JP6928294B1 - ソルダペースト - Google Patents
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Abstract
Description
プリント基板に搭載される電子部品においては、小型化、高性能化がますます要求されている。かかる電子部品としては、例えば、半導体パッケージが挙げられる。半導体パッケージでは、電極を有する半導体素子が樹脂成分で封止されている。この電極には、はんだ材料によるはんだバンプが形成されている。このはんだ材料によって、半導体素子とプリント基板とのはんだ付けがされ、両者は接続している。
これに対し、Sn地金の精錬においてU、Th、Poを取り除くことは、技術的に難しくはない(例えば、特許文献1参照)。
一般的に、Sn中には、不純物として鉛(Pb)、ビスマス(Bi)が含まれている。Pb及びBi中の放射性同位体である210Pb及び210Biがβ崩壊して210Poとなり、210Poがα崩壊して206Pb生成時にα線が発生する。このウラン系列における一連の壊変が、はんだ材料からのα線発生の主たる原因と言われている。
Biについて、210Biの半減期は約5日間である。Pbについて、210Pbの半減期は約22.3年間である。そして、これらの影響度(存在比)は、下式で表すことができるとされる(非特許文献1参照)。すなわち、Biのα線発生への影響は、Pbに比べて非常に低い。
[210Bi]≒[210Pb]/1.6×103
式中、[210Bi]は、210Biのモル濃度を表す。[210Pb]は、210Pbのモル濃度を表す。
極低α線量の材料においては、これら放射性元素をほとんど含有していないものの、210Poの偏析が原因となって、α線量が経時変化によって増加する場合がある。210Poは、もともとα線を放射しているが、はんだ合金凝固時においてはんだ合金中心部分に偏析するため、放射しているα線がはんだ合金で遮蔽されてしまう。そして、時間経過とともに210Poが合金中に均一に分散して、α線が検出される表面にも存在するようになるため、α線量が経時変化によって増加する(非特許文献2参照)。
例えば、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制する増粘抑制のために、はんだ合金に砒素(As)を添加する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
加えて、ボイドがはんだ付け部に発生する問題に対し、特定のロジン及びアミンを併用することにより、ソルダペーストの溶融粘度が低下して、ガス化したフラックス成分がペースト中から抜けやすくなることで、ボイドの発生を抑制できることを更に見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、上記の課題を解決するため、以下の手段を採用する。
20≦Ni+Fe≦700 (1)
(1)式中、Ni及びFeは、各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
本明細書において、はんだ合金組成に関する「ppb」は、特に指定しない限り「質量ppb」である。「ppm」は、特に指定しない限り「質量ppm」である。「%」は、特に指定しない限り「質量%」である。
本実施形態のソルダペーストは、特定のはんだ粉末と、特定のフラックスとからなるものである。
前記はんだ粉末は、U:5質量ppb未満、Th:5質量ppb未満、Pb:5質量ppm未満、As:5質量ppm未満、Ni:0質量ppm以上600質量ppm以下、及びFe:0質量ppm以上100質量ppm以下、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式を満たし、かつ、α線量が0.02cph/cm2以下であるはんだ合金からなる。
20≦Ni+Fe≦700 (1)
(1)式中、Ni及びFeは、各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
前記フラックスは、水添ロジン酸メチルと、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンと、溶剤とを含む。
本実施形態のソルダペーストに用いられるはんだ粉末は、U:5質量ppb未満、Th:5質量ppb未満、Pb:5質量ppm未満、As:5質量ppm未満、Ni:0質量ppm以上600質量ppm以下、及びFe:0質量ppm以上100質量ppm以下、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式を満たし、かつ、α線量が0.02cph/cm2以下であるはんだ合金からなる。
20≦Ni+Fe≦700 (1)
(1)式中、Ni及びFeは、各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
U及びThは、放射性元素である。ソフトエラーの発生を抑制するには、はんだ合金中のこれらの含有量を抑える必要がある。
本実施形態において、はんだ合金中のU及びThの含有量は、はんだ合金から発生するα線量を0.02cph/cm2以下とする観点から、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、各々5ppb未満である。高密度実装でのソフトエラー発生を抑制する観点から、U及びThの含有量は、好ましくは各々2ppb以下であり、低いほどよい。
一般的に、Sn中には、不純物としてPbが含まれている。このPb中の放射性同位体がβ崩壊して210Poとなり、210Poがα崩壊して206Pb生成時にα線が発生する。このことから、はんだ合金中の、不純物であるPbの含有量も極力少ないことが好ましい。
本実施形態において、はんだ合金中のPbの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、5ppm未満であり、好ましくは2ppm未満であり、より好ましくは1ppm未満である。尚、はんだ合金中のPbの含有量の下限は0ppm以上でもよい。
