JP2022022096A - 積層体、及び積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発色性、基材追従性、耐圧痕性、及び耐擦傷性に優れる、コロイド結晶層を有する積層体、並びに該積層体の製造方法の提供。【解決手段】上記課題は、少なくとも、基材層と、光の干渉により発色する層とを備え、前記光の干渉により発色する層が、基材層側から、コアシェル型樹脂微粒子を含む第1のコロイド結晶層と、ガラス転移点が-30~50℃である樹脂層と、コアシェル型樹脂微粒子を含む第2のコロイド結晶層とを、この順に有する積層体によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、コロイド結晶層を有する積層体に関し、詳細には、発色性、基材追従性、耐圧痕性、及び耐擦傷性に優れるコロイド結晶層を有する積層体に関する。
フォトニック結晶は、屈折率が異なる物質を光の波長と同程度の間隔で並べたナノ周期構造体である。フォトニック結晶内では、屈折率が周期的に変化し、ブラッグ反射として知られる特定波長の光の反射や、フォトニックバンドギャップを利用した光閉じ込め、高い分波作用等、様々な興味深い光学特性を発現するため、現在、活発に研究が行われている。フォトニック結晶の一種であるコロイド結晶は、サブミクロンオーダーの高分子ラテックス粒子やシリカ粒子が規則的に配列した構造を有し、比較的簡便に作製できるフォトニック結晶であるが、粒子の配列やその固定化といった課題により、大量生産技術が確立されるまでには至っていない。
このような状況において、例えば、特許文献1や2には、ガラス転移点の低いシェルとガラス転移点の高いコアとを有するコアシェル型樹脂微粒子からなるコロイド結晶が、発色が比較的良好であり、安定に固定化されることが開示されている。
しかしながら、これらの特許文献に記載されているコロイド結晶塗膜はいずれも単一のコロイド結晶層のみからなり、このような単層構成では、発色性の観点で実用上の要求物性を満たすことが困難である。また、発色性を改善するために第1のコロイド結晶層上に第2のコロイド結晶層を直接重ねて形成すると、第1のコロイド結晶層由来の凹凸構造により、第2のコロイド結晶層の規則配列の形成が妨げられ、コロイド結晶塗膜が白化して発色が悪化する。
特開2000-026551号公報 特開2008-083545号公報
本発明が解決しようとする課題は、発色性、基材追従性、耐圧痕性、及び耐擦傷性に優れる、コロイド結晶層を有する積層体、並びに該積層体の製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、少なくとも、基材層と、光の干渉により発色する層とを備える積層体であって、前記光の干渉により発色する層が、基材層側から、コアシェル型樹脂微粒子を含む第1のコロイド結晶層と、ガラス転移点が-30~50℃である樹脂層と、コアシェル型樹脂微粒子を含む第2のコロイド結晶層とを、この順に有する積層体に関する。
また本発明は、前記コアシェル型樹脂微粒子の平均粒子径が180~330nmである、上記積層体に関する。
また本発明は、前記コアシェル型樹脂微粒子が、コアの質量を基準としてシェルを10~300質量%有する、上記積層体に関する。
また本発明は、前記コアシェル型樹脂微粒子が、コアの質量を基準としてシェルを10~50質量%有し、コアのガラス転移点が60℃以上であり、シェルのガラス転移点が-50~20℃である、上記積層体に関する。
また本発明は、前記コアシェル型樹脂微粒子が、反応性界面活性剤を用いて重合してなる、上記積層体に関する。
また本発明は、前記樹脂層を形成する樹脂の重量平均分子量が、50,000以上である、上記積層体に関する。
また本発明は、前記樹脂層を形成する樹脂の酸価が、5~70mgKOH/gである、上記積層体に関する。
また本発明は、前記樹脂層の厚みが1.0~20μmである、上記積層体に関する。
また本発明は、少なくとも、基材層と、光の干渉により発色する層とを備える積層体の製造方法であって、下記工程1~工程3をこの順に有する積層体の製造方法に関する。
工程1)基材層上に、コアシェル型樹脂微粒子を含むコロイド結晶用組成物を塗布し、第1のコロイド結晶層を形成する工程。
工程2)第1のコロイド結晶層上に、ガラス転移点が-30~50℃である樹脂微粒子を含む樹脂層用組成物を塗布し、樹脂層を形成する工程。
工程3)樹脂層上に、コアシェル型樹脂微粒子を含むコロイド結晶用組成物を塗布し、第2のコロイド結晶層を形成する工程。
本発明により、発色性、基材追従性、耐圧痕性、及び耐擦傷性に優れる、コロイド結晶層を有する積層体、並びに該積層体の製造方法を提供することができる。
<積層体>
本発明の積層体は、少なくとも、基材層と、光の干渉により発色する層とを備え、前記光の干渉により発色する層が、基材層側から、コアシェル型樹脂微粒子を含む第1のコロイド結晶層と、ガラス転移点が-30~50℃である樹脂層と、コアシェル型樹脂微粒子を含む第2のコロイド結晶層とをこの順に有することを特徴とする。
光の干渉により発色する層が、特定のガラス転移点を有する樹脂層を介して、2つのコロイド結晶層が配置された構成であると、単一のコロイド結晶層からなるコロイド結晶塗膜や、第1のコロイド結晶層上に第2のコロイド結晶層を直接重ねて形成した積層体と比較して、構造色による発色が良好となる。これは、樹脂層を介することで、第2のコロイド結晶層の規則配列が乱れることを抑制できるためである。そのため、優れた発色性を発揮するコロイド結晶層の厚みを確保しつつ、規則配列を乱すことなく積層体が白化することを防ぎ良好な発色が維持される。
また、本発明のコロイド結晶層は、コアシェル型樹脂微粒子による規則配列構造を有し、コロイド結晶の形成時に、隣接したコアシェル型樹脂微粒子のシェル同士、コアシェル型樹脂微粒子のシェルと樹脂層、及びコアシェル型樹脂微粒子のシェルと基材が容易に結着するため、良好な基材追従性、耐圧痕性、及び耐擦傷性を発現する。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
<光の干渉により発色する層>
本発明における光の干渉により発色する層は、コアシェル型樹脂微粒子を含む第1のコロイド結晶層と、ガラス転移点が-30~50℃である樹脂層と、コアシェル型樹脂微粒子を含む第2のコロイド結晶層と、をこの順に有するものであり、ブラッグ反射由来の構造色を発現する第1及び第2のコロイド結晶層が発色機能を担う。
[第1及び第2のコロイド結晶層]
第1及び第2のコロイド結晶層は、各々コアシェル型樹脂微粒子を含む。第1のコロイド結晶層に含まれるコアシェル型樹脂微粒子と、第2のコロイド結晶層に含まれるコアシェル型樹脂微粒子とは、同一であってもよく異なるものであってもよい。また、コアシェル型樹脂微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
(コアシェル型樹脂微粒子]
上記コアシェル型樹脂微粒子は、コア及びシェルが水に不溶なポリマーであり、互いに相溶しないコア(内層)とシェル(外層)の構造を含む。コアは球状形状の維持、シェルは流動性を有して結着部位として機能する。コアシェル型樹脂微粒子を含む組成物は、基材等に塗布され水等の媒体が揮発するにつれて、粒子が移流集積して規則的に配列し、コロイド結晶層を形成する。そして、隣接したコアシェル型樹脂微粒子のシェル同士、コアシェル型樹脂微粒子のシェルと樹脂層、及びコアシェル型樹脂微粒子のシェルと基材とは、容易に結着することができる。
