JP6588194B2 - 熱電材料および熱電モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、熱電材料に関する。
現在、世界のエネルギーは、その多くを化石燃料の燃焼エネルギーに依存しているが、熱サイクルを使用する発電システムの場合、発生する燃焼エネルギーの多くを廃熱として未利用のまま廃棄しているのが現状である。一方、地球環境の保全が世界的規模で議論されるようになり、エネルギーの未利用分の有効利用技術開発が精力的に進められている。
これらの技術の中で、熱電変換を用いた発電は、比較的低品質の熱においても直接電気に変換することが可能であるため、現状の未利用の廃熱を回収できる技術である。したがって、最近のエネルギー問題や環境問題の深刻化に伴い、熱電変換に対する期待度はますます大きくなっている。
この熱電変換とは、異なる2種の金属やp型半導体とn型半導体等の熱電変換材料に温度差を与えると、両端に熱起電力が発生するゼーベック効果を利用して、熱エネルギーを直接電力に変換する技術である。熱電変換はモーターやタービン等の可動部がまったくなく、また、老廃物もないという優れた特徴を有している。
ここで、熱電特性の性能評価に用いられる性能指数ZTは、下記の式で表される。
ZT=S・σ・T/κ
S:ゼーベック係数
σ:電気伝導率
T:絶対温度
κ:熱伝導率
すなわち、ゼーベック係数Sと電気伝導率σが大きく、熱伝導率κが小さいことが必要である。
また、この中でS・σはパワーファクター(出力因子)と呼ばれ、このパワーファクターも熱電特性の性能評価に用いられている。
ここで、ゼーベック係数は物性値であるため、材料によって決まってしまうが、電気伝導率と熱伝導率は、材料の微細組織や構成される元素等によっても大きく変化させることが可能である。このため、電気伝導率を大きくしたり熱伝導率を小さくしたりするための方法が検討されている。
例えば、特許文献1(特開2000−211971号公報)には、A(A:Na,Li,K,Ca,Sr,Ba,Bi,Y,La、 B:Mn,Fe,Co,Ni,Cu、1≦x≦2、2≦y≦4)型構造を有する熱電素子材料が開示されている。特に、NaCo系熱電素子材料は、水酸化コバルト又は酸化コバルトの板状粒子とナトリウム金属塩とを混合し、これを前記水酸化コバルト又は酸化コバルト粒子が一方向に配向するように成形し、この成形体を焼成して緻密化させることによりC軸方向が配向した焼結体が作製される熱電素子材料及びその製造方法が特許文献1において提案されている。
また、特許文献2(特開2002−16297号公報)には、結晶配向材料のテンプレートとなる物質である形状異方性を有するZnOまたはその前駆体粉末材料と、このZnOまたはその前駆体粉末材料との反応によって結晶異方性のある導電性酸化物を生成する物質と、を混合し、この混合材料を異方形状粉末が一方向に配向するように常温下で成形し、この成形物を熱処理することにより合成し、その後に焼結するという結晶配向バルクZnO系焼結体材料の製造方法およびそれにより製造された熱電変換デバイスが提案されている。
さらに、特許文献3(特開2001−223396号公報)には、V族元素及びVI族元素からそれぞれ選択した一種以上の元素の組み合わせを主成分とする熱電材料若しくは金属と、半金属系材料と、の組み合わせを主成分とする熱電材料又はこれらに酸化物、炭化物、窒化物若しくはこれらの混合物を添加した熱電材料の直流通電加圧による焼結に際し、100〜15000Aの可変電流範囲で通電するとともに、磁束密度0.1T≦H≦2.0T(T:テスラ)の範囲で磁場をかけながら焼結し、焼結体組織の電気的配向性が得られる熱電材料の製造方法が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1および上記特許文献2により提案された方法によると、確かにある程度配向された試料を提供することが可能であるが、熱伝導率を小さくすることはできないという不具合が生じている。
また、上記特許文献3により提案された方法によると、磁場中において焼結を行うことにより電気的配向性を得ているのみであり、磁場強度が小さいため結晶そのものを配向することができず、かえって電気抵抗や熱伝導率等の物理的特性の異方性を減少又は消失させてしまって、結晶組織の配向度を大きくし、ある方向における電気伝導率を大きくしたり熱伝導率を小さくしたりするための結晶組織制御方法という目的では用いることができないのが現状である。
