JP7146140B1 - リチウム金属複合酸化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、正極活物質として用いるとサイクル維持率が高いリチウム二次電池を得ることができるリチウム金属複合酸化物の製造方法を提供することを目的とする。このリチウム金属複合酸化物の製造方法は、一端側に投入口を有し、他端側に排出口を有する回転筒を備えた加熱設備を用い、前記加熱設備の前記投入口から被処理物を投入することと、酸素含有ガスを供給しながら、前記回転筒を前記回転筒の軸心周りに回転させることにより、前記被処理物を前記排出口の方向に移動させて加熱することと、加熱された前記被処理物を前記排出口から排出することを含み、前記被処理物は、金属複合化合物とリチウム化合物との混合物、及び金属複合化合物とリチウム化合物との反応物のうちの一方を含み、前記加熱設備の加熱領域において、前記被処理物の層の表面を移動する前記被処理物の平均移動距離が13m以上であり、前記加熱領域における温度が700-900℃である。

Description

本発明は、リチウム金属複合酸化物の製造方法に関する。
本願は、2020年11月17日に日本に出願された特願2020-190940号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
リチウム金属複合酸化物は、リチウム二次電池用正極活物質として用いられている。リチウム二次電池は、既に携帯電話用途やノートパソコン用途などの小型電源だけでなく、自動車用途や電力貯蔵用途などの中型又は大型電源においても、実用化が進んでいる。
リチウム金属複合酸化物の製造方法は、前駆体である金属複合化合物とリチウム化合物とを混合し、得られた混合物を焼成する工程を含んでいる。混合物を焼成することで、焼成雰囲気中の酸素と混合物との反応、つまり酸化反応が生じる。このような焼成工程は、トンネル炉やローラーハースキルンのような連続焼成炉、又はロータリーキルンのような流動式焼成炉等を用いて行われる。
ローラーハースキルンのような連続焼成炉を使用する場合と比較して、ロータリーキルン等の流動式焼成炉を使用すると、混合物が攪拌されながら焼成されるため、混合物の加熱効率が向上する。そのため、混合物の焼成時間を短縮できることが知られている。例えば、特許文献1は、ロータリーキルンを用いてリチウム化合物と金属化合物を焼成することを開示している。
JP-A-2011-044364
流動式焼成炉を用いると、金属複合化合物とリチウム化合物との混合物の加熱効率が向上し、焼成工程における焼成時間を短縮できることは知られているが、サイクル維持率が高いリチウム二次電池を達成することができるリチウム金属複合酸化物を得るためには、加熱効率を向上させるだけでは十分ではない。つまり、リチウム金属複合酸化物の製造条件には、さらなる改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、正極活物質として用いるとサイクル維持率が高いリチウム二次電池を得ることができるリチウム金属複合酸化物の製造方法を提供することを目的とする。
金属複合化合物とリチウム化合物との混合物又は金属複合化合物とリチウム化合物との反応物(以下、被処理物と呼ぶことがある)を焼成する際、被処理物と酸素との反応性が低いと、リチウム金属複合酸化物の中に酸素欠陥構造が発生しやすい。酸素欠陥構造が発生すると、リチウム金属複合酸化物を正極活物質として用いたリチウム二次電池のサイクル維持率が低下しやすい。本発明者は、リチウム金属複合酸化物の製造方法において、被処理物と焼成雰囲気中の酸素との反応を促進させると、サイクル維持率が高いリチウム二次電池を達成できるリチウム金属複合酸化物が得られる点について着目した。
サイクル維持率が高いリチウム二次電池を得ることができるリチウム金属複合酸化物を得るため、流動式焼成炉を用いて加熱効率を向上させると共に、与えられた熱で被処理物と酸素とを十分に反応させる観点から、本発明を完成させた。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]一端側に投入口を有し、他端側に排出口を有する回転筒を備えた加熱設備を用い、酸素含有ガスを供給しながら、前記回転筒を前記回転筒の軸心周りに回転させることにより、前記加熱設備の前記投入口から投入した被処理物を前記排出口の方向に移動させて加熱することを含み、前記被処理物は、金属複合化合物とリチウム化合物との混合物、及び金属複合化合物とリチウム化合物との反応物のうちの一方を含み、前記加熱設備の加熱領域において、前記被処理物の層の表面を移動する前記被処理物の平均移動距離が13m以上であり、前記加熱領域における加熱温度が700-900℃である、リチウム金属複合酸化物の製造方法。
[2]一端側に投入口を有し、他端側に排出口を有する回転筒を備えた加熱設備を用い、前記加熱設備の前記投入口から被処理物を投入することと、酸素含有ガスを供給しながら、前記回転筒を前記回転筒の軸心周りに回転させることにより、前記被処理物を前記排出口の方向に移動させて加熱することと、加熱された前記被処理物を前記排出口から排出することを含み、前記被処理物は、金属複合化合物とリチウム化合物との混合物、及び金属複合化合物とリチウム化合物との反応物のうちの一方を含み、前記加熱設備の加熱領域において、前記被処理物の層の表面を移動する前記被処理物の平均移動距離が13m以上であり、前記加熱領域における加熱温度が700-900℃である、リチウム金属複合酸化物の製造方法。
[3]前記被処理物の平均移動距離が15m以上である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記リチウム化合物が水酸化リチウムである、[1]~[3]の何れか1つに記載の方法。
[5]前記被処理物の質量に対する酸素含有ガス流量の比が、0.5Nm/kg以上となるように前記回転筒内に前記酸素含有ガスを供給しながら前記被処理物を加熱する、[1]~[4]の何れか1つに記載の方法。
[6]前記排出口側から前記回転筒内に前記酸素含有ガスを供給するとともに前記投入口側から前記酸素含有ガスを排出し、さらに、前記排出口から前記酸素含有ガスが流出するのを遮断しながら、前記被処理物を連続的に加熱する、[1]~[5]の何れか1つに記載の方法。
[7]下記式(IV)で表される値が、0.80-1.30を満たすように前記被処理物を加熱する、[1]~[6]の何れか1つに記載の方法。
1時間あたりに投入される被処理物の体積[m/hr]/1時間あたりに排出される加熱された被処理物の体積[m/hr]・・・(IV)
1時間あたりに投入される被処理物の体積[m/hr]
=被処理物の投入量[kg/hr]÷被処理物の平均嵩密度[kg/m]・・・(IV-i)
1時間あたりに排出される加熱された被処理物の体積[m/hr]
=加熱された被処理物の排出量[kg/hr]÷加熱された被処理物の平均嵩密度[kg/m]・・・(IV-ii)
[8]回転速度が0.003-0.5rad/secになるように前記回転筒を回転しながら、前記被処理物を加熱する、[1]~[7]の何れか1つに記載の方法。
[9]前記リチウム金属複合酸化物が、組成式(V)で表される、[1]~[8]の何れか1つに記載の方法。
Li[Li(Ni(1-n)1-m]O・・・(V)
(式(V)中、Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、V、B、Si、S及びPからなる群から選択される1種以上の元素を表し、-0.1≦m≦0.2、0<n<0.7、及び0<m+n<0.8を満たす。)
本発明によれば、正極活物質として用いるとサイクル維持率が高いリチウム二次電池を得ることができるリチウム金属複合酸化物の製造方法を提供することができる。
本実施形態の一態様におけるリチウム金属複合酸化物の製造方法において用いられる焼成装置の模式断面図である。 回転筒の概略断面図である。 本実施形態の一態様におけるリチウム金属複合酸化物の製造方法における被処理物の動作を説明する模式図である。 本実施形態の一態様における被処理物の層の表面を移動する被処理物の平均移動距離の算出方法を説明するための模式図である。 リチウム二次電池の一例を示す概略構成図である。 リチウム二次電池の一例を示す概略構成図である。 本実施形態の全固体リチウム二次電池が備える積層体を示す模式図である。 本実施形態の全固体リチウム二次電池の全体構成を示す模式図である。
以下、本発明の一態様におけるリチウム金属複合酸化物の製造方法について説明する。以下の複数の実施形態では、好ましい例や条件を共有してもよい。
本願明細書において、金属複合化合物(Metal Composite Compound)を以下「MCC」と称し、リチウム金属複合酸化物(Lithium Metal composite Oxide)を以下「LiMO」と称し、リチウム二次電池用正極活物質(Cathode Active Material for lithium secondary batteries)を以下「CAM」と称する。
本明細書において、「Ni」とは、ニッケル金属ではなく、ニッケル原子を指し、「Co」及び「Li」等も同様に、それぞれコバルト原子及びリチウム原子等を指す。
数値範囲を例えば「1-10μm」又は「1~10μm」と記載した場合、1μmから10μmまでの範囲を意味し、下限値である1μmと上限値である10μmを含む数値範囲を意味する。
「サイクル維持率」とは、下記の方法により測定する。「サイクル維持率が高い」とは、サイクル維持率の値が86%を超えることを意味する。まず、コイン型ハーフセルのリチウム二次電池を室温で10時間静置することでセパレータ及び正極合剤層に充分電解液を含浸させる。
次に、室温において4.3Vまで1mAで定電流充電してから4.3Vで定電圧充電する定電流定電圧充電を5時間行った後、2.5Vまで1mAで放電する定電流放電を行うことで初期充放電を行う。
放電容量を測定し、得られた値を「初回放電容量」(mAh/g)とする。
充電容量を測定し、得られた値を「初回充電容量」(mAh/g)とする。
