JP6414137B2 - 熱電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、熱電変換素子に関する。本発明は、特に、高温時の発電性能に優れる熱電変換素子に関する。
工場、自動車、及び電子機器等から排出される熱を有効利用するため、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子が検討されている。
半導体の一端と他端との間で温度差が生じると、その半導体の一端と他端との間で熱起電力が生じる。例えば、n型半導体の一端の温度を、他端の温度よりも高くすると、高温側のキャリアは、低温側(他端)に移動するため、熱起電力が生じる。同様に、p型半導体の一端と他端に温度差を与えると、n型半導体の場合とは逆向きの熱起電力が生じる。
従来の熱電変換素子では、高温領域と低温領域の温度差(勾配)、すなわち、多数キャリアの平均運動エネルギーの差が発電の駆動力となる(ゼーベック効果)。例えば、高温領域と低温領域の温度差が300Kである場合、平均運動エネルギーの差に換算すると28meV程度であるため、単一の素子の出力は、50mVに満たない。したがって、n型半導体又はp型半導体の両端に電極を連結しただけでは、発電素子として用いることは難しい。そこで、発電素子として用いるため、種々の取り組みがなされている。
例えば、特許文献1には、所謂π型熱電変換素子が開示されている。π型熱電変換素子においては、n型半導体の一端とp型半導体の一端に共通電極が取り付けられ、かつn型半導体の他端とp型半導体の他端それぞれに個別電極が取り付けられている。このようにすることにより、n型半導体によって得られる熱起電力と、p型半導体によって得られる熱起電力との合計の熱起電力が得られる。また、特許文献1には、Bi等でドープされたMgSi1−xSn中に、遷移金属又は遷移金属のシリサイドを分散させたn型半導体が用いられていることが開示されている。
特開2013−008747号公報
特許文献1に開示されたπ型熱電変換素子については、発電性能が低く、特に、高温で発電性能が低い、という課題を本発明者らは見出した。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、高温でも、発電性能に優れる熱電変換素子を提供することを目的とする。なお、本発明において、「高温」とは、特に断りのない限り、熱電変換素子を使用するとき、高温側電極と低温側電極の間の中央部の温度が350℃以上であることを意味する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本発明を完成させた。その要旨は、次のとおりである。
〈1〉n型熱電変換体と、
p型熱電変換体と、
前記n型熱電変換体の一端と前記p型熱電変換体の一端が接している高温側電極と、
前記n型熱電変換体の他端と接している第1低温側電極と、
前記p型熱電変換体の他端と接している第2低温側電極と、
を備え、
前記n型熱電変換体は、前記高温側電極に接する側が、MgSnを含有するキャリア発生半導体で構成されており、かつ、
前記n型熱電変換体は、前記第1低温側電極に接する側が、MgSi1−xSn(ただし、0.6≦x≦0.7)と第1n型ドーパントを含有するキャリア移動半導体で構成されている、
熱電変換素子。
〈2〉価電子帯の頂上のエネルギー準位は、前記キャリア発生半導体よりも、前記キャリア移動半導体の方が低い、〈1〉項に記載の熱電変換素子。
〈3〉前記キャリア移動半導体の中の前記第1n型ドーパントの濃度が、前記キャリア発生半導体の側から前記第1低温側電極の側に向かって高くなっている、〈1〉又は〈2〉項に記載の熱電変換素子。
〈4〉前記キャリア移動半導体が、複数の領域を有し、
前記複数の領域の前記第1n型ドーパントの濃度が、前記キャリア発生半導体の側から前記第1低温側電極の側に向かって高くなっている、
〈1〉又は〈2〉項に記載の熱電変換素子。
〈5〉前記第1n型ドーパントが、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上である、〈1〉〜〈4〉項のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
〈6〉前記キャリア発生半導体が、更に、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上の第2n型ドーパントを含有する、〈1〉〜〈5〉項のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
本発明によれば、n型熱電変換体のキャリア発生半導体で、多数キャリアの発生を促進し、高温側電極と第1低温側電極との間で、多数キャリアの密度勾配を大きくできる。その結果、本発明によれば、高温でも、従来のゼーベック効果のみに頼った熱電変換素子よりも、多数キャリアの密度勾配による発電の駆動力が加わる分、優れた発電性能を有する熱電変換素子を提供することができる。
さらに、本発明によれば、価電子帯の頂上のエネルギー準位を、キャリア発生半導体よりも、キャリア移動半導体で低くすることによって、高温における、熱電変換素子の発電性能を一層向上させることができる。
