JP4084657B2 - はんだペースト用はんだ粉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品、電子モジュール、プリント配線板等の製造に使用するはんだぺ一ストを好適に作製し得るはんだペースト用はんだ粉に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の表面実装では、一般的にスクリーン印刷法やディスペンサ法等によってプリント回路基板にはんだペーストを印刷塗布或いは吐出塗布し、その上に表面実装部品を搭載し、リフロー炉等を用いて加熱溶融させて部品を接続する方法が採られる。また、バンプの原材料にもはんだペーストが用いられるなど、電子部品、電子モジュール、プリント配線板等の製造において、はんだペーストは極めて重要な役割を果たしている。
【0003】
この種のはんだペーストは、一般的にロジン(松脂)、活性剤、増粘剤、溶剤などを混合して加熱溶解させ、自然放置若しくは攪拌しながら冷却して液状のフラックスを調製した後、フラックスの温度が室温まで下がった時点で、フラックスとはんだ粉とを混合及び攪拌して製造される。この際、フラックスは、金属の酸化を防ぎ、溶融したはんだの表面張力を下げて濡れ性を高めるほか、はんだ付け部を正常にする役割を果たす。
【0004】
ところが、この種のはんだペーストは、はんだ粉とフラックス中の活性剤等とが反応してペースト粘度が経時的に上昇し、印刷不良、ぬれ不良、接続不良などの様々な問題を招来するという課題を抱えている。特に近年、環境問題等の観点からSn−Pb系のはんだから鉛フリーはんだに移行しつつあるが、鉛フリーはんだの場合にはぬれ性等を確保するために活性の高いフラックスを用いることが多いため、このような粘度上昇の問題は一層深刻化する可能性がある。
また、電子部品の高密度化に伴い、印刷工程において狭ピッチ印刷性や連続印刷性(印刷寿命)等が求められるようになり、このような観点からもはんだペーストの粘度上昇抑制は重要な課題となりつつある。
【0005】
従来、はんだペーストの経時変化を防止するための方法として、次のような発明が開示されている。
【0006】
例えば特許文献1(特開昭55−94793号公報)は、はんだ粉末とフラックスが直接に接触するのを防止する目的で、はんだ粉末をフラックスに対して難溶性で且つ熱により溶解または破壊される被覆剤(例えばゼラチン)ではんだ粉末を被覆する方法を開示している。
【0007】
特許文献2(特開昭63−180396号公報)は、活性剤をプリヒート時の温度よりも高いはんだ付け温度で分解される物質によってコーティングする方法を開示している。
【0008】
特許文献3(特開平3−216292号公報)は、フラックス中にマロン酸単独或はマロン酸とアミンとの反応から誘導される塩を添加する方法を開示している。
【0009】
特許文献4(特開平5−318176号公報)は、フラックスの増粘抑制効果はカルボン酸及びその誘導体の解離定数によって大きく左右されること、詳しくは、解離定数が2.5以上であるカルボン酸及びその誘導体、例えば乳酸、リンゴ酸、シクロヘキサン酸等は、増粘抑制作用が殆ど認められないか、増粘を促進する現象が認められるのに対し、解離定数が2.5以下であるカルボン酸及びその誘導体、例えばクロル(またはブロム)フマル酸、クロル(またはブロム)マロン酸、ジクロル(またはジブロム)フタル酸、ジクロル(またはジブロム)コハク酸、ジクロル(またはジブロム)サリチル酸などでは、増粘抑制作用が認められることを見出し、かかる知見に基づき、フラックス中に増粘抑制剤として、解離定数(PK)が2.5以下で、かつフラックスの構成成分である樹脂分と相溶性を有し、フラックス中に均一に溶解するカルボン酸又はその誘導体を0.5〜5重量%含有することを特徴とするクリームはんだを提案している。
【0010】
特許文献5(特開平6−234094号公報)は、ペーストの経時変化がはんだ粉末とロジンの反応による金属石鹸の生成にあるとして、樹脂成分であるロジンにライムレジンを混和またはロジンの替わりにライムレジンを使用する方法を開示している。
