JPWO2016098797A1 - 電子部品用光硬化性組成物及び電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

高温下に晒されても、発泡、剥離及び変色が生じ難い硬化物膜を得ることができ、かつ白色顔料が使用されていることにより、光の反射率が高い硬化物膜を得ることができる光硬化性組成物を提供する。本発明に係る光硬化性組成物は、カルボキシル基を有さず、エチレン性不飽和結合を2個以上有し、かつ、2000以上の重量平均分子量を有する光硬化性化合物と、エチレン性不飽和結合を1個以上有する反応性希釈剤と、チオール基を1個以上有するチオール基含有化合物と、白色顔料と、光重合開始剤とを含み、熱硬化性化合物を含まないか、又は、熱硬化性化合物を5重量%以下で含む。

Description

本発明は、光の照射により硬化されて用いられる光硬化性組成物に関する。また、本発明は、上記光硬化性組成物を用いる電子部品の製造方法に関する。
プリント配線板を高温のはんだから保護するための保護膜として、ソルダーレジスト膜が広く用いられている。
また、様々な電子部品において、プリント配線板の上面に発光ダイオード(以下、LEDと略す)チップが搭載されている。LEDから発せられた光の内、上記プリント配線板の上面側に到達した光も利用するために、プリント配線板の上面に白色ソルダーレジスト膜が形成されていることがある。白色ソルダーレジスト膜は、白色顔料を含む。このような白色ソルダーレジスト膜を形成した場合には、LEDチップの表面からプリント配線板とは反対側に直接照射される光だけでなく、プリント配線板の上面側に到達し、白色ソルダーレジスト膜により反射された反射光も利用できる。従って、LEDから生じた光の利用効率を高めることができる。
また、ソルダーレジスト膜用途以外にも、様々な光反射用途において、白色顔料を含む硬化物膜が用いられている。
上記白色ソルダーレジスト膜を形成するための材料の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂と加水分解性アルコキシシランとの脱アルコール反応により得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有し、かつ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂と、希釈剤と、光重合開始剤と、硬化密着性付与剤とをさらに含有するレジスト材料が開示されている。
下記の特許文献2には、芳香環を有さないカルボキシル基含有樹脂と、光重合開始剤と、エポキシ化合物と、ルチル型酸化チタンと、希釈剤とを含有する白色ソルダーレジスト材料が開示されている。
下記の特許文献3には、白色インク層とアンダーコート層とを含む2層のLED用ソルダーレジスト膜を形成するための組成物が開示されている。上記白色インク層を形成するための組成物は、(A1)ウレタンアクリレート樹脂又はウレタンアクリレート樹脂とエポキシアクリレート樹脂との混合物である光重合反応性ポリマー、(A2)上記光重合反応性ポリマー(A1)100質量部に対して100〜170質量部の白色顔料、及び(A3)上記光重合反応性ポリマー(A1)100質量部に対して10〜50質量部の光重合開始剤を含む。上記アンダーコート層を形成するための組成物は、(B1)エポキシアクリレート樹脂である光重合反応性ポリマー、(B2)上記光重合反応性ポリマー(B1)100質量部に対して200〜300質量部の充填材、及び(B3)上記光重合反応性ポリマー(B1)100質量部に対して10〜50質量部の光重合開始剤を含む。
下記の特許文献4には、(A)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂、(B)アシルフォスフィン系光重合開始剤、(C)ベンゾイルオキシム系光重合開始剤、(D)酸化チタン、及び(E)反応性希釈剤を含む白色活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が開示されている。
特開2007−249148号公報 特開2007−322546号公報 特開2013−194057号公報 特開2014−043523号公報
特許文献1,2に記載の材料では、レジスト膜を形成するために、フォトリソグラフィーにおける露光工程及び現像工程などの多くの工程が必要である。このため、工程数が多く、電子部品などの製造効率が悪い。
更に、特許文献1,2に記載の材料では、酸又はアルカリなどの薬液を用いた現像を行うため、環境負荷が大きい。さらに、現像により除去されるレジスト層部分を形成するために、余分なレジスト材料を用いなければならない。また、現像により除去されたレジスト層部分は廃棄物となる。このため、廃棄物の量が多いので環境負荷が大きい。
特許文献3では、白色インク層とアンダーコート層とを含む2層のLED用ソルダーレジスト膜を形成している。この場合は、白色インク層を形成するための組成物と、アンダーコート層を形成するための組成物とを別に用意し、さらにこれらの2つの組成物を別に塗布する作業が必要である。このため、電子部品などの製造効率が悪く、電子部品の製造コストも高くなる。
さらに、特許文献1〜4に記載のような従来の材料では、レジスト膜が高温に晒されたときに、発泡及び剥離が生じることがある。また、レジスト膜の耐熱性が低く、高温下に晒されたレジスト膜が変色することがある。
本発明の目的は、高温下に晒されても、発泡、剥離及び変色が生じ難い硬化物膜を得ることができ、かつ白色顔料が使用されていることにより、光の反射率が高い硬化物膜を得ることができる光硬化性組成物を提供することである。また、本発明は、上記光硬化性組成物を用いる電子部品の製造方法を提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、カルボキシル基を有さず、エチレン性不飽和結合を2個以上有し、かつ、2000以上の重量平均分子量を有する光硬化性化合物と、エチレン性不飽和結合を1個以上有する反応性希釈剤と、チオール基を1個以上有するチオール基含有化合物と、白色顔料と、光重合開始剤とを含み、熱硬化性化合物を含まないか、又は、熱硬化性化合物を5重量%以下で含む、光硬化性組成物が提供される。
本発明に係る光硬化性組成物のある特定の局面では、前記光硬化性化合物と前記反応性希釈剤との合計100重量部に対して、前記チオール基含有化合物の含有量が0.2重量部以上、20重量部以下である。
本発明に係る光硬化性組成物のある特定の局面では、前記反応性希釈剤が、(メタ)アクリロイル基を1個以上有する。
本発明に係る光硬化性組成物のある特定の局面では、光硬化性組成物100重量%中、前記光硬化性化合物の含有量が5重量%以上、30重量%以下である。