本発明におけるコアシェル型樹脂微粒子は特に制限されないが、好ましくはエチレン性不飽和単量体の重合体であり、より好ましくはアクリル樹脂又はスチレンアクリル樹脂である。
{エチレン性不飽和単量体}
上記エチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族系エチレン性不飽和単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tーブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、又は、これらのアルキル若しくはアルケニルモノエステル、コハク酸β-(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等のカルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体;2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸アンモニウム、ビニルスルホン酸等のスルホ基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル-N-(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、アリルアルコール等の水酸基含有エチレン性不飽和単量体;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシエチレン基含有エチレン性不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等が挙げられ、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有エチレン性不飽和単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシ(メタ)アクリレート等のケトン基含有エチレン性不飽和単量体;アリル(メタ)アクリレート、1-メチルアリル(メタ)アクリレート、2-メチルアリル(メタ)アクリレート、1-ブテニル(メタ)アクリレート、2-ブテニル(メタ)アクリレート、3-ブテニル(メタ)アクリレート、1,3-メチル-3-ブテニル(メタ)アクリレート、2-クロルアリル(メタ)アクリレート、3-クロルアリル(メタ)アクリレート、o-アリルフェニル(メタ)アクリレート、2-(アリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルラクチル(メタ)アクリレート、シトロネリル(メタ)アクリレート、ゲラニル(メタ)アクリレート、ロジニル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、ビニル(メタ)アクリレート、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル,リノレン酸ビニル、2-(2’-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等の2個以上のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和単量体;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3-アクリロキシメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有エチレン性不飽和単量体;N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アルキルエーテル化N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有エチレン性不飽和単量体;が挙げられる。
これらの単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
また、エチレン性不飽和単量体は、コロイド結晶層内及びコロイド結晶層と樹脂層との間に架橋を形成する目的で反応性基を有していてもよい。コロイド結晶層内及びコロイド結晶層と樹脂層との間に架橋を形成することで、積層体の基材追従性耐圧痕性、及び耐擦傷性が良化する。
コロイド結晶層内、及びコロイド結晶と樹脂層との間の架橋は、コアシェル型樹脂微粒子の反応性基同士を反応させる方法、コアシェル型樹脂微粒子の反応性基と後述する樹脂層が有する反応性基とを反応させる方法、多官能の架橋剤を介してコアシェル型樹脂微粒子の反応性基同士を架橋させる方法、コアシェル型樹脂微粒子の反応性基と樹脂層が有する反応性基とを架橋させる方法、により導入することができる。
エチレン性不飽和単量体が有していてもよい反応性基としては、エポキシ基、カルボキシ基、水酸基、ケトン基、ヒドラジド基等が挙げられ、より好ましくはケトン基である。特に、反応性基がケトン基であり、架橋剤がヒドラジド架橋剤である場合、ケトン・ヒドラジド架橋を形成することができる。ケトン・ヒドラジド架橋は、コロイド結晶の諸物性に悪影響を及ぼさず、水等の媒体の揮発により低温且つ短時間で架橋を形成できる点から好適に用いられ、加熱によりダメージを受けやすいフィルム基材を用いる場合に有効である。また、ケトン基は親水性が高いため、ケトン基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合組成に用いると、ケトン基はコアシェル型樹脂微粒子の外側、すなわち媒体との界面付近に導入され、ヒドラジド架橋剤と効率的に架橋を形成できると考えられる。
コアシェル型樹脂微粒子がケトン基を有する場合、ケトン基の好ましい含有量は、コアシェル型樹脂微粒子の質量を基準として、0.05~0.3mmol/gの範囲である。0.05~0.3mmol/gの範囲で導入することにより、シェルの融着が阻害されない状態で架橋が形成されるため、積層体の基材追従性、耐圧痕性、及び耐擦傷性がより向上する。また、0.3mmоl/g以内であると、コアシェル型樹脂微粒子の重合安定性が向上して粒子径の均斉度が良化するため、積層体の発色性が良好になる。
コアシェル型樹脂微粒子の製造方法は特に制限されず、乳化重合のように水性媒体中でエチレン性不飽和単量体を重合する方法や、非水系で重合を行った後に脱溶剤しながら水相に転相する転相乳化法等が挙げられるが、高分子量、低粘度、且つ高固形分濃度化が可能である点から、乳化重合を用いることが好ましい。また、乳化重合では、一段目と二段目とで単量体の組成を変えて滴下する二段重合、又は、三段以上の多段で単量体の組成を変えて滴下する多段重合のいずれを用いてもよい。
コアシェル型樹脂微粒子は、上記二段重合により、具体的には、下記に示す手順で調整できる。
(1)まず、反応槽に水性媒体と界面活性剤とを仕込み、昇温する。その後、窒素雰囲気下でコアを形成する一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液を滴下しながら、ラジカル重合開始剤を添加する。反応開始後、滴下量にしたがって粒子は徐々に成長してコア粒子を形成する。
