JP7449549B2 - 熱電素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱電素子及びその製造方法、特に、Mg2Si系熱電素子及びその製造方法に関する。
従来より、熱電発電用の熱電変換モジュールが知られている。このような熱電変換モジュールは、一般に、板状に並べられた複数のπ型熱電素子(n型熱電素子及びp型熱電素子の一端を金属電極で接合したもの)と、複数のπ型熱電素子を電気的に接続するための複数の金属電極と、複数のπ型熱電素子及び複数の金属電極を挟持する一対の絶縁基板(例えば、セラミック基板)とによって構成されている。
熱電発電用の熱電変換モジュールにおいては、高温面(高温側絶縁基板)と低温面(低温側絶縁基板)との間に所定(例えば、300℃程度)の温度差を与えることによって発電が行われる。
このように熱電発電用の熱電変換モジュールは、n型熱電素子及びp型熱電素子によって構成されると共に、各熱電素子の両端に大きな温度差が与えられて使用されることから、熱電変換モジュールを構成するn型熱電素子及びp型熱電素子については、両者の熱膨張率が同程度であることが望ましい。そのためには、例えば、n型熱電素子及びp型熱電素子を、同種の熱電材料で構成するようにすればよい。
一方、従来より、マグネシウムシリサイド(Mg2Si)に各種ドーパントを含有させることで熱電特性を向上させたマグネシウムシリサイド(Mg2Si)系熱電材料が知られており、Mg2Si系熱電材料を使用した熱電素子は、比較的高い熱電性能(発電性能)を有することが知られている。
しかしながら、従来のMg2Si系熱電素子は、n型のもの(負のゼーベック係数を有するもの)が多い一方で、p型のもの(正のゼーベック係数を有するの)は少なく、特に、大気中での熱安定性に優れたp型のものは知られていなかった。
なお、特開2011-29632号公報には、866Kにおける無次元性能指数が0.665以上であり、実質的にドーパントを含まないマグネシウム-ケイ素複合材料、及び、ドーパントを原子量比で0.10~2.00at%含有するマグネシウム-ケイ素複合材料が開示されており、ドーパントとしてSbを含む場合、高温における耐久性に優れた熱電変換材料を得ることができることが記載されている。
特開2011-29632号公報
本発明の目的は、p型の熱電特性(正のゼーベック係数)を有すると共に、高い熱安定性を有するMg2Si系熱電素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係る熱電素子は、マグネシウムシリサイドで構成される熱電素子であって、添加元素として炭素を含有しており、前記炭素は、分散して存在していることを特徴とする。
この場合において、前記炭素は、単体として存在しているようにしてもよい。
本発明に係る熱電素子の製造方法は、Mg2Si系熱電材料の合成に使用される原料に、添加元素として炭素を添加する炭素添加工程と、前記炭素添加工程で炭素が添加された原料に対して熱処理を行って、Mg2Si系熱電材料を合成する合成工程と、前記合成工程で合成されたMg2Si系熱電材料を焼結する焼結工程とを備えたことを特徴とする。
この場合において、前記原料は、マグネシウム及びケイ素であるようにしてもよい。
また、本発明に係る別の熱電素子の製造方法は、Mg2Si系熱電材料を合成する合成工程と、前記合成工程で合成されたMg2Si系熱電材料に、添加元素として炭素を添加する炭素添加工程と、前記炭素添加工程で炭素が添加されたMg2Si系熱電材料を焼結する焼結工程とを備えたことを特徴とする。
以上の場合において、Mg2Si系熱電材料の合成に使用される原料を加圧成形する成形工程を更に備え、前記合成工程は、前記成形工程で成形された合成用成形体に対して熱処理を行って、Mg2Si系熱電材料を合成するようにしてもよい。
また、本発明に係る更に別の熱電素子の製造方法は、Mg2Si系熱電材料を用意する工程と、前記Mg2Si系熱電材料に添加元素として炭素を添加する炭素添加工程と、前記炭素添加工程で炭素が添加されたMg2Si系熱電材料を焼結する焼結工程とを備えたことを特徴とする。
以上の場合において、前記炭素添加工程は、予め決められた量のマグネシウムシリサイドに対して、0.75at%以上の炭素を添加するようにしてもよいし、0.75at%以上、1.5at%以下の炭素を添加するようにしてもよい。
本発明によれば、p型の熱電特性(正のゼーベック係数)を有すると共に、高い熱安定性を有する熱電素子を提供することが可能となる。
本発明の第一実施形態による熱電素子の製造方法を説明するための図である。 本発明の第二実施形態による熱電素子の製造方法を説明するための図である。 各熱電素子の評価結果を示す表である。 熱耐久性の評価結果を示す表である。 実施例5の表面の走査型電子顕微鏡写真(図面代用写真)である。 実施例5及び比較例のX線回折パターンを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明による熱電素子の製造方法は、Mg2Si系熱電素子を製造するものであって、Mg2Si系熱電材料の焼結前に、添加元素として炭素(C)を添加するものである。
以下では、本発明による熱電素子の製造方法の実施形態として、炭素を添加するタイミングが異なる2つの場合について説明する。すなわち、Mg2Si系熱電材料を合成する工程の前に添加するもの(第一実施形態)と、Mg2Si系熱電材料を合成する工程の後(、かつ、焼結工程前)に添加するもの(第二実施形態)について説明する。
《第一実施形態》
図1は、本発明の第一実施形態による熱電素子の製造方法を説明するための図である。本実施形態においては、最初の秤量工程において、添加元素としての炭素の添加が行われる。
同図に示すように、まず、原料の秤量を行う(S1)。例えば、主原料となるマグネシウム(Mg)粉末及びケイ素(Si)粉末と、添加元素としての炭素(C)粉末の秤量を行う。この際、一定量のマグネシウムシリサイド(Mg2Si)に対して、炭素の量が予め決められた量(例えば、0.75at%以上)となるように、秤量を行う。なお、この際、製造過程での蒸発分を考慮して、マグネシウムを過剰に仕込むようにしてもよい。
次に、秤量工程S1において秤量された原料粉末が均一になるように、原料粉末の混合を行う(S2)。例えば、混合機等を使用して、原料粉末の混合を行う。
次に、混合工程S2で均一に混合された原料粉末を加圧成形することで合成用成形体を作製する(S3)。例えば、適当な面圧(例えば、20MPa程度)で冷間一軸プレス加工を行うことで、合成用成形体を作製する。
次に、成形工程S3で作製された合成用成形体に対して熱処理を行うことで、Mg2Si系熱電材料を合成する(S4)。例えば、合成用成形体を半密閉可能な容器(例えば、炭素製容器)内に収容した上で、電気炉内に入れて、アルゴン(Ar)雰囲気中、650℃~800℃(例えば、700℃)の温度に1~4時間程度保持することで、Mg2Si系熱電材料を合成する。
次に、合成工程S4で合成されたMg2Si系熱電材料を粉砕する(S5)。例えば、自動乳鉢やボールミル等によって、所望の粒径(例えば、38μm以下)になるように粉砕する。
次に、粉砕工程S5で粉砕されたMg2Si系熱電材料の焼結を行う(S6)。例えば、放電プラズマ焼結法(SPS)による加圧焼結を行う。
以上のような工程S1~S6を経て製造された熱電素子は、必要に応じて、所望の形状に加工されて使用されることになる。
《第二実施形態》
図2は、本発明の第二実施形態による熱電素子の製造方法を説明するための図である。本実施形態においては、Mg2Si系熱電材料の合成後の工程において、添加元素としての炭素の添加が行われる。
同図に示すように、まず、原料の秤量を行う(S11)。例えば、原料となるマグネシウム(Mg)粉末と、ケイ素(Si)粉末の秤量を行う。なお、この際、製造過程での蒸発分を考慮して、マグネシウムを過剰に仕込むようにしてもよい。
次に、秤量工程S11において秤量された原料粉末が均一になるように、原料粉末の混合を行う(S12)。例えば、混合機等を使用して、原料粉末の混合を行う。
次に、混合工程S12で均一に混合された原料粉末を加圧成形することで合成用成形体を作製する(S13)。例えば、適当な面圧(例えば、20MPa程度)で冷間一軸プレス加工を行うことで、合成用成形体を作製する。
次に、成形工程S13で作製された合成用成形体に対して熱処理を行うことで、Mg2Si系熱電材料を合成する(S14)。例えば、合成用成形体を半密閉可能な容器(例えば、炭素製容器)内に収容した上で、電気炉内に入れて、アルゴン(Ar)雰囲気中、650℃~800℃(例えば、700℃)の温度に1~4時間程度保持することで、Mg2Si系熱電材料を合成する。
次に、合成工程S14で合成されたMg2Si系熱電材料を粉砕する(S15)。例えば、自動乳鉢やボールミル等によって、所望の粒径(例えば、38μm以下)になるように粉砕する。
次に、粉砕工程S15で粉砕されたMg2Si系熱電材料に、添加元素として炭素(C)を添加する(S16)。例えば、粉砕されたMg2Si系熱電材料、及び、添加元素としての炭素粉末の秤量を行い、一定量のMg2Si系熱電材料に対して、予め決められた量(例えば、0.75at%以上)の炭素が添加されるようにする。
次に、炭素添加工程S16で炭素が添加されたMg2Si系熱電材料粉末が均一になるように、炭素が添加されたMg2Si系熱電材料粉末の混合を行う(S17)。例えば、混合機等を使用して、炭素が添加されたMg2Si系熱電材料粉末の混合を行う。
次に、混合工程S17で均一に混合されたMg2Si系熱電材料の焼結を行う(S18)。例えば、放電プラズマ焼結法(SPS)による加圧焼結を行う。
以上のような工程S11~S18を経て製造された熱電素子は、必要に応じて、所望の形状に加工されて使用されることになる。
上述した熱電素子の製造方法においては、Mg2Si系熱電材料の焼結前、より具体的には、Mg2Si系熱電材料の合成前、又は、Mg2Si系熱電材料の合成後(、かつ、焼結前)に、添加元素として炭素を添加することで、p型の熱電特性(正のゼーベック係数)を有すると共に、高い熱安定性を有する熱電素子が得られるようにしている。
なお、添加元素としての炭素は、フラーレンやカーボンナノチューブ(CNT)といった特殊形態のものではなく、通常の純炭素を用いることができるので、製造コストを抑えることが可能となっている。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の実施形態は上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態においては、原料からMg2Si系熱電材料を合成するようにしていたが、別途用意されたMg2Si系熱電材料に対して、添加元素として炭素を添加し、炭素が添加されたMg2Si系熱電材料を焼結するようにすることも考えられる。
次に、本発明による熱電素子の製造方法の実施例について説明する。
まず、以下のようにして、添加元素として炭素が添加されたマグネシウムシリサイドで構成される熱電素子を、添加する炭素の量、及び、添加するタイミングを変えて、複数種作製した。
《実施例1》
まず、化学量論比が(Mg2.02Si1)C0.75となるように、純度99.5%、粒径180μmのマグネシウム(Mg)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、純度99.9%、粒径150μmのケイ素(Si)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、及び、純度99.9%、粒径20μmの炭素(C)粉末(株式会社高純度化学研究所製)の秤量を行った。すなわち、一定量(30g)のMg2.02Si1に対して、炭素(C)が0.75at%含まれるように秤量を行った。具体的には、マグネシウム粉末が19.083g、ケイ素粉末が10.916g、炭素粉末が0.036gとなるように秤量した。なお、ここでは、製造過程での蒸発分を考慮して、マグネシウムを過剰に仕込むようにしている(以下の各例においても同様)。
次に、原料粉末が均一になるように乳鉢内で混合した上で、原料粉末を30φの超鋼ダイス内に収容し、プレス機(エヌピーエーシステム株式会社製、NT-50H)によって、20MPaの圧力でプレス加工を行い、30φ×5mmの円柱状の合成用成形体を得た。
次に、得られた合成用成形体を、半密閉可能な蓋付き炭素製容器内に収容した上で、電気炉内に入れ、アルゴン雰囲気中、温度700℃にて1時間、熱処理を行い、Mg2Si系熱電材料の団粒体を得た。
次に、得られた団粒体を、乳鉢で1mm以下に粗粉砕した上で、自動乳鉢によって、粒径38μm以下となるように微粉砕を行った。
次に、得られたMg2Si系熱電材料粉末を、放電プラズマ焼結用の30φの炭素製ダイスに充填した上で、放電プラズマ焼結装置内に入れて、焼結雰囲気4×10-4の真空中で、焼結温度850℃、焼結時圧力30MPa、焼結時間10分の条件で焼結を行い、熱電素子(焼結体)を得た。
《実施例2》
まず、化学量論比が(Mg2.02Si1)C1となるように、上記マグネシウム(Mg)粉末、上記ケイ素(Si)粉末、及び、上記炭素(C)粉末の秤量を行った。すなわち、一定量(30g)のMg2.02Si1に対して、炭素(C)が1at%含まれるように秤量を行った。具体的には、マグネシウム粉末が19.083g、ケイ素粉末が10.916g、炭素粉末が0.047gとなるように秤量した。
以下、前述した実施例1と同様にして、熱電素子を作製した。
《実施例3》
まず、化学量論比が(Mg2.02Si1)C1.5となるように、上記マグネシウム(Mg)粉末、上記ケイ素(Si)粉末、及び、上記炭素(C)粉末の秤量を行った。すなわち、一定量(30g)のMg2.02Si1に対して、炭素(C)が1.5at%含まれるように秤量を行った。具体的には、マグネシウム粉末が19.083g、ケイ素粉末が10.916g、炭素粉末が0.071gとなるように秤量した。
以下、前述した実施例1と同様にして、熱電素子を作製した。
《変形例1》
まず、化学量論比が(Mg2.02Si1)C0.5となるように、上記マグネシウム(Mg)粉末、上記ケイ素(Si)粉末、及び、上記炭素(C)粉末の秤量を行った。すなわち、一定量(30g)のMg2.02Si1に対して、炭素(C)が0.5at%含まれるように秤量を行った。具体的には、マグネシウム粉末が19.083g、ケイ素粉末が10.916g、炭素粉末が0.024gとなるように秤量した。
以下、前述した実施例1と同様にして、熱電素子を作製した。
《実施例4》
まず、化学量論比がMg2.02Si1となると共に、全体の質量が30gとなるように、上記マグネシウム(Mg)粉末、及び、上記ケイ素(Si)粉末の秤量を行った。
次に、原料粉末が均一になるように乳鉢内で混合した上で、原料粉末を30φの超鋼ダイス内に収容し、上記プレス機によって、20MPaの圧力でプレス加工を行い、30φ×5mmの円柱状の合成用成形体を得た。
次に、得られた合成用成形体を、半密閉可能な蓋付き炭素製容器内に収容した上で、電気炉内に入れ、アルゴン雰囲気中、温度700℃にて1時間、熱処理を行い、Mg2Siの団粒体を得た。
次に、得られた団粒体を、乳鉢で1mm以下に粗粉砕した上で、自動乳鉢によって、粒径38μm以下となるように微粉砕を行った。
次に、得られたMg2Si粉末の一定量(3.5g)に対して、炭素(C)が0.75at%含まれるように、得られたMg2Si粉末、及び、上記炭素(C)粉末の秤量を行った。具体的には、Mg2Si粉末が3.5g、炭素粉末が0.0042gとなるように秤量した。
次に、均一になるよう、秤量されたMg2Si粉末及び炭素粉末を乳鉢内で混合した上で、放電プラズマ焼結用の30φの炭素製ダイスに充填し、放電プラズマ焼結装置内に入れて、焼結雰囲気4×10-4の真空中で、焼結温度850℃、焼結時圧力30MPa、焼結時間10分の条件で焼結を行い、熱電素子(焼結体)を得た
《実施例5》
まず、前述した実施例4と同様にして、Mg2Si粉末を得た上で、得られたMg2Si粉末の一定量(3.5g)に対して、炭素(C)が1at%含まれるように、得られたMg2Si粉末、及び、上記炭素(C)粉末の秤量を行った。具体的には、Mg2Si粉末が3.5g、炭素粉末が0.0055gとなるように秤量した。
以下、前述した実施例4と同様にして、熱電素子を作製した。
《実施例6》
まず、前述した実施例4と同様にして、Mg2Si粉末を得た上で、得られたMg2Si粉末の一定量(3.5g)に対して、炭素(C)が1.5at%含まれるように、得られたMg2Si粉末、及び、上記炭素(C)粉末の秤量を行った。具体的には、Mg2Si粉末が3.5g、炭素粉末が0.0082gとなるように秤量した。
以下、前述した実施例4と同様にして、熱電素子を作製した。
《変形例2》
まず、前述した実施例4と同様にして、Mg2Si粉末を得た上で、得られたMg2Si粉末の一定量(3.5g)に対して、炭素(C)が0.5at%含まれるように、得られたMg2Si粉末、及び、上記炭素(C)粉末の秤量を行った。具体的には、Mg2Si粉末が3.5g、炭素粉末が0.0028gとなるように秤量した。
以下、前述した実施例4と同様にして、熱電素子を作製した。
また、以下のようにして、炭素が添加されていないマグネシウムシリサイドで構成される熱電素子を作製した。
《比較例》
まず、化学量論比がMg2.02Si1となると共に、全体の質量が30gとなるように、上記マグネシウム(Mg)粉末、及び、上記ケイ素(Si)粉末の秤量を行った。
以下、前述した実施例1と同様にして、熱電素子を作製した。
次に、以下のようにして、各熱電素子の評価を室温(25℃)にて行った。
まず、各熱電素子の一端をヒータで加熱しながら、各熱電素子の両端の温度差及び出力電圧の測定を行い、測定結果に基づいて、ゼーベック係数を算出した。また、4探針法によって、比抵抗の測定を行った。更に、得られたゼーベック係数及び比抵抗に基づいて、パワーファクター(出力因子)を算出した。
図3は、各熱電素子の評価結果を示す表である。同図において、αは、ゼーベック係数(単位:μV/K)、ρは、比抵抗(単位:μΩm)、PFは、パワーファクター(単位:W/mK2)を表している。
まず、ゼーベック係数αに着目すると、同図に示すように、実施例1~6のいずれもが、プラスの値となっており、p型の熱電素子(p型半導体素子)となっていることがわかる。一方、変形例1~2、及び、比較例については、いずれも、マイナスの値となっており、n型の熱電素子(n型半導体素子)となっていることがわかる。
以上のことから、一定量のマグネシウムシリサイドに対して、添加元素として、一定量以上(例えば、0.75at%以上)の炭素を添加することで、p型の熱電特性を有する熱電素子が得られることがわかる。
但し、実施例1,2と、実施例3、又は、実施例4,5と、実施例6とを比較すると、実施例3,6では、ゼーベック係数は増大するものの、同時に比抵抗も大きく増加してしまっている。すなわち、炭素の添加量が多くなりすぎると、熱電性能(パワーファクター)は相対的に低下するものと考えられる。
また、実施例1と実施例4、実施例2と実施例5、実施例3と実施例6をそれぞれ比較すると、実施例4~6の方が、より大きいゼーベック係数αを有しており、相対的に高い熱電性能(パワーファクター)が得られている。つまり、添加するタイミングに着目すると、合成前より合成後に添加した方が、相対的に高い熱電性能(パワーファクター)が得られている。
更に、実施例2、5及び6に関して、以下のようにして、熱耐久性の評価を行った、
まず、各熱電素子を、電気炉内に入れて、大気中、温度400℃にて一定時間(512時間及び1024時間)、熱処理を行った。その後、室温まで自然冷却させた後、上述した方法と同様の方法によって、ゼーベック係数の算出、及び、比抵抗の測定を行った。
図4は、熱耐久性の評価結果を示す表である。同図において、αは、ゼーベック係数(単位:μV/K)、ρは、比抵抗(単位:μΩm)を表している。
同図に示すように、大気中400℃で、1000時間以上、熱処理がされた場合であっても、ゼーベック係数及び比抵抗共に、大きな変化を示しておらず、安定したp型の熱電特性を有していることが確認できた。
更に、走査型電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散型X線分析装置(EDX)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、TM3030Plus)を使って、実施例5の表面の観察及び元素分析を行った。また、X線回折装置(株式会社リガク製、MiniFlex)を使って、実施例5及び比較例の定性分析を行った。
図5は、実施例5の表面の走査型電子顕微鏡写真であり、図6は、実施例5及び比較例のX線回折パターンを示す図である。同図下側が実施例5のX線回折パターンを示し、同図上側が比較例のX線回折パターンを示している。
