JP7183313B2 - 半田合金及び半田粉 - Google Patents
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Description
また、電子部品の高密度化に伴い、印刷工程において狭ピッチ印刷性や連続印刷性(印刷寿命)等が求められるようになり、このような観点からも半田ペーストの粘度上昇抑制は重要な課題となりつつあった。
本実施形態の一例に係る半田合金(「本半田合金」と称する)は、Snを主成分とし、微量のAs(砒素)を含有していれば、他の構成元素は、半田として機能し得る金属原料の組合せからなるものであれば特に限定するものではない。
具体的には、Sn-Sb系合金、Sn-Bi系合金、Sn-Zn系合金、Sn-Cu系合金、Sn-Ag系合金或いはこれらの合金にAg、Sb、Bi、Ga、Ge、Zn、Cu、Zn、In等の他元素のいずれか一種又は二種以上を組み合わせた半田合金(例えばSn-Ag-Cu系合金、Sn-Ag-Cu-Bi系合金、Sn-Ag-Cu-Bi-In系合金、Sn-Ag-Bi-In系合金など)、その他を採用することができる。
かかる観点から、Asの含有量は、20ppm~100ppmであることが重要であり、中でも30ppm以上或いは95ppm以下、その中でも40ppm以上或いは90ppm以下であるのが好ましい。
このような半田合金の中でも、Ag100質量部に対して0.06~0.30質量部のAsを含むことがより好ましく、中でも特に0.10質量部以上或いは0.29質量部以下、その中でも特に0.11質量部以上或いは0.29質量部以下の割合でAsを含むことがさらに好ましい。
このような半田合金の中でも、Cu100質量部に対して0.30~1.80質量部のAsを含むことがより好ましく、中でも特に0.50質量部以上或いは1.75質量部以下、その中でも特に0.55質量部以上或いは1.70質量部以下の割合でAsを含むことがさらに好ましい。
本半田合金の製法は、特に限定するものではない。あらかじめAsを微量含有する半田合金原料を溶融した後、微粉化処理することが好ましい。この際、微粉化処理としては、例えばガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法、水アトマイズ法、油アトマイズ法、真空アトマイズ法、回転電極法、回転冷却流体法、遠心噴霧法、超音波噴霧法など、溶融物を用いて乾式法或いは湿式法により微粉化された半田合金を用いることができる。
本半田合金を用いてなる半田粉(「本半田粉」と称する)のD50、すなわち、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD50は、印刷性の観点から、5μm~50μmであるのが好ましく、特に10μm以上或いは40μm以下であるのが好ましい。
なお、本半田粉の粒径(D50)は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(日機装社 商品名:マイクロトラック)等により測定可能である。
本半田粉の比表面積は、ペーストの粘性、溶融性の観点から、0.01~0.10m2/gであるのが好ましく、中でも0.02m2/g以上或いは0.04m2/g以下であるのがより一層好ましい。
本半田粉の比表面積が上記範囲になるように調製する方法としては、例えば本半田粉の球形化度・粒度をコントロールする方法を挙げることができる。ただし、この方法に限定するものではない。
本半田粉の酸素濃度は、ペーストの粘性、溶融性の観点から、50ppm~150ppmであるのが好ましく、中でも91ppm以上或いは133ppm以下、その中でも99ppm以上或いは125ppm以下であるのがより一層好ましい。
本半田粉の酸素濃度が上記範囲になるように調製する方法としては、例えば本半田粉球形化度・粒度をコントロールする方法を挙げることができる。ただし、この方法に限定するものではない。
本半田粉と、フラックスとを混合することにより、半田ペースト(以下「本半田ペースト」と称する。)を得ることができる。例えば、フラックス原料を混合して加熱溶融させ、自然放置若しくは攪拌しながら冷却してフラックスを調製した後、フラックスの温度が室温まで下がった時点で、本半田粉と混合及び攪拌して本半田ペーストを製造することができる。
本半田ペーストに用いるフラックスは、例えばロジン(松脂)、活性剤、増粘剤、溶剤などを混合して調製することができる。より具体的には、これらの成分を混合して加熱溶融させ、自然放置若しくは攪拌しながら冷却して調製することができる。
その他、増粘目的で半田ペースト用に配合される材料であれば、チキソ剤として用いることができる。
その他、フラックスベース(ロジン)及び活性剤を溶解し得る媒体であれば、溶剤として用いることができる。
本発明において「不可避不純物」とは、最終製品を得るまでの製造過程において,意図して導入するまでもなく含まれてくる成分の意味であり、10ppm未満の微量成分であって、製品の特性に影響を及ぼさないため、存在するままにされている不純物の意味である。例えば鉄(Fe)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等が挙げられる。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
