JP6929682B2 - リチウムニッケル複合酸化物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高電圧での高い電流レートにおける出力が高いリチウムニッケル複合酸化物の製造方法を提供することを課題とする。
[1]下記一般式(I)で表されるリチウムニッケル複合酸化物の製造方法であって、リチウム化合物と、少なくともニッケルを含む複合金属化合物とを混合し混合物を得る混合工程と、前記混合物を焼成し、焼成物を得る焼成工程と、焼成物を洗浄する洗浄工程を含む後処理工程と、を有し、前記混合工程は、前記リチウム化合物に含まれるリチウムと、少なくともニッケルを含む複合金属化合物中の金属元素と、のモル比(Li/Me)が1を超える比率となるように混合し、前記後処理工程後に得られるリチウムニッケル複合酸化物中の、残留硫酸根と残留炭酸リチウムとの合計量が0.3質量%以下であり、かつナトリウムの含有量が50ppm以下となるように処理する工程を含むことを特徴とする、リチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
Li[Lix(Ni(1−y−z−w)CoyMnzMw)1−x]O2 ・・・(I)
(式(I)中、0<x≦0.2、0<y≦0.5、0<z≦0.8、0≦w≦0.1、y+z+w<1、MはFe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga及びVからなる群より選択される1種以上の金属を表す。)
[2]前記一般式(I) において、y+z+w≦0.3となる、[1]に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
[3]前記焼成工程において、焼成温度が300℃以上1000℃以下である、[1]又は[2]に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
[4]前記後処理工程において、洗浄工程後に、得られたリチウムニッケル複合酸化物を乾燥する乾燥工程を含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
[5]前記後処理工程において、洗浄工程後に、得られたリチウムニッケル複合酸化物を再焼成する再焼成工程を含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
[6]前記後処理工程において、乾燥工程後に、得られたリチウムニッケル複合酸化物を再焼成する再焼成工程を含む、[4]に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
[7]前記後処理工程において、洗浄工程後に、得られたリチウムニッケル複合酸化物とアルミニウム化合物とを混合し、リチウムニッケル複合酸化物の表面にアルミニウム化合物を被覆させる被覆工程を含む[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
[8]前記後処理工程において、乾燥工程後に、得られたリチウムニッケル複合酸化物とアルミニウム化合物とを混合し、リチウムニッケル複合酸化物の表面にアルミニウム化合物を被覆させる被覆工程を含む[4]に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
[9]前記後処理工程において、乾燥工程後に得られるリチウムニッケル複合酸化物中の、残留硫酸根と残留炭酸リチウムの合計量が0.6質量%以下であり、かつナトリウムの含有量が50ppm以下となるように処理する、[6]または[8]に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
本発明は、下記一般式(I)で表されるリチウムニッケル複合酸化物の製造方法である。本実施形態は、リチウム化合物と、少なくともニッケルを含む複合金属化合物とを混合し混合物を得る混合工程と、前記混合物を焼成し、焼成物を得る焼成工程と、焼成物を洗浄する洗浄工程を含む後処理工程と、を有する。
本実施形態において、混合工程は、リチウム化合物に含まれるリチウムと、少なくともニッケルを含む複合金属化合物中の金属元素と、のモル比(Li/Me)が1を超える比率となるように混合する。
本実施形態の製造方法により、後処理工程後に得られるリチウムニッケル複合酸化物中の、残留硫酸根と残留炭酸リチウムとの合計量が0.3質量%以下であり、かつナトリウムの含有量が50ppm以下となるように処理する工程を含む。
(式(I)中、0<x≦0.2、0<y≦0.5、0<z≦0.8、0≦w≦0.1、y+z+w<1、MはFe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga及びVからなる群より選択される1種以上の金属を表す。)
以下、本発明のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法の好ましい実施形態について説明する。
第1実施形態は、一般式(I)で表されるリチウムニッケル複合酸化物の製造方法であって、リチウム化合物と、少なくともニッケルを含む複合金属化合物とを混合し混合物を得る混合工程と、該混合物を焼成し焼成物を得る焼成工程と、該焼成物を洗浄する洗浄工程を含む後処理工程と、をこの順で有する。
以下、各工程について説明する。
