含有水添ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有水添ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン、水酸基含有塩素化ポリエチレン等のポリオレフィンポリオール;植物由来の油を原料としたひまし油ポリオール;が挙げられる。
ウレタン樹脂を構成するポリイソシアネートといえば、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;が挙げられる。
ウレタン樹脂合成において、ウレタン結合濃度調節や各種官能基導入を目的として、低分子ジオールを併用してもよい。低分子ジオールとしては分子量500以下のジオールが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールペンタン酸等のジメチロールアルカン酸や、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
末端変性や鎖延長反応に使用できる化合物としては、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン及びその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン等のジアミン類、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類が挙げられる。
水性ウレタン樹脂の市販品としては、例えば、第一工業製薬製スーパーフレックスシリーズ(例えばSF-170、SF-210等)、三洋化成社製ユーコート、パーマリンシリーズ(例えば、UX-310、UX-3945等)、荒川化学製ユリアーノシリーズ(例えばW-600やW-321等)、ADEKA製アデカポンタイターシリーズ(例えばHUX-420A、HUX-386等)、宇部興産製UWシリーズ(例えば、UW-5002、UW-5020等)、大成ファインケミカル社製アクリットシリーズ(例えば、WBR2000U、WBR2101、WEM-200U等)が挙げられる。
{オレフィン樹脂}
プライマー層を形成する樹脂が水性ポリオレフィン樹脂である場合、該水性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、及びエチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体のようなベース樹脂を、マレイン酸等で変性した酸変性ポリオレフィンを用いることができる。ポリオレフィン樹脂は、アクリル樹脂骨格をグラフトする等、異なる樹脂と複合化してもよい。
上記水性ポリオレフィン樹脂は、界面活性剤により水中に分散させる方法、又は、ポリオレフィン樹脂中に親水基を導入して自己乳化させる方法、により水分散体を得ることができる。
オレフィン樹脂が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、下記に示す手順で、オレフィン樹脂内部に導入することができる。
まず、非水系にてポリオレフィン樹脂と、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤を混合した後、脱溶剤しながら水を添加し、界面活性剤を用いて水中に分散させる方法、又は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシ基等の親水基を利用して自己乳化させる方法、によりオレフィン樹脂微粒子が形成され、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤は粒子に内包される。なお、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤がエチレン性不飽和単量体である場合、オレフィン樹脂の反応性基を介して、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位を、オレフィン樹脂に組み込むことができる。
水性ポリオレフィン樹脂の市販品としては、例えば、日本製紙社製スーパークロンシリーズやアウローレンシリーズ(例えば、E-480T、AE-301等)、ユニチカ製アローベースシリーズ(例えばSB-1230N、SB-1200等)、三菱化学製アプトロックシリーズ(例えば、BW-5550等)が挙げられる。
{ポリエステル樹脂}
プライマー層を形成する樹脂が水性ポリエステル樹脂である場合、水性ポリエステル樹脂としては特に制限されず、例えば、水性ポリエステル樹脂は、二官能又は三官能ポリオールと二塩基酸とを反応させて得ることができる。二官能又は三官能ポリオール、及び二塩基酸としては、上述の{ウレタン樹脂}の項の記載を援用できる。
水性ポリエステル樹脂は、界面活性剤により水中に分散させる方法、又は、ポリエステル樹脂中に親水基を導入して自己乳化させる方法により、水分散体を得ることができる。
ポリエステル樹脂が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、下記に示す手順で、ポリエステル樹脂内部に導入することができる。
まず、非水系にてポリエステル樹脂と、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤を混合した後、脱溶剤しながらイオン交換水を添加し、界面活性剤を用いて水中に分散させる方法、又は、ポリエステル樹脂中のカルボキシ基等の親水基を利用して自己乳化させる方法、によりポリエステル樹脂微粒子が形成され、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤は粒子に内包される。なお、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤がエチレン性不飽和単量体骨格である場合、ポリエステル樹脂の反応性基を介して、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位を、ポリエステル樹脂に組み込むことができる。
水性ポリエステル樹脂の市販品としては、例えば、互応化学製プラスコートシリーズ(例えば、Z-730、Z-760等)が挙げられる。
(プライマー層を形成する樹脂の性状)
プライマー層を形成する樹脂は、-40℃~50℃の範囲にガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。より好ましくは-30~30℃の範囲である。プライマー層を形成する樹脂がこの範囲にガラス転移点を有すると、プライマー層の樹脂成分が過剰に流動してコロイド結晶層の空隙部へ侵入することを防ぎ、且つ、より平滑なプライマー層を形成するため、積層体の発色が優れる。また、コロイド結晶層との結着性にも優れるため、積層体の基材追従性、耐摩擦性及び耐圧痕性が向上する。
(プライマー層の形成)
プライマー層の形成方法は特に制限されないが、例えば、プライマー層を形成する樹脂と、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位と、水と、を含有するプライマー層用組成物を、基材上に塗布し、必要に応じて乾燥することで形成することができる。プライマー層用組成物は、積層体の諸物性に悪影響を及ぼさない範囲で、塗工性、塗膜耐性を向上させる目的で、親水性溶剤、ノニオン性界面活性剤、架橋剤等を含有してもよい。
{親水性溶剤}
プライマー層を形成する樹脂の媒体が水である場合、プライマー層用組成物が親水性溶剤を含むことで、ムラが少なく均質なプライマー層を得ることができ、積層体の発色が良好となる。プライマー層用組成物に添加可能な親水性溶剤としては、上述の[コロイド結晶層]における{親水性溶剤}の記載を援用できる。
{ノニオン性界面活性剤}
プライマー層用組成物の媒体が水である場合、プライマー層用組成物がノニオン性界面活性剤を含むことで、プライマー層用組成物の印刷適性が向上し、ムラが少なく均質なプライマー層が形成されるため、積層体の発色性が良化する。
プライマー層用組成物に添加可能なノニオン性界面活性剤としては、上述の[コロイド結晶層]における{ノニオン性界面活性剤}の記載を援用できる。
{架橋剤}
プライマー層用組成物が架橋剤を含むことで、プライマー層内及びプライマー層とコロイド結晶層の間に架橋を形成することができ、膜耐性を向上させることができる。配合してもよい架橋剤としては特に制限されず、例えば、活性カルボニル基と反応してケト-ヒドラジド架橋を形成するヒドラジド基を2つ以上有するヒドラジド化合物(ポリヒドラジド)、水酸基やアミノ基と反応してウレタン結合やウレア結合を形成するイソシアネート化合物、カルボキシ基やアミノ基等と反応するエポキシ化合物が挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。
より詳細には、プライマー層を形成する樹脂がカルボキシ基を有する場合は、エポキシ架橋剤を介して架橋を形成することができる。また、例えば、プライマー層を形成する樹脂が水酸基を有する場合は、ポリイソシアネート架橋剤を介して架橋を形成することができる。また、例えば、プライマー層を形成する樹脂がケトン基を有する場合、ヒドラジド架橋剤を介して架橋することができる。
架橋剤としては、上述のとおり、ケトン・ヒドラジド架橋を形成するために、ヒドラジド架橋剤を用いることが好ましい。ヒドラジド架橋剤としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、多官能のヒドラジド基が変性された水溶性樹脂が挙げられる。
[第1の樹脂層]
本発明における積層体は、コロイド結晶層の保護を目的として、コロイド結晶層上に、さらに第1の樹脂層を有していてもよく、第1の樹脂層上にさらに第2の樹脂層を有していてもよい。第1の樹脂層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位を含有する場合、樹脂層側からコロイド結晶層へ到達する太陽光の紫外線量を著しく低減することができるため、得られる積層体は、耐光試験後発色性、耐候試験後発色性、及び耐光試験後基材追従性に優れる。
第1の樹脂層、及び第2の樹脂層は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
(紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位)
第1の樹脂層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を含有する場合、当該樹脂層は、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/m含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/m含むことが重要である。紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位の含有量がこの範囲内であることにより、樹脂層側からコロイド結晶層へ到達する太陽光の紫外線量を著しく低減することができるため、得られる積層体は、優れた耐光性及び耐候性を発揮する。
{紫外線吸収剤}
第1の樹脂層に導入する紫外線吸収剤としては、[コロイド結晶層]における{紫外線吸収剤}の項の記載を援用できる。紫外線吸収剤は、紫外線の吸収効率と光に対する安定性の観点から、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
{光安定剤}
第1の樹脂層に導入する光安定剤としては、[コロイド結晶層]における{光安定剤}の項の記載を援用できる。光安定剤は、光に対する安定性の観点から、好ましくはヒンダードアミン系光安定剤であり、より好ましくは、一般式(3)で表されるヒンダードアミン構造を有する化合物である。
(樹脂層を形成する樹脂)
上記第1の樹脂層を形成する樹脂は、特に制限されないが、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子との密着性に優れる点から、好ましくはアクリル樹脂であり、より好ましくはスチレンアクリル樹脂である。また、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子と親和性の高い有機溶剤等の含有率が低いことが好ましく、水性樹脂が好適に用いられる。ここで水性樹脂とは、水性媒体中に分散又は溶解し得る樹脂を表す。なお、水性媒体は、水性の分散媒又は水性の溶媒を表し、水の他に水と混和し得る分散剤又は溶媒も含む。また、コロイド結晶層への浸透が一層抑制されることから、より好ましくは、水性媒体中に分散している樹脂微粒子である。
第1の樹脂層を形成する樹脂が、アクリル樹脂である場合、(メタ)アクリル単量体を含むエチレン性不飽和単量体の乳化重合により目的の樹脂を得ることができる。
アクリル樹脂が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、上述の[コロイド結晶層]における(コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子)の記載を援用できる。
上記エチレン性不飽和単量体としては、前記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)及び、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)に加えて、前述の[コロイド結晶層]における{その他エチレン性不飽和単量体}の記載を援用できる。
