JP2006019754A - 熱電変換材料及びこれを用いた熱電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ホイスラー化合物若しくはハーフホイスラー化合物を主相とし、性能指数Zの大きな熱電変換材料及びこれを用いた熱電変換素子を提供する。
【解決手段】 本発明は、組成式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni,Cuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr,Hfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn,Sbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、40≦a+b≦60、20≦c≦30、20≦d≦30、a+b+c+d=100である)で表され、一原子あたりの平均価電子数が5.8以上6.2以下の範囲であることを特徴とする熱電変換材料を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明は、組成式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni,Cuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr,Hfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn,Sbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、40≦a+b≦60、20≦c≦30、20≦d≦30、a+b+c+d=100である)で表され、一原子あたりの平均価電子数が5.8以上6.2以下の範囲であることを特徴とする熱電変換材料を提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、熱電変換材料及びこれを用いた熱電変換素子に関し、特にMgAgAs型結晶構造を有するハーフホイスラー化合物を主相とする熱電変換材料及びこれを用いた熱電変換素子に関する。
近年、地球環境問題に対する意識の高揚から、フロンレス冷却機器であるペルチェ効果を利用した熱電変換素子に関する関心が高まっている。また、同様に、二酸化炭素排出量を削減するために、未利用廃熱エネルギーを使った発電システムを提供する、ゼーベック効果を利用した熱電変換素子に関する関心が高まっている。
ペルチェ効果やゼーベック効果を利用した熱電変換素子は、一般的にp型の熱電変換材料を含むp型素子とn型の熱電変換材料を含むn型素子とを交互に直列に接続して形成されている。現在、室温付近で利用されている熱電変換材料は、効率の高さから、Bi−Te系の単結晶または多結晶体を使用したものが多い。また、室温より高温で使用される熱電変換材料には、やはり効率の高さから、Pb−Te系が用いられている。
しかしながら、これらの熱電変換素子の添加物として用いられるSe(セレン)や、Pb(鉛)は人体にとって有毒有害であり、また地球環境問題の観点からも好ましくない。このため、Bi−Te系、Pb−Te系材料に代わる無害な材料の検討がなされている。
その候補として特にL21型結晶構造を持つホイスラー化合物またはMgAgAs型結晶構造を持つハーフホイスラー化合物がある。これらの構造をとる化合物は室温で高いゼーベック係数を有することが報告されており、例えばFe2VAl合金はL21型結晶構造を有し、半導体的な電気伝導の挙動を示すとともにBi−Te系材料に匹敵する高いゼーベック係数を室温で示すことが報告され注目を集めている(例えば、非特許文献1参照。)。さらに、Fe2VAl合金におけるAlの一部をSiで置換した化合物の出力因子は室温で5.4×10-3W/mK2に達し、Bi−Te系材料の4〜5×10-3W/mK2に匹敵する大きさであることが報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。
一方、TiNiSn、ZrNiSn、HfNiSnはMgAgAs型結晶構造を有し、室温でそれぞれ−142μV/K、−176μV/K、−163μV/Kのゼーベック係数が報告されている(例えば、非特許文献3参照。)。
ところで、熱電材料の性能指数Zは下記(1)式で表される。
Z=α2σ/κ (1)
ここでαは熱電変換材料のゼーベック係数、σは熱電変換材料の導電率、κは熱電変換材料の熱伝導率である。Zは温度の逆数の次元であり、熱電変換材料としては、このZが大きな材料ほど熱電変換効率が大きい。すなわち、熱を通しにくく、電気をよく通し、熱起電力が大きい材料が高効率な熱電変換材料となる。
ここでαは熱電変換材料のゼーベック係数、σは熱電変換材料の導電率、κは熱電変換材料の熱伝導率である。Zは温度の逆数の次元であり、熱電変換材料としては、このZが大きな材料ほど熱電変換効率が大きい。すなわち、熱を通しにくく、電気をよく通し、熱起電力が大きい材料が高効率な熱電変換材料となる。
