JP5352860B2 - 熱電材料及びその製造方法 - Google Patents
熱電材料及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5352860B2 JP5352860B2 JP2009204046A JP2009204046A JP5352860B2 JP 5352860 B2 JP5352860 B2 JP 5352860B2 JP 2009204046 A JP2009204046 A JP 2009204046A JP 2009204046 A JP2009204046 A JP 2009204046A JP 5352860 B2 JP5352860 B2 JP 5352860B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mnalsi
- thermoelectric
- thermoelectric material
- sintering
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
Description
(1)エネルギー変換の際に余分な老廃物を排出しない、
(2)排熱の有効利用が可能である、
(3)材料が劣化するまで継続的に発電を行うことができる、
(4)モータやタービンのような可動装置が不要であり、メンテナンスの必要がない、
等の特徴を有していることから、エネルギーの高効率利用技術として注目されている。
ゼーベック係数は、1Kの温度差によって生じる起電力の大きさを表す。熱電材料は、それぞれ固有のゼーベック係数を持っており、ゼーベック係数が正であるもの(p型)と、負であるもの(n型)に大別される。
例えば、非特許文献1には、TiSi2型構造を有するRuAl2からなる熱電材料が開示されている。
同文献には、RuAl2は、室温近傍で2mW/mK2の出力因子と、20W/mKの熱伝導度を示す点が記載されている。
同文献には、
(1)Al−Mn−Si系三元合金には、10種類の安定な三元相(τ1〜τ10)が存在する点、及び、
(2)τ3は、Al34Mn34Si32組成を有し、TiSi2型結晶構造を持つ点、
が記載されている。
同文献には、これらの材料のゼーベック係数αは70〜72(μV/K)であり、熱伝導度κは1.1〜1.3(W/mK)であり、性能指数Zは1.9〜2.5×10-3(1/K)である点が記載されている。
同文献には、3〜39重量%のAlとこれらの準結晶との複合体の室温におけるゼーベック係数の絶対値|α|は4〜70(μV/K)であり、室温における比抵抗ρは0.05〜0.8(μΩm)であり、室温における性能指数Zは0.01〜3.1×10-3(1/K)である点が記載されている。
また、AlリッチのAl−Mn−Si系化合物及びこれとAlとの複合体は、いずれも熱電特性が低い。
(Mn1-xAx)(Al1-ySiy)2(t-z)B2z ・・・(1)
但し、
0≦x≦0.2、0.45≦y≦0.55、0≦z≦0.1、
0.94≦t≦1.06、
A、Bは、それぞれ、1種又は2種以上の金属元素(但し、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く)。
本発明に係るMnAlSi系化合物となるように配合された原料を溶解し、鋳造する溶解鋳造工程と、
前記溶解鋳造工程で得られた鋳塊を、真空雰囲気又は不活性ガス中において、500℃以上1000℃以下の温度で加熱し、前記斜方晶TiSi2型構造を有する前記MnAlSi系化合物を生成させるアニール工程と
を備えている。
本発明に係るMnAlSi系化合物となるように配合された原料を溶解することにより得られる溶湯を急冷凝固させる急冷工程と、
前記急冷工程で得られた急冷凝固物の粉末を、真空雰囲気又は不活性ガス中において、500℃以上1000℃以下の温度で加圧焼結し、前記斜方晶TiSi2型構造を有する前記MnAlSi系化合物を含む焼結体を得る焼結工程と
を備えている。
また、各種ドーピングにより、PF=σS2が最大となるように、フェルミ面の位置を最適化することができる。さらに、質量の異なる元素置換により、熱伝導度κが低減し、性能指数Z=PF/κが向上する。
[1. 熱電材料]
本発明に係る熱電材料は、斜方晶TiSi2型構造を有し、かつ、所定の組成を有するMnAlSi系化合物を含む。
Mn:Al:Si原子比がほぼ1:1:1であるMnAlSi系化合物の内、斜方晶TiSi2型構造を有するものは、低温相であり、この低温相は、高い熱電特性を持つ。一方、MnAlSi系化合物には、高温相も存在する。高温相の結晶構造、組成等の詳細は不明であるが、高温相は金属的な性質を持つ。従って、熱電材料を構成するMnAlSi系化合物は、低温相の含有量が高いほど好ましく、実質的に低温相のみからなるのが好ましい。高い熱電特性を得るためには、MnAlSi系化合物中の低温相の割合は、90vol%以上が好ましい。低温相の割合は、さらに好ましくは、95vol%以上、さらに好ましくは、99vol%以上である。
