JP3607249B2 - 熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換素子 - Google Patents

熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱電変換材料および熱電変換素子に係わり、特にFe−V−Al系の熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題に対する意識の高揚から、フロンレス冷却機器であるペルチェ効果を利用した熱電冷却素子に関する関心が高まっている。また、同じく、二酸化炭素排出量を削減するために、未利用廃熱エネルギーを使った発電システムを提供する、ゼーベック効果を利用した熱電発電素子に関する関心が高まっている。
現在室温付近で利用されている熱電材料は、効率の高さから、Bi−Te系の単結晶または多結晶体を使用したものが多い。この材料を用いて熱電素子化するためには、p型、n型両材料が必要となる。このうちn型材料には一般にSeが添加される。また、室温より高温で使用される熱電変換材料には、やはり効率の高さから、Pb−Te系が用いられている。
ところで、これら素子に用いられているSe(セレン),Pb(鉛),Te(テルル)は人体にとって有毒有害であり、また地球環境問題の観点からも好ましくない。このため、これまでBi−Te系、Pb−Te系材料に代わる無害な材料の検討がなされている。
【0003】
現在検討されている材料のひとつに、Fe−V−Al系材料がある。Fe3AlにおけるFeの1/3をVで置換したFe2VAl合金はL2型結晶構造(ホイスラー構造)を有し、半導体的な電気伝導の挙動を示すとともにBi−Te系材料に匹敵する高いゼーベック係数を室温で示すことが報告され注目を集めている(2000年日本金属学会秋期大会講演概要p.361)。さらに、Fe2VAlにおけるAlの一部をSiで置換した合金の出力因子は室温で5.4×10−3W/mKに達し、Bi−Te系材料の4〜5−3W/mKに匹敵する大きさであることが報告されている(日本金属学会誌 第65巻 第7号(2001)652−656)。
【0004】
熱電変換材料の性能指数Zは、材料の熱起電力を示すゼーベック係数をα、導電率をσ、熱伝導率をκとした時、Z=ασ/κで示され、ασが前述した出力因子である。一般にZの値が高いほど熱電変換材料としての性能が優れている。すなわち、熱電変換材料として応用するためには出力因子だけではなく、熱伝導率を小さくしてZを上げることが必要である。
しかしながら、前述したFe−V−Al合金は出力因子の観点ではBi−Te系材料に匹敵する高い値を有するものの、熱伝導度が10倍程度高いため実用化に至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような観点からなされたものであり、Fe−V−Al合金を基に出力因子を出来るだけ損なうことなく熱伝導率を低下させ、性能指数Zの大きな熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ホイスラー合金Fe2VAlは、バンド計算(G.Y.Guo et.al.,J.Phys.:Condens.Matter.10(1998)L119)によりその電子状態が詳しく調べられている。計算結果によると、フェルミ準位においてΓ点付近にFeの3dバンドからなる正孔ポケット、X点付近にVの3dバンドからなる電子ポケットが形成されることがわかっており、フェルミ面のわずかな変化でキャリア濃度およびゼーベック係数が大きく変化することが推察される。本発明者らはFe2VAl近傍の組成におけるFeの一部をCr、Mn、Co、Niといった他の3d遷移元素で置換した合金についてゼーベック係数の変化を調べたところ、置換元素がFeよりも周期律表で左側に位置するCr、Mnの場合にはゼーベック係数は正に、また、Feよりも周期律表で右側に位置するCo、Niの場合には負になることを確認した。つまり、3d電子数の制御でゼーベック係数の正負や絶対値を制御できることが示され、特にMnで置換した場合には100μV/Kを超える正の大きなゼーベック係数が得られることが明らかになった。さらに、前記MnでFeを置換した合金は、置換しない場合と比較して熱伝導率が低下することを見出し、その結果、高い性能指数を持つ熱電変換材料が実現され本発明に至ったものである。
【0007】
すなわち、第1の本発明は、下記の組成式で表される組成を有することを特徴とする熱電変換材料である。
(Fe1―a(E1−b100−x―y−z