上述したように、ハーフホイスラー化合物TiNiSn、ZrNiSn、HfNiSnは室温で高いゼーベック係数を有しているが、熱伝導率がそれぞれ9.3W/mK、8.8W/mK、6.7W/mKと大きいため、結果として熱電変換効率は小さい。熱伝導率を下げる試みとして、Zr、Hfの一部をV、Nb、Taで置換することが検討されており、Taで置換した場合、−147μV/Kのゼーベック係数で1.0mΩcmまで低下
できることも示されている。しかし、熱伝導率は5.4W/mKと依然として大きいという問題があった。一方、ホイスラー化合物Fe2VAlの熱伝導度は10〜30W/mKとさらに高い。
2000年日本金属学会秋期大会講演概要p.361 日本金属学会誌 第65巻 第7号(2001)652−656 J.Phys.:Condens.Matter11(1999)1697-1709
できることも示されている。しかし、熱伝導率は5.4W/mKと依然として大きいという問題があった。一方、ホイスラー化合物Fe2VAlの熱伝導度は10〜30W/mKとさらに高い。
2000年日本金属学会秋期大会講演概要p.361 日本金属学会誌 第65巻 第7号(2001)652−656 J.Phys.:Condens.Matter11(1999)1697-1709
本発明は上記問題に鑑み、ハーフホイスラー化合物を主相とし、性能指数Zの大きな熱電変換材料及びこれを用いた熱電変換素子を提供することを目的とする。
そこで本発明は、組成式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni及びCuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr及びHfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn及びSbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、30≦a+b≦35、30≦c≦35、30≦d≦35、a+b+c+d=100である)で表され、一原子あたりの平均価電子数が5.8以上6.2以下の範囲であることを特徴とする熱電変換材料を提供する。
本発明においては、組成式におけるXの一部がV、Cr、Zn、Al、Si及びGaからなる群より選ばれる少なくとも一種で置換されていても良い。
また本発明においては、組成式におけるZの一部がAs、Bi、Ge、Pb、In及びTeからなる群より選ばれる少なくとも一種で置換されていても良い。
また本発明は、p型熱電変換材料を含むp型素子およびn型熱電変換材料を含むn型素子を交互に直列に接続した熱電変換素子において、p型熱電変換材料及びn型熱電変換材料の少なくとも一方にこれらの熱電変換材料を用いたことを特徴とする熱電変換素子を提供する。
本発明によれば、ハーフホイスラー化合物を主相とし、性能指数Zの大きな熱電変換材料及びこれを用いた熱電変換素子を提供することが出来る。
ホイスラー化合物またはハーフホイスラー化合物においては、通常NiやFe、Vなどの3d遷移金属元素が30原子%以上用いられている。3d遷移金属単体の室温での熱伝導率を比較してみると、(表1)のようになる(表中の数値の単位はW/mK)。
(表1)より、3d遷移金属元素中、Mnが他の元素と比較して熱伝導率が顕著に低いことが分かる。
Mnを含むホイスラー化合物、ハーフホイスラー化合物としては、Mn2CuAlなど多数知られているが、大きなゼーベック係数を持ち熱電変換材料として使用可能な化合物はこれまで知られていない。
本発明者らは、Mnを含み、熱伝導率の小ささを維持しながら、高いゼーベック係数と低い抵抗率を持つ材料について調査した。その結果、組成式式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni及びCuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr及びHfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn及びSbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、40≦a+b≦60、20≦c≦30、20≦d≦30、a+b+c+d=100である)、若しくは組成式式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni及びCuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr及びHfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn及びSbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、30≦a+b≦35、30≦c≦35、30≦d≦35、a+b+c+d=100である)で表され、かつ一原子あたりの平均価電子数が6付近となるように調整した組成を採用した結果、性能指数Zの大きな熱電変換材料を提供することが可能であることを見出し、本発明に至ったものである。