初期充放電後、初期充放電と同じ条件で、1mAで充電、1mAで放電を繰り返す。その後、50サイクル目の放電容量(mAh/g)を測定する。
初回放電容量と50サイクル目の放電容量から、下記の式でサイクル維持率を算出する。サイクル維持率が高いほど、充電と放電を繰り返した後の電池の容量低下が抑制されるため、電池性能として望ましいことを意味する。
サイクル維持率(%)=50サイクル目の放電容量(mAh/g)÷初回放電容量(mAh/g)×100
<LiMOの製造方法>
本実施形態のLiMOの製造方法は、一端側に投入口を有し、他端側に排出口を有する回転筒を備えた加熱設備を用い、前記加熱設備の前記投入口から被処理物を投入することと、酸素含有ガスを供給しながら、前記回転筒を前記回転筒の軸心周りに回転させることにより、前記被処理物を前記排出口の方向に移動させながら加熱することと、加熱された前記被処理物を前記排出口から排出することを含み、前記被処理物は、MCCとリチウム化合物との混合物、及びMCCとリチウム化合物との反応物のうちの一方を含み、前記加熱設備の加熱領域において、前記被処理物の層の表面を移動する前記被処理物の平均移動距離が13m以上であり、前記加熱領域における加熱温度が700-900℃である。
本実施形態のLiMOの製造方法では、一端側に投入口を、他端側に排出口を有し、軸心周りに回転自在な回転筒を有する加熱設備を用いて被処理物の加熱を行う。このような加熱設備としては、ロータリーキルン又は半円筒状揺動炉が挙げられる。加熱設備としては、ロータリーキルンを用いることが好ましい。以下の説明では、加熱設備50としてロータリーキルンを用いることとし、加熱設備50を「ロータリーキルン50」と称して説明する。
図1は、本実施形態の一態様におけるLiMOの製造方法において用いられる加熱設備の模式断面図である。図1において、ロータリーキルン50は、一端側に投入口51を、他端側に排出口52を有する回転筒53内にて被処理物を加熱する設備である。つまり、回転筒53が加熱炉であり、被処理物は、回転筒53内で加熱される。
図2は、回転筒53の概略断面図である。回転筒53は、円筒形であり、その軸心Zを回転軸として回転することができる。回転筒53は、投入口51を上側、排出口52を下側に傾斜して設置されている。回転筒53の傾斜角は、0.1°以上10°以下であることが好ましい。回転筒53の内壁は、耐熱性の合金又はセラミックを用いることができる。
回転筒53の容積は、例えば0.0001m-500mであり、0.0005m-300mであることが好ましく、0.001m-200mであることがより好ましい。
ロータリーキルン50には、ガス供給口55とガス排出口56が設けられている。ガス排出口56は、投入口51が設けられている一端側に配置される。ガス供給口55は、排出口52が設けられている他端側に配置される。ガス供給口55から、回転筒53の内部に酸素含有ガスが供給される。ガス排出口56から、回転筒53の内部から酸素含有ガスが外部に排出される。ガス供給口55とガス排出口56の配置に基づき、酸素含有ガスは、被処理物の移動方向と逆方向に流れる。
ガス供給口55から供給される酸素含有ガスは、酸素、又は少なくとも酸素を含み、大気、窒素及びアルゴンの少なくとも一つを含む混合ガス等である。本実施形態において、供給されるガスは、酸素であることが好ましい。供給されるガスが混合ガスである場合、酸素濃度が高いほど被処理物と焼成雰囲気中の酸素との反応を促進する効果が高い。一方で、コスト削減の観点から酸素濃度を適宜設定してもよい。具体的には、混合ガスにおける酸素濃度は、20体積%以上100体積%未満であることが好ましく、50体積-99体積%であることがより好ましい。
排出口52から排出される酸素含有ガスの流れを遮断するため、排出口52と回転筒53との間にロータリーバルブ又はダブルダンパー等のバルブ57を設けてもよい。
回転筒53には、加熱手段54が設けられている。回転筒53において加熱手段54が設けられている領域が加熱領域Lであり、実質的に被処理物が加熱される領域である。加熱領域Lにおける焼成温度は、700-900℃である。加熱領域Lの長さは、加熱手段54の投入口51側の端部から、加熱手段54の排出口52側の端部までの寸法である。加熱手段54は、複数設けられていてもよい。加熱手段54が複数ある場合、加熱領域Lは、最も投入口51に近い加熱手段54の投入口51側の端部から、最も排出口52に近い加熱手段54の排出口52側の端部までとする。加熱手段54が複数ある場合の加熱領域Lの長さは、最も投入口51に近い加熱手段54の投入口51側の端部から、最も排出口52に近い加熱手段54の排出口52側の端部までの寸法である。
加熱領域Lの長さは、例えば0.1-100mであり、0.3-50mであることが好ましく、0.5-20mであることがより好ましい。
加熱手段54は、回転筒53の外周全体を覆っていてもよく、回転筒53の外周の一部分と隣接して配置されていてもよい。加熱手段54が回転筒53の外周の一部と隣接して配置される場合であっても、加熱手段54が固定されている状態で回転筒53が回転することにより、回転筒53内部全体が加熱手段54により加熱される。
回転筒53の内周面には、攪拌羽根58が設けられていてもよい。具体的には、攪拌羽根58は、板状の突起物である。攪拌羽根58は、回転筒53の内周面に接し、軸心Zに沿って伸びるように設置されている。攪拌羽根58は、投入口51の近傍から排出口52の近傍まで連続して、又は断続的に配置されている。攪拌羽根58の高さ(言い換えれば、回転筒53の内周面から攪拌羽根58の先端までの軸心Zに向かう方向における寸法)は、回転筒53の半径の半分以下である。攪拌羽根58を設けることにより、被処理物をより効率的に攪拌することが可能である。その結果、被処理物を均一に急速加熱することが可能である。
攪拌羽根58は、一例として、回転筒53の周方向に沿って4等配(つまり90°毎)の位置に設置される。しかしながら、攪拌羽根58の形状や数は特に限定されず、攪拌効率を考慮して、被処理物の移動を妨げない範囲で適切に選択することができる。例えば、回転筒53をZ軸方向から見たときの攪拌羽根58の形状としては、矩形及び三角形等が挙げられる。攪拌羽根58の数は、2~5個等、複数個であってよい。また、図1及び図2に示すロータリーキルン50は、攪拌羽根58を有している例を示しているが、攪拌羽根58が設けられていなくてもよい。
攪拌羽根58の材質は、特に限定されず、例えばニッケル含有合金、及びクロム含有合金等の耐熱性の金属等が挙げられる。
ロータリーキルン50によって加熱される被処理物は、MCCとリチウム化合物との混合物、及びMCCとリチウム化合物との反応物のうちの一方を含む。MCCとリチウム化合物の混合物とは、MCCとリチウム化合物とを加熱又は仮焼成することなく混合したものである。MCCとリチウム化合物との反応物とは、MCCとリチウム化合物とを後述する仮焼成して得られたものである。
MCCとは、リチウム化合物と共に焼成することでLiMOを製造することができる化合物である。例えば、金属複合酸化物又は金属複合水酸化物が挙げられる。
MCCは、Ni及び元素Xを含むMCCであることが好ましい。元素Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、V、B、Si、S及びPからなる群から選択される1種以上の元素を表す。
Niと元素Xの合計に対する元素Xのモル比は、0を超え、0.7未満であることが好ましく、0を超え、0.6以下であることが好ましく、0を超え、0.3以下であることがより好ましい。Niと元素Xの合計に対する元素Xのモル比が0を超え、0.7未満であると、LiMOを比較的大容量のリチウム二次電池に用いることができる。Niと元素Xの合計に対する元素Xのモル比が0.3以下である場合、つまり、Niと元素Xの合計に対するNiのモル比が0.7以上である場合、被処理物と焼成雰囲気中の酸素との反応において、より高濃度の酸素が必要とされる。従って、本実施形態のLiMOの製造方法は、Niのモル比が高い場合に被処理物の酸化反応を促進させる効果が高い。
MCCは、例えば、以下の方法で製造することができる。一例として、MCCがNi、Co及びAlを含む前駆体である場合の製造方法について説明する。
まず、Ni、Co及びAlを含む金属複合水酸化物を以下の方法で調製する。金属複合水酸化物は、通常公知のバッチ式共沈殿法又は連続式共沈殿法により製造することが可能である。
具体的には、特開2002-201028号公報に記載された連続式共沈殿法により、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、アルミニウム塩溶液及び錯化剤を反応させ、Ni(1 -a-b)CoAl(OH)(式中、0<a+b<0.7である。a+bは、後述する組成式(V)のnと同じである。)で表される金属複合水酸化物を製造する。
上記ニッケル塩溶液の溶質であるニッケル塩としては、特に限定されないが、例えば硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及び酢酸ニッケルのうちの少なくとも1種を使用することができる。
上記コバルト塩溶液の溶質であるコバルト塩としては、例えば硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト及び酢酸コバルトのうちの少なくとも1種を使用することができる。
上記アルミニウム塩溶液の溶質であるアルミニウム塩としては、例えば硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム及び酢酸アルミニウムのうちの少なくとも1種を使用することができる。
以上の金属塩は、上記Ni(1-a-b)CoAl(OH)の組成比に対応する割合で用いられる。すなわち、上記金属塩を含む混合溶液中におけるNi、Co及びAlのモル比が、前駆体の(1-a-b):a:bと対応するように各金属塩の量を規定する。また、溶媒として水が使用される。
