JP6536615B2 - 熱電変換材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、熱電変換材料及びその製造方法に関する。本開示は、少数キャリアの影響を低減して熱起電力を向上させた熱電変換材料及びその製造方法に関する。
工場、自動車、及び電子機器等から排出される熱を有効利用するため、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換材料が注目されている。
しかし、熱電変換材料は、一般的に、変換効率が低い。そのため、熱電変換材料の変換効率を向上させる試みが行われている。
例えば、特許文献1には、大きな粒径の原材料粉末を用いて、安価に、ナノコンポジット熱電変換材料を製造することが開示されている。
具体的には、特許文献1には、Mg1−αα、Mg1−ββ、及びX(ただし、X及びYは、それぞれ、Si、Ge、Sn、又はPbのうちの1つであり、かつ、XとYは異なる。)のナノコンポジット熱電変換材料が開示されている。そして、特許文献1には、α及びβは、いずれも、0〜0.1であることが開示されている。さらに、特許文献1には、Mg1−αα、Mg1−ββ、及びXそれぞれの大きさが、いずれも、500nm以下であることが開示されている。
特開2015−110820号公報
特許文献1に開示された熱電変換材料のうち、最も代表的な、X及びYが、それぞれ、Si及びSnの場合、すなわち、MgSi1−αSnα、MgSn1−βSiβ、及びSiの場合については、次のことがいえる。
α及びβが、いずれも、0〜0.1であると、MgSi1−αSnα及びMgSn1−βSiβが元来有している熱起電力が低い。また、Si単独では、熱起電力は低い。そのため、これらを用いてナノコンポジット熱電変換材料を生成しても、高い熱起電力を得ることは難しい。
このようなことから、熱電変換材料の熱起電力の向上が望まれている、という課題を本発明者らは見出した。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本開示は、熱起電力を向上させた熱電変換材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本開示の熱電変換材料及びその製造方法を完成させた。その要旨は、次のとおりである。
〈1〉母材と障壁材を備え、
前記母材は、MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)とn型ドーパントを含有し、かつ、
前記障壁材は、MgSi1−ySn(yは、0〜0.30)を含有する、
熱電変換材料。
〈2〉前記n型ドーパントが、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上である、〈1〉項に記載の熱電変換材料。
〈3〉前記障壁材の少なくとも一部が、前記母材の粒界に存在している、〈1〉又は〈2〉項に記載の熱電変換材料。
〈4〉前記障壁材の少なくとも一部が、前記母材中に分散している、〈1〉〜〈3〉項のいずれか一項に記載の熱電変換材料。
〈5〉前記熱電変換材料全体に対して、前記障壁材を5〜20体積%含有している、 〈3〉又は〈4〉項に記載の熱電変換材料。
〈6〉前記熱電変換材料が、さらに、中間材を備え、かつ、
前記中間材は、MgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有する、〈3〉〜〈5〉項のいずれか一項に記載の熱電変換材料。
〈7〉前記中間材の少なくとも一部が、前記母材の粒界に存在している、〈6〉項に記載の熱電変換材料。
〈8〉前記中間材の少なくとも一部が、前記母材中に分散している、〈6〉又は〈7〉項に記載の熱電変換材料。
〈9〉前記障壁材が前記母材で挟まれて、前記障壁材と前記母材が積層されており、かつ、
前記障壁材が一層又は二層以上形成されている、
〈1〉又は〈2〉項に記載の熱電変換材料。
〈10〉前記熱電変換材料の積層方向の一端が高温側であり、
前記熱電変換材料の積層方向の他端が低温側であり、かつ、
前記熱電変換材料を積層方向に四等分して、前記高温側から第二等分目に、前記障壁材の少なくとも一層が形成されている、〈9〉項に記載の熱電変換材料。
〈11〉前記母材と少なくとも一層の前記障壁材との間に、さらに、中間材が積層されており、かつ、
前記中間材は、MgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有する、〈9〉又は〈10〉項に記載の熱電変換材料。
〈12〉〈1〉項に記載の熱電変換材料の製造方法であって、
Mg、Si、Sn、及びn型ドーパントを含有する原材料を秤量し、第一合金化熱処理して、母材合金塊を得ること、
Mg、Si、及びSnを含有する原材料を秤量し、第二合金化熱処理して、障壁材合金塊を得ること、
前記母材合金塊を解砕して、母材合金粉末を得ること、
前記障壁材合金塊を解砕して、障壁材合金粉末を得ること、
前記母材合金粉末と前記障壁材合金粉末を含有する圧粉体を得ること、及び、
前記圧粉体を焼結して、焼結体を得ること、
を含み、
前記母材合金塊が、MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)とn型ドーパントを含有し、
前記障壁材合金塊が、MgSi1−ySn(yは、0〜0.30)を含有する、
熱電変換材料の製造方法。
〈13〉前記n型ドーパントが、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上である、〈12〉項に記載の方法。
〈14〉前記第一合金化熱処理の温度が、600〜750℃である、〈12〉又は〈13〉項に記載の方法。
〈15〉前記第二合金化熱処理の温度が、800〜950℃である、〈12〉〜〈14〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈16〉前記母材合金粉末と前記障壁材合金粉末を混合して混合粉末を得ること、及び
前記混合粉末を圧粉して圧粉体を得ること、
を含む、〈12〉〜〈15〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈17〉前記圧粉体の体積全体に対して、前記障壁材合金粉末の占める部分が5〜20体積%である、〈16〉項に記載の方法。
〈18〉Mg、Si、及びSnを含有する原材料を秤量し、第三合金化熱処理して、中間材合金塊を得ること、及び、
前記中間材合金塊を解砕して、中間材合金粉末を得ること、
前記母材合金粉末、前記障壁材合金粉末、及び中間材合金粉末を混合して混合粉末を得ること、及び、
前記混合粉末を圧粉して圧粉体を得ること、
を含み、
前記中間材合金塊が、MgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有する、
〈16〉又は〈17〉項に記載の方法。
〈19〉前記母材合金粉末を堆積して母材合金粉末層を形成すること、
前記障壁材合金粉末を堆積して障壁材合金粉末層を形成すること、
前記障壁材合金粉末層を前記母材合金粉末層で挟みつつ、前記母材合金粉末層と前記障壁材合金粉末層を積層して、一層又は二層以上の前記障壁材合金粉末層を有する粉末積層体を得ること、及び、
前記粉末積層体を圧粉して圧粉体を得ること、
を含む、
〈12〉〜〈15〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈20〉前記粉末積層体の積層長さを四等分して、前記粉末積層体の一端から第二等分目に、前記障壁材合金粉末層を少なくとも一層有するように、前記母材合金粉末層と前記障壁材合金粉末層を積層して、粉末積層体を得る、〈19〉項に記載の方法。
〈21〉Mg、Si、及びSnを含有する原材料粉末を秤量し、第三合金化熱処理して、中間材合金塊を得ること、及び、
前記中間材合金塊を解砕して、中間材合金粉末を得ること、
前記中間材合金粉末を堆積して中間材合金粉末層を形成すること、
前記母材合金粉末層と前記障壁材との間に、さらに、前記中間材合金粉末層を積層して、粉末積層体を得ること、
を含む、
〈19〉又は〈20〉項に記載の方法。
本開示によれば、母材がMgSi1−xSn(xは0.50〜0.80)とn型ドーパントを、障壁材がMgSi1−ySn(yは0〜0.30)を含有することにより、少数キャリア(正孔)の移動を障壁材で阻止することができる。その結果、本開示によれば、熱起電力を向上させた熱電変換材料を提供することができる。
また、本開示によれば、少数キャリア(正孔)の影響を低減して熱起電力を向上させた熱電変換材料の製造方法を提供することができる。
図1は、母材(n型)と障壁材の界面付近のエネルギー準位を示す説明図である。 図1は、母材(p型)と障壁材の界面付近のエネルギー準位を示す説明図である。 図3は、MgSi1−pSn中のSn含有量とエネルギー準位との関係を示すグラフである。 図4は、障壁材の第1形態を模式的に示した説明図である。 図5は、障壁材の第2形態を模式的に示した説明図である。 図6は、障壁材の第3形態を模式的に示した説明図である。 図7は、障壁材の第4形態を模式的に示した説明図である。 図8は、障壁材の第5形態を模式的に示した説明図である。 図9は、熱電変換材料の両端の温度差が10℃である場合における、キャリアの挙動を模式的に示す説明図である。 図10は、熱電変換材料の両端の温度差が100℃である場合における、キャリアの挙動を模式的に示す説明図である。 図11は、熱電変換材料が、第1態様及び/又は第2態様の障壁材を備えるように、圧粉体を作製する方法の一例を示す説明図である。 図12は、熱電変換材料が、第3態様の障壁材を備えるように、圧粉体を作製する方法の一例を示す説明図である。 図13は、実施例1、実施例4、及び比較例2の試料について、温度と熱起電力の関係を示すグラフである。 図14は、実施例2の試料について、Si元素の面分析をした結果を示す図である。 図15は、実施例5の試料について、X線回折分析を行った位置を示す図である。 図16は、実施例5の試料について、X線回折分析を行った結果を示す図である。
以下、本開示の熱電変換材料及びその製造方法について、その実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示の熱電変換材料及びその製造方法を限定するものではない。
熱電変換材料は、その両端に生じる温度差によって発電する。熱電変換材料の両端に温度差が生じると、次のような現象が起こる。