組成式式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni及びCuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr及びHfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn及びSbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、40≦a+b≦60、20≦c≦30、20≦d≦30、a+b+c+d=100である)で表され、一原子あたりの平均価電子数を5.8以上6.2以下の範囲とした場合は、L21型結晶構造を持つホイスラー化合物となる。また、組成式式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni及びCuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr及びHfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn及びSbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、30≦a+b≦35、30≦c≦35、30≦d≦35、a+b+c+d=100である)で表され、一原子あたりの平均価電子数を5.8以上6.2以下の範囲とした場合は、MgAgAs型結晶構造を持つハーフホイスラー化合物となる。
まず、L21型結晶構造を持つホイスラー化合物である、組成式式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni,Cuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr及びHfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn及びSbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、40≦a+b≦60、20≦c≦30、20≦d≦30、a+b+c+d=100である)で表され、一原子あたりの平均価電子数を5.8以上6.2以下の範囲とした場合について説明する。
このホイスラー化合物中、Mnは前述したように熱伝導率低減に有効な元素である。十分な熱伝導率低下効果を得るためにMnの配合量は10原子%以上とする。Fe,Co,Ni,Cuの群から選ばれるX元素は、主としてMnサイトを置換する。X元素は必ずしも必要な元素ではないが、価電子数を調整したり、相安定性を高めたりするために有効である。ただし、過剰に配合するとL21型結晶構造を有する相を主相とすることが困難と
なるため、MnとXの総配合量は40原子%以上60原子%以下に設定される。
なるため、MnとXの総配合量は40原子%以上60原子%以下に設定される。
また、A元素、Z元素はL21型結晶構造を有する相を主相とするために必要な元素である。A元素、Z元素いずれも、配合量が20原子%未満、または30原子%を超えるとL21型結晶構造を有する相以外の相の析出が顕著となり、ゼーベック係数の劣化を招く。つまり、L21型結晶構造を有する相の体積占有率を高めて、高いゼーベック係数を得るために、cおよびdを20≦c≦30、20≦d≦30の範囲とする。
次に、MgAgAs型結晶構造を持つハーフホイスラー化合物である、組成式式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni及びCuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr及びHfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn及びSbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、30≦a+b≦35、30≦c≦35、30≦d≦35、a+b+c+d=100である)で表され、一原子あたりの平均価電子数を5.8以上6.2以下の範囲とした場合について説明する。
このハーフホイスラー化合物中、Mnは前述したように熱伝導率低減に有効な元素である。十分な熱伝導率低下効果を得るためにMnの配合量は10原子%以上とする。Fe,Co,Ni,Cuの群から選ばれるX元素は、主としてMnサイトを置換する。X元素は必ずしも必要な元素ではないが、価電子数を調整したり、相安定性を高めたりするために有効である。ただし、過剰に配合するとMgAgAs型結晶構造を有する相を主相とすることが困難となるため、MnとXの総配合量は30原子%以上35原子%以下に設定される。
