JP3562456B2 - 熱電変換素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電変換素子の製造方法に関し、特に、高温電極側から低温電極側に向けて主材料と副材料との組成比が段階的に異なる傾斜構造を有する熱電変換素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、BiTe系又はBiTeSb系などの熱電変換素子においては、その熱電材料は均一組成およびキャリア濃度として、所定の温度に対して高い熱電変換効率が得られるようになされている。これに対して、高温電極側から低温電極側に向けて主材料と副材料との組成比が段階的に異ならせることによって、各部の温度においてそれぞれ高い熱電変換効率を有するように変化させた傾斜構造を有する熱電変換素子が提案されている。
【0003】
図5に示すように、特開平10−74986号公報に、このような傾斜構造を有する熱電変換素子の製造方法が提案されている。
【0004】
この熱電変換素子の製造方法は、組成が段階的に異なる熱電素子材料の粉末を段階の数だけ複数種類形成し、この粉末を組成の順にダイ20に充填し、電極材料21と粉末熱電素子材料23とを圧接させた状態で、プラズマ焼結を行っている。組成が段階的に異なる熱電素子材料の粉末を得るに当たっては、熱電素子材料の組成原材料の比率を段階の数だけ計量して混合し、この混合した粉末を溶融、攪拌した後、冷却固化して組成が段階的に異なる熱電素子材料のインゴットを作成し、各インゴットを粉砕して粉末を作成している。
【0005】
このような熱電変換素子の製造方法では、電極を接合するための蝋材等の使用が回避され、低温、中温ないし高温を取り扱う熱電変換素子においても、確実、安定に電極形成が行える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の熱電変換素子の製造方法では、熱電素子材料の組成原材料の計量工程があるので、インゴットの作成に手間がかかり熱電変換素子の製造効率が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、傾斜構造を有する熱電変換素子を効率よく製造できる熱電変換素子の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、高温電極側から低温電極側に向けて主材料と副材料との組成比が段階的に異なる傾斜構造を有する熱電変換素子を製造する熱電変換素子の製造方法であって、主材料の表面に副材料を主材料と副材料との構成比を変えて成膜して複数種類の熱電変換素子材料を形成する成膜工程と、熱電変換素子材料を前記構成比の順に積層固化して熱電変換素子を形成する積層工程とを有することを特徴として構成している。
【0009】
このような熱電変換素子の製造方法では、成膜工程において、主材料の表面に副材料を主材料と副材料との構成比を変えて成膜して複数種類の熱電変換素子材料を形成し、積層工程において熱電変換素子材料を前記構成比の順に積層固化して熱電変換素子を形成しているので、高温電極側から低温電極側に向けて主材料と副材料との組成比が段階的に異なる傾斜構造を有する熱電変換素子を製造できる。また、熱電変換素子を構成するすべての原材料をそれぞれ計量するのではなく、主材料および副材料を計量して主材料の表面に副材料を成膜しているため、この計量が簡単なものとなり、熱電変換素子の製造効率が向上している。
【0010】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、主材料が粉末状であることを特徴として構成している。
【0011】
このような熱電変換素子の製造方法では、主材料が粉末状であるため、塊状の主材料を粉砕する等の簡単な方法で粉末状の主材料を形成できる。
【0012】
また、請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明において、溶湯状態の主材料を液体急冷法により箔片化させて粉末状の主材料が形成されていることを特徴として構成している。
【0013】