混合工程は、リチウム化合物と、少なくともニッケルを含む複合金属化合物とを混合し混合物を得る工程である。本工程は、まず、リチウム化合物以外の金属、すなわち、Ni、Co及びMnから構成される必須金属、並びに、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga及びVのうちいずれか1種以上の任意金属を含む金属複合化合物を調製し、当該金属複合化合物を適当なリチウム塩と焼成することが好ましい。金属複合化合物としては、金属複合水酸化物又は金属複合酸化物が好ましい。以下に、混合工程を、ニッケル含有複合金属化合物の製造工程と、リチウム金属複合酸化物の製造工程とに分けて説明する。
ニッケル含有複合金属化合物は、通常公知のバッチ共沈殿法又は連続共沈殿法により製造することが可能である。以下、金属として、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む金属複合水酸化物を例に、その製造方法を詳述する。
上記ニッケル含有複合金属化合物又はニッケル含有複合金属水酸化物を乾燥した後、リチウム塩と混合する。乾燥条件は、特に制限されないが、例えば、ニッケル含有複合金属化合物又はニッケル含有複合金属水酸化物が酸化・還元されない条件(酸化物が酸化物のまま維持される、水酸化物が水酸化物のまま維持される)、ニッケル含有複合金属水酸化物が酸化される条件(水酸化物が酸化物に酸化される)、ニッケル含有複合金属化合物が還元される条件(酸化物が水酸化物に還元される)のいずれの条件でもよい。酸化・還元がされない条件のためには、窒素、ヘリウム及びアルゴン等の不活性ガスを使用すれば良く、ニッケル含有複合金属水酸化物が酸化される条件では、酸素又は空気を使用すれば良い。また、ニッケル含有複合金属化合物が還元される条件としては、不活性ガス雰囲気下、ヒドラジン、亜硫酸ナトリウム等の還元剤を使用すれば良い。リチウム塩としては、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウムのうち何れか一つ、または、二つ以上を混合して使用することができる。
ニッケル含有複合金属化合物又はニッケル含有複合金属水酸化物の乾燥後に、適宜分級を行ってもよい。以上のリチウム化合物とニッケル含有複合金属化合物とは、リチウム化合物中のリチウムと少なくともニッケルを含む複合金属化合物中の金属元素とのモル比(Li/Me)が1を超える比率となるように混合する。
ニッケル含有複合金属化合物及びリチウム塩の混合物を焼成することによって、リチウム−ニッケルコバルトマンガン複合酸化物が得られる。なお、焼成には、所望の組成に応じて乾燥空気、酸素雰囲気、不活性雰囲気等が用いられ、必要ならば複数の加熱工程が実施される。
Liの揮発は焼成温度により制御することができる。
焼成温度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
合計時間が1時間以上であると、結晶の発達が良好に進行し、電池性能を向上させることができる。
なお、上記の焼成の前に、仮焼成を行うことも有効である。この様な仮焼成の温度は、300〜850℃の範囲で、1〜10時間行うことが好ましい。仮焼成を行うことにより、焼成時間を短縮することができることもある。
後処理工程は、前記焼成工程で得た焼成物を洗浄する洗浄工程を含み、後処理工程後に得られるリチウムニッケル複合酸化物の残留硫酸根と残留炭酸リチウムの合計が0.3質量%以下、かつナトリウムが50ppm以下となるように後処理する工程である。
洗浄工程は、洗浄液と焼成物とを混合してスラリーを形成し、このスラリーを撹拌することによって焼成物粉末を洗浄する。その際に、洗浄液と焼成物粉末が混合したスラリーの濃度(スラリー濃度)は、特に限定されないが、Liの溶出を抑える観点から、50g/L以上に調整することが好ましく、100g/L以上に調整することがより好ましい。また、充分なハンドリング性を持たせる観点から、洗浄液と焼成物粉末が混合したスラリーの濃度(スラリー濃度)は、2000g/L以下に調整することが好ましく、1000g/L以下に調整することがより好ましい。
洗浄工程によりLiが溶出すると、リチウムニッケル複合酸化物のLi/Me、すなわちリチウムのモル比(リチウムを除く金属元素の合計量に対するリチウムのモル比)が低下するが、スラリー濃度を調整することでLi/Meの低下を制御することができる。
洗浄時間は、特に限定されないが、不純物を充分に除去する観点から、1分間以上とすることが好ましく、5分間以上とすることがより好ましい。また、生産性を高める観点から、60分間以下が好ましく、30分間以下がより好ましい。
遷移金属として硫酸塩を使用した場合には、これに起因する硫酸根が残留する場合がある。本実施形態においては、不純物としての残留硫酸根の発生源は特に限定されず、例えば硫酸塩を使用しない場合であっても、使用する各種材料に起因して、粒子表面に残留する硫黄含有化合物等も不純物に含まれるものとする。
さらに、不純物としての炭酸リチウムは、リチウム源として炭酸リチウムを使用した場合には、これに起因する残留炭酸リチウムが挙げられる。また、炭酸リチウム以外のリチウム源を使用した場合であっても、空気中の二酸化炭素と反応して生じうる炭酸リチウムも「不純物」に含まれるものとする。
また、ナトリウムは、25ppm以下となるように後処理することが好ましく、15ppm以下となるように後処理することがより好ましい。