(2)次いで、一段目の滴下が完了し、発熱が落ちついたところで、シェルを形成する二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液の滴下を開始する。その際、追加の開始剤を添加してもよい。滴下された二段目のエチレン性不飽和単量体は、一旦コア粒子に分配されるが、重合が進むにつれてコア粒子の外層に重合体として析出していき、シェル層を形成する。
{ラジカル重合開始剤}
コアシェル型樹脂微粒子の製造に用いられるラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ(2-エチルヘキサノエート)、tert-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス-シクロヘキサン-1-カルボニトリル等のアゾビス化合物;が挙げられる。
乳化重合においては水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、水溶性重合開始剤としては例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)、過酸化水素、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドのような従来既知のものを好適に使用することができる。
{界面活性剤}
コアシェル型樹脂微粒子の製造には一般的に界面活性剤が用いられ、界面活性剤を用いることで、コアシェル型樹脂微粒子の安定性や単分散性を向上させることができる。界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性のものが挙げられ、好ましくはアニオン性界面活性剤である。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性反応性界面活性剤、アニオン性非反応性界面活性剤、ノニオン性反応性界面活性剤、ノニオン性非反応性界面活性剤が挙げられる。ここで反応性界面活性剤とは、上述のエチレン性不飽和単量体と重合可能な界面活性剤を指す。より詳細には、エチレン性不飽和結合と重合反応し得る反応性基を有する界面活性剤を意味する。反応性基としては、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基等のアルケニル基や(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。反応性界面活性剤を使用することで、コアシェル型樹脂微粒子中に含まれる遊離の界面活性剤成分が低減し、コロイド結晶の粒子配列への悪影響が抑えられるため、積層体の発色性が一層良好となり好ましい。
{その他成分}
コアシェル型樹脂微粒子の製造では、必要に応じて還元剤、緩衝材、連鎖移動剤、中和剤を使用することができる。
{コアシェル型樹脂微粒子の性状}
コアシェル型樹脂微粒子の平均粒子径は、好ましくは180~330nmである。平均粒子径が180nm以上であると、コロイド結晶の可視光領域での発色性がより良好になるため好ましい。平均粒子径が330nm以下であると、コロイド結晶の可視光領域での発色性に優れるとともに、粒子による散乱が抑えられ発色性が一層良好となる。
該平均粒子径は、動的光散乱法(測定装置はナノトラックUPA(株)マイクロトラックベル社製)により測定することができ、得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを平均粒子径とする。
また、コアシェル型樹脂微粒子における平均粒子径の変動係数(Cv値)は、30%以下であることが好ましい。変動係数は、粒子径の均斉度を表す数値であり、下記式により算出することができる。
式: 変動係数Cv値(%)=粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
[式において、標準偏差と平均粒子径の単位は同一である]
変動係数が30%以下であることにより、粒子配列の規則性が良化し、コロイド結晶の発色性がより良好になる。
コアシェル型樹脂微粒子のコアのガラス転移点(Tg)は、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは60℃~250℃の範囲である。ガラス転移点が上記の範囲であることにより、熱によりコアが過剰に融着することを防ぎ、粒子と粒子間隙の屈折率差が維持される。したがって、コロイド結晶の発色性がより一層良好になる。
コアシェル型樹脂微粒子のシェルのガラス転移点は、好ましくは-50~20℃の範囲であり、より好ましくは-30~20℃の範囲である。シェルが-50℃以上であると、塗膜乾燥時の熱によりシェルが過剰に流動することを防ぎ、粒子間の空隙がシェルで埋まりにくくなる。したがって、空隙が十分に存在しこの空隙部分に空気が入り込むことで、積層体の発色が良好になる。一方、シェルのガラス転移点が20℃以下であると、シェルの融着が十分に促進され、コアシェル型樹脂微粒子間、コアシェル型樹脂微粒子と樹脂層間、及びコアシェル型樹脂微粒子と基材との間の結着がより強固になり、積層体の基材追従性、耐圧痕性、及び耐擦傷性が良化するため好ましい。
本明細書におけるガラス転移点は、DSC(示差走査熱量計)を用いて求めた値である。
コアシェル型樹脂微粒子において、シェルの含有量はコアの全質量を基準として、好ましくは10~300質量%の範囲であり、より好ましくは10~150質量%の範囲である。シェルの含有量が10質量%以上であると、塗膜乾燥時にシェルの融着が十分に進み、コアシェル微粒子間並びに、コアシェル粒子と基材間、其々の結着がより強固なものとなり、基材追従性、耐圧痕性及び耐擦傷性に優れる積層体が得られるため好ましい。
シェルの含有量は、発色性の観点から、好ましくは150質量%以下であり、より好ましくは、50質量%以下である。シェルの含有量が150質量%以下であると、シェルが熱や溶剤により過剰に融着されることが抑制され十分な空隙部が得られるため好ましい。コロイド結晶層において、コアシェル型樹脂微粒子の空隙部分に空気が存在すると、粒子とマトリクスの屈折率差が大きくなるため、コロイド結晶の発色性が良化する。
一方、シェルの含有量は、耐擦傷性の観点から、好ましくは50~300質量%の範囲であり、より好ましくは、50~200質量%の範囲である。シェルの含有量が50質量%以上であると、塗膜乾燥時にシェルの融着がより一層進み、コアシェル型樹脂微粒子間並びに、コアシェル型樹脂微粒子と基材間、其々の結着がより強固なものとなり、耐擦傷性に優れる積層体が得られる。
(第1及び第2のコロイド結晶層の形成)
第1及び第2のコロイド結晶層は、前述したコアシェル型樹脂微粒子を含んでいればよく、その形成方法は特に制限されないが、例えば、コアシェル型樹脂微粒子と水とを含有するコロイド結晶層用組成物を、基材層、又は樹脂層上に塗布することで形成することができる。
コロイド結晶層用組成物は、粒子配列や積層体の諸物性に悪影響を及ぼさない範囲で、塗工性、塗膜耐性、発色性を向上させる目的で、着色剤、ノニオン性界面活性剤、架橋剤等を含有してもよい。
{着色剤}
上記着色剤としては、例えば、黒色の染料や顔料を用いることができる。可視領域の反射スペクトル形状に与える影響の少ないという観点から、カーボンブラックが好ましく、カーボンブラックの水分散体を用いてもよい。
{ノニオン性界面活性剤}
コロイド結晶層用組成物がノニオン性界面活性剤を含むことで、コロイド結晶層の形成に悪影響を与えることなく印刷適性が向上するため、形成される積層体の発色性が良化する。