樹脂層を形成する樹脂は、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)、及び一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むエチレン性不飽和単量体の重合体、又は、該重合体ユニットを有する複合樹脂であることがより好ましい。
紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位が重合体に組み込まれることにより、形成される第1の樹脂層中に、耐光性骨格が均一に分布するため、得られる積層体は、耐光試験後発色性、耐候試験後発色性、及び耐候試験後基材追従性に優れる。
上記エチレン性不飽和単量体は、第1の樹脂層内、第1の樹脂層とコロイド結晶層との間、第1の樹脂層と後述する第2の樹脂層との間、及び第1の樹脂層と後述する粘着層との間に架橋を形成する目的で反応性基を有していてもよい。樹脂層内、第1の樹脂層とコロイド結晶層との間、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間、及び、第1の樹脂層と粘着層との間に架橋を形成することで、積層体の基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性が向上する。
第1の樹脂層内、第1の樹脂層とコロイド結晶層との間、第1の樹脂層と第2の樹脂層の間、及び第1の樹脂層と粘着層との間の架橋は、第1の樹脂層を形成する樹脂の反応性基同士を反応させる方法、第1の樹脂層を形成する樹脂の反応性基とコロイド結晶層を構成する樹脂微粒子が有する反応性基とを反応させる方法、第1の樹脂層を形成する樹脂の反応性基と第2の樹脂層を形成する樹脂が有する反応性基とを反応させる方法、第1の樹脂層を形成する樹脂の反応性基と粘着層を形成する樹脂が有する反応性基とを反応させる方法、多官能の架橋剤を介して第1の樹脂層を形成する樹脂が有する反応性基同士を架橋させる方法、多官能の架橋剤を介して第1の樹脂層を形成する樹脂の反応性基とコロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の反応性基とを架橋させる方法、多官能の架橋剤を介して第1の樹脂層を形成する樹脂の反応性基と第2の樹脂層を形成する樹脂の反応性基とを架橋させる方法、多官能の架橋剤を介して第1の樹脂層を形成する樹脂の反応性基と粘着層を形成する樹脂の反応性基とを架橋させる方法により導入することができる。
第1の樹脂層を形成する樹脂の製造に使用できるラジカル重合開始剤、界面活性剤、及びその他成分については、上述の[コロイド結晶層]における{ラジカル重合開始剤}、{界面活性剤}、及び{その他成分}の項の記載を援用できる。
第1の樹脂層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、樹脂層を形成する樹脂が、アクリル樹脂である場合、下記に示す手順で、アクリル樹脂内部に導入することができる。
まず、反応槽に水性媒体と界面活性剤とを仕込み、昇温する。その後、窒素雰囲気下でエチレン性不飽和単量体と紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤の乳化液を滴下しながら、ラジカル重合開始剤を添加する。反応開始後、滴下量に従って粒子は徐々に成長して樹脂層を形成する樹脂からなる樹脂微粒子が形成され、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤は粒子に内包される。なお、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤がエチレン性不飽和単量体である場合、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位は、アクリル樹脂に組み込まれる。
(第1の樹脂層を形成する樹脂の性状)
第1の樹脂層を形成する樹脂が水性樹脂微粒子である場合、水性樹脂微粒子の平均粒子径は、好ましくは80~300nmの範囲である。水性樹脂微粒子は-30~30℃の範囲にガラス転移点を有することが好ましい。
平均粒子径が上記の範囲であると、造膜性に優れ、塗工ムラやクラックが無い均質な樹脂層を形成できるため、積層体の発色性、耐摩擦性が良好となる。また、第1の樹脂層を形成する樹脂がコロイド結晶層へ浸透してコロイド結晶層の空隙を埋めることを防ぎ、積層体の発色性が良好となる。
ガラス転移点が上記の範囲であると、水性樹脂微粒子がコロイド結晶層の表層で目止めされ、コロイド結晶層の空隙部分への樹脂成分の浸透が抑制される。これにより、コロイド結晶層の空隙が維持され、積層体の発色性が良好となる。また、ガラス転移点が上記の範囲であると造膜性に優れ、塗工ムラやクラックが無い均質な層を形成でき、積層体の発色性、耐摩擦性、が向上する。
(第1の樹脂層の形成)
第1の樹脂層の形成方法は特に制限されないが、例えば、第1の樹脂層を形成する樹脂と、水と、を含有する樹脂層用組成物を、コロイド結晶層上に塗布することで形成することができる。樹脂層用組成物は、コロイド結晶層の粒子配列や積層体の諸物性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、塗工性、塗膜耐性を向上させる目的で、親水性溶剤、ノニオン性界面活性剤、架橋剤等を含有してもよい。これらは、上述の[コロイド結晶層]における{親水性溶剤}、{ノニオン性界面活性剤}、{架橋剤}の項の記載を援用できる。
架橋剤としては、ケトン・ヒドラジド架橋を形成するために、ヒドラジド架橋剤を用いることが好ましい。ヒドラジド架橋剤としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、多官能のヒドラジド基が変性された水溶性樹脂が挙げられる。
[第2の樹脂層]
本発明における積層体は、膜耐性向上を目的として、第1の樹脂層上に、さらに第2の樹脂層を有していてもよい。第2の樹脂層として好ましくはハードコート層である。
第2の樹脂層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位を含有する場合、第2の樹脂層側からコロイド結晶層へ到達する太陽光の紫外線量を著しく低減することができるため、得られる積層体は、耐光試験後発色性、耐候試験後発色性、及び耐光試験後基材追従性に優れる。
(紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位)
第2の樹脂層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を含有する場合、第2の樹脂層は紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/m含むか、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/m含むことが重要である。紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位の含有量がこの範囲内であることにより、第2の樹脂層側からコロイド結晶層へ到達する太陽光の紫外線量を著しく低減することができるため、得られる積層体は、優れた耐光性及び耐候性を発揮する。
{紫外線吸収剤}
第2の樹脂層に導入する紫外線吸収剤としては、[コロイド結晶層]における{紫外線吸収剤}の項の記載を援用できる。紫外線吸収剤は、紫外線の吸収効率と光に対する安定性の観点から、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
{光安定剤}
第2の樹脂層に導入する光安定剤としては、[コロイド結晶層]における{光安定剤}の項の記載を援用できる。光安定剤は、光に対する安定性の観点から、好ましくはヒンダードアミン系光安定剤であり、より好ましくは、一般式(3)で表されるヒンダードアミン構造を有する化合物である。
(第2の樹脂層を形成する樹脂)
上記第2の樹脂層を形成する樹脂は、特に制限されないが、第1の樹脂層との密着性に優れる点から、好ましくはアクリル樹脂であり、より好ましくはスチレンアクリル樹脂である。また、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子と親和性の高い有機溶剤等の含有率が低いことが好ましく、水性樹脂が好適に用いられる。ここで水性樹脂とは、水性媒体中に分散又は溶解し得る樹脂を表す。なお、水性媒体は、水性の分散媒又は水性の溶媒を表し、水の他に水と混和し得る分散剤又は溶媒も含む。また、コロイド結晶層への浸透が一層抑制されることから、より好ましくは、水性媒体中に分散している樹脂微粒子である。
第2の樹脂層を形成する樹脂が、アクリル樹脂である場合、(メタ)アクリル単量体を含むエチレン性不飽和単量体の乳化重合により目的の樹脂を得ることができる。
アクリル樹脂が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、上述の[コロイド結晶層]における(コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子)の記載を援用できる。
上記エチレン性不飽和単量体としては、前記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)及び、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)に加えて、前述の[コロイド結晶層]における{その他エチレン性不飽和単量体}の記載を援用できる。
第2の樹脂層を形成する樹脂は、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)、及び一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むエチレン性不飽和単量体の重合体、又は、該重合体ユニットを有する複合樹脂であることがより好ましい。
紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位が重合体に組み込まれることにより、形成される第2の樹脂層中に、耐光性骨格が均一に分布するため、得られる積層体は、耐光試験後発色性、耐候試験後発色性、及び耐候試験後基材追従性に優れる。
上記エチレン性不飽和単量体は、第2の樹脂層内、第2の樹脂層と第1の樹脂層との間、及び第2の樹脂層と粘着層との間に架橋を形成する目的で反応性基を有していてもよい。第2の樹脂層内、第2の樹脂層と第1の樹脂層との間、及び第2の樹脂層と粘着層との間に架橋を形成することで、積層体の耐摩擦性が向上する。
第2の樹脂層内、及び第2の樹脂層と第1の樹脂層との間における架橋は、第2の樹脂層を形成する樹脂の反応性基同士を反応させる方法、第2の樹脂層を形成する樹脂が有する反応性基と第1の樹脂層を形成する樹脂が有する反応性基とを反応させる方法、第2の樹脂層を形成する樹脂が有する反応性基と粘着層を形成する樹脂が有する反応性基とを反応させる方法、多官能の架橋剤を介して第2の樹脂層を形成する樹脂が有する反応性基同士を架橋させる方法、多官能の架橋剤を介して第2の樹脂層を形成する樹脂の反応性基と第1の樹脂層を形成する樹脂の反応性基とを架橋させる方法、多官能の架橋剤を介して第2の樹脂層を形成する樹脂が有する反応性基と粘着層を形成する樹脂の反応性基とを架橋させる方法、により導入することができる。
第2の樹脂層を形成する樹脂の製造に使用できるラジカル重合開始剤、界面活性剤、その他成分については、上述の[コロイド結晶層]における{ラジカル重合開始剤}、{界面活性剤}、及び{その他成分}の項の記載を援用できる。
{高分子分散剤}
第2の樹脂層がハードコート層であり、第2の樹脂層を形成する樹脂を乳化重合で製造する場合、高分子分散剤を用いることで、水性樹脂の安定性を向上させ、且つ、造膜性に優れる樹脂微粒子を作成可能である。高分子分散剤の市販品としては、例えば、BASF社製JONCRYL63J、JONCRYL67、JONCRYL678、JONCRYL586、JONCRYL680、JONCRYL682、JONCRYL690、JONCRYL JDX-C3000が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
第2の樹脂層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、第2の樹脂層を形成する樹脂が、アクリル樹脂である場合、下記に示す手順で、アクリル樹脂内部に導入することができる。
まず、反応槽に水性媒体と高分子分散剤とを仕込み、昇温する。その後、窒素雰囲気下でエチレン性不飽和単量体と紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤を滴下しながら、ラジカル重合開始剤を添加する。反応開始後、滴下量に従って粒子は徐々に成長して第2の樹脂層を形成する樹脂からなる樹脂微粒子が形成され、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤は粒子に内包される。なお、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤がエチレン性不飽和単量体である場合、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位は、アクリル樹脂に組み込まれる。
(第2の樹脂層の形成)