このような熱電変換素子の製造方法では、溶湯状態の主材料を液体急冷法により箔片化させて粉末状の主材料が形成されているため、箔片化された粉末状の主材料を簡単に形成できる。
【0014】
また、請求項4記載の発明では、請求項1記載の発明において、主材料が板状であることをことを特徴として構成している。
【0015】
このような熱電変換素子の製造方法では、主材料が板状であるため、積層工程において、簡単に構成比の異なる熱電変換素子材料を積層できる。
【0016】
また、請求項5記載の発明では、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、主材料が熱電変換素子を構成する原材料の合金で形成されていることを特徴として構成している。
【0017】
このような熱電変換素子の製造方法では、主材料が熱電変換素子を構成する原材料の合金で形成されているため、主材料は1種類で済み、主材料の形成が簡単になっている。
【0018】
また、請求項6記載の発明では、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、主材料が、熱電変換素子材料を構成する各原材料であるとともに、成膜工程後に熱電変換素子材料を合金化する合金化工程を有することを特徴として構成している。
【0019】
このような熱電変換素子の製造方法では、成膜工程後に熱電変換素子材料を合金化しているため、熱電変換素子の組成がより均一になっている。
【0020】
また、請求項7記載の発明では、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、熱電変換素子材料を構成する主材料の大きさと副材料の膜厚とのうちどちらか一方を変化させて主材料と副材料との構成比を変えることをことを特徴として構成している。
【0021】
このような熱電変換素子の製造方法では、熱電変換素子材料を構成する主材料の大きさと副材料の膜厚とのうちどちらか一方を変化させることにより、主材料と副材料との構成比を変えることが実現できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の熱電変換素子の製造方法を図1乃至図4に基づいて以下に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態の熱電変換素子の製造方法を示す説明図であり、(a)〜(f)各工程を示す。
【0024】
図1に示すように、この熱電変換素子の製造方法は、高温電極側から低温電極側に向けて主材料1と副材料2との組成比が段階的に異なる傾斜構造を有する熱電変換素子の製造する方法であり、主材料1の表面に副材料2を主材料1と副材料2との構成比を変えて成膜して複数種類の熱電変換素子材料3を形成する成膜工程と、熱電変換素子材料3を前記構成比の順に積層固化して熱電変換素子を形成する積層工程とを有している。また、主材料1が粉末状である。また、主材料1が熱電変換素子を構成する原材料4の合金で形成されている。また、熱電変換素子材料3を構成する副材料2の膜厚を変化させて主材料1と副材料2との構成比を変えている。また、この熱電変換素子の製造方法は、成膜工程の前に、熱電変換素子を構成する原材料4の合金である主材料1を作成する主材料作成工程を有している。
【0025】
以下に、ここで作成される熱電変換素子としてBiTeSb系を例に、この熱電変換素子の製造方法の各工程を順に説明する。
【0026】
まず、主材料作成工程について説明する。まず、(a)に示すように、熱電変換素子の原材料4である粒径1〜5mm程度の粉状のBi(4a)、Te(4b)、Sb(4c)を主材料1の所定の構成比となるように計量し、各粉末をジルコニア製のボール5とともに、ジルコニア製のポット6に充填する。次に、(b)に示すように、このポット6内に充填された各粉末4a、4b、4cからボールミル、遊星ボールミルまたは振動ミル等のメカニカル・アロイング法によって、(c)に示すように、原材料4の所定の構成比を有する主材料1であるBiTeSbの合金の粉末を得る。主材料1の粉末の平均粒径として10μm〜30μm程度になるようにする。
【0027】