錯化剤としては、水溶液中で、ニッケルイオン、コバルトイオン及びアルミニウムイオンと錯体を形成可能なものであり、例えばアンモニウムイオン供給体(水酸化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム又は弗化アンモニウム等)、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸及びウラシル二酢酸及びグリシンが挙げられる。
金属複合水酸化物の製造工程において、錯化剤は、用いられてもよく、用いられなくてもよい。錯化剤が用いられる場合、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、アルミニウム塩溶液及び錯化剤を含む混合液に含まれる錯化剤の量は、例えば金属塩(ニッケル塩、コバルト塩及びアルミニウム塩)のモル数の合計に対するモル比が0より大きく2.0以下である。
共沈殿法に際しては、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、アルミニウム塩溶液及び錯化剤を含む混合液のpH値を調整するため、混合液のpHがアルカリ性から中性になる前に、混合液にアルカリ金属水酸化物を添加する。アルカリ金属水酸化物とは、例えば水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムである。
なお、本明細書におけるpHの値は、混合液の温度が40℃の時に測定された値であると定義する。混合液のpHは、反応槽からサンプリングした混合液の温度が、40℃になったときに測定する。サンプリングした混合液が40℃未満である場合には、混合液を40℃まで加温してpHを測定する。サンプリングした混合液が40℃を超える場合には、混合液を40℃まで冷却してpHを測定する。
上記ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液及びアルミニウム塩溶液のほか、錯化剤を反応槽に連続して供給して撹拌すると、Ni、Co及びAlが反応し、Ni(1-a-b)CoAl(OH)が生成する。
反応に際しては、反応槽の温度を、例えば20-80℃、好ましくは30-70℃の範囲内で制御する。
また、反応に際しては、反応槽内のpH値を、例えばpH9-13、好ましくはpH10.5-12.4の範囲内で制御する。
反応槽内で形成された反応沈殿物を攪拌しながら中和する。反応沈殿物の中和の時間は、1-20時間であることが好ましく、5-15時間であることがより好ましい。
連続式共沈殿法で用いる反応槽は、形成された反応沈殿物を分離するためオーバーフローさせるタイプの反応槽を用いることができる。
各種気体、例えば、窒素、アルゴン又は二酸化炭素等の不活性ガス、空気又は酸素等の酸化性ガス、又はそれらの混合ガスを反応槽内に供給してもよい。
バッチ式共沈殿法で用いる反応槽は、オーバーフローパイプを備えない反応槽を用いることができる。あるいは、オーバーフローパイプに連結された濃縮槽を備え、オーバーフローした反応沈殿物を濃縮層で濃縮し、再び反応槽へ循環させる機構を有するタイプの装置を用いることもできる。
以上の反応後、中和された反応沈殿物を単離する。単離には、例えば反応沈殿物を含むスラリー(共沈物スラリー)を遠心分離や吸引ろ過などで脱水する方法が用いられる。
中和された反応沈殿物を洗浄、脱水、乾燥及び篩別し、Ni、Co及びAlを含む金属複合水酸化物が得られる。
反応沈殿物の洗浄は、水又はアルカリ性洗浄液で行うことが好ましい。本実施形態においては、アルカリ性洗浄液で洗浄することが好ましく、水酸化ナトリウム溶液で洗浄することがより好ましい。また、硫黄元素を含有する洗浄液を用いて洗浄してもよい。硫黄元素を含有する洗浄液としては、カリウムやナトリウムの硫酸塩水溶液等が挙げられる。
MCCが金属複合酸化物である場合は、上述の方法で得られた金属複合水酸化物を加熱して金属複合酸化物を製造することができる。具体的には、金属複合水酸化物を400-700℃で加熱する。必要ならば複数の加熱工程を実施してもよい。本明細書における加熱温度とは、加熱装置の設定温度を意味する。複数の加熱工程を有する場合、各加熱工程のうち、最高保持温度で加熱した際の温度を意味する。
加熱温度は、400-700℃であることが好ましく、450-680℃であることがより好ましい。加熱温度が400-700℃であると、金属複合水酸化物が過不足なく酸化される。
前記加熱温度で保持する時間は、0.1-20時間が挙げられ、0.5-10時間が好ましい。前記加熱温度までの昇温速度は、通常50-400℃/時間であり、前記加熱温度から室温までの降温速度は、通常10-400℃/時間である。また、加熱雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガスを用いることができる。
加熱装置内は、適度な酸素含有雰囲気であってもよい。酸化性雰囲気は、不活性ガスに、酸化性ガスを混合した酸素含有雰囲気であってもよく、不活性ガス雰囲気下で酸化剤を存在させてもよい。
酸化性雰囲気中の酸素や酸化剤は、遷移金属を酸化させるために十分な酸素原子が存在すればよい。
酸化性雰囲気が酸素含有雰囲気である場合、加熱装置内の雰囲気の制御は、加熱装置内に酸化性ガスを通気させるなどの方法で行うことができる。
酸化剤として、過酸化水素などの過酸化物、過マンガン酸塩などの過酸化物塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、硝酸、ハロゲン又はオゾンなどを使用できる。
以上のように、MCCである金属複合水酸化物又は金属複合酸化物を製造することができる。
本実施形態に用いるリチウム化合物は、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、塩化リチウム及びフッ化リチウムのうちの少なくとも何れか一つを使用することができる。これらの中では、MCCとの反応性が高いため、水酸化リチウムが好ましい。
リチウム化合物とMCCとを、最終目的物の組成比を勘案して混合し、混合物を得る。具体的には、リチウム化合物とMCCは、後述する組成式(V)の組成比に対応する割合で混合することが好ましい。
MCCとリチウム化合物との反応物は、MCCとリチウム化合物とを仮焼成することによって得られたものである。仮焼成によって得られるMCCとリチウム化合物との反応物(すなわち、焼成物)は、被処理物として採用することができる。
本実施形態において仮焼成とは、後述の被処理物の加熱温度よりも低い温度で焼成することである。仮焼成時の焼成温度は、例えば350℃以上700℃未満の範囲が挙げられる。仮焼成は、複数回行ってもよい。
仮焼成時に用いる焼成装置は、特に限定されず、例えば、連続焼成炉又は流動式焼成炉の何れを用いて行ってもよい。流動式焼成炉としては、ロータリーキルン50を用いてもよい。
次に、上述のロータリーキルン50を用いて、被処理物を加熱する工程について説明する。
回転筒53を回転させながら、上述の被処理物を投入口51から供給する。ロータリーキルン50では、重力と回転筒53の回転によって被処理物を投入口51から被処理物を排出口52の方向に移動させながら、連続的に被処理物を加熱する。
このとき、被処理物の加熱は、酸素含有雰囲気下で行われる。回転筒53内において被処理物の移動方向とは逆方向に酸素含有ガスが流れるよう、排出口52側のガス供給口55から酸素含有ガスを供給し、投入口51側のガス排出口56から排出する。回転筒53に投入された被処理物は、回転筒53内を移動してガス供給口55に近づくほど、被処理物の反応が進んでいく。反応の進んでいる被処理物をさらに反応させるためには、高濃度の酸素を含む酸素含有ガスが必要である。従って、被処理物の移動方向とは逆方向に酸素含有ガスが流れるよう制御することにより、被処理物の反応が進んでいる領域では酸素含有ガスの酸素濃度が高くなり、最終的な被処理物の反応を促進することができる。
また、酸素含有ガスに含まれる酸素は、被処理物との反応により消費されるため、投入口51近傍では酸素含有ガスの酸素濃度は低くなる。しかしながら、このような酸素含有ガスであっても、回転筒53内に投入してすぐの被処理物に対しては十分な濃度の酸素を含んでいる。
特に、MCCにNiが高濃度で含まれる場合、例えば後述する式(V)におけるnが0より大きく0.3以下である場合には、高濃度の酸素と被処理物とが直接接することで反応を促進することができる。そのため、上述の通り回転筒53内において被処理物の移動方向とは逆方向に酸素含有ガスが流れるよう、ガス供給口55から酸素含有ガスを供給し、ガス排出口56から排出すると、被処理物と酸素との反応の促進効果が大きい。
さらに、バルブ57により、排出口52から排出される酸素含有ガスが流出するのを遮断することが好ましい。
バルブ57がロータリーバルブである場合、被処理物の加熱の間、常にロータリーバルブを稼働させることで酸素含有ガスが排出口52から排出されるのを遮断する。
バルブ57がダブルダンパーである場合、一方のダンパーを開けるタイミングで他方のダンパーを閉じておくことで酸素含有ガスが排出口52から排出されるのを遮断する。
被処理物の質量に対する酸素含有ガス流量の比が、0.5Nm/kg以上となるように回転筒53内に酸素含有ガスを供給しながら被処理物を加熱することが好ましい。被処理物の質量に対する酸素含有ガス流量の比は、0.5-20Nm/kgであることがより好ましく、0.6-10Nm/kgであることがさらに好ましい。被処理物の質量に対する酸素含有ガス流量の比が、0.5Nm/kg以上であると、被処理物と酸素との反応を十分に高めることができる。
本実施形態における被処理物の加熱温度は、700-900℃であり、710-850℃であることが好ましく、720-800℃であることがより好ましい。加熱温度が700℃以上であると、LiMOの粒子の成長を促進させ、強固な結晶構造を有するLiMOを得ることができる。また、加熱温度が900℃以下であると、LiMOの粒子にクラックが形成されることを防止し、LiMOの粒子の強度を維持でき、またLiMOに含まれる二次粒子表面のリチウムの揮発を低減できる。
本明細書における加熱温度とは、回転筒53内雰囲気の最高温度を意味する。
