JP2008016610A - Zn−Sb系熱電変換材料及びZn−Sb系熱電変換材料の製造方法 - Google Patents

Zn−Sb系熱電変換材料及びZn−Sb系熱電変換材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】p−型Zn4Sb3熱電変換材料に含まれるZnの量を維持しながらSb元素を他の元素で置換することによってゼーベック係数を高め、電気抵抗率及び熱伝導率を抑えて熱電性能がより高い熱電変換材料を得る。
【解決手段】β−Zn4Sb3の結晶構造を有するZn−Sb系熱電変換材料を、熱電変換材料におけるSb元素の少なくとも一部を、III族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種の元素からなる物質Mによって置換したことにより、一般式Zn4Sb3-xMx(0<x≦0.2)で記述されるよう構成して無次元性能指数ZTを高める。
【選択図】図4

Description

本発明は、熱エネルギーを電気に、あるいは電気を熱エネルギーに直接変換できる熱電変換素子に使用する熱電変換材料及びZn−Sb系熱電変換材料の製造方法に係り、特にp−型Zn−Sb系熱電変換材料及びZn−Sb系熱電変換材料の製造方法に関する。
近年、環境負荷の低減が世界的な規模で推進される傾向にあり、エネルギーの効率的利用促進の一環として、熱機関などから発生する低品位廃熱を回収し、電気へ変換する技術が盛んに研究開発されている。
熱電変換材料は熱を電気に直接変換する、あるいは電気を印加して加熱、冷却できる材料であり、p−型熱電変換材料とn−型熱電変換材料を組み合わせ、一つの熱電変換素子が形成される。熱電変換素子を使用すれば、対象物を容易に加熱、冷却することができる。また、従来利用しにくい低品位廃熱を電気に変換してエネルギーを有効に活用することができる。
熱電変換材料の性質は、性能指数Zによって評価される。性能指数Zとは、ゼーベック係数S、熱伝導率κ及び電気抵抗率ρを用いた以下の式(1)によって表される。
Z=S2/(κρ) 式(1)
また、熱電変換材料の性質は、性能指数Zと温度Tとの積によって評価されることがある。この場合には、式(1)の両辺に温度Tを乗じて式(2)とする。
ZT=S2T/(κρ) 式(2)
熱電変換材料は、式(2)に示したZTの値が大きいほど温度Tにおける熱電性能が高いことになる。式(1)、式(2)から、優れた熱電変換材料とは、ZTの値を大きくできる、すなわちゼーベック係数Sが大きく、熱伝導率κ及び電気抵抗率ρが小さいものを指すことが分かる。なお、式(2)に示したZTは、無次元性能指数とも呼ばれて熱電変換材料の性能を示す指標になる。
また、熱電変換材料の最大変換効率μmaxは、式(3)で表される。
μmax ={(Th−Tc)/Th}{(M−1)/(M+(Tc/Th))} 式(3)
式(3)のMは、以下の式(4)によって表される。また、Thは熱電変換材料の高温端の温度、Tcは低音端の温度である。
M={(1+Z(Th+Tc))/2}1/2 式(4)
以上の内容から、熱電変換材料の熱電変換効率は、性能指数及び高温端と低温端との温度差が大きいほど向上することが分かる。
ところで、現在までに研究されてきた熱電変換材料には、Bi2Te3系、PbTe系、GeTe−AgSbTe2系、SiGe系、Fe2Si系、Zn4Sb3系、B4C系、スクッテルダイト構造を有するLaFe3CoSb12及びYb0.15Co4Sb12系材料、NaCo2O4、Ca3Co4O9、Bi2Sr2Co2O8系酸化物などがある。
このような中で実用化されているのはBi2Te3系のみである。Bi2Te3系熱電変換素子は、主として低温域での用途開発がなされているが、熱電変換効率が10%未満と低いので、スペースユーティリテイが小さいペルチェ素子などに用途が限られている。
また、中温域で使用可能な熱電変換材料として、スクッテルダイトCoSb3系熱電変換材料の開発が進められている。その熱電性能を向上させるために、CoをPd、Pt、Ru、Rh(化学式においてMで示す)で部分置換したCo1-xMxSb3材料が開発されてその製法も検討されてきた。
しかし、このような材料は、熱伝導率が大きく、無次元性能指数ZTが小さいため現在のところ実用化にいたっていない。
CoSb3系材料の熱伝導率を低下させるため、Slackらは、「Phonon Glass and Electron Crystal」というコンセプトを提唱してラットリング効果を利用したスクッテルダイト熱電変換材料を開発した。そして、1977年、Slackらはスクッテルダイト系化合物LaFe4Sb12、CeFe4Sb12が中温域で良好なp−型熱電性能を有することを報告し、その後CoなどでFeを部分置換したLaFe3CoSb12材料が開発され、その製法も検討されていた。その結果、このp−型熱電変換材料の無次元性能指数ZTは0.8に達することが報告され、実用材料として有望であることが分かった。
2000年には、NolasらによってYbxCo4Sb12(0<x≦1)が良好なn−型熱電性能を持つことが発見され、その無次元性能指数ZTは0.7に達している。
