JP2017223915A - 構造色フィルム形成用コーティング組成物、構造色フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微粒子を容易に規則配列することができるとともに、得られる固定化された結晶構造が十分な機械的強度と視覚効果を発現することができ、さらに量産性や低コストに優れる構造色フィルム形成用コーティング組成物、構造色フィルム及びその製造方法を提供する。【解決手段】プラスチック材料からなる基材フィルム上にコロイド結晶を形成した構造色フィルム形成用コーティング組成物であって、親水性樹脂を含む粒子保持層コーティング組成物と、親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒と、動的光散乱法により測定される平均粒子径が100nmから10μmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であり、かつ表面電荷の絶対値が20mV以上である粒子とからなり、粒子の含有量が固形分中5wt%以上60wt%以下である粒子発色層コーティング組成物とからなることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、規則構造を有するフォトニック結晶材料からなるデバイスに関し、さらに詳しくは見る角度によりその画像や色が変化する視覚効果を発現する構造色フィルム形成用コーティング組成物、構造色フィルム及びその製造方法に関する。
フォトニック結晶とは、屈折率の異なる材料が周期的に並んだ構造体で、その周期構造と光とが相互作用を起こし、透過や反射や屈折など特異な光特性を発現する。その相互作用と光特性には、ブラッグの反射理論がよく当てはまることが知られている。ブラッグの反射は原子の周期構造中を伝わる電子の波の反射現象で、バンド理論である。原子の周期構造はオングストローム単位であるが、ナノメートル単位の大きな周期構造のフォトニック結晶でも、同じ理論が適用できる。原子の伝導帯を指すバンドと同様に、光が透過する波長帯域である「フォトニックバンド」と、遮断される波長帯域である「フォトニックバンドギャップ」とがある。この光が透過する波長帯域(フォトニックバンド)と光が反射する波長帯域(フォトニックバンドギャップ)との境界付近の波長において、限定的な条件下でのみ発現する現象として、従来の光学材料では成し得なかった光特性として、負の屈折率や異常分散などがある。また、近年では、フォトニック結晶を光導波路として活用する研究が注目され、より小さな曲率半径で曲げても低損失な導波路を実現することができ、微細な光回路の実現には欠かせない技術と期待されている。
フォトニック結晶は、その構造の周期や形態によって、1次元/2次元/3次元のフォトニック結晶やコロイド結晶などと称される。1次元のフォトニック結晶は、異種材料を順次積層して作製することができる。しかし、2次元や3次元のフォトニック結晶の作製方法は複雑で、半導体プロセスの成膜/露光/エッチング工程を繰り返すことができる正確な製造工程が必要である。一方、コロイド結晶は微粒子が規則配列したフォトニック結晶であり、液中に粒径の揃った微粒子を分散放置して作製することができる。特に、微粒子表面に解離基を有するイオン性微粒子を極性溶媒中に分散させると、粒子の表面電荷の静電反発により粒子が規則配列し、コロイド結晶が形成される(非特許文献1)。また、コロイド結晶は、宝石のオパールに見られるような視野角の変化に伴って色相変化する構造色を呈する。構造色とは染料や顔料などの色材を使わない発色で、光の波長相当の規則構造が発現する光の干渉作用によって発現する光学効果である。光の波長相当の規則構造を形成する方法として、特許文献1には、粒径の揃った微粒子表面にグラフト鎖を形成したコア−シェル粒子を有機溶剤中に分散させると、グラフト鎖の立体反発によりコロイド結晶が形成されることが記載されている。しかし、これら液中で形成されたコロイド結晶は、マトリックスが液状であるため、振盪や振動などのわずかな外力や温度変化などの外部環境で、容易に規則配列が崩れてしまう。また、外力や流れなどのない条件で整地しても、ごく僅かの不純物イオンが混入することによって破壊されるという原理的な不安定性をもつ。
従って、結晶構造を実用に耐える力学的強度を持つマトリックス中に固定することが必要である。このため、高分子ヒドロゲルによるコロイド結晶の固定化手法(特許文献2)やゾルゲル化反応による固定化(特許文献3)や光硬化性化合物による固定化(特許文献4)が開発されている。
しかし、アクリルアミドゲルのような高分子ゲルによるコロイド結晶の固定化(特許文献2)では、反応系中に発生するイオン性のアクリル酸やアンモニウムイオンがコロイド結晶の規則配列を乱してしまう。また、反応系中に発生するイオンを低減するために、金属アルコキシドのゾルゲル反応で固定化する方法(特許文献3)の検討がなされているが、十分な効果が得られていない。また、ゲル中の水分蒸発により、微粒子の規則配列が乱れ、コロイド結晶としての光特性が消失してしまうものもある。また、微粒子表面に重合性基をグラフト導入し、グラフト鎖による立体反発による規則配列後に、光反応で固定化する方法(特許文献4)の検討がなされているが、グラフト鎖の高密度導入と安定化が難しく、微粒子の規則配列が乱れてしまうなど、効果が低い。さらに、微粒子をポリマー中に分散させたコーティング液(特許文献5)の検討がなされているが、コーティングにより微粒子の規則配列が乱れ、十分な光特性が得られない。また、いずれの方法も安定した量産化や高コストなど問題があった。
A.K.Sood.Solid State Phys.45,1991,1:K.S.Schmnitz, Macroions in solution and Colloidal Dispersion,VCH Inc., New York (1993).