【0011】
特許文献6(特開平8−118065号公報)は、はんだペーストの溶剤は、酸化エチレンの付加物とアルコ−ルとからなるモノエ−テルで末端に水酸基を有していたために吸湿性を有し、粘度上昇、はんだボ−ルの増加、皮張り、粘着力低下などの欠点を有していたことを見出し、かかる知見に基づき、はんだ粉末、ロジン類、活性剤、溶剤、粘度調整剤等よりなるクリ−ムはんだにおいて、酸化エチレンの付加物のアルコ−ル溶液中にナトリウムアルコキシドとハロゲン化アルキル及びジアルキルサルフェ−トを反応させて得られる混成エ−テルを用いることによって、経時変化の少ないクリ−ムはんだを得ることができることを開示している。
【0012】
特許文献7(特開平10−43882号公報)は、はんだペースト中に特定の構造を有した有機酸もしくは/及び有機酸エステルを添加してなる、保存安定性に優れたはんだペーストを開示している。
【0013】
特許文献8(特開2000−263280号公報)は、フラックスベース、溶剤、チキソ剤および活性剤を含有する液状またはペースト状のクリームはんだ用フラックスにおいて、活性剤として、酸性活性剤と、溶剤に対して不溶性のアミン系活性剤を含有させることを開示している。
【0014】
特許文献9(特開2001−287081号公報)は、少量のグリシジルエーテル化合物を添加したフラックスを用いてソルダペーストを作製することにより、Sn−Zn系はんだ合金粉末を含むソルダペーストの経時変化に対する安定性を実現できることを見い出し、かかる知見に基づいて、グリシジルエーテル化合物を 0.1〜5.0 質量%添加したフラックスと、Zn含有はんだ合金の粉末、とが混和されていることを特徴とする、鉛フリーのZn系ソルダペーストを提案している。
【0015】
特許文献10(特開2001−294901号公報)は、表面にリン酸系アニオン界面活性剤を設けたことを特徴とするはんだ粉末を提案し、はんだ合金粉末のまわりにリン酸系アニオン界面活性剤で皮膜を形成し、はんだ粉末表面をカバーすることによりフラックス中へのZnの溶出を防止し、経時変化を少なくすることを開示している。
【0016】
【特許文献1】
特開昭55−94793号公報
【特許文献2】
特開昭63−180396号公報
【特許文献3】
特開平3−216292号公報
【特許文献4】
特開平5−318176号公報
【特許文献5】
特開平6−234094号公報
【特許文献6】
特開平8−118065号公報
【特許文献7】
特開平10−43882号公報
【特許文献8】
特開2000−263280号公報
【特許文献9】
特開2001−287081号公報
【特許文献10】
特開2001−294901号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ペースト作製後の粘度上昇を抑制し得る、新たなはんだペースト用はんだ粉を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、はんだ粉とペースト作製後の粘度上昇との関係について鋭意研究を行った結果、はんだ粒子表面の酸化皮膜の厚さと、ペースト作製後の粘度上昇との間に相関があることを見出し、かかる知見に基づき本発明を想到した。
【0019】
即ち、本発明は、はんだ粒子表面に平均厚さ約2.5〜6nmの酸化錫からなる酸化皮膜を形成することにより、ペースト作製後の経時的粘度上昇を抑制し得るはんだペースト用はんだ粉を提案する。
【0020】
このように平均厚さ約2.5〜6nmの酸化錫からなる酸化皮膜を備えたはんだ粉を用いてはんだペーストを作製すれば、ペースト作製後の粘度上昇を効果的に抑制することができる。
【0021】
本発明における酸化膜の厚さは、走査型オージェ電子顕微鏡(SAM)を用いてはんだ粉深さ方向のSnとOの濃度プロファイルを測定し、横軸にスパッタ時間(深さ)、縦軸にSnとOの濃度をプロットし、60sec=7.1nmを用いてスパッタ時間から膜厚へ変換すると共に、O濃度が10原子%のところを酸化膜厚みと定義して得た値である。