第2の樹脂層の形成方法は特に制限されないが、例えば、第2の樹脂層を形成する樹脂と、水と、を含有する第2の樹脂層用組成物を、第1の樹脂層上に塗布することで形成することができる。第2の樹脂層用組成物は、コロイド結晶層の粒子配列や積層体の諸物性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、塗工性、塗膜耐性を向上させる目的で、親水性溶剤、架橋剤、ワックス微粒子分散体、表面調整剤等を含有してもよい。{親水性溶剤}は、上述の[コロイド結晶層]における{親水性溶剤}の項の記載を援用できる。
{架橋剤}
第2の樹脂層用組成物が含んでもよい架橋剤としては特に制限されず、上述の[プライマー層]における{架橋剤}の項の記載を援用できるほか、カルボジイミド基を含有した樹脂微粒子分散体やチタンキレート化合物、アルミキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、酸化亜鉛、アジリジン系化合物も使用することができる。架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
{ワックス微粒子分散体}
第2の樹脂層用組成物は、積層体の耐摩擦性やブロッキング性を改良する目的でワックス微粒子分散体を含有してもよい。このようなワックス微粒子分散体としては、例えば、三井化学社製ケミパールW100、W200、W300、W310、W306、W400、W401、W4005、W410、W500、WF640、W700、W800、W900、W950、WH201、WP100、ビックケミー社製AQUACER497、515、531、537、539、541、552、1547が挙げられる。
{表面調整剤}
第2の樹脂層用組成物は樹脂層へのレベリングを調節する目的で各種表面調整剤を含有してもよい。このような表面調整剤としては、例えば、日信化学製サーフィノール104E、104H、104A、104PA、104PG-50、104S、420、440、465、485、SE、SE-F、PSA-336、61、2502、ダイノール604、607、ビックケミー社製BYK-381、3441、302、307、325、331、333、342、345、346、347、348、349、378、3455が挙げられる。
[粘着層]
本発明における積層体は、任意の被着体に接着させることを目的として、第1若しくは第2の樹脂層上、又は、プライマー層と反対側の基材層上に、粘着層を有していてもよい。
粘着層が紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位を含有する場合、粘着層を透過してコロイド結晶層へ到達する太陽光の紫外線量を著しく低減することができるため、得られる積層体は、耐光試験後発色性、耐候試験後発色性、及び耐光試験後基材追従性に優れる。
(紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位)
粘着層が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を含有する場合、粘着層は紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/m含むか、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/m含むことが重要である。紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位の含有量がこの範囲内であることにより、粘着層側からコロイド結晶層へ到達する太陽光の紫外線量を著しく低減することができるため、得られる積層体は、優れた耐光性及び耐候性を発揮する。
{紫外線吸収剤}
粘着層に導入する紫外線吸収剤としては、[コロイド結晶層]における{紫外線吸収剤}の項の記載を援用できる。紫外線吸収剤は、紫外線の吸収効率と光に対する安定性の観点から、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
{光安定剤}
粘着層に導入する光安定剤としては、[コロイド結晶層]における{光安定剤}の項の記載を援用できる。光安定剤は、光に対する安定性の観点から、好ましくはヒンダードアミン系光安定剤であり、より好ましくは、一般式(3)で表されるヒンダードアミン構造を有する化合物である。
(粘着層を形成する樹脂)
上記粘着層を形成する樹脂は、特に制限されないが、好ましくは、アクリル樹脂及びウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むものである。中でも、未反応性成分が少ない点、及び密着性に優れる点から、より好ましくはアクリル樹脂を含むものである。
また、上記粘着層を形成する樹脂は、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子と親和性の高い有機溶剤等の含有率が低いことが好ましく、水性樹脂が好適に用いられる。ここで水性樹脂とは、水性媒体中に分散又は溶解し得る樹脂を表す。なお、水性媒体は、水性の分散媒又は水性の溶媒を表し、水の他に水と混和し得る分散剤又は溶媒も含む。また、コロイド結晶層への浸透が一層抑制されることから、より好ましくは、水性媒体中に分散している樹脂微粒子である。
粘着層を形成する樹脂の製造方法は特に制限されず、公知の方法から適宜選択できるが、高分子量、低粘度、且つ高固形分濃度化が可能である点から、乳化重合を用いて重合してなる樹脂であることが好ましい。
{アクリル樹脂}
粘着層を形成する樹脂が、アクリル樹脂である場合、(メタ)アクリル単量体を含むエチレン性不飽和単量体の乳化重合により、目的の樹脂を得ることができる。
アクリル樹脂が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、上述の[コロイド結晶層]における(コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子)の記載を援用できる。
{エチレン性不飽和単量体}
上述のエチレン性不飽和単量体としては、前記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)及び、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)に加えて、前述の[コロイド結晶層]における{その他エチレン性不飽和単量体}の記載を援用できる。
粘着層を形成する樹脂は、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)、及び一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むエチレン性不飽和単量体の重合体、又は、該重合体ユニットを有する複合樹脂であることがより好ましい。
紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は光安定剤由来の構成単位が重合体に組み込まれることにより、形成される粘着層中に、耐光性骨格が均一に分布するため、得られる積層体は、耐光性試験後発色性、耐候性試験後発色性、及び耐候性試験後基材追従性に優れる。
{ウレタン樹脂}
粘着層を形成する樹脂が水性ウレタン樹脂である場合、水性ウレタン樹脂としては特に制限されず、例えば、非水系にて任意のポリオールとポリイソシアネートとを重付加反応させ、得られたウレタン樹脂を、界面活性剤を用いて水中に分散させる方法、又は、ウレタン樹脂中にカルボキシ基等の親水基を導入して自己乳化させる方法、により得ることができる。
水性ウレタン樹脂は、末端イソシアナト基にジアミンやジヒドラジド化合物を反応させて、末端に官能基を導入してもよく、鎖延長により高分子量化を行ってもよい。また、水性ウレタン樹脂は、反応性基を介してアクリル樹脂骨格やオレフィン樹脂骨格をグラフトする等、異なる樹脂と複合化してもよい。
ウレタン樹脂が、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び光安定剤由来の構成単位を有する場合、紫外線吸収剤由来の構成単位及び光安定剤由来の構成単位の導入方法は特に制限されないが、例えば、下記に示す手順で、ウレタン樹脂内部に導入することができる。
まず、非水系にて任意のポリオールとポリイソシアネートとを重付加反応させ、ウレタン樹脂を得る。その後、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤を添加した後、脱溶剤しながらイオン交換水を添加し、界面活性剤を用いて水中に分散させる方法、又は、ウレタン樹脂中にカルボキシ基等の親水基を導入して自己乳化させる方法、によりウレタン樹脂からなる樹脂微粒子が形成され、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤は粒子に内包される。なお、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤がエチレン性不飽和単量体である場合、ウレタン樹脂が有する反応性基を介して、紫外線吸収剤由来の構成単位、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を、ウレタン樹脂に組み込むことができる。
紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤であるエチレン性不飽和単量体としては、前述の一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)、一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)が好適に用いられる。
(粘着層の形成)
粘着層の形成方法は特に制限されないが、例えば、粘着層を形成する樹脂と、水と、を含有する粘着層用組成物を、樹脂層上、又はプライマー層と反対側の基材層上に塗布することで形成することができる。粘着層用組成物は、コロイド結晶層の粒子配列や積層体の諸物性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、塗工性、塗膜耐性、発色性を向上させる目的で、親水性溶剤、架橋剤、粘着付与樹脂等を含有してもよい。使用可能な{親水性溶剤}としては、上述の[コロイド結晶層]における{親水性溶剤}の項の記載を援用できる。
{架橋剤}
粘着層用組成物が含んでもよい架橋剤としては特に制限されず、上述の[プライマー層]における{架橋剤}の項の記載を援用できるほか、カルボジイミド基を含有した樹脂微粒子分散体やチタンキレート化合物、アルミキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、酸化亜鉛、アジリジン系化合物も使用することができる。
架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
{粘着付与樹脂}
粘着層用組成物は、粘着層の粘着性を向上させることを目的として、粘着付与樹脂を配合することができる。
例えば、粘着付与樹脂が非水系である場合は、粘着層用組成物に添加する溶剤に溶解させて配合することができる。例えば、粘着付与樹脂が水系である場合は、粘着層を形成する樹脂の製造時に、エチレン性不飽和単量体と粘着付与樹脂とを混合して乳化液を調製し、乳化重合を行うことで配合することができる。
配合してもよい粘着付与樹脂としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂、及び脂肪族系石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ロジン系樹脂としては、例えば、天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステルが挙げられる。テルペン系樹脂としては、例えば、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂が挙げられる。芳香族系石油樹脂としては、例えば、スチレンオリゴマー、α-メチルスチレン・スチレン共重合体が挙げられる。中でも、感圧接着剤を構成する樹脂との相溶性の観点から、好ましくはロジン系樹脂である。
[基材層]
本発明における基材層は特に制限されず、公知の基材から選択することができる。基材層としては、例えば、ポリ塩化ビニルシート、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ナイロン(Ny)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリイミドフィルムのような樹脂基材;アルミニウム箔のような金属基材;ガラス基材;コート紙基材;が挙げられる。
基材層は、表面が平滑であってもよく凹凸を有していてもよい。また、基材層は、プライマー層組成物の塗工性を改善する目的で、コロナ処理やプラズマ処理が施されていてもよい。これら基材層は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を積層したものを用いてもよい。
<積層体の製造>
本発明の積層体は、基材層と、プライマー層と、コロイド結晶層とをこの順に有していればよく、その製造方法は特に制限されない。積層体の製造方法として好ましくは、以下の工程1及び2をこの順に有するものである。
工程1)基材層上に、プライマー層用組成物を塗布し、プライマー層を形成する工程。