本発明に係る光硬化性組成物のある特定の局面では、光硬化性組成物100重量%中、前記白色顔料の含有量が30重量%以上である。
本発明に係る光硬化性組成物のある特定の局面では、前記光硬化性化合物が、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート又は芳香族骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートである。
本発明に係る光硬化性組成物のある特定の局面では、前記光硬化性化合物が、エポキシ(メタ)アクリレートである。
本発明に係る光硬化性組成物のある特定の局面では、光硬化性組成物は、光照射により硬化されて用いられ、かつ現像を行わずにレジスト膜を形成するために用いられる。
本発明に係る光硬化性組成物は、好ましくは、塗布対象部材の表面上に、部分的にかつ複数の箇所に塗布して用いられる。
本発明に係る光硬化性組成物は、好ましくは、熱硬化剤の作用により熱硬化させて用いられない。
本発明の広い局面によれば、電子部品本体の表面上に、上述した光硬化性組成物を塗布して、組成物層を形成する工程と、前記組成物層に光を照射して、硬化物膜を形成する工程とを備え、前記硬化物膜を形成するために、前記組成物層を現像しない、電子部品の製造方法が提供される。
本発明に係る電子部品の製造方法のある特定の局面では、前記電子部品本体の表面上に、部分的にかつ複数の箇所に、前記光硬化性組成物を塗布する。
本発明に係る電子部品の製造方法のある特定の局面では、前記硬化物膜を形成するために、熱硬化剤の作用により前記組成物層を熱硬化させない。
本発明に係る光硬化性組成物は、カルボキシル基を有さず、エチレン性不飽和結合を2個以上有し、かつ、2000以上の重量平均分子量を有する光硬化性化合物と、エチレン性不飽和結合を1個以上有する反応性希釈剤と、チオール基を1個以上有するチオール基含有化合物と、白色顔料と、光重合開始剤とを含み、熱硬化性化合物を含まないか、又は、熱硬化性化合物を5重量%以下で含むので、高温下に晒されても、発泡、剥離及び変色が生じ難い硬化物膜を得ることができ、かつ白色顔料が使用されていることにより、光の反射率が高い硬化物膜を得ることができる。
図1(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る光硬化性組成物を用いて、電子部品を製造する方法の一例を説明するための断面図である。 図2(a)〜(e)は、従来の現像型レジスト組成物を用いて、電子部品を製造する方法の一例を説明するための断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
[非現像型レジスト光硬化性組成物]
本発明に係る非現像型レジスト光硬化性組成物(以下、光硬化性組成物と略記することがある)は、光の照射により硬化されて用いられ、かつ現像を行わずにレジスト膜を形成するために用いられることが好ましい。本発明に係る光硬化性組成物は、非現像型レジスト光硬化性組成物であることが好ましい。本発明に係る光硬化性組成物を用い、レジスト膜を形成するために現像が行われない場合には、光硬化性組成物は、レジスト膜を形成するために現像を行う現像型レジスト組成物とは異なる。本発明に係る光硬化性組成物では、現像を行わなくても、良好なレジスト膜を得ることができる組成が採用されている。
本発明に係る光硬化性組成物は、(A)カルボキシル基を有さず、エチレン性不飽和結合を2個以上有し、かつ、2000以上の重量平均分子量を有する光硬化性化合物と、(B)エチレン性不飽和結合を1個以上有する反応性希釈剤と、(C)チオール基を1個以上有するチオール基含有化合物と、(D)白色顔料と、(E)光重合開始剤とを含む。本発明に係る光硬化性組成物は、(F)熱硬化性化合物を含まないか、又は、(F)熱硬化性化合物を5重量%以下で含む。
本発明では、上記の構成が採用されているので、現像を行わなくても、塗布対象部材に対する硬化物膜(レジスト膜など)の密着性を高めることができる。例えば、基板などの電子部品本体と硬化物膜(レジスト膜など)との密着性を高めることができ、硬化物膜(レジスト膜など)の剥離を抑えることができる。さらに、本発明に係る光硬化性組成物は、(D)白色顔料を含むので、白色の硬化物膜(レジスト膜など)を形成することができ、光の反射率が高い硬化物膜(レジスト膜など)を得ることができる。硬化物膜(レジスト膜など)が白色であることにより、硬化物膜(レジスト膜など)の光の反射率を高めることができる。さらに、本発明では、上記の構成が採用されているので、高温下に晒されても、発泡、剥離及び変色が生じ難い硬化物膜(レジスト膜など)を得ることができる。このため、硬化物膜(レジスト膜など)を備える電子部品等の信頼性を高めることができる。
さらに、本発明では、フォトリソグラフィーにおける露光工程及び現像工程などの多くの工程を行わなくても、良好な硬化物膜(レジスト膜など)を形成することができる。露光工程及び現像工程を行わない場合には、廃棄物の量を少なくすることができ、環境負荷を低減できる。さらに、電子部品などの製造コストも低くすることができる。
光の照射により硬化させる一般的な光硬化性組成物では、良好な硬化した硬化物膜を形成するためには、光の照射時間を長くする必要がある。一方で、硬化物膜の形成効率を高めるためには、光の照射時間は短いことが好ましい。しかし、光の照射時間を短くすると、硬化物膜が高温に晒されたときに、発泡及び剥離が生じることがあり、また、硬化物膜の耐熱性が低く、高温下に晒された硬化物膜が変色することがある。これに対して、本発明では、上記の構成が採用されているので、光の照射時間を短くしても、高温下に晒されても、発泡、剥離及び変色が生じ難い硬化物を得ることができる。
上記光硬化性組成物は、光の照射により硬化させるために、(F)熱硬化性化合物を含んでいなくてもよく、熱硬化剤を含んでいなくてもよい。上記光硬化性組成物は、熱硬化剤の作用により熱硬化させて用いられないことが好ましい。上記硬化物膜(レジスト膜など)を形成するために、塗布対象部材の表面上に配置された組成物層(レジスト層など)を熱硬化させなくてもよい。上記硬化物膜(レジスト膜など)を形成するために、塗布対象部材の表面上に配置された組成物層(レジスト層など)を加熱しなくてもよい。但し、上記組成物層(レジスト層など)では、低温での加熱が行われてもよい。上記硬化物膜(レジスト膜など)を形成するために、上記組成物層(レジスト層など)を、280℃以上に加熱しないことが好ましく、180℃以上に加熱しないことがより好ましく、60℃以上に加熱しないことが更に好ましい。上記組成物層(レジスト層など)を加熱する温度が低いほど、電子部品本体などの塗布対象部材の熱劣化を抑えることができる。
以下、上記光硬化性組成物に含まれる各成分を説明する。