本実施形態は、前記第1実施形態の後処理工程において、洗浄工程後にさらに乾燥工程を有する。即ち、混合工程と、焼成工程と、後処理工程(洗浄工程と、乾燥工程)とをこの順で有する。乾燥工程のリチウムニッケル複合酸化物を乾燥する温度や方法は特に限定されないが、乾燥温度は、充分に水分を除去する観点から、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。また、表面に異相が形成するのを防止する観点から、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
本実施形態は、前記第1実施形態の後処理工程において、洗浄工程後にさらに再焼成工程を有する。即ち、混合工程と、焼成工程と、後処理工程(洗浄工程と、再焼成工程)と、をこの順で有する。本実施形態における混合工程と、焼成工程と、洗浄工程に関する説明は、前記第1実施形態における説明と同様である。
リチウムニッケル複合酸化物の再焼成工程の焼成温度としては、特に制限はないが、充電容量の低下を防止できる観点から、300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましく、400℃以上であることがさらに好ましい。また、特に制限はないが、Liの揮発を防止でき、目標とする組成のリチウムニッケル複合酸化物を得る観点から、1000℃以下であることが好ましく、950℃以下であることがより好ましい。
Liの揮発は焼成温度により制御することができる。
焼成温度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
合計時間が1時間以上であると、結晶の発達が良好に進行し、電池性能を向上させることができる。
なお、上記の焼成の前に、仮焼成を行うことも有効である。この様な仮焼成の温度は、300〜850℃の範囲で、1〜10時間行うことが好ましい。
本実施形態は、前記第2実施形態の後処理工程において、乾燥工程後にさらに再焼成工程を有する。即ち、第4実施形態は混合工程と、焼成工程と、後処理工程(洗浄工程と、乾燥工程と、再焼成工程)とをこの順で有する。
本実施形態における混合工程と、焼成工程と、洗浄工程と、乾燥工程と、再焼成工程に関する説明は、前記実施形態における説明と同様である。
本実施形態は、前記第1実施形態の後処理工程において、洗浄工程後にさらに被覆工程を有する。即ち、混合工程と、焼成工程と、後処理工程(洗浄工程と、被覆工程)とをこの順で有する。本実施形態における混合工程と、焼成工程と、洗浄工程に関する説明は、前記第1実施形態における説明と同様である。
被覆材原料及びリチウムニッケル複合金属酸化物を混合して、必要に応じて熱処理することによりリチウムニッケル複合金属酸化物の二次粒子の表面に被覆層を形成し、リチウム二次電池用正極活物質が得られる。
被覆材原料は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩またはアルコキシドを用いることができ、酸化物であることが好ましい。
被覆材原料がリチウムニッケル複合金属酸化物の表面により効率的に被覆されるため、被覆材原料はリチウムニッケル複合金属酸化物の二次粒子に比べて微粒であることが好ましい。具体的には、被覆材原料の平均二次粒子径は、1μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。
本実施形態は、前記第2実施形態の後処理工程において、乾燥工程後にさらに被覆工程を有する。即ち、第6実施形態は混合工程と、焼成工程と、後処理工程(洗浄工程と、乾燥工程と、被覆工程)とをこの順で有する。本実施形態における混合工程と、焼成工程と、洗浄工程と、乾燥工程と、被覆工程に関する説明は、前記実施形態における説明と同様である。
上記本発明のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法により製造されるリチウムニッケル複合酸化物は、一般式(I)で表される。
Li[Lix(Ni(1−y−z−w)CoyMnzMw)1−x]O2 ・・・(I)
(式(I)中、0<x≦0.2、0<y≦0.5、0<z≦0.8、0≦w≦0.1、y+z+w<1、MはFe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga及びVからなる群より選択される1種以上の金属を表す。)
xの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
yの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
zの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
wの上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
被覆層は、LiとM2との金属複合酸化物を含む。M2は、Al、Ti、Zr、Wから選ばれる1種以上であり、Alであることが好ましい。更に、被覆層がアルミン酸リチウムであることが好ましく、α―アルミン酸リチウムであることがより好ましい。
本実施形態において、被覆層は、Mn、Fe、Co、及びNiからなる群から選ばれる1種以上の金属を含んでいてもよい。
本実施形態において、被覆層の組成の確認は、二次粒子断面のSTEM-EDX元素ライン分析、誘導結合プラズマ発光分析、電子線マイクロアナライザ分析などを用いることで行うことができる。被覆層の結晶構造の確認は、粉末X線回折や、電子線回折を用いて行うことができる。
