JP6466513B2 - スピーカーの配置方向に応じた音声の整形 - Google Patents

Description

本開示技術は、家電の分野で使用される技術を目的とする。特に、いくつかの実施形態は、スピーカーの配置方向（オリエンテーション）に応じて音声を整形することを目的とする。

音楽は、我々の生活の中で非常に大きな部分を占める。技術の進化により、音楽のコンテンツは、以前よりもアクセスしやすくなっている。このことは、テレビや映画などの他の種類の媒体、および他のオーディオ・ビデオコンテンツにも当てはまる。実際には、ユーザは現在、従来のオーディオ・ビデオコンテンツへのアクセス手段に加えて、オンラインストア、インターネットラジオステーション、オンライン音楽サービス、オンライン映画サービスなどを通じて、インターネット上のコンテンツにアクセスすることができる。

このようなオーディオ・ビデオコンテンツへの需要は高まり続けている。この高い需要が長年にわたったことで、このようなコンテンツにアクセスして再生するために使用される技術も同様に改善されている。

本開示技術のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の記載、添付の特許請求の範囲、および添付の図面に関する技術における当業者によってより良く理解される。
実施形態が実施され得る構成の例を示す図 内蔵アンプとスピーカーを備える例示的なゾーンプレーヤーを示す図 内蔵アンプを備え、外部スピーカーに接続された例示的なゾーンプレーヤーを示す図 Ａ／Ｖ受信機とスピーカーに接続された例示的なゾーンプレーヤーを示す図 例示的なコントローラを示す図 例示的なゾーンプレーヤーの内部機能ブロック図 例示的なコントローラの内部機能ブロック図 第１の位置にある例示的なゾーンプレーヤーを示す図 図６Ａの例示的なゾーンプレーヤーが第１の位置とは異なる第２の位置にある図 第１の位置にある例示的なゾーンプレーヤーを示す図 図７Ａの例示的なゾーンプレーヤーが第１の位置とは異なる第２の位置にある図 ある実施形態における、配置方向を検知するためのセンサモジュールを備えた例示的なゾーンプレーヤーの内部機能ブロック図 少なくとも１つの配置方向に基づいて音声を整形する方法を示すフローチャート 例示的な配置方向決定状態機械を示す図 基準水平配置方向に基づく配置方向決定の４つの領域を示す図 ロールとピッチの組み合わせを変化させることで生成される例示的な未知の配置方向領域を示す図 垂直テーブルトップ位置における線画による例示的な加速度計の軸を示す図 それぞれの軸の最小・最大範囲を決定するために用いられる例示的な実験データのプロット図 再生デバイスに対して定義される例示的なＸ、Ｙ、Ｚ軸を示す図 配置方向決定のための例示的な利用可能角度の範囲を示す図 分散型の通信、組織化、制御構造に基づいて動作する例示的なネットワークオーディオシステムを示す図

さらに、図面は、いくつかの実施形態を説明することを目的としているが、発明は、図面に示した配置および手段に限定されるものではない。

Ｉ．概要
本明細書に記載の例示的な実施形態は、スピーカーの配置方向に応じて音声を整形することに関する。本実施形態は、様々な方法で配置される再生デバイスに特に有用である。本実施形態は、例えば、スピーカーの配置方向付けの柔軟性やその配置方向に基づく最適な音声が求められる、あらゆる環境およびシステムに関連した利用性を見出すことができる。

ある実施形態では、オーディオデータストリームは１つ以上のスピーカードライバを有する再生デバイスによって取得され、再生デバイスの配置方向が決定され、その配置方向に基づいて音声が再生デバイスによって再現される。一実施形態では、ステレオ信号が第１の配置方向に基づいて、複数のスピーカーにより再現され、モノラル信号が第２の配置方向に基づいて、複数のスピーカーにより再現される。第２の実施形態では、スピーカードライバは、第１の配置方向に基づいて、モノラル信号と、右または左チャネルのいずれかの信号とを再現し、第２の配置方向に基づいて、モノラル信号のみを再現する。第３の実施形態では、スピーカードライバは、第１の配置方向に基づいて第１の周波数範囲を再現し、第２の配置方向に基づいて第２の周波数範囲を再現する。第４の実施形態では、再生デバイスは、ディスプレイを含まない。第５の実施形態では、再生デバイスは、ラウドスピーカーシステムなどのオーディオ専用デバイスである。

ある実施形態では、音声は、再生デバイスの配置方向と、再生デバイスが別の再生デバイスとペアリングされているかどうかに基づいて、再生デバイスによって再現される。いくつかの例では、配置方向は、ペアリングに優先する（trump）とともに、音声は、その配置方向に基づいて再現される。いくつかの例では、ペアリングは、配置方向に優先するとともに、音声は、そのペアリングに基づいて再現される。いくつかの例では、配置方向とペアリングの両方が、音声の再現を決定する。さらに、音声は、再生デバイスのペアリング、グループ化および統合のいずれに基づいて再現されてもよい。

ある実施形態では、音声は、異なる再生デバイスの配置方向に基づいて、再生デバイスによって再現される。例えば、再生デバイスＡおよび再生デバイスＢは、特定の全体的な音声を再生するようにペアリングされてもよい。いくつかの例では、再生デバイスＡからの音声は、再生デバイスＢの配置方向に基づいてもよい。いくつかの例では、再生デバイスＢからの音声は、再生デバイスＡの配置方向に基づいてもよい。いくつかの例では、全体的な音声は、再生デバイスＡ、Ｂの両方の配置方向に基づいてもよい。これは特に、異なる再生デバイスの集合から生じる音声を整形する場合に有用である。

ある実施形態では、オーディオデータストリームは１つ以上のスピーカードライバを有する再生デバイスによって取得され、再生デバイスの配置方向が決定され、その配置方向に基づいて音声が再生デバイスによって再現される。いくつかの実施形態では、オーディオデータストリームは、配置方向に基づいて再生デバイスによって修正される。いくつかの実施形態では、オーディオデータストリームは、再生デバイスによって取得される前に修正され、その修正は配置方向に基づく。

ある実施形態では、再生デバイスは、特定の方向を向いた（又は実質的に向かう）１つ以上のスピーカードライバを含む。いくつかの例では、再生デバイスの配置方向は、その正面に垂直な軸の周りの回転に基づく。すなわち、１つ以上のスピーカードライバは、回転にかかわらず特定の方向を向き続けている。いくつかの例では、再生デバイスの配置方向は、その正面に平行な軸の周りの回転に基づく。このように、回転により、１つ以上のスピーカードライバは、特定の方向とは異なる方向を向いてもよい。いくつかの例では、再生デバイスの配置方向は、複数の軸の周りの回転に基づく。ある実施形態によれば、配置方向は、再生デバイスからの音声出力を決定するために使用される。