ノニオン性界面活性剤のHLB値は10.0~19.0であることが好ましい。このようなHLB値を有するノニオン性界面活性剤を用いることで、コロイド結晶層用組成物のレベリング性が向上し、積層体の発色が良化する。
HLB値は、材料の親水・親油性を数値で表したものであり、前記HLB値が小さいほど親油性が高いことを示す。本明細書においてHLB値は、下記式(1)で表されるグリフィン法の計算式よって算出される。
式(1): HLB値=20×(親水性部の式量の総和)÷(材料の分子量)
{架橋剤} コロイド結晶層用組成物が架橋剤を含むことで、コアシェル型樹脂微粒子間、及びコアシェル型樹脂微粒子と樹脂層との間に架橋を形成することができ、膜耐性を向上させることができる。配合してもよい架橋剤としては特に制限されず、例えば、活性カルボニル基と反応してケト-ヒドラジド架橋を形成するヒドラジノ基を2つ以上有するヒドラジド化合物(ポリヒドラジド)、水酸基やアミノ基と反応してウレタン結合やウレア結合を形成するイソシアネート化合物、カルボキシ基やアミノ基等と反応するエポキシ化合物が挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。
より詳細には、コアシェル型樹脂微粒子がカルボキシ基を有する場合は、エポキシ架橋剤を介して架橋を形成することができる。また、例えば、コアシェル型樹脂微粒子が水酸基を有する場合は、ポリイソシアネート架橋剤を介して架橋を形成することができる。また、例えば、コアシェル型樹脂微粒子がケトン基を有する場合、ヒドラジド架橋剤を介して架橋することができる。
架橋剤としては、上述のとおり、ケトン・ヒドラジド架橋を形成するために、ヒドラジド架橋剤を用いることが好ましい。ヒドラジド架橋剤としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、多官能のヒドラジド基が変性された水溶性樹脂が挙げられる。
[樹脂層]
本発明における樹脂層は、第1のコロイド結晶層と第2のコロイド結晶層との間に設けられ、第2のコロイド結晶層の規則配列を維持し、光の干渉により発色する層が白化することを防止する。
(樹脂)
樹脂層のガラス転移点は、-30~50℃であることが重要であり、好ましくは-20~30℃である。ガラス転移点が-30℃以上であると、樹脂層を形成する樹脂がコロイド結晶層の空隙部へ侵入することが抑制されるため、積層体は優れた発色性を発揮する。ガラス転移点が50℃以下であると、樹脂の造膜性に優れるため平滑な樹脂層を形成できるため、第2のコロイド結晶層の規則配列を妨げることがなく、積層体の白化が抑制される。さらに、樹脂層と第1及び第2のコロイド結晶層との結着性に優れるため、得られる積層体は、優れた基材追従性、耐圧痕性、及び耐擦傷性を発揮することができる。
樹脂層のガラス転移点は、樹脂層を形成する樹脂のガラス転移点であり、樹脂層を形成する樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
樹脂層を形成する樹脂は特に制限されず、好ましくは、エチレン性不飽和単量体の重合体であり、より好ましくは、アクリル樹脂又はスチレンアクリル樹脂である。重合体の製造に使用できるエチレン性不飽和単量体としては、前述のコアシェル型樹脂微粒子の項で例示したエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
また、上記エチレン性不飽和単量体は、樹脂層内、及びコロイド結晶層と樹脂層との間に架橋を形成する目的で反応性基を有していてもよく、該反応性基としては、前述のコアシェル型樹脂微粒子の項で例示した反応性基を援用することができる。
樹脂は、コアシェル型微粒子を含む第1のコロイド結晶層と第2のコロイド結晶層との間に設けられるものであって、樹脂がコロイド結晶層の空隙部分に入り込み発色を悪化させることを防ぐという観点から、樹脂微粒子の形態で塗布され、乾燥する過程で造膜し樹脂層を形成するものが好ましい。
このような樹脂微粒子の製造方法は特に制限されず、公知の方法から適宜選択できるが、高分子量、低粘度、且つ高固形分濃度化が可能である点から、乳化重合を用いて重合してなる樹脂であることが好ましい。
上記樹脂微粒子の平均粒子径は、好ましくは60~300nmである。平均粒子径が60nm以上であると、樹脂層を形成する樹脂がコロイド結晶層との界面で留まるため、コロイド結晶の空隙内部に水性樹脂が必要以上に浸透せず、発色に悪影響を及ぼさない。平均粒子径が300nm以下であると、樹脂が十分な造膜性を有し平滑な樹脂層を形成するため、樹脂層上に設けられる第2のコロイド結晶層の規則配列を乱すことが抑制され白化が抑えられて、積層体の発色性が良好になる。
樹脂層を形成する樹脂の重量平均分子量は、好ましくは50,000以上であり、より好ましくは100,000以上である。重量平均分子量が50,000以上であると、樹脂層を形成する樹脂がコロイド結晶層の空隙部へ侵入することを防ぎ、積層体の発色性がより優れたものとなる。更に、樹脂層の強度とコロイド結晶層への結着力とが向上するため、積層体の基材追従性、耐圧痕性、及び耐擦傷性が良好になる。また樹脂の重量平均分子量は、合成の観点から通常15,000,000以下である。
本明細書における重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値である。
樹脂層を形成する樹脂は、カルボキシ基を有していることが好ましく、酸価が5~70mgKOH/gであることが好ましい。酸価が上記の範囲であると、第1のコロイド結晶層上に樹脂層を設ける際に、樹脂の濡れ性に優れ、ムラが少なく均質な樹脂層を得ることができ、積層体の発色性が良好となる。また、樹脂層上に第2のコロイド結晶層を設ける際に、樹脂層を形成する樹脂が水に再溶解して第2のコロイド結晶の空隙部へ侵入することを防ぎ、積層体の発色性が良好となる。
(樹脂層の形成)
樹脂層の形成方法は特に制限されないが、例えば、樹脂微粒子と水とを含有する樹脂層用組成物を、第1のコロイド結晶層上に塗布することで形成することができる。
樹脂層用組成物は、粒子配列や積層体の諸物性に悪影響を及ぼさない範囲で、塗工性、塗膜耐性、積層体の発色性を向上させる目的で、着色剤、ノニオン性界面活性剤、架橋剤等を含有しても良い。着色剤、ノニオン性界面活性剤、架橋剤は、前述のコロイド結晶層の項に記載したものを援用することができる。
<積層体の製造>
本発明の積層体は、少なくとも、基材層と、光の干渉により発色する層とを備え、前記光の干渉により発色する層が、基材層側から、コアシェル型樹脂微粒子を含む第1のコロイド結晶層と、ガラス転移点が-30~50℃である樹脂層と、コアシェル型樹脂微粒子を含む第2のコロイド結晶層と、をこの順に有していればよく、その製造方法は特に制限されない。積層体の製造方法として好ましくは、以下の工程1~3をこの順に有するものである。
工程1)基材層上に、コアシェル型樹脂微粒子を含むコロイド結晶用組成物を塗布し、第1のコロイド結晶層を形成する工程。
工程2)第1のコロイド結晶層上に、ガラス転移点が-30~50℃である樹脂微粒子を含む樹脂層用組成物を塗布し、樹脂層を形成する工程。
工程3)樹脂層上に、コアシェル型樹脂微粒子を含むコロイド結晶用組成物を塗布し、第2のコロイド結晶層を形成する工程。
各層を形成する際は、必要に応じて乾燥工程を有していてもよい。