特許文献2、3、4に記載された手法では、微粒子の規則配列が乱れてしまうという問題があった。また、特許文献5に記載された手法では、コーティングによって得られるコーティング膜に十分な機械的強度を持たせることができるが、見る角度によりその画像や色が変化する視覚効果を発現させることに問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、微粒子を容易に規則配列することができるとともに、得られる固定化された結晶構造が十分な機械的強度と視覚効果を発現することができ、さらに量産性や低コストに優れる構造色フィルム形成用コーティング組成物、構造色フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、プラスチック材料からなる基材フィルム上にコロイド結晶を形成した構造色フィルムのコーティング組成物であって、親水性樹脂を含む粒子保持層コーティング組成物と、親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒と、動的光散乱法により測定される平均粒子径が100nmから10μmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であり、かつ表面電荷の絶対値が20mV以上である粒子とからなり、粒子の含有量が固形分中5wt%以上60wt%以下である粒子発色層コーティング組成物とからなることを特徴とする、構造色フィルム形成用コーティング組成物である。
また、本発明は、プラスチック材料からなる基材フィルム上にコロイド結晶を形成した構造色フィルムの製造方法であって、親水性樹脂を含む粒子保持層コーティング組成物を基材フィルム上に塗布し、粒子保持層を形成する工程と、親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒と、動的光散乱法により測定される平均粒子径が100nmから10μmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であり、かつ表面電荷の絶対値が20mV以上である粒子とからなり、粒子の含有量が固形分中5wt%以上60wt%以下である粒子発色層コーティング組成物を調製する調液工程と、粒子発色層コーティング組成物を粒子保持層上に塗布する塗布工程と、粒子保持層上に塗布した粒子発色層コーティング組成物の塗膜を加熱し、粒子発色層を形成する加熱乾燥工程とを備えることを特徴とする、構造色フィルムの製造方法である。
また、加熱乾燥工程において、塗液に対し温度50℃以上150℃以下で加熱を行ってもよい。
また、本発明は、プラスチック材料からなる基材フィルム上にコロイド結晶を形成する構造色フィルムであって、フィルム基材上に、親水性樹脂を含む粒子保持層と、粒子発色層とが積層され、粒子発色層は、動的光散乱法により測定される平均粒子径が100nmから10μmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であり、かつ表面電荷の絶対値が20mV以上である粒子と、粒子保持層に含まれる親水性樹脂とが混合してなることを特徴とする、構造色フィルムである。
また、粒子発色層の上に、透明保護層を形成してもよい。
本発明によれば、微粒子を容易に規則配列することができるとともに、得られる固定化された結晶構造が十分な機械的強度と視覚効果を発現することができ、さらに量産性や低コストに優れる構造色フィルム形成用コーティング組成物、構造色フィルム及びその製造方法を実現できる。
また、本発明の構造色フィルム形成用コーティング組成物、構造色フィルム及びその製造方法によれば、構造色フィルム形成用コーティング組成物を所定の基材フィルムに塗布し、加熱乾燥処理することにより、粒子が規則配列した樹脂被膜を形成することができ、生産性の向上と低コスト化を実現できる。
図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は実施形態に係る構造色フィルム(1)の切断部端面を示す図である。図1に示すように、構造色フィルム(10)は、プラスチック材料からなる基材フィルム(11)上に、粒子保持層(12)と粒子発色層(13)とが順に形成されている。
[基材フィルム]
上記プラスチック材料からなる基材フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリC2−10オレフィン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン66の脂肪族系ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミドなどの芳香族ポリアミドなど)、ビニル系樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体)、セロファンなどからなるフィルムが例示できる。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。基材フィルムとしては、単一の樹脂で構成された単層フィルムや複数の樹脂を用いた単層又は積層フィルムを使用できる。
上記プラスチック材料からなる基材フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリC2−10オレフィン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン66の脂肪族系ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミドなどの芳香族ポリアミドなど)、ビニル系樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体)、セロファンなどからなるフィルムが例示できる。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。基材フィルムとしては、単一の樹脂で構成された単層フィルムや複数の樹脂を用いた単層又は積層フィルムを使用できる。
また、これらの樹脂を他の基材(金属、木材、紙、セラミックスなど)に積層した積層基材を使用してもよい。好ましい基材フィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂フィルム(特にポリプロピレンフィルムなど)、ポリエステル系樹脂フィルム(特にポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム)、ポリアミド系樹脂フィルム(特にナイロンフィルム)が例示できる。また、基材フィルムに用いるプラスチック材料は、添加剤を添加された材料であってもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤、などが挙げられる。