はんだ合金にAsを添加することは、ソルダペーストの経時での増粘抑制に有効であるが、Asの添加に伴い、合金に、As由来の不純物から放射性元素も含まれることになり、はんだ材料から発生するα線量が増加してしまう。
本実施形態においては、放射性元素を含む不純物を伴うAsを添加することなく、ソルダペーストの経時での増粘抑制を図ることを目的とする。
本実施形態において、はんだ合金中のAsの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、5ppm未満であり、好ましくは2ppm未満であり、より好ましくは1ppm未満である。尚、はんだ合金中のAsの含有量の下限は0ppm以上でもよい。
はんだ付けにより、はんだ合金中の接合界面近傍において、Sn含有金属間化合物(Snを含む金属間化合物)の形成が進み、このSn含有金属間化合物が析出すると、はんだ継手の機械的強度が劣化する。
Niは、Sn含有金属間化合物が接合界面で形成することを抑制する元素である。
はんだ合金がNiを含有することで、前記Sn含有金属間化合物の形成が抑制されて、はんだ継手の機械的強度が維持される。一方、はんだ合金中のNiの含有量が600ppmを超えると、はんだ合金中の接合界面近傍において、SnNi化合物が析出し、はんだ継手の機械的強度が劣化するおそれがある。
本実施形態において、はんだ合金中のNiの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0ppm以上600ppm以下であり、好ましくは20ppm以上600ppm以下であり、より好ましくは40ppm以上600ppm以下である。
Feは、Niと同様に、Sn含有金属間化合物が接合界面で形成することを抑制する元素である。加えて、所定の含有量の範囲内では、SnFe化合物による針状結晶の析出が抑制されて、回路の短絡を防ぐことができる。
ここでいう「針状結晶」とは、1つのSnFe化合物由来の結晶において、長径と短径との比であるアスペクト比が2以上の結晶をいう。
本実施形態において、はんだ合金中のFeの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0ppm以上100ppm以下であり、好ましくは20ppm以上100ppm以下であり、より好ましくは40ppm以上80ppm以下である。
20≦Ni+Fe≦700 (1)
(1)式中、Ni及びFeは、各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
前記Sn含有金属間化合物の形成を抑制する効果、及びソルダペーストの経時での増粘抑制の効果を得るために、はんだ合金中のNiとFeとの合計の含有量が、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、20ppm以上700ppm以下である必要がある。NiとFeとの合計の含有量は、好ましくは40ppm以上700ppm以下であり、より好ましくは40ppm以上600ppm以下であり、最も好ましくは40ppm以上200ppm以下である。
かかる質量比のNi/Feが前記の好ましい範囲であれば、本発明の効果がより得られやすくなる。
本実施形態におけるはんだ合金に関し、合金組成は、上述した元素以外の元素を必要に応じて含有してもよい。
例えば、本実施形態におけるはんだ合金に関し、合金組成は、上述した元素に加えて、更に、Ag:0質量%以上4質量%以下、及びCu:0質量%以上0.9質量%以下の少なくとも一種を含有してもよい。
Agは、結晶界面にAg3Snを形成してはんだ合金の信頼性を向上させることができる任意元素である。また、Agは、イオン化傾向がSnに対して貴な元素であり、Ni及びFeと共存することによって、ソルダペーストの経時での増粘抑制効果を高める。さらに、はんだ合金中のAgの含有量が上記範囲内であれば、合金の融点の上昇を抑制することができるため、リフロー温度を過度に高くする必要がなくなる。
本実施形態において、はんだ合金中のAgの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0%以上4%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以上3.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以上3.0%以下であり、特に好ましくは2.0%以上3.0%以下である。
Cuは、一般的なはんだ合金で使用されており、はんだ継手の接合強度を向上させることができる任意元素である。また、Cuは、イオン化傾向がSnに対して貴な元素であり、Ni及びFeと共存することによって、ソルダペーストの経時での増粘抑制効果を高める。
本実施形態において、はんだ合金中のCuの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0%以上0.9%以下が好ましく、より好ましくは0.1%以上0.8%以下であり、さらに好ましくは0.2%以上0.7%以下である。
かかる質量比のCu/Niが前記の好ましい範囲であれば、本発明の効果がより得られやすくなる。
かかる質量比のCu/Feが前記の好ましい範囲であれば、本発明の効果がより得られやすくなる。
かかる質量比のCu/(Ni+Fe)が前記の好ましい範囲であれば、本発明の効果がより得られやすくなる。
Biは、フラックスとの反応性が低く、ソルダペーストの経時での増粘抑制効果を示す元素である。また、Biは、はんだ合金の液相線温度を下げるとともに、溶融はんだの粘性を低減させるため、濡れ性の劣化を抑えることができる元素である。
本実施形態において、はんだ合金中のBiの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0%以上0.3%以下が好ましく、より好ましくは0.0020%以上0.3%以下であり、さらに好ましくは0.01%以上0.1%以下であり、最も好ましくは0.01%以上0.05%以下である。
Sbは、Biと同様に、フラックスとの反応性が低く、ソルダペーストの経時での増粘抑制効果を示す元素である。はんだ合金中のSbの含有量が多すぎると、濡れ性が劣化するため、Sbを添加する場合には適度な含有量にする必要がある。