本明細書に記載される１つ以上の実施形態の利点は、１つ以上の再生デバイスによって生成される音場が、１つ以上の再生デバイスの配置方向に基づいて整形可能となることである。この技術は、最適な音声が望まれるあらゆる環境で使用することができる。特にこの技術は、音楽を聴くときやビデオ、テレビ又は映画を見るときに有用である。

以下において、コンポーネントの中でも特に、ハードウェア上で実行されるファームウェアおよび／又はソフトウェアを含む例示的な方法、装置、システムおよび製品を開示するが、これらは単なる例示であって、これらに限定されるものではない。例えば、ファームウェア、ハードウェアおよび／又はソフトウェアのコンポーネントのいずれか又はその全てが、ハードウェア単独で、ソフトウェア単独で、ファームウェア単独で、および／又はハードウェア、ソフトウェアおよび／又はファームウェアの任意の組み合わせで具現化される。したがって、以下では、例示的な方法、装置、システムおよび／又は製品を記述するが、これらの例はこのような方法、装置、システム、および／又は製品を実施するための唯一の方法ではない。

特許請求の範囲の請求項がソフトウェアおよび／又はファームウェアの実装を純粋にカバーするように読めるときには、少なくとも１つの例における少なくとも１つの要素が、本明細書にて明示的に、ソフトウェアおよび／又はファームウェアを格納するメモリ、ＤＶＤ、ＣＤ、ブルーレイなどの有形媒体を含むように定義される。

これらの実施形態および多くの付加的な実施形態が以降に記載されている。さらに、発明の詳細な説明は、例示的な環境、システム、手順、ステップ、論理ブロック、処理、およびネットワークに接続されたデータ処理デバイスの動作に直接的又は間接的に似た他の記号表現の観点で主として提示される。これらのプロセスの記載および表現が一般的に当業者によって使用されることで、それらの仕事の内容が他の当業者に最も効果的に伝えられる。多数の特定の詳細が本開示の完全な理解を提供するために説明される。しかしながら、当業者は、本発明のいくつかの実施形態がある種の特定の詳細なしに実施可能となることを理解する。他の例では、周知の方法、手順、コンポーネントおよび回路が簡略化して説明されることで、不必要に実施形態の態様を不明瞭にすることを避けている。

本明細書での「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも１つの実施形態に含まれ得ることを意味する。明細書における様々な部分でのこのフレーズの使用は、同じ実施形態を必ずしも言及するものではなく、また、他の実施形態と互いに排他的な別個の又は代替的な実施形態でもない。このように、本明細書に記載の実施形態を他の実施形態と組み合わせてもよいことが明示的および暗示的に当業者によって理解される。

ＩＩ．例示的な環境
図面の全体を通して同様のパーツに対しては、同様の符号を用いる。図１は、例示的なシステム構成１００を示し、このシステム構成１００において、本明細書に記載のいくつかの実施形態が実施される。システム構成１００が、複数のゾーンを有する家庭に用いられた場合を、例示的に示す。それぞれのゾーンは例えば、オフィス、浴室、寝室、キッチン、ダイニングルーム、ファミリールーム、ホームシアタールーム、ユーティリティ又はランドリールーム、パティオなどの異なる部屋又はスペースを表す。ここには示されていないが、１つのゾーンが複数の部屋やスペースを占めるものであっても良い。各ゾーンに１つ以上のゾーンプレーヤー１０２〜１２４が示されている。ゾーンプレーヤー１０２〜１２４は、再生デバイス（plＡyＢＡck device）、マルチメディアユニット、スピーカーなどで構成され、それぞれ、オーディオ、ビデオ、および／又はオーディオビジュアルの出力を行う。コントローラ１３０（ここでは例示的にキッチンに設けられている）は、システム構成１００の制御を行う。システム構成１００は、例示的なハウスオーディオシステム全体を表すが、本明細書に記載の技術は、これらの特定の場所への用途に限定されず、又はウスオーディオシステム全体のような広範囲のシステムにも限定されない。

図２Ａ、図２Ｂ、図２Ｃは、ゾーンプレーヤー２００の例示的な構成を示す。ゾーンプレーヤー２００は、いずれのゾーンプレーヤー１０２〜１２４にも対応するものである。いくつかの例示的な実施形態では、複数のゾーンプレーヤーを設けているが、単一のゾーンプレーヤーだけを使用してオーディオ出力を生成しても良い。図２Ａについて、例示的なゾーンプレーヤー２００は、内蔵アンプ（図示せず）と、スピーカー２０２とを備える。特定のスピーカーは、ツイーター、ミッドレンジドライバ、又はサブウーファーを含んでも良い。ある実施形態では、図２Ａのゾーンプレーヤー２００は、ステレオオーディオ又はモノラルオーディオを再生するように構成される。図２Ｂについて、例示的なゾーンプレーヤー２００は、内蔵アンプ（図示せず）を含み、その内蔵アンプは１セットの分離したスピーカー２０４に電力を供給する。スピーカー２０４は、任意のタイプのラウドスピーカーを含んでもよい。図２Ｃについて、例示的なゾーンプレーヤー２００は、アンプを含まないが、このゾーンプレーヤー２００によれば、受信機２０６が、又はアンプを内蔵する別のオーディオおよび／若しくはビデオタイプデバイスが、データネットワーク１２８に接続されるとともに、受信機２０６およびスピーカー２０４を介してデータネットワーク１２８から受信されたオーディオを再生することができる。ゾーンプレーヤーの例としては、カリフォルニア州サンタバーバラのソノズ・インコーポレイテッドによって提供される「ソノズ（登録商標）Ｓ５」、「プレイ：５（商標）」、「プレイ：３（商標）」、「ゾーンプレーヤー１２０」、「ゾーンプレーヤー９０」が含まれる。本明細書では、ゾーンプレーヤーを「再生デバイス」と称する場合がある。ゾーンプレーヤーは、図２Ａ、図２Ｂ、図２Ｃに示されるある実施例のものに限定されない。例えば、ゾーンプレーヤーは、有線又は無線のヘッドホンを含んでもよい。別の例では、ゾーンプレーヤーは、サブウーファーを含む。ある例では、ゾーンプレーヤーは、アップル社のｉＰｏｄ（商標）用又はそれに類似するデバイス用のドッキングステーションを含む又はそれと協働する。