(式中、Aは、MnまたはCrの少なくとも一種、Dは、Ti,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,Hf,Ta,W,Y,および希土類元素の群から選ばれる少なくとも一種の元素、EはAlまたはSiの少なくとも一種、Gは、B,C,N,P,S,Mg,Ga,Ge,Sn,In,およびBiの群から選ばれる少なくとも一種の元素、a、bはそれぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦0.2、x、y、zはそれぞれ、2≦x、35≦x+y≦60、15≦z≦35の数を表す。)
【0008】
前記第1の本発明において、前記化学式のx+yおよびzは、それぞれ、2≦x、48≦x+y≦52、25≦z≦33の数であることが望ましい。
前記第1の本発明の熱電変換材料において、L2型結晶構造を有する結晶相が全結晶相および非晶質層の内の50体積%以上を占める相であることが望ましい。このL2型結晶構造を有する結晶相が50体積%を下回った場合、十分な性能指数Zを有する材料が得られない。
【0009】
第2の本発明は、電気的に接続されたp型熱電変換材料とn型熱電変換材料とを備えた熱電変換素子において、前記p型熱電変換材料と前記n型熱電変換材料のいずれか一方もしくは双方として、下記の組成式で表される材料を用いたことを特徴とする熱電変換素子である。
(Fe1―a(E1−b100−x―y−z
(式中、Aは、MnまたはCrの少なくとも一種、Dは、Ti,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,Hf,Ta,W,Y,および希土類元素の群から選ばれる少なくとも一種の元素、EはAlまたはSiの少なくとも一種、Gは、B,C,N,P,S,Mg,Ga,Ge,Sn,In,およびBiの群から選ばれる少なくとも一種の元素、a、bはそれぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦0.2、x、y、zはそれぞれ、2≦x、35≦x+y≦60、15≦z≦35の数を表す。)
【0010】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の熱電変換材料について詳細に説明する。
[熱電変換材料]
本発明の熱電変換材料の一実施形態は、下記の組成式で表される組成を有するものである。
Fe100−x―y−z
(式中、Aは、MnまたはCrの少なくとも一種、EはAlまたはSiの少なくとも一種、x、y、zはそれぞれ、2≦x、35≦x+y≦60、15≦z≦35の数を表す。)
【0011】
前記組成を有する材料の結晶形としては、L2型結晶構造すなわちホイスラー型結晶構造や、α−Fe相などがあるが、本発明の熱電変換材料としては、これらの結晶形の内、L2型結晶構造すなわちホイスラー型結晶構造を有する結晶相を全相の内の50体積%以上とすることによって、より性能指数Zの大きな熱電変換材料が得られる。本発明の熱電変換材料を構成する他の相については特に制約を受けるものではなく、これらのいずれの相か、あるいは、非晶質相であっても良い。
【0012】
以下、本発明を構成する各成分の配合理由および配合量の規定理由について述べる。
本発明の熱電変換材料には、MnまたはCrが2原子%以上配合される。MnまたはCrの配合量が2原子%未満であると前述した熱伝導率低下の効果が小さくなり好ましくない。より好ましいMnまたはCrの配合量は2〜50原子%であり、さらに好ましくは5〜25原子%である。
【0013】
また、本発明の熱電変換材料は、A元素すなわちMnまたはCrと、Feの総量が35〜60原子%の範囲で配合される。MnまたはCrとFeの総量が35原子%未満の場合、および60原子%を超える場合には大きなゼーベック係数が得られない。より好ましいMnまたはCrとFeの総量は40〜55原子%、さらに好ましくは42〜52原子%である。
【0014】
また、本発明の熱電変換材料はVが、15〜35原子%の範囲で配合される。Vの配合量が15原子%未満の場合、ホイスラー型結晶構造以外の結晶相が主相となってしまう恐れがあり、その結果、良好な熱電性能が得られない。また、Vの配合量が35原子%を超えると、ゼーベック係数の低下が著しい。より好ましいV配合量の範囲は20〜30原子%、さらに好ましくは22〜28原子%である。
【0015】
また、本発明の別の実施形態は、下記の組成式で表される組成を有するものである。
(Fe1―a(E1−b100−x―y−z
(式中、Aは、MnまたはCrの少なくとも一種、Dは、Ti,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,Hf,Ta,W,Y,および希土類元素の群から選ばれる少なくとも一種の元素、EはAlまたはSiの少なくとも一種、Gは、B,C,N,P,S,Mg,Ga,Ge,Sn,In,およびBiの群から選ばれる少なくとも一種の元素、a、bはそれぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦0.2、x、y、zはそれぞれ、2≦x、35≦x+y≦60、15≦z≦35の数を表す。)
すなわち、先に述べた熱電変換材料において、Feの一部をTi,Cr,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,Hf,Ta,W,Y,および希土類元素の群から選ばれる少なくとも一種で置換することもできる。このような置換によって熱伝導率を更に低下させることができ、性能指数Zを高めることが可能である。ただし、過剰の置換はゼーベック係数の低下などによって逆にZを低下させる恐れがあるため、置換する元素の量は、Feと置換元素量の総量に対して20原子%以下とすることが好ましい。また、Feと置換元素量の総量に対して3原子%以上とすることが好ましく、これよりも少ないと置換することによる充分な効果が得られない。
【0016】
また、本発明の熱電変換材料において、D元素すなわちAlまたはSiの一部をB,C,N,P,S,Mg,Ga,Ge,Sn,In,Biの群から選ばれる少なくとも一種で置換することもできる。このような置換によって熱伝導率を更に低下することができ、性能指数Zを高めることが可能である。ただし、過剰の置換はゼーベック係数の低下などによって逆にZを低下させる恐れがあるため、置換する元素の量は、E元素と置換元素量の総量に対して20原子%以下とすることが好ましい。また、Feと置換元素量の総量に対して8原子%以上とすることが好ましく、これよりも少ないと置換することによる充分な効果が得られない。
【0017】
以下、本発明の熱電変換材料成形体の製造例を説明する。
まず、上記組成式で示される所定量の各元素を含有する合金を、アーク溶解や高周波溶解などによって作製する。
この合金は、単ロール法、双ロール法、回転ディスク法、ガスアトマイズ法などの液体急冷法やメカニカルアロイング法などの固相反応を利用した方法で製造することができる。この液体急冷法やメカニカルアロイング法などによって合金を製造した場合、合金を構成する結晶相が微細化できることや、結晶相内への元素の固溶域を拡大することができるなどの効果があり、熱伝導度の低減、ゼーベック係数の増大などに有効である。また、この合金は、必要に応じて熱処理が施され、これによって合金を単相化したり、結晶粒子径を制御するなどして、さらに熱電特性を高めることも可能である。この工程で溶解、液体急冷、メカニカルアロイングおよび熱処理を実施する際の雰囲気はArなどの不活性雰囲気中が好ましい。
【0018】
次に、前記合金をボールミル、ブラウンミル、スタンプミルなどによって粉砕して合金粉末とした後、この合金粉末を焼結法、ホットプレス法、SPS法などによって一体成型する。この工程で、一体成型を実施する際の雰囲気は、Arなどの不活性雰囲気中が好ましい。
【0019】
次いで、得られた成型体を例えば角柱状など所望の形状・寸法に機械加工して熱電変換材料成形体を製造することができる。
【0020】
[熱電変換素子]
以下本発明の熱電変換素子について説明する。
本発明の熱電変換素子は、電気的に接続されたp型熱電変換材料成形体とn型熱電変換材料成形体とを備えた熱電変換素子において、前記p型熱電変換材料と前記n型熱電変換材料のいずれか一方もしくは双方として、下記の組成式で表される材料を用いたことを特徴とするものである。
(Fe1―a(E1−b100−x―y−z
(式中、Aは、MnまたはCrの少なくとも一種、Dは、Ti,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,Hf,Ta,W,Y,および希土類元素の群から選ばれる少なくとも一種の元素、EはAlまたはSiの少なくとも一種、Gは、B,C,N,P,S,Mg,Ga,Ge,Sn,In,およびBiの群から選ばれる少なくとも一種の元素、a、bはそれぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦0.2、x、y、zはそれぞれ、2≦x、35≦x+y≦60、15≦z≦35の数を表す。)
p型とn型のどちらか一方に本発明の熱電変換材料を用いる場合には、他方はBi−Te系材料など既知の材料を使用すればよい。
【0021】
以下本発明に係る熱電変換素子の一態様を図1に示す。
図1において、1は本発明の熱電変換素子である。そして、例えば角柱状のp型熱電変換材料成形体2と、これも角柱状のn型熱電変換材料成形体3とを、並列に且つ離間するように配置し、これらの成形体の両端部を、例えば短冊状のアルミニウムなど導電材料からなる共通電極8によって電気的に直列に接続する。そして、両端部にある熱電変換材料成形体から、外部に取り出すための電極端子6,7を接続する。前記共通電極8の外側には、電気絶縁材料であり且つ熱伝導性材料からなる低温側熱伝導層4と、高温側熱伝導層5とを、覆設する。
この素子において、熱電変換材料成形体2,3と、共通電極8との接着接続は、公知の導電性接着剤によって行うことができる。また、共通電極8と低温側および高温側熱伝導層4,5との接着は、公知の有機接着剤もしくは無機接着剤を用いて行うことができる。
【0022】
このような素子において、低温側熱伝導層4を低温度(L)にし、かつ高温側熱伝導層5を高温度(H)にして両熱伝導層に温度差を与えると、p型半導体である熱電変換材料成形体2においては、正の電荷を持ったホールが低温度L側に、n型半導体である熱電変換材料成形体3においては、負の電荷を持った電子が低温度側Lに移動する。その結果、電極端子6,7間に電位差が生じることになる。
一方、このような素子において、電極端子6を正極に、電極端子7を負極にして電圧を印加すると、前述と同様にホールおよび電子が移動して、個々の熱電変換材料成形体の両端に温度差が生じ、低温側熱伝導層4が低温に冷却され、一方高温側熱伝導層5が高温に加熱される。
このようにして本発明の熱電変換素子を、発電素子あるいは加熱・冷却素子として用いることができる。
【0023】
上記実施の形態においては、複数の熱電変換材料を、線状に配列した例を示したが、熱電変換材料成形体を面状に配列することによってさらに熱電変換効率を向上させることもできる。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
所定量のFe、Mn、V、Al原料を秤量してアーク溶解にて合金を製造した後、ボールミルを用いて45μm以下に粉砕、900℃で1時間ホットプレスすることにより外径10mmφ、厚み2mmの成型体を得た。成型体の生成相をX線回折で調査したところ、ホイスラー型の結晶構造を有することを確認した。成型体の組成を表1に示した。成型体の熱拡散率をレーザーフラッシュ法、密度をアルキメデス法、比熱をDSC(示差走査熱量計)法でそれぞれ測定し、それらの結果から熱伝導率κを求めたところ、300Kで4.5W/mKであった。また、前記成型体を針状に切り出してゼーベック係数αを測定したところ、300Kで115μV/Kであった。さらに、前記針状の成型体の電気抵抗率ρを4端子法にて測定した結果、300Kで0.92mΩcmであった。これらの結果から性能指数Z(Z=α/ρκ)を求めたところ、3.19×10−4−1であった。
【0025】
(実施例2〜7、比較例1)
実施例1と同様の方法で合金を製造、実施例1と同様にボールミル粉砕、ホットプレスすることにより成型体を得た。成型体の生成相をX線回折で調査したところ、いずれもホイスラー型の結晶構造を有することを確認した。実施例2〜5、比較例1の各成型体の組成を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で求めた300Kでの性能指数Zの値を表1に併記した。
実施例1〜5および比較例1から、Feの一部をMnで置換した本発明の組成の方が熱伝導率が小さく、その結果、性能指数Zの値が高いことがわかる。
【0026】
(実施例8)
所定量のFe、Mn、V、Al原料を秤量してアーク溶解にて合金を製造した後、前記合金をAr雰囲気中で溶解し、40m/sの周速度で回転する直径300mmの銅製ロールに射出する液体急冷法により急冷薄帯を作製した。次いで、この急冷薄帯をボールミルを用いて45μm以下に粉砕、850℃で30分間ホットプレスすることにより外径10mmφ、厚み2mmの成型体を得た。成型体の生成相をX線回折で調査したところ、ホイスラー型の結晶構造を有することを確認した。成型体の組成を表1に示した。成型体の熱拡散率をレーザーフラッシュ法、密度をアルキメデス法、比熱をDSC(示差走査熱量計)法でそれぞれ測定し、それらの結果から熱伝導率κを求めたところ、300Kで3.8W/mKであった。また、前記成型体を針状に切り出してゼーベック係数αを測定したところ、300Kで118μV/Kであった。さらに、前記針状の成型体の電気抵抗率ρを4端子法にて測定した結果、300Kで0.95mΩcmであった。これらの結果から性能指数Z(Z=α/ρκ)を求めたところ、3.86×10−4−1であった。
【0027】
(実施例9〜12、比較例2)
実施例8と同様の方法で急冷薄帯を作製、実施例8と同様にボールミル粉砕、ホットプレスすることにより成型体を得た。成型体の生成相をX線回折で調査したところ、いずれもホイスラー型の結晶構造を有することを確認した。実施例9〜12、比較例2の各成型体の組成を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で求めた300Kでの性能指数Zの値を表1に併記した。
実施例8〜12および比較例2から、Feの一部をMnで置換した本発明の組成の方が熱伝導率が小さく、その結果、性能指数Zの値が高いことがわかる。
【0028】
【表1】
Figure 0003607249
【0029】
また、実施例3のWに代えて、Zn、Ag、Hf又はYでFeの一部を置換した場合にも、Feを置換しない場合に比べて熱伝導率が小さく、その結果、性能指数Zの値が高かった。
また、実施例4のGaに代えて、P,S,Mg,Ge,Sn,In又はBiでAlの一部を置換した場合にも、Feを置換しない場合に比べて熱伝導率が小さく、その結果、性能指数Zの値が高かった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればFe−V−Al合金のFeの一部をMnまたはCrで置換した組成の合金を採用することにより、熱伝導率が小さく、性能指数Zの大きな熱電変換材料を提供でき、これによって優れた性能の熱電変換素子を提供することが可能となった。本発明の熱電変換材料および熱電変換素子は従来より知られたBi−Te系材料と比較して毒性が小さいため地球環境問題の観点からも好ましく、工業的価値は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電変換素子の1例を示す概略図
【符号の説明】
1・・・熱電変換素子
2・・・p型熱電変換材料成形体
3・・・n型熱電変換材料成形体
4・・・低温度側熱伝導層
5・・・高温度側熱伝導層
6,7・・・電極端子
8・・・共通電極

Claims (4)

  1. 下記の組成式で表される組成を有することを特徴とする熱電変換材料。
    (Fe1―a(E1−b100−x―y−z
    (式中、Aは、MnまたはCrの少なくとも一種、Dは、Ti,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,Hf,Ta,W,Y,および希土類元素の群から選ばれる少なくとも一種の元素、EはAlまたはSiの少なくとも一種、Gは、B,C,N,P,S,Mg,Ga,Ge,Sn,In,およびBiの群から選ばれる少なくとも一種の元素、a、bはそれぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦0.2、x、y、zはそれぞれ、2≦x、35≦x+y≦60、15≦z≦35の数を表す。)
  2. 前記組成式において、x+yおよびzは、それぞれ、2≦x、40≦x+y≦5520≦z≦30の数であることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換材料。
  3. 電気的に接続されたp型熱電変換材料とn型熱電変換材料とを備えた熱電変換素子において、前記p型熱電変換材料と前記n型熱電変換材料のいずれか一方もしくは双方として、下記の組成式で表される材料を用いたことを特徴とする熱電変換素子。
    (Fe1―a(E1−b100−x―y−z
    (式中、Aは、MnまたはCrの少なくとも一種、Dは、Ti,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,Hf,Ta,W,Y,および希土類元素の群から選ばれる少なくとも一種の元素、EはAlまたはSiの少なくとも一種、Gは、B,C,N,P,S,Mg,Ga,Ge,Sn,In,およびBiの群から選ばれる少なくとも一種の元素、a、bはそれぞれ0≦a≦0.2、0≦b≦0.2、x、y、zはそれぞれ、2≦x、35≦x+y≦60、15≦z≦35の数を表す。)
  4. 前記熱電変換材料において、L2型結晶構造を有する結晶相が全結晶相および非晶質層の内の50体積%以上を占める相であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の熱電変換材料。
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