熱電変換材料がn型半導体でできている場合には、多くの電子が高温側から低温側に移動するため、低温側から高温側に電流が流れる。一方、熱電変換材料がp型半導体でできている場合には、多くの正孔が高温側から低温側に移動するため、高温側から低温側へ電流が流れる。
n型半導体の場合の電子、及び、p型半導体の場合の正孔を、多数キャリアという。熱電変換材料の両端に温度差が生じたとき、多数キャリアと反対の電荷を有するキャリアも少数ながら発生する。このようなキャリアを少数キャリアという。n型半導体の場合の正孔、及び、p型半導体の場合の電子を、少数キャリアという。
多数キャリアが高温側から低温側に移動するのと同時に、少数キャリアも高温側から低温側に移動する。少数キャリアの移動は、多数キャリアの移動によって得られる熱起電力に悪影響を及ぼす。熱電変換材料の両端に温度差が生じたとき、熱電変換材料の温度が300℃以上の高温になると、熱励起が過剰に起こり、少数キャリアの発生数が増加する。そうすると、少数キャリアが熱起電力に及ぼす悪影響が大きくなる。
熱起電力を向上させるには、多数キャリアが円滑に高温側から低温側に移動できるようにし、かつ、少数キャリアが高温側から低温側に移動することを抑制することが有効である。そして、その実現には、熱電変換材料が母材と障壁材を備え、母材と障壁材との界面のバンド構造を、次のようにする。
先ず、熱電変換材料の母材(主成分)がn型半導体である場合について説明する。図1は、母材(n型)と障壁材の界面付近のエネルギー準位を示す説明図である。
熱電変換材料100は、母材10と障壁材20を有する。熱電変換材料100には温度差が生じており、障壁材20を境に、母材10は、高温側母材10aと低温側母材10bに分けられる。高温側母材10aと障壁材20との間には、高温側界面30aがある。障壁材20と低温側母材10bの間には、低温側界面30bがある。
図1の熱電変換材料100の上方には、高温側母材10a、障壁材20、及び低温側母材10bにおける、伝導帯のエネルギー準位Ecと伝導帯のエネルギー準位Evが示してある。
高温側界面30aと低温側界面30bには、伝導帯側にバンドオフセットΔEcが形成されている。母材10aと母材10bにおける伝導帯の底は、障壁材20における伝導帯の底よりも低い。
また、高温側界面30aと低温側界面30bには、価電子帯側にバンドオフセットΔEvが形成されている。母材10aと母材10bにおける価電子帯の頂上は、障壁材20における価電子帯の頂上よりも高い。
母材10はn型半導体であるため、電子40が多数キャリアである。伝導帯側のバンドオフセットΔEcが小さいほど、電子40は、高温側母材10aから、障壁材20を通り抜けて、低温側母材10bに、円滑に移動することができる。バンドオフセットΔEcは、0.1eV以下が好ましく、0.05eV以下がより好ましく、0.001eV以下がより一層好ましく、そして、0eVであることが理想である。
母材10はn型半導体であるため、正孔50が少数キャリアである。価電子帯側のバンドオフセットΔEvが大きいほど、正孔50が、高温側母材10aから、障壁材20を通り抜けて、低温側母材10bに移動することを、高温側界面30aで阻止できる。バンドオフセットΔEvは、0.10eV以上が好ましく、0.15eV以上がより好ましく、0.20eV以上がより一層好ましい。
次に、熱電変換材料の母材(主成分)がp型半導体である場合について、熱電変換材料の母材(主成分)がn型の場合と異なる事項を説明する。図2は、母材(p型)と障壁材の界面付近のエネルギー準位を示す説明図である。
母材10はp型半導体であるため、正孔50が多数キャリアである。価電子帯側のバンドオフセットΔEvが小さいほど、正孔50は、高温側母材10aから、障壁材20を通り抜けて、低温側母材10bに、円滑に移動することができる。バンドオフセットΔEvは、0.1eV以下が好ましく、0.05eV以下がより好ましく、0.001ev以下がより一層好ましく、そして、0eVであることが理想である。
母材10はp型半導体であるため、電子40は少数キャリアである。伝導帯側のバンドオフセットΔEcが大きいほど、電子40が、高温側母材10aから、障壁材20を通り抜けて、低温側母材10bに移動することを、高温側界面30aで阻止できる。バンドオフセットΔEcは、0.10eV以上が好ましく、0.15eV以上がより好ましく、0.20eV以上がより一層好ましい。
母材10と障壁材20との界面30のバンド構造を上述したようにすると、熱起電力が向上する理由を説明する。
熱電変換材料の熱電性能は、熱電変換効率と電気特性で評価することができ、これらが高いと熱電性能が高い。熱電変換効率はZTで表され、ZTは次の(A)式で求められる。また、熱電変換材料の電気特性はPF(パワーファクタ(出力因子))で表され、次の(B)式で求められる。
ZT=α×σ×T/κ ・・・(A)
PF=α×σ ・・・(B)
α:ゼーベック係数
σ:電気伝導率
κ:熱伝導率
T:絶対温度
ゼーベック係数は、単位温度差あたりの熱起電力であるため、(A)式及び(B)式から分かるように、熱起電力が大きいほど、ZT及びPFが大きくなり、熱電変換材料の熱電性能が向上する。
母材中に、多数キャリアと少数キャリアの両方が存在する場合、熱電変換材料全体のゼーベック係数は、次の(C)式で表される。
α=(ασ+ασ)/(σ+σ) ・・・(C)
α:キャリアが電子だけのときのゼーベック係数
α:キャリアが正孔だけのときのゼーベック係数
σ:キャリアが電子だけのときの電気伝導率
σ:キャリアが正孔だけのときの電気伝導率
母材10がn型半導体である場合、(C)式中で、分母のσと分子のασで表される部分が、単位温度差あたりの逆向きの起電力の大きさを表す。母材10がp型半導体である場合、(c)式中で、分母のσと分子のασで表される部分が、単位温度差あたりの逆向きの起電力の大きさを表す。
αは負の値であり、αは正の値であり、そして、σ及びσは共に正の値である。(C)式で、αの絶対値を大きくするためには、単位温度差あたりの逆向きの起電力を小さくすればよい。
母材10がn型半導体の場合、分母のσと分子のασで表される部分を小さくすればよいことから、αの絶対値、すなわち、正孔50のゼーベック係数の絶対値を小さくすればよい。そのためには、上述したように、正孔50(少数キャリア)が、高温側母材10aから、障壁材20を通り抜けて、低温側母材10bに移動することを、高温側界面30aで阻止すればよい。
母材10がp型半導体の場合、分母のσと分子のασで表される部分を小さくすればよいことから、αの絶対値、すなわち、電子40のゼーベック係数の絶対値を小さくすればよい。そのためには、上述したように、電子40(少数キャリア)が、高温側母材10aから、障壁材20を通り抜けて、低温側母材10bに移動することを、高温側界面30aで阻止すればよい。
このようなバンド構造を有する、母材10及び障壁材20を備える熱電変換材料100の構成要件を、次に説明する。
(母材)
母材10は、MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)とn型ドーパントを含有する。母材10は、焼結体等の多結晶体であってよい。母材10は、MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)とn型ドーパントの他に、不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物としては、原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、その含有を回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物が挙げられる。MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)は、MgSiの一部がSnで置換されており、Mgが2原子に対して、SiとSnの合計が1原子の割合で結晶を構成している。このような割合で結晶を構成していない一部の結晶も不可避的不純物として挙げられる。不可避的不純物(n型ドーパントを除く)は、熱電変換材料全体に対して、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がより一層好ましい。
(MgSi1−xSn
MgSi1−xSnのxは、0.50〜0.80である。xが0.50以上であれば、状態密度と合金散乱の効果により、高いZTが得られる。ZTの観点からは、xは0.60以上又は0.70以上であってもよい。一方、xが0.80以下であれば、耐熱性が著しく低下することはない。耐熱性の観点からは、xは0.75以下であってもよい。
(n型ドーパント)
母材10は、n型ドーパントを含有する。n型ドーパントは、母材10をn型半導体にする。母材10がn型ドーパントを含有することによって、熱電変換材料100の両端に温度差を与えたときに、キャリアが発生し、発電する。キャリアには多数キャリアと少数キャリアがあり、多数キャリアが発電に寄与し、少数キャリアが発電を阻害する。母材10はn型半導体であるため、多数キャリアは電子40であり、少数キャリアは正孔50である。
n型ドーパントとしては、Sb、Bi、及びAlが挙げられ、母材10は、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上を含有してもよい。
n型ドーパントの含有量は、MgSi1−xSn(xは,0.50〜0.80)に対して、0.001原子%以上含有することが好ましい。n型ドーパントの含有量が0.001原子%以上であれば、n型ドーパントの含有効果が明瞭に現れる。この観点からは、n型ドーパントの含有量は、0.010原子%以上がより好ましく、0.100原子%以上がより一層好ましい。
n型ドーパントの含有量は、MgSi1−xSn(xは,0.50〜0.80)に対して、5.000原子%以下であれば、母材10の熱電性能を阻害することはない。この観点からは、n型ドーパントの含有量は、3.000原子%以下がより好ましく、1.000原子%以下がより一層好ましい。
(障壁材)