((A)カルボキシル基を有さず、エチレン性不飽和結合を2個以上有し、かつ、2000以上の重量平均分子量を有する光硬化性化合物)
上記光硬化性組成物に含まれる(A)光硬化性化合物は、カルボキシル基を有さず、エチレン性不飽和結合を2個以上有し、かつ、2000以上の重量平均分子量を有する。(A)光硬化性化合物の使用により、塗布対象部材に対する硬化物膜の密着性が効果的に高くなる。特に(D)白色顔料の含有量が多い場合に、(A)光硬化性化合物を用いていないと、硬化物膜の密着性が低くなりやすい傾向がある。(A)光硬化性化合物を用いることで、(D)白色顔料の含有量が多くても、硬化物膜の密着性を高めることができる。また、(A)光硬化性化合物がカルボキシル基を有さないことにより、硬化物膜におけるカルボキシル基による悪影響を防ぐことができ、例えば硬化物膜の変色を抑えることができる。(A)光硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(A)光硬化性化合物におけるエチレン性不飽和結合を含む基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。効果的に反応を進行させ、発泡、剥離及び変色をより一層抑制する観点からは、(メタ)アクリロイル基が好ましい。(A)光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
塗布対象部材に対する硬化物膜の密着性を高める観点からは、(A)光硬化性化合物は、(A1)エポキシ(メタ)アクリレートであることが好ましい。硬化物膜の硬度を高める観点からは、(A1)エポキシ(メタ)アクリレートは、2官能のエポキシ(メタ)アクリレートと、3官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートとを含むことが好ましい。2官能のエポキシ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を2個有することが好ましい。3官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を3個以上有することが好ましい。
(A1)エポキシ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られる。(A1)エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ基を(メタ)アクリロイル基に変換することにより得ることができる。上記光硬化性組成物は光の照射により硬化させるので、(A1)エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ基を有さないことが好ましい。
(A1)エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート(例えば、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールS型エポキシ(メタ)アクリレート)、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、アミン変性ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能のエポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、KAYARAD R−381(日本化薬社製、ビスフェノールA型エポキシアクリレート)、EBECRYL3701及びEBECRYL3708(ダイセル・オルネクス社製、変性ビスフェノールA型エポキシアクリレート)等が挙げられる。また、3官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、EBECRYL3603(ダイセル・オルネクス社製、ノボラックエポキシアクリレート)等が挙げられる。また、2官能のエポキシ(メタ)アクリレートの水酸基を変性させて、(メタ)アクリロイル基を導入することにより、3官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートを得てもよい。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
(A)光硬化性化合物の重量平均分子量は2000以上である。(A)光硬化性化合物の重量平均分子量が2000未満であると、硬化物膜の密着性が悪くなったり、リフロー後の発泡や変色が生じたりする傾向がある。(A)光硬化性化合物の重量平均分子量は好ましくは20000以下である。
(A)光硬化性化合物及び(B)反応性希釈剤における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算での重量平均分子量であり、下記の測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置:日本ウォーターズ社製「Waters GPC System(Waters 2690+Waters 2414(RI))」
測定条件カラム:Shodex GPC LF−G×1本、Shodex GPC LF−804×2本
移動相:THF 1.0mL/分
サンプル濃度:5mg/mL
検出器:示差屈折率検出器(RID)
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製、分子量:620〜590000)
発泡、剥離及び変色を効果的に抑える観点からは、(A)光硬化性化合物は、脂環式骨格を有する化合物ではないことが好ましく、脂環式骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートではないことが好ましい。発泡、剥離及び変色をより一層抑える観点からは、(A)光硬化性化合物は、芳香族骨格を有する化合物を含むことが好ましく、芳香族骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
発泡、剥離及び変色を効果的に抑える観点からは、(A)光硬化性化合物は、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート又は芳香族骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートであることが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレート、又は芳香族骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