工程2)プライマー層上に、コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子を含むコロイド結晶層用組成物を塗布し、コロイド結晶層を形成する工程。
また、本発明の積層体は、コロイド結晶層の保護を目的として、コロイド結晶層上に、さらに第1の樹脂層を有していてもよく、その製造方法は特に制限されない。第1の樹脂層を付与した積層体の製造方法として好ましくは、上記工程1及び2に加えて、下記の工程3を有するものである。
工程3)コロイド結晶層上に樹脂層用組成物を塗布し、第1の樹脂層を形成する工程。
また、本発明の積層体は、膜耐性向上を目的として、第1の樹脂層上に、さらに第2の樹脂層を有していてもよく、その製造方法は特に制限されない。第2の樹脂層を付与した積層体の製造方法として好ましくは、上記工程1~3に加えて、下記工程4を有するものである。
工程4)第1の樹脂層上に第2の樹脂層用組成物を塗布し、第2の樹脂層を形成する工程。
また、本発明の積層体は、任意の被着体に接着させることを目的として、粘着層を有していてもよく、その製造方法は特に制限されない。粘着層を付与した積層体の製造方法として好ましくは上記工程に加えて、さらに下記工程5a又は5bを有するものである。
工程5a)第1の樹脂層上又は第2の樹脂層上に粘着層用組成物を塗布し、粘着層を形成する工程。
工程5b)プライマー層と反対側の基材上に粘着層用組成物を塗布し、粘着層を形成する工程。
プライマー層用組成物、コロイド結晶層用組成物、第1の樹脂層用組成物、第2の樹脂層用組成物、及び粘着層用組成物の塗布方法は特に制限されず、例えば、インクジェット法、スプレー法、ディッピング法、スピンコート法のような版を使用しない印刷方式;オフセットグラビアコーター、グラビアコーター、ドクターコーター、バーコーター、ブレードコーター、フレキソコーター、ロールコーターのような版を使用する印刷方式;が挙げられ、適宜選択することができる。
乾燥工程を有する場合、乾燥方法は特に制限されず、例えば、加熱乾燥法、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、マイクロ波乾燥法、ドラム乾燥法といった公知の方法から適宜選択できる。乾燥方法は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、基材へのダメージを軽減し効率よく乾燥させる観点から、熱風乾燥法を用いることが好ましい。乾燥温度は、好ましくは25~80℃の範囲である。
プライマー層の厚みは、特に制限されず、プライマー層の機能発現と生産性の観点から、好ましくは1.0~25μmであり、より好ましくは2.0~20μmであり、さらに好ましくは2.0~10μmである。
プライマー層の厚みが1.0μm以上であることにより、プライマー層と基材層及びプライマー層とコロイド結晶層との結着性が向上し、積層体の基材追従性、耐摩擦性及び耐圧痕性が優れる。一方で、プライマー層の厚みが25μm以下であると、裏刷り構成時の発色が良好になる。
コロイド結晶層の厚みは、特に制限されず、積層体の発色性と生産性との観点から、好ましくは3.0~30μmであり、より好ましくは5.0~20μmである。コロイド結晶層の厚みが3.0μm以上であることにより、ブラッグ反射由来の反射光強度が向上し、積層体の発色が優れる。また、コロイド結晶層の厚みが30μm以下であることにより、積層体の基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性が向上する。
第1の樹脂層の厚みは、特に制限されず、積層体の塗膜耐性、発色性、及び生産性の観点から、好ましくは1.0~25μmであり、より好ましくは2.0~20μmである。樹脂層の厚みが1.0μm以上であることにより、コロイド結晶層の保護機能が十分に発現し、積層体の耐摩擦性に優れる。また、第1の樹脂層の厚みが25μm以下であると表刷り構成時の発色が良好になる。
第2の樹脂層の厚みは、特に制限されず、積層体の塗膜耐性、発色性、及び生産性の観点から、好ましくは1.0~25μmであり、より好ましくは2.0~20μmである。第2の樹脂層の厚みが1.0μm以上であることにより、積層体の保護機能が十分に発現し、積層体の耐摩擦性に優れる。また、第2の樹脂層の厚みが25μm以下であると表刷り構成時の発色が良好になる。
粘着層の厚みは、特に制限されず、被着体への接着性確保と生産性の観点から、好ましくは5.0~30μmである。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。実施例において、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
<平均粒子径及び変動係数Cv値>
平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子製「JSM-7800F」)を用いて、拡大倍率15000倍で観察したコロイド結晶層の断面画像を、画像処理ソフト(三谷商事株式会社製「Winroof」)に導入して球状構造の抽出を行い、各粒子の円相当径の平均値として測定した。
円相当径の変動係数(CV値)は、上記の測定方法により求められた円相当径の値を用いて、下記式により計算した。
円相当径の変動係数(%)=(σn/Dn)×100
σ:円相当径の標準偏差
D:円相当径の平均値
[円相当径は、粒子として認識した図形面積に相当する、真円の直径である。]
<ガラス転移点(Tg)>
ガラス転移点は、DSC(示差走査熱量計、TAインスツルメント社製)により測定した。具体的には、試料を乾固したサンプル約2mgをアルミニウムパン上で秤量し、該アルミニウムパンをDSC測定ホルダーにセットし、5℃/分の昇温条件にて得られるチャートを読み取り、ガラス転移点を得た。
実施例中の略称を以下に示す。
アデカスタブLA-29:(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、株式会社ADEKA製)
アデカスタブLA-46:(ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、株式会社ADEKA製)
アデカスタブ1413:(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、株式会社ADEKA製)
RUVA-93:(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、大塚化学製、一般式(1)に該当)
アデカスタブLA-72:(ヒンダードアミン系光安定剤、株式会社ADEKA製)
アデカスタブLA-82(ヒンダードアミン系光安定剤、株式会社ADEKA製、一般式(2)に該当)
アクアロンAR-10:アニオン性の反応性界面活性剤(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩類、第一工業製薬株式会社製)
PTG-2000SN:保土谷化学製ポリテトラメチレングリコール(官能基数2、水酸基価57.0、分子量2,000)
P-2011:クラレ製3-メチル-1,5ペンタンジオール/アジピン酸/テレフタル酸系ポリエステルポリオール(官能基数2、水酸基価55.0、分子量2,000)
C-2090:クラレ製ポリカーボネートポリオール(官能基数2、水酸基価56.0、分子量2,000)
JONCRYL63J:BASF社製スチレンアクリル樹脂(樹脂Tg:73℃)
KE-364C:荒川化学製ロジン樹脂
IPA:イソプロパノール
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
エマルゲン1108:花王社製ノニオン性非反応性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル系)
カルボジライトE-05:日清紡ケミカル社製ポリカルボジイミド樹脂分散体
AQUACER541:ビックケミー社製ワックスエマルション
サーフィノール465:日信化学工業社製アセチレングリコール系レベリング剤
<プライマー層を形成する樹脂の製造>
(製造例1)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン4.6部、メチルメタクリレート25.0部、ベンジルメタクリレート10.0部、ジアセトンアクリルアミド2.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.5部、n-ブチルアクリレート38.0部、2-エチルヘキシルアクリレート16.0部、アクアロンAR-10を1.0部、イオン交換水39.3部、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.4部、を混合撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体及び紫外線吸収剤の乳化液のうち3.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、エチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部とを2時間かけて滴下し、更に4時間反応させてスチレンアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTgは-10.0℃であり、紫外線吸収剤の含有率は1.4%であり、光安定剤の含有率は0.0%であり、架橋基量は0.12mmоl/gであった。
(製造例2、15、16、19)
表1に示す配合組成に変更した以外は、製造例1と同様の方法でアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表1に示す。なお、製造例23では、紫外線吸収剤を添加しなかった。
(製造例3)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン2.3部、メチルメタクリレート12.55部、ベンジルメタクリレート5.0部、フェノキシエチルアクリレート5.0部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、n-ブチルアクリレート14.0部、2-エチルヘキシルアクリレート8.0部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部を混合撹拌して調製した一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち6.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部とを1時間かけて滴下して反応を進めた。
一段目の滴下完了後、25%アンモニア水を0.9部添加し、粒子を中和した。その後、スチレン2.3部、メチルメタクリレート12.55部、ベンジルメタクリレート5.0部、フェノキシエチルアクリレート5.0部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、n-ブチルアクリレート14.0部、2-エチルヘキシルアクリレート8.0部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部、光安定剤としてアデカスタブLA-82を1.3部、を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体及び光安定剤の乳化液と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部と、を1時間かけて滴下し、更に4時間反応させてスチレンアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTgは-3.0℃であり、紫外線吸収剤の含有率は0.0%であり、光安定剤の含有率は1・3%であり、架橋基量は0.12mmоl/gであった。
なお、表1中の数値は、一段目及び二段目で用いた各単量体の合計量である。
(製造例4、17、18)
表1に示す配合組成に変更した以外は、製造例3と同様の方法で、スチレンアクリル樹脂の水分散体を得た。なお、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表1に記載の半量と、アクリル酸を表1に記載の全量と、界面活性剤を表1に記載の半量と、製造例3と同量の水を混合撹拌して調製した。二段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表1に記載の半量と、界面活性剤を表1に記載の半量と、製造例3と同量の水と、光安定剤を表1に記載の全量を混合撹拌して調製した。
反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表1に示す。
(製造例5)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン2.3部、メチルメタクリレート11.2部、ベンジルメタクリレート5.0部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、n-ブチルアクリレート19.0部、2-エチルヘキシルアクリレート8.0部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.0部、を混合撹拌して調製した一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち6.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部とを1時間かけて滴下して反応を進めた。