加熱における保持時間は、1-50時間が好ましい。加熱における保持時間が1時間以上であると、結晶の発達が良好となる。加熱における保持時間が50時間以下であると、リチウムの揮発が生じにくい。
本明細書において、加熱における保持時間とは、加熱手段54が設けられている領域に被処理物が到達してから、加熱手段54が設けられている領域の終端に到達するまでの時間と定義する。
被処理物は、後述の方法で算出される、加熱設備の加熱領域において被処理物の層の表面を移動する被処理物の平均移動距離(以下、単に平均移動距離と称することがある)が13m以上となる条件で加熱される。図3は、本実施形態の一態様におけるLiMOの製造方法における被処理物の動作を説明する模式図である。なお、本実施形態において、被処理物の層の表面とは、被処理物を回転筒53に充填した際に、回転筒53に接していない面を指す。
図3に示すように、回転筒53を回転させながら被処理物60を加熱する場合、被処理物60は、回転筒53の内部で攪拌されながら、(1)回転筒53の回転と共に回転筒53の径方向にある半径rmaxの弧に沿って移動する(図3中、符号70で示す)、及び(2)被処理物60の層の表面をなだれ落ちて移動する(図3中、符号71で示す)、の2つの動作を繰り返して移動していると考えられる。被処理物60と酸素含有ガスとの直接的な接触は(2)の動作の際に生じる。そのため、(2)の動作において、酸素と被処理物60の反応が十分に進行すると考えられる。本実施形態では被処理物60の層の表面に被処理物が存在するときの確率に着目し、(2)の動作における移動距離を、加熱装置の加熱領域において被処理物の層の表面を移動する被処理物の平均移動距離として算出している。この値が13m以上であると、被処理物と酸素との接触時間が十分であり、被処理物と酸素との反応が促進される。
被処理物の平均移動距離の下限値は、13mであり、15mであることが好ましく、17mであることがより好ましい。被処理物の平均移動距離の上限値は特に限定されないが、例えば9000m程度である。被処理物の平均移動距離は、13-9000mであることが好ましく、15m以上5000m未満であることがより好ましく、15-3000mであることがさらに好ましく、17-2000mであることが特に好ましい。
被処理物の平均移動距離は、式(I)により算出される。
被処理物の平均移動距離={(A×B×C×D)+E0.5・・・(I)
A:回転筒1回転あたりの被処理物のなだれ落ちる回数[回/回転数]
B:単位時間あたりの回転筒の回転数[回転/sec]
C:被処理物の加熱領域Lにおける保持時間[sec]
D:被処理物が1回なだれ落ちる時の弦部分の移動距離[m/回]
E:加熱領域Lの長さ[m]
ここで、回転筒1回転あたりの被処理物のなだれ落ちる回数Aは、回転筒53の内径及び回転筒53の容積に対する被処理物の60の層の表面の寸法から算出することができる。具体的には、Aは、以下の式(II)によって算出される。
Figure 0007146140000001
回転筒53の内径は、例えば0.05-10mであり、0.07-5mであることが好ましく、0.09-2mであることがより好ましい。
被処理物60の充填率は、1~20%であることが好ましく、3~17%がより好ましく、5~15%がさらに好ましい。被処理物60の充填率とは、回転筒53の容積に対する、回転筒53内に存在する被処理物60の体積の割合を意味する。被処理物の体積は、以下の式(A)から算出される。式中の「平均嵩密度」については後述する。
被処理物の体積[m]=0.4×被処理物の投入量[kg/hr]×被処理物の回転筒53内における滞留時間[hr]÷被処理物の平均嵩密度[kg/m]+0.6×加熱された被処理物の排出量[kg/hr]×被処理物の回転筒53内における滞留時間[hr]÷加熱された被処理物の平均嵩密度[kg/m]・・・(A)
式(II)中、kは、被処理物60を回転筒53に充填したときのX-X‘断面における被処理物60の層の表面の寸法を表す。rminは、回転筒53の軸心ZからX-X‘断面に垂線を引いた際の交点と、回転筒53の軸心Zとの距離を示す。
被処理物60の層の表面の寸法kは、回転筒53の内径および回転筒53内の被処理物60の充填率に依存するが、例えば0.01-10mであり、0.03-5mであることが好ましく、0.05-2mであることがより好ましい。
なお、回転筒53に攪拌羽根58が設けられている場合には、攪拌羽根58の部分で被処理物がなだれ落ちると考えられる。よって、上記Aに攪拌羽根58の設置数を掛けた値が、回転筒1回転あたりの被処理物のなだれ落ちる回数である。
被処理物が1回なだれ落ちる時の弦部分の移動距離Dは、図4に示す仮想的な回転筒内の被処理物の状態に基づき、期待値の算出方法に従って、以下の式(III)によって算出することができる。本発明では式(III)の解法にオイラー法を用いた。
Figure 0007146140000002
式(III)中、rは、被処理物60の表面と軸心Zとの距離を示す。rminは、被処理物60の表面と軸心Zとの最短距離を示す。rmaxは、回転筒53の内径の半分の値を示す。L(r)は、距離rにおける被処理物60の移動距離、即ち距離rにおける弦の長さを示す。f(r)は、距離rから距離r+Δrの微小区間(図4における斜線部分)の粒子の存在割合を示す。
被処理物の加熱における回転筒53の回転速度は、0.003-0.5rad/secであることが好ましい。回転筒53の回転速度は、0.05-0.4rad/secであることがより好ましく、0.08-0.3rad/secであることがさらに好ましい。回転筒53の回転速度が0.003-0.5rad/secであると、被処理物の平均移動距離を13m以上に制御することができる。
被処理物は、上記の条件下で回転筒53内で加熱され、その結果得られる加熱された被処理物が排出口52から排出される。被処理物の加熱において、下記式(IV)で表される値が、0.80-1.30となるように被処理物を投入口51から投入し、加熱された被処理物が排出口52から排出されることが好ましい。式(IV)で表される値は、0.82-1.29であることがより好ましく、0.85-1.28であることがさらに好ましい。
1時間あたりに投入される被処理物の体積[m/hr]/1時間あたりに排出される加熱された被処理物の体積[m/hr]・・・(IV)
1時間あたりに投入される被処理物の体積[m/hr]
=被処理物の投入量[kg/hr]÷被処理物の平均嵩密度[kg/m]・・・(IV-i)
1時間あたりに排出される加熱された被処理物の体積[m/hr]
=加熱された被処理物の排出量[kg/hr]÷加熱された被処理物の平均嵩密度[kg/m]・・・(IV-ii)
式(IV)で表される値が1.00以上である場合、加熱された被処理物の体積が投入された被処理物の体積より小さくなったことを表す。被処理物がMCCとリチウム化合物の混合物である場合、式(IV)で表される値は、1.00以上となる傾向がある。
一方で、式(IV)で表される値が1.00未満である場合、加熱された被処理物の体積が投入された被処理物の体積より大きくなったことを表す。被処理物がMCCとリチウム化合物との反応物である場合、式(IV)で表される値は、1.00未満となる場合がある。その理由として、MCCとリチウム化合物とを加熱して反応させると、加熱された被処理物が凝集して粗粒が発生することがある。粗粒を含む反応物を加熱すると、粗粒が解砕され、加熱された被処理物の体積が大きくなる可能性があることが挙げられる。
被処理物の加熱において被処理物が均一に混合され、平均移動距離が13m以上を満たしている場合、式(IV)で表される値が、0.80-1.30を満たす。よって、式(IV)で表される値が、0.80―1.30であると、加熱工程において、被処理物と酸素との反応が促進されると考えられる。式(IV)で表される値が、1.30を超える場合、焼成が過剰に進むことで加熱された被処理物の体積が小さくなり、被処理物の体積と加熱された被処理物の体積とが大きく異なるために均一に混合されず、酸素と十分に接触していない被処理物の割合が増加し、被処理物と酸素との反応性が低下しやすくなると考えられる。式(IV)で表される値が、0.80未満の場合、酸素含有ガス中の酸素割合の低下によって加熱物が過度に凝集して粗粒が発生し、加熱された被処理物の体積が大きくなり、被処理物の体積と加熱された被処理物の体積とが大きく異なるために均一に混合されず、酸素と十分に接触していない被処理物の割合が増加し、被処理物と酸素との反応性が低下しやすくなると考えられる。
なお、本明細書における平均嵩密度は、以下の方法で測定した値である。
平均嵩密度[g/cm]=(重装嵩密度[g/cm]+軽装嵩密度[g/cm])×0.5
本明細書における軽装嵩密度の測定は、250cmのメスシリンダに粉体(つまり被処理物又は加熱された被処理物)を上部から自由落下させて200cm充填し、粉体200cmの粉体重量を粉体体積の200cmで除した値である。重装嵩密度は、軽装嵩密度測定時に自由落下で粉体を200cm充填した後、3cmの高さからメスシリンダを200回タッピングし、粉体質量をタッピング後の粉体体積で除した値である。
以上の通り、被処理物を酸素含有雰囲気下で、加熱設備の加熱領域における平均移動距離が13m以上となるように、前記回転筒を回転させながら加熱すると、被処理物と酸素との反応が促進される。そのため、本実施形態の製造方法によって製造されたLiMOは、その中に酸素欠陥構造が生じにくい。その結果、リチウム二次電池の充放電を繰り返した場合のサイクル維持率を向上することができる。
なお、金属複合酸化物とリチウム化合物との混合物は、不活性溶融剤の存在下で加熱されてもよい。不活性溶融剤としては、例えば国際公開第2019/177032号に記載のものを使用することができる。不活性溶融剤の存在下で加熱を行うことにより、被処理物と酸素との反応を促進させることができる。不活性溶融剤は、加熱後のLiMOに残留してもよいし、加熱後に洗浄液で洗浄すること等により除去されてもよい。本実施形態においては、加熱後のLiMOは、純水やアルコールを用いて洗浄することが好ましい。
前述の加熱によって得られたLiMOは、適宜粉砕及び分級されてもよい。また、前述の加熱後にさらに後焼成を行ってもよい。後焼成時の加熱温度は、例えば350℃以上700℃未満が挙げられる。
