JP7284244B1 - リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】初期放電容量が高く、繰り返し充放電を行っても放電容量が低下し難いリチウム二次電池を得ることができるリチウム二次電池用正極活物質の提供。【解決手段】層状構造を有するリチウム金属複合酸化物を含む複数の粒子を含有し、リチウム金属複合酸化物は、少なくともLi、Ni、Al及び元素Mを含有し、下記(1)及び(2)の条件を満たす、リチウム二次電池用正極活物質。(1)複数の粒子の表面をSEM-EDXで測定することで粒子毎に得られる、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R1について、複数の粒子における割合R1の相対標準偏差は、28.5より大きく70以下である。(2)複数の粒子の断面をSEM-EDXで測定することで粒子毎に得られる、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R2について、複数の粒子における割合R2の相対標準偏差は、13より大きく50以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池用正極活物質は、リチウム金属複合酸化物を含んでいる。リチウム金属複合酸化物としては、Ni、Co及びAl等の金属元素とLiとを含む複合金属酸化物が広く利用されている。リチウム二次電池の充放電を行うと、リチウム二次電池用正極活物質の粒子表面でリチウムイオンが脱離及び挿入される。そのため、リチウム二次電池用正極活物質の粒子の表面状態及び構造を制御し、リチウム二次電池の性能を向上する試みが行われている。
例えば特許文献1は、リチウムニッケル複合酸化物の粒子からなる正極活物質であって、リチウムニッケル複合酸化物からなる中心部と、中心部の表面に形成され、アルミニウムを含む化合物からなる被覆層とを有する正極活物質を開示している。被覆層は、走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析法で測定されるAl濃度が2質量%以上であることが開示されている。
JP-A-2017-188211
特許文献1のリチウム二次電池用正極活物質は、高容量で、初期充放電効率のよいリチウム二次電池を達成することを目的としている。しかしながら、リチウム二次電池用正極活物質は、リチウム二次電池の初期放電容量及び繰り返し充放電性能の観点から更なる改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、初期放電容量が高く、繰り返し充放電を行っても放電容量が低下し難いリチウム二次電池を得ることができるリチウム二次電池用正極活物質、及びこれを用いたリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]層状構造を有するリチウム金属複合酸化物を含む複数の粒子を含有するリチウム二次電池用正極活物質であって、
前記リチウム金属複合酸化物は、少なくともLi、Ni、Al及び元素Mを含有し、
前記元素Mは、Co,Mn,Fe,Cu,Ti,Mg,W,Mo,Nb,Zn,Sn,Zr,Ga,V,B,Si,S及びPからなる群より選択される1種以上の元素であり、
下記(1)及び(2)の条件を満たす、リチウム二次電池用正極活物質。
(1)前記複数の粒子の表面を走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法で測定することで粒子毎に得られる、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R1について、前記複数の粒子における割合R1の相対標準偏差は、28.5より大きく70以下である。
(2)前記複数の粒子の断面を前記走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法で測定することで粒子毎に得られる、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R2について、前記複数の粒子における割合R2の相対標準偏差は、13より大きく50以下である。
[2]前記割合R1が10atomic%以下の粒子の個数の割合が、前記複数の粒子の総数に対して99%以上である、[1]に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
[3]前記割合R2が10atomic%以下の粒子の個数の割合が、前記複数の粒子の総数に対して88%以上である、[1]又は[2]に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
[4]前記正極活物質の50%累積体積粒度が5-20μmである、[1]~[3]の何れか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質。
[5]前記正極活物質の10%累積体積粒度に対する90%累積体積粒度の比が3以下である、[1]~[4]の何れか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質。
[6]前記リチウム二次電池用正極活物質の組成式が、式(A)で表される、[1]~[5]の何れか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質。
Li[Li(Ni(1-x-y)Al1-m]O ・・・(A)
(式A中、Mは、Co,Mn,Fe,Cu,Ti,Mg,W,Mo,Nb,Zn,Sn,Zr,Ga,V,B,Si,S及びPからなる群より選択される1種以上の元素であり、-0.1≦m≦0.2、0<x≦0.5及び0<y<0.5を満たす。)
[7]前記正極活物質のCuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=44.1±1°の範囲内の回折ピーク強度高さ(H2)に対する2θ=18.5±1°の範囲内の回折ピーク強度高さ(H1)の比(H1/H2)が、1.5以上1.6以下であることを特徴とする、[1]~[6]の何れか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質。
[8][1]~[7]の何れか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用正極。
[9][8]に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
本発明によれば、初期放電容量が高く、繰り返し充放電を行っても放電容量が低下し難いリチウム二次電池を得ることができるリチウム二次電池用正極活物質、及びこれを用いたリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供することができる。
リチウム二次電池の一例を示す概略構成図である。 本実施形態の全固体リチウム二次電池の全体構成を示す模式図である。
以下、本発明の一態様におけるリチウム二次電池用正極活物質について説明する。以下の複数の実施形態では、好ましい例や条件を共有してもよい。また、本明細書において、各用語を以下に定義する。
本願明細書において、金属複合化合物(Metal Composite Compound)を以下「MCC」と称し、リチウム金属複合酸化物(Lithium Metal composite Oxide)を以下「LiMO」と称し、リチウム二次電池用正極活物質(Cathode Active Material for lithium secondary batteries)を以下「CAM」と称す。
「Ni」とは、ニッケル金属ではなく、ニッケル原子を指す。「Li」及び「Al」等も同様に、それぞれリチウム原子及びアルミニウム原子等を指す。
数値範囲を例えば「1-10μm」又は「1~10μm」と記載した場合、1μmから10μmまでの範囲を意味し、下限値である1μmと上限値である10μmを含む数値範囲を意味する。
「累積体積粒度」は、レーザー回折散乱法によって測定される値である。具体的には、測定対象、例えばCAMの粉末0.1gを、0.2質量%ヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液50mlに投入し、前記粉末を分散させた分散液を得る。次に、得られた分散液についてレーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、マルバーン社製、マスターサイザー2000)を用いて、粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得る。得られた累積粒度分布曲線において、微小粒子側から10%累積時の粒子径の値が10%累積体積粒度(以下、D10と記載することがある)(μm)であり、微小粒子側から50%累積時の粒子径の値が50%累積体積粒度(以下、D50と記載することがある)(μm)であり、微小粒子側から90%累積時の粒子径の値が90%累積体積粒度(以下、D90と記載することがある)(μm)である。
「CAMの組成分析」は、以下の方法で分析される。例えば、CAMの粉末を塩酸に溶解させた後、ICP発光分光分析装置を用いて測定する。ICP発光分光分析装置としては、例えば株式会社パーキンエルマー製、Optima7300を使用できる。