本発明の熱電変換素子の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明の熱電変換素子における、キャリア発生半導体とキャリア移動半導体の禁制帯の分布を示す図である。 MgSi1−xSn中のSn含有量とエネルギー準位との関係を示すグラフである。 キャリア移動半導体が2つの領域を有する本発明の熱電変換素子における、キャリア発生半導体とキャリア移動半導体の禁制帯の分布を示す図である。 測定温度T(℃)とゼーベック係数αの絶対値(μV/K)との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る熱電変換素子について、その実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を限定するものではない。
熱電変換素子は、ゼーベック効果を利用することによって、発電する。すなわち、半導体の一端を、他端よりも高温にしたとき、高温側の高運動エネルギーを有するキャリアが低温側に拡散することで、熱起電力が生じる。このとき、発電能力は、温度差あたりの熱起電力を表す、ゼーベック係数α(V/K)で評価される。
n型半導体については、低温側から高温側へ、p型半導体については、高温側から低温側へ、電流が流れる。これを利用し、n型半導体とp型半導体を組み合せ、温度を高くする一端に共通電極(高温側電極)を取り付け、それぞれの他端に個別電極(低温側電極)を取り付けた素子が、π型熱電変換素子である。
従来のπ型熱電変換素子においては、ゼーベック効果のみが発電の駆動力であるため、高温側電極と低温側電極の間で、出力電圧は、数十mV程度と低かった。
また、半導体を高温にしたとき、多数キャリアとともに、少数キャリアも発生する。n型半導体では、電子が多数キャリアであり、正孔が少数キャリアである。p型半導体では、正孔が多数キャリアであり、電子が少数キャリアである。
高温では、半導体中で、熱励起が過剰に起こり、多数キャリアの発生とともに、少数キャリアが同数発生するため、少数キャリアが熱電変換素子の発電性能に及ぼす影響が無視できなくなる。すなわち、これらの少数キャリアも、多数キャリアと同じく高温側から低温側に拡散するため、発電性能が低下する。
本発明者らは、π型熱電変換素子の高温での発電性能を向上させるため、第1に多数キャリアの駆動力を高温側電極付近で増加させること、第2に、少数キャリアを高温側電極から低温側電極に移動させないことを着想した。
本発明者らは、高温側電極と低温側電極との間で、多数キャリアの密度勾配を増大させることによって、第1の着想を実現することができることを知見した。
また、本発明者らは、次のようにすることによって、第2の着想を実現することができることを知見した。すなわち、n型熱電変換体の価電子帯のエネルギー準位について、高温側電極に接する部分よりも、低温側電極に接する部分を低くすることによって、少数キャリアが高温側電極から低温側電極へ移動し難いようにすればよいことを、本発明者らは知見した。
これらの知見に基づく、本発明に係る熱電変換素子の構成を、次に説明する。図1は、本発明の熱電変換素子の実施形態の一例を示す模式図である。本発明の熱電変換素子100は、n型熱電変換体10及びp型熱電変換体20を備える。また、本発明の熱電変換素子100は、高温側電極30、並びに第1低温側電極41及び第2低温側電極42を備える。
(高温側電極)
高温側電極30は、n型熱電変換体10の一端とp型熱電変換体20の一端に接している。すなわち、高温側電極30は、n型熱電変換体10とp型熱電変換体20との共通電極である。
高温側電極30としては、従来のπ型熱電変換素子の高温側電極を用いることができる。例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及び鉄(Fe)等の遷移金属系材料が挙げられる。これらのうち、ニッケル(Ni)は、融点が1455℃と高いため、耐熱性にも優れるので好ましい。
(第1低温側電極及び第2低温側電極)
第1低温側電極41は、n型熱電変換体10の他端と接している。第2低温側電極42は、p型熱電変換体20の他端と接している。すなわち、第1低温側電極41と第2低温側電極は、別々の電極である。
第1低温側電極41及び第2低温側電極42としては、従来のπ型熱電変換素子の第1低温側電極及び第2低温側電極を用いることができる。例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及び鉄(Fe)等の遷移金属系材料が挙げられる。これらのうち、ニッケル(Ni)は、融点が1455℃と高いため、耐熱性にも優れるので好ましい。第1低温側電極41と第2低温側電極42とは、同じ種類の材料でできていてもよいし、異なる種類の材料でできていてもよい。また、第1低温側電極41と高温側電極30は、同じ種類の材料でできていてもよいし、異なる種類の材料でできていてもよい。そして、第2低温側電極42と高温側電極30は、同じ種類の材料でできていてもよいし、異なる種類の材料でできていてもよい。
(本発明の熱電変換素子の動作)
高温側電極30の温度が、第1低温側電極41及び第2低温側電極42の温度よりも高くなると、熱電変換素子100は、発電する。そして、第1低温側電極41と第2低温側電極42との間に、抵抗体等の負荷(図示しない)を接続することによって、電流が流れる。すなわち、n型熱電変換体10の内部では、高温側電極30から第1低温側電極41に向かって電子が拡散するため、第1低温側電極41から高温側電極30に向かって電流が流れる。そして、p型熱電変換体20の内部では、高温側電極30から第2低温側電極42に向かって正孔が拡散するため、高温側電極30から第2低温側電極42に向かって電流が流れる。