本発明において、MnAlSi系化合物は、(1)式で表される組成を有する。MnAlSi系化合物は、等原子比(Mn:Al:Si=1:1:1)の化合物を基本とするが、各サイトを占める原子の割合は、等原子比から多少ずれていても良い。
(Mn1-xAx)(Al1-ySiy)2(t-z)B2z ・・・(1)
但し、
0≦x≦0.2、0.45≦y≦0.55、0≦z≦0.1、
0.94≦t≦1.06、
A、Bは、それぞれ、1種又は2種以上の金属元素(アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く)。
yが小さすぎる場合、及び、大きすぎる場合のいずれも、Al又はSiのいずれか一方が過剰となり、異相を生成させる原因となる。従って、yは、0.45以上0.55以下が好ましい。
tが小さすぎる場合、及び、大きすぎる場合のいずれも、Mn又は(Al+Si)のいずれか一方が過剰となり、異相を生成させる原因となる。従って、tは、0.96以上1.06以下が好ましい。
特に、元素Aは、Cr、Fe、Co、Mo、Ru、Rh、W、Re、Os、及び、Irから選ばれる少なくとも1種以上の元素が好ましい。これらの元素は、Mnサイトに確実に導入されるので、元素Aとして特に好適である。
特に、元素Bは、Sc、Ti、Zn、Ga、Ge、Al、及び、Siから選ばれる少なくとも1種以上の元素が好ましい。これらの元素は、Alサイト又はSiサイトに確実に導入されるので、元素Aとして特に好適である。
本発明において、「遷移金属元素」とは、第3族〜第11族元素(Sc〜Cu、Y〜Ag、La〜Au、Ac〜Rg)をいう。
「典型金属元素」とは、第12族〜第18族に属する金属元素又は半金属元素をいう。
本発明に係る熱電材料は、上述したTiSi2型結晶構造を有するMnAlSn系化合物のみからなることが望ましいが、不可避的不純物(例えば、異相)が含まれていても良い。但し、熱電特性に悪影響を与える異相は、少ない方が好ましい。
さらに、本実施の形態に係る熱電材料は、上述したMnAlSn系化合物と、他の材料(例えば、樹脂、ゴム等)との複合体であっても良い。
本発明の第1の実施の形態に係る熱電材料の製造方法は、溶解鋳造工程と、アニール工程とを備えている。
溶解鋳造工程は、本発明に係るMnAlSi系化合物となるように配合された原料を溶解し、鋳造する工程である。
原料には、純金属を用いても良く、あるいは、2種以上の構成元素を含む合金を用いても良い。また、原料には、一旦、溶解・鋳造、焼結等の工程を経たMnAlSi系化合物又はそのスクラップを用いることもできる。これらの原料は、目的とする組成を有するMnAlSi系化合物が得られるように配合する。
原料の溶解方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。溶解方法としては、具体的には、アーク溶解法、高周波溶解法などがある。また、原料の溶解は、酸化を防ぐために、不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
溶湯の鋳造方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法(例えば、金型鋳造法、砂型鋳造法など)を用いることができる。
アニール工程は、溶解鋳造工程で得られた鋳塊を、真空雰囲気又は不活性ガス中において、500℃以上1000℃以下の温度で加熱し、斜方晶TiSi2型構造を有するMnAlSi系化合物を生成させる工程である。
上述したように、MnAlSi系化合物には、低温相と高温相が存在する。そのため、単に溶解・鋳造するだけでは、鋳塊の一部に高温相が残存する場合がある。高温相は、金属的であるため、高温相の割合が大きくなるほど、熱電特性が低下する。アニール工程は、鋳塊に残った高温相を低温相に変態させるために行う。
一方、アニール温度が高すぎると、かえって高温相の割合が増大する。従って、アニール温度は、1000℃以下が好ましい。
アニール時間は、アニール温度に応じて、最適な時間を選択する.一般に、アニール温度が高くなるほど、短時間で高温相を低温相に変態させることができる。
さらに、アニールは、試料の酸化及びこれに起因する組成変化を抑制するために、真空雰囲気又は不活性ガス中で行うのが好ましい。
最適なアニール条件は、原料組成や鋳塊の熱履歴などにより異なる。従って、鋳塊が低温相単相となるように、原料組成や熱履歴に応じて、最適なアニール条件を選択するのが好ましい。
本発明の第2の実施の形態に係る熱電材料の製造方法は、急冷工程と、焼結工程と、アニール工程とを備えている。
急冷工程は、本発明に係るMnAlSi系化合物となるように配合された原料を溶解することにより得られる溶湯を急冷凝固させる工程である。