(A1)エポキシ(メタ)アクリレートは、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、又は脂肪族エポキシ化合物などのエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸とを反応させることにより得られる。
(A1)エポキシ(メタ)アクリレートは、水酸基を有するエポキシ(メタ)アクリレートの水酸基を変性させたエポキシ(メタ)アクリレートであってもよい。この場合には、架橋度を高め、硬度を高めることができる。変性に用いることができる化合物としては、シランカップリング剤、及びイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、スルフィド基、ウレイド基、及びイソシアネート基などの官能基を有する化合物等が挙げられる。光反応性があるので、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、又はメルカプト基を有する化合物が好ましい。イソシアネート基を有するモノマーとしては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、又はメルカプト基を有する化合物等が挙げられる。
上記光硬化性組成物100重量%中、(A)光硬化性化合物及び(A1)エポキシ(メタ)アクリレートの含有量は好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。(A)光硬化性化合物及び(A1)エポキシ(メタ)アクリレートの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物膜の密着性が効果的に高くなる。また、硬化物膜の密着性を効果的に高める観点から、上記光硬化性組成物100重量%中、重量平均分子量が2000以上である2官能のエポキシ(メタ)アクリレートと、重量平均分子量が2000以上である3官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートとの合計の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
((B)エチレン性不飽和結合を1個以上有する反応性希釈剤)
(B)反応性希釈剤は、エチレン性不飽和結合を1個以上有する。(A)光硬化性化合物とともに(B)反応性希釈剤を用いることにより、(D)白色顔料の含有量が多くても、硬化物膜の密着性を効果的に高めることができ、更に光硬化性組成物の粘度を最適な範囲に制御することが容易である。(B)反応性希釈剤には、重量平均分子量が2000以上である(A)光硬化性化合物は含まれない。(B)反応性希釈剤の重量平均分子量は一般に2000未満であり、好ましくは800以下、より好ましくは600以下である。(B)反応性希釈剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(B)反応性希釈剤におけるエチレン性不飽和結合を含む基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。効果的に反応を進行させ、発泡、剥離及び変色をより一層抑制する観点からは、(メタ)アクリロイル基が好ましい。(B)反応性希釈剤は、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
(B)反応性希釈剤としては、特に限定されず、多価アルコールの(メタ)アクリル酸付加物、多価アルコールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリル酸付加物、ウレタン(メタ)アクリレート、及びポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、及びペンタエリスリトール等が挙げられる。
(B)反応性希釈剤は、(B1)エチレン性不飽和結合を1個有する化合物であってもよい。硬化物膜の密着性をより一層高める観点からは、(B)反応性希釈剤は、(B1)エチレン性不飽和結合を1個有する化合物を含むことが好ましく、(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物を含むことが好ましい。
(B)反応性希釈剤は、エチレン性不飽和結合を2個有する化合物を含んでいてもよく、(B2)エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物を含んでいてもよい。硬化物膜の密着性を更に一層高める観点からは、(B)反応性希釈剤は、(B2)エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物を含むことが好ましく、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を含むことが好ましい。
硬化物膜の密着性をより一層高める観点からは、(B)反応性希釈剤は、脂環式化合物を含むか、又は、芳香環又は水酸基を含むことが好ましい。単官能の成分が好ましいが、二官能などの多官能の複数成分が含まれていてもよい。
上記光硬化性組成物100重量%中、(B)反応性希釈剤及び(B2)エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物の含有量は好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。(B)反応性希釈剤及び(B2)エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物膜の密着性が効果的に高くなる。
((C)チオール基を1個以上有するチオール基含有化合物)
(C)チオール基を1個以上有するチオール基含有化合物の使用により、高温下に晒されても、発泡及び剥離が生じ難い硬化物膜を得ることができ、かつ、耐熱性が高い硬化物膜を得ることができることができる。