図３は、ドッキングステーション３０２に入っている無線コントローラ３００の例を示す。コントローラ３００は、図１の制御デバイス１３０に対応し得る。コントローラ３００には、タッチスクリーン３０４が設けられている。ユーザはタッチスクリーン３０４を用いて、コントローラ３００と交信し、例えば、オーディオアイテムの読み出し操作、１つ以上のゾーンプレーヤーの制御操作、又はシステム構成１００全体の制御操作を行うことができる。いくつかの実施形態では、システム構成１００を制御するために、任意の数のコントローラが使用されてもよい。コントローラは、無線コントローラ３００のような無線式であってもよく、データネットワーク１２８に接続される有線式であってもよい。さらに、iＰｈｏｎｅ（商標）、ｉＰａｄ（商標）、アンドロイド（商標）電話などの任意のネットワーク対応ポータブルデバイス上で動作するアプリケーション、又は他の任意のスマートフォンやネットワーク対応デバイス上で動作するアプリケーションを、データネットワーク１２８に接続することで、コントローラとして使用してもよい。ラップトップ又はデスクトップのＰＣ又はＭＡｃ上で動作するアプリケーションをコントローラとして使用しても良い。コントローラの例として、カリフォルニア州サンタバーバラのソノズ・インコーポレイテッドによって提供される「ソノズ（登録商標）・コントローラ２００」、「ソノズ（登録商標）・ｉＰｈｏｎｅ用コントローラ」、「ソノズ（登録商標）・ｉＰＡｄ用コントローラ」、「ソノズ（登録商標）・アンドロイド用コントローラ」が含まれる。当業者であれば、このようなアプリケーションの適用性および新たなタイプのポータブルデバイスでの利用可能性を理解することが出来る。

図１のシステム構成１００に戻ると、１つの特定のゾーンには１つ以上のゾーンプレーヤーが含まれている。例えば、ファミリールームには２つのゾーンプレーヤー１０６、１０８が含まれる一方で、キッチンには１つのゾーンプレーヤー１０２が示されている。ゾーンは、部屋やスペースに１つのゾーンプレーヤーを配置するとともにそのゾーンプレーヤーをコントローラ１３０を経由して新規又は既存のゾーンへ割り当てることにより、動的に構成されていてもよい。このように、ゾーンは、生成されて、別のゾーンと組み合わされて、削除されて、さらにはそのようにプログラムされる場合には特定の名称（例えば、「キッチン」）を与えられても良い。ゾーンプレーヤー１０２−１２４は、図中の符号１２８で表されるデータネットワークに直接的又は間接的に接続されている。データネットワーク１２８は、図中に示す他の構成要素から目立つように八角形で表されている。データネットワーク１２８は単一の場所に示されているが、このようなネットワークは、システム構成１００内およびその周囲に分配されてもよい。

特に、データネットワーク１２８は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、又はこれらの組み合わせであってもよい。一例では、ゾーンプレーヤー１０２−１２４のうちの１つ以上が、独自（proprietary）のメッシュネットワークに基づいてデータネットワーク１２８に無線で接続されている。別の例では、ゾーンプレーヤー１０２−１２４のうちの１つ以上が、非メッシュトポロジーを用いてデータネットワーク１２８に無線で接続されている。さらに別の例では、ゾーンプレーヤー１０２−１２４のうちの１つ以上が、イーサネット（登録商標）又は類似の技術を用いてデータネットワーク１２８に有線で接続されている。１つ以上のゾーンプレーヤー１０２―１２４がデータネットワーク１２８に接続することに加えて、データネットワーク１２８によってインターネットなどの広域ネットワークへのアクセスが可能であっても良い。

いくつかの実施形態では、任意のゾーンプレーヤー１０２―１２４又はいくつかの他の接続デバイスをブロードバンドルータに接続することによって、データネットワーク１２８を作成してもよい。このとき、他のゾーンプレーヤー１０２―１２４をさらにデータネットワーク１２８に有線又は無線で接続してもよい。例えば、ゾーンプレーヤー（例えば、任意のゾーンプレーヤー１０２−１２４ ）は、単にゾーンプレーヤー自体のボタンを押すことによってシステム構成１００に追加して、データネットワーク１２８への接続を可能としてもよい。ブロードバンドルータは、例えば、インターネットサービスプロバイダ（ＩＳＰ）に接続することができる。ブロードバンドルータは、他の用途（例えば、ウェブサーフィン）に使用されうるシステム構成１００内の別のデータネットワークを形成するために使用されてもよい。データネットワーク１２８は、そのようにプログラムされる場合には他の用途に使用されてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、データネットワーク１２８は、例えば、家庭内の他の複数の用途に使用される同一のネットワークである。

いくつかの実施形態では、それぞれのゾーンは、別のゾーンと同じオーディオソースから再生を行ってもよく、又は、異なるオーディオソースから再生を行ってもよい。例えば、誰かがパティオでグリルしながらゾーンプレーヤー１２４を通じてジャズ音楽を聞いている一方で、誰かはキッチンで料理を準備しながらゾーンプレーヤー１０２を通じてクラシック音楽を聞くこともできる。さらに誰かがパティオでゾーンプレーヤー１２４を通じて再生されているものと同じジャズ音楽をオフィスにてゾーンプレーヤー１１０を通じて聞くこともできる。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー１１０、１２４を通じて再生されるジャズ音楽が同期して再生される。複数のゾーンにわたって再生を同期することで、オーディオを途切れなく聞きながら複数のゾーンを通過することができる。さらに、関連する全てのゾーンが同期してオーディオを再生するように、ゾーンを「パーティーモード」としてもよい。

いくつかの実施形態では、１つのゾーンは、２つ以上のゾーンプレーヤーを含む。例えば、ファミリールームは、２つのゾーンプレーヤー１０６、１０８を含み、ホームシアタールームは、少なくともゾーンプレーヤー１１６、１１８、１２０を含んでいる。ゾーンは、必要な数のゾーンプレーヤーを含むように構成されてもよく、例えば、ホームシアタールームは、５．１以上のチャネルのオーディオソースからオーディオを再生する付加的なゾーンプレーヤーを含んでもよい（例えば、５．１以上のオーディオチャネルにてエンコードされたムービー）。１つのゾーンが、ファミリールームにおける２つのゾーンプレーヤー１０６、１０８のような２つ以上のゾーンプレーヤーを含む場合には、例えば、２つのゾーンプレーヤー１０６、１０８が同期して同じオーディオソースを再生するように構成されるか、あるいは、左右のチャネルにおいて２つの別々の音声を再生するようにペアであってもよい。換言すれば、音声のステレオ効果は、１つは右側の音声に対応しもう１つは左側の音声に対応する２つのゾーンプレーヤー１０６、１０８を通じて再現又は増強することができる。いくつかの実施形態では、ペアになったゾーンプレーヤーが、他のゾーンプレーヤーと同期してオーディオを再生することができる。