一段目の滴下完了後、25%アンモニア水を0.9部添加し、粒子を中和した。その後、スチレン2.3部、メチルメタクリレート11.2部、ベンジルメタクリレート5.0部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、n-ブチルアクリレート19.0部、2-エチルヘキシルアクリレート8.0部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.0部、光安定剤としてアデカスタブLA-82を2.0部、を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部と、を1時間かけて滴下し、さらに4時間反応させてスチレンアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTgは-9.9℃であり、紫外線吸収剤の含有率は2.0%であり、光安定剤の含有率は2.0%であり、架橋基量は0.12mmоl/gであった。
(製造例6~14)
表1に示す配合組成に変更した以外は、製造例5と同様の方法でアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水を添加して固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表1に示す。
なお、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表1に記載の半量と、アクリル酸を表1に記載の全量と、界面活性剤を表1に記載の半量と、製造例5と同量の水と、紫外線吸収剤を表1に記載の半量を混合撹拌して調製した。二段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表1に記載の半量と、界面活性剤を表1に記載の半量と、製造例5と同量の水と、紫外線吸収剤を表1に記載の半量と、光安定剤を表1に記載の全量を混合撹拌して調製した。
Figure 2022094772000008
(製造例20)プライマー層を形成する樹脂20
撹拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水185.0部、高分子分散剤としてJONCRYL67(BASF社製スチレンアクリル樹脂 Mw12,500、酸価213mgKOH/g)42.9部、25%アンモニア水11.1部を仕込み、撹拌しながら昇温し、高分子分散剤を溶解させた。更に窒素還流下で温度80℃まで昇温した後、2つの滴下ロートの一方からは、スチレン14.0部、n-ブチルメタクリレート15.0部、2-エチルヘキシルアクリレート30.0部、シクロヘキシルアクリレート10.0部、n-ブチルアクリレート30.0部、グリシジルメタクリレート1.0部、紫外線吸収剤としてアデカスタブLA-29を3.0部、光安定剤としてアデカスタブLA-72を3.0部、の混合液を2時間かけて滴下した。他方からは、過硫酸アンモニウム20%水溶液3.5部を2時間かけて滴下した。滴下完了後、更に5時間反応させてスチレンアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を40.0%に調整した。得られた樹脂のTgは-1.3℃であり、紫外線吸収剤の含有率は2.0%であり、光安定剤の含有率は2.0%であり、架橋基量は0.00mmоl/gであった。
(製造例21)プライマー層を形成する樹脂21
JONCRYL67の添加量を53.8部、25%アンモニア水を13.9部に変更した以外は、製造例20と同様の方法でスチレンアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分を40.0%に調整した。得られた樹脂のTgは3.4℃であり、紫外線吸収剤の含有率は1.9%であり、光安定剤の含有率は1.9%であり、架橋基量は0.00mmоl/gであった。
(製造例22)
撹拌器、温度計、還流器を備えた反応容器に、ポリオールとして、PTG-2000SN;保土谷化学製ポリテトラメチレングリコール(官能基数2、水酸基価57.0mgKOH/g、分子量2,000)19.6部、P-2011;クラレ製3-メチル-1,5ペンタンジオール/アジピン酸/テレフタル酸系ポリエステルポリオール(官能基数2、水酸基価55.0mgKOH/g、分子量2,000)20.3部、C-2090;クラレ製ポリカーボネートポリオール(官能基数2、水酸基価56.0mgKOH/g、分子量2,000)91.6部、ジメチロールブタン酸19.7部、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート48.8部、溶媒としてメチルエチルケトン40.0部、ジプロピレングリコールジメチルエーテル10.0部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら78℃まで昇温させた。そこに、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)を触媒として0.02部添加し、6時間反応させ、両末端がイソシアナト基のウレタンプレポリマーを得た。そこに、紫外線吸収剤としてアデカスタブLA-29を3.0部、光安定剤としてアデカスタブLA-72を3.0部、を添加し、次いで、中和剤としてトリエチルアミン13.5部を添加した後、イオン交換水を400部、鎖延長剤としてエチレンジアミンを2.4部添加して、減圧条件可下で脱溶剤しながら、水相へ転相を行った。水媒体中でイソシアナト基の鎖延長反応を促進させ、固形分濃度が30.0%のウレタン樹脂の水分散体を調製した。得られた樹脂のTgは94.0℃であり、紫外線吸収剤の含有率は1.4%であり、光安定剤の含有率は1.4%であり、架橋基量は0.00mmоl/gであった。
(製造例23、24)
表2に示す配合組成に変更した以外は、製造例22と同様の方法でウレタン樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で、水分散体の固形分濃度を30.0%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表2に示す。
Figure 2022094772000009
(製造例25)プライマー層を形成する樹脂25
撹拌器、温度計、還流器を備えた反応容器に、固形のオレフィン樹脂として、アウローレン350S(日本製紙製;無水マレイン酸変性ポリプロピレン-ポリエチレン共重合体)100部、トルエン100部、低分子界面活性剤としてノイゲンTDS-120(第一工業製薬製ポリオキシエチレントリドデシルエーテル HLB14.8)30.0部、紫外線吸収剤としてアデカスタブLA-29を3.0部、光安定剤としてアデカスタブLA-72を3.0部、を加え、100℃まで昇温して樹脂を溶解させた。完全に溶解したのを確認後、中和剤として、ジメチルアミノエタノール5.0部、イオン交換水600.0部を添加した。その後、減圧条件可下で脱溶剤を行いながら、水相への転相を行い、固形分濃度が30.0%のオレフィン樹脂の水分散体を得た。得られた樹脂のTgは-20℃であり、紫外線吸収剤の含有率は2.8%であり、光安定剤の含有率は2.8%であり、架橋基量は0.00mmоl/gであった。
<コロイド結晶層を構成する樹脂微粒子分散体の製造>
(製造例26)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン85.0部、メチルメタクリレート10.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.0部、アクアロンAR-10を1.0部、イオン交換水39.3部、紫外線吸収剤としてRUVA-93を2.0部、を混合撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち3.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.4部とを2時間かけて滴下しながら反応させ、コア粒子を合成した。
その後、メチルメタクリレート13.3部、n-ブチルアクリレート26.8部、ジアセトンアクリルアミド2.0部、アクアロンAR-10を0.4部、イオン交換水16.9部、を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と過硫酸カリウムの5.0%水溶液0.6部とを2時間かけて滴下しながら反応を更に進め、コアシェル型樹脂微粒子の水分散体を得た。得られた水分散体にイオン交換水を添加して、固形分濃度を45.0%に調整した。
得られたコアシェル型樹脂微粒子の平均粒子径は248nm、Cv値は4.5%であった。また、コア部のTgは100.1℃、シェル部のTgは-15.2℃であった。
コアシェル型樹脂微粒子の紫外線吸収剤の含有率は1.4%であり、光安定剤の含有率は0.0%であり、架橋基量は0.08mmоl/gであった。
(製造例27、52、53、56)
表3及び表4に示す配合組成に変更した以外は、製造例26と同様の方法でコアシェル型樹脂微粒子の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水を添加して、固形分濃度を45.0%に調整した。得られたコアシェル型樹脂微粒子の平均粒子径、Cv値、コア部のTg、シェル部のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表3及び表4に示す。
(製造例28)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン87.0部、1-アダマンチルメタクリレート10.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.0部、アクアロンAR-10を1.0部、イオン交換水39.3部を混合撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち3.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.4部とを2時間かけて滴下しながら反応させ、コア粒子を合成した。次いで、25%アンモニア水を0.9部添加し、粒子を中和した。
その後、メチルメタクリレート11.3部、n-ブチルアクリレート26.8部、ジアセトンアクリルアミド2.0部、アクアロンAR-10を0.4部、イオン交換水16.9部、光安定剤としてアデカスタブLA-82を2.0部、を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液0.6部とを2時間かけて滴下しながら反応を更に進め、コアシェル型樹脂微粒子の水分散体を得た。得られた水分散体にイオン交換水を添加して、固形分濃度を45.0%に調整した。
得られたコアシェル型樹脂微粒子の平均粒子径は249nm、Cv値は4.7%であった。また、コア部のTgは111.3℃、シェル部のTgは-14.9℃であった。
コアシェル型樹脂微粒子の紫外線吸収剤の含有率は0.0%であり、光安定剤の含有率は1.4%であり、架橋基量は0.08mmоl/gであった。
(製造例29、54、55)
表3及び表4に示す配合組成に変更した以外は、製造例28と同様の方法でコアシェル型樹脂微粒子の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水を添加して、固形分濃度を45.0%に調整した。得られたコアシェル型樹脂微粒子の平均粒子径、Cv値、コア部のTg、シェル部のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表3及び表4に示す。
(製造例30)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン95.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.0部、アクアロンAR-10を1.0部、イオン交換水39.3部、紫外線吸収剤としてRUVA-93を2.0部を混合撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち3.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.4部とを2時間かけて滴下しながら反応させ、コア粒子を合成した。次いで、25%アンモニア水を0.9部添加し、粒子を中和した。
その後、メチルメタクリレート11.3部、n-ブチルアクリレート26.8部、ジアセトンアクリルアミド2.0部、アクアロンAR-10を0.4部、イオン交換水16.9部、光安定剤としてアデカスタブLA-82を2.0部、を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と過硫酸カリウムの5.0%水溶液0.6部とを2時間かけて滴下しながら反応を更に進め、コアシェル型樹脂微粒子の水分散体を得た。得られた水分散体にイオン交換水を添加して、固形分濃度を45.0%に調整した。
得られたコアシェル型樹脂微粒子の平均粒子径は249nm、Cv値は5.8%であった。また、コア部のTgは99.6℃、シェル部のTgは-14.9℃であった。コアシェル型樹脂微粒子の紫外線吸収剤の含有率は1.4%であり、光安定剤の含有率は1.4%であった。また、架橋基量は0.08mmоl/gであった。
(製造例31~39、41~51)