また、A元素、Z元素はMgAgAs型結晶構造を有する相を主相とするために必要な元素である。A元素、Z元素いずれも、配合量が30原子%未満、または35原子%を超えるとMgAgAs型結晶構造を有する相以外の相の析出が顕著となり、ゼーベック係数の劣化を招く。つまり、MgAgAs型結晶構造を有する相の体積占有率を高めて、高いゼーベック係数を得るために、cおよびdを30≦c≦35、30≦d≦35の範囲とする。
これらの組成比として、一原子あたりの平均価電子数を5.8以上6.2以下の範囲とした場合、L21型結晶構造を持つホイスラー化合物またはMgAgAs型結晶構造を持つハーフホイスラー化合物となり、大きなゼーベック係数が観測される。例えば、Mnの最外殻電子配置はMn(3d54s2)であり、Mnを含有しかつ、一原子あたりの価電子数を6近傍とするために、構成元素の種類および配合量を適宜調整することが必要である。たとえば、ホイスラー化合物MnCoZrSnという組成を選択すると、一原子あたりの価電子数を6とすることができる。このようにして、Mnを含み小さな熱伝導率を維持しつつ、一原子あたりの価電子数を6近傍の値とすることでホイスラー化合物またはハーフホイスラー化合物の高いゼーベック係数を実現可能となる。前記一原子あたりの価電子数が5.8未満の場合または6.2を超える場合には、いずれも大きなゼーベック係数が得られない。このため一原子あたりの価電子数は5.8以上6.2以下の範囲に設定される。
これらのホイスラー化合物若しくはハーフホイスラー化合物においては、Xの一部をV,Cr,Zn,Al,Si,Gaからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素で置換しても良い。このような置換によってL21型結晶構造若しくはMgAgAs型結晶構造を有する相におけるゼーベック係数を増大させることが可能である。Xの置換量はXの総量の50原子%以下程度とすることが好ましい。この場合においても大きなゼーベック係数を得るためには一原子あたりの価電子数は5.8以上6.2以下の範囲に設定する必要がある。
また、これらのホイスラー化合物若しくはハーフホイスラー化合物においては、Zの一部をAs,Bi,Ge,Pb,In,Teからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素で置換しても良い。このような置換によってL21型結晶構造若しくはMgAgAs型結晶構造を有する相におけるゼーベック係数を増大させることが可能である。ただし、Zを置換する元素は有害性、有毒性、材料コストを考慮すればSb,Bi,Inが好ましい。Zの置換量はZの総量の50原子%以下程度とすることが好ましい。この場合においても大きなゼーベック係数を得るためには一原子あたりの価電子数は5.8以上6.2以下の範囲に設定する必要がある。
本発明の実施形態にかかる熱電変換材料は、例えば以下のような方法により製造することができる。
まず、所定量の各元素を含有する合金を、アーク溶解や高周波溶解などによって作製する。合金の作製に当たっては、単ロール法、双ロール法、回転ディスク法、ガスアトマイズ法などの液体急冷法、あるいはメカニカルアロイング法などの固相反応を利用した方法などを採用することもできる。液体急冷法やメカニカルアロイング法といった方法は、合金を構成する結晶相を微細化する、結晶相内への元素の固溶域を拡大するなどの点で有利である。このため、熱伝導率を大幅に低減することができる。
作製された合金は、必要に応じて熱処理を施してもよい。この熱処理によって合金が単相化され、結晶粒子径も制御されるので、熱電特性をさらに高めることができる。溶解、液体急冷、メカニカルアロイングおよび熱処理などの工程は、合金の酸化を防止するという観点から、例えばArなどの不活性雰囲気中で行なわれることが好ましい。
次に、合金をボールミル、ブラウンミル、またはスタンプミルなどにより粉砕して合金粉末を得、合金粉末を焼結法、ホットプレス法、またはSPS法などによって一体成型する。合金の酸化を防止するという観点から、一体成型は、例えばArなどの不活性雰囲気中で行なわれることが好ましい。次いで、得られた成型体を所望の寸法に加工することによって、本発明の実施形態にかかる熱電変換材料が得られる。成型体の形状や寸法は適宜選択することができる。例えば、外形0.5〜10mmφ、厚み1〜30mmの円柱状や、(0.5〜10mm)×(0.5〜10mm)×厚み(1〜30mm)程度の直方体状などとすることができる。
こうして得られた熱電変換材料を用いて、本発明の実施形態にかかる熱電変換素子を製造することができる。その一例の構成を表わす概略断面図を、図1に示す。
図1に示される熱電変換素子においては、n型半導体の熱電変換材料9と、p型半導体の熱電変換材料8が並列に配置されている。n型熱電変換材料9およびp型熱電変換材料8のそれぞれの上面には、電極10aおよび10bがそれぞれ配置され、その外側が上側絶縁性基板11aに支持される。n型熱電変換材料9およびp型熱電変換材料8の下面は、下側絶縁性基板11bに支持された電極10cによって接続されている。