<LiMO>
上述の製造方法により製造されたLiMOは、以下の性質を有する。
LiMOは、例えば組成式(V)で表される。
Li[Li(Ni(1-n)1-m]O・・・(V)
(式(V)中、Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、V、B、Si、S及びPからなる群から選択される1種以上の元素を表し、-0.1≦m≦0.2、0<n<0.7、及び0<m+n<0.8を満たす。)
サイクル維持率が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記式(V)におけるmは、-0.1以上であり、-0.05以上であることがより好ましく、-0.01以上であることがさらに好ましい。また、初回クーロン効率がより高いリチウム二次電池を得る観点から、mは、0.2以下であり、0.08以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
mの上限値と下限値は、任意に組み合わせることができる。組み合わせとしては、例えば、mが、-0.1~0.2、-0.01~0.2、-0.05~0.08、-0.01を超え0.05以下等が挙げられる。
サイクル特性を向上させる観点から、nは、0を超え、0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましい。充電容量が高いリチウム二次電池を得る観点から、nは、0.7未満であり、0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。
nの上限値と下限値は、任意に組み合わせることができる。nは、0を超え0.7未満であり、0.01-0.5であることが好ましく、0.05-0.3であることがより好ましい。
サイクル維持率が高いリチウム二次電池を得る観点から、Xは、Co、Mn、Ti、Mg、Al、W、B、及びZrからなる群より選択される1種以上の金属であることが好ましく、Co、Mn、Al、W、B、及びZrからなる群より選択される1種以上の金属であることがより好ましい。
なお、LiMOの組成分析は、例えば、LiMOを塩酸に溶解させた後、ICP発光分光分析装置(株式会社パーキンエルマー製、Optima7300)を用いて行うことができる。
本実施形態において、LiMOの結晶構造は、層状構造であり、六方晶型の結晶構造又は単斜晶型の結晶構造であることがより好ましい。
六方晶型の結晶構造は、P3、P3、P3、R3、P-3、R-3、P312、P321、P312、P321、P312、P321、R32、P3m1、P31m、P3c1、P31c、R3m、R3c、P-31m、P-31c、P-3m1、P-3c1、R-3m、R-3c、P6、P6、P6、P6、P6、P6、P-6、P6/m、P6/m、P622、P622、P622、P622、P622、P622、P6mm、P6cc、P6cm、P6mc、P-6m2、P-6c2、P-62m、P-62c、P6/mmm、P6/mcc、P6/mcm、及びP6/mmcからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
また、単斜晶型の結晶構造は、P2、P2、C2、Pm、Pc、Cm、Cc、P2/m、P2/m、C2/m、P2/c、P2/c、及びC2/cからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
これらのうち、放電容量が高いリチウム二次電池を得るため、結晶構造は、空間群R-3mに帰属される六方晶型の結晶構造、又はC2/mに帰属される単斜晶型の結晶構造であることが特に好ましい。
<CAM>
本実施形態のCAMは、上述の方法で製造されたLiMOを含有する。本実施形態のCAMは、本実施形態のLiMO以外のLiMOを含んでいてもよい。
<リチウム二次電池>
次いで、本実施形態のLiMOをCAMとして用いる場合の好適なリチウム二次電池の構成を説明する。
さらに、本実施形態のLiMOをCAMとして用いる場合に好適なリチウム二次電池用正極(以下、正極と称することがある。)について説明する。
さらに、正極の用途として好適なリチウム二次電池について説明する。
本実施形態のLiMOをCAMとして用いる場合の好適なリチウム二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
リチウム二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
図5及び図6は、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。本実施形態の円筒型のリチウム二次電池10は、次のようにして製造する。
まず、図5に示すように、帯状を呈する一対のセパレータ1、一端に正極リード21を有する帯状の正極2、及び一端に負極リード31を有する帯状の負極3を、セパレータ1、正極2、セパレータ1、負極3の順に積層し、巻回することにより電極群4とする。
次いで、図6に示すように、電池缶5に電極群4及び不図示のインシュレーターを収容した後、缶底を封止し、電極群4に電解液6を含浸させ、正極2と負極3との間に電解質を配置する。さらに、電池缶5の上部をトップインシュレーター7及び封口体8で封止することで、リチウム二次電池10を製造することができる。
電極群4の形状としては、例えば、電極群4を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面形状が、円、楕円、長方形又は角を丸めた長方形となるような柱状の形状を挙げることができる。
また、このような電極群4を有するリチウム二次電池の形状としては、国際電気標準会議(IEC)が定めた電池に対する規格であるIEC60086、又はJIS C 8500で定められる形状を採用することができる。例えば、円筒型又は角型などの形状を挙げることができる。
さらに、リチウム二次電池は、上記巻回型の構成に限らず、正極、セパレータ、負極、セパレータの積層構造を繰り返し重ねた積層型の構成であってもよい。積層型のリチウム二次電池としては、いわゆるコイン型電池、ボタン型電池、又はペーパー型(又はシート型)電池を例示することができる。
以下、各構成について順に説明する。
(正極)
正極は、まず正極活物質、導電材及びバインダーを含む正極合剤を調製し、正極合剤を正極集電体に担持させることで製造することができる。
(導電材)
正極が有する導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)及び繊維状炭素材料などを挙げることができる。
正極合剤中の導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して5-20質量部であると好ましい。
(バインダー)
正極が有するバインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、WO2019/098384A1又はUS2020/0274158A1に記載の樹脂を挙げることができる。
(正極集電体)
正極が有する正極集電体としては、Al、Ni又はステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。
正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、有機溶媒を用いて正極合剤をペースト化し、得られる正極合剤のペーストを正極集電体の少なくとも一面側に塗布して乾燥させ、プレスし固着する方法が挙げられる。
正極合剤をペースト化する場合、用いることができる有機溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPということがある。)などのアミド系溶媒が挙げられる。
正極合剤のペーストを正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法及び静電スプレー法が挙げられる。
以上に挙げられた方法により、正極を製造することができる。
(負極)
リチウム二次電池が有する負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、及び負極活物質単独からなる電極を挙げることができる。
(負極活物質)
負極が有する負極活物質としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物又は硫化物など)、窒化物、金属又は合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。
負極活物質として使用可能な炭素材料としては、天然黒鉛又は人造黒鉛などの黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維及び有機高分子化合物焼成体を挙げることができる。
負極活物質として使用可能な酸化物としては、SiO及びSiOなど式SiO(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物;SnO及びSnOなど式SnO(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物;LiTi12及びLiVOなどのリチウムとチタン又はバナジウムとを含有する金属複合酸化物を挙げることができる。
また、負極活物質として使用可能な金属としては、リチウム金属、シリコン金属及びスズ金属などを挙げることができる。
負極活物質として使用可能な材料として、WO2019/098384A1またはUS2020/0274158A1に記載の材料を用いてもよい。
これらの金属や合金は、例えば箔状に加工された後、主に単独で電極として用いられる。