急冷工程で用いられる原料は、純金属を用いても良く、あるいは、2種以上の構成元素を含む合金を用いても良い。また、原料には、一旦、溶解・鋳造、焼結等の工程を経たMnAlSi系化合物又はそのスクラップを用いることもできる。これらの原料は、目的とする組成を有するMnAlSi系化合物が得られるように配合する。
急冷凝固方法としては、具体的には、
(1) ノズル内で溶融させた溶湯を、回転する銅ロール(冷却媒体)上に噴霧又は滴下する方法(銅ロール法)、
(2) ノズル内で溶融させた溶湯をノズル穴から噴霧又は滴下させ、溶湯の流れに周囲からジェット流体を吹きつけ、生成した液滴を落下させながら凝固させる方法(アトマイズ法)、
などがある。
急冷凝固方法としてアトマイズ法を用いる場合、溶湯の酸化を防ぐために、ジェット流体には、不活性ガス(例えば、Arなど)を用いるのが好ましい。
急冷時の冷却速度は、100℃/sec以上が好ましい。冷却速度が100℃/sec未満であると、成分元素が偏析し、均一な固溶体が得られない場合がある。均一な固溶体を得るためには、冷却速度は、速いほどよい。
焼結工程は、急冷工程で得られた急冷凝固物の粉末を、真空雰囲気又は不活性ガス中において、500℃以上1000℃以下の温度で加圧焼結し、斜方晶TiSi2型構造を有するMnAlSi系化合物を含む焼結体を得る工程である。
急冷凝固物は、必要に応じて粉砕し、適度な粒度とする。この粉末をそのまま又はこの粉末の成形体を型内に充填し、加圧焼結を行う。
加圧焼結法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。加圧焼結法としては、具体的には、ホットプレス、HIP、放電プラズマ焼結法(SPS)などがある。これらの中でも、放電プラズマ焼結法は、短時間で緻密な焼結体が得られるので、焼結方法として特に好適である。
一般に、焼結温度が低すぎると、実用的な時間内で緻密な焼結体を得ることができない。従って、焼結温度は、500℃以上が好ましい。
一方、焼結温度が高すぎると、焼結過程で生成した低温相が再度、高温相に変態する。従って、焼結温度は、1000℃以下が好ましい。
また、焼結は、試料の酸化及びこれに起因する組成変化を抑制するために、真空雰囲気又は不活性ガス中で行うのが好ましい。
さらに、焼結時の圧力は、組成、使用する焼結方法等に応じて、最適なものを選択する。一般に、焼結時の圧力が大きくなるほど、低温・短時間の条件下で緻密な焼結体を得ることができる。一方、必要以上の加圧は、実益がない。例えば、放電プラズマ焼結法を用いる場合、加圧力は、20MPa以上が好ましい。
最適な焼結条件は、原料組成により異なる。従って、緻密な焼結体が得られるように、原料組成や熱履歴に応じて、最適なアニール条件を選択するのが好ましい。
アニール工程は、焼結工程で得られた焼結体を、真空雰囲気又は不活性ガス中において、500℃以上1000℃以下の温度で加熱し、斜方晶TiSi2型構造を有するMnAlSi系化合物を生成させる工程である。
焼結条件が適切であると、焼結過程で、焼結と同時に高温相から低温相への変態が起こる。従って、焼結条件が適切である場合には、必ずしもアニール工程は必要ではない。
しかしながら、焼結条件によっては、急冷凝固時に生成した高温相や歪がそのまま残留し、あるいは、焼結の初期過程で生成した低温相が焼結の後期課程において高温相に再度、変態する場合がある。このような場合には、焼結体のアニールを行い、焼結体中の高温相を低温相に変態させるのが好ましい。
アニール工程の詳細は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
高性能な熱電材料を実現するためには、大きなゼーベック係数Sと高い電気伝導度σを両立する必要がある。どちらもフェルミ面近傍の電子状態に大きく依存しており、前者は状態密度のエネルギー依存性が大きいこと、後者はバンド幅が大きいこと、がそれぞれ必要条件となる。MnAlSi系化合物は、これら2つの要素を兼ね備えた電子状態を有する。すなわち、Mnのd軌道と、Al、Siのp軌道がフェルミ面近傍で共存しており、d電子による大きな状態密度の変化とp軌道による大きなバンド幅が両立している。このような電子状態の特性より、高性能な熱電特性が実現されていると考えられる。
また、各種ドーピングにより、PF=σS2が最大となるように、フェルミ面の位置を最適化することができる。さらに、質量の異なる元素置換により、熱伝導度κが低減し、性能指数Z=PF/κが向上する。
[1. 試料の作製(試料No.1〜6、A、B)]
原材料を組成比に合わせて秤量し、BN坩堝に詰めた。これをAr雰囲気中で高周波溶解により原料を溶解し、BN坩堝内で凝固させた。得られたインゴットをガラス管内に真空封入し、800℃で24時間アニールした。表1に、各試料の組成比及び一般式((1)式)のパラメータx、y、z、tを示す。なお、表1には、後述する試料No.7〜10、C〜Gの組成比及びパラメータも併せて示した。