いくつかの実施形態では、３つ以上のゾーンプレーヤーが、３チャネル以上の音声でエンコードされたオーディオの各種チャネルを再生するように構成される。例えば、ホームシアタールームは、ゾーンプレーヤー１１６、１１８、１２０を示す。音声が２．１チャネルのオーディオとしてエンコードされる場合には、ゾーンプレーヤー１１６は左側のオーディオを再生するように構成され、ゾーンプレーヤー１１８は右側のオーディオを再生するように構成され、ゾーンプレーヤー１２０は低周波数を再生するように構成されてもよい。他の構成も可能であり、ゾーンプレーヤーの数やオーディオの種類によって異なる。さらに、例えば、映画からオーディオを再生するときには、５．１チャネルのオーディオの再生を行い、その後、例えば、２つのチャネルソースからオーディオを再生するときにはステレオの再生を行うよう動的にスイッチするように特定のゾーンを構成することもできる。

いくつかの実施形態では、 ２つ以上のゾーンプレーヤーが、単一の統合ゾーンプレーヤーを形成するように音響的に統合されてもよい。（複数の別々のデバイスで構成されている）統合ゾーンプレーヤーは、非統合のゾーンプレーヤーやペアになっているゾーンプレーヤーとは異なる音声を処理および再現するように構成されてもよい。その理由は、統合ゾーンプレーヤーが音声を通す付加的なスピーカードライバを持つためである。統合ゾーンプレーヤーはさらに、単一のゾーンプレーヤーや別の統合ゾーンプレーヤーとペアリングされてもよい。統合された再生デバイスにおけるそれぞれの再生デバイスは、好ましくは統合モードに設定される。

いくつかの実施形態では、例えば所望の構成が完成するまで、ゾーンプレーヤーのグループ化、統合およびペアリングのいずれかの操作を実行し続けることができる。グループ化、統合およびペアリングの動作は、例えば、異なる構成を生成するようにスピーカー線を個々の別々のスピーカーに物理的に接続および再接続するのではなく、コントローラ１３０などを使用することにより制御インタフェースを介して行われることが好ましい。このように、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、エンドユーザに対して音声再現を提供可能なより柔軟で動的なプラットフォームを提供している。

ゾーンプレーヤー１０２−１２４によって再生されるオーディオコンテンツの供給源は多数ある。コンピュータ又はネットワーク接続ストレージ（ＮＡＳ）に保存された個人のライブラリにある音楽が、データネットワーク１２８を介してアクセスされ、再生することができる。インターネットラジオ局、番組、ポッドキャストは、データネットワーク１２８を介してアクセスすることができる。ユーザストリームや音楽およびオーディオコンテンツのダウンロードを提供する音楽サービスには、データネットワーク１２８を介してアクセスすることができる。さらに、音楽は例えば、ゾーンプレーヤーへのラインイン接続を介して、ターンテーブル又はＣＤプレ−ヤーなどの従来の供給源から得ることができる。オーディオコンテンツもまた、例えば、アップル社のＡｉｒＰｌａｙ（商標）無線技術を介してアクセスすることができる。１つ以上の供給源から受信されたオーディオコンテンツは、データネットワーク１２８およびコントローラ１３０を介してゾーンプレーヤー１０２ー１２４の間で共有されてもよい。

ＩＩＩ．例示的な再生デバイス
図４を参照すると、一実施形態に係るゾーンプレーヤー４００の例示的な機能ブロック図が示されている。ゾーンプレーヤー４００は、ネットワークインタフェース４０２、プロセッサ４０８、メモリ４１０、オーディオ処理コンポーネント４１２、モジュール４１４ 、オーディオアンプ４１６およびオーディオアンプ４１６に接続されたスピーカーユニット４１８を含む。図２Ａは、このようなゾーンプレーヤーの正面側の図の例を示す。ゾーンプレーヤーの他の種類は、スピーカーユニット４１８（例えば、図２Ｂ）又はオーディオアンプ４１６（例えば、図２Ｃ）を含まなくてもよい。また、ゾーンプレーヤー４００は、別のコンポーネントに統合されてもよい。例えば、ゾーンプレーヤー４００は、屋内又は屋外の使用のためのランプの一部として構成することができる。

図４を再び参照すると、ネットワークインタフェース４０２は、データネットワーク（例えば、図１のデータネットワーク１２８）上のゾーンプレーヤーや他のデバイスとゾーンプレーヤー４００との間のデータフローを促進する。いくつかの実施形態では、ネットワークインタフェース４０２は、オーディオソース若しくはファイルを、データネットワーク上で伝送されるより小さなパケットに構築してもよく、又は受信したパケットをオリジナルのソース又はファイルへ再構築する。いくつかの実施形態では、ネットワークインタフェース４０２はさらに、それぞれのパケットのアドレス部分を正しい宛先に到達するように又はゾーンプレーヤー４００宛てのパケットを傍受するように処理することができる。したがって、いくつかの実施形態では、それぞれのパケットは、インターネットプロトコル（ＩＰ）ベースのソースアドレスおよびＩＰベースの宛先アドレスを含む。

いくつかの実施形態では、ネットワークインタフェース４０２は、無線インタフェース４０４および有線インタフェース４０６のうちの１つ又はその両方を含んでもよい。無線インタフェース４０４は、ＲＦインタフェースとも称され、ゾーンプレーヤー４００に対して、通信プロトコル（例えば、無線規格のＩＥＥＥ８０２．１１ａ、８０２．１１ｂ、８０２．１１ｇ、８０２．１１ｎ、８０２．１５）に応じて他のデバイスと通信するためのネットワークインタフェース機能を提供する。有線インタフェース４０６は、ゾーンプレーヤー４００に対して、通信プロトコル（例えば、ＩＥＥＥ８０２．３）に応じて他のデバイスと有線で通信するためのネットワークインタフェース機能を提供する。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤーは、インタフェース４０４、４０６の両方を含む。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー４００は、無線インタフェース４０４又は有線インタフェース４０６のいずれかのみを含む。