このような基材フィルムは、未延伸フィルムであってもよく、一軸又は二軸延伸配向フィルムであってもよく、表面処理(コロナ放電処理など)やアンカーコート又はアンダーコート処理を施したフィルムであってもよい。
また、基材フィルムの粒子保持層を形成する面に、コロナ処理、低温プラズマ処理などを施すことで、良好な濡れ性と接着強度を得ることができる。
基材フィルムの厚さは特に限定されるものではない。しかしながら、他の樹脂層の積層適性を考慮し、基材フィルムの厚さは、実用的には3〜200μm、好ましくは5〜120μm、さらに好ましくは10〜100μmの範囲で、かつ、価格や用途またはコーティング法によって適宜選択することがより好ましい。
さらに、本発明の構造色フィルムは、適宜、印刷層、アンカーコート層、オーバーコート層、遮光層、接着剤層、ヒートシール層等などを含んでいても構わない。
[粒子保持層]
次に、粒子保持層について説明する。粒子保持層は、基材フィルム上に塗布した親水性樹脂を含む粒子保持層コーティング組成物の塗膜により形成される。
次に、粒子保持層について説明する。粒子保持層は、基材フィルム上に塗布した親水性樹脂を含む粒子保持層コーティング組成物の塗膜により形成される。
[親水性樹脂]
上記親水性樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、アポビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性高分子やセルロースナノファイバーが例示できる。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。さらに、架橋剤などで架橋構造を持たせたものも使用できる。また、ポリビニルアルコールの場合、けん化度を変えることで物性を変化させてもよい。親水性樹脂は、用途に応じ、適宜選択することができる。
上記親水性樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、アポビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性高分子やセルロースナノファイバーが例示できる。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。さらに、架橋剤などで架橋構造を持たせたものも使用できる。また、ポリビニルアルコールの場合、けん化度を変えることで物性を変化させてもよい。親水性樹脂は、用途に応じ、適宜選択することができる。
また、粒子保持層の厚さは特に限定され制限を受けるものではない。しかしながら、後述する粒子発色層の積層適正を考慮し、粒子保持層の厚さは、実用的には0.5〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmの範囲で、かつ、用途によって適宜選択することが好ましい。
また、親水性樹脂は、溶媒に溶解して塗布してもよい。溶媒としては、水やイソプロピルアルコールなどを使用できる。これらの溶媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
[粒子発色層]
次に、粒子発色層について説明する。粒子発色層は、粒子保持層上に、後述する粒子と、親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒とからなる粒子発色層コーティング組成物を塗布し、この塗膜を加熱乾燥させて形成される。粒子発色層は、粒子と、粒子保持層に含まれる親水性樹脂成分とが混合してなる。
次に、粒子発色層について説明する。粒子発色層は、粒子保持層上に、後述する粒子と、親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒とからなる粒子発色層コーティング組成物を塗布し、この塗膜を加熱乾燥させて形成される。粒子発色層は、粒子と、粒子保持層に含まれる親水性樹脂成分とが混合してなる。
[粒子]
上記粒子としては、動的光散乱法により測定される平均粒子径が100nmから10μmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であり、かつ表面電荷の絶対値が20mV以上の粒子である。平均粒子径が100nmから10μmの範囲に含まれない場合、可視域の光が回折干渉されず、構造色を呈さない。また、平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%より大きいと、粒子が規則配列しても、回折干渉がおきにくく、構造色を呈さない。さらに、表面電荷の絶対値が20mVより小さいと、粒子間の静電反発が小さくなり、規則配列し難くなり、構造色を呈さない。このような粒子として、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、シリコーン粒子、ポリスチレンやアクリル樹脂などのポリマー粒子を用いることができる。また、これに限らず、適宜公知の材料より選択して用いることができる。具体的には、Silbol150、Silbol180、Silbol220、ME150、ME260、ME300、EX150、EX260、EX300(以上、富士化学製)、KE−P10、KE−P30(以上、日本触媒製)などを挙げることができる。
上記粒子としては、動的光散乱法により測定される平均粒子径が100nmから10μmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であり、かつ表面電荷の絶対値が20mV以上の粒子である。平均粒子径が100nmから10μmの範囲に含まれない場合、可視域の光が回折干渉されず、構造色を呈さない。また、平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%より大きいと、粒子が規則配列しても、回折干渉がおきにくく、構造色を呈さない。さらに、表面電荷の絶対値が20mVより小さいと、粒子間の静電反発が小さくなり、規則配列し難くなり、構造色を呈さない。このような粒子として、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、シリコーン粒子、ポリスチレンやアクリル樹脂などのポリマー粒子を用いることができる。また、これに限らず、適宜公知の材料より選択して用いることができる。具体的には、Silbol150、Silbol180、Silbol220、ME150、ME260、ME300、EX150、EX260、EX300(以上、富士化学製)、KE−P10、KE−P30(以上、日本触媒製)などを挙げることができる。