本実施形態において、はんだ合金中のSbの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0%以上0.9%以下が好ましく、より好ましくは0.0020%以上0.9%以下であり、さらに好ましくは0.01%以上0.1%以下であり、最も好ましくは0.01%以上0.05%以下である。
0.03≦Bi+Sb≦1.2 (2)
(2)式中、Bi及びSbは、各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
はんだ合金中のBiとSbとの合計の含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0.03%以上1.2%以下が好ましく、より好ましくは0.03%以上0.9%以下であり、さらに好ましくは0.3%以上0.9%以下である。
かかる質量比のSb/Biが前記の好ましい範囲であれば、本発明の効果がより得られやすくなる。
本実施形態におけるはんだ合金に関し、合金組成は、残部がSnからなる。上述した元素の他に不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物を含有する場合であっても、上述の効果に影響することはない。
本実施形態におけるはんだ合金は、α線量が0.02cph/cm2以下である。
これは、電子部品の高密度実装においてソフトエラーが問題にならない程度のα線量である。
本実施形態におけるはんだ合金から発生するα線量は、更なる高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、好ましくは0.01cph/cm2以下であり、より好ましくは0.002cph/cm2以下であり、さらに好ましくは0.001cph/cm2以下である。
ガスフロー型のα線量測定装置を用いる。
測定サンプルとして、はんだ合金を溶融し、一面の面積が900cm2であるシート状に成形したはんだ合金シートを用いる。
前記α線量測定装置内に、測定サンプルとして前記はんだ合金シートを設置し、そこにPRガスをパージする。
前記はんだ合金シートを設置した前記α線量測定装置内に、前記PRガスを12時間流し静置した後、72時間α線量測定を行う。
平均α線量を「cph/cm2」として算出する。異常点(装置振動によるカウント等)はその1時間分のカウントを除去する。
このようなα線量を示すはんだ合金は、合金中で210Poの偏析が起こりにくいものであり、α線量の経時変化による影響が小さく、有用である。このようなα線量を示すはんだ合金を適用することにより、ソフトエラーの発生がより抑制されて、半導体素子の安定な動作がいっそう確保されやすくなる。
本実施形態におけるはんだ合金は、例えば、Ni及びFeの少なくとも一種、並びにSnを含有する原料金属を溶融混合する工程を有する製造方法を用いることにより製造できる。
低α線量のはんだ合金の設計を目的としていることから、その原料金属として低α線量材を用いることが好ましく、例えば、原料金属としてのSn、Ni及びFeには、それぞれ、高純度のもの、並びにU、Th及びPbを除去したものを用いることが好ましい。
原料金属としてのSnとしては、例えば、特開2010−156052号公報(特許文献1)に記載の製造方法に準じて製造したものを用いることができる。
原料金属としてのNi及びFeとしては、それぞれ、例えば、特許第5692467号公報に準じて製造したものを用いることができる。
原料金属を溶融混合する操作は、従来公知の方法を用いることができる。
本実施形態におけるはんだ粉末が球状粉末である場合、JIS Z 3284−1:2014における粉末サイズの分類(表2)において、記号1〜8を満たしていることが好ましく、記号4〜8を満たしていることがより好ましい。はんだ粉末の粒径がこの条件を満たすと、粉末の表面積が大きすぎず、ソルダペーストの経時での粘度の上昇が抑制され、また、微細粉末の凝集が抑制されて、ソルダペーストの粘度の上昇が抑えられることがある。このため、より微細な部品へのはんだ付けが可能となる。
はんだ粉末の粒径が前記の好ましい範囲であると、ソルダペーストの経時での粘度増加が抑制されやすくなる。
ここでいうはんだ粉末の平均粒子径とは、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される粒度分布における積算値50%での粒子径を意味する。
例えば、はんだ粉末として、平均粒子径が異なる2種以上のはんだ合金粒子群を併有することが挙げられる。一例として、平均粒子径5μm以上10μm未満のはんだ合金粒子群(S1)と、平均粒子径1μm以上5μm未満のはんだ合金粒子群(S2)とを併有したはんだ粉末が好適に挙げられる。
はんだ合金粒子群(S1)とはんだ合金粒子群(S2)との混合比率は、(S1)/(S2)で表される質量比として、(S1)/(S2)=9/1〜1/9が好ましく、9/1〜3/7がより好ましく、9/1〜5/5がさらに好ましい。
真球度とは、真球からのずれを表し、例えば500個の各はんだ合金粒子の直径を長径で割った際に算出される算術平均値であり、その値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。
本実施形態のソルダペーストに用いられるフラックスは、水添ロジン酸メチルと、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンと、溶剤とを含む。
本実施形態におけるフラックスは、水添ロジン酸メチルを含む。
この水添ロジン酸メチルは、ロジンから得られる水素添加した環状脂肪酸とメチルアルコールとから得られるエステルであり、別名が水添アビエチン酸メチルであり、CAS番号:8050−15−5を有するものである。
前記フラックス中の水添ロジン酸メチルの含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
水添ロジン酸メチルの含有量が前記の好ましい範囲であれば、はんだ付けにおいてボイドの発生がより抑制されやすくなる。