障壁材20は、MgSi1−ySn(yは、0〜0.30)を含有する。yが0〜0.30の範囲内であれば、障壁材20は、複数種類のMgSi1−ySn(yは、0〜0.30)を含有してもよい。例えば、障壁材20は、MgSiとMgSi0.70Sn0.30の両方を含有してもよい。障壁材20は、焼結体等の多結晶体であってよい。障壁材20は、MgSi1−ySn(yは、0〜0.30)の他に、不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物としては、原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、その含有を回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物が挙げられる。MgSi1−ySn(yは、0〜0.30)は、MgSiであるか、MgSiの一部がSnで置換されており、Mgが2原子に対して、SiとSnの合計が1原子の割合で結晶を構成している。このような割合で結晶を構成していない一部の結晶も不可避的不純物として挙げられる。不可避的不純物は、熱電変換材料全体に対して、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がより一層好ましい。
(MgSi1−ySn
MgSi1−ySnのyは、0〜0.30である。yが0のとき、MgSi1−ySnは、MgSiである。yが0〜0.30であれば、母材10のMgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)の融点よりも、MgSi1−ySn(yは、0〜0.30)の融点が高くなる。これにより、障壁材20の少なくとも一部が、母材10の粒界に存在するか、障壁材20の少なくとも一部が、母材10中に分散する。あるいは、障壁材20が母材で挟まれて、障壁材20と母材10が積層される。その理由については、熱電変換材料100の製造方法についての説明で詳述する。MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)の融点は、800〜1000℃であり、MgSi1−ySn(yは、0〜0.30)の融点は、1000〜1090℃である。
MgSi1−ySnのyが0〜0.30であれば、母材10のMgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)との高温側界面30a及び低温側界面30bで、価電子帯側のバンドオフセットΔEvを0.1eV以上にすることができる。これにより、少数キャリアである正孔50が、高温側母材10aから、障壁材20を通り抜けて、低温側母材10bに移動することを、高温側界面30aで阻止できる。この観点からは、yは、0.20以下が好ましく、0.15以下がより好ましく、0.10以下がより一層好ましい。
MgSi1−ySnのyが0〜0.30であれば、母材10のMgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)との高温側界面30a及び低温側界面30bで、伝導帯側のバンドオフセットΔEcを0.1eV以下にすることができる。これにより、多数キャリアである電子40が、高温側母材10aから、障壁材20を通り抜けて、低温側母材10bに、円滑に移動することができる。
図3は、MgSi1−pSn中のSn含有量とエネルギー準位との関係を示すグラフである。横軸は、MgSi中のSiがSnで置換している割合(置換率p)示す。縦軸は、エネルギー準位(eV)を示す。横軸の左端(p=0)はMgSiであり、横軸の右端(p=1)はMgSnである。なお、図3の出典は、Wei Liu, et al., Physical Review Letters, 108, 166601, (2012)である。
図3に示したように、MgSi1−pSn中のSnの含有量が増加するにしたがって、価電子帯の頂上Evは上昇する。
図3に示したように、MgSi1−pSn中のSnの含有量が増加するにしたがって、MgSi1−pSnで表される結晶のある方向における伝導帯の底Ecは下降する。また、MgSi1−pSnのpが0〜約0.5の範囲では、MgSi1−pSn中のSnの含有量が増加するにしたがって、MgSi1−pSnで表される結晶の別の方向における伝導帯の底Ec’は下降する。xが約0.5〜1.0の範囲では、MgSi1−pSn中のSnの含有量が増加するにしたがって、MgSi1−pSn結晶の別の方向における伝導帯の底Ec’は上昇する。
これらのことから、価電子帯の頂上は、MgSi1−pSnの結晶方向に依存しないのに対し、伝導帯の底は、MgSi1−pSnの結晶方向に依存する。
母材10と障壁材20は多結晶体であるため、母材10と障壁材20は様々な結晶方向を有する。価電子帯の頂上は、MgSi1−pSnの結晶方向に依存しないため、図3からバンドオフセットΔEvを推定できる。pが0.5〜0.8のときのEv(p:0.5〜0.8)と、pが0〜0.3のときのEv(p:0〜0.3)との差は0.1eV以上になる。そして、Ev(p:0〜0.3)の方がEv(p:0.5〜0.8)よりも低い。これは、障壁材20のMgSi1−ySn(yは、0〜0.30)と、母材10のMgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)との高温側界面30aと低温側界面30bで、0.1eV以上のバンドオフセットΔEvを形成できることを意味している。
バンドオフセットΔEvが大きいほど、少数キャリアである正孔50の移動を、高温側界面30aで阻止し易い。そのため、yは0.30以下のうち、0.20以下が好ましく、0.15以下がより好ましく、0.10以下がより一層好ましい。
熱電変換材料としては、その使用上、電気抵抗率が50μΩm以下であることが好ましい。そして、伝導帯側のバンドオフセットΔEcが0.1eV以下になると、電気抵抗率を50μΩm以下に制御しやすい。母材10の主成分をMgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)、障壁材20の主成分をMgSi1−ySn(yは、0〜0.30)にすると、電気抵抗率が50μΩm以下になることが実験により確認できている。
このように、所望のバンドオフセットΔEvになる組成を先ず決定し、その組成で、電気抵抗率が実用上問題ない範囲になっていることを確認すればよい。
また、障壁材20の高温側界面30aで、多数キャリアである電子40の伝導が阻害される場合には、熱電変換材料100が、母材10と障壁材20の他に、後述する中間材を備えてもよい。熱電変換材料100が中間材を備えると、界面近傍でのバンドベンディングによって、伝導帯側のバンドオフセットΔcを、さらに低減することができる。これにより、多数キャリアである電子40が、一層円滑に、高温側母材10aから、中間材、障壁材20、中間材を通り抜けて、低温側母材10bに移動することができる。その結果、熱起電力を一層向上させることができる。
次に、障壁材20の態様について説明する。障壁材20は、次の第1〜第5の態様と、これらの組み合せをとり得るが、これらに限られない。なお、第1〜第5の態様の説明においては、母材10と障壁材20は、これまでに説明した構成要件を満たしているものとする。
(障壁材の第1態様)
図4は、障壁材20の第1態様を模式的に示した説明図である。図4は、熱電変換材料100の一部を示している。図4において、上側が高温側であり、下側が低温側である。
障壁材20は、母材10の粒界15に存在している。図4では、障壁材20のすべてが母材10の粒界15に存在しているが、それに限られず、一部の障壁材20が母材10の粒界15以外に存在していてもよい。すなわち、障壁材20の少なくとも一部が、母材10の粒界15に存在していればよい。
図4には、電子40と正孔50の挙動についても併記してある。母材10は、n型半導体であるため、電子40が多数キャリアであり、正孔50が少数キャリアである。電子40は、障壁材20を通り抜けて、高温側の母材10から低温側の母材10へ移動していく。一方、正孔50は、障壁材20と母材10との界面で、その移動を阻止される。
少数キャリアは、高温側に近い部位で発生しやすいが、他の部位でも発生する。母材10の粒界15は、高温側に近い部位だけでなく、他の部位にも存在する。すなわち、粒界15は、熱電変換材料100の広い範囲にわたって存在する。障壁材20が母材10の粒界15に存在することによって、高温側に近い部位で発生した少数キャリアでけでなく、他の部位で発生した少数キャリアについても、その移動を、障壁材20と母材10との界面で阻止することができる。
母材10の粒界15の60%以上に、障壁材20が存在していることが好ましい。粒界15の60%以上に障壁材20が存在していれば、少数キャリアの移動を障壁材20で阻止する確率が高くなる。この観点からは、母材10の粒界15の70%以上に、障壁材20が存在していることがより好ましく、母材10の粒界15の80%以上に、障壁材20が存在していることがより一層好ましい。なお、母材10の粒界15の60%以上とは、粒界15の全長に対して60%以上であることをいう。また、母材10の粒界15の全長は、熱電変換材料100の任意の位置から試料を採取し、その試料の組織観察によって求められる。
(障壁材の第2態様)
図5は、障壁材20の第2態様を模式的に示した説明図である。図5は、熱電変換材料100の一部を示している。図5において、上側が高温側であり、下側が低温側である。
障壁材20は、母材10中に分散している。図5では、障壁材20のすべてが母材10中に分散しているが、それに限られず、一部の障壁材20が母材10中以外に存在していてもよい。例えば、一部の障壁材20が、第1態様のように、母材10の粒界に存在していてもよい。すなわち、障壁材20の少なくとも一部が、母材10中に分散していてもよい。
図5には、電子40と正孔50の挙動も示してある。母材10はn型半導体であるため、電子40が多数キャリアであり、正孔50が少数キャリアである。電子40は、障壁材20があっても、障壁材20を通り抜けて、母材10中を高温側から低温側へ移動していく。一方、正孔50は、障壁材20があると、障壁材20と母材10との界面で、その移動を阻止される。
少数キャリアは、高温側に近い部位で発生しやすいが、他の部位でも発生する。障壁材20は、母材10の高温側に近い部位だけでなく、他の部位にも分散している。すなわち、熱電変換材料100の広い範囲にわたって、障壁材20が分散している。これにより、高温側に近い部位で発生した少数キャリアでけでなく、他の部位で発生した少数キャリアについても、その移動を、障壁材20と母材10との界面で阻止することができる。
(障壁材の第3態様)