次に、n型熱電変換体10、キャリア発生半導体12、キャリア移動半導体16、及びp型熱電変換体20について説明する。
(n型熱電変換体)
n型熱電変換体は、高温側電極30に接する側が、キャリア発生半導体12で構成されており、第1低温側電極41に接する側が、キャリア移動半導体16で構成されている。
図2は、本発明の熱電変換素子100における、キャリア発生半導体12とキャリア移動半導体16の禁制帯の分布を示す図である。図2で横方向は、高温側電極30からの距離又は第1低温側電極41からの距離を示す。図2の右端は、高温側電極30とキャリア発生半導体12とが接する面を示す。図2の左端は、第1低温側電極41とキャリア移動半導体16とが接する面を示す。一方、図2の縦方向は、エネルギー準位を示す。図2では、上にいくほど、エネルギー準位が高いことを示す。なお、禁制帯は、半導体のバンド構造において、電子に占有されたもっとも高いエネルギーバンド(価電子帯)の頂上から、最も低いエネルギーバンド(伝導帯)の底まで間のエネルギー準位をいう。
第1の着想を実現するために、図2に示したように、エネルギー準位に関し、キャリア発生半導体12の禁制帯52の幅は、キャリア移動半導体16の禁制帯56の幅よりも狭い。また、キャリア発生半導体12の伝導帯の底とキャリア移動半導体16の伝導帯の底の差は小さいか、キャリア発生半導体12の伝導帯の底が、キャリア移動半導体16の伝導帯16の底よりも上に位置することが好ましい。
半導体中の電子が、禁制帯を越えて伝導帯に遷移するためには、半導体中の電子は、禁制帯の幅以上の大きさのエネルギー(熱)を吸収する必要がある。
従来の熱電変換素子では、高温側電極30と第1低温側電極41との間に、単一の熱電変換半導体、又はヘテロ接合された複数の熱電変換半導体が、高温側電極30の側から禁制帯の幅が広い順に配置される。そして、従来の熱電変換素子においては、高温側電極30と第1低温側電極41との間で、発電の駆動力は、温度勾配(運動エネルギー差)のみであることから、その駆動力は小さかった。なお、従来の熱電変換素子は、上記のように、複数の熱電変換半導体がヘテロ接合されている構造(カスケード型)を有する場合がある。この場合、複数の熱電変換半導体は、禁制帯の幅が広い順に、高温側電極30の側から配置される。このような配置は、電子−正孔対が生成されるのを防ぐためであり、発電の駆動力そのものを、電荷密度勾配によって増強している訳ではない。
これに対し、本発明の熱電変換素子100については、高温側電極30と第1低温側電極41との間に、異なる半導体がヘテロ接合された半導体が配置される。そして、これらの異なる半導体は、キャリア発生半導体12とキャリア移動半導体16であり、エネルギー準位に関し、キャリア発生半導体12の禁制帯52の幅は、キャリア移動半導体16の禁制帯56の幅よりも狭い。これにより、キャリア発生半導体12においては、キャリア移動半導体16よりも、多数キャリアが発生し易い。そのため、キャリア移動半導体16と比べて、キャリア発生半導体12における多数キャリアの密度が高い。
キャリア発生半導体12とキャリア移動半導体16の禁制帯の幅をこのようにすることによって、高温側電極30と第1低温側電極41との間で、多数キャリアの密度勾配を大きくすることができる。これによって、本発明の熱電変換素子100については、高温で、多数キャリアの駆動力を増加させることができる。その結果、高温で、従来の熱電変換素子と比べて、本発明の熱電変換素子100は、発電性能に優れる。
次に、図2に示したような禁制帯の分布を有する、キャリア発生半導体12及びキャリア移動半導体16について説明する。
(キャリア発生半導体)
キャリア発生半導体12は、MgSnを含有する。キャリア発生半導体12は、MgSnの他に、ドーパントと不可避的不純物を含有してもよい。ドーパントを含有する場合、ドーパントはMg又はSnと置換される。Snの融点はMgの融点よりも低いため、ドーパントの多数は、Snと置換される。ドーパントについては、後述する。不可避的不純物とは、原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物のことをいう。MgSnの純度(ドーパントを除く)は、質量%で、99.0%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.9%以上がより一層好ましい。MgSnは、半導体であれば特に制限はないが、焼結体等の多結晶半導体であることが一般的である。
上述したように、キャリア発生半導体12の禁制帯の幅は、キャリア移動半導体16の禁制帯の幅よりも狭い。キャリア発生半導体12の主成分は、MgSnであるため、MgSnの禁制帯が、キャリア移動半導体16の主成分の禁制帯よりも狭ければよい。キャリア移動半導体16の主成分については、次に説明する。
(キャリア移動半導体)
キャリア発生半導体12は、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)と第1n型ドーパントを含有する。MgSi1−xSnは、MgSi中のSiの一部をSnで置換した半導体である。置換率xは0.6〜0.7であるが、その理由は後述する。