次に、成膜工程について説明する。まず、(d)に示すように、副材料2としてTeを選択し、主材料1の粉末の表面にスパッタ等により副材料2を成膜する。このとき、例えば主材料1の粉末の粒径が20μmであるときに、スパッタ条件を変えて副材料2の膜厚を例えば0.32μm、0.34μm、0.36μm、0.38μmの4種類2a、2b、2c、2d作成し、主材料1と副材料2との構成比が異なる熱電変換素子材料3を4種類3a、3b、3c、3d作成する。
【0028】
次に、積層工程について説明する。まず、(e)に示すように、これら4種類の熱電変換素子材料3a、3b、3c、3dを副材料2の膜厚の順にダイ7の中にそれぞれほぼ同量充填する。次に、(f)に示すように、Arガス雰囲気中にて、ダイ7中の熱電変換素子材料3に対して加圧力20〜40MPa、焼結温度400〜600℃、焼結時間1〜3時間程度の焼結条件でホットプレスを行う。これにより、熱電変換素子材料3の混合粉末が焼結され、傾斜構造を有する熱電変換素子が製造できる。
【0029】
このような熱電変換素子の製造方法では、成膜工程において、主材料1の表面に副材料2を主材料1と副材料2との構成比を変えて成膜して複数種類の熱電変換素子材料3を形成し、積層工程において熱電変換素子材料3を前記構成比の順に積層固化して熱電変換素子を形成しているので、高温電極側から低温電極側に向けて主材料1と副材料2との組成比が段階的に異なる傾斜構造を有する熱電変換素子を製造できる。また、熱電変換素子を構成するすべての原材料4をそれぞれ計量するのではなく、主材料1および副材料2を計量して主材料1の表面に副材料2を成膜しているため、この計量が簡単なものとなり、熱電変換素子の製造効率が向上している。
【0030】
また、主材料1が粉末状であるため、メカニカル・アロイング法などの塊状の主材料1を粉砕する等の簡単な方法で粉末状の主材料1を形成できる。また、主材料1が熱電変換素子を構成する原材料4の合金で形成されているため、主材料1は1種類で済み、主材料1の形成が簡単になっている。また、副材料2の膜厚を変化させることにより、同程度の大きさの主材料1を用いても、主材料1と副材料2との構成比を変えることが実現でき、主材料1の大きさを選別するなどの作業を行うことなく、製造効率が向上している。また、熱電変換素子材料3を構成する副材料2の膜厚を変化させて主材料1と副材料2との構成比を変えているため、主材料1の大きさを変える必要がない。したがって、主材料1の作成条件の調整や大きさの仕分けを行うことなく、主材料1の作成が容易になっている。
【0031】
なお、上記の熱電変換素子の製造方法では、熱電変換素子材料3を構成する副材料2の膜厚を変化させて主材料1と副材料2との構成比を変えているが、主材料1の大きさを変化させて主材料1と副材料2との構成比を変えることもできる。主材料1の大きさを変化させる方法として、例えば、まずメカニカル・アロイング法などにより平均粒径45μm、ばらつき幅10μm程度の粉末状の主材料1を形成し、各粉末に同膜厚量(例えば0.8μm)の副材料2を成膜して熱電変換素子材料3の粉末を作成する。そして、この粉末を分級して平均粒径が50μm、47μm、43μm、40μm程度の各大きさの粉末をそれぞれ多数仕分けする。この後、積層工程を行って、熱電変換素子を作成する。なお、この場合、分級により主材料1の粉末の大きさを変化させているが、メカニカル・アロイング法で主材料1の粉末を作成する時に、粉砕時間やポット6の回転速度などの粉砕条件を段階的に変えて主材料1の粉末の大きさを変化させることもできる。
【0032】
このような熱電変換素子の製造方法では、各粉末の副材料2の成膜厚みが同じであるため、副材料2の成膜条件を調整することなく副材料2を成膜でき、成膜工程が簡単なものとなっている。
【0033】
また、図2は、同上の熱電変換素子の製造方法と異なる熱電変換素子の製造方法を示す製造工程の説明図であり、(a)〜(f)各工程を示す。
【0034】
図2に示すように、この熱電変換素子の製造方法は、同上の熱電変換素子の製造方法と同様に、高温電極側から低温電極側に向けて主材料1と副材料2との組成比が段階的に異なる傾斜構造を有する熱電変換素子の製造方法であり、主材料1の表面に副材料2を主材料1と副材料2との構成比を変えて成膜して複数種類の熱電変換素子材料3を形成する成膜工程と、熱電変換素子材料3を前記構成比の順に積層固化して熱電変換素子を形成する積層工程とを有している。異なる点は、主材料1が、熱電変換素子材料3を構成する各原材料4であるとともに、成膜工程後に熱電変換素子材料3を合金化する合金化工程を有することである。
【0035】
例えば、熱電変換素子としてBiTeSb系である場合、まず、(a)に示すように、熱電変換素子材料3を構成する各原材料4、すなわちBi(4a)、Te(4b)、Sb(4c)の平均粒径1〜5mm程度の大きさの各粉末を作成する。次に(b)に示すように、各原材料4の粉末を主材料1とし、この各主材料1の表面に副材料2、すなわちTeをスパッタにより成膜する。副材料2の厚みは、例えば主材料1の粉末粒径が2mmであるときに、スパッタ条件を変えて32μm、34μm、36μm、38μmの4種類8a、8b、8c、8dとする。Bi、Te、Sbの主材料1で同じ膜厚の副材料2を有する熱電変換素子材料粉末8a、9a、10aを1組とし、熱電変換素子材料粉末を4組に仕分けする。次に(c)に示すように、この各組の熱電変換素子材料粉末をそれぞれジルコニア製のボール5とともに、ジルコニア製のポット6に充填し、ボールミル、遊星ボールミルまたは振動ミル等のメカニカル・アロイング法によって、(d)に示すように、副材料2すなわちTeの含有量が異なることによってBiTeSbの構成比の異なる4種類の合金の粉末11a、11b、11c、11dを得る。そして、(e)に示すように、各種類の合金を構成比の順にダイ7に充填し、(f)に示すようなホットプレス処理を行う積層工程を経て傾斜構造を有する熱電変換素子が製造する。
【0036】
このような熱電変換素子の製造方法では、主材料1が、熱電変換素子材料3を構成する各原材料4であるとともに、成膜工程後に熱電変換素子材料3を合金化する合金化工程を有しているため、積層工程の前段階で合金化でき、積層工程後に作成された熱電変換素子の組成がより均一になっている。
【0037】
また、図3は、同上の熱電変換素子の製造方法と異なる熱電変換素子の製造方法を示す製造工程の説明図であり、(a)〜(f)各工程を示す。
【0038】
図3に示すように、この熱電変換素子の製造方法は、同上の熱電変換素子の製造方法と同様に、高温電極側から低温電極側に向けて主材料1と副材料2との組成比が段階的に異なる傾斜構造を有する熱電変換素子の製造方法であり、主材料1の表面に副材料2を主材料1と副材料2との構成比を変えて成膜して複数種類の熱電変換素子材料3を形成する成膜工程と、熱電変換素子材料3を前記構成比の順に積層固化して熱電変換素子を形成する積層工程とを有している。異なる点は、溶湯状態の主材料1を液体急冷法により箔片化させて粉末状の主材料1が形成されていることである。
【0039】
主材料1として例えばBi0.5Sb1.5Te3、副材料2としてTeを用いる場合について説明する。まず、主材料1を構成する各原材料4の所定の比率になるよう計量した後、るつぼに充填し、Arガスなどの不活性ガス雰囲気中で溶融させ、この溶融液を攪拌し、冷却固化することにより、合金化されたインゴット状の主材料1を形成する。次に、(a)に示すように、このインゴット状の主材料1を粉砕して粗粉末状の主材料1を形成する。次に粗粉末状の主材料1を溶湯状態にした後、液体急冷法により箔片化させる。この場合、液体急冷法は、溶湯状態の主材料1を回転ロール12の回転面上に滴下し、回転面に接触して急冷された主材料1が箔片状に固化するものであり、液体急冷装置を用いて行われる。液体急冷装置は、例えば、溶湯状態の主材料1を収納するとともに、下端開口の滴下口13aから所定量、所定時間ごとに滴下させるノズル13とノズル13下方に配置され上下方向に回転する回転面を有する回転ロール12とを少なくとも有している。
【0040】
そして、(b)に示すように、粗粉末状又は塊状の主材料1をノズル13に充填し熱溶融させ、溶湯状態の主材料1をノズル13の滴下口13aから回転ロール12の回転面上に滴下させる。このとき、(c)に示すように、回転面に接触して急冷された主材料1が箔片状に固化されて回転面の回転方向に飛散する。このとき、熱電素子材料3の結晶軸は、金属ロール面から厚み方向への温度勾配によって結晶成長が促され、成長しやすい結晶軸が揃うため、箔片状の主材料1の厚み方向に揃ったものが出来上がり、さらに、この箔片状の主材料1を積層すると自然に箔片の広い面どうしが接触するため、例えば、ノズル13の滴下口13aの開口径500μm、回転面の回転速度10m/sとすると、厚み15μm程度の箔片状の主材料1が形成できる。この後、(d)に示すような成膜工程、(e)、(f)に示すように、積層工程を経て傾斜構造を有する熱電変換素子が製造できる。
【0041】
このような熱電変換素子の製造方法では、溶湯状態の主材料1を液体急冷法により箔片化させて粉末状の主材料1が形成されているため、箔片化された粉末状の主材料1を簡単に形成できる。また、金属ロール面から厚み方向への温度勾配によって結晶成長が促され、成長しやすい結晶軸が揃うため、箔片状の主材料1の厚み方向に揃ったものが出来上がり、さらに、この箔片状の主材料1を積層すると自然に箔片の広い面どうしが接触するため、熱電変換素子の結晶方向を揃えることができ、熱電変換素子の性能が向上している。
【0042】
なお、熱電変換素子材料3の主材料1と副材料2との構成比を変える方法として、主材料1の大きさを変化させる場合では、液体急冷装置の回転面の回転速度を段階的に変化させる方法があり、副材料2の膜厚を変化させる場では、液体急冷装置の回転面の回転速度を同じにして同粒径の主材料1を形成した後、成膜条件を段階的に変えて主材料1に副材料2を成膜する方法がある。
【0043】
また、図4は、同上の熱電変換素子の製造方法と異なる熱電変換素子の製造方法を示す製造工程の説明図であり、(a)〜(e)各工程を示す。
【0044】
図4に示すように、この熱電変換素子の製造方法は、同上の熱電変換素子の製造方法と同様に、高温電極側から低温電極側に向けて主材料1と副材料2との組成比が段階的に異なる傾斜構造を有する熱電変換素子の製造方法であり、主材料1の表面に副材料2を主材料1と副材料2との構成比を変えて成膜して複数種類の熱電変換素子材料3を形成する成膜工程と、熱電変換素子材料3を前記構成比の順に積層固化して熱電変換素子を形成する積層工程とを有している。異なる点は、主材料1が板状であることである。
【0045】
板状の主材料1を形成するに当たっては、いくつかの方法がある。例えば、主材料1として例えばBi0.5Sb1.5Te3、副材料2としてTeを用いる場合について説明する。まず、(a)に示すように、主材料1を構成する各原材料4の所定の比率になるよう計量した後、るつぼに充填し、Arガスなどの不活性ガス雰囲気中で溶融させ、この溶融液を攪拌し、冷却固化することにより、合金化された主材料のインゴット15を形成する。次に、(b)に示すように、主材料のインゴット15を例えばダイヤモンドカッタなどの切断工具を用いて厚み500μm程度の薄板状に切断する。次に(c)に示すように、この主材料の薄板16の表面に厚みがそれぞれ12μm、12.8μm、13.7μm、14.5μmの副材料2a、2b、2c、2dをスパッタにより成膜する。この後、(d)、(e)に示すように、この板状の熱電変換素子材料3a、2b、2c、2dを1枚ずつ副材料2の厚み順に積層固化して熱電変換素子を形成する。
【0046】
この他、一旦粉状に形成した主材料1を積層固化して板状に形成する方法もある。この場合は、この後、板状の主材料1の表面に構成比を変えて副材料2を成膜した後、積層工程を行う。また、主材料1に構成比を変えて副材料2を成膜した粉状の熱電素子材料3を構成比ごとに積層固化して板状に形成する方法もある。この場合は、この後に積層工程を行う。
【0047】
このような熱電変換素子の製造方法では、主材料1が板状であるため、積層工程において、簡単に構成比の異なる熱電変換素子材料3を積層できる。
【0048】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、成膜工程において、主材料の表面に副材料を主材料と副材料との構成比を変えて成膜して複数種類の熱電変換素子材料を形成し、積層工程において熱電変換素子材料を前記構成比の順に積層固化して熱電変換素子を形成しているので、高温電極側から低温電極側に向けて主材料と副材料との組成比が段階的に異なる傾斜構造を有する熱電変換素子を製造できる。また、熱電変換素子を構成するすべての原材料をそれぞれ計量するのではなく、主材料および副材料を計量して主材料の表面に副材料を成膜しているため、この計量が簡単なものとなり、熱電変換素子の製造効率が向上している。
【0049】
また、請求項2記載の発明では、主材料が粉末状であるため、塊状の主材料を粉砕する等の簡単な方法で粉末状の主材料を形成できる。
【0050】
また、請求項3記載の発明では、溶湯状態の主材料を液体急冷法により箔片化させて粉末状の主材料が形成されているため、箔片化された粉末状の主材料を簡単に形成できる。
【0051】
また、請求項4記載の発明では、主材料が板状であるため、積層工程において、簡単に構成比の異なる熱電変換素子材料を積層できる。
【0052】
また、請求項5記載の発明では、主材料が熱電変換素子を構成する原材料の合金で形成されているため、主材料は1種類で済み、主材料の形成が簡単になっている。
【0053】
また、請求項6記載の発明では、成膜工程後に熱電変換素子材料を合金化しているため、熱電変換素子の組成がより均一になっている。
【0054】
また、請求項7記載の発明では、熱電変換素子材料を構成する主材料の大きさと副材料の膜厚とのうちどちらか一方を変化させることにより、主材料と副材料との構成比を変えることが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の熱電変換素子の製造方法を示す説明図であり、(a)〜(f)各工程を示す。
【図2】同上の熱電変換素子の製造方法と異なる熱電変換素子の製造方法を示す製造工程の説明図であり、(a)〜(f)各工程を示す。
【図3】同上の熱電変換素子の製造方法と異なる熱電変換素子の製造方法を示す製造工程の説明図であり、(a)〜(f)各工程を示す。
【図4】同上の熱電変換素子の製造方法と異なる熱電変換素子の製造方法を示す製造工程の説明図であり、(a)〜(e)各工程を示す。
【図5】従来の熱電変換素子の製造方法を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
1 主材料
2 副材料
3 熱電変換素子材料
4 原材料
5 ボール
6 ポット
7 ダイ
12 回転ロール
13 ノズル
20 ダイ
21 電極材料
22 粉末熱電素子材料

Claims (7)

  1. 高温電極側から低温電極側に向けて主材料と副材料との組成比が段階的に異なる傾斜構造を有する熱電変換素子を製造する熱電変換素子の製造方法であって、主材料の表面に副材料を主材料と副材料との構成比を変えて成膜して複数種類の熱電変換素子材料を形成する成膜工程と、熱電変換素子材料を前記構成比の順に積層固化して熱電変換素子を形成する積層工程とを有することを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
  2. 主材料が粉末状であることを特徴とする請求項1記載の熱電変換素子の製造方法。
  3. 溶湯状態の主材料を液体急冷法により箔片化させて粉末状の主材料が形成されていることを特徴とする請求項2記載の熱電変換素子の製造方法。
  4. 主材料が板状であることを特徴とする請求項1記載の熱電変換素子の製造方法。
  5. 主材料が熱電変換素子を構成する原材料の合金で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
  6. 主材料が、熱電変換素子材料を構成する各原材料であるとともに、成膜工程後に熱電変換素子材料を合金化する合金化工程を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
  7. 熱電変換素子材料を構成する主材料の大きさと副材料の膜厚とのうちどちらか一方を変化させて主材料と副材料との構成比を変えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
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