リチウムニッケル複合酸化物の結晶構造は、層状構造であり、六方晶型の結晶構造又は単斜晶型の結晶構造であることがより好ましい。
リチウム二次電池用正極活物質のハンドリング性を高める観点から、リチウム金属複合酸化物粉末に含まれる炭酸リチウム成分は0.4質量%以下であることが好ましく、0.39質量%以下であることがより好ましく、0.38質量%以下であることが特に好ましい。
また、リチウム二次電池用正極活物質のハンドリング性を高める観点から、リチウム金属複合酸化物粉末に含まれる水酸化リチウム成分は0.4質量%以下であることが好ましく、0.39質量%以下であることがより好ましく、0.38質量%以下であることが特に好ましい。
次いで、リチウム二次電池の構成を説明しながら、本発明のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法により製造されるリチウムニッケル複合酸化物を用いたリチウム二次電池用正極活物質を、リチウム二次電池の正極活物質として用いた正極、およびこの正極を有するリチウム二次電池について説明する。
(正極)
本実施形態の正極は、まず正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を調整し、正極合剤を正極集電体に担持させることで製造することができる。
本実施形態の正極が有する導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量を正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率および出力特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着力、および正極合剤内部の結着力がいずれも低下し、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。
本実施形態の正極が有するバインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;を挙げることができる。
本実施形態の正極が有する正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。なかでも、加工しやすく、安価であるという点でAlを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
(負極)
本実施形態のリチウム二次電池が有する負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、および負極活物質単独からなる電極を挙げることができる。
負極が有する負極活物質としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属又は合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。
負極が有する負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を挙げることができる。なかでも、リチウムと合金を作り難く、加工しやすいという点で、Cuを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
本実施形態のリチウム二次電池が有するセパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。
本実施形態のリチウム二次電池が有する電解液は、電解質および有機溶媒を含有する。
(1)リチウム二次電池用正極活物質の評価
1 リチウム含有複合金属酸化物の組成分析、リチウム含有複合金属酸化物に存在する残留硫酸根と残留硫酸リチウムの測定
後述の方法で製造されるリチウム含有複合金属酸化物の組成分析とリチウム含有複合金属酸化物に存在する残留硫酸根と残留硫酸リチウムの測定は、得られたリチウム含有複合金属酸化物の粉末を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3000)を用いて行った。
誘導結合プラズマ発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3000)を用いて、誘導結合プラズマ発光分析法により分析した。
後述する製造方法で得られるリチウム二次電池用正極活物質と導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、リチウム二次電池用正極活物質:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製した。正極合剤の調製時には、N−メチル−2−ピロリドンを有機溶媒として用いた。
以下の操作を、乾燥空気雰囲気のグローブボックス内で行った。