ところで、従来における熱電材料としては主にBi−Te系材料が用いられてきたが、この材料系では構成元素のTeや添加物として加えられるSeも含めて毒性が高く、また、300℃程度までしか用いることができないという不具合が生じていた。
これに対し、主にCrおよびSiから構成される熱電材料は毒性がなく、環境にやさしい熱電材料であり、さらに、高温まで使用することが可能であるため、現在、大いに注目されている。
Cr−Si系熱電材料としては、例えば特許文献4(特開平01−002379号公報)において、下記(イ)〜(ニ)の工程からなる熱電素子の製造方法が提案されている。
(イ)金属合金の粉末を製造し、これを合成する工程。
(ロ)合成した粉末金属合金をプレスして所定の形状とする工程。
(ハ)所定の形状に成型した金属合金成型体を焼結する工程。
(ニ)焼結した金属合金成型体を大気中において熱処理し、熱電素子を製造する工程。
また、上記金属合金がCrSi2を含有するものからなる熱電素子の製造方法が提案されている。
さらに、特許文献5(特開2002−76450号公報)にはFe、Co、Ni、Cr、Ti、Cu、Mn、Al、V、Pt、Pd、Nb、Ta、W、MoまたはZrから選ばれた1種または2種以上の金属とSiの単体元素の粉末を所定の元素比で混合する工程と、この混合粉末を高融点材料からなる封入容器に真空状態あるいは不活性ガス雰囲気下で封入する工程と、これに続く熱処理工程とを有する熱電材料の製造方法が提案されている。
しかしながら、上記特許文献4および上記特許文献5により提案された製造方法中に記述されたCr−Si系熱電材料では、電気伝導率を大きくしたり熱伝導率を小さくしたりすることができないため、材料の熱電特性を高くすることができないという不具合が生じているのが現状である。なお、特許文献5により提案された製造方法中に記載された熱電材料は、CrとSiを主成分とする熱電材料に他元素を含有させた構成については開示されていない。
これらの現状を鑑み、より電気伝導率を大きくでき、また、熱伝導率を小さくでき、その結果優れた熱電特性を有する熱電材料が切望されている。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、電気伝導率を大きくすること、あるいは、熱伝導率を小さくすることが可能な、優れた熱電特性を有する熱電材料およびその熱電材料を用いた熱電モジュールを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る熱電材料は、少なくともCr及びSiを主成分とする熱電材料において、当該熱電材料は、Crの同族元素であり、且つ、Crよりも原子量が大きい元素(A)を含有することを特徴とする。
を特徴とする。
本発明によれば、電気伝導率を大きくすること、あるいは、熱伝導率を小さくすることが可能な、優れた熱電特性を有する熱電材料を提供することができる。
本発明に係る熱電材料の製造工程の一例を示した図である。 本発明に係る熱電材料の電気伝導率の温度変化の一例を示したグラフである。(試料1〜3:実施例1) 本発明に係る熱電材料のパワーファクターの温度変化の一例を示したグラフである。(試料1〜3:実施例1) 本発明に係る熱電材料の熱伝導率の温度変化の一例を示したグラフである。(試料1〜3:実施例2) 本発明に係る熱電材料のZTの温度変化の一例を示したグラフである。(試料1〜3:実施例2) 本発明に係る熱電材料の電気伝導率の温度変化の他の例を示したグラフである。(試料4〜5:実施例3) 本発明に係る熱電材料のパワーファクターの温度変化の他の例を示したグラフである。(試料4〜5:実施例3) 本発明に係る熱電材料の熱伝導率の温度変化の他の例を示したグラフである。(試料4〜5:実施例4) 本発明に係る熱電材料のZTの温度変化の他の例を示したグラフである。(試料4〜5:実施例4) 本発明に係る熱電材料の電気伝導率の温度変化のさらにその他の例を示したグラフである。(試料6〜7:実施例5) 本発明に係る熱電材料のパワーファクターの温度変化のさらにその他の例を示したグラフである。(試料6〜7:実施例5) 本発明に係る熱電モジュールの一例における構成を示した概略図である。
次に、本発明に係る熱電材料についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
<熱電材料>
本発明に係る熱電材料は、少なくともCr及びSiを主成分とする熱電材料において、当該熱電材料は、Crの同族元素であり、且つ、Crよりも原子量が大きい元素(A)を含有することを特徴とする。