本発明において、「平均厚さ約2.5〜6nmの酸化皮膜」における「平均厚さ」とは、粒子表面において部分的に酸化皮膜の厚さが増減している場合に全表面の厚さの平均を意味し、「約」とは、ペースト作製後の粘度上昇を抑制し得る効果を備えていればその数値の前後0.1〜0.2nm程度を許容する意である。
また、本発明請求項1に係るはんだ粉は、はんだペーストを作製するために用いるはんだ粉の粒子表面を分析し、酸化皮膜の厚さが平均約2.5〜6nmで、かつ組成の主成分が酸化錫(SnO又はSnO2)であるか否かによって検出することができる。なお、組成の主成分が酸化錫であるか否かは、酸化錫の含有量が50%以上であるか否かで判断でき、その際の酸化皮膜中の酸化錫含有量は、前述した走査型オージェ電子顕微鏡(SAM)を用いる方法において、SnとOの他に、はんだのその他合金元素を加え、濃度プロファイルを測定すると共に、Snのオージェ電子スペクトルを状態分析した結果から、O濃度が10原子%でのSn、O及びはんだのその他合金元素の総モル量を100%とした際のSn量をSnO2として原子%に換算した値を意味する。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る実施の形態を説明するが、実施の形態が本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
本発明のはんだペースト用はんだ粉は、はんだ粒子表面に所定厚さの酸化錫からなる酸化皮膜を形成することによって得ることができる。
【0024】
(酸化皮膜)
酸化皮膜の厚さは、平均厚さ約2.5〜6nm、中でも約2.8nm〜5nmとするのが好ましい。
酸化皮膜の厚さが約2.5nmより小さいと、はんだペースト作製後に粘度が上昇する可能性がある。その一方、約6nmより著しく大きいと、はんだペーストの濡れ広がり性が悪くなるばかりか、リフロー時にはんだボールを生成する可能性がある。即ち、酸化膜が厚くなり過ぎると、はんだの溶融温度に達しても、はんだ粉内部は溶融するが表面の酸化膜が破れずに他の溶融したはんだと一体化することができず、小球化してはんだボールが発生する可能性がある。
ちなみに、特開平7−258707号公報には、はんだ粉をアトマイズ法により製造する方法において、チャンバー内の酸素濃度を調整してはんだ粉を製造する技術が開示されているが、このようにして形成される酸化皮膜の厚さは1.8nm〜2.4nm程度である。又、はんだ粉を空気中に放置すれば、はんだ粒子表面は酸化されて酸化皮膜で覆われるが、この際の酸化皮膜の厚さは本発明の厚さに比べて著しく薄いことは明白である。
【0025】
酸化皮膜の組成は、酸化錫(SnO又はSnO2)を主成分とする組成が好ましい。即ち、SnO又はSnO2が約50〜100%、中でも約80〜100%を占める組成であるのが好ましい。
【0026】
(はんだ粉)
酸化皮膜被形成物としてのはんだ粉の粒径は、特に限定するものではないが、中心粒径が約1μm〜80μm、中でも約10μm〜50μmであるのが好ましい。
【0027】
また、はんだ粒子の形状は、真球、略球形、略楕円形、不定形、或いはこれら二種類以上の混合系など、特に限定するものではないが、真球若しくは略球形であるのが好ましい。はんだ粒子の表面性状は、平滑な表面からなるものであっても凸凹状(ディンプル状)の表面からなるものでもよい。
【0028】
はんだ粉の組成は、可能なはんだ合金組成であれば特に限定するものではない。具体的には、Sn−Pb系合金のほか、鉛フリーはんだ、例えばSn−Sb系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Zn系合金、Sn−Zn−Bi系合金、Sn−Ag系合金(例:Sn−3.5Ag)、或いはこれらの合金にAg、Sb、Bi、In、Ga、Ge、Zn、Cu、Zn等の他元素のいずれか一種又は二種以上を組み合わせによる合金(例:Sn−3Ag−0.5Cu)などを挙げることができる。