上記負極活物質の中では、充電時に未充電状態から満充電状態にかけて負極の電位がほとんど変化しない(電位平坦性がよい)、平均放電電位が低い及び繰り返し充放電させたときの容量維持率が高い(サイクル特性がよい)などの理由から、天然黒鉛又は人造黒鉛などの黒鉛を主成分とする炭素材料が好ましく用いられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、又は微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVdF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCということがある。)、スチレンブタジエンゴム(以下、SBRということがある。)、ポリエチレン及びポリプロピレンを挙げることができる。
(負極集電体)
負極が有する負極集電体としては、Cu、Ni又はステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を挙げることができる。
このような負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様に、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布又は乾燥後プレスし圧着する方法が挙げられる。
(セパレータ)
リチウム二次電池が有するセパレータとしては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂又は含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布又は織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。また、JP-A-2000-030686やUS20090111025A1に記載のセパレータを用いてもよい。
(電解液)
リチウム二次電池が有する電解液は、電解質及び有機溶媒を含有する。
電解液に含まれる電解質としては、LiClO、LiPF、LiBFなどのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。
また前記電解液に含まれる有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン及び1,2-ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類を用いることができる。
有機溶媒としては、これらのうちの2種以上を混合して用いることが好ましい。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒及び環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。
また、電解液としては、得られるリチウム二次電池の安全性が高まるため、LiPFなどのフッ素を含むリチウム塩及びフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。電解液に含まれる電解質および有機溶媒として、WO2019/098384A1又はUS2020/0274158A1に記載の電解質および有機溶媒を用いてもよい。
<全固体リチウム二次電池>
次いで、全固体リチウム二次電池の構成を説明しながら、本発明の一態様に係るLiMOを全固体リチウム二次電池の正極活物質として用いた正極、及びこの正極を有する全固体リチウム二次電池について説明する。
図7及び図8は、本実施形態の全固体リチウム二次電池の一例を示す模式図である。図7及び図8に示す全固体リチウム二次電池1000は、正極110と、負極120と、固体電解質層130とを有する積層体100と、積層体100を収容する外装体200と、を有する。また、全固体リチウム二次電池1000は、集電体の両側に正極活物質と負極活物質とを配置したバイポーラ構造であってもよい。バイポーラ構造の具体例として、例えば、JP-A-2004-95400に記載される構造が挙げられる。各部材を構成する材料については、後述する。
積層体100は、正極集電体112に接続される外部端子113と、負極集電体122に接続される外部端子123と、を有していてもよい。その他、全固体リチウム二次電池1000は、正極110と負極120との間にセパレータを有していてもよい。
全固体リチウム二次電池1000は、さらに積層体100と外装体200とを絶縁する不図示のインシュレーター及び外装体200の開口部200aを封止する不図示の封止体を有する。
外装体200は、アルミニウム、ステンレス鋼又はニッケルメッキ鋼などの耐食性の高い金属材料を成形した容器を用いることができる。また、外装体200として、少なくとも一方の面に耐食加工を施したラミネートフィルムを袋状に加工した容器を用いることもできる。
全固体リチウム二次電池1000の形状としては、例えば、コイン型、ボタン型、ペーパー型(またはシート型)、円筒型、角型、又はラミネート型(パウチ型)などの形状を挙げることができる。
全固体リチウム二次電池1000は、一例として積層体100を1つ有する形態が図示されているが、本実施形態はこれに限らない。全固体リチウム二次電池1000は、積層体100を単位セルとし、外装体200の内部に複数の単位セル(積層体100)を封じた構成であってもよい。
以下、各構成について順に説明する。
(正極)
本実施形態の正極110は、正極活物質層111と正極集電体112とを有している。
正極活物質層111は、上述した本発明の一態様であるLiMO及び固体電解質を含む。また、正極活物質層111は、導電材及びバインダーを含んでいてもよい。
(固体電解質)
本実施形態の正極活物質層111に含まれる固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有し、公知の全固体電池に用いられる固体電解質を採用することができる。このような固体電解質としては、無機電解質及び有機電解質を挙げることができる。無機電解質としては、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質及び水素化物系固体電解質を挙げることができる。有機電解質としては、ポリマー系固体電解質を挙げることができる。各電解質としては、WO2020/208872A1、US2016/0233510A1、US2012/0251871A1、及びUS2018/0159169A1に記載の化合物が挙げられ、例えば、以下の化合物が挙げられる。
(酸化物系固体電解質)
酸化物系固体電解質としては、例えば、ペロブスカイト型酸化物、NASICON型酸化物、LISICON型酸化物及びガーネット型酸化物などが挙げられる。各酸化物の具体例は、WO2020/208872A1、US2016/0233510A1、及びUS2020/0259213A1に記載の化合物が挙げられ、例えば、以下の化合物が挙げられる。
ガーネット型酸化物としては、LiLaZr12(LLZともいう)などのLi-La-Zr系酸化物などが挙げられる。
酸化物系固体電解質は、結晶性材料であってもよく、非晶質材料であってもよい。
(硫化物系固体電解質)
硫化物系固体電解質としては、LiS-P系化合物、LiS-SiS系化合物、LiS-GeS系化合物、LiS-B系化合物、LiS-P系化合物、LiI-SiS-P、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P及びLi10GeP12などを挙げることができる。
なお、本明細書において、硫化物系固体電解質を指す「系化合物」という表現は、「系化合物」の前に記載した「LiS」「P」などの原料を主として含む固体電解質の総称として用いる。例えば、LiS-P系化合物には、LiSとPとを主として含み、さらに他の原料を含む固体電解質が含まれる。LiS-P系化合物に含まれるLiSの割合は、例えばLiS-P系化合物全体に対して50~90質量%である。LiS-P系化合物に含まれるPの割合は、例えばLiS-P系化合物全体に対して10~50質量%である。また、LiS-P系化合物に含まれる他の原料の割合は、例えばLiS-P系化合物全体に対して0~30質量%である。また、LiS-P系化合物には、LiSとPとの混合比を異ならせた固体電解質も含まれる。
LiS-P系化合物としては、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-LiCl及びLiS-P-LiBrなどを挙げることができる。
LiS-SiS系化合物としては、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI及びLiS-SiS-P-LiClなどを挙げることができる。
LiS-GeS系化合物としては、LiS-GeS及びLiS-GeS-Pなどを挙げることができる。
硫化物系固体電解質は、結晶性材料であってもよく、非晶質材料であってもよい。
固体電解質は、発明の効果を損なわない範囲において、2種以上を併用することができる。
(導電材及びバインダー)
本実施形態の正極活物質層111が有する導電材としては、上述の(導電材)で説明した材料を用いることができる。また、正極合剤中の導電材の割合についても同様に上述の(導電材)で説明した割合を適用することができる。また、正極が有するバインダーとしては、上述の(バインダー)で説明した材料を用いることができる。
(正極集電体)
本実施形態の正極110が有する正極集電体112としては、上述の(正極集電体)で説明した材料を用いることができる。
正極集電体112に正極活物質層111を担持させる方法としては、正極集電体112上で正極活物質層111を加圧成型する方法が挙げられる。加圧成型には、冷間プレスや熱間プレスを用いることができる。
また、有機溶媒を用いて正極活物質、固体電解質、導電材及びバインダーの混合物をペースト化して正極合剤とし、得られる正極合剤を正極集電体112の少なくとも一面上に塗布して乾燥させ、プレスし固着することで、正極集電体112に正極活物質層111を担持させてもよい。
また、有機溶媒を用いて正極活物質、固体電解質及び導電材の混合物をペースト化して正極合剤とし、得られる正極合剤を正極集電体112の少なくとも一面上に塗布して乾燥させ、焼結することで、正極集電体112に正極活物質層111を担持させてもよい。