(C)チオール基含有化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(C)チオール基含有化合物としては、メルカプト酢酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸4−メトキシブチル、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸n−オクチル、3−メルカプトプロピオン酸ステアリル、1,4−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ブタン、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、トリス[2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス[2−(3−メルカプトブチリルオキシ)エチル]イソシアヌレート等のメルカプトカルボン酸エステル化合物;エチルメルカプタン、1,2−ジメルカプトエタン、1,3−ジメルカプトプロパン、tert−ブチルメルカプタン、n−ドデカンチオール、tert−ドデカンチオール等のメルカプトアルカン化合物;2−メルカプトエタノール、4−メルカプト−1−ブタノール等のメルカプトアルコール化合物;チオフェノール、ベンジルチオール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール、2−ナフタレンチオール、2−ピリジルチオール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等の含芳香環メルカプタン化合物;(γ−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン及び(γ−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン等のシラン含有チオール化合物等が挙げられる。
(C)チオール基含有化合物は、メルカプトカルボン酸エステル化合物であることが好ましく、2級チオール化合物であることがより好ましい。メルカプトカルボン酸エステル化合物を用いると、メルカプトカルボン酸エステル化合物が光硬化時に架橋構造に取り込まれることから、硬化後の揮発成分を抑制することができ、発泡をより一層抑制することができる。2級チオール化合物を用いると、チオール基含有化合物独特の臭気を抑制することができる。
(C)チオール基含有化合物の具体例としては、SC有機化学社製のトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(TMMP)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PEMP)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート(TEMPIC)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(EGMP−4)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)(DPMP)等の1級多官能チオール、昭和電工社製のペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(カレンズMT NR1)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(カレンズMT BD1)等の2級多官能チオール、SC有機化学社製の(β−メルカプトプロピオン酸(BMPA)、メチル−3−メルカプトプロピオネート(MPM)、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート(EHMP)、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(NOMP)、メトキシブチル−3−メルカプトプロピオネート(MBMP)、ステアリル−3−メルカプトプロピオネート(STMP)等の単官能チオール等が挙げられる。
上記光硬化性組成物100重量%中、(C)チオール基含有化合物の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。(C)チオール基含有化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物膜における発泡、剥離及び変色がより一層抑制される。また、(C)チオール基含有化合物の含有量が上記上限以下であると、保存中にゲル化が進行しにくい。(C)チオール基含有化合物の含有量が上記下限以上であると、硬化性がより一層高くなる。
(A)光硬化性化合物と(B)反応性希釈剤との合計100重量部に対して、(C)チオール基含有化合物の含有量は好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは6重量部以下である。(C)チオール基含有化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物膜における発泡、剥離及び変色がより一層抑制される。また、(C)チオール基含有化合物の含有量が上記上限以下であると、保存中にゲル化が進行しにくい。(C)チオール基含有化合物の含有量が上記下限以上であると、硬化性がより一層高くなる。
((D)白色顔料)
上記光硬化性組成物が(D)白色顔料を含むことにより、光の反射率が高い硬化物膜を形成することができる。(D)白色顔料の使用によって、(D)白色顔料以外の充填材のみを用いた場合と比較して、光の反射率が高い硬化物膜が得られる。(D)白色顔料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(D)白色顔料としては、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン及び酸化マグネシウム等が挙げられる。
硬化物膜の光の反射率をより一層高める観点からは、(D)白色顔料は、酸化チタン、酸化亜鉛又は酸化ジルコニウムであることが好ましい。この好ましい白色顔料を用いる場合に、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウムの中で、1種又は2種以上の白色顔料を用いることができる。(D)白色顔料は、酸化チタン又は酸化亜鉛であることが好ましく、酸化チタンであることが好ましく、酸化亜鉛であることが好ましい。(D)白色顔料は、酸化ジルコニウムであってもよい。
上記酸化チタンは、ルチル型酸化チタンであることが好ましい。ルチル型酸化チタンの使用により、硬化物膜の耐熱性がより一層高くなり、硬化物膜の変色がより一層抑えられる。
上記酸化チタンは、アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタン(アルミニウム酸化物による表面処理物であるルチル型酸化チタン)であることが好ましい。上記アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンの使用により、硬化物膜の耐熱性がより一層高くなる。
上記アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンとしては、例えば、ルチル塩素法酸化チタンである石原産業社製「CR−90−2」、ルチル塩素法酸化チタンである石原産業社製「CR−58」、ルチル塩素法酸化チタンであるデュポン社製「R−900」、並びにルチル硫酸法酸化チタンである石原産業社製「R−630」等が挙げられる。