第1n型ドーパントは、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)に少量添加して、キャリア発生半導体12内で、多数キャリアの移動を促進する作用がある。第1n型ドーパントとしては、前述の作用を発揮すれば、特に制限はない。第1n型ドーパントとしては、前述の作用が有効に発揮される観点から、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上であることが好ましい。
第1n型ドーパントは、Mg、Si、及びSnから選ばれる1種以上と置換される。置換のされ易い順は、融点の低い順、すなわち、Sn、Mg、及びSiの順である。第1n型ドーパントの多数は、Snと置換される。
第1n型ドーパントの含有量は、0.010〜0.100モルであることが好ましい。第1n型ドーパントが2種類以上である場合には、第1n型ドーパントの含有量は、それらの合計である。第1n型ドーパントの含有量が0.010モル以上であれば、n型ドーパントの上述した作用が実質的に認められる。第1n型ドーパントの含有量は、0.020モル以上又は0.030モル以上であってもよい。一方、第1n型ドーパントの含有量が0.100モル以下であれば、上述した作用が飽和することはない。第1n型ドーパントの含有量は、0.080モル以下、0.070モル以下、0.060モル以下、0.050モル以下、又は0.040モル以下であってもよい。
キャリア移動半導体16は、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)と第1n型ドーパントの他に、不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物とは、原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物のことをいう。MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)の純度(第1n型ドーパントを除く)は、質量%で、99.0%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.9%以上がより一層好ましい。MgSn1−xSn(0.6≦x≦0.7)は、半導体であれば特に制限はないが、焼結体等の多結晶半導体であることが一般的である。
キャリア移動半導体16の主成分は、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)であるため、MgSnの禁制帯は、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)の禁制帯よりも狭い。
図3は、MgSi1−xSn中のSn含有量とエネルギー準位との関係を示すグラフである。横軸は、MgSi中のSiがSnで置換している割合(置換率x)示す。縦軸は、エネルギー準位(eV)を示す。横軸の左端(x=0)はMgSiであり、横軸の右端(x=1)はMgSnである。なお、図3の出典は、Wei Liu, et al., Physical Review Letters, 108, 166601, (2012)である。
図3から分かるように、MgSi1−xSn中のSnの含有量が増加するにしたがって、価電子帯の頂上71は上がる。また、MgSi1−xSn中のSnの含有量が増加するにしたがって、MgSi1−xSnで表される結晶のある方向における伝導帯の底72は下がる。そして、MgSi1−xSnのxが0〜約0.5の範囲では、MgSi1−xSnで表される結晶の別の方向における伝導帯の底73は下がり、xが約0.5〜1の範囲では、MgSi1−xSn結晶の別の方向における伝導帯の底73は上がる。これらから分かるように、価電子帯の頂上は、MgSi1−xSnの結晶方向に依存しないのに対し、伝導帯の底は、MgSi1−xSnの結晶方向に依存する。
MgSi1−xSnの禁制帯は、伝導帯の底72と価電子帯の頂上71との差、又は、伝導帯の底73と価電子帯の頂上71との差のいずれか小さい方である。上述したように、伝導帯の底は、MgSi1−xSnの結晶方向に依存する。MgSi1−xSn中の電子が、禁制帯を越えて伝導帯に遷移するためには、MgSi1−xSn中の電子は、禁制帯の幅以上の大きさのエネルギーを吸収する必要がある。そして、MgSi1−xSnは、MgSi1−xSn中のいずれかの結晶方向に対して、禁制帯の幅以上の大きさのエネルギーを吸収すればよい。したがって、MgSi1−xSnの禁制帯は、伝導帯の底72と価電子帯の頂上71との差、又は、伝導帯の底73と価電子帯の頂上71との差のいずれか小さい方としてよい。
図3にしたがって、MgSi1−xSnの禁制帯を定義すると、0.6≦x≦0.7のとき、MgSnの禁制帯は、MgSi1−xSnの禁制帯よりも狭い。そうすると、電極間に温度差が生じたとき、MgSnを含有するキャリア発生半導体12の多数キャリアの密度は、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)と第1n型ドーパントを含有するキャリア移動半導体16の多数キャリアの密度より高くなる。その結果、キャリア発生半導体12とキャリア移動半導体16を備えるn型熱電変換体10の中で、多数キャリアの密度勾配が生じる。このことは、熱電変換素子100が高温であるときに、顕著である。