「(2)リチウム二次電池用正極の作製」で作製したリチウム二次電池用正極を、コイン型電池R2032用のパーツ(宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上に積層フィルムセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルムの上に、耐熱多孔層を積層(厚み16μm))を置いた。ここに電解液を300μl注入した。電解液は、エチレンカーボネート(以下、ECと称することがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCと称することがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCと称することがある。)の30:35:35(体積比)混合液に、LiPF6を1.0mol/lとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。)を用いた。
次に、負極として金属リチウムを用いて、前記負極を積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池(コイン型ハーフセルR2032。以下、「ハーフセル」と称することがある。)を作製した。
「(3)リチウム二次電池(コイン型ハーフセル)の作製」で作製したハーフセルを用いて、以下に示す条件で充放電試験を実施した。
<放電試験>
<リチウム二次電池(コイン型ハーフセル)の作製>で作製したハーフセルを用いて、以下に示す条件で放電レート試験を実施した。放電レート試験における、3CA放電容量維持率をそれぞれ以下のようにして求めた。
試験温度25℃
充電最大電圧4.45V、充電時間8時間、充電電流0.2CA定電流定電圧充電
放電最小電圧2.5V、定電流放電
0.2CAで定電流放電させたときの放電容量と、3CAで放電させたときの放電容量とを求めることで、以下の式で求められる3CA放電容量維持率を求めた。3CA放電容量維持率が高ければ高いほど、高出力を示すことを意味する。
<3CA放電容量維持率>
3CA放電容量維持率(%)
=3CAにおける放電容量/0.2CAにおける放電容量×100
[混合工程]
1.リチウムニッケル複合酸化物1の製造
ニッケル含有金属複合化合物として、微粒子状のニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物1(Ni0.875Co0.095Mn0.02Al0.01(OH)2)を連続式共沈殿法により作製した。得られたニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物1を、電気炉を用いて、乾燥空気雰囲気下、昇温速度100℃/時間で650℃まで昇温し、650℃で5時間保持した。その後、室温まで放冷し、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物1を得た。
ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物1と、水酸化リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+Al)=1.10となるように秤量して混合した。
その後、酸素雰囲気下760℃で5時間焼成し、焼成物1を得た。
その後、下記、洗浄工程、乾燥工程、被覆工程を有する後処理工程を実施した。
焼成物1を、焼成物1に対して11質量倍の水で洗浄した。
その後、焼成物1を150℃で12時間乾燥させ、洗浄乾燥粉1を得た。
洗浄乾燥粉1と、酸化アルミニウム(日本アエロジル株式会社製アルミナC、平均一次粒子径13nm、洗浄乾燥粉1におけるNi、Co、Mn及びAlの含有量1molに対し、酸化アルミニウムのAlは0.015molである。即ち、洗浄乾燥粉1におけるNi、Co、Mn及びAlの原子比の和に対する酸化アルミニウムのAlの原子比の割合は、1.5モル%である。)を混合機で乾式混合して、混合粉末を得た。得られた粉末を、酸素雰囲気下において760℃ で10時間の焼成を行ない、リチウムニッケル複合酸化物1を得た。
洗浄乾燥粉1の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.006、y=0.093、z=0.020、w=0.009であった。
リチウムニッケル複合酸化物1の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.001、y=0.093、z=0.020、w=0.022であった。
[混合工程]
1.リチウムニッケル複合酸化物2の製造
ニッケル含有金属複合化合物として、微粒子状のニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物2(Ni0.875Co0.095Mn0.02Al0.01(OH)2)を連続式共沈殿法により作製した。得られたニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物2を、電気炉を用いて、乾燥空気雰囲気下、昇温速度100℃/時間で650℃まで昇温し、650℃で5時間保持した。その後、室温まで放冷し、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物2を得た。
ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物2と、水酸化リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+Al)=1.10となるように秤量して混合した。
その後、酸素雰囲気下760℃で5時間焼成し、焼成物2を得た。
その後、下記、洗浄工程、乾燥工程、再焼成工程を有する後処理工程を実施した。
焼成物2を、焼成物2に対して11質量倍の水で洗浄した。