コロイド結晶用組成物及び樹脂層用組成物の塗布方法は特に制限されず、例えば、インクジェット法、スプレー法、ディッピング法、スピンコート法のような版を使用しない印刷方式;オフセットグラビアコーター、グラビアコーター、ドクターコーター、バーコーター、ブレードコーター、フレキソコーター、ロールコーターのような版を使用する印刷方式;が挙げられ、適宜選択することができる。
乾燥工程を有する場合、乾燥方法は特に制限されず、例えば、加熱乾燥法、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、マイクロ波乾燥法、ドラム乾燥法といった公知の方法から適宜選択できる。乾燥方法は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、基材へのダメージを軽減し効率よく乾燥させる観点から、熱風乾燥法を用いることが好ましい。乾燥温度は、好ましくは25~80℃の範囲である。
積層体の発色性の観点から、第1及び第2のコロイド結晶層の厚みは、好ましくは2.0~20μmの範囲である。第1のコロイド結晶層と、第2のコロイド結晶層は、同一の厚みであってもよく、異なる厚みであってもよい。第1のコロイド結晶層と、第2のコロイド結晶層とを合わせた厚みは、発色性の観点から、5.0~30μmの範囲であることが好ましい。
樹脂層の厚みは、好ましくは1.0~20μmの範囲である。樹脂層の厚みが1.0μm以上であると、第1のコロイド結晶層由来の凹凸構造が軽減され、平滑な樹脂層上に第2のコロイド結晶層を形成することができるため、積層体の発色が良好となる。樹脂層の厚みが20μm以下であると、積層体に光が入射した際に、第2のコロイド結晶層を透過した光が第1層のコロイド結晶層に到達しやすく、積層体の発色性がより良化する。
[基材層]
本発明における基材層は特に制限されず、公知の基材から選択することができる。基材層としては、例えば、ポリ塩化ビニルシート、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ナイロン(Ny)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルムのような熱可塑性樹脂基材;アルミニウム箔のような金属基材;ガラス基材;コート紙基材;が挙げられる。
基材層は、表面が平滑であってもよく凹凸を有していてもよい。また、透明、半透明、不透明のいずれであってもよく、コロイド結晶の発色をより明瞭にするため予め黒色等に着色されたものであってもよい。また、基材層は、コロイド結晶層組成物の塗工性を改善する目的で、コロナ処理やプラズマ処理が施されていてもよく、プライマー層を有していてもよい。これら基材層は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を積層したものを用いてもよい。
[オーバーコート層]
本発明の積層体は、膜耐性向上を目的として、第2のコロイド結晶層上に、さらにオーバーコート層を有していてもよい。オーバーコート層としては特に制限されず、公知の材料から用途に応じて適宜選択することができる。オーバーコート層の厚みは、好ましくは1.0~20μmの範囲である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。実施例において、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
<平均粒子径及び変動係数Cv値>
平均粒子径は、試料を500倍に水で希釈し、該希釈液約5mlを動的光散乱測定法で測定を行った。測定装置は、ナノトラックUPA((株)マイクロトラックベル社製)を用いた。得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを平均粒子径とした。また、下記式より粒子径の均斉度を表す変動係数Cv値を算出した。
式: 変動係数Cv値(%)=粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
[式において、標準偏差と平均粒子径の単位は同一である]
<ガラス転移点(Tg)>
ガラス転移点は、DSC(示差走査熱量計、TAインスツルメント社製)により測定した。具体的には、試料を乾固したサンプル約2mgをアルミニウムパン上で秤量し、該アルミニウムパンをDSC測定ホルダーにセットし、5℃/分の昇温条件にて得られるDSC曲線の吸熱側へのベースラインシフト(変曲点)を読み取りガラス転移点を得た。
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値を用いた。より詳細には、乾燥させた樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、0.2%溶液を調製し、以下の装置並びに測定条件により重量平均分子量を測定した。高分子量化により、樹脂が不溶で測定が困難なものについては重量平均分子量を100万以上と見なした。
装置:HLC-8320-GPCシステム(東ソー社製)
カラム;TSKgel-SuperMultiporeHZ-M0021488
4.6mmI.D.×15cm×3本(分子量測定範囲2千~約200万)
溶出溶媒;テトラヒドロフラン
標準物質;ポリスチレン(東ソー社製)
流速;0.6mL/分、試料溶液使用量;10μL、カラム温度;40℃。
<樹脂微粒子の製造>
(製造例1)樹脂微粒子分散体1
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン97.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.0部、アクアロンAR-10(第一工業製薬製 アニオン性反応性界面活性剤)1.0部、水39.3部を混合撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち5.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの2.5%水溶液5.7部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、一段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と過硫酸カリウムの2.5%水溶液4.0部とを2時間かけて滴下しながら反応させ、コア粒子を合成した。
一段目の滴下完了から20分後、別途、メチルメタクリレート15.3部、n-ブチルアクリレート26.8部、アクリル酸0.9部、AR-10を0.4部、イオン交換水16.9部を混合撹拌して調製した二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液の滴下を開始した。
内温を80℃に保ちながら、二段目のエチレン性不飽和単量体の乳化液と過硫酸カリウムの2.5%水溶液1.7部とを2時間かけて滴下しながら反応させ、シェルを合成した。
次いで、水を添加して固形分濃度を45.0%に調整し、コアシェル型の樹脂微粒子分散体1を得た。
得られた樹脂微粒子分散体1の平均粒子径は225nm、Cv値は25.9%であった。コアのTgは100.1℃、シェルのTgは-12.7℃であった。
(製造例2~24)樹脂微粒子分散体2~24
表1に示す配合組成に変更した以外は、製造例1と同様の方法でコアシェル型の樹脂微粒子分散体2~24をそれぞれ得た。
なお、製造例6、7、8、9は、反応容器に仕込むエチレン性不飽和単量体の乳化液の量を、5.0%から8.0%、7.0%、2.5%、及び2.0%にそれぞれ変更した。