また、本発明に係る熱電材料は、少なくともCr及びSiを主成分とする熱電材料において、当該熱電材料は、Siとで構成される化合物の結晶構造が、CrとSiとで構成される化合物と同形の結晶構造を有し、且つ、Crよりも原子量が大きい元素(B)を含有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る熱電材料は、少なくともCr及びSiを主成分とする熱電材料において、当該熱電材料は、Siの同族元素であり、且つ、Siよりも原子量が大きい元素(C)を含有することを特徴とする。
すなわち、本発明に係る熱電材料は、少なくともCr及びSiを主成分とする熱電材料において、当該熱電材料は、下記元素(A)〜(C)のいずれかを含有する。
(1):Crの同族元素であり、且つ、Crよりも原子量が大きい元素(A)
(2):Siとで構成される化合物の結晶構造が、CrとSiとで構成される化合物と同形の結晶構造を有し、且つ、Crよりも原子量が大きい元素(B)
(3):Siの同族元素であり、且つ、Siよりも原子量が大きい元素(C)
ここで、少なくともCr及びSiを主成分とする熱電材料とは、CrSi2、CrSi、Cr5Si3、Cr3Si、のそれぞれの化合物およびその固溶体、ならびに、Crの含有割合が概ね10〜90at%のCr−Si合金である。
(1):元素(A)
元素(A)はCrの同族元素であり、且つ、Crよりも原子量が大きい。
元素(A)としては、Mo、WまたはUが好ましいが、MoまたはWが特に好ましい。Mo、WまたはUを含有することで、電気伝導率が大きく、あるいは、熱伝導率の小さい熱電材料が製造でき、それにより熱電特性が向上できるため好ましい。
元素(A)によるCrの置換の割合は、40at%以下が好ましい。尚、Moによる置換の場合、20at%以下が特に好ましい。
(2):元素(B)
元素(B)は、Siとで構成される化合物の結晶構造が、CrとSiとで構成される化合物と同形の結晶構造を有し、且つ、Crよりも原子量が大きい。
Siとの化合物がCrとSiとで構成される化合物と同形の結晶構造を有する元素としては、V、Nb及びTaがあげられるが、NbまたはTaが特に好ましい。NbまたはTaを含有することで、電気伝導率が大きく、あるいは、熱伝導率の小さい熱電材料が製造でき、それにより熱電特性が向上できるため好ましい。
元素(B)によるCrの置換の割合は、40at%以下が好ましい。尚、Nbによる置換の場合、20at%以下が特に好ましい。
(3):元素(C)
元素(C)はSiの同族元素であり、且つ、Siよりも原子量が大きい。
元素(C)としては、Ge、SnまたはPbが好ましいが、GeまたはSnが特に好ましい。Ge、SnまたはPbを含有することで、電気伝導率が大きく、あるいは、熱伝導率の小さい熱電材料が製造でき、それにより熱電特性が向上できるため好ましい。
元素(C)によるSiの置換の割合は、40at%以下が好ましい。尚、Geによる置換の場合、20at%以下が特に好ましい。
また、本発明に係る熱電材料は、上記した元素(A)〜(C)を含有するものである。このとき、Cr−Si系熱電材料においてCrサイトを同属元素で原子量の大きいMo、W、Uで置換した場合、また、Siとの化合物がCr−Si系熱電材料と同形の結晶構造になるNb、Taで置換した場合、さらにSiサイトを同属元素で原子量の大きいGe、Sn、Pbで置換した場合等には、Cr−Si系熱電材料の電気伝導率が大きくなり、あるいは、熱伝導率が小さくなり、それによって、Cr−Si系熱電材料の熱電特性を向上することができる。
なお、上記においてMo、W、U、Nb、TaはCrサイトを置換した場合と例示しているが、本発明はこの態様に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る熱電材料では、必ずしもCrサイトを含有元素(Mo、W、U、Nb、Ta)で置換している必要はなく、含有することにより上記のように熱電特性を向上できればよい。
また同様に、Ge、Sn、PbはSiサイトを置換した場合と例示しているが、本発明はこの態様に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る熱電材料では、必ずしもSiサイトを置換している必要はなく、含有することにより上記のように熱電特性を向上できればよい。
なお、本発明における熱電材料は、CrおよびSi、並びに、上記した元素(A)〜(C)としてのMo、W、U、Nb、Ta、Ge、SnおよびPb以外の元素を含有していてもよい。