表3及び表4に示す配合組成に変更した以外は、製造例30と同様の方法でコアシェル型樹脂微粒子の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水を添加して、固形分濃度を45.0%に調整した。得られたコアシェル型樹脂微粒子の平均粒子径、Cv値、コア部のTg、シェル部のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表3及び表4に示す。
(製造例40)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン45.5部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.5部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.0部、を混合撹拌して調製した一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち6.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部とを1時間かけて滴下して反応を進めた。
一段目の滴下完了後、25%アンモニア水を0.9部添加し、粒子を中和した。その後、スチレン45.5部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.5部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部と、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.0部、光安定剤としてアデカスタブLA-82を2.0部、を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部とを1時間かけて滴下し、さらに4時間反応させて樹脂微粒子の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂の平均粒子径は222nm、Cv値は4.0%、Tgは106.8℃であった。樹脂微粒子の紫外線吸収剤の含有率は2.0%であり、光安定剤の含有率は2.0%であり、架橋基量は0.12mmоl/gであった。
Figure 2022094772000010
Figure 2022094772000011
<第1の樹脂層を形成する樹脂の製造>
(製造例57)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン4.6部、メチルメタクリレート25.0部、ベンジルメタクリレート10.0部、ジアセトンアクリルアミド2.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.5部、n-ブチルアクリレート38.0部、2-エチルヘキシルアクリレート16.0部、アクアロンAR-10を1.0部、イオン交換水39.3部と、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.4部、を混合撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体及び紫外線吸収剤の乳化液のうち3.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、エチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部とを2時間かけて滴下し、更に4時間反応させてスチレンアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTgは-10.0℃であり、紫外線吸収剤の含有率は1.4%であり、光安定剤の含有率は0.0%であり、架橋基量は0.12mmоl/gであった。
(製造例58、67、68、71)
表5に示す配合組成に変更した以外は、製造例57と同様の方法でアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表5に示す。なお、製造例71では、紫外線吸収剤を添加しなかった。
(製造例59)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、メチルメタクリレート12.55部、トリフルオロエチルメタクリレート2.3部、ベンジルメタクリレート5.0部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、n-ブチルアクリレート19.0部、2-エチルヘキシルアクリレート8.0部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部を混合撹拌して調製した一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち6.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部とを1時間かけて滴下して反応を進めた。
一段目の滴下完了後、25%アンモニア水を0.9部添加し、粒子を中和した。その後、メチルメタクリレート12.55部、トリフルオロエチルメタクリレート2.3部、ベンジルメタクリレート5.0部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、n-ブチルアクリレート19.0部、2-エチルヘキシルアクリレート8.0部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部、光安定剤としてアデカスタブLA-82を1.3部、を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部と、を1時間かけて滴下し、更に4時間反応させてアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTgは-10.1℃であった。樹脂の紫外線吸収剤の含有率は0.0%であり、光安定剤の含有率は1.3%であった。また、架橋基量は0.12mmоl/gであった。
(製造例60、69、70)
表5に示す配合組成に変更した以外は、製造例59と同様の方法でアクリル樹脂の水分散体を得た。なお、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表5に記載の半量と、アクリル酸を表5に記載の全量と、界面活性剤を表5に記載の半量と、製造例59と同量の水を混合撹拌して調製した。二段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表5に記載の半量と、界面活性剤を表5に記載の半量と、製造例59と同量の水と、光安定剤を表5に記載の全量を混合撹拌して調製した。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表5に示す。
(製造例61)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン2.3部、メチルメタクリレート11.2部、ベンジルメタクリレート5.0部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、n-ブチルアクリレート19.0部、2-エチルヘキシルアクリレート8.0部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.0部、を混合撹拌して調製した一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち6.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部とを1時間かけて滴下して反応を進めた。
一段目の滴下完了後、25%アンモニア水を0.9部添加し、粒子を中和した。その後、スチレン2.3部、メチルメタクリレート11.2部、ベンジルメタクリレート5.0部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、n-ブチルアクリレート19.0部、2-エチルヘキシルアクリレート8.0部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部と、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.0部、光安定剤としてアデカスタブLA-82を2.0部、を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部と、を1時間かけて滴下し、さらに4時間反応させてスチレンアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTgは-9.9℃であった。樹脂の紫外線吸収剤の含有率は2.0%であり、光安定剤の含有率は2.0%であった。また、架橋基量は0.12mmоl/gであった。
(製造例62~66)
表5に示す配合組成に変更した以外は、製造例61と同様の方法でアクリル樹脂の水分散体を得た。なお、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表5に記載の半量と、アクリル酸を表5に記載の全量と、界面活性剤を表5に記載の半量と、製造例61と同量の水と、紫外線吸収剤を表5に記載の半量を混合撹拌して調製した。二段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表5に記載の半量と、界面活性剤を表5に記載の半量と、製造例61と同量の水と、紫外線吸収剤を表5に記載の半量と、光安定剤を表5に記載の全量を混合撹拌して調製した。
反応完了後、イオン交換水を添加して固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表5に示す。
Figure 2022094772000012
<第2の樹脂層(ハードコート層)を形成する樹脂の製造>
(製造例72)
撹拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水185.0部、高分子分散剤としてJONCRYL63Jを43.0部、25%アンモニア水11.1部を仕込み、撹拌しながら昇温し、高分子分散剤を溶解させた。更に窒素還流下で温度80℃まで昇温した後、2つの滴下ロートの一方からは、スチレン4.6部、メチルメタクリレート42.9部、ベンジルメタクリレート10.0部、ジアセトンアクリルアミド2.0部、n-ブチルアクリレート20.0部、2-エチルヘキシルアクリレート16.0部、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.5部、の混合液を2時間かけて滴下した。他方からは、過硫酸アンモニウム20%水溶液3.5部を2時間かけて滴下した。滴下完了後、更に5時間反応させてスチレンアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を40.0%に調整した。得られた樹脂のTgは33.0℃であり、紫外線吸収剤の含有率は1.1%であり、光安定剤の含有率は0.0%であり、架橋基量は0.08mmоl/gであった。
(製造例73~85)
表6に示す配合組成に変更した以外は、製造例72と同様の方法でアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水を添加して固形分濃度を40.0%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表6に示す。
なお、製造例74、75、83、84は紫外線吸収剤を添加せず、表6に示す光安定剤とエチレン性不飽和単量体との混合液を滴下した。製造例76~80は、表6に示す紫外線吸収剤と、光安定剤と、エチレン性不飽和単量体との混合液を滴下した。製造例85では、紫外線吸収剤及び光安定剤を添加せず、エチレン性不飽和単量体を滴下した。
Figure 2022094772000013
<粘着層を形成する樹脂の製造>
(製造例86)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、n-ブチルアクリレート6.1部、2-エチルヘキシルアクリレート89.1部、ジアセトンアクリルアミド2.0部、アクリル酸0.4部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.5部、AR-10を1.0部、イオン交換水39.3部と、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.4部、を混合撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体及び紫外線吸収剤の乳化液のうち3.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、エチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部とを2時間かけて滴下し、更に4時間反応させてアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTgは-65.7℃であり、紫外線吸収剤の含有率は1.4%であり、光安定剤の含有率は0.0%であり、架橋基量は0.12mmоl/gであった。
(製造例87、95、96、99)
表7に示す配合組成に変更した以外は、製造例86と同様の方法でアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表7に示す。