いくつかの実施形態において、プロセッサ４０８は、メモリ４１０に保存された命令に従って入力データを処理するように構成されているクロック駆動の電子デバイスである。メモリ４１０は、プロセッサ４０８によって実行されることで特定のタスクを達成可能な１つ以上のソフトウェアモジュール４１４が搭載されるデータ記憶装置である。一例では、タスクとは、ゾーンプレーヤー４００が別のゾーンプレーヤーやネットワーク上のデバイスからオーディオデータを取得することであってもよい。第２の例では、タスクは、ゾーンプレーヤー４００が別のゾーンプレーヤーやネットワーク上のデバイスにオーディオデータを送信することであってもよい。第３の例では、タスクは、ゾーンプレーヤー４００がオーディオの再生を１つ以上の付加的なゾーンプレーヤーと同期させることであってもよい。第４の例では、タスクは、ゾーンプレーヤー４００を１つ以上のゾーンプレーヤーとペアリングすることで、マルチチャネルオーディオ環境を作成することであってもよい。第５の例では、タスクは、ゾーンプレーヤー４００の配置方向、異なるゾーンプレーヤーの配置方向、又はゾーンプレーヤー４００を含むゾーンプレーヤーのグループの配置方向に基づいて、ゾーンプレーヤー４００から出力される音を形成することであってもよい。他のタスクは、本明細書に記載されるもののように、１つ以上のソフトウェアモジュール４１４およびプロセッサ４０８を介して達成することができる。

オーディオ処理コンポーネント４１２は、１つ以上のデジタル−アナログ変換器（ＤＡＣ）、オーディオ前処理コンポーネント、オーディオ強化コンポーネント又はデジタル信号プロセッサなどを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ネットワークインタフェース４０２を介して取得されたオーディオは、オーディオ処理コンポーネント２１０によって処理される、および／又は意図的に変更される。さらに、オーディオ処理コンポーネント４１２は、アナログオーディオ信号を生成してもよい。処理されたアナログオーディオ信号は、スピーカー４１８を通じて、再生のためにオーディオアンプ４１６に提供される。また、オーディオ処理コンポーネント４１２は、アナログ信号又はデジタル信号を、ゾーンプレーヤー４００から再生するための入力として、ネットワーク上の別のゾーンプレーヤーに送信するための入力として、又は再生および送信の両方を行うための入力として処理するのに必要な回路を含んでもよい。例示的な入力は、ラインイン接続（例えば、オートディテクティング３．５ｍｍオーディオラインイン接続）を含む。

オーディオアンプ４１６は、１つ以上のスピーカー４１８を駆動するレベルまでオーディオ信号を増幅するデバイスである。１つ以上のスピーカー４１８には、個々の変換器（例えば、「ドライバ」）や１つ以上のドライバを内包する筐体を含んだ完全なスピーカーシステムが含まれてもよい。特定のドライバは、例えば、サブウーファー（低周波用）、ミッドレンジドライバ（中周波用）、およびツイーター（高周波用）であってもよい。筐体は、例えば、密封され又は移植されていてもよい。

本明細書では、ゾーンプレーヤー４００も再生デバイスと称する場合がある。例示的な再生デバイスは、カリフォルニア州サンタバーバラのソノズ社によって製造されるソノズＳ５を含む。Ｓ５は、内蔵型のアンプとスピーカーを備えた例示的なゾーンプレーヤーである。特に、Ｓ５は、２つのツイーター、２つのミッドレンジドライバおよび１つのサブウーファーを含んだ５ドライバ・スピーカーシステムである。Ｓ５を通じてオーディオコンテンツを再生する場合、トラックの左側のオーディオデータは、左側のツイーターおよび左側のミッドレンジドライバから送られ、トラックの右側のオーディオデータは、右側のツイーターおよび右側のミッドレンジドライバから送られ、モノラル低音は、サブウーファーから送られる。さらに、両方のミッドレンジドライバと両方のツイーターが同じイコライゼーション（又は実質的に同じイコライゼーション）を有してもよい。つまり、これらの両方が同じ周波数にて異なるオーディオチャネルから送信される。ソノズＳ５からは、インターネットラジオ局やオンライン音楽・ビデオサービスからのオーディオ、ダウンロードされた音楽、アナログオーディオ入力、テレビ、ＤＶＤなどを再生することができる。Ｓ５は、スピーカーを備えたゾーンプレーヤーの一例であるが、スピーカーを備えたゾーンプレーヤーとは、特定の数のスピーカー（例えば、Ｓ５における５つのスピーカー）を有するものに限定されるのではなく、１つ以上のスピーカーを含むものであってよい。さらに、ゾーンプレーヤーは、オーディオとは異なる目的に供する可能性のある別のデバイス（例えば、ランプ）の一部であってもよい。

ＩＶ．例示的なコントローラ
図５を参照すると、図１の制御デバイス１３０に対応し得る例示的なコントローラ５００が示されている。コントローラ５００は、システム内のマルチメディアアプリケーションの制御、自動化およびその他のことを促進するために使用することができる。特に、コントローラ５００は、ネットワーク上にて利用可能な複数のオーディオソースの中からの選択を容易にするとともに、無線ネットワークインタフェース５０８を介した１つ以上のゾーンプレーヤー（例えば、図１のゾーンプレーヤー１０２―１２４）の制御を可能にするように構成されている。一実施形態によれば、無線通信は、業界標準に基づいている（例えば、赤外線、ラジオ、あるいは無線規格のＩＥＥＥ８０２．１１ａ、８０２．１１ｂ、８０２．１１ｇ、８０２．１１ｎ又は８０２．１５）。さらに、特定のオーディオがコントローラ５００を介してアクセスされている、又はゾーンプレーヤーを経由して再生されている場合、オーディオソースに関連付けられている画像（例えば、アルバムアート）又は他のデータが、あるゾーンプレーヤー又は他の電子機器から、表示のためにコントローラ５００へ送信されてもよい。

コントローラ５００には、画面５０２および入力インタフェース５１４が設けられており、これにより、ユーザはコントローラ５００と交信し、多くのマルチメディアアイテムのプレイリストをナビゲートしたり、１つ以上のゾーンプレーヤーの動作を制御することができる。コントローラ５００上の画面５０２は、例えば、液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）画面であってもよい。画面５００は、マイクロコントローラ（例えば、プロセッサ）５０６によって制御されるスクリーンドライバ５０４と通信するとともに、指令を受ける。メモリ５１０は、１つ以上のアプリケーションモジュール５１２がロードされてもよい。そのアプリケーションモジュール５１２は、ユーザインタフェース５１４を介したユーザ入力の有無にかかわらず、特定のタスクを達成するようにマイクロコントローラ５０６によって実行可能である。一例では、アプリケーションモジュール５１２は、選択された多くのゾーンプレーヤーを１つのゾーングループにグループ化すること、およびオーディオ再生のために複数のゾーンプレーヤーを同期することを促進するように構成されている。別の例では、アプリケーションモジュール５１２は、ゾーングループ内のゾーンプレーヤーのオーディオ音声（例えば、ボリューム）を制御するように構成されている。動作中において、マイクロコントローラ５０６がアプリケーションモジュール５１２の１つ以上を実行するときには、スクリーンドライバ５０４は、画面５０２を特定のユーザインタフェースにアプリケーションを表示するように駆動するための制御信号を生成する。