図6は、障壁材20の第3態様を模式的に示した説明図である。熱電変換材料100において、一端が高温側92であり、他端が低温側94である。熱電変換材料100の一端と他端に電極を接続すると、熱電変換素子になる。なお、一端及び他端は、母材10及び障壁材20の積層方向の端部である。
図6には、以下の説明を容易にするために、便宜的に、熱電変換材料100を四等分する箇所を破線で示してある。以下の説明で、高温側92から熱電変換材料100全体の1/4直前までを、「高温側92から第一等分目」ということがある。熱電変換材料100全体の1/4から1/2直前までを、「高温側92から第二等分目」ということがある。熱電変換材料100全体の1/2から3/4直前までを、「高温側92から第三等分目」ということがある。熱電変換材料100全体の3/4から低温側94までを、「高温側92から第四等分目」ということがある。
障壁材20は、高温側母材10aと低温側母材10bとに挟まれており、高温側母材10a、低温側母材10b、及び障壁材20は積層されている。高温側母材10aと低温側母材10bは、位置が異なるだけで、同一物質であるため、障壁材20は母材10で挟まれており、障壁材20と母材10は積層されている。
図6に示した態様では、高温側92から第二等分目に、障壁材20が一層形成されているが、これに限られない。障壁材20が母材10で挟まれており、障壁材20と母材10が積層されていれば、障壁材20が二層以上形成されていてもよい。障壁材20が二層以上形成されている場合については、次の第4態様で説明する。
図6には、電子40と正孔50の挙動も示してある。母材10はn型半導体であるため、電子40が多数キャリアであり、正孔50が少数キャリアである。電子40は、障壁材20があっても、障壁材20を通り抜けて、高温側母材10aから低温側母材10bへ移動していく。正孔50は、障壁材20と高温側母材10aとの高温側界面30aで、その移動を阻止される。
(障壁材の第4態様)
図7は、障壁材20の第4態様を模式的に示した説明図である。熱電変換材料100において、一端が高温側92であり、他端が低温側94である。一端及び他端は、母材10及び障壁材20の積層方向の端部である。図7には、図6と同様に、熱電変換材料100を四等分する箇所を破線で示してある。また、第4態様の説明においても、第3態様の説明と同様に、「高温側92から第一等分目」等ということがある。
高温側92から第二等分目(以下、単に「第二等分目」ということがある。)と、高温側から第四等分目(以下、単に「第四等分目」ということがある。)とに、それぞれ、障壁材20が一層形成されている。すなわち、第二等分目と第四等分目それぞれに、障壁材20が一層形成されており、熱電変換材料100全体で、障壁材20が二層形成されている。
第二等分目の障壁材20は、第二等分目の高温側母材10aと低温側母材10bとに挟まれている。第四等分目の障壁材20は、第四等分目の高温側母材10aと低温側母材10bとに挟まれている。上述したように、図6の破線は、便宜上示したものであるため、熱電変換材料100全体で、高温側92から低温側94に向かって、母材10−障壁材20-母材10−障壁材20−母材10の順で、五層が積層されている。
障壁材20が二層以上形成されている態様としては、障壁材20が母材10で挟まれており、障壁材20と母材10が積層されていれば、図7に示した形態に限られない。例えば、第二等分目の障壁材20と同様に、第一等分目と第三等分目それぞれに、障壁材20が形成されていてもよい。すなわち、母材10と障壁材20とが交互に積層され、かつ、高温側92の一端と低温側94の他端とが母材10であり、熱電変換材料100全体で、合計十二層が積層されていてもよい。
また、例えば、第二等分目に、母材10−障壁材20-母材10−障壁材20−母材10の順で、二層以上の障壁材20が形成されていてもよい。すなわち、熱電変換材料100全体で、母材10と障壁材20とが交互に積層され、かつ、高温側92の一端と低温側94の他端とが母材10であってもよい。
このように、二層以上の障壁材20が形成される場合、高温側92から二等分目に、障壁材20の少なくとも一層が形成されていることが好ましい。この理由を、図7で示した態様で説明する。
図7には、電子40と正孔50の挙動も示してある。母材10はn型半導体であるため、電子40が多数キャリア、正孔50が少数キャリアである。なお、破線で示した矢印は、仮に、二等分目の障壁材20が形成されていないときに、正孔50の移動が、第四等分目の障壁材20の高温側界面30aで阻止される挙動を示した。
第二等分目及び第四等分目のいずれの障壁材20においても、電子40は、障壁材20を通り抜けて、高温側母材10aから低温側母材10bへ移動していく。一方、第二等分目及び第四等分目のいずれの障壁材20においても、正孔50は、障壁材20と高温側母材10aとの高温側界面30aで、その移動を阻止される。
図7に示した態様で、仮に、第二等分目の障壁材20が形成されていないと、破線の矢印が示したように、第四等分目の障壁材20の高温側界面30aで、正孔50の移動が阻止される。図7に示したように、第二等分目の障壁材20の高温側界面30aで正孔50の移動が阻止された場合と比べて、第四等分目の障壁材20の高温側界面30aで正孔50の移動が阻止された場合には、少数キャリアがL−Lで表される距離を余分に移動する。これにより、正孔50が、この余分な距離を移動する間に、熱電変換材料100の熱起電力を著しく低下させる。また、熱電変換材料100の内部で、高温側92に近いほど、少数キャリアが発生しやすい。これらのことから、少数キャリアは、第二等分目で阻止することが好ましい。そのためには、高温側92から第二等分目に、障壁材20の少なくとも一層が形成されていることが好ましい。
(障壁材の第5態様)
図8は、障壁材20の第5態様を模式的に示した説明図である。熱電変換材料100において、一端が高温側92であり、他端が低温側94である。一端及び他端は、母材10及び障壁材20の積層方向の端部である。図8には、図6と同様に、熱電変換材料100を四等分する箇所を破線で示してある。また、第5態様の説明においても、第3態様と同様に、「高温側92から第一等分目」等ということがある。
第5態様では、高温側母材10aと障壁材20との間に、さらに、高温側中間材22aが積層されている。また、低温側母材10bと障壁材20との間に、さらに、低温側中間材22bが積層されている。
図8に示した態様では、高温側中間材22aと低温側中間材22bの両方が積層されているが、これに限られず、高温側中間材22aと低温側中間材22bのいずれか一方のみが積層されていてもよい。また、熱電変換材料100に、二層以上の障壁材20が積層されている場合、そのすべて障壁材20に対して中間材22を積層してもよいし、少なくとも一層の障壁材20に対して中間材22を積層してもよい。すなわち、母材10と少なくとも一層の障壁材20との間に、さらに、中間材22が積層されていてもよい。
中間材22はMgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有する。中間材22は、焼結体等の多結晶体であってよい。中間材22は、MgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)の他に、不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物としては、原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、その含有を回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物が挙げられる。MgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)は、MgSiの一部がSnで置換されており、Mgが2原子に対して、SiとSnの合計が1原子の割合で結晶を構成している。このような割合で結晶を構成していない一部の結晶も不可避的不純物として挙げられる。不可避的不純物は、熱電変換材料全体に対して、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がより一層好ましい。
母材10がMgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)を含有し、障壁材20がMgSi1−ySn(yは、0〜0.30)を含有するのに対し、中間材22はMgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有する。母材10及び中間材22は、いずれも、MgSiの一部をSnで置換したマグネシウムシリサイドを含有する。障壁材20は、MgSi、あるいは、MgSiの一部をSnで置換したマグネシウムシリサイドを含有する。中間材22におけるSnの置換量は、母材10及び障壁材20におけるSnの置換量の中間である(以下、中間材22がこのようなSnの置換量を有することを、「中間材22が中間置換量を有する」ということがある。)。
母材10の主成分であるMgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)の熱膨張率と、障壁材20の主成分であるMgSi1−ySn(yは、0〜0.30)の熱膨張率は、大きく異なる。これにより、熱電変換材料100が100℃以上の高温になったとき、高温側母材10aと障壁材20との界面、あるいは、低温側母材10bと障壁材20との界面で亀裂が生じることがある。中間材22が中間置換量を有することによって、このような亀裂が生じることを抑制することができる。
また、中間材22が中間置換量を有すると、界面近傍でのバンドベンディングによって、伝導帯側のバンドオフセットΔcを低減することができる。これにより、多数キャリアである電子40が、一層円滑に、高温側母材10aから、中間材22a、障壁材20、中間材22bを通り抜けて、低温側母材10bに移動することができる。その結果、熱起電力を向上させることができる。
中間材22の厚さは、上述した効果が得られれば、特に制限はなく、例えば、5μm以上、10μm以上、又は50μm以上であってよく、500μm以下、200μm以下、又は100μm以下であってよい。中間材22が、高温側中間材22a及び/又は低温側中間材22bを有する場合には、上述した厚さは、高温側中間材22a及び低温側中間材22bそれぞれの厚さである。
(第1態様及び/又は第2態様の障壁材を備える場合の中間材)