[2.1. XRD]
試料の結晶相及び構造は、X線回折(XRD)装置によって評価した。
[2.2. 熱電特性]
試料を矩形に加工し、600K以下の熱電特性を評価した。低温域の熱電特性は、カンタムデザイン社、サーマルトランスポート測定装置(TTO)で評価し、高温域の熱電特性は、MMR社製ゼーベック効果測定装置(MMR)で評価した。
[3.1. XRD]
図1及び図2に、アニール後の試料のXRD測定結果を示す。これらの結果より、試料No.2、3、4、A、Bの組成において、MnAlSi単相に近い化合物が得られた。試料No.Aの組成から離れると、↓で示すような異相成分が増大した。
[3.2. 熱電特性]
MnAlSi単相に近い試料No.A、Bに関して、熱電特性を評価した。図3及び図4に、それぞれ、試料No.A及びBの熱電特性を示す。試料No.Aでは、ゼーベック係数Sが負のn型を示した。試料No.Bでは、ゼーベック係数が正のp型を示した。どちらも400K近傍でゼーベック係数Sの絶対値が300μV/K以上と大きな値を示した。一方、比抵抗ρは、10〜20mΩcmであった。熱伝導度は、室温近傍で10W/K/mであり、従来技術のRuAl2の半分程度であった。
[1. 試料の作製(試料No.7〜10)]
原材料を試料No.Aの組成比に合わせて秤量し、BN坩堝に詰めた。これをAr雰囲気中で高周波溶解により原料を溶解し、BN坩堝内で凝固させた(試料No.7)。得られたインゴットを再びAr雰囲気中で高周波溶解によってノズル付きBN坩堝内で溶解し、単ロール法により急冷凝固した(試料No.8)。回収した材料をSPS焼結装置によって、800℃×15分×50MPaの条件下で焼結した(試料No.9)。さらに、試料をガラス管内に真空封入し、800℃×24時間アニールした(試料10)。表1に、各試料の組成及び一般式のパラメータを示す。
[2.1. XRD]
試料の結晶相及び構造は、X線回折(XRD)装置によって評価した。
[2.2. 熱電特性]
試料を矩形に加工し、100℃(373K)〜300℃(573K)の熱電特性を評価した。
[3.1. XRD]
図5に、試料No.7〜10のXRD測定結果を示す。溶解鋳造した試料No.7及び急冷凝固直後の試料No.8は、TiSi2型構造のMnAlSiとは異なるXRDパターンであった。おそらく、高温相と思われる。SPS焼結後の試料No.9及びアニール後の試料No.10は、ほぼMnAlSi単相に近いXRDパターンが得られた。
[3.2. 熱電特性]
単相に近い試料No.9及び試料No.10に関して、熱電特性を評価した。図6に、その結果を示す。実施例1の試料No.Aと同様、ゼーベック係数Sが負のn型を示した。また、373K近傍でゼーベック係数Sの絶対値が250μV/Kと大きな値を示した。一方、比抵抗ρは、7mΩcmであった。
以上の結果より、本発明に係る方法によって作製された試料が良好な熱電特性を示すことがわかった。
[1. 第一原理計算(試料No.C〜G)]
Mnサイト、Alサイト、Siサイトの各サイトに元素置換したときの形成エネルギーを、第一原理計算によって評価した。形成エネルギーは小さい方が安定であることを示し、0以下で置換が基底状態でも存在し得ることを示す。プロセス条件に依存するが、形成エネルギーが1eV以下であれば、その元素置換は可能と考えられる。
表1に、各試料の組成及び一般式のパラメータを示す。
図7に、Mnサイトに12.5at%元素置換した結果を示す。
図7より、
(1)これらの元素(Cr、Fe、Co、Mo、Ru、Rh、W、Re、Os、Ir)の形成エネルギーは、1eV以下と低く、Mnサイトへの元素置換が可能と考えられる、
(2)電子キャリアを導入(n型化)するには、Ru、Rh、Os、Ir、Fe、Coが置換元素として有効である、
(3)ホールキャリアを導入(p型化)するには、Mo、Cr、Wが置換元素として有効である、
(4)熱伝導度κを低減させるための同族元素としては、Reが置換元素として有効である、
ことがわかる。
図8より、
(1)Alサイトには、Sc、Zn、Gaが置換元素として適当である、
(2)Siサイトには、Ga、Ti、Geが置換元素として適当である、
(3)ホールキャリアを導入(p型化)するには、Alサイトの置換元素としてZnが有効であり、Siサイトの置換元素としてGaが有効である、
(4)熱伝導度κを低減するための同族元素としては、Alサイトの置換元素としてSc、Gaが有効であり、Siサイトの置換元素としてTi、Geが有効である、
ことがわかる。
図8より、AlサイトにSc、Zn又はGaをドープする場合、及び、SiサイトにGeをドープする場合、100at%元素置換したときと12.5at%元素置換したときとで、形成エネルギーの差があまりないことがわかる。そのため、これらをドーピングする際には、高濃度の置換が可能であると考えられる。