また、MgSi1−xSnは、MgSi中のSiの一部がSnで置換された半導体であり、MgSnは、MgSi中のSiの全部がSnで置換された半導体である。それにより、図3に示したように、MgSnの伝導帯の底とMgSi1−xSnの伝導帯の底との差は小さいため、多数キャリアがキャリア発生半導体12からキャリア移動半導体16へ移動し易い。また、キャリア発生半導体12とキャリア移動半導体16をヘテロ結合した後に熱処理すると、キャリア発生半導体12とキャリア移動半導体16の間で原子が相互拡散して、MgSnの伝導帯の底とMgSi1−xSnの伝導帯の底との差は一層小さくなる。
キャリア発生半導体12は、高温側電極30から、できるだけ多くの熱を吸収することによって、多数キャリアをより多く発生することができる。そのため、キャリア発生半導体12の内部では、できるだけ温度勾配が小さく、かつ、キャリア発生半導体12の温度が、高温側電極30の温度と、できるだけ同じであることが好ましい。したがって、キャリア発生半導体12は、過剰に厚くないことが好ましい。一方、キャリア発生半導体12が、十分な数の多数キャリアを発生するには、キャリア発生半導体12は、一定以上の厚さを有する必要がある。
キャリア発生半導体12の厚さは、キャリア移動半導体16の厚さの2〜10%であることが好ましい。キャリア発生半導体12の厚さが、キャリア移動半導体16の厚さの2%以上であれば、キャリア発生半導体12が多数キャリアを発生する半導体として、その体積が不足することはない。この観点から、キャリア発生半導体12の厚さは、キャリア移動半導体16の厚さの4%以上であることがより好ましく、5%以上であることがより一層好ましい。一方、キャリア発生半導体12の厚さが、キャリア移動半導体16の厚さの10%以下であれば、キャリア発生半導体12の内部で、実質的に温度勾配は生じない。この観点から、キャリア発生半導体12の厚さは、キャリア移動半導体16の厚さの8%以下であることがより好ましく、7%以下であることがより一層好ましい。なお、キャリア発生半導体12の厚さとは、高温側電極30及び第1低温側電極41に対して垂直な方向のキャリア発生半導体12の長さをいう。
これまで、多数キャリアを増加させることについて説明してきたが、次に、上述した第2の着想として、少数キャリアを高温側電極から低温側電極に移動させ難くすることについて説明する。
(価電子体の頂上のエネルギー準位)
価電子帯の頂上のエネルギー準位は、キャリア発生半導体12よりも、キャリア移動半導体16の方が低いことが好ましい。
n型熱電変換体10の高温側電極30に接する側が、キャリア発生半導体12であると、キャリア発生半導体12で、多数キャリアと同数の少数キャリアが熱励起により発生する。図3に示したように、キャリア移動半導体16の価電子帯の頂上のエネルギー準位を、キャリア発生半導体12の価電子帯の頂上のエネルギー準位よりも低くすることによって、少数キャリアがキャリア発生半導体12からキャリア移動半導体16へ移動し難くなる。なお、以下の説明において、キャリア移動半導体16の価電子帯の頂上のエネルギー準位を、キャリア発生半導体12の価電子帯の頂上のエネルギー準位よりも低くすることを、「価電子帯の頂上のエネルギー準位に段差を設けること」ということがある。
価電子帯の頂上のエネルギー準位に段差を設けることを実現するためには、キャリア移動半導体16中の第1n型ドーパントの含有量を多くすることが有効である。第1n型ドーパントの含有量を多くすると、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)の価電子帯の頂上のエネルギー準位を低下させることができる。この観点から、第1n型ドーパントの含有量は、0.030モル以上であることが好ましい。一方、第1n型ドーパントの含有量が0.100モル以下であれば、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)における価電子帯の頂上のエネルギー準位を低下させる作用が飽和することはない。
(キャリア移動半導体中の第1n型ドーパント濃度)
キャリア移動半導体16中の第1n型ドーパントの濃度は、キャリア発生半導体12の側から第1低温側電極41の側に向かって高くなっていることが好ましい。このようにすることで、キャリア移動半導体16における伝導帯の底のエネルギー準位が、キャリア発生半導体12の側から第1低温側電極41の側に向かって低くなる。それにより、多数キャリアが、キャリア移動半導体16の中を、キャリア発生半導体12側から第1低温側電極41側に向かって移動し易くなる。
そして、このように、多数キャリアがキャリア移動半導体16の中で移動し易くなると、キャリア移動半導体16のキャリア発生半導体12と接する面付近で、多数キャリアが滞り難くなる。そうすると、キャリア発生半導体12からキャリア移動半導体16へ多数キャリアが移動し易くなる。
キャリア移動半導体16が焼結体であるとき、キャリア移動半導体16の中の第1n型ドーパントの濃度を、キャリア発生半導体12の側から第1低温側電極41の側に向かって、連続的に高くすることが難しい場合がある。そのような場合、キャリア移動半導体16が、複数の領域を有し、それら複数の領域の第1n型ドーパントの濃度が、キャリア発生半導体12の側から第1低温側電極41の側に向かって高くなっていてもよい。
図4は、キャリア移動半導体16が2つの領域を有する本発明の熱電変換素子100における、キャリア発生半導体12とキャリア移動半導体16の禁制帯の分布を示す図である。図4の横方向と縦方向は、図2の横方向と縦方向と同様である。図4に示した禁制帯の分布を有する熱電変換素子100のキャリア移動半導体16は、キャリア発生半導体12に接している領域と、第1低温側電極41に接している領域とを備える。