本実施形態において、走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法を「SEM-EDX」と記載する。走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光装置としては、例えば、EDX検出器としてOxford Instrumonts社のX-Max 150を搭載したショットキー電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、製品名JSM-7900F)を使用できる。
LiMOの結晶構造は、CuKαを線源とし、かつ回折角2θの測定範囲を10°以上90°以下とするCAMの粉末X線回折測定を行うことで算出できる。具体的には、粉末X線回折測定装置(例えば、株式会社リガク製UltimaIV)を用いて観察することにより確認できる。2θ=44.4±1°の範囲内の回折ピーク強度高さ(H2)に対する2θ=18.5±1°の範囲内の回折ピーク強度高さ(H1)の比(H1/H2)は、X線回折装置を用いてCAMの粉末X線回折測定を行い、該当する回折ピークを解析ソフトウェア(例えば、統合粉末X線解析ソフトウェアJADE)により解析することで得ることができる。
「初期放電容量」とは、以下の条件で充放電を行って測定した値を意味する。リチウム二次電池を、25℃において4.3Vまで0.2CAで定電流充電してから4.3Vで定電圧充電する定電流定電圧充電を5時間行った後、2.5Vまで0.2CAで放電する定電流放電を行う。放電容量を測定し、得られた値を「初期放電容量」(mAh/g)とする。
「50回目放電容量維持率」とは、以下に示す条件で充放電サイクルを50回繰り返す試験を行って測定した値を意味する。
リチウム二次電池を、上述の条件で初期充放電を行う。初期充放電後、初期充放電と同じ温度と電圧条件で、1CAで充放電を繰り返す。その後、50サイクル目の放電容量(mAh/g)を測定する。初期放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合を、50回目放電容量維持率(%)とする。
本明細書において、50回目放電容量維持率が大きいリチウム二次電池は、繰り返し充放電を行っても放電容量が低下し難いことを意味し、サイクル特性がよいと記載することがある。
<リチウム二次電池用正極活物質>
本実施形態のCAMは、層状構造を有するLiMOを含む複数の粒子を含有し、LiMOは、少なくともLi、Ni、Al及び元素Mを含有し、元素Mは、Co,Mn,Fe,Cu,Ti,Mg,W,Mo,Nb,Zn,Sn,Zr,Ga,V,B,Si,S及びPからなる群より選択される1種以上の元素であり、下記(1)及び(2)の条件を満たす。
(1)複数の粒子の表面をSEM-EDXで測定することで粒子毎に得られる、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R1について、複数の粒子における割合R1の相対標準偏差は、28.5より大きく70以下である。
(2)複数の粒子の断面をSEM-EDXで測定することで粒子毎に得られる、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R2について、複数の粒子における割合R2の相対標準偏差は、13より大きく50以下である。
本実施形態におけるCAMは、複数の粒子からなる。言い換えれば、本実施形態におけるCAMは、粉末状である。本実施形態において、複数の粒子の集合体は、二次粒子のみを含んでいてもよく、一次粒子と二次粒子の混合物であってもよい。
本実施形態において、「二次粒子」とは、前記一次粒子が凝集している粒子である。即ち、二次粒子は、一次粒子の凝集体である。
本実施形態のCAMは、(1)及び(2)を満たす。
(1)複数の粒子の表面をSEM-EDXで測定することで粒子毎に得られる、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R1について、複数の粒子における割合R1の相対標準偏差は、28.5より大きく70以下である。
(2)複数の粒子の断面をSEM-EDXで測定することで粒子毎に得られる、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R2について、複数の粒子における割合R2の相対標準偏差は、13より大きく50以下である。
CAMが(1)及び(2)を満たしているかは、CAMの表面及び断面をSEM-EDXで分析することで確認できる。
本明細書において、割合R1を算出するための粒子表面の測定範囲は、粒子の最表面からSEM-EDXにより加速電圧15kVで測定できる深さまでの範囲と規定する。同様に、割合R2を算出するための粒子断面の測定範囲は、後述の方法で作製された粒子断面の最表面からSEM-EDXにより加速電圧15kVで測定できる深さまでの範囲と規定する。
<SEM-EDX分析>
粒子表面を加速電圧15kV、分解能119nmでSEM-EDXで分析する。解析対象粒子である粒子は、円相当径5μm以上である粒子100個以上であればよい。解析対象粒子のそれぞれについて、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R1を算出し、全解析対象粒子の割合R1の相対標準偏差を算出する。
粒子の断面は、以下の方法で準備する。まず、粒子固定用樹脂に粒子を分散させる。その後、真空脱気し、得られた生成物をアルミニウム板に挟み硬化させる。これにより、粒子を含む樹脂の硬化物が得られる。
硬化物を試料台に固定し、断面試料作製装置(クロスセクションポリッシャともいう、例えば、JEOL社製、IB-19520CCP)にセットする。イオン加速電圧6.0kVでアルゴンイオンビーム加工し、粒子の断面を作製する。
粒子断面を加速電圧15kV、分解能60nmでSEM-EDXで分析する。解析対象粒子である粒子は、円相当径5μm以上である粒子100個以上であればよい。解析対象粒子のそれぞれについて、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R2を算出し、全解析対象粒子の割合R2の相対標準偏差を算出する。
LiMOがAlを含むと粒子の構造安定化の観点から正極活物質の性能が向上する。そのため、LiMOは、Alを含むことが好ましい。しかしながら、正極活物質の性能が向上する程度にAlを含むLiMOは、その製造工程、具体的には後述する本焼成工程においてAlが偏析しやすい。Alが過剰に偏析すると、Liイオンの拡散を阻害し、初期放電容量が低下する傾向にある。また、Alの偏析を抑えるためにLiMOのAl含有量を下げ過ぎたり、本焼成後のLiMOを過剰に洗浄したりすると、サイクル維持率が低下する傾向にある。
本実施形態では、CAMに含まれるAlの偏析量を適切に制御することで、リチウム二次電池の初期放電容量及びサイクル維持率の両方を向上できる。後述する製造方法によりAlの偏析量を制御すると、CAMの粒子間での粒子表面におけるAl原子の割合のばらつき及び粒子内部、つまり粒子断面におけるAl原子の割合のばらつきが制御される。即ち、割合R1及びR2の相対標準偏差は、以下の範囲に含まれるCAMは、リチウム二次電池の初期放電容量及びサイクル維持率の両方を向上できる。
複数の粒子の割合R1の相対標準偏差は、28.5より大きく70以下であり、28.6-60.0であることが好ましく、30.0-50.0であることがより好ましく、35.0-50.0であることがさらに好ましい。割合R1の相対標準偏差が28.5より大きいと、Al原子がCAMに十分含まれており、リチウム二次電池のサイクル特性が向上する。割合R1の相対標準偏差が70以下であると、Al偏析によるLiイオンの拡散阻害が抑制され、初期放電容量が向上する。
複数の粒子の割合R2の相対標準偏差は、13.0より大きく50.0以下であり、15.0-40.0であることが好ましく、17.0-35.0であることがより好ましく、18.0-30.0であることがさらに好ましい。割合R2の相対標準偏差が13.0より大きいと、Al原子がCAMに十分含まれており、リチウム二次電池のサイクル特性が向上する。割合R2の相対標準偏差が50以下であると、Al偏析によるLiイオンの拡散阻害が抑制され、初期放電容量が向上する。
割合R1及びR2が上記範囲に含まれると、Al偏析部が分散して存在する粒子が多く含まれるといえる。上述のSEM-EDXによる測定において、測定対象となる粒子表面及び断面は、任意に選択される。そのため、Al偏析部が分散して存在する粒子が多く含まれる場合、測定対象面毎のAl原子の割合は、ばらつきが少ない傾向にある。一方で、Al偏析部に偏りがある場合、Al偏析部を多く含む測定対象面と、Al偏析部をほとんど含まない測定対象面とが存在し得る。そのため、測定対象面毎のAl原子の割合にばらつきが生じやすい。
複数の粒子の総数に対する、割合R1が10atomic%以下の粒子の個数の割合(以下、割合aと記載することがある。)は、99%以上であることが好ましく、99.5-100%がより好ましく、99.9-100%がさらに好ましい。割合aが99%以上であると、粒子間の粒子表面における組成のばらつきが小さくなるため、初期放電容量が高くなりやすい。
複数の粒子の総数に対する、割合R2が10atomic%以下の粒子の個数の割合(以下、割合bと記載することがある。)は、88%以上であることが好ましく、90-100%がより好ましく、99-100%がさらに好ましい。割合bが99%以上であると、粒子間の粒子内部における組成のばらつきが小さくなるため、初期放電容量が高くなりやすい。