【0029】
はんだ粉の製造方法は、特に限定するものではなく、ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法、水アトマイズ法、油アトマイズ法、真空アトマイズ法、回転電極法、回転冷却流体法、遠心噴霧法、超音波噴霧法或いはその他の方法で製造することができる。
【0030】
(酸化皮膜の形成方法)
はんだ粉の粒子表面に酸化皮膜を形成する方法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング、イオンインプランテーション、熱CVD(Chemical vapor deposition)、MOCVD、光CVD、プラズマCVD、電気めっき法(電着法)、化学めっき法、リン酸塩処理、クロメート処理、アノード酸化法、溶融メッキ、拡散浸透処理法、溶射法など、従来公知の表面改質法を用いることが可能であるが、本発明では新たな酸化皮膜形成方法として、製造直後のはんだ粉を所定の雰囲気下で所定時間存在させることにより、徐々にはんだ粒子表面を酸化する方法(「徐酸化処理」という。)を提案する。
【0031】
具体的には、任意な方法によって製造された直後のはんだ粉、例えばガスアトマイズ法によって製造された直後のはんだ粉を、温度60℃±15℃、湿度40%±15%の条件、好ましくは温度60℃±10℃、湿度40%±10%の雰囲気下で下記に示す所定時間保管することにより、徐々にはんだ粒子表面を酸化させればよい。
【0032】
保管時間としては、
▲1▼[湿度(%)]≦90−[温度(℃)]の場合、12〜24時間、
▲2▼[湿度(%)]≧90−[温度(℃)]でかつ[湿度(%)] ≦110−[温度(℃)]の場合、8〜20時間、
▲3▼[湿度(%)]≧110−[温度(℃)]の場合、4〜16時間、
とするのが好ましい。
【0033】
(はんだペースト)
本発明のはんだ粉を用いてはんだペーストを作製するには、従来公知の方法を任意に採用することができる。例えば、ロジン(松脂)、活性剤、増粘剤、溶剤などを混合して加熱溶解させ、自然放置若しくは攪拌しながら冷却してフラックスを調製した後、フラックスの温度が室温まで下がった時点ではんだ粉と混合及び攪拌して製造することができる。
はんだ粉とフラックスの混合割合を特に限定するものではないが、はんだ粉とフラックスの合計量を100重量%として、はんだ粉80〜95重量%程度とフラックス5〜20重量%程度を混合するのが一般的である。
【0034】
フラックスは、一般的に、フラックスベースとしてのロジン(松脂)、活性剤、増粘剤(チキソ剤)、溶剤などから調製することができる。代表的組成例としては、ロジン40〜60重量%、活性剤0.5〜3 質量%、増粘剤(チキソ剤)3〜8重量%、溶剤30〜50重量%である。
【0035】
フラックスベースとしては、例えば、ガムロジン、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、その他各種ロジン誘導体や、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、テルペン樹脂等の合成樹脂等のいずれか、或いはこれら二種類以上の組合わせからなる混合物を用いることができる。その他、酸化膜が除去されたはんだ粒子表面を外気から遮断して非酸化雰囲気を保持するために、はんだペースト用に配合される材料であればフラックスベースとして用いることができる。
【0036】
活性剤としては、例えば、アミンハロゲン化水素酸塩(例、ジフェニルグアニジンHBr、ジエチルアミン臭化水素酸塩、ジフェニルグアニジンHBr、トリエタノールアミンHBr、シクロへキシルアミン塩酸塩等)などのアミンハロゲン化塩、或いは、蟻酸、酢酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸、乳酸等の有機モノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、グルタミン酸等の有機ジカルボン酸、或いはこれらの無水物、またハロゲン化炭化水素などの誘導体のいずれか、或いはこれら二種類以上の組合わせからなる混合物を用いることができる。