コントローラ５００は、ゾーンプレーヤーとの無線通信を促進するネットワークインタフェース５０８を含む。一実施形態では、このようなボリュームコントロールやオーディオ再生の同期化などのコマンドは、ネットワークインタフェース５０８を介して送信される。別の実施形態では、保存されたゾーングループ設定は、ネットワークインタフェース５０８を介してゾーンプレーヤーとコントローラとの間で通信される。コントローラ５００は、図１に示す符号１０２−１２４のような１つ以上のゾーンプレーヤーを制御してもよい。特定のシステムに対して複数のコントローラがあってもよい。また、コントローラは、ゾーンプレーヤーに組み込まれてもよい。

なお、ｉＰｈｏｎｅ（商標）やｉＰａｄ（商標）のような他のネットワーク対応デバイスや、他の任意のスマートフォンやネットワーク対応デバイス（例えば、ＰＣやＭａｃなどのネットワーク化されたコンピュータなど）を、特定の環境内におけるゾーンプレーヤーと交信又は制御するためのコントローラとして使用することができる。一実施形態によれば、ソフトウェアアプリケーション又はアップグレードを、本明細書に記載の機能を実行するためにネットワーク対応デバイス上にダウンロードしてもよい。

いくつかの実施形態では、ユーザは、コントローラ５００から少なくとも２つのゾーンプレーヤーを含むゾーングループを作成することができる。ゾーングループ内のゾーンプレーヤーを同期させて、ゾーングループ内のゾーンプレーヤーの全てが、遅れや中断が聞こえないような方法により同一のオーディオソース又は同一のオーディオソースのリストを再生するようにオーディオを再生させてもよい。同様に、一実施形態では、ユーザがコントローラ５００からグループの音量を増大させると、グループの音量を増大させる信号又はデータをゾーンプレーヤーのうちのいずれか１つに送信して、グループ内の他のゾーンプレーヤーのボリュームをともに増加させる。

ユーザは、コントローラ５００を介して、「ゾーンのリンク」又は「ゾーンの追加」のソフトボタンを作動させることによって、ゾーンプレーヤーをゾーングループにグループ化することができ、又は、「ゾーンのリンク解除」又は「ゾーンのドロップ」のボタンを作動させることによって、ゾーングループのグループ化の解除を行うことができる。例えば、オーディオ再生に関してゾーンプレーヤーをともに「参加」させるための１つのメカニズムは、グループを形成するように多くのゾーンプレーヤーをともにリンクすることである。多くのゾーンプレーヤーをともにリンクするには、ユーザーが手動でそれぞれのゾーンプレーヤーや部屋を順にリンクするようにしてもよい。例えば、以下のゾーン：バスルーム、ベッドルーム、書斎、ダイニングルーム、ファミリールーム、玄関を含むマルチゾーンシステムの場合を想定する。ユーザがタッチスクリーン、ポインティングデバイス（例えば、マウスやトラックボールなど）、ジェスチャーベースの交信、又はこれらの技術の任意の組み合わせを使用して、ゾーンをドラッグおよびドロップし、ゾーングループを構成してもよく、これには、１つ以上のゾーン又はゾーンプレーヤーをゾーングループに追加又は削除することが含まれる。

いくつかの実施形態では、ユーザは例えば、単一のゾーンで開始してから手動でそのゾーンに各ゾーンをリンクすることによって、６つのゾーンプレーヤーのうちの任意の数をリンクさせることができる。

いくつかの実施形態では、（最初のゾーンのシーンを作成してから）ゾーンのシーンやテーマを作成するためのコマンドを使用することで、１セットのゾーンを動的に相互にリンクすることができる。例えば、「朝」のゾーンシーンコマンドは、１つのアクションでベッドルーム、オフィスおよびキッチンのゾーンをともにリンクすることができる。この単一のコマンドを使用しない場合、ユーザは手動で個別に各ゾーンをリンクする必要がある。単一のコマンドには、マウスクリック、マウスのダブルクリック、ボタン押し、ジェスチャー又は他のいくつかのプログラムされたアクションが含まれてもよい。他の種類のゾーンシーンがプログラムされてもよい。

いくつかの実施形態では、ゾーンシーンは、時間に基づいて始動される（例えば、目覚まし時計機能）。例えば、ゾーンシーンを午前８時に適用するように設定することができる。システムは、適切なゾーンを自動的にリンクするとともに、再生する特定の曲を設定してから所定期間後に音楽を停止することができる。任意の特定のゾーンが時間に基づいて「オン」又は「オフ」の状態となるが、ゾーンシーンを用いることで、例えば、そのシーンにリンクされた全てのゾーンにおいて、特定の時および／又は期間にて所定のオーディオ（例えば、お気に入りの歌や所定のプレイリスト）を再生することができる。何らかの理由で、予定された音楽が再生されなかった場合には（例えば、空のプレイリスト、共有への接続なし、ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ（ＵＰｎＰ）なし、インターネットラジオステーションへのインターネット接続なし）、バックアップブザーが鳴るようにプログラムすることもできる。ブザーは、例えば、ゾーンプレーヤーに記憶されたサウンドファイルを含んでもよい。

Ｖ．配置方向（オリエンテーション）に基づいた音の整形
いくつかの実施形態では、オーディオデータストリームが、１つ以上のスピーカードライバを有する再生デバイスによって取得され（又は、再生デバイスが１つ以上のスピーカードライバに接続され、又は再生デバイスが１つ以上のスピーカードライバを含むとともに１つ以上のスピーカードライバに接続され）、再生デバイスの配置方向、特にスピーカーの配置が決定されるとともに、その配置方向に基づいて再生デバイスによって音が再生される。

図６Ａは、内蔵アンプとスピーカー６０２とを備えるゾーンプレーヤー６００の例を示している。ゾーンプレーヤー６００は、第１の配置方向にて示されている。説明の便宜上、本明細書では第１の配置方向を「水平配置方向」とするが、図６Ａに示すゾーンプレーヤー６００の配置方向に対して、他の名称を付けてもよい。