<熱電材料の製造方法>
図1は、本発明に係る熱電材料の製造工程の一例を示したものである。
最初の工程は、原料を秤量する工程である。Cr、Si、Mo、W、Nb、Ta、Ge、Sn等の原料を必要な分秤量する。
2番目の工程は秤量した原料を溶解する工程である。溶解方法としては高周波溶解、アーク溶解等を用いることができるが、これらの方法に限定されるものではなく、原料を均一に溶解できればどのような方法を用いても特に問題ない。また、溶解するときの雰囲気は、原料の酸化を防止するため、真空あるいはAr等の不活性ガス雰囲気が好ましい。
続いて、3番目の工程は、溶解した合金の熱処理工程である。熱処理は溶解した合金を均一化するために実施する工程であり、合金が溶解しない範囲でできるだけ高温で実施することが好ましい。また、熱処理を実施する際の雰囲気は合金の酸化を防止するため、真空あるいはAr等の不活性ガス雰囲気が好ましい。なお、特にこの熱処理の工程が必要ない場合は、省略することが可能である。
次いで、4番目の工程は、熱処理した合金を粉末に粉砕する工程である。粉砕は必要に応じてボールミル等を用いて粉砕することができるが、必ずしもボールミルを用いる必要はなく、乳鉢等を用いて手で粉砕しても問題ない。次の焼結工程で問題ないレベルまで粉砕できていればよい。粉砕粒径については特に限定しないが、大きすぎる場合は焼結性が悪くなり、小さすぎる場合は粉砕した粉末の酸化等が生じる場合があるので注意が必要である。
そして、最後の5番目の工程が、粉砕した粉末の焼結工程である。焼結する前に粉末を成型する必要がある場合は、この工程の前に成型工程を入れることになる。
焼結方法としては、電気炉等を用いた焼結、放電プラズマ焼結等を用いることができるが、特にこれらの方法に限定されるわけではなく、目的のバルク材料が得られれば特に問題はない。
焼結の温度は、焼結方法や主構成成分及びその組成比さらに置換元素等の種類や量により異なるが、800℃〜1500℃程度が好ましい。さらに高温で焼結を行うことも可能であるが、溶解、構成成分の組成変化あるいは焼結体の粒成長が問題になる場合があるので注意が必要である。また、焼結の温度が低すぎる場合緻密化が不十分になる場合が生じるので、それぞれの場合に適宜調整すればよい。
焼結の時間は、主構成成分及びその組成比さらに添加物や置換元素等の種類や量により異なるが、5分〜20時間程度が適当である。焼結時間が短いと緻密化が不十分になり、また、焼結時間が長いと生産効率の低下が問題になる場合があるので、それぞれの場合に応じて適宜調節することが必要になる。
また、焼結時に使用する基板あるいは容器としては、例えばAl23等のセラミックス基板及びセラミックス容器等を用いることができるが、その他にも、カーボン、グラファイト、アモルファスカーボン等を用いることができる。
焼結の雰囲気としては、真空、不活性ガス雰囲気、大気及び還元性の雰囲気を用いることができるが、粉砕した合金の酸化を防止するため、真空あるいはAr等の不活性ガス雰囲気が好ましい。
以上の製造工程により、本発明に係る熱電材料を製造することができる。
<熱電モジュール>
本発明に係る熱電モジュールは、上述した本発明に係る熱電材料を含有するものである。具体的には、本発明の熱電材料をp型材料として使用し、既存のn型の熱電材料をn型材料として使用して、図12に示したように、補強材4aと補強材4bとの間にp型材料1及びn型材料2を設け、電極3を用いてこれらを直列に連結する実施形態が挙げられる。そして、この一端(例えば図12中の下側であり、補強材4b側)を高温にし、反対側(例えば図12中の上側であり、補強材4a側)にある他端の低温部分との温度差が生じることにより、ゼーベック効果によって電圧が生じ発電できるものである。
尚、上記した実施形態は、p型材料とn型材料との両方を用いる場合を示しているが、本発明の熱電材料をp型材料として使用するのみの、いわゆるユニレグ構造の熱電モジュールであっても問題ない。本発明の熱電材料を用いていればよい。
次に、本発明について実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
高純度化学研究所製の純クロム(純度:99.9%)、高純度化学研究所製の純珪素(純度:99.999%)、高純度化学研究所製の純モリブデン(純度:99.9%)を所望の量になるように秤量し、CrSi2のCrをMoで5at%、10at%および20at%置換した組成とした。