上記酸化亜鉛は、表面処理された酸化亜鉛であることが好ましい。成型体の加工性及び成型体の光の反射率をより一層高める観点からは、上記酸化亜鉛は、珪素、アルミニウム又はジルコニアを含む材料により表面処理されていることが好ましく、珪素を含む材料により表面処理されていることがより好ましい。上記酸化亜鉛は、上記の材料による表面処理物であることが好ましい。上記珪素を含む材料は、シリコーン化合物であることが好ましい。
上記酸化ジルコニウムは、表面処理された酸化ジルコニウムであることが好ましい。硬化物膜の光の反射率をより一層高める観点からは、上記酸化ジルコニウムは、珪素、アルミニウム又はジルコニアを含む材料により表面処理されていることが好ましく、珪素を含む材料により表面処理されていることがより好ましい。上記珪素を含む材料は、シリコーン化合物であることが好ましい。
上記表面処理の方法は特に限定されない。表面処理の方法として、乾式法、湿式法、インテグラルブレンド法、並びに他の公知慣用の表面処理方法を用いることができる。
(D)白色顔料の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、好ましくは40μm以下である。上記平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物膜の光の反射率をより一層高めることができる。
上記光硬化性組成物100重量%中、(D)白色顔料の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。(D)白色顔料の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物膜の光の反射率がより一層高くなり、上記硬化物膜の密着性がより一層高くなる。上記光硬化性組成物100重量%中、(D)白色顔料の含有量は、50重量%以上であってもよい。
本発明では、特定の組成が採用されているために、(D)白色顔料の含有量が多くても、硬化物膜の密着性を高めることができる。例えば、上記光硬化性組成物100重量%中、(D)白色顔料の含有量が50重量%以上であっても、硬化物膜の密着性が十分に高くなる。
((E)光重合開始剤)
上記光硬化性組成物は、(E)光重合開始剤を含むので、光の照射により光硬化性組成物を硬化させることができる。(E)光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(E)光重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキサイド、ハロメチル化トリアジン、ハロメチル化オキサジアゾール、イミダゾール、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、アントラキノン、ベンズアンスロン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、チオキサントン、安息香酸エステル、アクリジン、フェナジン、チタノセン、α−アミノアルキルフェノン、オキシム、及びこれらの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、o−ベンゾイル安息香酸メチル及びミヒラーズケトン等が挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤の市販品としては、EAB(保土谷化学社製)等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤の市販品としては、ダロキュア1173、ダロキュア2959、イルガキュア184、イルガキュア907、及びイルガキュア369(チバスペシャリティーケミカルズ社製)等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤の市販品としては、イルガキュア651(チバスペシャリティーケミカルズ社製)等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、Lucirin TPO(BASF社製)、及びイルガキュア819(チバスペシャリティーケミカルズ社製)等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤の市販品としては、イソプロピルチオキサントン、及びジエチルチオキサントン等が挙げられる。
アルキルフェノン系光重合開始剤の市販品としては、ダロキュア1173、ダロキュア2959、イルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア651(BASF社製)、及びエサキュア1001M(Lamberti社製)等が挙げられる。
発泡、剥離及び変色をより一層抑制する観点からは、(E)光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を含むことが好ましく、アセトフェノン系光重合開始剤と、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤との双方を含むことがより好ましく、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤と、ビスアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤との双方を含むこともより好ましい。
(A)光硬化性化合物と(B)反応性希釈剤との合計100重量部に対して、(E)光重合開始剤の含有量は好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。(E)光重合開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光硬化性組成物を良好に光硬化させることができる。
((F)熱硬化性化合物)
上記光硬化性組成物は、(F)熱硬化性化合物を含まないか、又は、(F)熱硬化性化合物を5重量%以下で含む。本発明では、(F)熱硬化性化合物の使用する場合には、(F)熱硬化性化合物の使用量を少なくする。(F)熱硬化性化合物の含有量が5重量%以下である組成物と、(F)熱硬化性化合物の含有量が例えば10重量%以上である組成物とでは、硬化物の基本物性が一般に異なる。(F)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(F)熱硬化性化合物としては、エポキシ化合物等が挙げられる。
上記光硬化性組成物は、エポキシ化合物を含まないか、又は、エポキシ化合物を5重量%以下で含むことが好ましい。
発泡、剥離及び変色をより一層抑制する観点からは、光硬化性組成物100重量%中、(F)熱硬化性化合物の含有量は少ないほどよい。光硬化性組成物100重量%中、(F)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0重量%(未使用)である。