その後、焼成物2を150℃で12時間乾燥させ、洗浄乾燥粉2を得た。
その後、洗浄乾燥粉2を酸素雰囲気下において760℃ で10時間焼成し、リチウムニッケル複合酸化物2を得た。
洗浄乾燥粉2の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.007、y=0.093、z=0.020、w=0.009であった。
リチウムニッケル複合酸化物2の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.007、y=0.094、z=0.020、w=0.009であった。
[混合工程]
1.リチウムニッケル複合酸化物3の製造
ニッケル含有金属複合化合物として、微粒子状のニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物3(Ni0.875Co0.095Mn0.02Al0.01(OH)2)を連続式共沈殿法により作製した。得られたニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物3を、電気炉を用いて、乾燥空気雰囲気下、昇温速度100℃/時間で650℃まで昇温し、650℃で5時間保持した。その後、室温まで放冷し、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物3を得た。
ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物3と、水酸化リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+Al)=1.15となるように秤量して混合した。
その後、酸素雰囲気下720℃で10時間焼成し、焼成物3を得た。
その後、下記、洗浄工程、乾燥工程、被覆工程を有する後処理工程を実施した。
焼成物3を、焼成物3に対して12質量倍の水で洗浄した。
その後、焼成物3を150℃で12時間乾燥させ、洗浄乾燥粉3を得た。
洗浄乾燥粉3と、酸化アルミニウム(日本アエロジル株式会社製アルミナC、平均一次粒子径13nm、洗浄乾燥粉3におけるNi、Co、Mn及びAlの含有量1molに対し、酸化アルミニウムのAlは0.015molである。即ち、洗浄乾燥粉3におけるNi、Co、Mn及びAlの原子比の和に対する酸化アルミニウムのAlの原子比の割合は、1.5モル%である。)を混合機で乾式混合して、混合粉末を得た。得られた粉末を、酸素雰囲気下において760℃ で10時間の焼成を行ない、リチウムニッケル複合酸化物3を得た。
洗浄乾燥粉3の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.030、y=0.094、z=0.020、w=0.009であった。
リチウムニッケル複合酸化物3の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.019、y=0.092、z=0.020、w=0.024であった。
[混合工程]
1.リチウムニッケル複合酸化物4の製造
ニッケル含有金属複合化合物として、微粒子状のニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物4(Ni0.875Co0.095Mn0.02Al0.01(OH)2)を連続式共沈殿法により作製した。得られたニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物4を、電気炉を用いて、乾燥空気雰囲気下、昇温速度100℃/時間で650℃まで昇温し、650℃で5時間保持した。その後、室温まで放冷し、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物4を得た。
ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物4と、水酸化リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+Al)=1.02となるように秤量して混合した。
その後、酸素雰囲気下760℃で5時間焼成し、焼成物4を得た。
その後、焼成物4を酸素雰囲気下において760℃ で10時間焼成し、リチウムニッケル複合酸化物4を得た。
リチウムニッケル複合酸化物4の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=−0.002、y=0.095、z=0.020、w=0.010であった。
[混合工程]
1.リチウムニッケル複合酸化物5の製造
ニッケル含有金属複合化合物として、微粒子状のニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物5(Ni0.855Co0.095Mn0.02Al0.03(OH)2)を連続式共沈殿法により作製した。得られたニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物5を、電気炉を用いて、乾燥空気雰囲気下、昇温速度100℃/時間で650℃まで昇温し、650℃で5時間保持した。その後、室温まで放冷し、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物5を得た。
ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物5と、水酸化リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+Al)=1.05となるように秤量して混合した。
その後、酸素雰囲気下770℃で5時間焼成し、焼成物5を得た。
焼成物5と、酸化アルミニウム(日本アエロジル株式会社製アルミナC、平均一次粒子径13nm、焼成物5におけるNi、Co、Mn及びAlの含有量1molに対し、酸化アルミニウムのAlは0.020molである。即ち、焼成物5におけるNi、Co、Mn及びAlの原子比の和に対する酸化アルミニウムのAlの原子比の割合は、2.0モル%である。)を混合機で乾式混合して、混合粉末を得た。その後、混合機雰囲気を50℃、相対湿度100%に制御し、1時間静置した。得られた粉末を、酸素雰囲気下において770℃ で5時間の焼成を行ない、リチウムニッケル複合酸化物5を得た。
リチウムニッケル複合酸化物5の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.003、y=0.092、z=0.020、w=0.047であった。
[混合工程]
1.リチウムニッケル複合酸化物6の製造
ニッケル含有金属複合化合物として、微粒子状のニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物6(Ni0.875Co0.095Mn0.02Al0.01(OH)2)を連続式共沈殿法により作製した。得られたニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物6を、電気炉を用いて、乾燥空気雰囲気下、昇温速度100℃/時間で650℃まで昇温し、650℃で5時間保持した。その後、室温まで放冷し、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物6を得た。
ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物6と、水酸化リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+Al)=1.10となるように秤量し、かつジェットミルで粉砕した酸化タングステン(リチウムニッケル複合酸化物6におけるNi、Co、Mn及びAlの含有量1molに対し、酸化タングステンのWは0.004molである。即ち、リチウムニッケル複合酸化物6におけるNi、Co、Mn及びAlの原子比の和に対する酸化タングステンのWの原子比の割合は、0.4モル%である。)を秤量して混合した。
その後、酸素雰囲気下760℃で5時間焼成し、焼成物6を得た。
その後、下記、洗浄工程、乾燥工程、被覆工程を有する後処理工程を実施した。
焼成物6を、焼成物6に対して12質量倍の水で洗浄した。
その後、焼成物6を150℃で12時間乾燥させ、洗浄乾燥粉6を得た。
洗浄乾燥粉6と、酸化アルミニウム(日本アエロジル株式会社製アルミナC、平均一次粒子径13nm、洗浄乾燥粉6におけるNi、Co、Mn及びAlの含有量1molに対し、酸化アルミニウムのAlは0.015molである。即ち、洗浄乾燥粉6におけるNi、Co、Mn及びAlの原子比の和に対する酸化アルミニウムのAlの原子比の割合は、1.5モル%である。)を混合機で乾式混合して、混合粉末を得た。得られた粉末を、酸素雰囲気下において760℃ で10時間の焼成を行ない、リチウムニッケル複合酸化物6を得た。
洗浄乾燥粉6の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=−0.008、y=0.093、z=0.021、w=0.009であった。
リチウムニッケル複合酸化物6の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=−0.016、y=0.093、z=0.021、w=0.023であった。
[混合工程]
1.リチウムニッケル複合酸化物7の製造
ニッケル含有金属複合化合物として、微粒子状のニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物7(Ni0.875Co0.095Mn0.02Al0.01(OH)2)を連続式共沈殿法により作製した。得られたニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合水酸化物7を、電気炉を用いて、乾燥空気雰囲気下、昇温速度100℃/時間で650℃まで昇温し、650℃で5時間保持した。その後、室温まで放冷し、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物7を得た。
ニッケルコバルトマンガンアルミニウム複合酸化物7と、水酸化リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+Al)=1.10となるように秤量し、かつジェットミルで粉砕した酸化タングステン(リチウムニッケル複合酸化物7におけるNi、Co、Mn及びAlの含有量1molに対し、酸化タングステンのWは0.004molである。即ち、リチウムニッケル複合酸化物7におけるNi、Co、Mn及びAlの原子比の和に対する酸化タングステンのWの原子比の割合は、0.4モル%である。)を秤量して混合した。
その後、酸素雰囲気下760℃で5時間焼成し、焼成物7を得た。