なお、製造例87及び96ではエチレン性不飽和単量体と紫外線吸収剤に加え、更に粘着付与樹脂としてKE364C(荒川化学製ロジン樹脂)を0.5部添加し、混合撹拌して乳化液を調製した。製造例99では、紫外線吸収剤を添加しなかった。
(製造例88)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、n-ブチルアクリレート3.1部、2-エチルヘキシルアクリレート44.55部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、アクリル酸0.4部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部、を混合撹拌して調製した一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち6.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部とを1時間かけて滴下して反応を進めた。
一段目の滴下完了後、25%アンモニア水を0.9部添加し、粒子を中和した。その後、n-ブチルアクリレート3.1部、2-エチルヘキシルアクリレート44.55部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部、光安定剤としてアデカスタブLA-82を1.3部、を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部とを1時間かけて滴下し、更に4時間反応させてアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTgは-65.6℃であり、紫外線吸収剤の含有率は0.0%であり、光安定剤の含有率は1.3%であり、架橋基量は0.12mmоl/gであった。
表7中の数値は、一段目及び二段目で用いた各単量体の合計量である。
(製造例89、97、98)
表7に示す配合組成に変更した以外は、製造例88と同様の方法でアクリル樹脂の水分散体を得た。なお、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表7に記載の半量と、アクリル酸を表7に記載の全量と、界面活性剤を表7に記載の半量と、製造例88と同量の水を混合撹拌して調製した。二段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表7に記載の半量と、界面活性剤を表7に記載の半量と、製造例88と同量の水と、光安定剤を表7に記載の全量を混合撹拌して調製した。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表7に示す。なお製造例89及び99ではエチレン性不飽和単量体及び光安定剤に加え、更に粘着付与樹脂としてKE364Cを0.5部添加し、混合撹拌して乳化液を調製した。
(製造例90)
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水95.6部を仕込んだ。次いで、n-ブチルアクリレート1.75部、2-エチルヘキシルアクリレート44.55部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、アクリル酸0.4部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.0部、を混合撹拌して調製した一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち6.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの5.0%水溶液2.0部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部とを1時間かけて滴下して反応を進めた。
一段目の滴下完了後、25%アンモニア水を0.9部添加し、粒子を中和した。その後、n-ブチルアクリレート1.75部、2-エチルヘキシルアクリレート44.55部、ジアセトンアクリルアミド1.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.25部、アクアロンAR-10を0.5部、イオン交換水19.7部、と、紫外線吸収剤としてRUVA-93を1.0部、光安定剤としてアデカスタブLA-82を2.0部、を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と、過硫酸カリウムの5.0%水溶液1.0部とを1時間かけて滴下し、さらに4時間反応させてアクリル樹脂の水分散体を得た。反応完了後、イオン交換水で水分散体の固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTgは-63.5℃であり、紫外線吸収剤の含有率は2.0%であり、光安定剤の含有率は2.0%であり、架橋基量は0.12mmоl/gであった。
表7中の数値は、一段目及び二段目で用いた各単量体の合計量である。
(製造例91~94)
表7に示す配合組成に変更した以外は、製造例90と同様の方法でアクリル樹脂の水分散体を得た。なお、一段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表7に記載の半量と、アクリル酸を表7に記載の全量と、界面活性剤を表7に記載の半量と、製造例90と同量の水と、紫外線吸収剤を表7に記載の半量を混合撹拌して調製した。二段目に滴下するエチレン性不飽和単量体の乳化液は、アクリル酸を除くエチレン性不飽和単量体を表7に記載の半量と、界面活性剤を表7に記載の半量と、製造例90と同量の水と、紫外線吸収剤を表7に記載の半量と、光安定剤を表7に記載の全量を混合撹拌して調製した。反応完了後、イオン交換水を添加して固形分濃度を39.4%に調整した。得られた樹脂のTg、紫外線吸収剤含有率、光安定剤含有率、架橋基量を表7に示す。
Figure 2022094772000014
<プライマー層用組成物の製造>
(製造例100)プライマー層用組成物1
製造例1で得たスチレンアクリル樹脂の水分散体100.0部に、イソプロピルアルコール(IPA)5.0部と、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド(ADH)1.0部を添加して撹拌し、プライマー層用組成物を調製した。
(製造例101~124)プライマー層用組成物2~25
表8に示す配合組成に変更した以外は、製造例100と同様の方法によりプライマー層用組成物を調製した。
Figure 2022094772000015
<コロイド結晶層用組成物の調製>
(製造例125)コロイド結晶層用組成物1
製造例26のコロイド結晶層を構成する樹脂微粒子の水分散体100.0部に、花王株式会社製ノニオン性非反応性界面活性剤エマルゲン1108を1.0部、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド0.7部を添加して撹拌し、コロイド結晶層用組成物を調製した。
(製造例126~155)コロイド結晶層用組成物2~31
表9に示す配合組成に変更した以外は、製造例125と同様の方法によりコロイド結晶層用組成物を調製した。
Figure 2022094772000016
<第1の樹脂層用組成物の調製>
(製造例156)第1の樹脂層用組成物1
製造例57で得た水性樹脂微粒子の分散体100.0部に、イソプロピルアルコール1.0部と、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド1.0部とを添加して撹拌し、樹脂層用組成物を調製した。
(製造例157~170)第1の樹脂層用組成物2~15
表10に示す配合組成に変更した以外は、製造例156と同様の方法により樹脂層用組成物を調製した。
Figure 2022094772000017
<第2の樹脂層用組成物の調製>
(製造例171)第2の樹脂層用組成物1
製造例72で得た水性樹脂微粒子の分散体100.0部に、イソプロピルアルコール1.0部と、架橋剤としてカルボジライトE-05を28.0部、アジピン酸ジヒドラジド2.0部、ワックス微粒子分散体としてAQUACER541を17.0部、表面調整剤としてサーフィノール465を2.5部、を添加して撹拌し、第2の樹脂層用組成物を調製した。
(製造例172~184)第2の樹脂層用組成物2~14
表11に示す配合組成に変更した以外は、製造例171と同様の方法により第2の樹脂層用組成物を調製した。
Figure 2022094772000018
<粘着層用組成物>
(製造例185)粘着層用組成物1
製造例86で得た水性樹脂微粒子の分散体100.0部に、イソプロピルアルコール1.0部と、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド1.0部とを添加して撹拌し、粘着層用組成物を調製した。
(製造例186~198)粘着層用組成物2~14
表12に示す配合組成に変更した以外は、製造例185と同様の方法により粘着層用組成物を調製した。
Figure 2022094772000019
<積層体の作製>
(実施例1)
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ製FOR、厚み20.0μm)のコロナ処理面に、プライマー層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、プライマー層を形成した。
次いで、コロイド結晶層用組成物1を乾燥後の厚みが10.0μmになるように、バーコーター(OSP-22)を用いて、前記プライマー層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、コロイド結晶層を形成した。
次いで、第1の樹脂層用組成物15を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)を用いて、前記コロイド結晶層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第1の樹脂層を形成した。
次いで、第2の樹脂層用組成物14を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)を用いて、前記第1の樹脂層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第2の樹脂層を形成し、コロイド結晶シートを作成した。
次いで、ニッパ株式会社製剥離性PETフィルム(NL-ASIS)上に粘着層用組成物14を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-25)を用いて塗工し、100℃のオーブンで2分間乾燥させた。次いで、前記コロイド結晶シートの基材層面と貼り合わせて、積層体を作製した。
(実施例2~61、65~91、比較例1~21)
表13~20に示す組み合わせに変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、層の厚みは、バーコーターの種類を変更して調整した。
(実施例62)
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ製FOR、厚み20.0μm)のコロナ処理面に、プライマー層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、プライマー層を形成した。
次いで、コロイド結晶層用組成物5を乾燥後の厚みが10.0μmになるように、バーコーター(OSP-22)を用いて、前記プライマー層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、コロイド結晶層を形成した。
次いで、ニッパ株式会社製剥離性PETフィルム(NL-ASIS)上に粘着層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)を用いて塗工し、100℃のオーブンで2分間乾燥させた。次いで、前記コロイド結晶シートの基材層面と貼り合わせて、積層体を作製した。
(実施例63)
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ製FOR、厚み20.0μm)のコロナ処理面に、プライマー層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、プライマー層を形成した。
次いで、コロイド結晶層用組成物5を乾燥後の厚みが10.0μmになるように、バーコーター(OSP-22)を用いて、前記プライマー層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、コロイド結晶層を形成した。
次いで、第1の樹脂層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)を用いて、前記コロイド結晶層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第1の樹脂層を形成しコロイド結晶シートを作成した。
次いで、ニッパ株式会社製剥離性PETフィルム(NL-ASIS)上に粘着層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)を用いて、塗工し、100℃のオーブンで2分間乾燥させた。次いで、前記コロイド結晶シートの第1の樹脂層面と貼り合わせて、積層体を作製した。
(実施例64)