中でも本発明のはんだ粉は、カルボン酸或いはジカルボン酸又はその誘導体を含むフラックスと混合してペーストを作製する場合に、ペーストの粘度上昇をより一層効果的抑制することができる。
なお、その他、はんだ粒子表面の酸化皮膜を分解、除去するために、はんだペースト用に配合される材料であれば活性剤として用いることができる。
【0037】
増粘剤(チキソ剤)としては、例えば、硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックス、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド等のいずれか、或いはこれら二種類以上の組合わせからなる混合物を用いることができる。
その他、増粘目的ではんだペースト用に配合される材料であれば、チキソ剤として用いることができる。
【0038】
溶剤としては、例えば、アルコール、ケトン、エステル、芳香族系の溶剤を用いることができる。例えばベンジルアルコール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ターピネオール、トルエン、キシレン、テトラリン、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルなどの一種又はこれらの二種以上の組合わせから混合液を用いることができる。
その他、フラックスベース(ロジン)及び活性剤を溶解し得る媒体であれば、溶剤として用いることができる。
【0039】
(試験1)
中心粒径約40μmのSn−3Ag−0.5Cuはんだ粉を、下記表1に示す条件に設定した恒温恒湿槽(いすず製作所製、商品名:λ−202R)内に入れて15時間保管して徐酸化処理し、処理後の酸化皮膜を測定し、結果を表1に示した。
また、得られたはんだ粉にフラックス(タイプRMA9086;日本アルファメタルズ社製)を添加してはんだペーストを作製し、粘度変化を測定すると共にはんだボールテストを行った。
また、はんだ粉の中心粒径は、粒度分布測定装置マイクロトラックFRA型(目機装製)を用いて測定した値である。
【0040】
はんだペーストの粘度は、作製したはんだペーストを25℃に保持し、スパイラル式粘度計(マルコム社製、商品名:PCU−205)を使用し、回転数10rpmの条件で100分間粘度を測定した。そして、100分後の粘度(単位:Pa・s)を初期粘度で除した値を粘度増加率(%)とし、結果を表1に示した。
【0041】
はんだボールテストは、はんだペーストをセラミック(アルミナ)板に直径7mm程度、厚さ1mm程度の円型状に印刷し、ホットプレートにより所定の温度まで加熱した時、はんだ粉が融解して一つのボールにまとまる。そのとき、まとまらずに分離してできた微小なボールをここでは「はんだボール」として観察した。
【0042】
以上の結果を、下記表1に示すと共に、温度及び湿度に対する評価結果との関係を図1に示す。表1中の酸素濃度(ppm)は、はんだ粉末中の酸素濃度である。
【0043】
図1中の丸印(○)は、ペースト粘度増加率が低く(120%未満)で、かつ酸素濃度が低い(120ppm)ものを示し、
三角印(△)は、酸素濃度は低いが、ペースト粘度増加率がやや高い(120〜130%)ものを示し、
四角印(□)は、ペースト粘度増加率は低いが、酸素濃度がやや高い(120〜130ppm)ものを示し、
菱形印(◇)は、ペースト粘度増加率が高く(130%越)或いは酸素濃度が高い(130ppm越)ものを示している。
【0044】
【表1】
Figure 0004084657
【0045】
表1及び図1から、はんだ粉を温度60℃±15℃、湿度40%±15%の条件で徐酸化処理することにより、ペースト粘度増加を抑制しつつ、酸素濃度が低くなっていることが分った。また、温度60℃±10℃、湿度40%±10%の雰囲気下で徐酸化処理すればより好ましいことも分った。