表1の組成となるように、それぞれ塊状の純金属である純Sn(3N)、純Ag(3N)、純Cu(3N)、純Bi(3N)、純In(3N)及び純As(4N)を秤量して混合し、アルミナ坩堝を用いてAr雰囲気下で熔解させた。熔解後、遠心噴霧によって、D50を約25μmとした半田粉(サンプル)を作製した。
なお、作製した半田粉についてICP分析を行い、表1の組成になったことを確かめた。また、不可避不純物である鉄(Fe)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ニッケル(Ni)及びアルミニウム(Al)の含有量はそれぞれ10ppm未満であることを同時に確認した。
半田粉(サンプル)2gをIPA50mL中に入れて超音波を照射して(3分間)分散させた後、粒度分布測定装置(日機装株式会社製「マイクロトラック(商品名)MT-3000EXII(型番)」)により、体積基準粒度分布によるD10、D50、D90を測定した。
Mountech社製の比表面積測定装置(Macsorb(HM model-1208)を用いて、JIS R 1626:1996(ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法)の「6.2流動法の(3.5)一点法」に準拠して、半田粉のBET比表面積(SSA(BET))の測定を行った。その際、キャリアガスであるヘリウムと、吸着質ガスである窒素の混合ガスを使用した。
半田粉(サンプル)の酸素濃度を、酸素窒素分析装置(堀場製作所社製 製品名「EMGA620」)を使用して測定した。
フラックス(アルコールベースのロジン系)10質量部と、実施例・比較例で得られた半田粉90質量部とを混合して攪拌して半田ペーストを作製し、粘度変化を測定した。
また、作製し半田ペーストを25℃で2週間保持し、前記同様にスパイラル式粘度計(マルコム社製、商品名:PCU-205)を使用して、回転数10rpmの条件で2週間後の粘度(単位:Pa・s)を測定した。
そして、2週間後の粘度(単位:Pa・s)を初期粘度(単位:Pa・s)で除した値を粘度上昇率(%)とし、結果を表1に示した。
この際、2週間後の粘度上昇率(%)が、170(%)以上であった場合を「×(poor)」と評価し、140(%)以上170(%)未満であった場合を「○(:good)」と評価し、140(%)未満であった場合を「◎(:very good)と評価した。
作製した半田ペーストを、リフロー炉(山陽精工製 SMTscope SK-8000)を用いて窒素雰囲気中で昇温速度120℃/minで250℃まで加熱した後、100℃/minで室温まで冷却させ、生成された溶融物の外観を20倍の顕微鏡で観察することにより溶融性を評価した。
この際、溶融しきれない半田粒子が観察されない場合を「○(:good)」、溶融しきれない半田粒子が観察された場合を「×(poor)」と評価した。
なお、上記実施例は、3種類の組成についての実施例であるが、これまで発明者が行ってきた試験の結果からすると、少なくとも、Snと、Ag、Bi、Sb、Zn、In及びCuからなる群から選ばれる1種又は2種以上とを含む組成の半田合金については、上記実施例と同様の効果が得られるものと考えることができる。
Claims (7)
- Snを90.0~99.8wt%含有し、Agを0.1~6wt%を含有し、Asを質量割合30ppm~100ppm含有し、残部がCuである半田合金からなる半田粉と、ロジン系フラックスと、を含有する半田ペーストであって、
前記半田粉は、BET比表面積が0.01~0.10m 2 /gである半田ペースト(但し、Agを2.9wt%、Cuを0.5wt%、Feを3ppm、Asを50ppm、Alを1ppm、Pbを12ppm、Sbを6ppm含み、残部がSnである半田合金からなる半田粉を含むものを除く。)。 - 前記半田合金は、Cuを0.1~3.0wt%を含有するものである請求項1に記載の半田ペースト。
- Sn、Ag、Cu及びAsからなり、 Snを90.0~99.8wt%含有し、Agを0.1~6wt%を含有し、Cuを0.1~3.0wt%を含有し、Asを質量割合30ppm~100ppm含有する半田合金からなる半田粉と、ロジン系フラックスと、を含有する半田ペーストであって、
前記半田粉は、BET比表面積が0.01~0.10m 2 /gである半田ペースト(但し、Agを2.9wt%、Cuを0.5wt%、Feを3ppm、Asを50ppm、Alを1ppm、Pbを12ppm、Sbを6ppm含み、残部がSnである半田合金からなる半田粉を含むものを除く。)。 - 前記半田合金は、Asを30質量ppm~53質量ppm含有するものである請求項1~3の何れかに記載の半田ペースト。
- 前記半田合金は、Ag100質量部に対して0.06~0.30質量部のAsを含むものである請求項1~4の何れかに記載の半田ペースト。
- 前記半田合金は、Cu100質量部に対して0.30~1.80質量部のAsを含むものである請求項1~5の何れかに記載の半田ペースト。
- 前記半田粉は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD50が5μm~50μmである請求項1~6の何れかに記載の半田ペースト。
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