ここで、動的光散乱法とは、液体中でブラウン運動している粒子にレーザー光を照射し、粒子から生じる散乱光に含まれるゆらぎを検出し、ストークス・アインシュタイン式を利用して粒子径を測定するものである。また、平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値とは、平均粒子径に対する標準偏差の割合を示すもので、粒子径の均一さの指標となる。
シリカ粒子やイオン性ポリマー粒子はその表面に解離基を持つ。シリカ粒子は弱酸性のシラノール基を有し、イオン性ポリマー粒子は、粒子合成時に導入されるスルホン基、硫酸基またはカルボキシル基などを有する。これら粒子を極性溶媒中に分散させると、粒子表面が荷電し、粒子間に静電相互作用が働き、安定分散する。この静電相互作用は粒子表面の荷電量の増減によって、変化する。荷電した粒子表面に生じている表面電荷量を測定することは難しい。しかし、液中で荷電した粒子は、多くの場合、表面電荷を中和する量の反対符号の電荷で囲まれたイオン固定層とイオン拡散層とから成る電気二重層を形成している。このイオン固定層とイオン拡散層との境界面で生じる電位差をゼータ電位として測定することができる。ゼータ電位は粒子の表面電荷とは異なるものであるが、粒子表面に電荷があるため電位差が生じ、その電位差にしたがって電気二重層が形成されるため、ゼータ電位値を粒子の表面電荷値の目安と考えることができる。そのため、ゼータ電位を静電相互作用の指標とすることができる。
[溶媒]
上記親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒としては、水および低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)を使用できる。これらの溶媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
上記親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒としては、水および低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)を使用できる。これらの溶媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒と上述した粒子とからなる粒子発色層コーティング組成物の固形分及び粘度は、塗布方法に応じ適宜設定することができる。しかしながら、粒子保持層上に積層する適性を考慮し、粒子発色層における粒子の含有量が固形分中5〜80wt%、好ましくは5〜60wt%、さらに好ましくは15〜50wt%の範囲で、かつ価格や用途によって適宜選択することが好ましい。
また、上記粒子発色層の厚さは特に限定されるものではない。しかしながら、粒子保持層の親水性樹脂成分を溶解または膨潤させるために、粒子発色層コーティング組成物の膜厚は、実用的には1〜200μm、好ましくは2〜100μm、さらに好ましくは3〜50μmの範囲で、かつ、用途によって適宜選択することが好ましい。
次に、構造色フィルムの製造方法について説明する。構造色フィルムの製造は、基材フィルム上に粒子保持層コーティング組成物を塗布し粒子保持層を形成する粒子保持層形成工程と、粒子発色層コーティング組成物を調製する調液工程と、粒子保持層上に粒子発色層コーティング組成物を塗布する塗布工程と、塗布した粒子発色層コーティング組成物を加熱する加熱乾燥工程とを有する。
まず、粒子保持層形成工程では、上述したように、基材フィルム上に親水性樹脂を含む粒子保持層コーティング組成物を塗布し粒子保持層を形成する。
次に、調液工程では、親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒中に、上述した粒子を含有量が固形分中5wt%以上60wt%以下となるように添加し、超音波分散機で均一分散させ、粒子発色層コーティング組成物を調整する。
次に、塗布工程では、粒子保持層上に、粒子発色層コーティング組成物を塗布する。塗布方法として、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、などの塗布方法を用いることができる。塗布方式としては、枚葉状の基材フィルムに塗布する枚葉方式、(2)ロール状の基材フィルムに塗布するロール・ツー・ロール方式などいずれの方式でもよい。特に、ロール・ツー・ロール方式は連続的に生産することができるため、より好ましい。
次に、加熱乾燥工程では、粒子保持層上に塗布された粒子発色層コーティング組成物の塗膜を加熱し、粒子発色層コーティング組成物の塗膜中の親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒で粒子保持層の親水性樹脂を溶解または膨潤させる。溶解または膨潤させた親水性樹脂と粒子発色層コーティング組成物中の粒子とを混合させることで、粒子発色層を形成する。加熱乾燥手段としては、適宜公知の加熱乾燥手段を用いることができる。例えば、加熱乾燥手段として、加熱、送風、熱風、などを用いることができる。加熱乾燥処理を50℃以上150℃以下で行うことが好ましい。
以上のように、粒子保持層形成工程、調液工程、塗布工程及び加熱乾燥工程を経ることで、基材フィルム上に、粒子保持層と粒子発色層とを設けた構造色フィルムを製造することができる。
[粒子保持層コーティング組成物及び粒子発色層コーティング組成物の調液]
表1に示す材料及び固形分比率で配合して、実施例1〜8の粒子保持層コーティング組成物及び粒子発色層コーティング組成物と比較例1〜5の粒子保持層コーティング組成物及び粒子発色層コーティング組成物とを調液した。