第1低温側電極41に接している領域の第1n型ドーパントの濃度は、キャリア発生半導体12に接している領域の第1n型ドーパントの濃度よりも高い。その結果、図4に示したように、第1低温側電極41に接している領域の禁制帯58のエネルギー準位は、キャリア発生半導体12に接している領域の禁制帯57のエネルギー準位よりも低い。これにより、多数キャリアは、キャリア移動半導体16の中を、キャリア発生半導体12の側から第1低温側電極41の側に向かって移動し易くなる。図4では、キャリア移動半導体16が2つの領域を有する場合を説明したが、これに限られず、キャリア移動半導体16は3つ以上の領域を有していてもよい。
また、図4に示したように、第1低温側電極41に接している領域の禁制帯58が、温度Tの箇所よりも、少数キャリアの拡散長程度、第1低温側電極41の側に存在すると、少数キャリアが第1低温側電極41の側に拡散することを抑制できる。ここで、温度Tは、T=E(A)/10k(ただし、E(A)は第1低温側電極41に接している領域の禁制帯58のエネルギー準位、kはボルツマン定数である)で表される温度である。
(p型熱電変換体)
また、図1に示したように、n型熱電変換体10がキャリア発生半導体12とキャリア移動半導体16を備えているのと同様に、p型熱電変換体20がキャリア発生半導体22とキャリア移動半導体26を備えていてもよい。あるいは、p型熱電変換体20は、キャリア発生半導体22を備えず、p型熱電変換体20の全体が、キャリア移動半導体26で構成されていてもよい。
p型熱電変換体20がキャリア発生半導体22とキャリア移動半導体26を備えている場合には、キャリア発生半導体22の禁制帯の幅は、キャリア移動半導体26の禁制帯の幅よりも狭い。
(変形)
本発明の熱電変換素子100は、これまで説明してきた構成要件の他に、必要に応じて、次の構成要件を満たしてもよい。
(第2n型ドーパント)
キャリア発生半導体12が、更に、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上の第2n型ドーパントを含有してもよい。これによって、キャリア発生半導体12で、多数キャリアが発生しやすくなる。
第2n型ドーパントの含有量は、0.010〜0.100モルであることが好ましい。第2n型ドーパントが2種類以上である場合には、第2n型ドーパントの含有量は、それらの合計である。第2n型ドーパントの含有量が0.010モル以上であれば、第2n型ドーパントの上述した作用が実質的に認められる。第2n型ドーパントの含有量は、0.020モル以上又は0.030モル以上であってもよい。一方、第2n型ドーパントの含有量が0.100モル以下であれば、上述した作用が飽和することはない。第2n型ドーパントの含有量は、0.080モル以下、0.070モル以下、0.060モル以下、0.050モル以下、又は0.040モル以下であってもよい。
キャリア発生半導体12が第2n型ドーパントを含有すると、キャリア発生半導体12の価電子帯の頂上のエネルギー準位が低下する。キャリア移動半導体16の価電子帯の頂上のエネルギー準位を、キャリア発生半導体12の価電子帯の頂上のエネルギー準位よりも低くする場合には、第1n型ドーパントの含有量を、第2n型ドーパントの含有量よりも多くすることが好ましい。このようにすることで、少数キャリアが、キャリア発生半導体12からキャリア移動半導体16へ移動し難くなる。
さらに、キャリア発生半導体12が第2n型ドーパントを含有する場合には、次のような利点がある。キャリア発生半導体12の第2n型ドーパントの濃度よりも、キャリア移動半導体16の第1n型ドーパント濃度を高くすることで、キャリア移動半導体16の禁制帯を相対的に下げることができる。これにより、キャリア発生半導体12の伝導帯の底とキャリア移動半導体16の伝導帯の底との差がさらに一層小さくなる。第2n型ドーパントの濃度と第1n型ドーパントの濃度の差をより大きくすると、キャリア発生半導体12の接合から離れた領域(高温側電極30の側)の伝導帯の底が、キャリア移動半導体16の接合から離れた領域の伝導帯よりも上になるように調整できる。
(製造方法)
次に、本発明の熱電変換素子の製造方法について説明する。熱電変換素子が、これまで説明してきた構成要件を満たしていれば、その製造方法は特に制限されない。例えば、次のような製造方法が挙げられる。
(粉末の製造)
MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)粉末を、例えば、次のように製造する。MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)で表される組成になるように、Mg粉末、Si粉末、及びSn粉末を秤量する。そして、第1n型ドーパント粉末を秤量し、これらを混合して、混合体を得る。この混合体を加熱して、Mg、Si、Sn、及びn型ドーパント元素を相互に拡散させ、凝集体を得る。この凝集体を解砕して、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)粉末を得る。
Mg粉末、Si粉末、Sn粉末、及び第1n型ドーパント粉末の粒径は、Mg、Si、Sn、及び第1n型ドーパントの相互拡散に支障がなければ、特に制限はない。以下の説明で、粒径は、特に断りがない限り、平均粒径を意味する。そして、平均粒径は、体積分布メディアン径(d(50))に従い、平均粒径の測定は、レーザー回折式粒度分布測定法によって行われる。