本実施形態におけるフラックスは、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを含む。
このN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンは、ジアミンの誘導体であり、別名がエデトール、又はエチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラ−2−プロパノールであり、CAS番号:102−60−3を有するものである。
前記フラックス中のN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの含有量が前記の好ましい範囲であれば、はんだ付けにおいてボイドの発生がより抑制されやすくなる。
これら2成分の合計の含有量が前記の好ましい範囲であれば、はんだ付けにおいてボイドの発生がより抑制されやすくなる。
本実施形態において、溶剤としては、例えば、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、1,2−ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス(2−エチル−1,3−プロパンジオール)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、ビス[2,2,2−トリス(ヒドロキシメチル)エチル]エーテル、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エリトリトール、トレイトール、グアヤコールグリセロールエーテル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルジグリコール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
本実施形態におけるフラックスは、水添ロジン酸メチル、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、及び溶剤以外に、必要に応じてその他成分を含んでもよい。
その他成分としては、水添ロジン酸メチル以外のロジン、有機酸、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン以外のアミン(以下「エデトール以外のアミン」ともいう)、チキソ剤、ハロゲン系活性剤、ロジン系樹脂以外の樹脂成分、金属不活性化剤、界面活性剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、着色剤等が挙げられる。
水添ロジン酸メチル以外のロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。
該誘導体としては、例えば、精製ロジン、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられる。
本実施形態におけるフラックスでは、水添ロジン酸メチル以外のロジンを、一種又は二種以上で用いることができる。
上記の中でも、水添ロジン酸メチル以外のロジンとしては、重合ロジン、アクリル酸変性ロジン、アクリル酸変性水添ロジン、アクリル酸変性不均化ロジン、水添ロジン、不均化ロジン及び水添ロジングリセリンエステルからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
有機酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、エイコサン二酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、ジピコリン酸、ジブチルアニリンジグリコール酸、スベリン酸、セバシン酸、チオグリコール酸、ジチオグリコール酸、テレフタル酸、ドデカン二酸、パラヒドロキシフェニル酢酸、ピコリン酸、フェニルコハク酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、ラウリン酸、安息香酸、酒石酸、イソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)、グリシン、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジエチルグルタル酸、2−キノリンカルボン酸、3−ヒドロキシ安息香酸、プロピオン酸、リンゴ酸、p−アニス酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ピメリン酸、ダイマー酸、トリマー酸、ダイマー酸に水素を添加した水添物である水添ダイマー酸、トリマー酸に水素を添加した水添物である水添トリマー酸等が挙げられる。
本実施形態におけるフラックスでは、有機酸を、一種又は二種以上で用いることができる。
上記の中でも、有機酸としては、マロン酸、グルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、ステアリン酸及び水添ダイマー酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
エデトール以外のアミンとしては、例えば、エチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、エポキシ−イミダゾールアダクト、2−メチルベンゾイミダゾール、2−オクチルベンゾイミダゾール、2−ペンチルベンゾイミダゾール、2−(1−エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2−ノニルベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]、6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−tert−オクチル−6’−tert−ブチル−4’−メチル−2,2’−メチレンビスフェノール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1−(1’,2’−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3−ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[(2−エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6−ビス[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]−4−メチルフェノール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−フェニルテトラゾール等が挙げられる。
本実施形態におけるフラックスでは、エデトール以外のアミンを、一種又は二種以上で用いることができる。
チキソ剤としては、例えば、ワックス系チキソ剤、アミド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤等が挙げられる。
上記の中でも、前記チキソ剤は、ワックス系チキソ剤及びアミド系チキソ剤からなる群より選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。
ワックス系チキソ剤は、ヒマシ硬化油を含むことが好ましい。
アミド系チキソ剤は、ポリアミド、ビスアミド及びモノアミドからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
ハロゲン系活性剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、アミンハロゲン化水素酸塩等が挙げられる。
また、有機ハロゲン化合物としては、ハロゲン化カルボキシル化合物も挙げられ、例えば、2−ヨード安息香酸、3−ヨード安息香酸、2−ヨードプロピオン酸、5−ヨードサリチル酸、5−ヨードアントラニル酸などのヨウ化カルボキシル化合物;2−クロロ安息香酸、3−クロロプロピオン酸などの塩化カルボキシル化合物;2,3−ジブロモプロピオン酸、2,3−ジブロモコハク酸、2−ブロモ安息香酸などの臭素化カルボキシル化合物等が挙げられる。
前記フラックス中の、前記有機ハロゲン化合物の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
前記フラックス中の、前記アミンハロゲン化水素酸塩の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
ロジン系樹脂以外の樹脂成分としては、例えば、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、変性キシレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル−ポリエチレン共重合樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
変性テルペン樹脂としては、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂等が挙げられる。変性テルペンフェノール樹脂としては、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。変性スチレン樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂等が挙げられる。変性キシレン樹脂としては、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性レゾール型キシレン樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、ポリオキシエチレン付加キシレン樹脂等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、窒素化合物等が挙げられる。フラックスがヒンダードフェノール系化合物、又は窒素化合物のいずれかを含有することで、ソルダペーストの増粘抑制効果が高められやすくなる。
ここでいう「金属不活性化剤」とは、ある種の化合物との接触により金属が劣化することを防止する性能を有する化合物をいう。
ヒンダードフェノール系化合物としては、特に限定されず、例えば、ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N’−ビス[2−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド、下記化学式で表される化合物等が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、弱カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アルコールポリオキシエチレン付加体、芳香族アルコールポリオキシエチレン付加体、多価アルコールポリオキシエチレン付加体が挙げられる。
弱カチオン系界面活性剤としては、例えば、末端ジアミンポリエチレングリコール、末端ジアミンポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アミンポリオキシエチレン付加体、芳香族アミンポリオキシエチレン付加体、多価アミンポリオキシエチレン付加体が挙げられる。
本実施形態のソルダペースト中のフラックスの含有量は、ソルダペーストの全質量(100質量%)に対して、5〜95質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。
ソルダペースト中のフラックスの含有量がこの範囲であると、はんだ粉末に起因する増粘抑制効果が十分に発揮される。加えて、フラックスに配合する成分の効果、すなわち、ボイドの発生が少ないはんだ付けを実現しやすくなる。
上記フラックスを構成する配合成分を加熱混合してフラックスを調製し、このフラックス中に、上記はんだ粉末を撹拌混合することにより、ソルダペーストを得ることができる。また、経時での増粘抑制効果を期待して、上記はんだ粉末とは別に、酸化ジルコニウム粉末をさらに配合してもよい。
