JP6411782B2 - 熱電材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱及び電気エネルギーを相互に変換する特性を持つ熱電材料の製造方法に関する。
温度差によって熱を電気に変換する熱電素子(熱電変換装置)は公知である(例えば、非特許文献1〜4、特許文献1)。これら熱電素子は、熱電特性を有する1対の導電性p型及びn型の2種類の熱電材料を電気的に直列に接続し、かつ熱的に並列に配置した構成を有している。このような熱電素子は、両面間に温度差を与えると、両端子間に起電力が発生する(ゼーベック効果)。
このような公知の熱電素子には、ビスマス・テルル合金、鉛・テルル合金、又はシリコン・ゲルマニウム合金等からなる熱電材料が使用されてきた。これらの熱電材料は最適な使用温度領域があり、ビスマス・テルル合金は室温から250℃、鉛・テルル合金は250℃から550℃、シリコン・ゲルマニウム合金は550℃以上の温度範囲で用いられている。
熱電材料の熱電性能は、性能指数Zで評価される。この性能指数Zは材料のゼーベック係数S、電気抵抗率ρ、及び熱伝導率κにより次のように定義されている。
Z=S/ρκ
即ち、性能指数Zが高いのは、ゼーベック係数Sが大きく、電気抵抗率ρが小さく、熱伝導率κが低い場合となる。次元は温度の逆数1/Kとなる。
また、測定時の温度を乗じたZTは無次元となり無次元性能指数と呼ばれ、熱電材料の熱電性能の評価に使われる。ZT>1が実用性の目安となっている。ZT>3が熱電発電の採算が取れる目安となっている。
室温から250℃までの温度範囲で主に使用されているビスマス・テルル合金は発見以来50年を経ているが性能指数Zを凌ぐものが出現せず、現在もなおビスマス・テルル合金が用いられている。それでもZTの最高値は1.3程度である。
上村欣一、西田勲夫、「熱電半導体とその応用」、日刊工業新聞社、1988年 松原覚衛、「熱電変換について」、J.Plasma Fusion Res.No.12 p818-824 (2011) 坂田亮編、「熱電変換−基礎と応用―」裳華房、2005年 Wei Liuet al、「Convergence of Conduction Bands as a Means ofEnhancing Thermoelectric Performance of n-Type Mg2Si1-xSnx Solid Solutions」、Physical Review Letters 108 166601 (2012)
特許第5079559号公報
熱電材料として従来から使用されている溶製材料又は焼結材料において、熱伝導率は溶製材料では5W/mK以上、焼結材料では1W/mK以上が通例であった。前述したように、性能指数Zを高めるための一つの方法は熱伝導率κを小さくすることである。熱伝導率κが小さければ断熱効果が大きく熱電素子を薄くすることが可能となる。しかしながら、従来の熱電材料の熱伝導率は、上述したように1W/mK以上であり、従来の作製方法ではこの値を小さくすることは極めて困難であった。
また、ビスマス・テルル合金が室温から250℃までの温度領域で従来から現在に至るまで使用されている。その理由として、この温度領域において他の材料よりも高いゼーベック係数と電気伝導率、低い熱伝導率を持っておりその結果として大きな性能指数Zを示すからである。しかしながらビスマスもテルルも重金属で毒性がある。また資源的にも希少で特にテルルは世界中で年間数100トンしか産出せず広く用いられる状況にない。このためビスマス・テルル合金と同様の性能が得られる資源的に問題のない材料が求められている。
ビスマス・テルル合金はBiTeと書かれる化合物で構成されたものが主体でこの化合物の結晶構造が特性を左右する。ビスマス・テルル合金の結晶構造は製造方法に敏感で諸条件によって変化しやすい。このため再現良くビスマス・テルル合金を作製することが難しく、この結果として特性を一定に保つことが難しいという問題があった。
このような従来のビスマス・テルル合金が有していた問題点を解決し、熱電特性においてはビスマス・テルル合金に遜色なく、毒性がなく、資源的にも問題がない、かつ特性を一定に保つことも容易な新しい熱電材料及びその製造方法が期待されている。
また、従来のマグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金等の熱電材料の作製方法として合金の密度を上げるためにSPS法(Spark Plasma Sintering)が用いられている。これは合金を粉末にして高真空中で高温高圧にし、短時間に大電流を流して熱電材料を作製する製造方法である。しかしながらこの製造方法では安価な熱電材料を大量に作製することができず、熱電材料が高価格なものになる。