Claims (5)
- 斜方晶TiSi2型構造を有し、(1)式で表されるMnAlSi系化合物を含む熱電材料。
(Mn1-xAx)(Al1-ySiy)2(t-z)B2z ・・・(1)
但し、
0≦x≦0.2、0.45≦y≦0.55、0≦z≦0.1、
0.94≦t≦1.06、
A、Bは、それぞれ、1種又は2種以上の金属元素(但し、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く)。 - 前記Aは、Cr、Fe、Co、Mo、Ru、Rh、W、Re、Os、及び、Irから選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、
前記Bは、Sc、Ti、Zn、Ga、Ge、Al、及び、Siから選ばれる少なくとも1種以上の元素である請求項1に記載の熱電材料。 - 請求項1又は2に記載のMnAlSi系化合物となるように配合された原料を溶解し、鋳造する溶解鋳造工程と、
前記溶解鋳造工程で得られた鋳塊を、真空雰囲気又は不活性ガス中において、500℃以上1000℃以下の温度で加熱し、前記斜方晶TiSi2型構造を有する前記MnAlSi系化合物を生成させるアニール工程と
を備えた熱電材料の製造方法。 - 請求項1又は2に記載のMnAlSi系化合物となるように配合された原料を溶解することにより得られる溶湯を急冷凝固させる急冷工程と、
前記急冷工程で得られた急冷凝固物の粉末を、真空雰囲気又は不活性ガス中において、500℃以上1000℃以下の温度で加圧焼結し、前記斜方晶TiSi2型構造を有する前記MnAlSi系化合物を含む焼結体を得る焼結工程と
を備えた熱電材料の製造方法。 - 前記焼結工程で得られた焼結体を、真空雰囲気又は不活性ガス中において、500℃以上1000℃以下の温度で加熱し、前記斜方晶TiSi2型構造を有する前記MnAlSi系化合物を生成させるアニール工程
をさらに備えた請求項4に記載の熱電材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009204046A JP5352860B2 (ja) | 2009-09-03 | 2009-09-03 | 熱電材料及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009204046A JP5352860B2 (ja) | 2009-09-03 | 2009-09-03 | 熱電材料及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011054850A JP2011054850A (ja) | 2011-03-17 |
JP5352860B2 true JP5352860B2 (ja) | 2013-11-27 |
Family
ID=43943547
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009204046A Expired - Fee Related JP5352860B2 (ja) | 2009-09-03 | 2009-09-03 | 熱電材料及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5352860B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5608949B2 (ja) * | 2010-12-07 | 2014-10-22 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | n型熱電変換性能を有する金属材料 |
JP2013026334A (ja) * | 2011-07-19 | 2013-02-04 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 積層型熱電変換モジュール |
JP5949347B2 (ja) * | 2012-09-04 | 2016-07-06 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | n型熱電変換性能を有する金属材料 |
KR101405364B1 (ko) * | 2013-03-08 | 2014-06-11 | 한국교통대학교산학협력단 | 알루미늄 도핑 망간-규소계 열전재료 제조방법 및 그에 따라 제조된 열전재료 |
WO2018043478A1 (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-08 | 住友電気工業株式会社 | 熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換モジュール |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3055418B2 (ja) * | 1994-12-27 | 2000-06-26 | ヤマハ株式会社 | 熱電材料及びその製造方法 |