かかる効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推測される。
低α線量のはんだ合金用のSnは非常に高純度であり、溶融した合金を凝固する際、Snの結晶サイズが大きくなってしまう。また、そのSnにおける酸化膜も、それに応じた疎な酸化膜を形成してしまう。そこで、高融点金属であるNi及びFeを添加することにより、結晶サイズを小さくし、密な酸化膜を形成させることで、合金とフラックスとの反応性が抑えられるため、ソルダペーストの経時での増粘抑制が可能となる。
本実施例において、特に指定しない限り、はんだ合金組成についての「ppb」は「質量ppb」であり、「ppm」は「質量ppm」であり、「%」は「質量%」である。
(製造例1〜444)
原料金属を溶融・撹拌して、表1から表18に示す各合金組成を有するはんだ合金をそれぞれ作製した。
(1)検証方法その1
α線量の測定は、ガスフロー比例計数器のα線量測定装置を用い、上述した手順(i)、(ii)及び(iii)に従うことにより行った。
測定サンプルとして、製造直後のはんだ合金シートを用いた。
このはんだ合金シートは、作製直後のはんだ合金を溶融し、一面の面積が900cm2であるシート状に成形することにより製造した。
この測定サンプルを、α線量測定装置内に入れ、PR−10ガスを12時間流し静置した後、72時間α線量を測定した。
〇〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm2以下であった。
〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm2超、0.02cph/cm2以下であった。
×:測定サンプルから発生するα線量が0.02cph/cm2超であった。
この判定が「〇〇」又は「〇」であれば、低α線量のはんだ材料であると言える。
測定サンプルを変更した以外は、上記の(1)検証方法その1と同様にして、α線量の測定を行った。
測定サンプルとして、作製直後のはんだ合金を溶融し、一面の面積が900cm2であるシート状に成形したはんだ合金シートに対して、100℃で1時間の加熱処理を行い、放冷したものを用いた。
〇〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm2以下であった。
〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm2超、0.02cph/cm2以下であった。
×:測定サンプルから発生するα線量が0.02cph/cm2超であった。
この判定が「〇〇」又は「〇」であれば、低α線量のはんだ材料であると言える。
上記の(1)検証方法その1にてα線量を測定した測定サンプルのはんだ合金シートを1年間保管した後、再度、上述した手順(i)、(ii)及び(iii)に従うことによりα線量を測定して、α線量の経時変化を評価した。
〇〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm2以下であった。
〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm2超、0.02cph/cm2以下であった。
×:測定サンプルから発生するα線量が0.02cph/cm2超であった。
この判定が「〇〇」又は「〇」であれば、発生するα線量が経時変化せず、安定なものであると言える。すなわち、電子機器類におけるソフトエラーの発生を抑制することができる。
各製造例のはんだ合金を溶融し、アトマイズ法により、表1から表18に示す合金組成をそれぞれ有するはんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末を製造した。
(調製例1〜32)
樹脂成分として、水添ロジン酸メチル、水添ロジン酸メチル以外のロジンを用いた。
水添ロジン酸メチル以外のロジンとして、重合ロジン、アクリル酸変性ロジン、アクリル酸変性水添ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、水添ロジングリセリンエステルを用いた。
有機酸として、マロン酸、グルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、ステアリン酸、水添ダイマー酸を用いた。
アミンとして、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、2−フェニルイミダゾール、ジトリルグアニジンを用いた。
チキソ剤として、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヒマシ硬化油を用いた。
溶剤として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ヘキシルジグリコールを用いた。
ハロゲン系活性剤として、有機ハロゲン化合物であるtrans−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオールを用いた。また、アミンハロゲン化水素酸塩であるジフェニルグアニジン・HBr塩を用いた。
そして、表19〜24に示す各成分を混合して、各調製例のフラックスをそれぞれ調製した。
(実施例1)
調製例1のフラックスと、製造例223〜235の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
実施例1におけるはんだ粉末を、製造例236〜240の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末に変更した以外は、実施例1と同様にして各ソルダペーストを製造した。
実施例1におけるはんだ粉末を、製造例241〜296の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末に変更した以外は、実施例1と同様にして各ソルダペーストを製造した。
調製例2のフラックスと、製造例241〜296の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