CAMのD50は、5.0-20μmであることが好ましく、5.0-17μmがより好ましく、5.0-15μmがさらに好ましい。CAMのD50が5.0-20μmであると、サイクル特性が向上しやすい。
CAMのD90/D10は、3以下であることが好ましく、2-3がより好ましく、2.55-2.98がさらに好ましい。CAMのD90/D10が3以下であると、放電容量が高くなる。CAMのD90/D10が2.98以下であると、サイクル特性が良好である。
CAMに含まれるLiMOは、少なくともLi、Ni、Al及びMを含む金属酸化物であり、CAMは、組成式(A)で表される。
Li[Li(Ni(1-x-y)Al1-m]O ・・・(A)
(式A中、Mは、Co,Mn,Fe,Cu,Ti,Mg,W,Mo,Nb,Zn,Sn,Zr,Ga,V,B,Si,S及びPからなる群より選択される1種以上の元素であり、-0.1≦m≦0.2、0<x≦0.5及び0<y<0.5を満たす。)
サイクル特性に優れるリチウム二次電池を得る観点から、前記式(A)におけるmは、-0.1以上であり、-0.05以上であることがより好ましく、0を超えることがさらに好ましい。また、初回クーロン効率がより高いリチウム二次電池を得る観点から、前記式(A)におけるmは、0.2以下であり、0.08以下であることが好ましく、0.06以下であることがより好ましい。
mの上限値と下限値は、任意に組み合わせることができる。組み合わせとしては、例えば、mが-0.1~0.2、0を超え0.2以下、-0.05~0.08、0を超え0.06以下等であることが挙げられる。
電池の内部抵抗が低いリチウム二次電池を得る観点から、前記式(A)におけるxは、0より大きく、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましい。前記式(A)におけるxは0.5以下であり、0.3以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。
xの上限値と下限値は、任意に組み合わせることができる。組み合わせとしては、例えば、0.01~0.3、0.02~0.3、0.02~0.1等であることが挙げられる。
電池の内部抵抗が低いリチウム二次電池を得る観点から、前記式(A)におけるyは、0より大きく、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。前記式(A)におけるyは0.5未満であり、0.3以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。
yの上限値と下限値は、任意に組み合わせることができる。組み合わせとしては、例えば、0.03~0.5、0.03~0.3、0.05~0.1等であることが挙げられる。
また、電池容量が大きいリチウム二次電池を得る観点から、本実施形態においては、前記式(A)におけるx+yは、0を超え0.50以下が好ましく、0を超え0.48以下がより好ましく、0を超え0.46以下がさらに好ましい。
サイクル維持率が高いリチウム二次電池を得る観点から、Mは、Mn、W、B、Nb、及びZrからなる群より選択される1種以上の金属であることが好ましい。
CAMの粉末X線回折測定(XRD)において、2θ=44.4±1°の範囲内の回折ピーク強度高さ(H2)に対する2θ=18.5±1°の範囲内の回折ピーク強度高さ(H1)の比(H1/H2)が、1.5以上1.6以下であることが好ましく、1.51以上1.59以下であることがより好ましい。比(H1/H2)が、1.5以上1.6以下であると、初期放電容量及びサイクル効率が高くなる傾向がある。
LiMOの結晶構造は、層状構造であり、六方晶型の結晶構造又は単斜晶型の結晶構造であることがより好ましい。
六方晶型の結晶構造は、P3、P3、P3、R3、P-3、R-3、P312、P321、P312、P321、P312、P321、R32、P3m1、P31m、P3c1、P31c、R3m、R3c、P-31m、P-31c、P-3m1、P-3c1、R-3m、R-3c、P6、P6、P6、P6、P6、P6、P-6、P6/m、P6/m、P622、P622、P622、P622、P622、P622、P6mm、P6cc、P6cm、P6mc、P-6m2、P-6c2、P-62m、P-62c、P6/mmm、P6/mcc、P6/mcm、及びP6/mmcからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
また、単斜晶型の結晶構造は、P2、P2、C2、Pm、Pc、Cm、Cc、P2/m、P2/m、C2/m、P2/c、P2/c、及びC2/cからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
これらのうち、放電容量が高いリチウム二次電池を得るため、結晶構造は、空間群R-3mに帰属される六方晶型の結晶構造、又はC2/mに帰属される単斜晶型の結晶構造であることが特に好ましい。
<CAMの製造方法>
CAMの製造方法について説明する。CAMの製造方法は、MCCの製造、MCCとリチウム化合物との混合、MCCとリチウム化合物との混合物の仮焼成、仮焼成により得られた反応物の本焼成、及び洗浄を少なくとも含んでいる。
(1)MCCの製造
MCCは、金属複合水酸化物、金属複合酸化物、及びこれらの混合物のいずれであってもよい。金属複合水酸化物及び金属複合酸化物は、一例として下記式(A’)で表されるモル比率で、Ni及びXを含み、下記式(A’’)で表される。
Ni:Al:M=(1-x-y):x:y (A’)
Ni(1-x-y)Alα(OH)2-β (A’’)
(式(A’)及び式(A’’)中、Mは、Co,Mn,Fe,Cu,Ti,Mg,W,Mo,Nb,Zn,Sn,Zr,Ga,V,B,Si,S及びPからなる群より選択される1種以上の元素であり、0<x≦0.5及び0<y<0.5を満たす。式(A’’)は、0≦α≦3、-0.5≦β≦2及びβ-α<2を満たす。)
以下、Ni、Al及びCoを含むMCCの製造方法を一例として説明する。まず、Ni、Al及びCoを含む金属複合水酸化物を調製する。金属複合水酸化物は、通常公知のバッチ式共沈殿法又は連続式共沈殿法により製造することが可能である。
具体的には、JP-A-2002-201028に記載された連続式共沈殿法により、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、アルミニウム塩溶液及び錯化剤を反応させ、Ni(1-x-y)Al(OH)で表される金属複合水酸化物を製造する。
ニッケル塩溶液の溶質であるニッケル塩としては、特に限定されないが、例えば硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及び酢酸ニッケルのうちの少なくとも1種を使用することができる。
アルミニウム塩溶液の溶質であるアルミニウム塩としては、例えば硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム及び酢酸アルミニウムのうちの少なくとも1種を使用することができる。
コバルト塩溶液の溶質であるコバルト塩としては、例えば硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト及び酢酸コバルトのうちの少なくとも1種を使用することができる。
以上の金属塩は、上記Ni(1-x-y)Al(OH)の組成比に対応する割合で用いられる。すなわち、上記金属塩を含む混合溶液中におけるNi、Al及びCoのモル比が、式(A’)の(1-x-y):x:yと対応するように各金属塩の量を規定する。また、溶媒として水が使用される。
錯化剤としては、水溶液中で、ニッケルイオン、アルミニウムイオン及びコバルトイオンと錯体を形成可能なものであり、例えばアンモニウムイオン供給体(水酸化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、又は弗化アンモニウム等)、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸及びウラシル二酢酸及びグリシンが挙げられる。
金属複合水酸化物の製造工程において、錯化剤は、用いられてもよく、用いられなくてもよい。錯化剤が用いられる場合、ニッケル塩溶液、アルミニウム塩溶液、コバルト塩溶液及び錯化剤を含む混合液に含まれる錯化剤の量は、例えば金属塩(ニッケル塩、アルミニウム塩及びコバルト塩)のモル数の合計に対するモル比が0より大きく2.0以下である。
共沈殿法に際しては、ニッケル塩溶液、アルミニウム塩溶液、コバルト塩溶液及び錯化剤を含む混合液のpH値を調整するため、混合液のpHがアルカリ性から中性になる前に、混合液にアルカリ金属水酸化物を添加する。アルカリ金属水酸化物とは、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
なお、本明細書におけるpHの値は、混合液の温度が40℃の時に測定された値であると定義する。混合液のpHは、反応槽からサンプリングした混合液の温度が、40℃になったときに測定する。サンプリングした混合液が40℃未満である場合には、混合液を40℃まで加温してpHを測定する。サンプリングした混合液が40℃を超える場合には、混合液を40℃まで冷却してpHを測定する。
上記ニッケル塩溶液、アルミニウム塩溶液、及びコバルト塩溶液のほか、錯化剤を反応槽に連続して供給すると、Ni、Co及びAlが反応し、Ni(1-x-y)AlCo(OH)が生成する。
反応に際しては、反応槽の温度を、例えば20-80℃、好ましくは30-70℃の範囲内で制御する。