熱電変換効率が高い熱電変換素子を作るには、p−、n−型共に無次元性能指数ZTが1以上を有する熱電変換材料を用いることが望ましい。しかし、p−、n−型スクッテルダイト熱電変換材料の現時点での無次元性能指数ZTの最高値は未だ0.7から0.8程度と1に達していないのが現状である。
また、1996年に報告されたp−型Zn4Sb3熱電変換材料は、無次元性能指数ZT=1というp−型熱電変換素子における最高の熱電性能を有するものの、400℃以上の温度に達した場合に固相変態して熱電性能は低下するために用途が400℃以下の範囲に限られる。
このようなp−型Zn4Sb3熱電変換材料に関する従来技術としては、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1によれば、p−型Zn4Sb3熱電変換材料を焼結法を使って緻密化させることによって無次元性能指数ZT=1.6を得ることができる。ただし、非特許文献1には、類似の手法によって緻密化されたp−型Zn4Sb3熱電変換材料の無次元性能指数ZT=1.1であることが記載されていて、特許文献1の無次元性能指数ZT=1.6の数値は確認されていない。
以上述べたように、現在、中温領域において充分な熱電性能を有するp−型Zn4Sb3系熱電変換材料は得られていない。
特開2003−218409号公報 K.Ueno,A.Yamamoto,T.Noguchi,S.Sodeoka,H.Takazawa,C.H.Lee and H.Obara,Journal of Alloys and Compounds,384(2004)254.
ところで、近年、p−型Zn4Sb3熱電変換材料は、約10%のZn原子が結晶格子の中でランダムに存在し、フォノン散乱を強く起こすために普通の結晶構造よりも熱伝導率が低いことが報告されている(G.Jeffrey SnyderらによってNature Materials,3(2004)458)。Zn原子がランダムに存在することは、Zn4Sb3熱電変換材料の熱電性能を高めることに寄与している。
すなわち、熱伝導率は結晶格子振動及び電子の熱伝導によって決まるので、格子振動時の振動協調の乱れ(フォノン散乱)は熱伝導に障害を起こす。重い原子によるフォノン散乱はこの効果が大きいことが知られており、Sbをより重い元素であるPb、Biで置換することによって熱伝導率の低下が期待できる。
また、p−型熱電変換材料の電気抵抗率は、p−型熱電変換材料中で電気伝導を担うホールの数を増やすことによって小さくすることができる。具体的には、SbサイトをSbより価数の低い元素で置換することによってホールの数を増加させて電気抵抗率を小さくすることが可能になる。換言すれば、III族、IV族の元素によるV族のSbサイト置換は、Zn4Sb3の電気抵抗を低下させることができる。
本発明は、以上の点に着目し、p−型Zn4Sb3熱電変換材料に含まれるZnの量を維持しながらSb元素を他の元素で置換することによってゼーベック係数を高め、電気抵抗率及び熱伝導率を抑えて熱電性能がより高い熱電変換材料を得ることを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明の請求項1に係るZn−Sb系熱電変換材料は、β−Zn4Sb3の結晶構造を有するZn−Sb系熱電変換材料であって、前記Sb元素の少なくとも一部を、III族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種の元素からなる物質Mによって置換したことにより、一般式Zn4Sb3-xMx(0<x≦0.2)で表される構成を有することを特徴とする。
このような発明によれば、β−Zn4Sb3の結晶構造におけるSbの少なくとも一部を、III族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種の元素からなる物質Mによって置換することができる。このため、置換によってZn−Sb系熱電変換材料の熱伝導率や電気抵抗率を低下させることによって性能指数Zを高め、熱電性能がより高い熱電変換材料を提供することができる。
また、請求項2に係るZn−Sb系熱電変換材料は、請求項1において、前記物質Mが、Al、Si、Ge、Sn、Pb及びBiの一種またはAl、Si、Ge、Sn、Pb及びBiの少なくとも一種を含む混合物であることを特徴とする。
このような発明によれば、SbをGeによって置換することによってZn4Sb3熱電変換材料のゼーベック係数を向上させ、Bi、Pbによって置換することにより熱伝導率を低下させ、Al、Si、Ge、Sn、Pb及びBiによって置換することにより電気抵抗率を低下させることができる。
また、請求項3に係るZn−Sb系熱電変換材料の製造方法は、β−Zn4Sb3の結晶構造を有するZn−Sb系熱電変換材料の製造方法であって、Zn、Sbと共にIII族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種を所定の比率で容器に入れて加熱する加熱ステップと、前記加熱ステップによって加熱されたZn及びSbとIII族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種を含む材料を冷却するステップと、を含み、前記Sb元素の少なくとも一部を、前記III族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種の元素に置換することを特徴とする。