従って、本発明の目的は、このような従来の熱電材料が有していた問題点を解決しようとするもので、熱伝導率が低く、断熱性が優れた熱電材料の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分とし、多数の微細孔を有する多孔質体からなる熱電材料が提供される。
このように本発明の熱電材料によれば、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分として用い、多孔質体にすることにより、熱伝導率を大幅に低下させることでき、性能指数Zの向上が図れる。また、熱伝導率の大幅な低下により熱電変換装置を薄くすることが可能となる。薄くすることに加え、空隙の体積分が材料の使用量の減少につながり、熱電材料を節約できる。また、多孔質化により熱伝導率を低下させることにより、熱伝導率が大きいため熱電材料として従来は考慮されなかった材料、例えばシリコン、ゲルマニウム等も熱電材料として使用することができる。
多孔質体は、空隙率が10%から80%、より好ましくは30%から60%であることが好ましい。これにより、熱伝導率を低下させることができると共に、電気抵抗が大幅に増大することなく、かつ熱電材料として必要な強度を保つことができる。
本発明によれば、熱電材料の製造方法は、マグネシウム・シリコン合金又はマグネシウム・シリコン・スズ合金を主成分とする原料を粉体化する粉体化工程と、粉体化工程において粉体化された原料に多数の微細孔を形成するための粉体添加剤を5〜20%を混合して分散させる添加工程と、添加工程で得られた混合物を成形する成形工程と、成形工程で成形された混合物を真空中又は不活性ガス中で550〜800℃(融点直下)の温度に加熱し、多孔質体を形成する加熱工程とを備えている。
粉体添加剤は、ポリビニルアルコール(PVA)であることが好ましい。また、加熱工程で得られた多孔質体を液体のシリコーン系樹脂またはガラスを含浸させ固化する工程をさらに備えていることが好ましい。
本発明によれば、p型の熱電材料成形体とn型の熱電材料成形体とが電気的に直列に接続されて構成された熱電変換装置であって、p型の熱電材料成形体及びn型の熱電材料成形体は、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分とし、多数の微細孔を有する多孔質体からなる熱電変換装置が提供される。
このように本発明の熱電変換装置によれば、熱伝導率を大幅に低下させることで、熱電変換装置を薄くすることが可能となる。薄くすることに加え、空隙の体積分が材料の使用量の減少につながり、熱電材料を節約できる。
多孔質体は、空隙率が10%から80%、より好ましくは30%から60%であることが好ましい。これにより、p型の熱電材料成形体及びn型の熱電材料成形体の熱伝導率を低下させることができると共に、電気抵抗が大幅に増大することなく、かつ必要な強度を保つことができる。
複数対のp型の熱電材料成形体とn型の熱電材料成形体を互いに電気的に直列に接続され、温度差によって熱を電気に変換するように構成されており、隣り合うp型の熱電材料成形体とn型の熱電材料成形体とを連結する高温側金属板と、高温側金属板の対向する側に設けられ、1つの対のp型の熱電材料成形体とこれと隣り合う対のn型の熱電材料成形体とを連結する低温側金属板と、p型の熱電材料成形体から引き出された正極電極と、n型の熱電材料成形体から引き出された負極電極とをさらに備えていることが好ましい。これにより、より大きな起電力を得ることができる。
本発明の熱電材料は、熱伝導率を大幅に低下させることでき、性能指数Zの向上が図れる。また、熱伝導率の大幅な低下により熱電素子を薄くすることが可能となる。薄くすることに加え、空隙の体積分が材料の使用量の減少につながり、熱電材料を節約することができる。また、多孔質化により熱伝導率を低下させることにより、熱伝導率が大きいため熱電材料として従来は考慮されなかった材料、例えばシリコン、ゲルマニウム等も熱電材料として使用することができる。
本発明の熱電材料は、多数の微細孔を形成するための粉体添加剤を5〜20%を混合して分散させ、そして加熱により分解させることで、均一な多孔質体が容易に得られる。
本発明の熱電変換装置は、熱伝導率を大幅に低下させることで、熱電変換装置を薄くすることが可能となる。薄くすることに加え、空隙の体積分が材料の使用量の減少につながり、熱電材料を節約することができる。