続いて、技研エンジニアリングサービス製のアーク溶解炉GMAC−1100を用いてAr雰囲気中でアーク溶解を行い、Cr0.95Mo0.05Si2、Cr0.9Mo0.1Si2、およびCr0.8Mo0.2Si2の組成の合金とした。
次いで、上記合金をメノウ乳鉢で粉砕後、富士電波工機製の放電プラズマ焼結装置SPS−511Sを用いて真空中で放電プラズマ焼結を行った。焼結は、50MPaの圧力を印加しながら950℃で10分間実施した。これによりCr0.95Mo0.05Si2(試料1)、Cr0.9Mo0.1Si2(試料2)、およびCr0.8Mo0.2Si2(試料3)を製造した。
上記の試料1〜3の電気伝導率の温度変化を、アルバック理工製の熱電特性評価装置ZEM−3を用いて測定した結果を図2に示す。図2には比較のため、Moを置換していないCrSi2の電気伝導率の温度変化も同時に示している。図2から明らかなようにCrの一部をMoで置換することにより、電気伝導率が増加している。
また、図3にアルバック理工製の熱電特性評価装置ZEM−3を用いて測定した上記試料1〜3のパワーファクターの温度変化を示した。図3には、比較のためMoを置換していないCrSi2のパワーファクターの温度変化も同時に示している。図3からわかるようにCrの5〜10at%をMoで置換した場合には、450K以上の温度範囲でパワーファクターが比較のCrSi2よりも増加している。
このように、Crの一部をMoで置換することにより、熱電材料であるCrSi2の電気伝導率及びパワーファクターを増加させることができ、CrSi2の熱電特性を向上できた。
<実施例2>
実施例1で製造した試料1〜3の熱伝導率の温度変化を、アルバック理工製のレーザフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000を用いて測定した結果を図4に示す。図4には、比較のためMoを置換していないCrSi2の熱伝導率の温度変化も同時に示している。図4から明らかなようにCrの一部をMoで置換することにより、熱伝導率が減少している。
また、図5に上記試料1〜3のZTの温度変化を示した。図5には、比較のためMoを置換していないCrSi2のZTの温度変化も同時に示している。ZTの値はアルバック理工製の熱電特性評価装置ZEM−3を用いて測定したパワーファクターの値と、アルバック理工製のレーザフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000を用いて測定した熱伝導率の値を用いて算出した。図5からわかるようにCrの一部をMoで置換することにより、ZTが増加している。
このように、Crの一部をMoで置換することにより、熱電材料であるCrSi2の熱伝導率を減少することができ、また、ZTを増加することができた。これによりCrSi2の熱電特性を向上できた。
<実施例3>
高純度化学研究所製の純クロム(純度:99.9%)、高純度化学研究所製の純珪素(純度:99.999%)、高純度化学研究所製の純ニオブ(純度:99.9%)を所望の量になるように秤量し、CrSi2のCrをNbで5at%および10at%置換した組成とした。
続いて、技研エンジニアリングサービス製のアーク溶解炉GMAC−1100を用いてAr雰囲気中でアーク溶解を行い、Cr0.95Nb0.05Si2およびCr0.9Nb0.1Si2の組成の合金とした。
次いで、上記合金をメノウ乳鉢で粉砕後、富士電波工機製の放電プラズマ焼結装置SPS−511Sを用いて真空中で放電プラズマ焼結を行った。焼結は、50MPaの圧力を印加しながら950℃で10〜20分間実施した。これによりCr0.95Nb0.05Si2(試料4)およびCr0.9Nb0.1Si2(試料5)を製造した。
上記の試料4〜5の電気伝導率の温度変化を、アルバック理工製の熱電特性評価装置ZEM−3を用いて測定した結果を図6に示す。図6には、比較のためNbを置換していないCrSi2の電気伝導率の温度変化も同時に示している。図6からCrの一部をNbで置換することにより、電気伝導率が増加していることがわかる。
また、図7にアルバック理工製の熱電特性評価装置ZEM−3を用いて測定した上記試料のパワーファクターの温度変化を示した。図7には、比較のためNbを置換していないCrSi2のパワーファクターの温度変化も同時に示している。図7からわかるようにCrの10at%をNbで置換した場合には、650K以上の温度範囲でパワーファクターが比較のCrSi2よりも増加している。