その後、下記、洗浄工程、乾燥工程、被覆工程を有する後処理工程を実施した。
焼成物7を、焼成物7に対して22質量倍の水で洗浄した。
その後、焼成物7を150℃で12時間乾燥させ、洗浄乾燥粉7を得た。
焼成物7と、酸化アルミニウム(日本アエロジル株式会社製アルミナC、平均一次粒子径13nm、洗浄乾燥粉7におけるNi、Co、Mn及びAlの含有量1molに対し、酸化アルミニウムのAlは0.015molである。即ち、洗浄乾燥粉7におけるNi、Co、Mn及びAlの原子比の和に対する酸化アルミニウムのAlの原子比の割合は、1.5モル%である。)を混合機で乾式混合して、混合粉末を得た。得られた粉末を、酸素雰囲気下において760℃ で10時間の焼成を行ない、リチウムニッケル複合酸化物7を得た。
洗浄乾燥粉7の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=−0.011、y=0.094、z=0.021、w=0.009であった。
リチウムニッケル複合酸化物7の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=−0.019、y=0.093、z=0.021、w=0.024であった。
下記表1中、「再焼成または被覆工程後」とは、上記リチウムニッケル複合酸化物1〜7を分析した結果を意味する。
これに対し、本発明を適用しない比較例1〜4により製造したリチウムニッケル複合酸化物は、高電圧での高い電流レートにおける出力が低かった。また、洗浄工程を含む後処理工程を行わなかった比較例1〜2は、不純物が多いため高電圧での高い電流レートにおける出力が低下したと推察される。比較例3〜4は、洗浄工程を含む後処理工程を行ったものの、過洗浄によりリチウムが溶出したため、高電圧での高い電流レートにおける出力が低下したと推察される。
Claims (9)
- 下記一般式(I)で表されるリチウムニッケル複合酸化物の製造方法であって、
リチウム化合物と、少なくともニッケルを含む複合金属化合物とを混合し混合物を得る混合工程と、
前記混合物を焼成し、焼成物を得る焼成工程と、
焼成物を洗浄する洗浄工程を含む後処理工程と、を有し、
前記混合工程は、前記リチウム化合物に含まれるリチウムと、少なくともニッケルを含む複合金属化合物中の金属元素と、のモル比(Li/Me)が1を超える比率となるように混合し、
前記後処理工程後に得られるリチウムニッケル複合酸化物中の、残留硫酸根と残留炭酸リチウムとの合計量が0.3質量%以下であり、かつナトリウムの含有量が50ppm以下となるように処理する工程を含むことを特徴とする、リチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
Li[Lix(Ni(1−y−z−w)CoyMnzMw)1−x]O2 ・・・(I)
(式(I)中、0<x≦0.2、0<y≦0.5、0<z≦0.8、0≦w≦0.1、y+z+w<1、MはFe、Cu、Ti、Mg、Al、W、B、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga及びVからなる群より選択される1種以上の金属を表す。) - 前記一般式(I) において、y+z+w≦0.3となる、請求項1に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
- 前記焼成工程において、焼成温度が300℃以上1000℃以下である、請求項1又は2に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
- 前記後処理工程において、洗浄工程後に、得られたリチウムニッケル複合酸化物を乾燥する乾燥工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
- 前記後処理工程において、洗浄工程後に、得られたリチウムニッケル複合酸化物を再焼成する再焼成工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
- 前記後処理工程において、乾燥工程後に、得られたリチウムニッケル複合酸化物を再焼成する再焼成工程を含む、請求項4に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
- 前記後処理工程において、洗浄工程後に、得られたリチウムニッケル複合酸化物とアルミニウム化合物とを混合し、リチウムニッケル複合酸化物の表面にアルミニウム化合物を被覆させる被覆工程を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
- 前記後処理工程において、乾燥工程後に、得られたリチウムニッケル複合酸化物とアルミニウム化合物とを混合し、リチウムニッケル複合酸化物の表面にアルミニウム化合物を被覆させる被覆工程を含む請求項4に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
- 前記後処理工程において、乾燥工程後に得られるリチウムニッケル複合酸化物中の、残留硫酸根と残留炭酸リチウムの合計量が0.6質量%以下であり、かつナトリウムの含有量が50ppm以下となるように処理する、請求項6または8に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
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