正極合剤に用いることができる有機溶媒としては、上述の(正極集電体)で説明した正極合剤をペースト化する場合に用いることができる有機溶媒と同じものを用いることができる。
正極合剤を正極集電体112へ塗布する方法としては、上述の(正極集電体)で説明した方法が挙げられる。
以上に挙げられた方法により、正極110を製造することができる。
(負極)
負極120は、負極活物質層121と負極集電体122とを有している。負極活物質層121は、負極活物質を含む。また、負極活物質層121は、固体電解質及び導電材を含んでいてもよい。負極活物質、負極集電体、固体電解質、導電材及びバインダーは、上述したものを用いることができる。
(固体電解質層)
固体電解質層130は、上述の固体電解質を有している。
固体電解質層130は、上述の正極110が有する正極活物質層111の表面に、無機物の固体電解質をスパッタリング法により堆積させることで形成することができる。
また、固体電解質層130は、上述の正極110が有する正極活物質層111の表面に、固体電解質を含むペースト状の合剤を塗布し、乾燥させることで形成することができる。乾燥後、プレス成型し、さらに冷間等方圧加圧法(CIP)により加圧して固体電解質層130を形成してもよい。
積層体100は、上述のように正極110上に設けられた固体電解質層130に対し、公知の方法を用いて、固体電解質層130の表面に負極活物質層121が接するように負極120を積層させることで製造することができる。
以上のような構成のリチウム二次電池において、正極活物質として上述した本実施形態により製造されるLiMOを用いているため、リチウム二次電池のサイクル維持率を向上させることができる。
また、以上のような構成の正極は、上述した構成のCAMを有するため、リチウム二次電池のサイクル維持率を向上させることができる。
さらに、以上のような構成のリチウム二次電池は、上述した正極を有するため、サイクル維持率の高い二次電池となる。
もう一つの態様として、本発明は、以下の態様を有する。
[1]一端側に投入口を有し、他端側に排出口を有する回転筒を備えた加熱設備を用い、酸素含有ガスを供給しながら、前記回転筒を前記回転筒の軸心周りに回転させることにより、前記加熱設備の前記投入口から投入した被処理物を前記排出口の方向に移動させて加熱することを含み、前記被処理物は、金属複合化合物とリチウム化合物との混合物、及び金属複合化合物とリチウム化合物との反応物のうちの一方を含み、前記加熱設備の加熱領域において、前記被処理物の層の表面を移動する前記被処理物の平均移動距離が13m以上であり、前記加熱領域における加熱温度が700-800℃である、リチウム金属複合酸化物の製造方法。
[2]一端側に投入口を有し、他端側に排出口を有する回転筒を備えた加熱設備を用い、前記加熱設備の前記投入口から被処理物を投入することと、酸素含有ガスを供給しながら、前記回転筒を前記回転筒の軸心周りに回転させることにより、前記被処理物を前記排出口の方向に移動させて加熱することを含み、前記被処理物は、金属複合化合物とリチウム化合物との混合物、及び金属複合化合物とリチウム化合物との反応物のうちの一方を含み、前記加熱設備の加熱領域において、前記被処理物の層の表面を移動する前記被処理物の平均移動距離が13m以上であり、前記加熱領域における加熱温度が700-800℃である、リチウム金属複合酸化物の製造方法。
[3]前記被処理物の平均移動距離が15m以上である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記リチウム化合物が水酸化リチウムである、[1]~[3]の何れか1つに記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
[5]前記被処理物の質量に対する酸素含有ガス流量の比が、0.5-10Nm/kgとなるように前記回転筒内に前記酸素含有ガスを供給しながら前記被処理物を加熱する、[1]~[4]の何れか1つに記載の方法。
[6]前記排出口側から前記回転筒内に前記酸素含有ガスを供給するとともに前記投入口側から前記酸素含有ガスを排出し、さらに、前記排出口から前記酸素含有ガスが流出するのを遮断しながら、前記被処理物を連続的に加熱する、[1]~[5]の何れか1つに記載の方法。
[7]下記式(IV)で表される値が、0.80-1.30を満たすように前記被処理物を加熱する、[1]~[6]の何れか1つに記載の方法。
1時間あたりに投入される被処理物の体積[m/hr]/1時間あたりに排出される加熱物の体積[m/hr]・・・(IV)
1時間あたりに投入される被処理物の体積[m/hr]
=被処理物の投入量[kg/hr]÷被処理物の平均嵩密度[kg/m]・・・(IV-i)
1時間あたりに排出される加熱物の体積[m/hr]
=加熱物の排出量[kg/hr]÷加熱物の平均嵩密度[kg/m]・・・(IV-ii)
[8]回転速度が0.08-0.3rad/secになるように前記回転筒を回転しながら、前記被処理物を加熱する、[1]~[7]の何れか1つに記載の方法。
[9]前記リチウム金属複合酸化物が、組成式(V)で表される、[1]~[8]の何れか1つに記載の方法。
Li[Li(Ni(1-n)1-m]O・・・(V)
(式(V)中、Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、V、B、Si、S及びPからなる群から選択される1種以上の元素を表し、-0.05≦m≦0.08、0.05≦n≦0.3、及び0<m+n<0.8を満たす。)
[10]前記リチウム金属複合酸化物を含む正極活物質を用い、後述する<リチウム二次電池用正極の作製>及び<リチウム二次電池(コイン型ハーフセル)の作製>に記載の方法で作製されるリチウム二次電池のサイクル維持率が86%以上となる、[1]~[9]の何れか1つに記載の方法。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
<組成分析>
後述の方法で製造されるLiMOの組成分析は、得られたLiMOを塩酸に溶解させた後、ICP発光分光分析装置(株式会社パーキンエルマー製、Optima7300)を用いて行った。
<平均移動距離>
上述の式(I)に各実施例における加熱条件のパラメータを適用することにより、平均移動距離を算出した。
<平均嵩密度>
被処理物及びLiMOの平均嵩密度は、以下の方法で測定した。
平均嵩密度[g/cm]=(重装嵩密度[g/cm]+軽装嵩密度[g/cm])×0.5
軽装嵩密度の測定は、250cmのメスシリンダに粉体(つまり被処理物又は加熱物)を上部から自由落下させて200cm充填し、粉体200cmの粉体重量を粉体体積の200cmで除した値である。重装嵩密度は、軽装嵩密度測定時に自由落下で粉体を200cm充填した後、3cmの高さからメスシリンダを200回タッピングし、粉体質量をタッピング後の粉体体積で除した値である。
<リチウム二次電池用正極の作製>
後述する製造方法で得られるLiMOと導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、CAM:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製した。正極合剤の調製時には、N-メチル-2-ピロリドンを有機溶媒として用いた。
得られた正極合剤を、集電体となる厚さ40μmのAl箔に塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、リチウム二次電池用正極を得た。このリチウム二次電池用正極の電極面積は1.65cmとした。
<リチウム二次電池(コイン型ハーフセル)の作製>
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
<リチウム二次電池用正極の作製>で作製したリチウム二次電池用正極を、コイン型電池R2032用のパーツ(宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上にセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルム)を置いた。ここに電解液を300μl注入した。電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの30:35:35(体積比)混合液に、LiPF6を1.0mol/lとなる割合で溶解したものを用いた。
次に、負極として金属リチウムを用いて、前記負極を積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池(コイン型ハーフセルR2032。以下、「ハーフセル」と称することがある。)を作製した。
<サイクル維持率>
まず、コイン型ハーフセルであるリチウム二次電池を室温で10時間静置することでセパレータ及び正極合剤層に充分電解液を含浸させた。
次に、室温において4.3Vまで1mAで定電流充電してから4.3Vで定電圧充電する定電流定電圧充電を5時間行った後、2.5Vまで1mAで放電する定電流放電を行うことで初期充放電を行った。放電容量を測定し、得られた値を「初回放電容量(mAh/g)」とした。さらに充電容量を測定し、得られた値を「初回充電容量」(mAh/g)とした。
初期充放電後、初期充放電と同じ条件で、1mAで充電、1mAで放電を繰り返した。その後、50サイクル目の放電容量(mAh/g)を測定した。
初回放電容量と50サイクル目の放電容量から、下記の式でサイクル維持率を算出した。
サイクル維持率(%)=50サイクル目の放電容量(mAh/g)÷初回放電容量(mAh/g)×100
<実施例1>
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを、NiとCoとAlとの原子比が0.88:0.09:0.03となるように混合して、混合原料液を調製した。
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の溶液のpHが11.6(測定温度:40℃)になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、反応沈殿物1を得た。