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ製FOR、厚み20.0μm)のコロナ処理面に、プライマー層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、プライマー層を形成した。
次いで、コロイド結晶層用組成物5を乾燥後の厚みが10.0μmになるように、バーコーター(OSP-22)を用いて、前記プライマー層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、コロイド結晶層を形成した。
次いで、第1の樹脂層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)を用いて、前記コロイド結晶層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、樹脂層を形成した。
次いで、第2の樹脂層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)を用いて、前記第1の樹脂層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第2の樹脂層を形成し、積層体を作成した。
(比較例22)
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ製FOR、厚み20.0μm)のコロナ処理面に、コロイド結晶層用組成物5を乾燥後の厚みが10.0μmになるように、バーコーター(OSP-22)を用いて塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、コロイド結晶層を形成した。
次いで、第1の樹脂層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)を用いて、前記コロイド結晶層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、樹脂層を形成した。
次いで、第2の樹脂層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)を用いて、前記第1の樹脂層上に塗工し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第2の樹脂層を形成し、コロイド結晶シートを作成した。
次いで、ニッパ株式会社製剥離性PETフィルム(NL-ASIS)上に粘着層用組成物5を乾燥後の厚みが7.5μmになるようにバーコーター(OSP-18)を用いて塗工し、100℃のオーブンで2分間乾燥させた。次いで、前記コロイド結晶シートの基材層面と貼り合わせて、積層体を作製した。
<積層体の評価>
得られた積層体の評価を行った、結果を表13~20に示す。なお、発色性、耐光試験後発色性、耐光試験後基材追従性、耐候試験後発色性については、表刷り構成と裏刷り構成で同様の評価を行った。表刷り構成では、各種試験をコロイド結晶層の塗工面側から行い、裏刷り構成では、各種試験を基材側から行った。
(コロイド結晶層の空気の空隙の確認)
得られた積層体の断面を、走査型電子顕微鏡(日本電子製JSM-7800F)で観察し、コロイド結晶層の空隙部を確認した。
有:コロイド結晶層の空隙が残っている。
無:コロイド結晶層の空隙が消失している。
(基材追従性)
積層体を5cm×5cmの試験片に切り出し、180度10回折り曲げを行った。折り曲げ後の積層体の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
S:剥がれや傷がない(非常に良好)
A:剥がれや傷の面積が試験片の5%未満(良好)
B:剥がれや傷の面積が試験片の5%以上、10%未満(使用可)
C:剥がれや傷の面積が試験片の10%以上(使用不可)
(耐摩擦性)
積層体のコロイド結晶層の塗工面側について、テスター産業社製の学振型摩擦堅牢度試験機(荷重500g50回)にて耐摩擦性試験を行い、面に生じた傷について以下の基準で評価した。
S:剥がれや傷がない(非常に良好)
A:剥がれや傷の面積が試験片の10%未満(良好)
B:剥がれや傷の面積が試験片の10%以上、25%未満(使用可)
C:剥がれや傷の面積が試験片の25%以上(使用不可)
(耐圧痕性)
積層体を5cm×5cmの試験片に切り出し、コロイド結晶層側に指の腹を30回押し付けた後の積層体の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
S:剥がれや傷がない(非常に良好)
A:剥がれや傷の面積が圧痕した領域の5%未満(良好)
B:剥がれや傷の面積が圧痕した領域の5%以上、10%未満(使用可)
C:剥がれや傷の面積が圧痕した領域の10%以上(使用不可)
(発色性)
積層体について、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製V-770D、自動絶対反射率測定ユニット)を用いて、入射角15°の正反射光について、波長250~850nmの範囲で反射スペクトルを測定した。得られた反射スペクトルについて、構造色に由来する反射率の最大値と構造色によらないベースラインの反射率の差分(△R)を算出した。△Rが大きいほど発色性に優れており、波長カットフィルターとしての機能に優れる。得られた△Rから、以下の基準で評価した。
S:△Rが20%以上(非常に良好)
A:△Rが10%以上、20%未満(良好)
B:△Rが5%以上、10%未満(使用可)
C:△Rが5%未満、又は構造色に由来する反射率のピークが判別不能(使用不可)
(耐光試験後発色性)
下記条件において、紫外線蛍光ランプ式促進耐候試験機(Q-Lab社製、QUV)を使用して積層体の耐光性試験を行った後、発色性評価と同様にして、反射スペクトルを測定した。耐光性試験前後での反射スペクトルを比較して、反射率の最大値の変化率(低下率)を算出した。低下率が大きいほど、積層体の発色が悪化していることを表す。得られた低下率から、積層体の耐光性を以下の基準で評価した。
《耐光性試験条件》
試験サイクル:連続照射(光照射のみ)
光源:UVB-313
放射照度(制御波長):37W/mAt300~400nm
照射時間:168時間
槽内温度:50.0℃
S:反射率の最大値の変化率が5%未満(非常に良好)
A:反射率の最大値の変化率が5%以上、20%未満(良好)
B:反射率の最大値の変化率が20%以上、50%未満(使用可)
C:反射率の最大値の変化率が50%以上(使用不可)
(耐光試験後基材追従性)
前記耐光性試験を行った後、前述の基材追従性評価と同様に積層体の基材追従性を、以下の基準で評価した。
S:剥がれや傷がない(非常に良好)
A:剥がれや傷の面積が試験片の5%未満(良好)
B:剥がれや傷の面積が試験片の5%以上、10%未満(使用可)
C:剥がれや傷の面積が試験片の10%以上(使用不可)
(耐候試験後発色性)
下記条件において、紫外線蛍光ランプ式促進耐候試験機(Q-Lab社製、QUV)を使用して積層体の耐候性試験を行った後、発色性評価と同様にして、反射スペクトルを測定した。耐候性試験前後での反射スペクトルを比較して、反射率の最大値の変化率(低下率)を算出した。低下率が大きいほど、積層体の発色が悪化していることを表す。得られた低下率から、積層体の耐光性を以下の基準で評価した。
《耐候性試験条件》
試験サイクル:UV照射(6時間)-結露(6時間) 10サイクル
光源:UVB-313
放射照度(制御波長):37W/mAt300~400nm
照射時間:168時間
槽内温度:50.0℃
S:反射率の最大値の変化率が5%未満(非常に良好)
A:反射率の最大値の変化率が5%以上、20%未満(良好)
B:反射率の最大値の変化率が20%以上、50%未満(使用可)
C:反射率の最大値の変化率が50%以上(使用不可)
Figure 2022094772000020
Figure 2022094772000021
Figure 2022094772000022
Figure 2022094772000023
Figure 2022094772000024
Figure 2022094772000025
Figure 2022094772000026
Figure 2022094772000027
表13~20中の略称を以下に示す。
基材1:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ製FOR、厚み20.0μm)
基材2:ポリエステルフィルム(フタムラ製FE2001、厚み23μm)
基材3:二軸延伸ポリエステルフィルムル(東レ製ルミラーS10、厚み100μm)
表13~20によれば、コロイド結晶層と、プライマー層、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層が、共に、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/mの範囲で含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/mの範囲で含む本願発明の積層体は、発色性、基材追従性、耐摩擦性、及び耐圧痕性に優れ、且つ耐光性、及び耐候性に優れていた。
一方、比較例の積層体は、発色性や基材追従性、耐摩擦性、耐圧痕性、耐光性、耐候性のいずれかが劣っていた。

Claims (15)

  1. 少なくとも基材層、プライマー層、及び樹脂微粒子を含むコロイド結晶層をこの順に有する積層体であって、
    前記積層体は、さらに、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層を有していてもよく、
    前記コロイド結晶層が、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/mの範囲で含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/mの範囲で含み、
    前記プライマー層、前記第1の樹脂層、前記第2の樹脂層、及び前記粘着層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層が、紫外線吸収剤由来の構成単位を0.05~2.0g/mの範囲で含む、及び/又は、光安定剤由来の構成単位を0.05~1.0g/mの範囲で含む積層体。
  2. 前記紫外線吸収剤が、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記光安定剤が、ヒンダードアミン系光安定剤である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記紫外線吸収剤由来の構成単位が、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構成単位である、請求項1~3いずれかに記載の積層体。
    一般式(1):エチレン性不飽和単量体(a1)
    Figure 2022094772000028
    [一般式(1)中、Xは、水素原子又はアルキル基を表す。]
  5. 前記光安定剤由来の構成単位が、下記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)由来の構成単位である、請求項1~4いずれかに記載の積層体。
    一般式(2):エチレン性不飽和単量体(a2)
    Figure 2022094772000029
    [一般式(2)中、Y及びZは、各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。]
  6. 前記樹脂微粒子が、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a1)、及び一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構成単位を含む、請求項1~5いずれかに記載の積層体。
    一般式(1):エチレン性不飽和単量体(a1)
    Figure 2022094772000030
    [一般式(1)中、Xは、水素原子又はアルキル基を表す。]

    一般式(2):エチレン性不飽和単量体(a2)
    Figure 2022094772000031
    [一般式(2)中、Y及びZは、各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。]
  7. 前記プライマー層を形成する樹脂が-40℃~50℃にガラス転移点を有する、請求項1~6いずれかに記載の積層体。
  8. 前記樹脂微粒子の平均粒子径が150~350nmである、請求項1~7いずれかに記載の積層体。
  9. 前記樹脂微粒子がコアシェル型樹脂微粒子である、請求項1~8いずれかに記載の積層体。
  10. 前記コアシェル型樹脂微粒子において、コアのガラス転移点が60℃以上であり、シェルのガラス転移点が-50~40℃である、請求項9に記載の積層体。
  11. 前記コロイド結晶層上に、第1の樹脂層を有する、請求項1~10いずれかに記載の積層体。
  12. 前記第1の樹脂層上に、第2の樹脂層を有する、請求項11に記載の積層体。
  13. さらに粘着層を有する、請求項1~12いずれかに記載の積層体。
  14. 前記コロイド結晶層が空隙を有する、請求項1~13いずれかに記載の積層体。
  15. 請求項1~14いずれかに記載の積層体を用いてなる波長カットフィルター。
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