JP4888685B2 (ja) * | 2005-08-05 | 2012-02-29 | 株式会社豊田中央研究所 | 熱電材料及びその製造方法 |
-
2009
- 2009-09-03 JP JP2009204046A patent/JP5352860B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011054850A (ja) | 2011-03-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Li et al. | Processing of advanced thermoelectric materials | |
JP5333001B2 (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
KR101087355B1 (ko) | 휴슬러 합금, 반-휴슬러 합금, 채워진 스커테루다이트계합금의 제조 방법, 및 이것을 사용하는 열전변환 시스템 | |
JP2006203186A (ja) | 熱電半導体合金の製造方法および熱電変換モジュールならびに熱電発電装置 | |
JP6401436B2 (ja) | 歪み電子状態密度を有する熱電素材及びその製造方法、並びにこれを含む熱電モジュール及び熱電装置 | |
JP5157269B2 (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
US9115420B2 (en) | Thermoelectric material formed of Mg2Si-based compound and production method therefor | |
JP2009277735A (ja) | 熱電材料の製造方法 | |
JP5352860B2 (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
JP4374578B2 (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
JP4865531B2 (ja) | Yb−AE−Fe−Co−Sb(AE:Ca、Sr、Ba、Ag)系熱電変換材料 | |
JP5281308B2 (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
JP2006086512A (ja) | フィルドスクッテルダイト系合金を用いた熱電変換システム。 | |
JP5201691B2 (ja) | 酸素を含有した金属間化合物熱電変換材料並びに熱電変換素子乃至熱電変換モジュール | |
JP4900819B2 (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
JP2008016610A (ja) | Zn−Sb系熱電変換材料及びZn−Sb系熱電変換材料の製造方法 | |
JP2009111357A (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
JP2008007825A (ja) | Yb−Fe−Co−Sb系熱電変換材料 | |
JP6632218B2 (ja) | クラスレート化合物ならびに熱電変換材料およびその製造方法 | |
JP4496333B2 (ja) | 熱電材料 | |
JP5563024B2 (ja) | 熱電変換材料とそれを用いた熱電変換モジュール | |
JP5448942B2 (ja) | 熱電変換材料 | |
JP2007227756A (ja) | 熱電材料 | |
JP6155141B2 (ja) | 熱電変換材料およびその製造方法 | |
KR102241257B1 (ko) | 열전소재 및 이의 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120412 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120412 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130730 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130731 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130806 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |