JP4745183B2 - 熱電変換材料とそれを用いた熱電変換モジュール - Google Patents

熱電変換材料とそれを用いた熱電変換モジュール Download PDF

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Description

本発明は熱電変換材料とそれを用いた熱電変換モジュールに関する。
近年、地球環境問題に対する意識の高揚等から、フロンレスの冷却機器であるペルチェ効果を利用した熱電冷却装置に対する関心が高まっている。また同様に、二酸化炭素の排出量の削減やエネルギーの有効利用等の観点から、未利用の廃熱エネルギーを使用した発電システムとして、ゼーベック効果を利用した熱電発電装置に対する関心が高まっている。これら熱電変換装置はいずれもp型熱電変換材料とn型熱電変換材料とを交互に直列接続した熱電変換モジュールを具備する。
熱電変換モジュールに適用される熱電変換材料としては、室温付近で利用される装置ではBi−Te系の単結晶体や多結晶体が多用されている。熱電変換モジュールを作製するにあたっては、Bi−Te系材料でp型とn型の両材料が構成される。これらのうち、n型材料には一般的にSeが添加される。また、室温より高温で使用される熱電変換材料には効率の高さからPb−Te系材料が用いられている。
上述したBi−Te系やPb−Te系の熱電変換材料は、人体にとって有毒、有害なSe(セレン)、Pb(鉛)、Te(テルル)を含んでおり、これらは地球環境問題の観点からも好ましくない物質である。このため、Bi−Te系材料やPb−Te系材料に代わる熱電変換材料が求められており、無害な熱電変換材料の検討が進められている。このような無害な熱電変換材料の一つとして、L21構造を有するFe−V−Al系材料が注目されている(例えば特許文献1,2参照)。
Fe3AlにおけるFeの1/3をVで置換したFe2VAl合金は、L21構造いわゆるホイスラー構造を有し、半導体的な電気伝導の挙動を示すと共に、Bi−Te系材料に匹敵する高いゼーベック係数を室温で示す材料として注目されている。さらに、Fe2VAl合金におけるAlの一部をSiで置換することによって、熱電変換材料の出力因子(=α2/ρ:αは熱電変換材料のゼーベック係数、ρは熱電変換材料)が向上する。
しかしながら、Fe−V−Al系材料は熱伝導率がBi−Te系材料よりも約1桁高く、これが実用化の壁となっている。すなわち、熱電変換材料の実用的な特性は性能指数Z(=α2/(ρ・κ):κは熱電変換材料の熱伝導率)で表される。従って、ゼーベック係数αや電気抵抗率ρに基づく出力因子が高くても、熱伝導率κの値が高いと熱電変換材料の実用性を示す性能指数Zの値を十分に高めることができない。
特開2004-119648号公報 特開2004-119948号公報
本発明の目的は、Fe−V−Al系材料の熱伝導率を低下させることによって、実用的な熱電特性を向上させた熱電変換材料、さらにはそのような熱電変換材料を用いて高性能化を図った熱電変換モジュールを提供することにある。
本発明の一態様に係る熱電変換材料は、
組成式:(Fe1−p100−x(Al1−qSi
(式中、p、qおよびxは0.45≦p≦0.7、0.01≦q≦0.7、20≦x≦30原子%を満足する数である)
で表され、かつ前記組成式におけるAlおよびSiの一部がGaおよびSnから選ばれる少なくとも1種で置換された組成を有し、L21構造を有する結晶相(以下、L21型結晶相と記す)を主相とする熱電変換材料であって、熱伝導率が6.9W/m・K以下であることを特徴としている。
本発明の他の態様に係る熱電変換モジュールは、第1の電極と、一端が前記第1の電極に接続されたp型熱電変換材料と、前記p型熱電変換材料の他端に接続された第2の電極と、一端が前記第2の電極に接続されたn型熱電変換材料と、前記n型熱電変換材料の他端に接続された第3の電極とを具備する熱電変換モジュールにおいて、前記p型熱電変換材料および前記n型熱電変換材料の少なくとも一方は本発明の態様に係る熱電変換材料からなることを特徴としている。
本発明の態様に係る熱電変換材料によれば、L21型結晶相を主相とするFe−V−Al系材料の熱伝導率を低下させることができるため、実用的な熱電特性を向上させた熱電変換材料を提供することが可能となる。また、そのような熱電変換材料を使用することで、高性能化を図った熱電変換モジュールを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明の一実施形態による熱電変換材料は、
組成式:(Fe1−p100−x(Al1−qSi)x …(1)
(式中、p、qおよびxは0.45≦p≦0.7、0.01≦q≦0.7、20≦x≦30原子%を満足する数である)
で表され、かつ前記組成式におけるAlおよびSiの一部がGaおよびSnから選ばれる少なくとも1種で置換された組成を有し、L21構造を有する結晶相(L21型結晶相)を主相とする。
ここで、熱電変換材料の性能指数Zは、
Z=α2/(ρ・κ) …(2)
(式中、αは熱電変換材料のゼーベック係数、ρは熱電変換材料の電気抵抗率、κは熱電変換材料の熱伝導率である)
で表される。(2)式で表される性能指数Zは温度の逆数の次元を有し、この性能指数Zに絶対温度Tを乗ずると無次元の値となる。性能指数Zが大きい材料ほど熱電変換効率は大きくなる。上記した(2)式から分かるように、高い性能指数Zを持つ熱電変換材料を実現するためには、より高いゼーベック係数α、より低い電気抵抗率ρ、より低い熱伝導率κを有する熱電変換材料が求められる。
本発明者等は、L21構造(ホイスラー構造)を有する結晶相(L21型結晶相/ホイスラー相)を主相とするFe−V−Al系材料において、FeとVの組成比率を従来のホイスラー組成(Fe2VAl)よりV濃度が高い領域とすると共に、Alの一部をSiで置換することによって、熱電変換材料のゼーベック係数等を劣化させることなく、熱伝導率を低下させることが可能であることを見出した。これによって、実用的な熱電特性を向上させたFe−V−(Al,Si)系熱電変換材料を提供するものである。
この実施形態の熱電変換材料について詳述する。この実施形態の熱電変換材料において、L21型結晶相(ホイスラー相)は熱電特性を担う相であり、これを主相としている。ここで、主相とは熱電変換材料を構成する全ての結晶相および非晶質相の総量に対して最も体積占有率が大きい相を指すものである。主相の割合は50体積%以上であることが好ましく、より好ましくは70体積%以上、望ましくは90体積%以上である。
L21型結晶相(ホイスラー相)を主相とするFe−V−(Al,Si)系熱電変換材料を実現する上で、(1)式のxの値は20〜30原子%の範囲とする。(1)式において、xで表される(Al,Si)の総量が上記した範囲を逸脱すると、ホイスラー相以外の相の析出量が多くなり、熱電特性とりわけゼーベック係数αが劣化する。xの値は23〜27原子%の範囲とすることがより好ましい。
この実施形態のFe−V−(Al,Si)系熱電変換材料においては、従来のホイスラー組成(FeV(Al,Si):p=1/3)と比較してVリッチの組成を適用している。すなわち、上述した(1)式の組成式において、Fe−Vの組成比率を示すpの値を0.45以上0.7以下の範囲としている。従来のホイスラー組成におけるFe−Vの組成比率(p=1/3)よりVリッチの組成(0.45≦p)とした場合、主相としてのホイスラー相を維持しつつ、熱電変換材料の熱伝導率を低下させることができる。
図1に、[(Fe1−p75(Al0.6Si0.1Ga0.325]組成の熱電変換材料において、Vの組成比を示すpの値を変化させた場合の熱伝導率κの変化を示す。この図から明らかなように、Vの組成比を示すpの値を従来のホイスラー組成から増大させる(0.45以上)ことによって、熱電変換材料の熱伝導率κは低下し、p=0.5付近で最小値を示す。ただし、pの値を大きくしすぎる(0.7<p)と、熱伝導率κが上昇する。従って、pの値が0.45〜0.7の範囲のFe−V組成を適用することによって、熱伝導率κを低下させた熱電変換材料、ひいては実用的な熱電特性を示す性能指数Zを高めた熱電変換材料を提供することが可能となる。
Feに比べてVは高コストであることから、Vの組成比を増加させるにしたがって製造コストが上昇する。このため、高性能の熱電変換材料を低コストで実現するという観点からは、Vの組成比を示すpの値は0.6以下に設定することがより好ましい。また、Feの組成比が減少することで3dバンドの電子数が減少し、これによりゼーベック係数αの低下を招くおそれがある。このような点からも、pの値は0.6以下に設定することがより好ましい。
この実施形態の熱電変換材料においては、さらにAlの一部をSiで置換している。Alの一部をSiで置換することによって、熱電変換材料の電気抵抗率ρを低下させることができる。これによっても、熱電変換材料の性能指数Zを高めることが可能となる。さらに、VリッチのFe−V組成を適用した場合、上記したようにFeの組成比が減少することで3dバンドの電子数が減少し、これがゼーベック係数αの低下を招くおそれがある。このような点に対して、Alの一部をSiで置換して3価電子量を補うことによって、ゼーベック係数αの低下を抑制することができる。
SiによるAlの置換量を示すqの値は0.01以上0.7以下の範囲とする。Siによる置換量qが0.01未満であると、熱電変換材料の電気抵抗率ρを低下させる効果や3価電子量を補う効果を十分に得ることができない。一方、Siによる置換量qが0.7を超えると熱電変換材料の熱伝導率κが増大し、その結果として性能指数Zが低下する。SiによるAlの置換量qは0.05〜0.5の範囲とすることがより好ましい。
上述したように、VリッチのFe−V組成(p=0.45〜0.7)を適用すると共に、Alの一部(1原子%以上70原子%以下の範囲)をSiで置換することによって、ゼーベック係数αの低下等を抑制しつつ、L21型結晶相(ホイスラー相)を主相とするFe−V−(Al,Si)系材料の熱伝導率κを低下させることができる。また、Alの一部をSiで置換することによって、電気抵抗率ρを低下させることができる。これらによって、性能指数Zで表される実用的な熱電特性を高めたFe−V−(Al,Si)系熱電変換材料を提供することが可能となる。
さらに、(1)式で表される組成を有する熱電変換材料において、Vの一部はTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素Mで置換してもよい。このような元素Mによる置換によって、キャリア濃度を最適化する等して電気抵抗率を下げることができる。元素MとしてはTi、Zr、Nb、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素が有効である。ただし、置換量が過剰になるとゼーベック係数の低下等を招くおそれがあるため、元素Mによる置換量はVの20原子%以下とすることが好ましい。
Feの一部は、Mn、Co、Ni、CuおよびAgから選ばれる少なくとも1種の元素Tで置換してもよい。このような元素Tによる置換によって、熱伝導率や電気抵抗率を低下させることができる。元素TとしてはMn、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素が有効である。ただし、置換量が過剰になるとゼーベック係数の低下等を招くおそれがあるため、元素Tによる置換量はFeの20原子%以下とすることが好ましい。
AlおよびSiの総量の一部は、GaおよびSnら選ばれる少なくとも1種の元素Xで置換される。このような元素Xによる置換によって、熱伝導率を低下させることができる。元素Xは特に熱伝導率の低下に有効なGaおよびSnから選ばれる少なくとも1種であるただし、置換量が過剰になるとゼーベック係数の低下等を招くため、元素Xによる置換量はAlおよびSiの総量の20原子%以下とすることが好ましい。
上述した実施形態の熱電変換材料は、例えば以下のようにして作製される。まず、所定量の各元素を含有する合金を、アーク溶解法や高周波溶解法等により作製する。合金の作製にあたっては、単ロール法、双ロール法、回転ディスク法、ガスアトマイズ法等の液体急冷法や、メカニカルアロイング法のような固相反応を利用した方法等を採用することもできる。液体急冷法やメカニカルアロイング法は、合金を構成する結晶相の微細化、結晶相内への元素の固溶域の拡大等の点で有利である。これらによって、熱電変換材料の熱伝導率の低減、ゼーベック係数の増大等を図ることができる。
また、作製された合金には必要に応じて熱処理を施してもよい。この熱処理によって、合金の単相化や結晶粒子径の制御等を行うことができ、熱電特性をより一層向上させることが可能となる。さらに、上述した溶解、液体急冷、メカニカルアロイング、熱処理等の各工程は、合金の酸化を防止するという観点から、例えばArのような不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
次に、上述した合金をボールミル、ブラウンミル、スタンプミル等により粉砕して合金粉末を作製する。このような合金粉末を焼結法、ホットプレス法、放電プラズマ焼結法等を適用して一体成型する。合金の酸化を防止するという観点から、一体成型工程は例えばArのような不活性雰囲気中で実施することが好ましい。この後、成型体を所望の寸法に加工することによって、この実施形態の熱電変換材料が得られる。なお、成型体の形状や寸法は適宜に選択することができる。例えば、外径0.5〜10mm×厚さ1〜30mmの円柱体、0.5〜10mm×0.5〜10mm×厚さ1〜30mmの直方体等とすることができる。
次に、本発明の熱電変換モジュールの実施形態について説明する。図2は本発明の一実施形態による熱電変換モジュールの基本構造を示している。同図に示す熱電変換モジュール10は、p型半導体である熱電変換材料(p型熱電変換材料)11とn型半導体である熱電変換材料(n型熱電変換材料)12とを有している。これらp型およびn型熱電変換材料11、12の少なくとも一方には、前述した実施形態の熱電変換材料が適用される。(1)式で表される組成を有する熱電変換材料は、特にn型熱電変換材料12に好適である。ただし、組成制御等に基づいてp型熱電変換材料11に適用することもできる。p型およびn型熱電変換材料11、12の一方のみに、この実施形態の熱電変換材料を適用する場合、他方はBi−Te系の熱電変換材料等で構成してもよい。
上述したp型およびn型熱電変換材料11、12は並列配置されている。p型熱電変換材料11の上端部は第1の電極13Aに、またn型熱電変換材料12の上端部は第3の電極13Bにそれぞれ電気的および機械的に接続されている。第1および第3の電極13A、13Bの外側には、上側絶縁性基板14が配置されている。p型およびn型熱電変換材料11、12の下端部は、それぞれ第2の電極15と電気的および機械的に接続されている。第2の電極15は下側絶縁性基板16で支持されている。
このように、p型およびn型熱電変換材料11、12は第1、第2および第3の電極13A、15、13Bで直列接続されている。これら電極13A、15、13Bは、例えばCu、AgおよびFeから選ばれる少なくとも1種を主成分とする金属材料により構成することが好ましい。また、絶縁性基板14、16には例えば絶縁性セラミックス基板が適用される。特に、絶縁性基板14、16には、熱伝導性に優れる窒化アルミニウム、窒化珪素、アルミナおよびマグネシアから選ばれる少なくとも1種を主成分とする焼結体からなるセラミックス基板を使用することが好ましい。
例えば、熱電変換モジュール10の上側絶縁性基板14を低温側とし、下側絶縁性基板16を高温側として温度差を与えると、p型熱電変換材料11の内部では正の電荷を持ったホール17が低温側に移動し、n型熱電変換材料12の内部では負の電荷を持った電子18が低温側に移動する。その結果、第1の電極13Aと第3の電極13Bとの間に電位差が生じる。このような熱電変換モジュール10において、第1の電極13Aを正極、第3の電極13Bを負極として電圧を印加すると、上述と同様にホールおよび電子が移動して、個々の熱電変換材料11、12の両端に温度差が生じ、低温側の上側絶縁性基板14では吸熱が起こり、高温側の下側絶縁性基板16では放熱が起こる。
従って、吸熱が起こる上側絶縁性基板14上に被処理体を配置することによって、被処理体から熱を奪って冷却することができる。吸熱は被処理体の冷却装置として利用することができる。一方、放熱が起こる下側絶縁性基板16上に被処理体を配置することによって、被処理体を加熱することができる。放熱は被処理体の加熱装置として利用することができる。なお、熱電変換モジュール10は電気を熱に変換する冷却もしくは加熱用途に限らず、熱を電力に変換する発電用途に適用することもできる。
熱電変換モジュール10は、例えば図3に示すように、上側絶縁性基板14と下側絶縁性基板16との間に複数のp型熱電変換材料11、11…および複数のn型熱電変換材料12、12…を基板面に沿って交互に配置し、これらを第1および第3の電極13と第2の電極15とで直列接続することによって、図2に示した構造より大きな冷却もしくは加熱効果を得ることができる。なお、図3では第1および第3の電極を一括して符号13で示している。従って、熱電変換モジュール10を熱電冷却装置もしくは熱電加熱装置として用いた場合、より大きな冷却もしくは加熱効果を得ることが可能となる。このように、図3に示す熱電変換モジュール10は実用的なモジュール構造と言うことができる。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
参考例1)
まず、(Fe0.50.575(Al0.9Si0.125の組成となるように、Fe、V、Al、Siの各原料を所定量秤量し、これをアーク溶解して母合金を作製した。母合金を乳鉢で粒径45μm以下に粉砕した後、合金粉末を950℃×1時間の条件で放電プラズマ焼結することによって、外径10mm、厚さ2mmの成型体(熱電変換材料)を作製した。この成型体から所望形状のチップを切り出して熱電特性の評価に供した。残部を粉末X線回折に供して生成相を調査した結果、主にL21型結晶相(ホイスラー相)に由来する回折ピークが観測された。このX線回折結果を図4に示す。
(実施例4、参考例2〜10
各原料をそれぞれ表1に示す組成となるように所定量秤量し、これらをアーク溶解して母合金を作製した。これら各母合金を乳鉢で粒径45μm以下に粉砕した後、各合金粉末を950℃×1時間の条件で放電プラズマ焼結することによって、それぞれ外径10mm、厚さ2mmの成型体(熱電変換材料)を作製した。これら各成型体から所望形状のチップを切り出して熱電特性の評価に供した。残部については粉末X線回折に供して生成相を調査した結果、いずれも主にL21型結晶相に由来する回折ピークが観測された。なお、(Fe0.650.3575(Al0.6Ga0.3Si0.125の組成を有する熱電変換材料のX線回折結果を図5に示す。
(比較例1)
Fe2VAl((Fe0.670.3375Al25)組成を適用する以外は、実施例1と同様にして熱電変換材料を作製した。この成型体から所望形状のチップを切り出して熱電特性の評価に供した。残部を粉末X線回折に供して生成相を調査した結果、主にL21型結晶相に由来する回折ピークが観測された。
(比較例2)
比較例1による合金組成のAlの10原子%をSiで置換した組成((Fe0.670.3375(Al0.9Si0.125)を適用し、それ以外は比較例1と同様にして熱電変換材料を作製した。この成型体から所望形状のチップを切り出して熱電特性の評価に供した。残部を粉末X線回折に供して生成相を調査した結果、主にL21型結晶相に由来する回折ピークが観測された。このX線回折結果を図6に示す。
(比較例3)
実施例1による合金組成において、Fe−V組成におけるV比率をさらに高めた組成((Fe0.20.875(Al0.9Si0.125)とする以外は、実施例1と同様にして熱電変換材料を作製した。この成型体から所望形状のチップを切り出して熱電特性の評価に供した。
(比較例4)
実施例1による合金組成において、SiによるAlの置換を行わない組成((Fe0.50.575Al25)とする以外は、実施例1と同様にして熱電変換材料を作製した。成型体から所望形状のチップを切り出して熱電特性の評価に供した。残部を粉末X線回折に供して生成相を調査した結果、主にL21型結晶相に由来する回折ピークが観測された。
(比較例5)
実施例1による合金組成において、Al−Si組成におけるSi比率をさらに高めた組成((Fe0.50.575(Al0.2Si0.825)とする以外は、実施例1と同様にして熱電変換材料を作製した。この成型体から所望形状のチップを切り出して熱電特性の評価に供した。残部を粉末X線回折に供して生成相を調査した結果、主にL21型結晶相に由来する回折ピークが観測された。
上述した実施例4、参考例1〜10および比較例1〜5の熱電変換材料の特性を以下のようにして測定、評価した。各熱電変換材料の熱拡散率をレーザーフラッシュ法で、また密度をアルキメデス法で、比熱をDSC(示差走査熱量計)法でそれぞれ測定し、それらの結果から熱伝導度κを求めた。これらの値を表2に併せて示す。
Figure 0004745183
Figure 0004745183
表2から明らかなように、実施例1〜の各熱電変換材料は、いずれも従来のホイスラー組成を適用した比較例1や比較例2に比べて熱伝導度κが低く、その結果として優れた熱電特性が得られていることが分かる。比較例3に示すように、Fe−V組成におけるV比率を高くしすぎても熱伝導度κが上昇するため、十分な熱電特性を得ることができない。さらに、比較例4に示すようにSiによるAlの置換の実施しない場合、比較例5に示すようにSiによるAlの置換量が過剰な場合にも、十分な熱電特性を得ることができないことが分かる。
次に、上述した実施例1〜の各熱電変換材料をn型熱電変換材料として用いて、図2に構造を示した熱電変換モジュールを作製した。このような各熱電変換モジュールに直流電流を流し、低温側における冷却特性を評価したところ、各実施例の熱電変換材料を用いた熱電変換モジュールはいずれも良好な結果を示した。
[(Fe1-pp75(Al0.6Si0.1Ga0.325]組成を有する熱電変換材料におけるVの組成比pを変化させた場合の熱伝導率κの変化を示す図である。 本発明の一実施形態による熱電変換モジュールの基本構造を示す図である。 本発明の一実施形態による熱電変換モジュールの実用構造の一例を断面で示す図である。 本発明の実施例による熱電変換材料のX線回折結果を示す図である。 本発明の他の実施例による熱電変換材料のX線回折結果を示す図である。 比較例による熱電変換材料のX線回折結果を示す図である。
符号の説明
10…熱電変換モジュール、11…p型熱電変換材料、12…n型熱電変換材料、13A…第1の電極、13B…第3の電極、15…第2の電極。

Claims (4)

  1. 組成式:(Fe1−p100−x(Al1−qSi
    (式中、p、qおよびxは0.45≦p≦0.7、0.01≦q≦0.7、20≦x≦30原子%を満足する数である)
    で表され、かつ前記組成式におけるAlおよびSiの一部がGaおよびSnから選ばれる少なくとも1種で置換された組成を有し、L21構造を有する結晶相を主相とする熱電変換材料であって、熱伝導率が6.9W/m・K以下であることを特徴とする熱電変換材料。
  2. 請求項1記載の熱電変換材料において、
    前記組成式におけるVの一部は、前記Vの20原子%以下の範囲で、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種で置換されていることを特徴とする熱電変換材料。
  3. 請求項1または請求項2記載の熱電変換材料において、
    前記組成式におけるFeの一部は、前記Feの20原子%以下の範囲で、Mn、Co、Ni、CuおよびAgから選ばれる少なくとも1種で置換されていることを特徴とする熱電変換材料。
  4. 第1の電極と、一端が前記第1の電極に接続されたp型熱電変換材料と、前記p型熱電変換材料の他端に接続された第2の電極と、一端が前記第2の電極に接続されたn型熱電変換材料と、前記n型熱電変換材料の他端に接続された第3の電極とを具備する熱電変換モジュールにおいて、
    前記p型熱電変換材料および前記n型熱電変換材料の少なくとも一方は、請求項1ないし請求項のいずれか1項記載の熱電変換材料からなることを特徴とする熱電変換モジュール。
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