図６Ｂは、第１の配置方向とは異なる第２の配置方向にあるゾーンプレーヤー６００の例を示している。説明の便宜上、本明細書では第２の配置方向を「垂直配置方向」とするが、図６Ｂに示すゾーンプレーヤー６００の配置方向に対して他の名称を付けてもよい。

ゾーンプレーヤー６００の配置方向に基づいて、ゾーンプレーヤー６００で再生される音を異なるように整形することができる。例えば、各スピーカードライバから出力される音は、配置方向に応じて異なる周波数範囲、チャネル、又はこれらの両方を再現するように構成されてもよい。別の例では、ゾーンプレーヤー６００内の複数のスピーカー６０２から出力される音が、水平位置である横向配置にある場合にはステレオであり、垂直位置である縦向配置にある場合にはモノラルであるようにすることもできる。これにより、ゾーンプレーヤー６００から出力される音の最適化を促進することができる。さらに、これにより、ゾーンプレーヤー６００から出力される音のカスタマイズを行うことができる。

第１の例示的な実施形態では、ステレオ信号が第１の配置方向に基づいて複数のスピーカーによって再生され、モノラル信号は第２の配置方向に基づいて複数のスピーカーによって再生される。図６Ａ、６Ｂに示されるゾーンプレーヤー６００を使用して、ステレオ信号を水平配置方向にあるゾーンプレーヤーで再生することができる。すなわち、左チャネルのオーディオを左スピーカー６０４に送るとともに、右チャネルのオーディオを右スピーカー６０６に送るようにしてもよい。モノラル信号はツィーター６０８に送るようにしてもよい。ゾーンプレーヤー６００がその配置方向から特に９０度回転されると（すなわち、垂直配置方向になると）、音響特性が変化する。例えば、ステレオ音声の代わりに、モノラル信号が、左右のスピーカー６０４、６０６の両方から再生される。

第２の例示的な実施形態では、スピーカードライバは、第１の配置方向に基づいて、モノラル信号と、右チャネル又は左チャネルのいずれかの信号とを再生し、第２の配置方向に基づいて、モノラル信号のみを再生する。同様に、水平配置方向にあるゾーンプレーヤー６００を使用して、左スピーカー６０４は、閾値周波数以上（２００Ｈｚ以上など）にて左チャネルのオーディオを再生し、閾値周波数以下にてモノラル信号を再生してもよい。同様に、右スピーカー６０６は、閾値周波数以上にて右チャネルのオーディオを再生し、閾値周波数以下にてモノラル信号を再生してもよい。垂直配置方向においては、左右のスピーカー６０４、６０６は、モノラル信号を再生するが、独立した左右のチャネルを再生しないようにしてもよい。ツイーター６０８は、両方の配置方向においてモノラル信号を再生してもよいが、周波数範囲は配置方向に基づいて変更されてもよい。

第３の例示的な実施形態では、スピーカードライバは、第１の配置方向に基づいて周波数の第１の範囲を再生し、第２の配置方向に基づいて周波数の第２の範囲を再生する。例として、ツイーター６０８を使用して、水平配置方向にあるツイーター６０８は、７．５ｋＨｚ以上の周波数を再生し、垂直配置方向にあるツイーター６０８は、３ｋＨｚ以上の周波数を再生してもよい。ツィーター６０８の周波数応答が変化すると、左右のスピーカー６０４、６０８は、周波数範囲が可聴範囲に入るように調整してもよい。

第４の例示的な実施形態では、再生デバイスは、ディスプレイを含まない。したがって、いくつかの実施形態において、再生デバイスはディスプレイを含み、そのような再生デバイスの例としては、テレビ、タブレットコンピュータ（例えば、アップル社のｉＰＡｄ（商標）やＭｉｃｒｏｓｏｆｔ Ｗｉｎｄｏｗｓ（商標）ベースのタブレット）、又はスマートフォン・デバイス（例えば、アップル社のｉＰｈｏｎｅ（商標）やｉＴｏｕｃｈ（商標））がある。第５の例示的な実施形態では、再生デバイスは、ラウドスピーカーシステムなどのオーディオ専用デバイスである。ゾーンプレーヤー６００は、ディスプレイを含まないオーディオ専用デバイスである再生デバイスの一例である。

さらに、スピーカー装置はゾーンプレーヤーに接続してもよいが、（例えば、図２Ｂ、２Cに示すように）互いに物理的に分離している。このような構成であっても、スピーカー装置から出力される音声は、その配置方向に基づいて整形することができる。このように、音声の整形に関連して本明細書に記載された実施形態は、内蔵スピーカーを有する再生デバイスに限定されるものではない。

いくつかの実施形態では、音声は、再生デバイスの配置方向および再生デバイスが別の再生デバイスとペアリングされている（組み合わされている）かどうかに基づいて、再生デバイスによって再生される。いくつかの例では、配置方向は、ペアリングに優先するように構成されてもよく、音声は、その配置方向に基づいて再生される。いくつかの例において、ペアリングは、配置方向に優先するように構成されてもよく、音声はそのペアリングに基づいて再生される。いくつかの実施形態では、音声は、再生デバイスの配置方向と、再生デバイスのペアリング、グルーピング（グループ化）および統合のいずれかとに基づいて再生される。

例として、図６Ａに示すゾーンプレーヤー６００を用いて説明すると、ステレオ信号は、水平配置方向にあるゾーンプレーヤー６００によって再生されてもよい。ゾーンプレーヤー６００が別のゾーンプレーヤーにペアリングされている場合、例えば、そのゾーンプレーヤー６００は、ペアリングされていることおよび水平配置方向にあることを決定して、出力する音声を変更する。特に、ゾーンプレーヤー６００がステレオペアにある左スピーカーであれば、例えば、ゾーンプレーヤー６００から左チャネルのオーディオが再生される。左スピーカー６０４は１セットの周波数にて処理し、右スピーカー６０６は別セットの周波数にて処理してもよい。

いくつかの実施形態では、音声は、異なる再生デバイスの配置方向に基づいて、再生デバイスによって再生される。例えば、再生デバイスＡおよび再生デバイスＢがペアリングされ、その２つの再生デバイスが特定の全体的な音声を再生するようにしてもよい。いくつかの例では、再生Ａからの音声は、再生デバイスＢの配置方向に基づく。いくつかの例では、再生デバイスＢからの音は、再生デバイスＡの配置方向に基づく。いくつかの例では、全体的な音声は、再生デバイスＡ、Ｂの両方の配置方向に基づく。