上下の絶縁性基板11aと11bとの間に温度差を与えて上部側を低温度に、下部側を高温度にした場合、p型半導体熱電変換材料8内部においては、正の電荷を持ったホール14が低温度側(上側)に移動し、電極10bは電極10cより高電位となる。一方、n型半導体熱電変換材料9内部では、負の電荷を持った電子15が低温度側(上側)に移動して、電極10cは電極10aより高電位となる。
その結果、電極10aと電極10bとの間に電位差が生じる。図1に示したように、上部側を低温度として下部側を高温度にした場合、電極10bは正極となり、電極10aは負極となる。複数のp型熱電変換材料8とn型熱電変換材料9とを交互に直列に接続することによって、図1に示した構造よりも高い電圧を得て、より大きな電力を確保することができる。
本発明の熱電変換材料について、実施例を用いて以下に詳細に説明する。
(参考例1)
純度99.9%のMn、純度99.9%のCo、純度99.9%のZr、純度99.99%のSn金属を原料とし、これを組成式Mn27Co23Zr25Sn25になるように秤量した。この組成とすることにより、一原子あたりの平均価電子数は5.96となった。ア−ク炉内の水冷されている銅製のハ−スに上記秤量原料を装填して、2×10−2Paの真空度まで真空引きした後、純度99.999%の高純度Arを−0.04MPaまで導入した減圧Ar雰囲気にしてア−ク溶解した。溶解後、水冷されている銅製のハ−スで急冷して、得られた金属塊を粉砕し、内径20mmの金型を用い圧力50MPaで成形した。この成形体を内径20mmのカーボン製モールドに充填し、Ar雰囲気中、80MPa、1150℃で1時間加圧焼結し、直径20mmの円盤状の焼結体を得た。
純度99.9%のMn、純度99.9%のCo、純度99.9%のZr、純度99.99%のSn金属を原料とし、これを組成式Mn27Co23Zr25Sn25になるように秤量した。この組成とすることにより、一原子あたりの平均価電子数は5.96となった。ア−ク炉内の水冷されている銅製のハ−スに上記秤量原料を装填して、2×10−2Paの真空度まで真空引きした後、純度99.999%の高純度Arを−0.04MPaまで導入した減圧Ar雰囲気にしてア−ク溶解した。溶解後、水冷されている銅製のハ−スで急冷して、得られた金属塊を粉砕し、内径20mmの金型を用い圧力50MPaで成形した。この成形体を内径20mmのカーボン製モールドに充填し、Ar雰囲気中、80MPa、1150℃で1時間加圧焼結し、直径20mmの円盤状の焼結体を得た。
この焼結体を粉末X線回折法にて調べたところ、L21型結晶構造の相を主相としていることが分かった。また、得られた焼結体の組成をICP発光分光法で分析した所、ほぼ秤量した組成と同様になっているのを確認した。
得られた焼結体(熱電変換材料)は以下の方法によって熱電特性を評価した。
(1)抵抗率
焼結体を2×0.5×20mmに切断し、電極を形成し直流4端子法で測定した。
焼結体を2×0.5×20mmに切断し、電極を形成し直流4端子法で測定した。
(2)ゼーベック係数
焼結体を4×1×0.5mmに切断し、この両端に2〜3℃の温度差を付け起電力を測定し、ゼーベック係数を求めた。
焼結体を4×1×0.5mmに切断し、この両端に2〜3℃の温度差を付け起電力を測定し、ゼーベック係数を求めた。
(3)熱伝導率
焼結体を10mmφ×2mmtに加工し、レーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定した。これとは別にDSC測定により比熱を求めた。アルキメデス法により焼結体の密度をもとめ、これらより熱伝導率を求めた。
焼結体を10mmφ×2mmtに加工し、レーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定した。これとは別にDSC測定により比熱を求めた。アルキメデス法により焼結体の密度をもとめ、これらより熱伝導率を求めた。
以上の評価を行った結果、300Kでの抵抗率1.2×10-5Ωcm、ゼーベック係数−102μV/K、熱伝導率3.1W/mKであった。この結果、300Kにおける性能指数Zは2.8×10-4と見積もられた。
(参考例2〜11、実施例1〜8)
組成比を(表2)のものに変更した他は、参考例1と同様にして熱電変換材料を作製した。また、各熱電変換材料について、参考例1と同様にして評価し、得られた結果を(表2)にまとめる。なお、参考例1についても同様に(表2)に示す。
組成比を(表2)のものに変更した他は、参考例1と同様にして熱電変換材料を作製した。また、各熱電変換材料について、参考例1と同様にして評価し、得られた結果を(表2)にまとめる。なお、参考例1についても同様に(表2)に示す。
(比較例1)
純度99.9%のMn、純度99.9%のCo、純度99.9%のZr、純度99.99%のSn金属を原料とし、これを組成式Mn9Co41Zr25Sn25になるように秤量した。この組成とすることにより、一原子あたりの平均価電子数は6.32となった。参考例1と同様にア−ク溶解、熱処理によって得られた金属塊を粉砕し、加圧焼結して焼結体(熱電変換材料)を得た。