このような発明によれば、β−Zn4Sb3の結晶構造におけるSbの少なくとも一部を、III族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種の元素からなる物質Mによって置換することができる。このため、置換によってZn−Sb系熱電変換材料の熱伝導率や電気抵抗率を低下させることによって性能指数Zを高め、熱電性能がより高い熱電変換材料を製造する製造方法を提供することができる。
本発明のp−型Zn4Sb3-xMx(0<x≦0.2、M=Al,Si,Ge,Sn,Pb及びBiの一種もしくは少なくとも一種を含む混合物)熱電変換材料は、200℃〜400℃の中温域において従来のp−型Zn4Sb3熱電変換材料よりも優れた熱電性能が得られる。
以下、図を参照して本発明に係るZn−Sb系熱電変換材料及びZn−Sb系熱電変換材料の製造方法の実施の形態を説明する。
本発明のp−型Zn4Sb3-xMx熱電変換材料(式中のxは0<x≦0.2であって、MはAl、Si、Ge、Sn、Pb及びBiの一種またはAl、Si、Ge、Sn、Pb及びBiの一種を含む混合物である。)は、一般式β−Zn4Sb3構造を有する。この材料は、溶解法、急冷凝固法、メカニカルアロイング法(ボールミル法)、ホットプレス法、加熱焼結法、放電プラズマ成型法、熱処理法などを組合わせて作製することができる。
なお、本実施形態は、β−Zn4Sb3構造を得ることができるものであれば、その製法について特に限定するものではない。
Zn4Sb3-xMx熱電変換材料は、Zn4Sb3と同様に、凝固後の固相体積が液相の体積より大きい。このため、体積膨張によって細密化しやすく、製法による熱電性能の違いが比較的少ない。製造コストを抑えるという観点からは、溶解法と熱処理法とを組合わせて製造することが望ましい。
以下、Zn4Sb3-xMx熱電変換材料の合成プロセスを、複数の製造方法について例を挙げて説明する。
(溶解法と熱処理法とを組合わせた製造方法)
先ず、純金属のZn4Sb3-xMx熱電変換材料の材料を所定の比率でアルミナ製の坩堝に入れて不活性ガス雰囲気中で加熱、溶解する。加熱は、電気加熱によって材料が750℃になるまで行った。
加熱後の材料を5時間保持した後、3時間で450℃になるまで冷却する。冷却後の温度を維持した状態で24時間保持した後、1時間で350℃まで冷却して24時間保持した。さらに、室温まで冷却することによって目的の熱電変換材料が得られた。
(溶解法と放電プラズマ成型法とを組合わせた製造方法)
純金属のZn4Sb3-xMx熱電変換材料の材料を所定の比率でアルミナ製の坩堝に入れて不活性ガス雰囲気中で800℃になるまで加熱、溶解する。加熱後の材料を2時間保持した後、室温まで冷却してインゴットを得た。
次に、得られたインゴットを粉砕し、粉末をカーボンダイスに入れて真空もしくは不活性ガス雰囲気中において60MPaの圧力下でパルス電流をかけながら400℃になるまで加熱する。加熱後、10分間保持した後で室温まで冷却して目的の熱電変換材料が得られた。
(メカニカルアロイング法と放電プラズマ成型法とを組合わせた製造方法)
複数の種類の純金属の粉末を所定の比率でアルミナ容器に入れ、アルミナボールと混合する。この後、24時間のメカニカルアロイングを行ってZn4Sb3-xMx熱電変換材料の原料粉末を得た。粉末をカーボンダイスに入れ、真空もしくは不活性ガス雰囲気中において60MPaの圧力下でパルス電流をかけながら400℃になるまで加熱する。加熱後、10分間保持した後で室温まで冷却して目的の熱電変換材料が得られた。
本発明の発明者らは、上記した製造方法によって得られた熱電変換材料のいずれもがβ−Zn4Sb3構造を有することを粉末X線回折によって確認した。また、そのゼーベック係数、電気抵抗率、熱伝導率と温度との関係を測定し、測定された温度の各々における無次元性能指数ZTを算出した。この結果、温度の上昇と共にZTが大きくなり、300℃〜400℃の温度範囲でZTが1.2以上に達することが分かった。
以下、本発明の熱電変換材料の合成方法について実施例1、実施例2を示し、熱電変換材料の熱電性能について説明する。
(実施例1)
実施例1では、Zn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料を得る場合を例に挙げてその合成方法について説明する。Zn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料を合成するにあたっては、先ず、純度99.999%のZn、99.999%のSb、99.99%のPbの純金属原料をアルミナ製の坩堝に入れて不活性ガス雰囲気中に置く。そして、電気加熱によって750℃まで加熱、溶解して5時間保持した後に3時間かけて450℃まで冷却し、24時間保持する。さらに1時間で350℃まで冷却して24時間保持した後に室温まで冷却し、目的とするZn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料を得た。
(実施例2)
実施例2では、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料を得る場合を例に挙げてその合成方法について説明する。Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料を合成するにあたっては、先ず、純度99.999%のZn、99.999%のSb、99.99%のBiの純金属原料をアルミナ製の坩堝に入れて不活性ガス雰囲気中に置く。そして、電気加熱によって750℃まで加熱、溶解して5時間保持した後に3時間かけて450℃まで冷却し、24時間保持する。さらに1時間で350℃まで冷却して24時間保持した後に室温まで冷却し、目的とするZn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料を得た。
(比較例)
次に、本発明の発明者らは、以上述べた方法によって得られたZn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料の熱電性能を従来のZn4Sb3熱電変換材料と比較した。比較例では、Zn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料の性能を熱電評価装置によって測定し、測定結果に基づいてゼーベック係数等の物理量を算出した。
また、従来のZn4Sb3熱電変換材料の性能をZn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料と同様の方法によって測定し、同様にしてゼーベック係数等の物理量を算出した。そして、算出された物理量をZn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料の物理量と共にグラフ化して示し、比較した。
なお、比較のために合成されたZn4Sb3熱電変換材料は、純度99.999%のZn、99.999%のSbの純金属原料をアルミナ製の坩堝に入れて不活性ガス雰囲気中に置く。そして、電気加熱によって750℃まで加熱、溶解して5時間保持した後に1時間で450℃まで冷却し、24時間保持する。さらに1時間で350℃まで冷却して得られたものである。
図1から図4は、算出されたゼーベック係数等の物理量を示したグラフであって、いずれも横軸には測定温度をケルビン単位で示している。測定温度は、いずれの場合も室温程度から400℃の範囲である。
図1は、横軸に示した測定温度に対応するZn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料、Zn4Sb3熱電変換材料のゼーベック係数(式(1)の中にSとして示した)を縦軸に示している。図2は、横軸に示した測定温度に対応する各熱電変換材料の電気抵抗率を縦軸に示している。
また、図3では、横軸に示した測定温度に対応するZn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料、Zn4Sb3熱電変換材料の熱伝導率を縦軸に示している。さらに、図4では、横軸に示した測定温度に対応する各熱電変換材料の無次元性能指数ZTを縦軸に示している。
また、図1〜図4のいずれにおいても、Zn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料のパラメータは■のプロットで示される。また、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料のパラメータは▲のプロットで示される。さらに、比較のため示したZn4Sb3熱電変換材料のパラメータは黒いひし形のプロットで示されている。
図3から明らかなように、Zn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料は、350℃以上の温度にあってはいずれもZn4Sb3熱電変換材料よりも低い熱伝導率を有している。
特に、Zn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料は、Zn4Sb3熱電変換材料のSbをPbに置換したことによって熱伝導率を300℃〜400℃の範囲で大きく低下させることができる。熱伝導率の低下により、Zn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料の無次元性能指数ZTの値は350℃において1.2に達した。
また、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料は、図1から分かるように、Zn4Sb3熱電変換材料よりもゼーベック係数が低下するものの、電気抵抗率がZn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料よりも大きく低下する。このため、出力因子P(=S2/ρ)は殆ど変化していない。
ただし、図3に示したように、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料は、熱伝導率が300℃〜400℃の範囲で低下する。このため、この範囲でZn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料は、Zn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料、Zn4Sb3熱電変換材料よりも高い無次元性能指数ZTを有する。Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料の無次元性能指数ZTは、図4に示したように、測定温度350℃において1.3に達した。
なお、Zn4Sb3熱電変換材料の無次元性能指数ZTは、測定温度400℃において得られる1.1が最高値であった。したがって、実施例1で合成されたZn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料、実施例2で合成されたZn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料のいずれもが従来のZn4Sb3熱電変換材料よりも高い無次元性能指数ZTの値を有することが分かった。
以上述べた実施例は、Zn4Sb2.9Pb0.1熱電変換材料、Zn4Sb2.9Bi0.1熱電変換材料を例にして本発明のp−型Zn4Sb3-xMx(0<x≦0.2、M=Al,Si,Ge,Sn,Pb及びBiの一種もしくは少なくとも一種を含む混合物)熱電変換材料が、200℃〜400℃の中温域において従来のp−型Zn4Sb3熱電変換材料よりも優れた熱電性能が得られることを述べた。
ただし、本発明は、実施例のようにZn4Sb3-xMxのMに相当する物質をPbまたはBiに限定するものでなく、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Biのうちの少なくとも一種の元素からなる物質、あるいは一種の元素を含む混合物で置換した場合にも同様の結果を得ることができた。
すなわち、本発明の発明者らは、SbのGeによる置換がZn4Sb3熱電変換材料のゼーベック係数を向上させ、Bi、Pbの置換が熱伝導率を低下させ、Al、Si、Ge、Sn、Pb及びBiの置換がその電気抵抗率を低下することを突き止めた。
そして、このような結果に基づいて、β−Zn4Sb3の結晶構造を有し、一般式Zn4Sb3-XMx(0<x≦0.2)で記述され、Sbの一部をIII族、IV族及びV族元素Al、Si、Ge、Sn、Pb、Biのうちの少なくとも一種の元素からなる物質で置換した熱電変換材料が高い熱電性能を有することを明らかにした。
さらに、本発明は、以上述べた実施形態及び実施例に限定されるものでなく、本発明の範疇を逸脱しない範囲においてあらゆる変形、変更が可能であることはいうまでもない。
本発明の実施例で合成された熱電変換材料の測定結果に基づいて算出されたゼーベック係数を示したグラフである。 本発明の実施例で合成された熱電変換材料の測定結果に基づいて算出された電気抵抗率を示したグラフである。 本発明の実施例で合成された熱電変換材料の測定結果に基づいて算出された熱伝導率を示したグラフである。 本発明の実施例で合成された熱電変換材料の測定結果に基づいて算出された無次元性能指数を示したグラフである。

Claims (3)

  1. β−Zn4Sb3の結晶構造を有するZn−Sb系熱電変換材料であって、
    前記Sb元素の少なくとも一部を、III族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種の元素からなる物質Mによって置換したことにより、
    一般式Zn4Sb3-xMx(0<x≦0.2)で記述される構成を有することを特徴とするZn−Sb系熱電変換材料。
  2. 前記物質Mが、Al、Si、Ge、Sn、Pb及びBiの一種またはAl、Si、Ge、Sn、Pb及びBiの少なくとも一種を含む混合物であることを特徴とする請求項1に記載のZn−Sb系熱電変換材料。
  3. β−Zn4Sb3の結晶構造を有するZn−Sb系熱電変換材料の製造方法であって、
    Zn、Sbと共にIII族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種を所定の比率で容器に入れて加熱する加熱ステップと、
    前記加熱ステップによって加熱されたZn及びSbとIII族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種を含む材料を冷却するステップと、
    を含み、
    前記Sb元素の少なくとも一部を、前記III族、IV族及びV族の元素のうちの少なくとも一種の元素に置換することを特徴とするZn−Sb系熱電変換材料の製造方法。
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