また、反応に際しては、反応槽内のpH値を、例えば水溶液の温度が40℃の時に、9-13、好ましくは10-12.5の範囲内で設定し、pHは±0.5以内で制御する。
連続式共沈殿法で用いる反応槽は、形成された反応沈殿物を分離するためオーバーフローさせるタイプの反応槽を用いることができる。
バッチ式共沈殿法により金属複合水酸化物を製造する場合、反応槽としては、オーバーフローパイプを備えない反応槽、及びオーバーフローパイプに連結された濃縮槽を備え、オーバーフローした反応沈殿物を濃縮槽で濃縮し、再び反応槽へ循環させる機構を有する装置等が挙げられる。
各種気体、例えば、窒素、アルゴン又は二酸化炭素等の不活性ガス、空気又は酸素等の酸化性ガス、又はそれらの混合ガスを反応槽内に供給してもよい。
反応槽に供給する金属塩の濃度、反応温度、反応pH等を適宜制御することにより、MCCのD50及びD90/D10、最終的に得られるCAMのD50及びD90/D10を本実施形態の範囲に制御することができる。
以上の反応後、中和された反応沈殿物を単離する。単離には、例えば反応沈殿物を含むスラリー(つまり、共沈物スラリー)を遠心分離や吸引ろ過などで脱水する方法が用いられる。
単離された反応沈殿物を洗浄、脱水、乾燥及び篩別し、Ni、Al及びCoを含む金属複合水酸化物が得られる。
反応沈殿物の洗浄は、水又はアルカリ性洗浄液で行うことが好ましい。本実施形態においては、アルカリ性洗浄液で洗浄することが好ましく、水酸化ナトリウム水溶液で洗浄することがより好ましい。また、硫黄元素を含有する洗浄液を用いて洗浄してもよい。硫黄元素を含有する洗浄液としては、カリウムやナトリウムの硫酸塩水溶液等が挙げられる。
MCCが金属複合酸化物である場合、金属複合水酸化物を加熱して金属複合酸化物を製造する。具体的には、金属複合水酸化物を400-700℃で加熱する。必要ならば複数の加熱工程を実施してもよい。本明細書における加熱温度とは、加熱装置の設定温度を意味する。複数の加熱工程を有する場合、各加熱工程のうち、最高保持温度で加熱した際の温度を意味する。
加熱温度は、400-700℃であることが好ましく、450-680℃であることがより好ましい。加熱温度が400-700℃であると、金属複合水酸化物が十分に酸化され、かつ適切な範囲のBET比表面積を有する金属複合酸化物が得られる。加熱温度が400℃未満であると、金属複合水酸化物が十分に酸化されないおそれがある。加熱温度が700℃を超えると、金属複合水酸化物が過剰に酸化され、金属複合酸化物のBET比表面積が小さくなり過ぎるおそれがある。
前記加熱温度で保持する時間は、0.1-20時間が挙げられ、0.5-10時間が好ましい。前記加熱温度までの昇温速度は、例えば、50-400℃/時間である。また、加熱雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガスを用いることができる。
加熱装置内は、適度な酸素含有雰囲気であってもよい。酸素含有雰囲気は、不活性ガスと酸化性ガスとの混合ガス雰囲気であってもよく、不活性ガス雰囲気下で酸化剤を存在させた状態であってもよい。加熱装置内が適度な酸素含有雰囲気であることにより、金属複合水酸化物に含まれる遷移金属が適度に酸化され、金属複合酸化物の形態を制御しやすくなる。
酸素含有雰囲気中の酸素や酸化剤は、遷移金属を酸化させるために十分な酸素原子が存在すればよい。
酸素含有雰囲気が不活性ガスと酸化性ガスとの混合ガス雰囲気である場合、加熱装置内の雰囲気の制御は、加熱装置内に酸化性ガスを通気させる又は混合液に酸化性ガスをバブリングするなどの方法で行うことができる。
酸化剤として、過酸化水素などの過酸化物、過マンガン酸塩などの過酸化物塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、硝酸、ハロゲン又はオゾンなどを使用できる。
(2)MCCとリチウム化合物との混合
本工程は、リチウム化合物とMCCとを混合し、混合物を得る工程である。
前記MCCを乾燥させた後、リチウム化合物と混合する。MCCの乾燥後に、適宜分級を行ってもよい。
本実施形態に用いるリチウム化合物は、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、塩化リチウム及びフッ化リチウムの少なくとも何れか一つを使用することができる。これらの中では、水酸化リチウム及び炭酸リチウムのいずれか一方又はその混合物が好ましい。また、水酸化リチウムが炭酸リチウムを含む場合には、水酸化リチウム中の炭酸リチウムの含有量は、5質量%以下であることが好ましい。
リチウム化合物とMCCとを、最終目的物の組成比を勘案して混合し、混合物を得る。具体的には、リチウム化合物とMCCは、上記組成式(A)の組成比に対応する割合で混合する。MCCに含まれる金属原子の合計量1に対するLiの量(モル比)は、1.00以上が好ましく、1.02以上がより好ましく、1.05以上がさらに好ましい。リチウム化合物とMCCの混合物を、後に説明するように焼成することによって、焼成物が得られる。
(3)混合物の仮焼成
MCCとリチウム化合物との混合物は、仮焼成され、反応物が形成される。本実施形態において仮焼成とは、後述の本焼成における焼成温度(後述の焼成工程が複数の焼成段階を有する場合は、最も低い温度で実施される焼成段階における焼成温度)よりも低い温度で焼成することである。仮焼成時の焼成温度は、例えば400℃以上700℃未満の範囲が挙げられる。仮焼成は、複数回行ってもよい。
仮焼成の温度は、例えば400℃以上700℃未満であることが好ましく、500-695℃であることがより好ましく、600-690℃であることがさらに好ましい。焼成温度が400℃以上であると、MCCとリチウム化合物との反応が促進される。また、焼成温度が700℃未満であると、Ni含有量が多いMCCを用いる場合であっても、サイクル特性に優れるリチウム二次電池を達成できる。
本明細書における焼成温度とは、焼成炉内雰囲気の温度を意味し、かつ焼成工程での保持温度の最高温度(以下、最高保持温度と呼ぶことがある)である。複数の焼成段階を有する焼成工程の場合、焼成温度とは、各焼成段階のうち、最高保持温度で加熱した際の温度を意味する。焼成温度の上記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
仮焼成における保持時間は、1-8時間が好ましく、1.0-4時間がより好ましく、1.2-3時間が特に好ましい。仮焼成における保持時間が1時間以上であると、MCCとリチウム化合物との反応を十分に高められる。焼成における保持時間が8時間以下であると、リチウムの揮発が生じ難く、電池性能が向上する。
仮焼成の焼成雰囲気は、酸素含有雰囲気、酸素雰囲気であることが好ましい。仮焼成の焼成雰囲気が酸化性雰囲気であると、酸素欠陥が抑制され、構造的に安定化することによって電池性能が向上する。
(4)反応物の本焼成
反応物の本焼成は、焼成温度が異なる複数の焼成段階を有していてもよい。例えば、第1の焼成段階と、第1の焼成段階よりも高温で焼成する第2の焼成段階をそれぞれ独立に行ってもよい。さらに焼成温度及び焼成時間が異なる焼成段階を有していてもよい。
LiMOに含まれるAlは、本焼成中に偏析しやすい。また、Al偏析部は、本焼成中に粒子表面に移動することがある。表面に移動したAl偏析部は、後に行われる洗浄によって流出しやすい。Al偏析部が適度に存在することにより、リチウム二次電池の充放電により生じるLiMOの膨張及び収縮を緩和することができる。
本焼成の焼成温度は、700℃以上であり、700-1100℃であることが好ましく、700-750℃であることがより好ましい。焼成温度が700℃以上であると、強固な結晶構造を有するLiMOを得ることができる。また、焼成温度が1100℃以下であると、粒子表面のリチウムの揮発を低減できる。また、焼成温度が750℃以下であると、Alの相対標準偏差R1およびR2を本実施形態の好ましい範囲に制御しやすくなる。
本焼成における保持時間は、1-50時間が好ましい。本焼成における保持時間が1時間以上であると、反応物中の未反応のMCCとリチウム化合物との反応を十分に高められる。本焼成における保持時間が50時間以下であると、リチウムの揮発が生じ難く、電池性能が向上する。
MCCとリチウム化合物との混合物は、不活性溶融剤の存在下で焼成されてもよい。不活性溶融剤は、焼成物に残留してもよいし、焼成後に後述するように洗浄液で洗浄すること等により除去されてもよい。不活性溶融剤としては、例えばWO2019/177032A1に記載のものを使用することができる。
以上のようにMCCとリチウム化合物との反応物を本焼成することにより、焼成物が得られる。
(5)焼成物の洗浄
焼成工程後、焼成物を洗浄して残留する未反応のリチウム化合物及び不活性溶融剤を除去し、CAMが得られる。洗浄には、純水やアルカリ性洗浄液を用いることができる。アルカリ性洗浄液としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物並びにその水和物の水溶液を挙げることができる。また、アルカリ性洗浄液として、アンモニア水を使用することもできる。
洗浄液と焼成物とを接触させる方法としては、各洗浄液の中に、焼成物を投入して撹拌する方法が挙げられる。また、各洗浄液をシャワー水として、焼成物にかける方法でもよい。さらに、洗浄液中に、焼成物を投入して撹拌した後、各洗浄液から焼成物を分離し、次いで、各洗浄液をシャワー水として、分離後の焼成物にかける方法でもよい。
洗浄において、洗浄液と焼成物を適正な時間の範囲で接触させることが好ましい。洗浄における「適正な時間」とは、焼成物の表面に残留する未反応のリチウム化合物及び不活性溶融剤を除去しつつ、焼成物の各粒子を分散させる程度の時間を指す。洗浄時間は、焼成物の凝集状態に応じて調整することが好ましい。洗浄時間は、例えば5分間-1時間の範囲が特に好ましい。
洗浄液と焼成物との混合物(以下、スラリーと記載することがある)に対する焼成物の割合は、5-60質量%であることが好ましく、20-50質量%であることがより好ましく、30質量%を超え50質量%以下であることがさらに好ましい。焼成物の割合が5-60質量%であると、未反応のリチウム化合物及び不活性溶融剤を除去することができ、Alの相対標準偏差R1およびR2を本実施形態の好ましい範囲に制御しやすくなる。
焼成物の洗浄後、焼成物を脱水ろ過することが好ましい。脱水ろ過の方法としては、重圧ろ過、加圧ろ過、又は真空ろ過等を使用することができる。脱水ろ過する際のろ過面積当たりの焼成物の重量は、5-30kg/mが好ましく、20-30kg/mがより好ましい。ろ過面積当たりの焼成物の重量が5kg/m以上であると、Alの過剰な流出が抑制され、Alの相対標準偏差をR1およびR2を本実施形態の好ましい範囲に制御しやすくなる。また、ろ過性の観点から、ろ過面積当たりの焼成物の重量は30kg/m以下が好ましい。
焼成物の脱水後、焼成物を熱処理することが好ましい。焼成物を熱処理する温度や方法は特に限定されないが、充電容量の低下を防止できる観点から、100℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。また、上限温度に特に制限はないが、焼成工程で得られた結晶子径分布に影響を与えない範囲で、700℃以下とすることが好ましく、600℃以下であることがより好ましい。リチウムの揮発量は、熱処理温度により制御することができる。
熱処理温度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、熱処理温度は、100-700℃であることが好ましく、130-600℃であることがより好ましく、150-400℃であることがさらに好ましい。
熱処理中の雰囲気は、酸素雰囲気、不活性雰囲気、減圧雰囲気又は真空雰囲気が挙げられる。洗浄後の熱処理を上記雰囲気で行うことで、熱処理中にCAMと雰囲気中の水分又は二酸化炭素との反応が抑制され、不純物の少ないCAMが得られる。また、焼成物の熱処理後、焼成物を篩別処理することが好ましい。
上述の条件で焼成物を洗浄することにより、偏析したAlの少なくとも一部を除去することができる。その結果、Liイオンの脱離及び挿入の反応場となる空隙が生じ、リチウム二次電池の初期放電容量を向上することができる。また、生じた空隙によりリチウム二次電池の充放電により生じるLiMOの膨張及び収縮を緩和することができ、サイクル維持率が向上する。
<リチウム二次電池>
本実施形態のCAMを用いる場合の好適なリチウム二次電池の構成を説明する。また、本実施形態のCAMを用いる場合に好適なリチウム二次電池用正極(以下、正極と称することがある。)について説明する。
本実施形態のCAMを用いる場合の好適なリチウム二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
リチウム二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
図2は、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。本実施形態の円筒型のリチウム二次電池10は、次のようにして製造する。
まず、図2に示すように、帯状を呈する一対のセパレータ1、一端に正極リード21を有する帯状の正極2、及び一端に負極リード31を有する帯状の負極3を、セパレータ1、正極2、セパレータ1、負極3の順に積層し、巻回することにより電極群4とする。
次いで、電池缶5に電極群4及び不図示のインシュレーターを収容した後、缶底を封止し、電極群4に電解液6を含浸させ、正極2と負極3との間に電解質を配置する。さらに、電池缶5の上部をトップインシュレーター7及び封口体8で封止することで、リチウム二次電池10を製造することができる。
電極群4の形状としては、例えば、電極群4を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面形状が、円、楕円、長方形又は角を丸めた長方形となるような柱状の形状を挙げることができる。
また、このような電極群4を有するリチウム二次電池の形状としては、国際電気標準会議(IEC)が定めた電池に対する規格であるIEC60086、又はJIS C 8500で定められる形状を採用することができる。例えば、円筒型又は角型などの形状を挙げることができる。
さらに、リチウム二次電池は、上記巻回型の構成に限らず、正極、セパレータ、負極、セパレータの積層構造を繰り返し重ねた積層型の構成であってもよい。積層型のリチウム二次電池としては、いわゆるコイン型電池、ボタン型電池、又はペーパー型(又はシート型)電池を例示することができる。
以下、各構成について順に説明する。
(正極)
正極は、まずCAM、導電材及びバインダーを含む正極合剤を調製し、正極合剤を正極集電体に担持させることで製造することができる。
(導電材)
正極が有する導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)及び繊維状炭素材料などを挙げることができる。
正極合剤中の導電材の割合は、CAM100質量部に対して5-20質量部であると好ましい。
(バインダー)
正極が有するバインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂;ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、WO2019/098384A1またはUS2020/0274158A1に記載の樹脂を挙げることができる。
(正極集電体)
正極が有する正極集電体としては、Al、Ni又はステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。
正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、有機溶媒を用いて正極合剤をペースト化し、得られる正極合剤のペーストを正極集電体の少なくとも一面側に塗布して乾燥させ、電極プレス工程を行って固着する方法が挙げられる。
正極合剤をペースト化する場合、用いることができる有機溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPということがある。)が挙げられる。
正極合剤のペーストを正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法及び静電スプレー法が挙げられる。
以上に挙げられた方法により、正極を製造することができる。
(負極)
リチウム二次電池が有する負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、及び負極活物質単独からなる電極を挙げることができる。
(負極活物質)
負極が有する負極活物質としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物又は硫化物など)、窒化物、金属又は合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。
負極活物質として使用可能な炭素材料としては、天然黒鉛又は人造黒鉛などの黒鉛、コークス類、カーボンブラック、炭素繊維及び有機高分子化合物焼成体を挙げることができる。
負極活物質として使用可能な酸化物としては、SiO及びSiOなど式SiO(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物;SnO及びSnOなど式SnO(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物;LiTi12及びLiVOなどのリチウムとチタンとを含有する金属複合酸化物;を挙げることができる。
また、負極活物質として使用可能な金属としては、リチウム金属、シリコン金属及びスズ金属などを挙げることができる。負極活物質として使用可能な材料として、WO2019/098384A1またはUS2020/0274158A1に記載の材料を用いてもよい。
これらの金属や合金は、例えば箔状に加工された後、主に単独で電極として用いられる。
上記負極活物質の中では、充電時に未充電状態から満充電状態にかけて負極の電位がほとんど変化しない(電位平坦性がよい)、平均放電電位が低い及び繰り返し充放電させたときの容量維持率が高い(サイクル特性がよい)などの理由から、天然黒鉛又は人造黒鉛などの黒鉛を主成分とする炭素材料が好ましく用いられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、又は微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVdF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCと記載することがある)、スチレンブタジエンゴム(以下、SBRと記載することがある)、ポリエチレン及びポリプロピレンを挙げることができる。
(負極集電体)
負極が有する負極集電体としては、Cu、Ni又はステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を挙げることができる。
このような負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様に、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布又は乾燥後プレスし圧着する方法が挙げられる。
(セパレータ)
リチウム二次電池が有するセパレータとしては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂又は含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布又は織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。また、JP-A-2000-030686又はUS20090111025A1に記載のセパレータを用いてもよい。
(電解液)
リチウム二次電池が有する電解液は、電解質及び有機溶媒を含有する。
電解液に含まれる電解質としては、LiClO及びLiPFなどのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。
また前記電解液に含まれる有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどのカーボネート類を用いることができる。
有機溶媒としては、これらのうちの2種以上を混合して用いることが好ましい。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒及び環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。
また、電解液としては、得られるリチウム二次電池の安全性が高まるため、LiPFなどのフッ素を含むリチウム塩及びフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。電解液に含まれる電解質および有機溶媒として、WO2019/098384A1またはUS2020/0274158A1に記載の電解質および有機溶媒を用いてもよい。
<全固体リチウム二次電池>
次いで、全固体リチウム二次電池の構成を説明しながら、本発明の一態様に係るCAMを全固体リチウム二次電池のCAMとして用いた正極、及びこの正極を有する全固体リチウム二次電池について説明する。
図3は、本実施形態の全固体リチウム二次電池の一例を示す模式図である。図3に示す全固体リチウム二次電池1000は、正極110と、負極120と、固体電解質層130とを有する積層体100と、積層体100を収容する外装体200と、を有する。また、全固体リチウム二次電池1000は、集電体の両側にCAMと負極活物質とを配置したバイポーラ構造であってもよい。バイポーラ構造の具体例として、例えば、JP-A-2004-95400に記載される構造が挙げられる。各部材を構成する材料については、後述する。
積層体100は、正極集電体112に接続される外部端子113と、負極集電体122に接続される外部端子123と、を有していてもよい。その他、全固体リチウム二次電池1000は、正極110と負極120との間にセパレータを有していてもよい。
全固体リチウム二次電池1000は、さらに積層体100と外装体200とを絶縁する不図示のインシュレーター及び外装体200の開口部200aを封止する不図示の封止体を有する。
外装体200は、アルミニウム、ステンレス鋼又はニッケルメッキ鋼などの耐食性の高い金属材料を成形した容器を用いることができる。また、外装体200として、少なくとも一方の面に耐食加工を施したラミネートフィルムを袋状に加工した容器を用いることもできる。
全固体リチウム二次電池1000の形状としては、例えば、コイン型、ボタン型、ペーパー型(またはシート型)、円筒型、角型、又はラミネート型(パウチ型)などの形状を挙げることができる。
全固体リチウム二次電池1000は、一例として積層体100を1つ有する形態が図示されているが、本実施形態はこれに限らない。全固体リチウム二次電池1000は、積層体100を単位セルとし、外装体200の内部に複数の単位セル(積層体100)を封じた構成であってもよい。
以下、各構成について順に説明する。
(正極)
本実施形態の正極110は、正極活物質層111と正極集電体112とを有している。
正極活物質層111は、上述した本発明の一態様であるLiMO及び固体電解質を含む。また、正極活物質層111は、導電材及びバインダーを含んでいてもよい。
(固体電解質)
本実施形態の正極活物質層111に含まれる固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有し、公知の全固体リチウム二次電池に用いられる固体電解質を採用することができる。このような固体電解質としては、無機電解質及び有機電解質を挙げることができる。無機電解質としては、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質及び水素化物系固体電解質を挙げることができる。有機電解質としては、ポリマー系固体電解質を挙げることができる。各電解質としては、WO2020/208872A1、US2016/0233510A1、US2012/0251871A1、US2018/0159169A1に記載の化合物が挙げられ、例えば、以下の化合物が挙げられる。
(酸化物系固体電解質)
酸化物系固体電解質としては、例えば、ペロブスカイト型酸化物、NASICON型酸化物、LISICON型酸化物及びガーネット型酸化物などが挙げられる。各酸化物の具体例は、WO2020/208872A1、US2016/0233510A1、US2020/0259213A1に記載の化合物が挙げられ、例えば、以下の化合物が挙げられる。
ペロブスカイト型酸化物としては、LiLa1-aTiO(0<a<1)などのLi-La-Ti系酸化物、LiLa1-bTaO(0<b<1)などのLi-La-Ta系酸化物及びLiLa1-cNbO(0<c<1)などのLi-La-Nb系酸化物などが挙げられる。
NASICON型酸化物としては、Li1+dAlTi2-d(PO(0≦d≦1)などが挙げられる。NASICON型酸化物とは、Li (式中、Mは、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、Sb及びSeからなる群から選ばれる1種以上の元素である。Mは、Ti、Zr、Ge、In、Ga、Sn及びAlからなる群から選ばれる1種以上の元素である。m、n、o、p及びqは、任意の正数である。)で表される酸化物である。
LISICON型酸化物としては、Li-Li(Mは、Si、Ge、及びTiからなる群から選ばれる1種以上の元素である。Mは、P、As及びVからなる群から選ばれる1種以上の元素である。)で表される酸化物などが挙げられる。
ガーネット型酸化物としては、LiLaZr12(LLZともいう)などのLi-La-Zr系酸化物などが挙げられる。
酸化物系固体電解質は、結晶性材料であってもよく、非晶質材料であってもよい。
(硫化物系固体電解質)
硫化物系固体電解質としては、LiS-P系化合物、LiS-SiS系化合物、LiS-GeS系化合物、LiS-B系化合物、LiI-SiS-P系化合物、LiI-LiS-P系化合物、LiI-LiPO-P系化合物及びLi10GeP12系化合物などを挙げることができる。
なお、本明細書において、硫化物系固体電解質を指す「系化合物」という表現は、「系化合物」の前に記載した「LiS」「P」などの原料を主として含む固体電解質の総称として用いる。例えば、LiS-P系化合物には、LiSとPとを主として含み、さらに他の原料を含む固体電解質が含まれる。LiS-P系化合物に含まれるLiSの割合は、例えばLiS-P系化合物全体に対して50~90質量%である。LiS-P系化合物に含まれるPの割合は、例えばLiS-P系化合物全体に対して10~50質量%である。また、LiS-P系化合物に含まれる他の原料の割合は、例えばLiS-P系化合物全体に対して0~30質量%である。また、LiS-P系化合物には、LiSとPとの混合比を異ならせた固体電解質も含まれる。
LiS-P系化合物としては、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-LiCl、LiS-P-LiBr、LiS-P-LiI-LiBr、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI及びLiS-P-Z(m、nは正の数である。Zは、Ge、ZnまたはGaである。)などを挙げることができる。
LiS-SiS系化合物としては、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-SiS-P-LiCl、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LiSO及びLiS-SiS-LiMO(x、yは正の数である。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga又はInである。)などを挙げることができる。
LiS-GeS系化合物としては、LiS-GeS及びLiS-GeS-Pなどを挙げることができる。
硫化物系固体電解質は、結晶性材料であってもよく、非晶質材料であってもよい。
(水素化物系固体電解質)
水素化物系固体電解質材料としては、LiBH、LiBH-3KI、LiBH-PI、LiBH-P、LiBH-LiNH、3LiBH-LiI、LiNH、LiAlH、Li(NHI、LiNH、LiGd(BHCl、Li(BH)(NH)、Li(NH)I及びLi(BH)(NHなどを挙げることができる。
(ポリマー系固体電解質)
ポリマー系固体電解質として、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物及びポリオルガノシロキサン鎖及びポリオキシアルキレン鎖からなる群から選ばれる1種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を挙げることができる。また、高分子化合物に非水電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。
固体電解質は、発明の効果を損なわない範囲において、2種以上を併用することができる。
(導電材及びバインダー)
正極活物質層111が有する導電材としては、上述の(導電材)で説明した材料を用いることができる。また、正極合剤中の導電材の割合についても同様に上述の(導電材)で説明した割合を適用することができる。また、正極が有するバインダーとしては、上述の(バインダー)で説明した材料を用いることができる。
(正極集電体)
正極110が有する正極集電体112としては、上述の(正極集電体)で説明した材料を用いることができる。
正極集電体112に正極活物質層111を担持させる方法としては、正極集電体112上で正極活物質層111を加圧成型する方法が挙げられる。加圧成型には、冷間プレスや熱間プレスを用いることができる。
また、有機溶媒を用いてCAM、固体電解質、導電材及びバインダーの混合物をペースト化して正極合剤とし、得られる正極合剤を正極集電体112の少なくとも一面上に塗布して乾燥させ、プレスし固着することで、正極集電体112に正極活物質層111を担持させてもよい。
また、有機溶媒を用いてCAM、固体電解質及び導電材の混合物をペースト化して正極合剤とし、得られる正極合剤を正極集電体112の少なくとも一面上に塗布して乾燥させ、焼結することで、正極集電体112に正極活物質層111を担持させてもよい。
正極合剤に用いることができる有機溶媒としては、上述の(正極集電体)で説明した正極合剤をペースト化する場合に用いることができる有機溶媒と同じものを用いることができる。
正極合剤を正極集電体112へ塗布する方法としては、上述の(正極集電体)で説明した方法が挙げられる。
以上に挙げられた方法により、正極110を製造することができる。正極110に用いる具体的な材料の組み合わせとしては、本実施形態に記載のCAMと表1に記載する組み合わせが挙げられる。
Figure 0007284244000001
Figure 0007284244000002
Figure 0007284244000003
(負極)
負極120は、負極活物質層121と負極集電体122とを有している。負極活物質層121は、負極活物質を含む。また、負極活物質層121は、固体電解質及び導電材を含んでいてもよい。負極活物質、負極集電体、固体電解質、導電材及びバインダーは、上述したものを用いることができる。
負極集電体122に負極活物質層121を担持させる方法としては、正極110の場合と同様に、加圧成型による方法、負極活物質を含むペースト状の負極合剤を負極集電体122上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法、及び負極活物質を含むペースト状の負極合剤を負極集電体122上に塗布、乾燥後、焼結する方法が挙げられる。
(固体電解質層)
固体電解質層130は、上述の固体電解質を有している。
固体電解質層130は、上述の正極110が有する正極活物質層111の表面に、無機物の固体電解質をスパッタリング法により堆積させることで形成することができる。
また、固体電解質層130は、上述の正極110が有する正極活物質層111の表面に、固体電解質を含むペースト状の合剤を塗布し、乾燥させることで形成することができる。乾燥後、プレス成型し、さらに冷間等方圧加圧法(CIP)により加圧して固体電解質層130を形成してもよい。
積層体100は、上述のように正極110上に設けられた固体電解質層130に対し、公知の方法を用いて、固体電解質層130の表面に負極活物質層121が接するように負極120を積層させることで製造することができる。
以上のような構成の正極は、上述したCAMを有するため、初期放電容量が高く、サイクル特性のよいリチウム二次電池を提供できる。
さらに、以上のような構成のリチウム二次電池は、上述した正極を有するため、初期放電容量が高く、サイクル特性がよい。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
<組成分析>
後述の方法で製造されるCAMの組成分析は、上述の「CAMの組成分析」の方法により行った。
<累積体積粒度>
後述の方法で製造されるCAMの累積体積粒度D10、D50及びD90は、上述の「累積体積粒度」の測定方法により測定した。
<SEM-EDX分析>
上述の「SEM-EDX分析」に記載の方法で、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R1の相対標準偏差、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R2の相対標準偏差、複数の粒子の総数に対する割合R1が10atomic%以下の粒子の個数の割合(割合a)及び複数の粒子の総数に対する割合R2が10atomic%以下の粒子の個数の割合(以下、割合b)を算出した。なお、割合R1を算出するときの解析対象粒子である粒子は、円相当径5μm以上である粒子150個であり、割合R2を算出するときの解析対象粒子である粒子は、円相当径5μm以上である粒子100個であった。
<回折ピーク強度高さの測定>
2θ=18.5±1°の範囲内の回折ピーク強度高さ(H1)と2θ=44.4±1°の範囲内の回折ピーク強度高さ(H2)の測定は、上述の測定方法により行い、回折ピーク強度高さの比(H1/H2)を算出した。
<リチウム二次電池用正極の作製>
後述する製造方法で得られるCAMと導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、CAM:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製した。正極合剤の調製時には、NMPを有機溶媒として用いた。
得られた正極合剤を、集電体となる厚さ40μmのAl箔に塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、リチウム二次電池用正極を得た。このリチウム二次電池用正極の電極面積は1.65cmとした。
<リチウム二次電池(コイン型ハーフセル)の作製>
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
<リチウム二次電池用正極の作製>で作製したリチウム二次電池用正極を、コイン型電池R2032用のパーツ(宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上に積層フィルムセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルムの上に、耐熱多孔層を積層した厚さが16μmの積層体)を置いた。ここに電解液を300μl注入した。電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの30:35:35(体積比)で混合した混合液にLiPFを1mol/lとなるように溶解させたものを用いた。
次に、負極として金属リチウムを用いて、前記負極を積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池(コイン型ハーフセルR2032。以下、「コイン型ハーフセル」と称することがある。)を作製した。
<初期放電容量及び50回目放電容量維持率>
上述の方法で作成されたリチウム二次電池について、上述の「初期放電容量」及び「50回目放電容量」の測定方法に記載の方法で初期放電容量及び50回目放電容量を測定した。
(実施例1)
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを、NiとCoとAlとのモル比が0.88:0.09:0.03となるように混合して、混合原料液を調製した。
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の溶液のpHが11.6(測定温度:40℃)となるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、反応沈殿物1を得た。
反応沈殿物1を洗浄した後、脱水、乾燥して、Ni、Co及びAlを含む金属複合水酸化物1が得られた。
金属複合水酸化物1を大気雰囲気中650℃で5時間保持して加熱し、室温まで冷却して金属複合酸化物1を得た。
金属複合酸化物1に含まれるNi、Co及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.1となるように、水酸化リチウムを秤量した。金属複合酸化物1と水酸化リチウムを混合して混合物1を得た。
この混合物1を酸素雰囲気下650℃で5時間焼成し、反応物1を得た。反応物1を酸素雰囲気下720℃で5時間焼成し、焼成物1を得た。
焼成物1と純水とを、全体量に対して焼成物1の質量割合が30質量%になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させて洗浄した後、脱水ろ過し、窒素雰囲気において250℃で10時間熱処理し、脱水ろ過後に残留する水分を乾燥させ、さらに篩別することにより、CAM-1を得た。なお、ろ過面積当たりの焼成物1の重量は、26.9kg/mであった。
CAM-1の組成分析を行ったところ、組成式(A)においてm=0.03、x=0.03、y=0.09であり、元素XはCoであった。CAM-1に含まれるLiMOは、層状構造を有していた。
(実施例2)
反応物1の焼成温度を700℃として焼成物2を得たこと以外は、実施例1と同じ方法でCAM-2を得た。なお、ろ過面積当たりの焼成物2の重量は、25.0kg/mであった。
CAM-2の組成分析を行ったところ、組成式(A)においてm=0.04、x=0.03、y=0.09であり、元素XはCoであった。CAM-2に含まれるLiMOは、層状構造を有していた。
(実施例3)
反応物1の焼成温度を700℃として焼成物3を得たこと、および洗浄工程で、全体量に対して焼成物1の質量割合を40質量%としたこと以外は、実施例1と同じ方法でCAM-3を得た。なお、ろ過面積当たりの焼成物3の重量は、25.0kg/mであった。
CAM-3の組成分析を行ったところ、組成式(A)においてm=0.04、x=0.03、y=0.09であり、元素XはCoであった。CAM-3に含まれるLiMOは、層状構造を有していた。
(比較例1)
焼成物1を洗浄せずにそのままCAMとした以外は、実施例1と同じ方法でCAM-C1を得た。
CAM-C1の組成分析を行ったところ、組成式(A)においてm=0.1、x=0.03、y=0.09であり、元素XはCoであった。CAM-C1に含まれるLiMOは、層状構造を有していた。
(比較例2)
金属複合酸化物1に含まれるNi、Co及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.0となるように水酸化リチウムを秤量したこと、反応物1の焼成条件を740℃で15時間としたこと以外は、実施例1と同じ方法で焼成物5を得た。得られた焼成物5と純水とを、全体量に対して焼成物5の質量割合が5質量%になるように混合し作製したスラリーを5分間撹拌させて洗浄した後、脱水ろ過し、大気雰囲気において120℃で10時間熱処理し、脱水後に残留する水分を乾燥して、CAM-C2を得た。なお、ろ過面積当たりの焼成物5の重量は、1.1kg/mであった。
CAM-C2の組成分析を行ったところ、組成式(A)においてm=0.96、x=0.03、y=0.07であり、元素XはCoであった。CAM-C2に含まれるLiMOは、層状構造を有していた。
(比較例3)
金属複合酸化物1に含まれるNi、Co及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.0となるように水酸化リチウムを秤量したこと、反応物1の焼成条件を780℃で5時間としたこと以外は、実施例1と同じ方法で焼成物6を得た。得られた焼成物6と純水とを、全体量に対して焼成物6の質量割合が5質量%になるように混合し作製したスラリーを5分間撹拌させて洗浄した後、脱水ろ過し、大気雰囲気において120℃で10時間熱処理し、脱水ろ過後に残留する水分を乾燥して、CAM-C3を得た。なお、ろ過面積当たりの焼成物6の重量は、1.1kg/mであった。
CAM-C3の組成分析を行ったところ、組成式(A)においてm=0.96、x=0.03、y=0.09であり、元素XはCoであった。CAM-C3に含まれるLiMOは、層状構造を有していた。
実施例1~3のCAM-1~CAM-3及び比較例1~3のCAM-C1~CAM-C3の洗浄工程の有無、CAMのD50、CAMのD90/D10、割合R1の相対標準偏差、割合R2の相対標準偏差、割合a、割合b、回折ピーク強度高さH1及びH2、回折ピーク強度高さ比(H1/H2)及び各CAMを使用したコイン型ハーフセルの初期放電容量及びサイクル効率を表4に示す。
Figure 0007284244000004
実施例1~3のCAM-1~CAM-3では、割合R1の相対標準偏差が28.7-48.1であり、割合R2の相対標準偏差が15.2-22.7だった。さらに、CAM-1~CAM-3を用いたコイン型ハーフセルの初期放電容量は、197-202mAh/gであり、サイクル効率は、83.8-90.4%であった。
一方で、焼成物の洗浄を行わなかった比較例1では、割合R1の相対標準偏差が93.1であり、割合R2の相対標準偏差が78.9だった。焼成後に洗浄を行わなかったため、偏析したAlが流出せず、Al偏析によるLiイオンの拡散阻害が生じたと考えられる。比較例2では、割合R1の相対標準偏差が31.5%であり、割合R2の相対標準偏差が11.0%だった。Alの過剰な流出によりAlがCAM-C2に十分量含まれていなかったため、充放電に伴うLiMOの膨張及び収縮を緩衝することができなかったと考えられる。比較例3では、割合R1の相対標準偏差が28.2%であり、割合R2の相対標準偏差が17.7%だった。焼成温度が高いことによって焼成後にAlが粒子表面に偏析していたことにより、CAM-C3の表面のAl偏析が多く流出したためと考えられる。CAM-C1~CAM-C3を用いたコイン型ハーフセルの初期放電容量は、184-198mAh/gであり、サイクル効率は、67.7-93.4%であった。
本発明によれば、初期放電容量が高く、繰り返し充放電を行っても放電容量が低下し難いリチウム二次電池を得ることができるリチウム二次電池用正極活物質、及びこれを用いたリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供できる。
1…セパレータ、2…正極、3…負極、4…電極群、5…電池缶、6…電解液、7…トップインシュレーター、8…封口体、10…リチウム二次電池、21…正極リード、31…負極リード、100…積層体、110…正極、111…正極活物質層、112…正極集電体、113…外部端子、120…負極、121…負極活物質層、122…負極集電体、123…外部端子、130…固体電解質層、200…外装体、200a…開口部、1000…全固体リチウム二次電池

Claims (7)

  1. 層状構造を有するリチウム金属複合酸化物とAl偏析部を含む複数の粒子を含有するリチウム二次電池用正極活物質であって、
    前記正極活物質の50%累積体積粒度が5-20μmであり、
    前記リチウム二次電池用正極活物質の組成式が、式(A)で表され、
    下記(1)及び(2)の条件を満たす、リチウム二次電池用正極活物質。
    (1)前記複数の粒子の表面を走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法で測定することで粒子毎に得られる、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R1について、前記複数の粒子における割合R1の相対標準偏差は、28.5%より大きく70%以下である。
    (2)前記複数の粒子の断面を前記走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法で測定することで粒子毎に得られる、Ni、Al及びMの総原子数に対するAlの原子数の割合R2について、前記複数の粒子における割合R2の相対標準偏差は、13%より大きく50%以下である。
    Li[Li(Ni(1-x-y)Al1-m]O ・・・(A)
    (式A中、Mは、Co,Mn,Fe,Cu,Ti,Mg,W,Mo,Nb,Zn,Sn,Zr,Ga,V,B,Si,S及びPからなる群より選択される1種以上の元素であり、-0.1≦m≦0.2、0<x≦0.5及び0y<0.5を満たす。)
  2. 前記複数の粒子の総数に対する、前記割合R1が10atomic%以下の粒子の個数の割合が99%以上である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  3. 前記複数の粒子の総数に対する、前記割合R2が10atomic%以下の粒子の個数の割合が88%以上である、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  4. 前記正極活物質の10%累積体積粒度に対する90%累積体積粒度の比が3以下である、請求項1~3の何れか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  5. 前記正極活物質のCuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=44.1±1°の範囲内の回折ピーク強度高さ(H2)に対する2θ=18.5±1°の範囲内の回折ピーク強度高さ(H1)の比(H1/H2)が、1.5以上1.6以下であることを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  6. 請求項1~5の何れか1つに記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用正極。
  7. 請求項6に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
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