純度99.9%のMn、純度99.9%のCo、純度99.9%のZr、純度99.99%のSn金属を原料とし、これを組成式Mn9Co41Zr25Sn25になるように秤量した。この組成とすることにより、一原子あたりの平均価電子数は6.32となった。参考例1と同様にア−ク溶解、熱処理によって得られた金属塊を粉砕し、加圧焼結して焼結体(熱電変換材料)を得た。
この焼結体を粉末X線回折法にて調べたところ、L21型結晶構造の相を主相としていることが分かった。また、得られた焼結体の組成をICP発光分光法で分析した所、ほぼ所定の組成になっているのを確認した。
得られた焼結体を参考例1と同様な方法で熱電特性を評価した。その結果、300Kでの抵抗率1.0×10-5Ωcm、ゼーベック係数−22μV/K、熱伝導率6.5W/mKであった。実施例1と比較すると、抵抗率の値は小さいが、ゼーベック係数の絶対値が小さく、また熱伝導率も大きい。この結果、300Kにおける性能指数Zは7.4×10-6と見積もられた。
(比較例2〜16)
組成比を(表3)のものに変更した他は、参考例1と同様にして熱電変換材料を作製した。また、各熱電変換材料について、参考例1と同様にして評価し、得られた結果を(表3)にまとめる。なお、比較例1についても同様に(表3)に示す。
組成比を(表3)のものに変更した他は、参考例1と同様にして熱電変換材料を作製した。また、各熱電変換材料について、参考例1と同様にして評価し、得られた結果を(表3)にまとめる。なお、比較例1についても同様に(表3)に示す。
(表2)及び(表3)に示すように、各実施例(あるいは参考例)では組成式式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni,Cuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr,Hfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn,Sbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、40≦a+b≦60、20≦c≦30、20≦d≦30、a+b+c+d=100である)、若しくは組成式式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni,Cuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr,Hfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn,Sbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、30≦a+b≦35、30≦c≦35、30≦d≦35、a+b+c+d=100である)で表され、一原子あたりの平均価電子数が5.8以上6.2以下の範囲であることから、高い性能指数を得られることがわかる。特に、Mnを多く含んだ場合には、熱伝導率がより低い傾向にあり、好ましい。
一方、各比較例では、上記の範囲を逸脱することから、性能指数が低くなっていることがわかる。
8…p型熱電変換材料
9…n型熱電変換材料
10…電極
11…絶縁性基板
14…ホール
15…電子
9…n型熱電変換材料
10…電極
11…絶縁性基板
14…ホール
15…電子
Claims (4)
- 組成式MnaXbAcZd(XはFe,Co,Ni及びCuの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、AはTi,Zr及びHfの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、ZはSn及びSbの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、10≦a、30≦a+b≦35、30≦c≦35、30≦d≦35、a+b+c+d=100である)で表され、一原子あたりの平均価電子数が5.8以上6.2以下の範囲であることを特徴とする熱電変換材料。
- 前記組成式におけるXの一部がV、Cr、Zn、Al、Si及びGaからなる群より選ばれる少なくとも一種で置換されていることを特徴とする請求項1記載の熱電変換材料。
- 前記組成式におけるZの一部がAs、Bi、Ge、Pb、In及びTeからなる群より選ばれる少なくとも一種で置換されていることを特徴とする請求項1記載の熱電変換材料。
- p型熱電変換材料を含むp型素子およびn型熱電変換材料を含むn型素子を交互に直列に接続した熱電変換素子において、前記p型熱電変換材料及び前記n型熱電変換材料の少なくとも一方に請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱電変換材料を用いたことを特徴とする熱電変換素子。
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