熱電変換材料100が、第1態様及び第2態様の障壁材20を備える場合においても、熱電変換材料100は、さらに、中間材を備えることができる。この場合、中間材の態様は、母材10の粒界に存在するか、母材10中に分散しているか、これらの組み合せであってよい。このような中間材は、MgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有する。熱電変換材料100が中間材を備えると、界面近傍でのバンドベンディングにより、伝導帯側のバンドオフセットΔcを低減することができる。その結果、多数キャリアである電子40が、一層円滑に、高温側から低温側に移動することができ、熱起電力を向上することができる。
中間材の含有量は、障壁材に対して、5〜40体積%であることが好ましい。中間材の体積率は、障壁材を組織観察したとき、中間材の面積率と同一であるとする。中間材の体積率が5体積%以上であれば、伝導帯側のバンドオフセットΔcを低減する効果が明瞭に表れる。この観点からは、中間材の含有量は、10体積%以上、15体積%以上、又は20体積%以上であってもよい。一方、中間材の含有量が40体積%以下であれば、熱電性能が低下することはない。この観点からは、中間材の含有量は、35体積%以下、30体積%以下、又は25体積%以下であってもよい。
(第1態様及び/又は第2態様の障壁材の含有量)
熱電変換材料100が、第1態様及び/又は第2態様の障壁材20を備える場合、熱電変換材料100全体に対して、障壁材20を5〜20体積%含有することが好ましい。障壁材20の体積率は、熱電変換材料100を組織観察したとき、障壁材20の面積率と同一であるとする。
障壁材20の含有量が5体積%以上であれば、障壁材20で電子40の移動を阻止する効果が明瞭に認められるようになる。電子40の移動を阻止する観点からは、障壁材20の含有量は、10体積%以上がより好ましく、12体積%以上がより一層好ましい。熱電変換材料100が、第1態様の障壁材20を備える場合、障壁材20を10体積%以上含有すると、母材10の粒界15の80%以上に、障壁材20が存在する。
一方、障壁材20の含有量が20体積%以下であれば、熱電性能が低下することはない。熱電性能の低下の観点からは、障壁材20の含有量は、18体積%以下がより好ましく、15体積%以下がより一層好ましい。
(第3態様、第4態様、及び/又は第5態様の障壁材の厚さ)
熱電変換材料100が、第3態様、第4態様、及び/又は第5態様の障壁材20を備える場合、障壁材20の厚さは、10〜500μmであることが好ましい。
第3態様、第4態様、及び/又は第5態様の障壁材20の形態は、層状である。例えば、図6(第3態様)で説明すると、層状の障壁材20は、正孔50が高温側母材10aから低温側母材10bに移動することを阻止する。障壁材20の厚さが10μm以上であれば、高温側母材10aと低温側母材10bとの連通経路の存在確率が低くなり、正孔50が障壁材20を通り抜けるのを阻止し易くなる。連通経路の存在確率が低くする観点からは、障壁材20の厚さは、100μm以上がより好ましく、200μm以上がより一層好ましい。
一方、障壁材20の厚さが500μm以下であれば、障壁材20の亀裂発生によって、正孔50が障壁材20を通り抜け易くなることを抑制できる。障壁材20の厚さが500μm以下であれば、障壁材20が脆くなり、障壁材20に亀裂を生じて、その亀裂が、高温側母材10aと低温側母材10bとの連通経路となることを抑制できるためである。障壁材20が脆くなることを抑制する観点からは、障壁材20の厚さは、450μm以下がより好ましく、400μm以下がより一層好ましい。
(第3態様、第4態様、及び/又は第5態様の障壁材を備える熱電変換材料の使用)
熱電変換材料100が、第3態様、第4態様、及び/又は第5態様の障壁材を備える場合の好ましい使用方法について説明する。
図9は、熱電変換材料100の両端の温度差が10Kである場合における、キャリアの挙動を模式的に示す説明図である。図10は、熱電変換材料の両端の温度差が100Kである場合における、キャリアの挙動を模式的に示す説明図である。
図9及び図10に示したいずれの熱電変換材料100についても、高温側92の温度を600Kにしたときを例に説明する。図9の熱電変換材料100については、両端の温度差が10Kであるため、低温側94の温度は590Kである。一方、図10の熱電変換材料100については、両端の温度差が100Kであるため、低温側94の温度は500Kである。
図9で示した熱電変換材料100では、低温側94が590Kになっていることから、低温側母材10bは590Kを超えている。そのため、低温側母材10の内部では、図9の破線の円で示したように、少数キャリアである正孔50が発生し易い。そして、この正孔50は障壁材20に阻止されることなく低温側94に移動する。このため、図9に示すように、障壁材20を跨ぐ電圧計85で測定した熱起電力は、著しく低下する。
一方、図10で示した熱電変換材料100では、低温側94が500Kになっていることから、図9で示した熱電変換材料100と比べて、低温側母材10bの温度が低い。そのため、図10で示した熱電変換材料100では、低温側母材10bの内部で、少数キャリアである正孔50が発生し難い。そのため、熱起電力が低下し難い。この熱起電力は、図10に示すように、障壁材20を跨ぐ電圧計85で測定できる。
このようなことから、第3態様、第4態様、及び/又は第5態様の障壁材20を備える熱電変換材料100は、熱電変換材料100の両端に与える温度差が大きいほど、少数キャリアである正孔50の移動を阻止する効果が大きい。
(熱電変換材料の製造方法)
次に、本開示の熱電変換材料の製造方法について説明する。熱電変換材料が、これまで説明してきた構成要件を満たしていれば、その製造方法は特に制限されない。例えば、次のような製造方法が挙げられる。
(母材合金塊の作製)
Mg、Si、Sn、及びn型ドーパントを含有する原材料を秤量する。所望の母材合金塊が得られれば、原材料は特に限定されない。原材料としては、Mg粉末、Si粉末、Sn粉末、n型ドーパントの粉末が好ましい。MgSi粉末とSn粉末を用いてもよい。各原材料を粉末にすることで、合金化を行いやすい。n型ドーパントとしては、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上が挙げられる。
母材合金塊が、MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)とn型ドーパントを含有するように、それぞれの原材料を秤量する。秤量された原材料を容器に装入し、容器内を加熱して、第一合金化熱処理を行う。容器内は、原材料の酸化を抑制するため、不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。不活性ガス雰囲気には窒素ガス雰囲気を含む。このようにして、母材合金塊を得る。
母材合金塊中のn型ドーパント含有量が、次のようになるように、n型ドーパントの原材料を秤量すればよい。n型ドーパントの含有量は、MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)に対して、0.001原子%以上、0.010原子%以上、又0.100原子%以上であってよい。また、n型ドーパントの含有量は、MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)に対して、5.000原子%以下、3.000原子%以下、又は1.000原子%であってよい。
(障壁材合金塊の作製)
Mg、Si、及びSnを含有する原材料を秤量する。所望の障壁材合金塊が得られれば、原材料は特に限定されない。原材料としては、Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末が好ましい。MgSi粉末とSn粉末を用いてもよい。各原材料を粉末にすることで、合金化を行いやすい。
障壁材合金塊が、MgSi1−xSn(xは、0〜0.30)を含有するように、それぞれの原材料を秤量する。秤量された原材料を容器に装入し、容器内を加熱して、第二合金化熱処理を行う。容器内は、原材料の酸化を抑制するため、不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。不活性ガス雰囲気には窒素ガス雰囲気を含む。このようにして、障壁材合金塊を得る。
(第一合金化熱処理の温度)
第一合金化熱処理の温度は、600〜750℃が好ましい。母材は障壁材よりもSnの含有量が多く、障壁材よりも母材の方が融点が低いため、第一合金化熱処理の温度が600℃以上であれば、Mg、Si、及びSnが相互に拡散し易い。そのとき、n型ドーパントも相互に拡散し易い。これらの元素の相互拡散の観点からは、第一合金化熱処理の温度は、650℃以上がより好ましく、680℃以上がより一層好ましい。一方、第一合金化熱処理の温度が、750℃以下であれば、原材料が蒸発等によって減耗することを、抑制することができる。原材料の減耗を抑制する観点からは、第一合金化熱処理の温度は、720℃以下がより好ましい。
(第一合金化熱処理の時間)
第一合金化熱処理の時間は、原材料粉末の粒径と量によって適宜決定すればよい。第一合金化熱処理の時間は、6時間以上、8時間以上、又は10時間以上であってよく、18時間以下、16時間以下、又は14時間以下であってよい。
(第二合金化熱処理の温度)
第二合金化熱処理の温度は、800〜950℃が好ましい。障壁材は母材よりもSnの含有量が少なく、障壁材は母材よりも融点が高いため、第二合金化熱処理の温度を800℃以上にすることによって、Mg、Si,及びSnが相互に拡散し易い。これらの元素の相互拡散の観点からは、第二合金化熱処理の温度は、850℃以上がより好ましく、880℃以上がより一層好ましい。一方、第二合金化熱処理の温度が、950℃以下であれば、原材料が蒸発等によって減耗することを、抑制することができる。原材料の減耗を抑制する観点からは、第二合金化熱処理の温度は、920℃以下がより好ましい。
(第二合金化熱処理の時間)
第二合金化熱処理の時間は、原材料粉末の粒径と量によって適宜決定すればよい。第二合金化熱処理の時間は、6時間以上、8時間以上、又は10時間以上であってよく、18時間以下、16時間以下、又は14時間以下であってよい。
(母材合金塊の解砕)
第一合金化熱処理によって得た母材合金塊を解砕して、母材合金粉末を得る。解砕の方法に制限はない。解砕の方法としては、乳鉢と乳棒、カッターミル、ボールミル、及びジェットミルの使用等が挙げられる。
母材合金粉末の粒径は、5〜100μmが好ましい。母材合金粉末の粒径が5μm以上であれば、母材合金粉末が凝集して、障壁材合金粉末と混合し難くなることを抑制できる。凝集を抑制する観点からは、母材合金粉末の粒径は、10μm以上がより好ましく、40μm以上がより一層好ましく、70μm以上がさらにより一層好ましい。一方、母材合金粉末の粒径が100μm以下であれば、焼結に支障が生じることを抑制できる。焼結に支障が生じることを抑制する観点からは、母材合金粉末の粒径は、90μm以下がより好ましく、80μm以下がより一層好ましい。
なお、本明細書で、特に断りがない限り、粒径は、円相当径を意味し、粒径が範囲で記載されている場合には、全粒子の80%以上がその範囲内に分布しているものとする。
(障壁材合金塊の解砕)
第二合金化熱処理によって得た障壁材合金塊を解砕して、障壁材合金粉末を得る。解砕の方法に制限はない。解砕の方法としては、乳鉢と乳棒、カッターミル、ボールミル、及びジェットミルの使用等が挙げられる。
障壁材合金粉末の粒径は、5〜50μmが好ましい。障壁材合金粉末の粒径が5μm以上であれば、障壁材合金粉末が凝集して、母材合金粉末と混合し難くなることを抑制できる。凝集を抑制する観点からは、障壁材合金粉末の粒径は、10μm以上がより好ましく、20μm以上がより一層好ましい。一方、障壁材合金粉末の粒径が50μm以下であれば、焼結に支障が生じることを抑制できる。焼結に支障が生じることを抑制する観点からは、障壁材合金粉末の粒径は、40μm以下がより好ましい。
熱電変換材料が、第1態様及び/又は第2態様の障壁材を備える場合、障壁材合金粉末の粒径を母材合金粉末の粒径よりも小さくすることが好ましい。これにより、障壁材が、母材の粒界に存在し易くなるか、あるいは、障壁材が母材中に分散し易くなる。
(圧粉体の作製)
母材合金粉末と障壁材合金粉末を用いて、圧粉体を得る。図11は、熱電変換材料が、第1態様及び/又は第2態様の障壁材を備えるように、圧粉体を作製する方法の一例を示す説明図である。図12は、熱電変換材料が、第3態様の障壁材を備えるように、圧粉体を作製する方法の一例を示す説明図である。
(母材合金粉末と障壁材合金粉末の混合による圧粉体の作製)
図11で示した方法について説明する。乳鉢70と乳棒71を用いて、母材合金塊13を解砕して、母材合金粉末14を得る。同様に、乳鉢70と乳棒71を用いて、障壁材合金塊23を解砕して、障壁材合金粉末24を得る。母材合金粉末14と障壁材合金粉末24を乳鉢70に装入し、乳棒71を用いて混合して、混合粉末34を得る。混合粉末34を金型80に装入し、これをパンチ82を用いて圧粉して、圧粉体を得る。金型80とパンチ82金型80の内壁には、混合粉末34の装入前に、カーボンシート(図示しない)を設置しておくことが好ましい。カーボンシートによって、圧粉時に混合粉末34が金型80の内壁に溶着することを防止することができる。
上述したように、母材の主成分であるMgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)の融点よりも、障壁材の主成分であるMgSi1−ySn(yは、0〜0.30)の融点が高い。これにより、母材合金粉末と障壁材合金粉末が混合されている圧粉体を焼結すると、障壁材の少なくとも一部が、母材の粒界に存在するか、障壁材の少なくとも一部が、母材中に分散する。これは、MgSi1−xSnとMgSi1−ySnの融点の違いにより、焼結時に、MgSi1−xSnとMgSi1−ySnとが相互に拡散し難いためである。焼結方法については後述する。
図11に示した方法で得た圧粉体の体積全体に対して、圧粉体中の障壁材合金粉末の占める部分が5〜20体積%であることが好ましい。このような圧粉体を焼結すると、熱電変換材料全体に対して、障壁材を5〜20体積%含有させることができる。すなわち、圧粉体の体積全体に対する、圧粉体中の障壁材合金粉末の占める割合(体積%)が、熱電変換材料全体に対する、障壁材の割合(体積%)に相当する。
また、圧粉体中の障壁材合金粉末の占める部分が5〜20体積%の範囲であるとき、障壁材合金粉末の占める部分が多い方が、焼結後の熱電変換材料中で、障壁材が母材の粒界に存在し易い。
図11において、母材合金粉末14と障壁材合金粉末24の他に、中間材合金粉末(図示しない)を混合してもよい。すなわち、母材合金粉末14、障壁材合金粉末24、及び中間材粉末を混合して、混合粉末34を得てもよい。このようにして得た混合粉末34を、金型80に装入し、パンチ82を用いて圧粉して、圧粉体を得る。このとき、同様に、カーボンシートを設置することが好ましい。
中間材合金粉末は、次のように作製する。Mg、Si、及びSnを含有する原材料を秤量する。所望の中間材合金塊が得られれば、原材料は特に限定されない。原材料としては、Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末が好ましい。MgSi粉末とSn粉末を用いてもよい。各原材料を粉末にすることで、合金化を行いやすい。
中間材合金塊が、MgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有するように、それぞれの原材料を秤量する。秤量された原材料を容器に装入し、容器内を加熱して、第三合金化熱処理を行う。容器内は、原材料の酸化を抑制するため、不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。不活性ガス雰囲気には窒素ガス雰囲気を含む。このようにして、中間材合金塊を得る。
中間材のSnの含有量は、障母材のSnの含有量と障壁材のSnの含有量との間であるため、中間材の融点は、母材の融点と障壁材の融点の間である。そのため、第三合金化熱処理の温度は、第一合金化熱処理の温度と第二合金化熱処理の温度との間にすることが好ましい。具体的には、第三合金化熱処理の温度は、700〜850℃が好ましい。第三合金化熱処理の温度が、700℃以上であれば、Mg、Si,及びSnが相互に拡散し易い。これらの元素の相互拡散の観点からは、第三合金化熱処理の温度は、750℃以上がより好ましく、780℃以上がより一層好ましい。一方、第三合金化熱処理の温度が、850℃以下であれば、原材料が蒸発等によって減耗することを、抑制することができる。原材料の減耗を抑制する観点からは、第三合金化熱処理の温度は、820℃以下がより好ましい。
第三合金化熱処理の時間は、原材料粉末の粒径と量によって適宜決定すればよい。第三合金化熱処理の時間は、6時間以上、8時間以上、又は10時間以上であってよく、18時間以下、16時間以下、又は14時間以下であってよい。
第三合金化熱処理によって得た障壁材合金塊を解砕して、障壁材合金粉末を得る。解砕の方法に制限はない。解砕の方法としては、乳鉢と乳棒、カッターミル、ボールミル、及びジェットミルの使用等が挙げられる。
中間材合金粉末の粒径は、障壁材合金粉末の粒径に準拠する。中間材合金粉末の粒径は、10〜50μmが好ましい。中間材合金粉末の粒径が10μm以上であれば、中間材合金粉末が凝集して、母材合金粉末及び障壁材合金粉末と混合し難くなることを抑制できる。凝集を抑制する観点からは、中間材合金粉末の粒径は、20μm以上がより好ましい。一方、中間材合金粉末の粒径が50μm以下であれば、焼結に支障が生じることを抑制できる。焼結に支障が生じることを抑制する観点からは、中間材合金粉末の粒径は、40μm以下がより好ましい。
中間材合金粉末の粒径を母材合金粉末の粒径よりも小さくすることが好ましい。これにより、中間材が、母材の粒界に存在し易くなるか、あるいは、障壁材が母材中に分散し易くなる。
中間材合金粉末の量は、使用する粉末全体に対して、1体積%以上、2体積%以上、3体積%以上、又は4体積%以上であってよく、10体積%以下、9体積%以下、8体積%以下、又は7体積%以下であってよい。
(母材合金粉末と障壁材合金粉末の積層による圧粉体の作製)
図12で示した方法について説明する。乳鉢70と乳棒71を用いて、母材合金塊13を解砕して、母材合金粉末14を得る。同様に、乳鉢70と乳棒71を用いて、障壁材合金塊23を解砕して、障壁材合金粉末24を得る。
金型80の底にパンチ82を設置し、金型80の上方開口部から母材合金粉末14を装入し、母材合金粉末14を堆積して、母材合金粉末層16を形成する。そして、金型80の上方開口部から障壁材合金粉末24を装入し、母材合金粉末層16の上方に、障壁材合金粉末24を堆積して、障壁材合金粉末層26を形成する。さらに、金型80の上方開口部から母材合金粉末14を装入し、母材合金粉末14を堆積して、母材合金粉末層16を形成する。これにより、障壁材合金粉末層26を母材合金粉末層16で挟みつつ、母材合金粉末層16と障壁材合金粉末層26を積層して、粉末積層体を得る。そして、この粉末積層体を、パンチ82で圧粉して、圧粉体を得る。金型80の内壁には、母材合金粉末14と障壁材合金粉末24を装入する前に、カーボンシート(図示しない)を設置しておくことが好ましい。カーボンシートによって、圧粉時に母材合金粉末14と障壁材合金粉末24が金型80の内壁に溶着することを防止することができる。
上述したように、母材の主成分であるMgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)の融点よりも、障壁材の主成分であるMgSi1−ySn(yは、0〜0.30)の融点が高い。これにより、障壁材合金粉末層を母材合金粉末層で挟んで得た圧粉体を焼結すると、障壁材が母材で挟まれた積層体を得ることができる。これは、MgSi1−xSnとMgSi1−ySnの融点の違いにより、焼結時に、MgSi1−xSnとMgSi1−ySnとが相互に拡散し難く、母材と障壁材の境界が明瞭な積層体となるためである。焼結方法については後述する。
図12で示した例では、一層の障壁材合金粉末層を有する粉末積層体が示されているが、粉末積層体はこれに限られない。図12に示したように、母材合金粉末層16−障壁材合金粉末層26−母材合金粉末層16を積層した上方に、さらに、障壁材合金粉末層26と母材合金粉末層16を積層してもよい。すなわち、母材合金粉末層16−障壁材合金粉末層26−母材合金粉末層16−障壁材合金粉末層26−母材合金粉末層16をこの順で積層した、合計五層の粉末積層体としてもよい。この粉末積層体は、二層の障壁材合金粉末層26を有する。
熱電変換材料が、第4態様の障壁材を備えるためには、次のように粉末積層体を作製する。上述したように、第4態様の障壁材とは、熱電変換材料を積層方向に四等分したとき、高温側から第二等分目に、少なくとも一層形成されている障壁材である。
粉末積層体の積層長さを四等分して、粉末積層体の一端から二等分目に、障壁材合金粉末層を少なくとも一層有するように、母材合金粉末層と障壁材合金粉末層を積層して、粉末積層体を得る。
図12において、母材合金粉末層16と障壁材合金粉末層26の間に、さらに、中間材合金粉末層(図示しない)を積層して、粉末積層体を得てもよい。これにより、熱電変換材料が第5態様の障壁材を備える。上述したように、第5態様の障壁材とは、母材と少なくとも一層の障壁材との間に、さらに中間材が積層されている障壁材である。そして、中間材はMgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有する。
母材合金粉末、障壁材合金粉末、及び中間材粉末を混合して、混合粉末を得る場合と同様にして、中間材合金粉末を得ることができる。また、このようにして得られた中間材合金粉末を堆積して、中間材合金層を形成する。
(圧粉体の焼結)
これまで説明してきたように、圧粉体を作製し、その圧粉体を焼結して、焼結体を得る。この焼結体は、上述した構成要件を満たす熱電変換材料である。
加圧焼結方法は、常法に準する。例えば、放電プラズマ焼結法(SPS:Spark Plasma Sintering)等が挙げられる。
焼結圧力は、例えば、10MPa以上、20MPa以上、又は30MPa以上であってよく、100MPa以下、80MPa以下、60MPa以下、又は40MPa以下であってよい。
焼結温度は、600℃以上、640℃以上、又は680℃以上であってよく、800℃以下、780℃以下、又は760℃以下であってよい。
第3態様〜第5態様の障壁材を備える熱電変換材料を得るためには、次のようにすることが好ましい。母材と障壁材、母材と中間材、あるいは、障壁材と中間材とを、界面で強固に接合させるため、焼結温度は、730〜760℃が好ましい。界面付近で亀裂が発生することを抑制するため、降温時に400℃までは、0.1〜10.0℃/分の速度で降温することが好ましい。この観点からは.400℃までは、0.5〜3.0℃/分の速度で降温することがより好ましい。
焼結時間は、10分以上又は15分以上であってよく、120分以下、80分以下、又は40分以下であってよい。第3態様〜第5態様の障壁材を備える熱電変換材料を得るためには、焼結時間は30分以上が好ましい。焼結雰囲気は、粉末の酸化を抑制するため、不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気を含む。
以下、本開示の熱電変換材料及びその製造方法を、実施例により、さらに具体的に説明する。なお、本開示の熱電変換材料及びその製造方法は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
(試料の作製)
本開示に係る熱電変換材料の実施例及び比較例の試料を、次の要領で作製した。
(実施例1〜4及び比較例1〜2)
まず、図11に示したように、母材合金粉末と障壁材合金粉末を混合することを含む、実施例1〜4の試料と、これらと比較すべき比較例1〜2の試料の作製方法について説明する。
(実施例1)
Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末を、MgSi0.30Sn0.70で表される組成になるように秤量した。また、MgSi0.30Sn0.70に対して、Sbが0.70原子%になるように、Sb粉末を秤量した。これらの粉末を混合し、これを第一合金化熱処理して、母材合金塊を得た。第一合金化熱処理の条件としては、温度を700℃、時間を12時間とした。
Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末を、MgSiで表される組成になるように秤量して混合し、これを第二合金化熱処理して、障壁材合金塊Aを得た。また、Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末を、MgSi0.8Sn0.2で表される組成になるように秤量して混合し、これを第二合金化熱処理して、障壁材合金塊Bを得た。第二合金化熱処理の条件としては、障壁材合金塊A及びBのいずれの場合も、温度を900℃、時間を12時間とした。
図11に示した要領で、圧粉体を得た。母材合金粉末の粒径は10〜75μmであった。障壁材合金粉末A及びBの粒径は、いずれも、5〜30μmであった。熱電変換材料全体に対して、障壁材が10体積%になるように、母材合金粉末並びに障壁材合金粉末B及びCを配合して、混合粉末を得た。すなわち、母材合金粉末並びに障壁材合金粉末A及びBの合計に対して、障壁材合金粉末A及びBを10体積%配合した。
このようにして得た圧粉体を焼結した。焼結条件としては、放電プラズマ焼結法により、700℃で30分にわたり焼結した。このようにして得た焼結体を実施例1の試料とした。
(実施例2)
障壁材合金塊として、障壁材合金塊Aのみとしたこと以外、実施例1と同様にして、実施例2の試料を作製した。なお、障壁材合金粉末Aの配合割合については、母材合金粉末及び障壁材合金粉末Aの合計に対して、障壁材合金粉末Aを10体積%配合した。
(実施例3)
障壁材合金塊として、障壁材合金塊Bのみとし、かつ、Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末を、MgSi0.85Sn0.15で表される組成になるように秤量して、障壁材合金塊Bを得たこと以外、実施例1と同様にして、実施例3の試料を作製した。なお、障壁材合金粉末Bの配合割合については、母材合金粉末及び障壁材合金粉末Bの合計に対して、障壁材合金粉末Bを10体積%配合した。
(実施例4)
母材合金粉末並びに障壁材合金粉末A及びBの合計に対して、障壁材合金粉末A及びBを5体積%配合したこと以外、実施例1と同様にして、実施例4の試料を作製した。
(比較例1)
障壁材合金塊として、障壁材合金塊Bのみとし、かつ、Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末を、MgSi0.60Sn0.40で表される組成になるように秤量して、障壁材合金塊Bを得たこと以外、実施例1と同様にして、比較例1の試料を作製した。なお、障壁材合金粉末Bの配合割合については、母材合金粉末及び障壁材合金粉末Bの合計に対して、障壁材合金粉末Bを10体積%配合した。
(比較例2)
母材合金塊のみを作製し、障壁材合金塊を作製しなかったこと以外、実施例1と同様にして、比較例2の試料を作製した。
(実施例5〜7及び比較例3〜4)
まず、図12に示したように、母材合金粉末層と障壁材合金粉末層を積層することを含む、実施例5〜7の試料と、これらと比較すべき比較例3〜4の試料の作製方法について説明する。
(実施例5)
Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末を、MgSi0.30Sn0.70で表される組成になるように秤量した。また、MgSi0.30Sn0.70に対して、Sbが0.20原子%になるように、Sb粉末を秤量した。これらの粉末を混合し、これを第一合金化熱処理して、母材合金塊を得た。第一合金化熱処理の条件としては、温度を700℃、時間を12時間とした。
Mg粉末及びSi粉末を、MgSiで表される組成になるように秤量して混合し、これを第二合金化熱処理して、障壁材合金塊を得た。第二合金化熱処理の条件としては、温度を900℃、時間を12時間とした。
図12に示した要領で、圧粉体を得た。母材合金粉末の粒径は10〜75μmであった。障壁材合金粉末の粒径は、いずれも、5〜30μmであった。障壁材合金混合粉末層を、高温側から3/8に配置し、障壁材が第二等分目に形成されるようにした。母材合金粉末と障壁材合金粉末の使用量については、母材合金粉末と障壁材合金粉末の合計使用量に対して、障壁材合金粉末を5体積%使用した。
このようにして得た圧粉体を焼結した。焼結条件としては、放電プラズマ焼結法により、750℃で30分にわたり焼結した。また、400℃までは、1.0℃/分の速度で昇温した。このようにして得た焼結体を実施例5の試料とした。
(実施例6)
Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末を、MgSi0.85Sn0.15で表される組成になるように秤量して、障壁材合金塊を得たこと以外、実施例5と同様にして、実施例6の試料を作製した。
(実施例7)
Mg粉末及びSi粉末を、MgSiで表される組成になるように秤量して、障壁材合金塊を得たこと、障壁材合金粉末層を高温側から5/8に配置し、障壁材が第三等分目に形成されるようにしたこと以外、実施例5と同様にして、実施例7の試料を作製した。
(比較例3)
母材合金塊のみを作製し、障壁材合金塊を作製しなかったこと以外、実施例5と同様にして、比較例3の試料を作製した。
(比較例4)
Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末を、MgSi0.50Sn0.50で表される組成になるように秤量して、障壁材合金塊を得たこと以外、実施例5と同様にして、比較例4の試料を作製した。
(評価)
実施例及び比較例の試料それぞれについて、熱起電力及び電気抵抗率を測定した。また、熱起電力及び電気抵抗率からPF(パワーファクタ)を算出した。これらの測定方法及算出方法を次に説明する。
(熱起電力の測定方法)
熱起電力(μV/K)の測定方法について説明する。試料の両端に銅ブロックを接触させて、これら全体を測定温度まで加熱した。試料の両端とは、高温側の端部と低温側の端部をいう。
実施例1〜4及び比較例1〜2の試料については、高温側の銅ブロックと低温側の銅ブロックとで10Kの温度差をつけ、高温側と低温側の中央付近の2点間で、電流がゼロになる電圧を測定した。そして、その電圧の測定値から、熱起電力の絶対値を算出した。この測定方法は、熱電変換材料のゼーベック係数の一般的な測定方法と同じである。
さらに、実施例1、実施例4、及び比較例2については、高温側を273〜673Kの間で変化させ、高温側の銅ブロックと低温側の銅ブロックとで10Kの温度差をつけて、同様に熱起電力を測定した。
実施例5〜7及び比較例3〜4の試料については、高温側の銅ブロックと低温側の銅ブロックとで100K以上の温度差をつけ、障壁材を挟む2点間で、電流がゼロになる電圧を測定した。そして、その電圧の測定値から、熱起電力の絶対値を算出した。この測定方法は、熱電変換材料のゼーベック係数の一般的な測定方法とは異なるが、この測定方法で得られた熱起電力の値は、ゼーベック係数にほぼ等しい。
(電気抵抗率の測定方法)
試料の両端の電気抵抗値を測定し、この測定値を試料の両端の距離で除して電気抵抗率を算出した。
(PF(パワーファクタ)の算出方法)
上述した(C)式を用いて、PFを算出した。(C)式のゼーベック係数には熱起電力を、電気伝導率には電気抵抗率の逆数を代入した。
(ミクロ組織観察)
実施例2の試料については、走査型電子顕微鏡(SEM: Scanning Electron Microscope)を用いて組織観察を行った。また、エネルギー分散型X線分析法(EDX:Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)により、Si元素の面分析(マッピング)を行った。
(X線回折分析)
実施例5の試料の障壁材近傍のX線回折(XRD: X−Ray Diffraction)分析を行った。
(評価結果)
実施例1〜4及び比較例1〜2についての熱起電力及び電気抵抗率の測定結果、並びにPFの算出結果を表1に示す。表1には、母材及び障壁材の組成、障壁材の態様、熱電変換材料全体に対する障壁材の含有量、並びに、熱起電力測定時の高温側及び低温側の温度を併記した。また、図13に、実施例1、実施例4、及び比較例1について、温度と熱起電力の関係を示した。
また、実施例5〜7及び比較例3〜4についての熱起電力及び電気抵抗率の測定結果、並びにPFの算出結果を表2に示す。表2には、母材及び障壁材の組成、障壁材の形成位置、熱電変換材料全体に対する障壁材の含有量、障壁材の厚さ、並びに、熱起電力測定時の高温側及び低温側の温度を併記した。さらに、表2には、熱電変換材料の両端の温度差が10Kの場合における、熱起電力測定時の高温側及び低温側の温度、並びに、熱起電力を併記した。
実施例2についてのSi元素の面分析(マッピング)結果を図14に示す。実施例5について、X線回折分析を行った位置を図15に示す。また、その結果を図16に示す。
表1から分かるように、実施例1〜3の熱電変換材料は、比較例1〜2の熱電変換材料よりも、熱起電力及びPFが大きく、熱電性能に優れることを確認できた。また、図13から分かるように、高温側の温度が変化しても、実施例1及び4の熱電変換材料は、比較例2の熱電変換材料よりも、熱起電力が大きいことが確認できた。
さらに詳細には、表1及び図13から、実施例4の熱電変換材料は、比較例2の熱電変換材料よりも、熱起電力が僅かに大きい。一方、表1から、実施例4の熱電変換材料は、比較例1の熱電変換材料よりも、熱起電力が充分大きい。これらのことから、実施例4の熱電変換材料ように、障壁材の含有量が5体積%と少ない場合であっても、比較例1のように、Snの含有量が多い障壁材を含有する場合に対しては、本開示の熱電変換材料の効果が充分に奏されることを確認できた。
表2から分かるように、実施例5〜7の熱電変換材料は、比較例3〜4の熱電変換材料よりも、熱起電力が大きいことが確認できた。さらに、実施例5〜6の熱電変換材料は、比較例3〜4の熱電変換材料よりも、PFが大きく、障壁材が第二等分目に存在することによって、熱電性能が一層向上することを確認できた。
図15において、b及びcで示した部位は、圧粉体において、障壁材合金粉末層を配置した部位に相当する。図16から分かるように、b及びcで示した部位には、MgSiのピークが認められる。実施例5の熱電変換材料において、MgSiは、障壁材の主成分である。このことから、実施例5の熱電変換材料は、障壁材が母材で挟まれ、かつ母材と障壁材が積層されている構造を有することが確認できた。
以上の結果から、本開示の熱電変換材料及びその製造方法が顕著な効果を奏することを、確認できた。
10 母材
10a 高温側母材
10b 低温側母材
13 母材合金塊
14 母材合金粉末
15 粒界
16 母材合金粉末層
20 障壁材
22 中間材
22a 高温側中間材
22b 低温側中間材
23 障壁材合金塊
24 障壁材合金粉末
26 障壁材合金粉末層
30a 高温側界面
30b 低温側界面
34 混合粉末
40 電子
50 正孔
70 乳鉢
71 乳棒
80 金型
82 パンチ
85 電圧計
92 高温側
94 低温側
100 熱電変換材料

Claims (21)

  1. 母材と障壁材を備え、
    前記母材は、MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)とn型ドーパントを含有し、かつ、
    前記障壁材は、MgSi1−ySn(yは、0〜0.30)を含有する、
    熱電変換材料。
  2. 前記n型ドーパントが、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の熱電変換材料。
  3. 前記障壁材の少なくとも一部が、前記母材の粒界に存在している、請求項1又は2に記載の熱電変換材料。
  4. 前記障壁材の少なくとも一部が、前記母材中に分散している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱電変換材料。
  5. 前記熱電変換材料全体に対して、前記障壁材を5〜20体積%含有している、請求項3又は4に記載の熱電変換材料。
  6. 前記熱電変換材料が、さらに、中間材を備え、かつ、
    前記中間材は、MgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有する、
    請求項3〜5のいずれか一項に記載の熱電変換材料。
  7. 前記中間材の少なくとも一部が、前記母材の粒界に存在している、請求項6に記載の熱電変換材料。
  8. 前記中間材の少なくとも一部が、前記母材中に分散している、請求項6又は7に記載の熱電変換材料。
  9. 前記障壁材が前記母材で挟まれて、前記障壁材と前記母材が積層されており、かつ、
    前記障壁材が一層又は二層以上形成されている、
    請求項1又は2に記載の熱電変換材料。
  10. 前記熱電変換材料の積層方向の一端が高温側であり、
    前記熱電変換材料の積層方向の他端が低温側であり、かつ、
    前記熱電変換材料を積層方向に四等分して、前記高温側から第二等分目に、前記障壁材の少なくとも一層が形成されている、請求項9に記載の熱電変換材料。
  11. 前記母材と少なくとも一層の前記障壁材との間に、さらに、中間材が積層されており、かつ、
    前記中間材は、MgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有する、
    請求項9又は10に記載の熱電変換材料。
  12. 請求項1に記載の熱電変換材料の製造方法であって、
    Mg、Si、Sn、及びn型ドーパントを含有する原材料を秤量し、第一合金化熱処理して、母材合金塊を得ること、
    Mg、Si、及びSnを含有する原材料を秤量し、第二合金化熱処理して、障壁材合金塊を得ること、
    前記母材合金塊を解砕して、母材合金粉末を得ること、
    前記障壁材合金塊を解砕して、障壁材合金粉末を得ること、
    前記母材合金粉末と前記障壁材合金粉末を含有する圧粉体を得ること、及び、
    前記圧粉体を焼結して、焼結体を得ること、
    を含み、
    前記母材合金塊が、MgSi1−xSn(xは、0.50〜0.80)とn型ドーパントを含有し、
    前記障壁材合金塊が、MgSi1−ySn(yは、0〜0.30)を含有する、
    熱電変換材料の製造方法。
  13. 前記n型ドーパントが、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第一合金化熱処理の温度が、600〜750℃である、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記第二合金化熱処理の温度が、800〜950℃である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記母材合金粉末と前記障壁材合金粉末を混合して混合粉末を得ること、及び、
    前記混合粉末を圧粉して圧粉体を得ること、
    を含む、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記圧粉体の体積全体に対して、前記障壁材合金粉末の占める部分が5〜20体積%である、請求項16に記載の方法。
  18. Mg、Si、及びSnを含有する原材料を秤量し、第三合金化熱処理して、中間材合金塊を得ること、及び、
    前記中間材合金塊を解砕して、中間材合金粉末を得ること、
    前記母材合金粉末、前記障壁材合金粉末、及び中間材合金粉末を混合して混合粉末を得ること、及び、
    前記混合粉末を圧粉して圧粉体を得ること、
    を含み、
    前記中間材合金塊が、MgSi1−zSn(zは、0.30を超え0.50未満)を含有する、
    請求項16又は17に記載の方法。
  19. 前記母材合金粉末を堆積して母材合金粉末層を形成すること、
    前記障壁材合金粉末を堆積して障壁材合金粉末層を形成すること、
    前記障壁材合金粉末層を前記母材合金粉末層で挟みつつ、前記母材合金粉末層と前記障壁材合金粉末層を積層して、一層又は二層以上の前記障壁材合金粉末層を有する粉末積層体を得ること、及び、
    前記粉末積層体を圧粉して圧粉体を得ること、
    を含む、
    請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記粉末積層体の積層長さを四等分して、前記粉末積層体の一端から第二等分目に、前記障壁材合金粉末層を少なくとも一層有するように、前記母材合金粉末層と前記障壁材合金粉末層を積層して、粉末積層体を得る、請求項19に記載の方法。
  21. Mg、Si、及びSnを含有する原材料粉末を秤量し、第三合金化熱処理して、中間材合金塊を得ること、及び、
    前記中間材合金塊を解砕して、中間材合金粉末を得ること、
    前記中間材合金粉末を堆積して中間材合金粉末層を形成すること、
    前記母材合金粉末層と前記障壁材との間に、さらに、前記中間材合金粉末層を積層して、粉末積層体を得ること、
    を含む、
    請求項19又は20に記載の方法。
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