このように、Crの一部をNbで置換することにより、熱電材料であるCrSi2の電気伝導率及びパワーファクターを増加させることができ、CrSi2の熱電特性を向上できた。
<実施例4>
実施例3で製造した試料4〜5の熱伝導率の温度変化を、アルバック理工製のレーザフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000を用いて測定した結果を図8に示す。図8には、比較のためNbを置換していないCrSi2の熱伝導率の温度変化も同時に示している。図8から明らかなようにCrの一部をNbで置換することにより、熱伝導率が減少している。
また、図9に上記試料4〜5のZTの温度変化を示した。図9には、比較のためNbを置換していないCrSi2のZTの温度変化も同時に示している。ZTの値はアルバック理工製の熱電特性評価装置ZEM−3を用いて測定したパワーファクターの値と、アルバック理工製のレーザフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000を用いて測定した熱伝導率の値を用いて算出した。図9からわかるようにCrの一部をNbで置換することにより、ZTが増加している。
このように、Crの一部をNbで置換することにより、熱電材料であるCrSi2の熱伝導率を減少することができ、また、ZTを増加することができた。これによりCrSi2の熱電特性を向上できた。
<実施例5>
高純度化学研究所製の純クロム(純度:99.9%)、高純度化学研究所製の純珪素(純度:99.999%)、高純度化学研究所製の純ゲルマニウム(純度:99.99%)を所望の量になるように秤量し、CrSi2のSiをGeで10at%および20at%置換した組成とした。
続いて、技研エンジニアリングサービス製のアーク溶解炉GMAC−1100を用いてAr雰囲気中でアーク溶解を行い、Cr(Si0.9Ge0.1)2およびCr(Si0.8Ge0.2)2の組成の合金とした。
次いで、上記合金をメノウ乳鉢で粉砕後、富士電波工機製の放電プラズマ焼結装置SPS−511Sを用いて真空中で放電プラズマ焼結を行った。焼結は、50MPaの圧力を印加しながら950℃で10分間実施した。これによりCr(Si0.9Ge0.1)2(試料6)およびCr(Si0.8Ge0.2)2(試料7)を製造した。
上記の試料6〜7の電気伝導率の温度変化を、アルバック理工製の熱電特性評価装置ZEM−3を用いて測定した結果を図10に示す。図10には、比較のためGeを置換していないCrSi2の電気伝導率の温度変化も同時に示している。図10から明らかなようにSiの一部をGeで置換することにより、電気伝導率が増加している。
また、図11にアルバック理工製の熱電特性評価装置ZEM−3を用いて測定した上記試料のパワーファクターの温度変化を示した。図11には、比較のためGeを置換していないCrSi2のパワーファクターの温度変化も同時に示している。図11からわかるようにSiを10at%Geで置換した場合にはパワーファクターが増加している。また、Siを20at%Geで置換した場合には800K以上の温度範囲でパワーファクターが比較のCrSi2よりも増加している。
このように、Siの一部をGeで置換することにより、熱電材料であるCrSi2の電気伝導率及びパワーファクターを増加することができ、CrSi2の熱電特性を向上できた。
以上の実施例で示したように、本発明により、構成元素の一部を適切な元素で置換することによって電気伝導率を大きくしたり、あるいは、熱伝導率を小さくしたりすることが可能になり、それにより優れた熱電特性を有することが可能になった。
1 p型材料
2 n型材料
3 電極
4a 補強材
4b 補強材
特開2000−211971号公報 特開2002−16297号公報 特開2001−223396号公報 特開平01−002379号公報 特開2002−76450号公報

Claims (2)

  1. 少なくともCr及びSiを主成分とする熱電材料において、
    当該熱電材料は、CrSi合金であり、
    Siの同族元素であり、且つ、Siよりも原子量が大きい元素(C)であるGeを含有し、CrSi 2 のSiをGeで一部置換した、Cr(Si x Ge (1-x) 2 (ただし、x=0.8〜0.9)であることを特徴とする熱電材料。
  2. 請求項に記載の熱電材料を含有することを特徴とする熱電モジュール。
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