これに対し、処理温度或いは処理湿度が低過ぎると、はんだ粉の徐酸化が不足し、ペースト粘度抑制効果が少なかった。他方、処理温度或いは処理湿度が高すぎると、はんだ付け時のはんだボールの発生が著しかった。
【0046】
また、下記表2の条件で、処理時間を変更して徐酸化処理を行った。
【0047】
【表2】
Figure 0004084657
【0048】
表2から分るように、処理温度或いは処理湿度に応じて処理時間を調整すれば、よりペースト粘度増加を抑制することができ、さらにはんだ粉の酸素濃度を低くすることができる。
【0049】
(試験2)
中心粒径約20〜40μmのSn−3Ag−0.5Cuはんだ粉(試験体数は6)の酸化皮膜を測定する一方(未処理)、中心粒径約20〜40μmのSn−3Ag−0.5Cuはんだ粉(試験体数はそれぞれ6)を下記表3に示す条件に設定した恒温恒湿槽(いすず製作所製、商品名:λ−202R)内に入れて2時間、15時間保管することにより徐酸化処理した。そして、処理後の酸化皮膜を測定し、結果(試験体6個の平均値)を表3に示した。
【0050】
また、得られたはんだ粉にフラックス(タイプRMA9086;日本アルファメタルズ社製)を添加してはんだペーストを作製し、粘度変化を測定し、これらの結果(試験体6個の平均値)を表3に示すと共に、粘度増加率(%)と酸化膜厚(nm)との関係を図2に示した。
【0051】
【表3】
Figure 0004084657
【0052】
はんだ粉の中心粒径は、粒度分布測定装置マイクロトラックFRA型(目機装製)を用いて測定した値である。
はんだペーストの粘度は、作製したはんだペーストを25℃に保持し、スパイラル式粘度計(マルコム社製、商品名:PCU−205)を使用し、回転数10rpmの条件で100分間粘度を測定した。そして、100分後の粘度(単位:Pa・s)を初期粘度で除した値を粘度増加率(%)とした。
【0053】
酸化膜の厚さの測定は次のように行った。
分析機器:走査型オージェ電子顕微鏡(SAM)を用いて、はんだ粉深さ方向のSnとOの濃度プロファイルを測定した。
横軸にスパッタ時間(深さ)、縦軸にSnとOの濃度をプロットした。この際、表面がO濃度が高くて内部(スパッタ時間が長くなる)になる程O濃度が低くなる。そこで、O濃度が10原子%のところを酸化膜厚みと定義し、その時のスパッタ時間を測定した。
スパッタ時間を膜厚に変換するのには、60sec=7.1nmを用いた。この変換式は、予めSiを用いて測定した値である意味での装置定数である。
【0054】
図2の結果、酸化膜厚と粘度増加率との間には少なくとも相関があることが判明し、また、ペースト粘度増加率120%未満を経時的粘度の上昇を抑制できると評価できるから、図2を参照し、酸化膜厚は約2.5以上、中でも約2.8nm以上とするのが好ましいと評価した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 湿度と粘度変化率との関係を示した図である。
【図2】 酸化膜厚と粘度増加率と酸化膜厚との関係を示した図である。

Claims (4)

  1. 中心粒径20μm〜40μmのはんだ粒子表面に、平均厚さ2.5nm〜6nmの酸化錫からなる酸化皮膜を形成してなる、ペースト作製後の経時的粘度上昇を抑制し得るはんだペースト用はんだ粉。
  2. 酸化錫からなる酸化皮膜は、SnO又はSnO 2 を主成分とするものであることを特徴とする請求項1に記載のはんだペースト用はんだ粉
  3. はんだ粒子が、鉛フリーはんだであることを特徴とする請求項1又は2に記載のはんだペースト用はんだ粉
  4. はんだ粒子の合金組成が、Sn−3Ag−0.5Cuであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のはんだペースト用はんだ粉
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