反応沈殿物1を洗浄した後、遠心分離機で脱水し、単離して105℃で乾燥することで、Ni、Co及びAlを含む金属複合水酸化物1を得た。
金属複合水酸化物1を大気雰囲気中650℃で5時間保持して加熱し、室温まで冷却して金属複合酸化物1を得た。
金属複合酸化物1に含まれるNi、Co及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.10となるように水酸化リチウムを秤量した。金属複合酸化物1と水酸化リチウムを乳鉢により混合して混合物1を得た。
この混合物1を流動式焼成炉(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:デスクトップロータリーキルン)に投入し、酸素雰囲気中650℃で2時間保持して加熱し、反応物1を得た。
次いで、得られた反応物1を流動式焼成炉(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:デスクトップロータリーキルン)に投入し、流動式焼成炉の排出口側から回転筒内に酸素含有ガスを供給するとともに投入口側から酸素含有ガスを排出し、さらに、排出口から酸素含有ガスが流出するのを遮断しながら、表1に示す条件で2.0時間保持して焼成した。なお、このときの加熱領域Lの滞留時間は1.1時間、加熱領域Lの長さは1.04m、回転筒の内径の半値は0.054m、被処理物60の層の表面の寸法kは0.068m、rminは0.042mであった。また、酸素含有ガスとして酸素を用いた。
得られた焼成物1を洗浄した後、遠心分離機で脱水し、単離して窒素雰囲気下で250℃で乾燥することで、LiMO-1を得た。
LiMO-1の組成分析を行ったところ、組成式(V)において、m=‐0.01、n=0.17であり、元素XはCoとAlであった。
<実施例2>
実施例1で得られた混合物1を流動式焼成炉(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:デスクトップロータリーキルン)に投入し、酸素雰囲気中680℃で2時間保持して加熱し、反応物2を得た。
次いで、得られた反応物2の焼成の際、焼成温度を720℃、保持時間を4.5時間、回転筒の回転速度を0.13rad/sec、加熱領域Lの滞留時間を2.5時間、回転筒の容積に対する被処理物の充填率を13.5%、平均移動距離を38.8mとした以外は、実施例1と同じ手順でLiMO-2を得た。
LiMO-2の組成分析を行ったところ、組成式(V)において、m=0.03、n=0.11であり、元素XはCoとAlであった。
<実施例3>
実施例1で得られた混合物1を流動式焼成炉ローラーハースキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:特殊雰囲気ローラーハースキルン)にて酸素雰囲気中650℃で5時間保持して加熱し、反応物3を得た。
次いで、得られた反応物3の焼成の際、焼成温度を760℃、保持時間を1.3時間、回転筒の回転速度を0.13rad/sec、加熱領域Lの滞留時間を0.72時間、回転筒の容積に対する被処理物の充填率を7.9%、平均移動距離を14.8mとした以外は、実施例1と同じ手順でLiMO-3を得た。
LiMO-3の組成分析を行ったところ、組成式(V)において、m=0.01、n=0.11であり、元素XはCoとAlであった。
<比較例1>
実施例3で得られた反応物3をローラーハースキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:特殊雰囲気ローラーハースキルン)に投入し、反応物3の質量に対する酸素含有ガス流量の比が3.6Nm/kgになるように酸素含有ガスを供給し、720℃で6時間保持して焼成した。
得られた焼成物C1を洗浄した後、遠心分離機で脱水し、単離して窒素雰囲気下で250℃で乾燥することで、LiMO-C1を得た。
LiMO-C1の組成分析を行ったところ、組成式(V)において、m=0.01、n=0.11であり、元素XはCoとAlであった。
<比較例2>
実施例1で得られた混合物1を流動式焼成炉(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:デスクトップロータリーキルン)に投入し、表1に示す条件で焼成した。このとき、加熱領域Lの滞留時間を2.3時間、回転筒の回転速度を0.12rad/sec、回転筒の容積に対する被処理物の充填率を11.5%、平均移動距離を32.7mとし、混合物1の質量に対する酸素含有ガス流量の比が0.67Nm/kgになるように酸素含有ガスを供給した。
得られた焼成物C2を洗浄した後、遠心分離機で脱水し、単離して窒素雰囲気下で250℃で乾燥することで、LiMO-C2を得た。
LiMO-C2の組成分析を行ったところ、組成式(V)において、m=0.02、n=0.12であり、元素XはCoとAlであった。
<比較例3>
実施例3で得られた反応物3の焼成の際、焼成温度を910℃、保持時間を4.0時間、回転筒の回転速度を0.13rad/sec、加熱領域Lの滞留時間を2.2時間、回転筒の容積に対する被処理物の充填率を11.3%、平均移動距離を28.9mとした以外は、実施例1と同じ手順でLiMO-C3を得た。
LiMO-C3の組成分析を行ったところ、組成式(V)において、m=-0.02、n=0.11であり、元素XはCoとAlであった。
実施例1~2のLiMO-1~3及び比較例1~3のLiMO-C1~C3の製造条件、及び各LiMOを使用したコイン型ハーフセルのサイクル維持率を表1に示す。
Figure 0007146140000003
表1に示す通り、実施例1~3のように酸素含有雰囲気下で、温度が700-900℃である加熱領域における平均移動距離が13m以上となるように、回転筒を回転して被処理物を焼成すると、コイン型ハーフセルのサイクル維持率が86.8%以上であった。
一方で、平均移動距離が13m未満である比較例1、焼成温度が700℃未満である比較例2、焼成温度が900℃を超える比較例3では、コイン型ハーフセルのサイクル維持率が84.9%以下と低い値になった。
本発明によれば、CAMとして用いると高性能のリチウム二次電池を達成することができるLiMOの製造方法を提供することができる。
1…セパレータ、2…正極、3…負極、4…電極群、5…電池缶、6…電解液、7…トップインシュレーター、8…封口体、10…リチウム二次電池、21…正極リード、31…負極リード、50…加熱設備、51…投入口、52…排出口、53…回転筒、54…加熱手段、55…ガス供給口、56…ガス排出口、57…バルブ、58…攪拌羽根、60…被処理物、100…積層体、110…正極、111…正極活物質層、112…正極集電体、113…外部端子、120…負極、121…負極活物質層、122…負極集電体、123…外部端子、130…固体電解質層、200…外装体、200a…開口部、1000…全固体リチウム二次電池

Claims (7)

  1. 一端側に投入口を有し、他端側に排出口を有する回転筒を備えた加熱設備を用い、前記加熱設備の前記投入口から被処理物を投入することと、
    酸素含有ガスを供給しながら、前記回転筒を前記回転筒の軸心周りに回転させることにより、前記被処理物を前記排出口の方向に移動させて加熱することと、
    加熱された前記被処理物を前記排出口から排出することを含み、
    前記被処理物は、金属複合化合物とリチウム化合物との混合物、及び金属複合化合物とリチウム化合物との反応物のうちの一方を含み、
    前記加熱設備の加熱領域において、前記被処理物の層の表面を移動する前記被処理物の平均移動距離が13m以上であり、
    前記加熱領域における加熱温度が700-900℃であり、
    下記式(IV)で表される値が、0.80-1.30を満たすように前記被処理物を加熱する、リチウム金属複合酸化物の製造方法。
    1時間あたりに投入される被処理物の体積[m /hr]/1時間あたりに排出される加熱された被処理物の体積[m /hr]・・・(IV)
    1時間あたりに投入される被処理物の体積[m /hr]
    =被処理物の投入量[kg/hr]÷被処理物の平均嵩密度[kg/m ]・・・(IV-i)
    1時間あたりに排出される加熱された被処理物の体積[m /hr]
    =加熱された被処理物の排出量[kg/hr]÷加熱された被処理物の平均嵩密度[kg/m ]・・・(IV-ii)
  2. 前記被処理物の平均移動距離が15m以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記リチウム化合物が水酸化リチウムである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記被処理物の質量に対する酸素含有ガス流量の比が、0.5Nm/kg以上となるように前記回転筒内に前記酸素含有ガスを供給しながら前記被処理物を加熱する、請求項1~3の何れか1つに記載の方法。
  5. 前記排出口側から前記回転筒内に前記酸素含有ガスを供給するとともに前記投入口側から前記酸素含有ガスを排出し、さらに、前記排出口から前記酸素含有ガスが流出するのを遮断しながら、前記被処理物を連続的に加熱する、請求項1~4の何れか1つに記載の方法。
  6. 回転速度が0.003-0.5rad/secになるように前記回転筒を回転しながら、前記被処理物を加熱する、請求項1~の何れか1つに記載の方法。
  7. 前記リチウム金属複合酸化物が、組成式(V)で表される、請求項1~の何れか1つに記載の方法。
    Li[Li(Ni(1-n)1-m]O・・・(V)
    (式(V)中、Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、V、B、Si、S及びPからなる群から選択される1種以上の元素を表し、-0.1≦m≦0.2、0<n<0.7、及び0<m+n<0.8を満たす。)
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