図5において、黒い斑点が炭素に対応している。同図に示すように、添加された炭素については、偏析がなく、全面に分散していることが確認できる。
また、図6に示した実施例5のX線回折パターンにおいては、単体の炭素と、マグネシウムシリサイドの回折線のみが観測されており、SiCやMgC等の炭化物の回折線は見られなかった。従って、添加された炭素については、焼結体中に単体の炭素として存在しており、焼結体中に、主原料としてのマグネシウム又はケイ素と、添加元素としての炭素とからなる化合物相は形成されていないものと考えらえる。
なお、添加された炭素の一部については、マグネシウムシリサイドの体心位置(4bサイト)に侵入していることが考えられる。前述したように、炭素を添加したもの(実施例1~6、変形例1~2)の方が、炭素無添加のもの(比較例)より、ゼーベック係数が大きくなっている(正方向に増加している)が、これは、添加された炭素の一部が、マグネシウムシリサイドの体心位置に侵入したことに起因していると考えることができる。
S1,S11 秤量工程
S2,S12 混合工程
S3,S13 成形工程
S4,S14 合成工程
S5,S15 粉砕工程
S6,S18 焼結工程
S16 炭素添加工程
S17 混合工程

Claims (7)

  1. マグネシウムシリサイドで構成され、p型の熱電特性を有する熱電素子であって、
    添加元素として、一定量のマグネシウムシリサイドに対して、0.75at%以上、1.5at%以下の炭素を含有しており、
    前記炭素は、分散して存在している
    ことを特徴とする熱電素子。
  2. 前記炭素は、単体として存在している
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱電素子。
  3. p型の熱電特性を有する熱電素子の製造方法であって、
    Mg2Si系熱電材料の合成に使用される原料に、添加元素として炭素を添加する炭素添加工程と、
    前記炭素添加工程で炭素が添加された原料に対して熱処理を行って、Mg2Si系熱電材料を合成する合成工程と、
    前記合成工程で合成されたMg2Si系熱電材料を焼結する焼結工程と
    を備え
    前記炭素添加工程は、予め決められた量の前記原料に対して、0.75at%以上、1.5at%以下の炭素を添加する
    ことを特徴とする熱電素子の製造方法。
  4. 前記原料は、マグネシウム及びケイ素である
    ことを特徴とする請求項3に記載の熱電素子の製造方法。
  5. p型の熱電特性を有する熱電素子の製造方法であって、
    Mg2Si系熱電材料を合成する合成工程と、
    前記合成工程で合成されたMg2Si系熱電材料に、添加元素として炭素を添加する炭素添加工程と、
    前記炭素添加工程で炭素が添加されたMg2Si系熱電材料を焼結する焼結工程と
    を備え
    前記炭素添加工程は、予め決められた量の前記Mg 2 Si系熱電材料に対して、0.75at%以上、1.5at%以下の炭素を添加する
    ことを特徴とする熱電素子の製造方法。
  6. Mg2Si系熱電材料の合成に使用される原料を加圧成形する成形工程を更に備え、
    前記合成工程は、前記成形工程で成形された合成用成形体に対して熱処理を行って、Mg2Si系熱電材料を合成する
    ことを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載の熱電素子の製造方法。
  7. p型の熱電特性を有する熱電素子の製造方法であって、
    Mg2Si系熱電材料を用意する工程と、
    前記Mg2Si系熱電材料に添加元素として炭素を添加する炭素添加工程と、
    前記炭素添加工程で炭素が添加されたMg2Si系熱電材料を焼結する焼結工程と
    を備え
    前記炭素添加工程は、予め決められた量の前記Mg 2 Si系熱電材料に対して、0.75at%以上、1.5at%以下の炭素を添加する
    ことを特徴とする熱電素子の製造方法。
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