Mg粉末の粒径としては、1μm以上、10μm以上、50μm以上、又は80μm以上であってよく、200μm以下、150μm以下、120μm以下、又は100μm以下であってよい。
Si粉末の粒径としては、1μm以上、10μm以上、又は40μm以上であってよく、150μm以下、100μm以下、又は50μm以下であってよい。
Sn粉末の粒径としては、1μm以上、10μm以上、又は30μm以上であってよく、100μm以下、70μm以下、又は40μm以下であってよい。
第1n型ドーパント粉末の粒径としては、1μm以上、10μm以上、又は30μm以上であってよく、100μm以下、70μm以下、又は40μm以下であってよい。
加熱温度としては、Mg粉末及びSn粉末の少なくともいずれかが溶融する温度であることが好ましい。加熱時間としては、600℃以上、640℃以上、又は680℃以上であってよく、800℃以下、760℃以下、又は720℃以下であってよい。
加熱時間は、粉末の量によって適宜決定すればよい。加熱時間としては、60分以上、180分以上、360分以上、又は540分以上であってよく、3000分以下、1500分以下、1000分以下、又は800分以下であってよい。
加熱雰囲気は、粉末の酸化を抑制するため、不活性ガス雰囲気又は還元性雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気を含む。また、還元性ガス雰囲気としては、水素ガス雰囲気、あるいは、不活性ガスと水素ガスの混合ガス雰囲気が挙げられる。
雰囲気圧力については、混合した粉末の粒子間に、雰囲気ガスが届き易くするため、減圧雰囲気が好ましい。雰囲気圧力としては、0.001MPa以上、0.005MPa以上、又は0.008MPa以上であってよく、0.1MPa以下、0.08MPa以下、0.06MPa以下、又は0.02MPa以下であってよい。
MgSn粉末を、例えば、次のように作製する。MgSnで表される組成になるように、Mg粉末とSn粉末を秤量し、これを混合して、混合体を得る。この混合体を加熱して、MgとSnを相互に拡散させ、凝集体を得る。この凝集体を解砕して、MgSn粉末を得る。
Mg粉末とSn粉末の粒径、加熱温度、加熱時間、加熱雰囲気、雰囲気圧力については、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)粉末の作製に準拠する。また、MgSnに第2n型ドーパントを加える場合には、第2n型ドーパント粉末の粒径は、第1n型ドーパント粉末の粒径に準拠する。
このようにして得た粉末を用いて、次のように熱電変換素子を製造する。
内側にカーボン・シートを敷いた金型にMgSnの粉末を装入し、圧粉して第1圧粉体を得る。第1圧粉体の上に、さらに、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)の粉末を装入した後、これらを圧粉して第2圧粉体を得る。そして、第2圧粉体を加圧焼結して、第1焼結体を得る。また、金型に、p型熱電変換体を構成する原材料の粉末を装入し、この粉末を圧粉して、第3圧粉体を得る。そして、第3圧粉体を加圧焼結して、第2焼結体を得る。その後、第1焼結体の一端と第2焼結体の一端に、共通する高温側電極を接合し、第1焼結体の他端に第1低温側電極を接合し、そして、第2焼結体の他端に第2低温側電極を接合する。
圧粉方法は常法でよい。例えば、プレス成形が挙げられる。圧粉条件は、圧粉体を作製することができれば、特に制限はない。圧粉圧力は、例えば、10MPa以上、20MPa以上、又は30MPa以上であってよく、100MPa以下、80MPa以下、60MPa以下、又は40MPa以下であってよい。
加圧焼結方法は、従来のπ型熱電変換素子を製造する際の加圧焼結方法に準する。例えば、放電プラズマ焼結法(SPS:Spark Plasma Sintering)等が挙げられる。焼結圧力は、例えば、10MPa以上、20MPa以上、又は30MPa以上であってよく、100MPa以下、80MPa以下、60MPa以下、又は40MPa以下であってよい。焼結温度は、600℃以上、640℃以上、又は680℃以上であってよく、800℃以下、760℃以下、又は720℃以下であってよい。焼結時間は、10分以上又は15分以上であってよく、120分以下、80分以下、又は40分以下であってよい。焼結雰囲気は、粉末の酸化を抑制するため、不活性ガス雰囲気又は還元性雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気を含む。また、還元性ガス雰囲気としては、水素ガス雰囲気、あるいは、不活性ガスと水素ガスの混合ガス雰囲気が挙げられる。
接合方法は、従来のπ型熱電変換素子を製造する際の接合方法に準ずる。例えば、ろう付け等が挙げられる。
第1圧粉体又は第1焼結体については、これを熱処理することが好ましい。熱処理によって、MgSnとMgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)との間で、これらを構成する原子が相互に拡散する。その結果、MgSnの伝導帯の底のエネルギー準位と、MgSi1−xSn(0.6≦x≦0.7)の伝導帯の底のエネルギー準位との差が、キャリア発生半導体12とキャリア移動半導体16との接合近傍で小さくなる。そして、それによって、多数キャリアが、キャリア発生半導体からキャリア移動半導体へ移動し易くなる。
以下、本発明を、実施例により、さらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
(試料の作製)
本発明の熱電変換素子100のn型熱電変換体10を模した試料を、次のように作製した。
(実施例)
Mg粉末、Si粉末、Sn粉末、及びBi粉末を、MgSi0.304Sn0.660Bi0.036で表される組成になるように秤量し、これらの粉末を混合した。混合した粉末を、密閉容器内に装入し、加熱した。この加熱により、Mg粉末とSn粉末が溶融し、Si粉末に、Mg、Sn、及びBiが拡散した。加熱後の塊状物を解砕して、MgSi0.304Sn0.660Bi0.036粉末を得た。
Mg粉末及びSn粉末を、MgSnで表される組成になるように秤量し、これらの粉末を混合した。混合した粉末を、密閉容器内に装入し、加熱した。この加熱により、Mg粉末とSn粉末の両方が溶融し、MgとSnが相互に拡散した。加熱後の塊状物を解砕して、MgSn粉末を得た。
MgSi0.304Sn0.660Bi0.036粉末及びMgSn粉末の作製における、Mg粉末、Si粉末、Sn粉末、及びBi粉末の粒径及び配合量、並びに加熱条件を表1に示す。
Figure 0006414137
MgSn粉末を秤量し、これを金型の底部に装入し、圧粉(第1圧粉)して、第1圧粉体を得た。そして、MgSi0.304Sn0.660Bi0.036粉末を秤量し、これを金型内の第1圧粉体の上に装入し、圧粉(第2圧粉)して、第2圧粉体を得た。この第2圧粉体を放電プラズマ焼結法により、加圧焼結して、焼結体を得た。MgSn粉末及びMgSi0.304Sn0.660Bi0.036粉末の装入量、第1圧粉圧力、第2圧粉圧力、並びに加圧焼結条件を、表2に示す。このようにして得た焼結体を実施例の試料とした。
Figure 0006414137
(比較例)
MgSn粉末を作製せず、試料のすべてをMgSi0.304Sn0.660Bi0.036にすること以外は、実施例と同様にして、比較例の試料を作製した。
(評価)
実施例及び比較例の試料それぞれについて、ゼーベック係数α(μV/K)を測定した。柱状の試料の両端に銅ブロックを接触させて、これら全体を測定温度まで加熱した。このとき、上下の銅ブロックで10℃の温度差をつけ、試料の中央付近の2点間で、電流がゼロになる電圧を測定した。そして、その電圧の測定値から、ゼーベック係数αの絶対値を算出した。なお、MgSnに接する側の銅ブロックを、MgSi0.304Sn0.660Bi0.036に接する側の銅ブロックよりも高温にした。
結果を図5に示す。図5は、測定温度T(℃)とゼーベック係数αの絶対値(μV/K)との関係を示すグラフである。ここで、測定温度T(℃)は、試料の中央部付近の温度である。
図5から分かるように、キャリア発生半導体12のない試料(比較例)と比べて、キャリア発生半導体12を有する試料(実施例)では、高温で、ゼーベック係数の絶対値が向上することが確認できた。
以上の結果から、本発明が顕著な効果を奏することを、確認できた。
10 n型熱電変換体
12、22 キャリア発生半導体
16、26 キャリア移動半導体
20 p型熱電変換体
30 高温側電極
41 第1低温側電極
42 第2低温側電極
52 キャリア発生半導体の禁制帯
56 キャリア移動半導体の禁制帯
57 キャリア発生半導体に接している領域の禁制帯
58 第1低温側電極に接している領域の禁制帯
100 熱電変換素子

Claims (6)

  1. n型熱電変換体と、
    p型熱電変換体と、
    前記n型熱電変換体の一端と前記p型熱電変換体の一端が接している高温側電極と、
    前記n型熱電変換体の他端と接している第1低温側電極と、
    前記p型熱電変換体の他端と接している第2低温側電極と、
    を備え、
    前記n型熱電変換体は、前記高温側電極に接する側が、MgSnを含有するキャリア発生半導体で構成されており、かつ、
    前記n型熱電変換体は、前記第1低温側電極に接する側が、MgSi1−xSn(ただし、0.6≦x≦0.7)と第1n型ドーパントを含有するキャリア移動半導体で構成されている、
    熱電変換素子。
  2. 価電子帯の頂上のエネルギー準位は、前記キャリア発生半導体よりも、前記キャリア移動半導体の方が低い、請求項1に記載の熱電変換素子。
  3. 前記キャリア移動半導体の中の前記第1n型ドーパントの濃度が、前記キャリア発生半導体の側から前記第1低温側電極の側に向かって高くなっている、請求項1又は2に記載の熱電変換素子。
  4. 前記キャリア移動半導体が、複数の領域を有し、
    前記複数の領域の前記第1n型ドーパントの濃度が、前記キャリア発生半導体の側から前記第1低温側電極の側に向かって高くなっている、
    請求項1又は2に記載の熱電変換素子。
  5. 前記第1n型ドーパントが、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  6. 前記キャリア発生半導体が、更に、Sb、Bi、及びAlから選ばれる1種以上の第2n型ドーパントを含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
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