(他の成分)
上記光硬化性組成物は、上述した成分以外に、安定化剤を含むことが好ましい。上記光硬化性組成物が安定化剤を含むことで、(C)チオール基含有化合物を用いていても、保管中のゲル化及び粘度変化がより一層抑えられる。具体的には、安定化剤として、例えば特開平5−155987号公報、特開2012−17448号公報等に記載された化合物を用いることができる。
上記光硬化性組成物は、上述した成分以外に、溶剤、白色顔料以外の無機フィラー、有機フィラー、着色剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、ワックス、マスキング剤、消臭剤、芳香剤、防腐剤、抗菌剤、帯電防止剤及び密着性付与剤等を含んでいてもよい。上記密着性付与剤としては、シランカップリング剤等が挙げられる。
[電子部品及び電子部品の製造方法]
本発明に係る電子部品の製造方法は、電子部品本体の表面上に、上記光硬化性組成物を塗布して、組成物層を形成する工程と、上記組成物層に光を照射して、硬化物膜を形成する工程とを備える。本発明に係る電子部品の製造方法では、上記硬化物膜を形成するために、上記組成物層を現像しないことが好ましい。上記組成物層がレジスト層であることが好ましく、上記硬化物膜がレジスト膜であることが好ましい。
上記光硬化性組成物は現像を行わずに硬化物膜を形成するために好適に用いられるので、電子部品本体の表面上に、部分的にかつ複数の箇所に、上記光硬化性組成物を塗布することが好ましい。
電子部品本体の熱劣化を防ぐ観点からは、上記硬化物膜を形成するために、熱硬化剤の作用により上記組成物層を熱硬化させないことが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な電子部品の製造方法を説明する。以下に説明する実施形態では、上記組成物層がレジスト層であり、上記硬化物膜がレジスト膜である。レジスト膜を形成するために、非現像型レジスト光硬化性組成物が用いられている。
先ず、図1(a)に示すように、塗布対象部材11を用意する。塗布対象部材11は、電子部品本体である。塗布対象部材11として、基板11Aが用いられており、基板11Aの表面上に複数の電極11Bが配置されている。
次に、図1(b)に示すように、塗布対象部材11の表面上に、非現像型レジスト光硬化性組成物を塗布して、レジスト層12(組成物層)を形成する。図1(b)では、塗布対象部材11の表面上に、部分的にかつ複数の箇所に、上記非現像型レジスト光硬化性組成物を塗布し、複数のレジスト層12を形成している。具体的には、基板11Aの表面上の複数の電極11Bの間に、複数のレジスト層12を形成している。レジスト層12は、例えばレジストパターンである。例えば、レジスト層12は、従来の現像型レジスト組成物を用いることを想定したときに、現像後に残存させて形成されるレジスト層部分に対応する位置にのみに形成されている。レジスト層12は、従来の現像型レジスト組成物を用い、現像により除去されるレジスト層部分に対応する位置に形成されていない。
非現像型レジスト光硬化性組成物の塗布方法は、例えば、ディスペンサーによる塗布方法、スクリーン印刷による塗布方法、及びインクジェット装置による塗布方法等が挙げられる。製造効率に優れることから、スクリーン印刷が好ましい。非現像型レジスト光硬化性組成物をパターン印刷することが好ましい。
次に、レジスト層12に光を照射する。例えば、レジスト層12の塗布対象部材11側とは反対側から、レジスト層12に光を照射する。この結果、図1(c)に示すように、レジスト層12が光硬化し、レジスト膜2(硬化物膜)が形成される。この結果、塗布対象部材11(電子部品本体)の表面上に、レジスト膜2が形成された電子部品1が得られる。
なお、図1(a)〜(c)を用いて説明したレジスト膜を備える電子部品の製造方法は、一例であり、電子部品の製造方法は、適宜変更することができる。電子部品の製造時に、レジスト膜を形成するために現像は行われないことが好ましい。
なお、従来、現像型レジスト組成物が用いられることが多かった。ネガ型の現像型レジスト組成物を用いる場合には、図2(a)に示すように、例えば、基板111Aと、基板111Aの表面上に配置された電極111Bとを有する塗布対象部材111を用意する。次に、図2(b)に示すように、塗布対象部材111の表面上に、全体に、レジスト層112を形成する。次に、図2(c)に示すように、マスク113を介して、電極111B上のレジスト層112のみに光を照射する。その後、図2(d)に示すように、現像し、電極111B間に位置するレジスト層112を部分的に除去する。レジスト層112を部分的に除去した後、残存しているレジスト層112を熱硬化させる。この結果、図2(e)に示すように、塗布対象部材111(電子部品本体)の表面上に、レジスト膜102が形成された電子部品101を得る。
このように、現像型レジスト組成物を用いる場合には、レジスト膜の形成効率及び電子部品の製造効率が悪い。さらに、現像を行う必要がある。
これに対して、本発明に係る光硬化性組成物を用いることにより、硬化物膜(レジスト膜など)の形成効率及び電子部品の製造効率を高めることができる。また、現像を行う必要がない。
また、本発明では、電子部品として、上記硬化物膜を光反射層として備える反射板を作製してもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
[合成例1]
エポキシメタクリレートAの合成:
撹拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「JER1009」)400重量部、メタクリル酸10重量部、及びメトキノン0.1重量部を入れ、100℃に昇温した後、トリフェニルホスフィン1.2重量部を加えた。100℃で20時間反応を行うことで、エポキシメタクリレート化合物を得た。得られたエポキシメタクリレート化合物をエポキシメタクリレートAと呼ぶ。
(実施例1〜17及び比較例1〜4)
(1)非現像型レジスト光硬化性組成物の調製
以下の表1〜3に示す配合成分を以下の表1〜3に示す配合量で配合して、非現像型レジスト光硬化性組成物を調製した。
(2)電子部品の作製
100mm×100mm×厚さ0.8mmのFR−4に銅箔を積層した基板を用意した。この基板上に、MD−4S−UFF(3M社製、番手:1000)でバフ処理後、スクリーン印刷法により、400メッシュのポリエステルバイアス製の版を用いて、マスクパターンで非現像型レジスト光硬化性組成物を印刷して、レジスト層を形成した。印刷後、紫外線照射装置を用い、レジスト層に波長365nmの紫外線を、照射エネルギーが1500mJ/cmとなるように500mW/cmの紫外線照度で、ベルトコンベアー式露光器に流すことにより、測定サンプルとしてのレジスト膜を得た。得られたレジスト膜の厚みは20μmであった。実施例1〜17、比較例1〜3では、硬化させるために高温での加熱は行わなかった。
(参考例1)
比較例4では、熱硬化性化合物の含有量が多すぎるために、硬化させるために、高温に加熱する必要があり、かつ長時間加熱する必要があり、レジスト膜の形成効率が悪かった。また、加熱作業及び加熱設備が必要であった。硬化を十分に進行させるために、150℃で2時間加熱する必要があった。硬化を十分に進行させた結果を参考例1として示す。
(評価)
(1)耐リフロー性(発泡及び剥離)
得られた電子部品を、270℃のリフロー炉を3回通過させ、高温下に晒した。リフロー炉を3回通過した後に、放置後(リフロー後)の評価サンプルにおける発泡の有無及び剥離の有無を確認した。
[耐リフロー性(発泡)の判定基準]
○:レジスト膜における発泡なし
×:レジスト膜における発泡あり
[耐リフロー性(剥離)の判定基準]
○:レジスト膜の剥離なし
×:レジスト膜の剥離あり
(2)色差、反射率(ΔE)
(2−1)リフロー前
得られた光硬化性組成物を支持部材上に厚み20μmに塗布した。塗布後の光硬化性組成物について、波長365nmの紫外線を、積算光量が1500mJ/cmになるように照射して硬化物を得た。色彩色度計を用いて、放置前(露光直後、リフロー前)のL表色系における色差bを測定した。
(2−2)リフロー後
得られた硬化物を、270℃のリフロー炉を3回通過させ、高温下に晒した。リフロー炉を3回通過した後に、色彩色度計を用いて、放置後(リフロー後)のL表色系におけるL、a、bを測定し、リフロー前後の色差ΔEを下記式によって求めた。
ΔE={(L −L +(a −a +(b −b 1/2
組成及び結果を下記の表1〜3に示す。
Figure 2016098797
Figure 2016098797
Figure 2016098797
1…電子部品
2…レジスト膜(硬化物膜)
11…塗布対象部材(電子部品本体)
11A…基板
11B…電極
12…レジスト層(組成物膜)
Figure 2016098797
Figure 2016098797
Figure 2016098797
(実施例1〜4,7〜10,12〜17及び比較例1〜4)実施例5,6,11は欠番とする
(1)非現像型レジスト光硬化性組成物の調製
以下の表1〜3に示す配合成分を以下の表1〜3に示す配合量で配合して、非現像型レジスト光硬化性組成物を調製した。
(2)電子部品の作製
100mm×100mm×厚さ0.8mmのFR−4に銅箔を積層した基板を用意した。この基板上に、MD−4S−UFF(3M社製、番手:1000)でバフ処理後、スクリーン印刷法により、400メッシュのポリエステルバイアス製の版を用いて、マスクパターンで非現像型レジスト光硬化性組成物を印刷して、レジスト層を形成した。印刷後、紫外線照射装置を用い、レジスト層に波長365nmの紫外線を、照射エネルギーが1500mJ/cmとなるように500mW/cmの紫外線照度で、ベルトコンベアー式露光器に流すことにより、測定サンプルとしてのレジスト膜を得た。得られたレジスト膜の厚みは20μmであった。実施例1〜4,7〜10,12〜17、比較例1〜3では、硬化させるために高温での加熱は行わなかった。
Figure 2016098797
Figure 2016098797
Figure 2016098797

Claims (13)

  1. カルボキシル基を有さず、エチレン性不飽和結合を2個以上有し、かつ、2000以上の重量平均分子量を有する光硬化性化合物と、
    エチレン性不飽和結合を1個以上有する反応性希釈剤と、
    チオール基を1個以上有するチオール基含有化合物と、
    白色顔料と、
    光重合開始剤とを含み、
    熱硬化性化合物を含まないか、又は、熱硬化性化合物を5重量%以下で含む、光硬化性組成物。
  2. 前記光硬化性化合物と前記反応性希釈剤との合計100重量部に対して、前記チオール基含有化合物の含有量が0.2重量部以上、20重量部以下である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
  3. 前記反応性希釈剤が、(メタ)アクリロイル基を1個以上有する、請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。
  4. 光硬化性組成物100重量%中、前記光硬化性化合物の含有量が5重量%以上、30重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  5. 光硬化性組成物100重量%中、前記白色顔料の含有量が30重量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  6. 前記光硬化性化合物が、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート又は芳香族骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  7. 前記光硬化性化合物が、エポキシ(メタ)アクリレートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  8. 光照射により硬化されて用いられ、かつ現像を行わずにレジスト膜を形成するために用いられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  9. 塗布対象部材の表面上に、部分的にかつ複数の箇所に塗布して用いられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  10. 熱硬化剤の作用により熱硬化させて用いられない、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  11. 電子部品本体の表面上に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の光硬化性組成物を塗布して、組成物層を形成する工程と、
    前記組成物層に光を照射して、硬化物膜を形成する工程とを備え、
    前記硬化物膜を形成するために、前記組成物層を現像しない、電子部品の製造方法。
  12. 電子部品本体の表面上に、部分的にかつ複数の箇所に、前記光硬化性組成物を塗布する、請求項11に記載の電子部品の製造方法。
  13. 前記硬化物膜を形成するために、熱硬化剤の作用により前記組成物層を熱硬化させない、請求項11又は12に記載の電子部品の製造方法。
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