表1に示す材料及び固形分比率で配合して、実施例1〜8の粒子保持層コーティング組成物及び粒子発色層コーティング組成物と比較例1〜5の粒子保持層コーティング組成物及び粒子発色層コーティング組成物とを調液した。
[コロイド結晶を形成した構造色フィルムの作製方法]
(実施例1)
実施例1の基材フィルムとして、厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚2.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚1.5μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例1に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
(実施例1)
実施例1の基材フィルムとして、厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚2.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚1.5μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例1に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
(実施例2)
実施例2の基材フィルムとして、厚さ50μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚2.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚2.1μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例2に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
実施例2の基材フィルムとして、厚さ50μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚2.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚2.1μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例2に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
(実施例3)
実施例3の基材フィルムとして、厚さ50μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚3.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚2.1μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例3に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
実施例3の基材フィルムとして、厚さ50μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚3.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚2.1μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例3に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
(実施例4)
実施例4の基材フィルムとして、厚さ50μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚2.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚2.4μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例4に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
実施例4の基材フィルムとして、厚さ50μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚2.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚2.4μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例4に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
(実施例5)
実施例5の基材フィルムとして、厚さ40μmのOPP(二軸延伸ポリプロピレン)を用いた。OPP基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、OPP基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚5.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚2.4μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例5に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
実施例5の基材フィルムとして、厚さ40μmのOPP(二軸延伸ポリプロピレン)を用いた。OPP基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、OPP基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚5.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚2.4μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例5に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