(製造例25)樹脂微粒子分散体25
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン97.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.0部、アクアロンAR-10を1.0部、水39.3部を混合撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち5.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの2.5%水溶液5.7部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、エチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの2.5%水溶液4.0部とを2時間かけて滴下して反応を進め、樹脂微粒子を合成した。
次いで、水を添加して固形分濃度を39.4%に調整し、樹脂微粒子分散体25を得た。
得られた樹脂微粒子分散体25の平均粒子径は201nm、Cv値は27.0%であった。Tgは100.1℃であった。
(製造例X-1、X-2)樹脂微粒子分散体X-1、X-2
表1に示す配合組成に変更した以外は、製造例1と同様の方法でコアシェル型の樹脂微粒子分散体X-1、X-2をそれぞれ得た。
<樹脂層用組成物の製造>
(製造例26)樹脂層用組成物A-1
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水95.6部を仕込んだ。次いで、スチレン46.8部、n-ブチルアクリレート50.2部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.0部、アクアロンAR-10を1.0部、水39.3部を混合撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体の乳化液のうち5.0%を反応容器に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの2.5%水溶液5.7部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、エチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの2.5%水溶液4.0部とを2時間かけて滴下して反応を進め、樹脂微粒子a-1を合成した。
得られた樹脂微粒子a-1の平均粒子径は225nm、Cv値は25.9%、Tgは2.0℃、重量平均分子量は100万以上、酸価は15.4mgKOH/gであった。
次いで、水を添加して固形分濃度を39.4%に調整して、樹脂層用組成物A-1を得た。
(製造例27~54)樹脂層用組成物A-2~29
表2及び表3に示す配合組成に変更した以外は、製造例26と同様の方法で樹脂微粒子a-2~29をそれぞれ得た。次いで、水を添加して固形分濃度を39.4%に調整し、樹脂層用組成物A-2~29をそれぞれ得た。
なお、製造例31は、エチレン性不飽和単量体の乳化液の5.0%の他に、反応容器にアクアロンAR-10を0.5部仕込んだ。製造例32は、反応容器に仕込むエチレン性不飽和単量体の乳化液量を5.0%から2.5%に変更した。
Figure 2022022096000001
Figure 2022022096000002
Figure 2022022096000003
Figure 2022022096000004
表1~表3中の略称を以下に示す。
アクアロンAR-10:アニオン性の反応性界面活性剤(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩類、第一工業製薬株式会社製)
アクアロンKH-10:アニオン性の反応性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、第一工業製薬株式会社製)
ハイテノールNF-08:アニオン性の非反応性界面活性剤(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩類、第一工業製薬株式会社製)
アクアロンAN-10:ノニオン性の反応性界面活性剤(ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル類、第一工業製薬株式会社製)
ノイゲンEA-87:ノニオン性の非反応性界面活性剤(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル類、第一工業製薬株式会社製)
<コロイド結晶層用組成物の製造>
(製造例55)コロイド結晶層用組成物1
樹脂微粒子分散体1 100.0部に、分散体1としてオリエント化学工業社製BONJET BLACK CW-1(表面変性カーボンブラック 平均粒子径62nm 顔料分20.0%)3.8部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)5.0部、花王株式会社製 エマルゲン1108 1.0部を添加して攪拌し、コロイド結晶層用組成物1を得た。
(製造例56~79)コロイド結晶層用組成物2~25
表4に示す配合組成に変更した以外は、製造例55と同様の方法でコロイド結晶層用組成物2~25を得た。
(製造例Y-1、Y-2)コロイド結晶層用組成物Y-1、Y-2
表4に示す配合組成に変更した以外は、製造例55と同様の方法でコロイド結晶層用組成物Y-1、Y-2を得た。
Figure 2022022096000005
表4中の略称を以下に示す。
分散体1:表面変性カーボンブラック(平均粒子径62nm 顔料分20.0%、 オリ
エント化学工業社製BONJET BLACK CW-1)
BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
エマルゲン1108:ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、花王株式会社製)
<プライマー用組成物の製造>
(製造例80)プライマー用組成物1
撹拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水95.6部、アクアロンAR-10を0.25部仕込んだ。次いで、別途、スチレン10.0部、メチルメタクリレート25.0部、2-エチルヘキシルアクリレート16.0部、n-ブチルアクリレート35.0部、アクリル酸2.0部、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.0部、アクアロンAR-10 1.0部、水39.3部をあらかじめ混合、撹拌して調製したエチレン性不飽和単量体の乳化液のうちの5.0%を、反応容器に更に添加した。
反応容器の内温を70℃に昇温して窒素置換を十分行った後、開始剤として過硫酸カリウムの2.5%水溶液5.7部を添加して乳化重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を保ちながら、エチレン性不飽和単量体の乳化液の残分と、過硫酸カリウムの2.5%水溶液4.0部とを2時間かけて滴下して反応を進め、プライマー用樹脂微粒子分散体を合成した。
反応完了後、25%アンモニア水1.9部を添加して中和し、水を加えてプライマー用樹脂微粒子分散体の固形分濃度を40.0%に調整した。プライマー用樹脂微粒子の平均粒子径は96nm、Cv値は25.4%、Tgは-3.2℃であった。
得られたプライマー用樹脂微粒分散体に、n-プロピルアルコールを2.0部、オリエント化学工業社製BONJET BLACK CW-1(表面変性カーボンブラック 平均粒子径62nm 顔料分20.0%)を10.0部添加、撹拌混合し、プライマー用組成物1を得た。
<積層体の製造>
[実施例1]積層体1
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ製FOR、厚み20μm)のコロナ処理面に、プライマー用組成物1を乾燥後の厚みが2.0μmになるようにバーコーター(オーエスジーシステムプロダクツ社製、OSP-05)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、プライマー層を形成した。
簡易グラビア塗工機(日商グラビア者製GRAVO-PROOF MINI)に東洋FPP製グラビアシリンダー(彫刻方式:ヘリオ、セル形状:コンプレスト、線数:70線/cm)をセットし、コロイド結晶層用組成物23を、前記プライマー層上に印刷し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第1のコロイド結晶層を形成した。第1のコロイド結晶層の厚みは5.0μmであった。
次いで、前記第1のコロイド結晶層上に、樹脂層用組成物A-1をバーコーター(OSP-04)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは1.5μmであった。
次いで、簡易グラビア塗工機に東洋FPP製グラビアシリンダー(彫刻方式:ヘリオ、セル形状:コンプレスト、線数:70線/cm)をセットし、コロイド結晶層用組成物23を、前記樹脂層上に印刷し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第2のコロイド結晶層を形成した。第2のコロイド結晶層の厚みは、5.0μmであった。
このようにして、OPP/プライマー層/第1のコロイド結晶層/樹脂層/第2のコロイド結晶層の構成を有する積層体1を得た。
[実施例2~56、58~60、比較例1、2、5]積層体2~56、58~60、65、66、69
表5~表7に示す構成に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層体2~56、58~60、65、66、69を得た。
なお、実施例58~60は、グラビアシリンダーを下記のものに変更し、第1と第2のコロイド結晶層の厚みを調整した。
実施例58:東洋FPP製グラビアシリンダー(彫刻方式:ヘリオ、セル形状:コンプレスト、線数:200線/cm)
実施例59:東洋FPP製グラビアシリンダー(彫刻方式:ヘリオ、セル形状:コンプレスト、線数:170線/cm)
実施例60:東洋FPP製グラビアシリンダー(彫刻方式:ヘリオ、セル形状:コンプレスト、線数:130線/cm)
[実施例57]積層体57
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ製FOR、厚み20μm)のコロナ処理面に、プライマー用組成物1を乾燥後の厚みが2.0μmになるようにバーコーター(OSP-05)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、プライマー層を形成した。
フレキシプルーフ100(アニロックスローラー80線/cm)を用いて、コロイド結晶層用組成物23を、前記プライマー層上に印刷し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第1のコロイド結晶層を形成した。第1のコロイド結晶層の厚みは1.5μmであった。
次いで、前記第1のコロイド結晶層上に、樹脂層用組成物A-19をバーコーター(OSP-04)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは1.5μmであった。
次いで、フレキシプルーフ100(アニロックスローラー80線/cm)を用いて、コロイド結晶層用組成物23を、前記樹脂層上に印刷し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第2のコロイド結晶層を形成した。第2のコロイド結晶層の厚みは、1.5μmであった。
このようにして、OPP/プライマー層/第1のコロイド結晶層/樹脂層/第2のコロイド結晶層の構成である積層体57を得た。
[実施例61]積層体61
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ製FOR、厚み20μm)のコロナ処理面に、プライマー用組成物1を乾燥後の厚みが2.0μmになるようにバーコーター(OSP-05)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、プライマー層を形成した。
バーコーター(OSP-47)を用いて、コロイド結晶層用組成物23を、前記プライマー層上に印刷し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第1のコロイド結晶層を形成した。第1のコロイド結晶層の厚みは18.0μmであった。
次いで、前記第1のコロイド結晶層上に、樹脂層用組成物A-19をバーコーター(OSP-04)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは1.5μmであった。
次いで、バーコーター(OSP-22)を用いて、コロイド結晶層用組成物23を、前記樹脂層上に印刷し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第2のコロイド結晶層を形成した。第2のコロイド結晶層の厚みは、10.0μmであった。
このようにして、OPP/プライマー層/第1のコロイド結晶層/樹脂層/第2のコロイド結晶層の構成である積層体61を得た。
[実施例62、63]積層体62、63
表7に示す構成に変更した以外は、実施例61と同様の方法で積層体62、63を得た。
なお、実施例62、63は、それぞれバーコーター(OSP-47)、バーコーター(OSP-52)を用いて第1及び第2のコロイド結晶層の厚みを調整した。
[実施例64]
簡易グラビア塗工機に東洋FPP製グラビアシリンダー(彫刻方式:ヘリオ、セル形状:コンプレスト、線数:70線/cm)をセットし、コロイド結晶層用組成物23を、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ製FOR、厚み20μm)のコロナ処理面に印刷し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第1のコロイド結晶層を形成した。第1のコロイド結晶層の厚みは5.0μmであった。
次いで、前記第1のコロイド結晶層上に、樹脂層用組成物A-19をバーコーター(OSP-04)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは1.5μmであった。
次いで、簡易グラビア塗工機に東洋FPP製グラビアシリンダー(彫刻方式:ヘリオ、セル形状:コンプレスト、線数:70線/cm)をセットし、コロイド結晶層用組成物23を、前記樹脂層上に印刷し、オーブンで50℃3分間乾燥して、第2のコロイド結晶層を形成した。第2のコロイド結晶層の厚みは、5.0μmであった。
このようにして、OPP/第1のコロイド結晶層/樹脂層/第2のコロイド結晶層の構成である積層体64を得た。
[比較例3]積層体67
樹脂層用組成物A-30として、SYLGARD184溶液(東レダウ社製シリコーンエラストマー前駆体; 主剤A液(固形分99.6%):架橋剤B液(固形分76.2%)=10:1(質量比)、Tgは-120℃)を用いて、表7に示す構成で実施例1と同様の方法で積層体67を得た。
[比較例4]積層体68
樹脂層用組成物A-31として、ポリビニルアルコール20%水溶液(クラレ社製ポバール22-88、Tgは70℃)を用いて、表7に示す構成で実施例1と同様の方法で積層体68を得た。
[比較例6]積層体70
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ製FOR、厚み20μm)のコロナ処理面に、プライマー用組成物1を乾燥後の厚みが2.0μmになるようにバーコーター(OSP-05)で塗工した後、オーブンで80℃3分間乾燥して、プライマー層を形成した。
次いで、簡易グラビア塗工機に東洋FPP製グラビアシリンダー(彫刻方式:ヘリオ、セル形状:コンプレスト、線数:70線/cm)をセットし、コロイド結晶層用組成物23を、前記プライマー層上に印刷し、オーブンで50℃3分間乾燥して、コロイド結晶層を形成した。コロイド結晶層の厚みは5.0μmであった。
このようにして、OPP/プライマー層/コロイド結晶層の構成である積層体70を得た。
[実施例Z-1、Z-2]積層体Z-1、Z-2
表7に示す構成に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層体Z-1、Z-2を得た。
<積層体の評価>
得られた積層体の評価を行った、結果を表5~表7に示す。
(発色性)
積層体について、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製V-770D、積分球ユニットISN-923)を用いて、波長250~850nmの範囲で反射スペクトルを測定した。各波長における反射率は、反射率が既知の標準白板(ラブスフェア社製SRS-99-010)をリファレンスとして用いて測定した相対反射率である。得られた反射スペクトルについて、構造色に由来する反射率の最大値と構造色によらないベースラインの反射率の差分(△R)を算出した。△Rが大きいほど発色性に優れている。得られた△Rから、以下の基準で評価した。
S:△Rが10%以上(非常に良好)
A:△Rが5%以上、10%未満(良好)
B:△Rが2%以上、5%未満(使用可)
C:△Rが2%未満、又は構造色に由来する反射率のピークが判別不能(使用不可)
(基材追従性)
積層体を5cm×5cmの試験片に切り出し、180度・5回折り曲げを行った。折り曲げ後の積層体の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
S:剥がれや傷がない(非常に良好)
A:剥がれや傷の面積が試験片の5%未満(良好)
B:剥がれや傷の面積が試験片の5%以上、10%未満(使用可)
C:剥がれや傷の面積が試験片の10%以上(使用不可)
(耐圧痕性)
積層体を5cm×5cmの試験片に切り出し、指の腹を30回押し付けた後の積層体の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
S:剥がれや傷がない(非常に良好)
A:剥がれや傷の面積が圧痕した領域の5%未満(良好)
B:剥がれや傷の面積が圧痕した領域の5%以上、10%未満(使用可)
C:剥がれや傷の面積が圧痕した領域の10%以上(使用不可)
(耐擦傷性)
積層体を5cm×5cmの試験片に切り出し、指の腹で50回擦った後コロイド結晶の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
S:剥がれや傷がない(非常に良好)
A:剥がれや傷の面積が圧痕した領域の5%未満(良好)
B:剥がれや傷の面積が圧痕した領域の5%以上、10%未満(使用可)
C:剥がれや傷の面積が圧痕した領域の10%以上(使用不可)
Figure 2022022096000006
Figure 2022022096000007
Figure 2022022096000008
本発明の積層体は、いずれも良好な発色性を示し、基材追従性や耐圧痕性、耐擦傷性にも優れていた。特に、樹脂層の厚みが1.0~20μmである積層体は、顕著に優れた発色を示した。また、第1のコロイド結晶層と、第2のコロイド結晶層とを合わせた厚みが5.0~30μmの範囲である積層体は、発色性に優れていた。
一方で、比較例の積層体は、発色性や基材追従性、耐圧痕性、又は耐擦傷性のいずれかが劣っていた。

Claims (9)

  1. 少なくとも、基材層と、光の干渉により発色する層とを備える積層体であって、
    前記光の干渉により発色する層が、基材層側から、
    コアシェル型樹脂微粒子を含む第1のコロイド結晶層と、
    ガラス転移点が-30~50℃である樹脂層と、
    コアシェル型樹脂微粒子を含む第2のコロイド結晶層とを、この順に有する積層体。
  2. 前記コアシェル型樹脂微粒子の平均粒子径が180~330nmである、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記コアシェル型樹脂微粒子が、コアの質量を基準としてシェルを10~300質量%有する、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記コアシェル型樹脂微粒子が、コアの質量を基準としてシェルを10~50質量%有し、コアのガラス転移点が60℃以上であり、シェルのガラス転移点が-50~20℃である、請求項1~3いずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記コアシェル型樹脂微粒子が、反応性界面活性剤を用いて重合してなる、請求項1~4いずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記樹脂層を形成する樹脂の重量平均分子量が、50,000以上である、請求項1~5いずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記樹脂層を形成する樹脂の酸価が、5~70mgKOH/gである、請求項1~6いずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記樹脂層の厚みが1.0~20μmである、請求項1~7いずれか1項に記載の積層体。
  9. 少なくとも、基材層と、光の干渉により発色する層とを備える積層体の製造方法であって、下記工程1~工程3をこの順に有する積層体の製造方法。
    工程1)基材層上に、コアシェル型樹脂微粒子を含むコロイド結晶用組成物を塗布し、第1のコロイド結晶層を形成する工程。
    工程2)第1のコロイド結晶層上に、ガラス転移点が-30~50℃である樹脂微粒子を含む樹脂層用組成物を塗布し、樹脂層を形成する工程。
    工程3)樹脂層上に、コアシェル型樹脂微粒子を含むコロイド結晶用組成物を塗布し、第2のコロイド結晶層を形成する工程。
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