比較例1におけるフラックスを、調製例3のフラックスに変更した以外は、比較例1と同様にして各ソルダペーストを製造した。
比較例1におけるフラックスを、調製例4のフラックスに変更した以外は、比較例1と同様にして各ソルダペーストを製造した。
実施例3におけるフラックスを、調製例5〜32の各フラックスにそれぞれ変更した以外は、実施例3と同様にして各ソルダペーストを製造した。
調製例1、5〜32の各フラックスと、製造例241〜296の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=35:65とした。
調製例1、5〜32の各フラックスと、製造例149〜222の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
調製例1、5〜32の各フラックスと、製造例297〜370の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
調製例1、5〜32の各フラックスと、製造例1〜74の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
調製例1、5〜32の各フラックスと、製造例371〜444の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
調製例1、5〜32の各フラックスと、製造例75〜148の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
いずれも製造例257のはんだ合金からなる、平均粒子径が異なる2種のはんだ合金粒子群を併有する混合はんだ粉末を製造した。
具体的には、製造例257のはんだ合金からなり平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群(S1a)と、製造例257のはんだ合金からなり平均粒子径が4μmのはんだ合金粒子群(S2a)とを、質量比(S1a)/(S2a)=90/10で混合して、混合はんだ粉末を得た。
次いで、調製例1、5〜32の各フラックスと、質量比(S1a)/(S2a)=90/10で混合した混合はんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスと混合はんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:混合はんだ粉末=11:89とした。
いずれも製造例257のはんだ合金からなる、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群(S1a)と、平均粒子径が4μmのはんだ合金粒子群(S2a)との混合比率を、質量比(S1a)/(S2a)=50/50に変更した以外は、実施例38と同様にして各ソルダペーストを製造した。
前記のソルダペーストを用いて、ボイドの発生しにくさ、増粘抑制の各評価を行った。また、これらの評価結果から総合評価を行った。
詳細は以下のとおりである。評価した結果を表19〜26に示した。
ソルダペーストを、φ80μm、ピッチ150μmのCu−OSP電極(N=15)の上に、メタルマスクを用いて40μm高さに印刷した。その後、窒素雰囲気下にてリフローした。リフロープロファイルは、160℃で2分間保持し、その後260℃まで1.5℃/秒で昇温とした。
リフロー後のはんだ付け部(はんだバンプ)の透過画像を、UNi−HiTE SYSTEM社製Microfocus X−ray System XVR−160を用いて観察し、ボイド発生率を求めた。
具体的には、はんだバンプについて上部から下部に向かって透過観察を行い、円形のはんだバンプ透過画像を得、その色調のコントラストに基づき金属充填部とボイド部とを識別し、自動解析によりボイド面積率を算出して、これをボイド発生率とした。
〇:15個のはんだ付け部全てにおいてボイド発生率が10%以下である場合
×:15個のはんだ付け部中にボイド発生率が10%超のものが含まれる場合
(1)検証方法
製造直後のソルダペーストについて、株式会社マルコム社製:PCU−205を用い、回転数:10rpm、25℃、大気中で12時間粘度を測定した。
〇:12時間後の粘度が、ソルダペーストを調製直後から30分経過した時の粘度と比較して1.2倍以下である。
×:12時間後の粘度が、ソルダペーストを調製直後から30分経過した時の粘度と比較して1.2倍を超える。
この判定が「〇」であれば、十分な増粘抑制効果が得られたものであると言える。すなわち、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制することができる。
〇:表19〜26において、ボイドの発生しにくさ、増粘抑制の各評価が、いずれも〇であった。
×:表19〜26において、ボイドの発生しにくさ、増粘抑制の各評価のうち、少なくとも1つが×であった。
Claims (22)
- はんだ粉末とフラックスとからなるソルダペーストであって、
前記はんだ粉末は、U:5質量ppb未満、Th:5質量ppb未満、Pb:5質量ppm未満、As:5質量ppm未満、Ni:0質量ppm以上600質量ppm以下、及びFe:0質量ppm以上100質量ppm以下、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式を満たし、かつ、α線量が0.02cph/cm2以下であるはんだ合金からなり、
前記はんだ粉末は、平均粒子径が0.1〜15μmのはんだ合金粒子群からなり、
前記フラックスは、水添ロジン酸メチルと、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンと、溶剤とを含み、
前記フラックス中の水添ロジン酸メチルの含有量は、前記フラックスの総量に対して5質量%以上20質量%以下であり、
前記フラックス中のN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの含有量は、前記フラックスの総量に対して5質量%以上20質量%以下であり、
前記フラックス中の水添ロジン酸メチルと、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンとの合計の含有量は、前記フラックスの総量に対して10質量%以上40質量%以下であり、
前記フラックスの含有量は、前記ソルダペーストの全質量(100質量%)に対して、5〜95質量%である、ソルダペースト。
20≦Ni+Fe≦700 (1)
(1)式中、Ni及びFeは、各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。 - 更に、前記合金組成は、下記(1’)式を満たす、請求項1に記載のソルダペースト。
40≦Ni+Fe≦200 (1’)
(1’)式中、Ni及びFeは、各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。 - 更に、前記合金組成は、Pbが2質量ppm未満である、請求項1又は2に記載のソルダペースト。
- 更に、前記合金組成は、Asが2質量ppm未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のソルダペースト。
- 更に、前記合金組成は、Ag:0質量%以上4質量%以下、及びCu:0質量%以上0.9質量%以下の少なくとも一種を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のソルダペースト。
- 更に、前記合金組成は、Bi:0質量%以上0.3質量%以下、及びSb:0質量%以上0.9質量%以下の少なくとも一種を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のソルダペースト。
- 更に、前記合金組成は、下記(2)式を満たす、請求項6に記載のソルダペースト。
0.03≦Bi+Sb≦1.2 (2)
(2)式中、Bi及びSbは、各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。 - 前記はんだ合金は、一面の面積が900cm2であるシート状に成形したはんだ合金シートに対して、100℃で1時間の加熱処理を施した後におけるα線量が、0.02cph/cm2以下となる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のソルダペースト。
- 前記はんだ合金は、α線量が0.002cph/cm2以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のソルダペースト。
- 前記はんだ合金は、α線量が0.001cph/cm2以下である、請求項9に記載のソルダペースト。
- 前記はんだ粉末は、平均粒子径が異なる2種以上のはんだ合金粒子群を併有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のソルダペースト。
- 前記フラックスは、水添ロジン酸メチルと、水添ロジン酸メチル以外のロジンと、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンと、チキソ剤と、溶剤とを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のソルダペースト。
- 水添ロジン酸メチル以外のロジンは、重合ロジン、アクリル酸変性ロジン、アクリル酸変性水添ロジン、アクリル酸変性不均化ロジン、水添ロジン、不均化ロジン及び水添ロジングリセリンエステルからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項12に記載のソルダペースト。
- 前記フラックス中の、水添ロジン酸メチル以外のロジンの含有量は、前記フラックスの総量に対して20質量%以上40質量%以下である、請求項12又は13に記載のソルダペースト。
- 水添ロジン酸メチルと、水添ロジン酸メチル以外のロジンとの混合比率は、
水添ロジン酸メチル/水添ロジン酸メチル以外のロジン
で表される質量比として、0.16以上1.0以下である、請求項12〜14のいずれか一項に記載のソルダペースト。 - 前記フラックス中の、水添ロジン酸メチル以外のロジンの含有量と、
水添ロジン酸メチル及びN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの合計の含有量との比率は、
水添ロジン酸メチル以外のロジン/(水添ロジン酸メチル及びN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン)
で表される質量比として、0.66以上3.0以下である、請求項12〜15のいずれか一項に記載のソルダペースト。 - 前記チキソ剤は、ワックス系チキソ剤及びアミド系チキソ剤からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項12〜16のいずれか一項に記載のソルダペースト。
- 前記アミド系チキソ剤は、ポリアミド、ビスアミド及びモノアミドからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項17に記載のソルダペースト。
- 前記ワックス系チキソ剤は、ヒマシ硬化油を含む、請求項17又は18に記載のソルダペースト。
- 前記フラックス中の前記チキソ剤の含有量は、前記フラックスの総量に対して3質量%以上10質量%以下である、請求項12〜19のいずれか一項に記載のソルダペースト。
- 前記フラックスは、更に、前記フラックスの総量に対して有機酸を0質量%以上15質量%以下で含む、請求項12〜20のいずれか一項に記載のソルダペースト。
- 前記フラックスは、更に、前記フラックスの総量に対して、
N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン以外のアミンを0質量%以上10質量%以下、
有機ハロゲン化合物を0質量%以上5質量%以下、及び
アミンハロゲン化水素酸塩を0質量%以上1質量%以下
で含む、請求項12〜21のいずれか一項に記載のソルダペースト。
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