本発明の一実施形態における熱電変換装置の構成を概略的に示す斜視図である。 図1の実施形態における熱電変換装置を複数直列した構成を概略的に示す斜視図である。 本発明に係る熱電材料の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の熱電材料の加熱工程前の構造を概略的に示す断面のイメージ図である。 本発明の熱電材料の構造を概略的に示す断面のイメージ図である。 ポリビニルアルコールの添加量と空隙率の関係を示す図である。 Si0.95Ge0.05合金を用いて本発明の製造方法と従来の製造方法で製造した熱電材料の無次元性能指数ZTの比較を示す図である。 本発明に係る熱電材料の他の製造方法を示すフローチャートである。 Si0.8Ge0.2合金を用いて本発明の熱電材料の製造方法と従来の製造方法で製造した熱電材料の無次元性能指数ZTの比較を示す図である。 本発明に係る熱電材料のさらに他の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の熱電材料の加熱工程前後の構造を概略的に示す断面のイメージ図である。 PVAの粉末の添加量と空隙率の関係を示す図である。 n型、p型の熱電材料についてPVAの添加量に対するゼーベック係数の変化を示す図である。 PVAの添加量に対するn型、p型の熱電材料の熱伝導率の変化を示す図である。 n型、p型の熱電材料についてPVAの添加量に対する電気抵抗率の変化を示す図である。 n型、p型の熱電材料についてPVAの添加量に対する無次元性能指数の変化を示す図である。 図11(b)に示す熱電材料にシリコーンを含浸させ乾燥させた場合の大気中放置時間に対する電気抵抗率の変化を示す図である。 図11(b)に示す熱電材料にシリコーンを含浸させ乾燥させた場合の熱伝導率の変化を示す図である。
以下、本発明に係る熱電変換装置の実施形態を、図を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態における熱電変換装置100の構成を示しており、図2は複数の熱電変換装置100から構成される熱電変換装置100Aの構成を示している。
図1に示すように、本実施形態に係る熱電変換装置100は、p型の熱電材料成形体10と、n型の熱電材料成形体20と、p型の熱電材料成形体10とn型の熱電材料成形体20とを連結する高温側金属板30と、p型の熱電材料成形体から引き出された正極電極40と、n型の熱電材料成形体から引き出された負極電極50とを備えている。
図2に示すように、複数の熱電変換装置100から構成される熱電変換装置100Aにおいて、各熱電変換装置100は、p型の熱電材料成形体10と、n型の熱電材料成形体20と、p型の熱電材料成形体10とn型の熱電材料成形体20とを連結する高温側金属板30とから構成されており、1つの熱電変換装置100のp型の熱電材料成形体10とこれと隣り合う熱電変換装置100のn型の熱電材料成形体20とが高温側金属板30の対向する側に設けられた低温側金属板60によって連結されている。さらに、正極引き出し端の熱電変換装置におけるp型の熱電材料成形体10から引き出された正極電極40Aと、負極引き出し端の熱電変換装置におけるn型の熱電材料成形体20から引き出された負極電極50Aとが設けられている。
本発明に係る熱電材料を用いたp型の熱電材料成形体10は、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分とする、多数の微細孔を有する多孔質体からなる。例えば、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分として用い、それにボロン等を添加して、p型の熱電材料の原料を作成した後、多数の微細孔を有する多孔質体を形成し、この多孔質体を所定寸法の矩形体に切り出してp型の熱電材料成形体10を形成する。ここで、多孔質体の空隙率は、10〜80%であることは好ましい。p型の熱電材料成形体10の具体的な製法については後述する。
本発明に係る熱電材料を用いたn型の熱電材料成形体20は、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分とする、多数の微細孔を有する多孔質体からなる。例えば、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分として用い、それにリン等を添加して、n型の熱電材料の原料を作成した後、多数の微細孔を有する多孔質体を形成し、この多孔質体を所定寸法の矩形体に切り出してn型の熱電材料成形体20を形成する。ここで、多孔質体の空隙率は、10〜80%であることは好ましい。n型の熱電材料成形体20の具体的な製法については後述する。
高温側金属板30は、p型の熱電材料成形体10とn型の熱電材料成形体20とを電気的に連結するものである。この高温側金属板30は、p型の熱電材料成形体10及びn型の熱電材料成形体20の端部に固着されている。固着方法として、例えば使用温度領域で溶けない金属を用いて溶着接続して付ける。
正極電極40及び40Aは、p型の熱電材料成形体から引き出された電極である。正極電極40及び40Aは、p型の熱電材料成形体10の端部に固着されている。
負極電極50及び50Aは、n型の熱電材料成形体から引き出された電極である。負極電極50及び50Aは、n型の熱電材料成形体20の端部に固着されている。
低温側金属板60は、複数の熱電変換装置100から構成される熱電変換装置100Aにおいて、高温側金属板30の対向する側で1つの熱電変換装置100のp型の熱電材料成形体10とこれに隣り合う熱電変換装置100のn型の熱電材料成形体20とを連結するものである。この低温側金属板60は、p型の熱電材料成形体10及びn型の熱電材料成形体20の端部に固着されている。
このように構成されている1つの熱電変換装置100においては、上部が高温側、下部が低温側である。上部の高温側でn型の熱電材料成形体20内では電子が激しく運動して低温側に拡散し、p型の熱電材料成形体10内ではホールが激しく運動して低温側に拡散する。その結果、正極電極40と負極電極50との間に電位差を生じることになる。
また、1つの熱電変換装置100で得られる熱起電力は小さいため、図2に示す熱電変換装置100Aのように、複数の熱電変換装置100を直列に接続して比較的に大きな起電力(例えば、数ボルト)を得るようにしている。
以下、本発明に係る熱電材料の製造方法を説明する。図3は本発明に係る熱電材料の製造方法の主な工程を示している。
図3に示すように、熱電材料を製造する際には、まず、粉体化工程(S1)で、原料を粉体化する。原料として、例えばマグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかに、p型又はn型の熱電材料を形成するための添加材(例えば、アンチモン、リン又はボロン等)を添加したものを用いる。次に、スラリー状化工程(S2)で、粉体化された原料にポリビニルアルコール(以下、PVAという)の水溶液を加えスラリー状にする。次に、ゲル化工程(S3)で、スラリー状の原料を型に入れて−10℃で冷却しゲル化にする。次に、乾燥工程(S4)で、ゲル化した原料を型から取り出し、大気中で60℃、24時間加熱し、水分を蒸発させ、さらに大気中で120℃、12時間放置し、完全に水分を蒸発させる。これにより粉体中の水分が抜けた部分に空気が入り込み、多孔質体となる。この多孔質体の内部は、図4に示す状態である。図4において、1は固化された粉体であり、2は多孔質体中の気孔である。最後に、加熱工程(S5)で、得られた多孔質体を真空中又は不活性ガス中で所定温度に加熱する。これにより、多孔質体中の粉体粒子の形状を保ちつつ粉体粒子の一部(表面)が溶けて隣接する粉体粒子と結合する。その結果、低電気抵抗、かつ高強度のマグネシウム・シリコン・スズ合金の多孔質体を作製することができる。この多孔質体の内部は、図5に示す状態である。図5に示すように、多孔質体中の粉体粒子の一部(表面)が溶解して隣接する粉体粒子と繋がっているようになっている。図5において、1Aは一部が溶解した粉体粒子であり、2Aは多孔質体中の気孔である。以下、具体的な実施例を説明する。
マグネシウム・シリコン・スズ合金(Mg−Si−Sn合金)にアンチモン(Sb)を入れ、溶製法により作製したn型の熱電材料を粉体化した後、PVAの水溶液を加えスラリー状にした。これを型に入れて−10℃で冷却しゲル化した後に型から取り出し、大気中で60℃、24時間加熱し、水分を蒸発させた。さらに大気中で120℃、12時間放置し完全に水分を蒸発させた。これにより粉体中の水分が抜けた部分に空気が入り込み、多孔質体となった。
次に、得られた多孔質体を真空中又は不活性ガス中で所定温度に加熱した。これにより、多孔質体中の粉体は、多くはその形状を保ちつつ粉体の一部が溶けて他の粉体と結合した。その結果、低電気抵抗、かつ高強度のマグネシウム・シリコン・スズ合金の多孔質体を作製することができた。多孔質体の内部は、図5に示すような構造になった。
ここで、多孔質体の空隙率αを次のように定義する。
α=Va/(Vm+Va)
式中、Vaは空隙の体積であり、Vmは材料の体積である。
空隙率αは添加したPVAの水溶液の量により決められる。PVAの10%水溶液を加えスラリー状にして上記の方法により冷凍してゲル化させ乾燥させて熱処理したものの空隙率αを図6に示している。図6において、「PVAの体積」とは、添加したPVAの水溶液の体積である。このようにPVAの水溶液の量を調整することで、所望の空隙率αが得られた。
空隙率が10%以下であると、多孔質体ではない材料、即ち従来の熱電材料(溶製材)とほぼ同様な特性となり、熱伝導率を低下させる効果が得られない。一方、空隙率が80%を越えると電気抵抗の増大が大きくなると共に、材料強度も弱くなり熱電材料としては使い難くなる。したがって、熱電材料として空隙率は、10%〜80%とすることが好ましい。
本実施例の方法で、MgSi0.3Sn0.7にSbを0.01モル添加した原料から空隙率50%の熱電材料を制作した。この熱電材料は約700K(427℃)において、次のような特性が得られた。
ゼーベック係数 S=−250μV/K
電気抵抗率 ρ=7.1×10−5Ωm
熱伝導率 κ=0.40W/mK
この結果から性能指数Zは、2.23×10−3−1と高い値が得られ、無次元性能指数ZT=1.56が得られた。多数の気孔が存在する多孔質体を形成することにより電気抵抗の増大を招いたがその増大よりも熱伝導の低下が大きく、結果として大きな性能指数Zを得ることができた。
シリコンと0.2原子%のボロンとを混合し、酸素の無い不活性ガス又は真空中で溶解し、インゴットを作製した。これをハンマー等で粉砕した後、ボールミルを用いて粉体化した。これにPVAの水溶液を加えスラリー状にした。ここで、空隙率が70%になるようにPVAを混合した。次に、スラリーを型に入れて大気中で60℃、24時間加熱し、水分を蒸発させた。さらに大気中で120℃、12時間加熱し完全に水分を蒸発させた。これにより粉体中の水分が抜けた部分に空気が入り込み多孔質体となった。そして、乾燥した多孔質体を真空中で所定温度に加熱した後に冷却した。これにより、p型の熱電材料として空隙率70%のシリコンの多孔質体が形成された。
上記と同様な作製方法を用いて、シリコンに0.3原子%のリンを混合し、酸素の無い不活性ガス又は真空中で溶解し、インゴットを作製し、これをハンマー等で粉砕した後、ボールミルを用いて粉体化した。さらにPVAの水溶液を加えスラリー状にした。ここで、空隙率が70%になるようにPVAを混合した。次に、得られたスラリーを型に入れて大気中で60℃、24時間加熱し、水分を蒸発させた。さらに大気中で120℃、12時間加熱し完全に水分を蒸発させた。これにより粉体中の水分が抜けた部分に空気が入り込み多孔質体となった。そして、乾燥した多孔質体を真空中でシリコンの融点(1414℃)を越えない温度で加熱した後に冷却した。これにより、n型の熱電材料として空隙率70%のシリコンの多孔質体が形成された。
p型の熱電材料としてシリコンの多孔質体の電気抵抗率は1×10−4Ωmであり、これは同じp型シリコンのバルクの10倍以上に相当する。一方、熱伝導率は1W/Kmであり、p型シリコンのバルクの100分の1で大幅に低下した。また、ゼーベック係数は多孔質とすることにより、低下すること無く逆に上昇する結果が得られた。n型のシリコンの多孔質体もほぼ同様の結果が得られた。
電気抵抗率の増大よりも熱伝導率の減少の割合が大きいため、無次元性能指数ZTは従来の熱電材料(多孔質体でないもの)よりも大きくなった。結果としてZT=0.22となり熱電材料として使用できるレベルになった。
上記のように作製したp型、n型のシリコンの多孔質体をそれぞれ1cmの立方体に切り出し図1に示すpn接合の熱電変換装置を作製した。高温側を100℃、低温側を0℃に設定し起電力を測定したところ約30mVの電圧を観測することができた。
実施例2におけるシリコンをシリコンとゲルマニウムの合金(Si0.95Ge0.05合金)とし実施例2と同様な作製法でn型及びp型の熱電材料を作成した。ここで、実施例2と異なるのは、乾燥した多孔質体を真空中又は不活性ガス中で加熱する温度をシリコン・ゲルマニウム合金の液相と固相が共存する温度領域に設定したことである。この熱処理により、図5に示すようにシリコン・ゲルマニウム合金の粉体粒子の一部(表面)が溶解して互いに連続体となり、電気抵抗を下げることができた。熱伝導はゲルマニウムの添加による効果で実施例2の結果よりさらに低下し、図7に示すように無次元性能指数ZTは1を超える値が得られた。図7において、実線は本発明に係る熱電材料の無次元性能指数の曲線であり、破線は従来の溶製法で製作した熱電材料の無次元性能指数の曲線である。
図8は本発明に係る熱電材料の他の製造方法を示している。図8に示すように、熱電材料を製造する際に、まず、粉体化工程(S11)で、原料を粉体化する。原料として、例えばマグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかに、p型又はn型の熱電材料を形成するための添加材(例えば、アンチモン、リン又はボロン等)を添加したものを用いる。次に、塩化カリウム添加工程(S12)で、粉体化された原料に塩化カリウムの粉体を添加し、混合したのち加圧成形する。次に、塩化カリウム除去工程(S13)で、塩化カリウムが添加された原料を塩化カリウムの融点直下の770℃で加熱したのち冷却した後に水に浸して塩化カリウムを除去する。これにより粉体中の水分が抜けた部分に空気が入り込み、多孔質体となる。この多孔質体の内部は、図4に示す状態になる。最後に、加熱工程(S14)で、得られた多孔質体を真空中又は不活性ガス中で所定温度に加熱する。これにより、低電気抵抗、かつ高強度のマグネシウム・シリコン・スズ合金の多孔質体を作製することができる。この多孔質体の内部は、図5に示すような構造になる。以下、具体的な実施例を説明する。
この実施例において、実施例2におけるシリコンをシリコンとゲルマニウムの合金(Si0.8Ge0.2合金)とし、また、実施例2のPVAの代わりに塩化カリウムの粉体をシリコン・ゲルマニウム合金の粉体に混合させ加圧して固めた。次に、塩化カリウムが添加されたものを塩化カリウムの融点直下の770℃で加熱し、冷却した後に水に浸して塩化カリウムを除去した。塩化カリウムが除去された後、真空中で所定温度に加熱した。これにより、n型及びp型の熱電材料としてのシリコンとゲルマニウムの多孔質体が形成された。
こうして得られた熱電材料は、図5に示すような構造になっており、上述した実施例2及び実施例3の場合よりも熱伝導はさらに低下し、図9に示すように無次元性能指数ZTも改善された。図9において、実線は本発明に係る熱電材料の無次元性能指数の曲線であり、破線は従来の溶製法で製作した熱電材料の無次元性能指数の曲線である。
実施例3及び4において、シリコンとゲルマニウムの合金が使用されている場合、ゲルマニウムは高価格であるが、熱電材料を多孔質体にし、空気を導入することにより材料を節約することができた。また、熱伝導の低下に伴い熱電材料の厚さを小さくでき、材料を節約することができた。このように多孔質化は熱電材料の節約につながり熱電材料の低価格化に寄与できた。
図10は本発明に係る熱電材料のさらに他の製造方法を示している。図10に示すように、熱電材料を製造する際に、まず、粉体化工程(S21)で、原料を粉体化する。原料として、例えばマグネシウム・シリコン合金、又はマグネシウム・シリコン・スズ合金のいずれかに、p型又はn型の熱電材料を形成するための添加材(例えば、リン等)を添加したものを用いる。粉砕及び混合は、不活性ガス中で行うのが望ましい。次に、成形工程(S22)粉体化した原料を所定の形状に成形する。次に、加熱工程(S23)で、成形後の原料を真空中又は不活性ガス中で600〜750℃に加熱する。試料全体が均一組成になるように、上記S21〜S23の工程を1〜2繰り返す。次に、再粉体化工程(S24)で、加熱処理後の成形原料を再粉砕する。次に、添加工程(S25)で、粉体添加剤として、例えば、PVAの粉末5〜20%を混合して分散させる。ここで、PVAが5%より少ない場合は、期待した熱伝導率の低下が得られない。一方、PVAが20%より多い場合は、得られた熱電材料の強度が弱くなり壊れやすくなる。次に、成形工程(S26)で、有機溶剤または発泡剤の粉体を混合した混合材料を所定の形状に成形する。そして、加熱工程(S27)で、成形された混合材料を550〜800℃に加熱する。ここで、焼成温度は550℃より低い場合は、固相反応が進まず、熱電特性を示す結晶構造が得られない。一方、800℃より高い場合は、熱電材料の主体である化合物の生成が困難であり、熱電特性を示す結晶構造が壊れてしまう。したがって500℃以上800℃以下が望ましい。550〜800℃に加熱することにより、混合材料中の有機溶剤または発泡剤の粉体が分解して気化され、混合材料が多数の微細孔を有する多孔質体となる(図11参照)。
上記加熱工程において、PVAは、200℃付近で酸素、水素及び炭素に分解を始める。酸素と水素は200℃〜300℃でマグネシウム、シリコン、スズ合金から抜け出すが炭素は残留する。この炭素は高温の熱処理によって多少は飛散するが800℃くらいまでは合金内に残留する。但し、体積としては極めて小さい。酸素と水素が抜け出した分が空洞(気泡)となる。
図11において、(a)は熱処理前の状態を示し、(b)は熱処理後の状態を示している。同図中1は熱電材料の粉体であり、3はPVAの粉体であり、1Bは粉体から固相化した熱電材料であり、2BはPVAが分解して生成した空洞である。
図12はPVAの粉末の添加量と空隙率αとの関係を示している。同図において、「PVAの添加量」とは、添加したPVAの粉末の重量パーセントである。このようにPVAの粉末の添加量を調整することで、所望の空隙率αが得られた。図12に示す結果により、PVAの粉末の添加量が5〜20%の場合、空隙率αが30%から60%までの範囲内にある。即ち、空隙率αは30%以上60%以下であることがより好ましい。以下、具体的な実施例を説明する。
マグネシウム、シリコン、スズの粉末をそれぞれ重量比で36.5%、5.5%、58.0%を混合し、更にこれらの粉末に対してn型ドーパントとして重量比0.85%のアンチモン粉末を添加して混合し粉砕した。次に、粉砕・混合した後の原料を加圧し成形し、成形した原料を真空中又は不活性ガス中で700℃の温度で焼成した。焼成したものを再粉砕して粉末にした後、再び加圧し成形し、さらに真空中又は不活性ガス中で700℃の温度で焼成した。再焼成したものを更に粉砕して粉末にした後、粉体添加剤としてのPVAの粉末を重量比で5〜20%添加して十分に混合した。得られた混合物を加圧し成形した後、真空中又は不活性ガス中で750℃の温度で焼成した。これにより、混合材料中のPVAの粉体が分解して気化され、混合材料が多数の微細孔を有する多孔質のn型の熱電材料が得られた。
上記と同様な作製方法を用いて、マグネシウム、シリコン、スズの粉末をそれぞれ上記とは異なる重量比で32.8%、6.6%、60.6%を混合した粉末に対してp型ドーパントとして重量比0.78%の銀粉末を添加して混合し粉砕した。上記と同様に加圧し成形したものを真空中又は不活性ガス中で700℃の温度で焼成する。焼成したものを再粉砕して粉末にした後、再び加圧し成形し真空中又は不活性ガス中で700℃の温度で焼成した。再焼成したものを更に粉砕して粉末にした後、粉体添加剤としてのPVAの粉末を重量比で5〜20%添加して十分に混合した。得られた混合物を加圧し成形した後、真空中又は不活性ガス中で750℃の温度で焼成した。これにより、混合材料中のPVAの粉体が分解して気化され、混合材料が多数の微細孔を有する多孔質のp型の熱電材料が得られた。
このようにして作製したn型、p型の熱電材料の特性について検討した。図13はMgSiSn合金にSbをドープしたn型の熱電材料及びMgSiSn合金にAgをドープしたp型の熱電材料についてPVAの添加量に対するゼーベック係数の変化を示している。図13に示すように、ゼーベック係数はPVAの添加量に対しn型では負の方向へ、p型では正の方向へ僅かながら増加傾向にある。
図14はMgSiSn合金にSbをドープしたn型の熱電材料及びMgSiSn合金にAgをドープしたp型の熱電材料についてPVAの添加量に対する熱伝導率の変化を示している。図14に示すように、熱伝導率に関してはPVAの添加量に対してどちらも大きく減少する。PVAの添加量に従って図11に示すような空洞の体積が増加して空気層が増えて熱が伝導しにくくなった結果である。添加量が10%を超えると熱伝導率が10分の1程度に低下する。
図15はMgSiSn合金にSbをドープしたn型の熱電材料及びMgSiSn合金にAgをドープしたp型の熱電材料についてPVAの添加量に対する電気抵抗率の変化を示している。図15に示すように、熱伝導率に関してはPVAの添加量に対してn型、p型のどちらも大きくなるがその変化の割合は熱伝導の変化よりは大きくない。多孔質の電気抵抗及び熱伝導は単純に断面における伝導部分と空孔との面積比だけで決まるものではなく、それぞれの伝導のメカニズムによって決まる。この結果として熱伝導は大きく変化し、電気抵抗は小さく変化した。
上記の結果から無次元性能指数が計算できる。
ZT=(S/ρκ)×T
に図11から図15までの結果を代入して計算した結果を図16に示している。図16に示すように、MgSiSn合金にSbをドープしたn型ではPVAの添加量が10%を越えるとZTは4を超え、熱電材料が発電用として採算が採れる性能に達した。また、MgSiSn合金にAgをドープしたp型も10%以上でZTが1を超え、n型p型とも実用性のある結果が得られた。
マグネシウム、シリコンの粉末をそれぞれ重量比で63.4%、36.6%、を混合し、更にこれらの粉末に対してn型ドーパントとして重量比0.9%のリン粉末を添加して混合し粉砕した後加圧し成形したものを真空中又は不活性ガス中で500〜850℃の温度で焼成した。この結果、550℃以下と810℃以上では材料強度が弱く、しばしば粉体化した。この結果として600℃以上850℃以下でしか本発明の材料は得られないことが明確になった。この結果は600℃以下では結晶の再配列が起きずに粉体が結合せず、800℃以上では本発明の材料特性を引き出している化合物MgX(X=Si,Ge,Sn)の逆蛍石構造が安定に存在できないことによる。したがって上記の温度領域はマグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金のいずれにとっても共通の熱処理温度領域である。
本発明で得られる熱電材料でマグネシウムを含む多孔質体は空気相が熱電材料の内部に形成されることであり、空気中の酸素、水分等に影響を受けやすい。これを保護するために粘度100以下のシリコーン系樹脂を浸透させたのちに固化する。または低融点ガラスを浸透させて固化する。これらの処置により本発明の素子・モジュールの耐食性は大幅に向上した。図17は実施例1のn型の熱電材料に対しシリコーン系樹脂を浸透させたのちに固化した材料とこうした処理をしなかった材料について大気中に放置した場合の電気抵抗の変化を示している。図17に示すように、処置をした材料に関しては電気抵抗の増大は見られないが処置をしなかった材料には時間とともに電気抵抗の増大が見られた。
このようにシリコーン系樹脂を浸透させたのちに固化した材料は電気抵抗の変化が見られない。同様に熱的な特性、例えば熱伝導率についても大きな変化は見られない。図18はシリコーン系樹脂を浸透させたのちに固化した材料のPVAの添加量に対する熱伝導率の変化を示している。図18に示すように、処置をしていない材料とほとんど違いは見られず、シリコーン系樹脂を浸透させることは耐候性を向上させ熱電特性に悪影響を与えない。
以上説明したように、本実施形態の熱電変換装置100は、p型の熱電材料成形体10と、n型の熱電材料成形体20と、p型の熱電材料成形体10とn型の熱電材料成形体20とを連結する高温側金属板30と、p型の熱電材料成形体10から引き出された正極電極40と、n型の熱電材料成形体20から引き出された負極電極50とを備えている。p型の熱電材料成形体10及びn型の熱電材料成形体20は、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分とする、多数の微細孔を有し、空隙率が10%から80%、より好ましくは30%から60%の多孔質体からなる。
これにより、熱電材料は、熱伝導率を大幅に低下させることでき、性能指数Zの向上が図れる。また、熱伝導率の大幅な低下は熱電変換装置を薄くすることが可能となる。薄くすることに加え、空隙の体積分が材料の使用量の減少につながり、熱電材料を節約することができる。また、多孔質化により熱伝導率を低下させることにより、従来熱伝導率が大きいため熱電材料として考慮されなかった材料、例えばシリコン、ゲルマニウム等も熱電材料として使用することができる。
また、本発明に係る熱電材料を用いた熱電変換装置100及び100Aは、熱電材料の熱伝導率を大幅に低下させることで、熱電変換装置100及び100Aを薄くすることが可能となる。薄くすることに加え、空隙の体積分が材料の使用量の減少につながり、熱電材料を節約できる。
なお、本発明に係る熱電材料の製造方法において、ポリビニルアルコール(PVA)又は塩化カリウムを添加し、多孔質体に形成することを説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、他の添加剤又は発泡剤等を添加して多孔質体を形成するようにしてもよい。
また、上述した実施例において、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、及びシリコン・ゲルマニウムの合金を主成分として用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の熱電材料、例えばマグネシウム・シリコン合金等を用いてもよい。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
本発明は、温度差を利用して発電する場合、又は電気エネルギーから温度差を形成する場合等に利用できる。
1 粉体
1A、1B 一部が溶解した粉体
2、2A 気孔
2B 空洞
3 PVAの粉体
10 p型の熱電材料成形体
20 n型の熱電材料成形体
30 高温側金属板
40 正極電極
50 負極電極
60 低温側金属板
100、100A 熱電変換装置

Claims (3)

  1. グネシウム・シリコン・スズ合金を主成分とする原料を粉体化する粉体化工程と、
    前記粉体化工程において粉体化された原料に、該粉体化された原料に対して5〜20重量%の、多数の微細孔を形成するための粉体添加剤であるポリビニルアルコールの粉末を粉体状態で混合して分散させる添加工程と、
    前記添加工程で得られた混合物を成形する成形工程と、
    前記成形工程で成形された混合物を不活性ガス中で550〜800℃の温度に加熱し、炭素を残留させると共に多孔質体を形成する加熱工程とを備えていることを特徴とする熱電材料の製造方法。
  2. マグネシウム・シリコン・スズ合金を主成分とする原料を粉体化する粉体化工程と、
    前記粉体化工程において粉体化した原料を加圧して成形し、成形した原料を不活性ガス中で焼成する焼成工程と、
    前記焼成工程において焼成した原料を再粉砕して粉末化した後、再加圧して成形し、成形した原料を不活性ガス中で再焼成する再焼成工程と、
    前記再焼成工程において再焼成した原料をさらに粉砕して粉体化する再粉体化工程と、
    前記再粉体化工程において粉体化された原料に、該粉体化された原料に対して5〜20重量%の、多数の微細孔を形成するための粉体添加剤であるポリビニルアルコールの粉末を粉体状態で混合して分散させる添加工程と、
    前記添加工程で得られた混合物を成形する成形工程と、
    前記成形工程で成形された混合物を不活性ガス中で550〜800℃の温度に加熱し、炭素を残留させると共に多孔質体を形成する加熱工程とを備えていることを特徴とする熱電材料の製造方法。
  3. 前記加熱工程で得られた多孔質体を液体のシリコーン系樹脂またはガラスを含浸させ固化する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱電材料の製造方法。
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