(実施例6)
実施例6の基材フィルムとして、厚さ60μmのOPPを用いた。OPP基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、OPP基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚3.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚6.0μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例6に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
実施例6の基材フィルムとして、厚さ60μmのOPPを用いた。OPP基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、OPP基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚3.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度100℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚6.0μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例6に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
(実施例7)
実施例7の基材フィルムとして、厚さ100μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚3.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚1.6μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例7に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
実施例7の基材フィルムとして、厚さ100μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚3.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚1.6μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例7に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
(実施例8)
実施例8の基材フィルムとして、厚さ188μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度120℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚3.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度120℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚1.6μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例8に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
実施例8の基材フィルムとして、厚さ188μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度120℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚3.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度120℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚1.6μmの粒子発色層を形成した。以上により、実施例8に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
(比較例1〜4)
比較例1〜4の基材フィルムとして、厚さ50μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度80℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚2.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度80℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚2.1μmの粒子発色層を形成した。以上により、比較例1〜4に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
比較例1〜4の基材フィルムとして、厚さ50μmのPETを用いた。PET基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、PET基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度80℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚2.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度80℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚2.1μmの粒子発色層を形成した。以上により、比較例1〜4に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
(比較例5)
比較例5の基材フィルムとして、厚さ60μmのOPPを用いた。OPP基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、OPP基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚3.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚1.2μmの粒子発色層を形成した。以上により、比較例5に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
比較例5の基材フィルムとして、厚さ60μmのOPPを用いた。OPP基材の表面にコロナ処理を施し、基材表面を親水化した。次に、OPP基材のコロナ処理を施した面上に、上記の表1に示す粒子保持層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、溶媒を蒸発させて、膜厚3.0μmの粒子保持層を形成した。次に、粒子保持層上に、上記の表1に示す粒子発色層コーティング組成物をワイヤーバーにて塗布した後、温度110℃のオーブン中で1分間放置し、親水性樹脂と粒子とを混合させて、膜厚1.2μmの粒子発色層を形成した。以上により、比較例5に係るコロイド結晶を形成した構造色フィルムを作製した。
上記実施例1〜8及び比較例1〜5に係る構造色フィルムにおける、基材の種類及び厚み、粒子保持層の乾燥温度、乾燥時間及び厚み、並びに粒子発色層の乾燥温度、乾燥時間及び厚みについて、下記表2に示す。
[評価方法]
それぞれ作製した構造色フィルムに関し、目視による視覚効果の評価を行った。また、紫外線可視分光装置(島津製作所製UV4100)で分光スペクトルを測定し、極大波長λmaxと反射率とを求めた。また、走査型電子顕微鏡SEM(日立製作所製S4800)を用いて粒子の規則配列を観察した。
それぞれ作製した構造色フィルムに関し、目視による視覚効果の評価を行った。また、紫外線可視分光装置(島津製作所製UV4100)で分光スペクトルを測定し、極大波長λmaxと反射率とを求めた。また、走査型電子顕微鏡SEM(日立製作所製S4800)を用いて粒子の規則配列を観察した。
評価結果を表3に示した。
実施例1から8は見る角度によって、色が変化する虹彩色を呈した。一方、比較例1から5は膜を形成せず、粒子が浮かび上がり白色を呈した。比較例2は全体的に白濁しており、色変化を示さなかった。
また、実施例1の極大波長は304nmで高い反射率を示した。また、図2は、実施例2に係る構造色フィルムの分光スペクトル図であり、実施例1〜8に係る構造色フィルムの分光スペクトル図の一例として図示したものである。図2にも示すように、実施例2は極大波長552nmで高い反射率を示した。実施例1〜実施例8の全てにおいて、コロイド結晶由来の構造色を呈した。しかし、比較例1と2は極大波長を示さず、粒子による散乱光で白濁していた。
図3は、実施例2に係る構造色フィルムのSEMの観察像を示す図であり、実施例1〜8に係る構造色フィルムのSEMの観察像の一例として図示したものである。図3に示すように、実施例2の構造色フィルムの断面観察から粒子が規則配列していることが分かる。
本発明によってなるフォトニック結晶材料からなるデバイスは、見る角度によりその画像や色が変化する視覚効果を発現するため、偽造防止やセキュリティ用途、加飾や装飾用途などで使用することができる。また、従来の方法と異なり、コーティングによって規則構造を形成できるため、生産性向上など産業上優れた機能を有する。
10…構造色フィルム
11…基材フィルム
12…粒子保持層
13…粒子発色層
11…基材フィルム
12…粒子保持層
13…粒子発色層
Claims (5)
- プラスチック材料からなる基材フィルム上にコロイド結晶を形成した構造色フィルム形成用コーティング組成物であって、
親水性樹脂を含む粒子保持層コーティング組成物と、
前記親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒と、動的光散乱法により測定される平均粒子径が100nmから10μmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であり、かつ表面電荷の絶対値が20mV以上である粒子とからなり、前記粒子の含有量が固形分中5wt%以上60wt%以下である粒子発色層コーティング組成物とからなることを特徴とする、構造色フィルム形成用コーティング組成物。 - プラスチック材料からなる基材フィルム上にコロイド結晶を形成した構造色フィルムの製造方法であって、
親水性樹脂を含む粒子保持層コーティング組成物を前記基材フィルム上に塗布し、粒子保持層を形成する工程と、
前記親水性樹脂を溶解または膨潤させる溶媒と、動的光散乱法により測定される平均粒子径が100nmから10μmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であり、かつ表面電荷の絶対値が20mV以上である粒子とからなり、前記粒子の含有量が固形分中5wt%以上60wt%以下である粒子発色層コーティング組成物を調製する調液工程と、
前記粒子発色層コーティング組成物を前記粒子保持層上に塗布する塗布工程と、
前記粒子保持層上に塗布した前記粒子発色層コーティング組成物の塗膜を加熱し、粒子発色層を形成する加熱乾燥工程とを備えることを特徴とする、構造色フィルムの製造方法。 - 前記加熱乾燥工程において、前記塗液に対し温度50℃以上150℃以下で加熱を行うことを特徴とする、請求項2記載の構造色フィルムの製造方法。
- プラスチック材料からなる基材フィルム上にコロイド結晶を形成する構造色フィルムであって、
前記前記フィルム基材上に、親水性樹脂を含む粒子保持層と、粒子発色層とが積層され、
前記粒子発色層は、動的光散乱法により測定される平均粒子径が100nmから10μmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であり、かつ表面電荷の絶対値が20mV以上である粒子と、前記粒子保持層に含まれる前記親水性樹脂とが混合してなることを特徴とする、構造色フィルム。 - プラスチック材料からなる基材フィルム上にコロイド結晶を形成する構造色フィルムであって、前記粒子発色層の上に、透明保護層を形成することを特徴とする、請求項4記載の構造色フィルム。
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