図１に戻ると、ファミリールームは、２つのゾーンプレーヤー１０６、１０８を示す。ゾーンプレーヤー１０６、１０８は、互いの配置方向に応答するように構成されてもよい。例えば、ゾーンプレーヤー１０６から出力される音声は、ゾーンプレーヤー１０８の配置方向に基づいてもよい。同様に、ゾーンプレーヤー１０８から出力される音声は、ゾーンプレーヤー１０６の配置方向に基づいてもよい。このように、ゾーンプレーヤー１０６、１０８の両方から出力される音声が、カスタマイズ可能である。

いくつかの実施形態では、オーディオデータストリームが１つ以上のスピーカードライバを有する再生デバイスによって取得され、再生デバイスの配置方向が決定され、その配置方向に基づいて音声が再生デバイスによって再生される。いくつかの実施形態では、オーディオデータストリームは、再生デバイスによってその配置方向に基づいて修正される。いくつかの実施形態では、オーディオデータストリームは、再生デバイスによって取得される前に修正されるが、その修正は配置方向に基づく。

いくつかの実施形態では、再生デバイスは、特定の方向を向いた１つ以上のスピーカードライバを含む。いくつかの例では、再生デバイスの配置方向は、その正面に対して垂直な軸の周りの回転に基づく。すなわち、１つ以上のスピーカードライバは回転にかかわらず、特定の方向を向いている。この種の回転の例は、図６Ａ、６Ｂに示されている。

いくつかの実施形態では、１つ以上のスピーカードライバは、デバイスの配置方向に基づいて自動的にオン、オフされる。ドライバを電気的にオフにする又はドライバが有効にオフされるようにスピーカードライバをミュートすることによって、スピーカードライバはオフされる。

いくつかの実施形態では、再生デバイスは、デバイスの配置方向に基づいて影響される特性を持った唯一のスピーカードライバを有する。

いくつかの実施形態では、再生のための音声の整形および関連するスピーカードライバの構成が、再生デバイスに関連するソフトウェアへの変更又は更新により提供される。一例では、再生デバイスは、加速度計又は自動的に配置方向を決定する類似のタイプのハードウェアデバイスを含むようにしてもよいが、含まない場合は、コントローラ（又は再生デバイス自体のボタンのような他の入力機構）を介した配置方向の入力に基づいて音声を整形するソフトウェアにて構成されてもよい。これは特に、ソフトウェアのアップグレードを受信可能であり（ただし、新たな再生デバイスはソフトウェアのアップグレードを必要としないかもしれないがこの技術から利益を得る可能性もある）、音声の整形の少なくともいくつかの能力を有するが、自動的に配置方向を計算する加速度計やハードウェアを含まないような再生デバイスに有用である。このように、スピーカーの配置方向に応じた音声の整形を可能とすることで、ソフトウェアのアップグレードにより、再生デバイスのハードウェア機能を変更することができる。

いくつかの実施形態では、配置方向は、加速度計や他のハードウェアデバイスを介して決定される。いくつかの実施形態では、配置方向は、コントローラ又は再生デバイス自体のボタンのような他の入力機構を介してユーザの入力に基づいて決定される。これは、加速度計又は配置方向の測定（reading）を行う類似のハードウェアを含まない新たな再生デバイス（又は音声整形のソフトウェアのアップグレードを受信可能な既存の再生デバイス）に有用である。いくつかの実施形態では、配置方向は、再生デバイスによって、加速度計の測定値を分析するか、又はユーザの入力を受信するかのいずれかにより決定される。いくつかの実施形態では、インジケータ（例えば、コントローラおよび／又は再生デバイスのユーザインタフェース上にあるもの）は、再生デバイスの配置方向をユーザに表示する。インジケータには、光、テキスト表示、グラフィック、又は再生デバイスの配置方向をユーザに示す他の任意の記号が含まれてもよい。

例えば、再生デバイスは、配置方向に基づいて構成を変更する機能を最初から備えていなくてもよいが、ソフトウェアのアップグレードによりその機能をデバイスに追加することもできる。いくつかの実施形態では、再生デバイスを通じて再生される周波数が、別の再生デバイスの配置方向、ゾーングループ、又はその両方に基づいて変更されてもよい。

いくつかの実施形態では、再生デバイスは、加速度計や配置方向を識別するための他のセンサや機構を含むが、音声の整形のみを行ってもよい。ソフトウェアの更新又はアップグレードを行うことで、再生デバイスの音声整形能力を向上させることができる。

いくつかの例では、再生デバイスの配置方向は、正面（又は「正面」と指定される前面）に平行な軸を中心に回転した位置に基づく。この種の回転の例は図７Ａ、７Ｂに示されている。このように、回転により、１つ以上のスピーカードライバは、特定の方向とは異なる方向を向いてもよい。図７Ａにおいて、ゾーンプレーヤー７００は概して、リスナーに向けられている。回転により、図７Ｂに示すように、ゾーンプレーヤー７００は概して、リスナーから離れるように向けられている。なお、付加的なスピーカードライバをゾーンプレーヤー７００に組み込んで、少なくとも１つのスピーカードライバが配置方向に関係なく常にリスナーを向くようにしてもよい。その場合、特定の周波数がリスナーに向いたスピーカーに送られ（指向性周波数）、特定の周波数はリスナーに向いていないスピーカーに送られるようにしてもよい（非指向周波数）。

いくつかの例では、再生デバイスの配置方向は、複数の軸を中心に回転させて決めてもよい。すなわち、再生デバイスは、２つ以上の軸を中心に回転するようにしてもよい。再生デバイス又は他の再生デバイスからの音声出力が特定の回転に基づいてもよい。

図８は、ある実施形態におけるゾーンプレーヤー８０２の機能ブロック図の例を示している。図８の機能ブロック図は、図４のゾーンプレーヤー４００の機能ブロック図と類似するものであり、さらにセンサモジュール８００を含む。これにより、参照符号の多くは図面間で共有される。

いくつかの実施形態では、センサモジュール８０２は、ゾーンプレーヤー８００がどのような配置方向にあるか、特にスピーカードライバがどのような配置方向にあるかを検知する加速度計を備えている。いくつかの実施形態では、加速度計装置は３軸加速度計である。配置方向に基づいて、ゾーンプレーヤー８００又は別のゾーンプレーヤー（これらの音声はゾーンプレーヤー８００の配置方向に依存する可能性がある）からの音声出力を整形してもよい。

いくつかの実施形態では、他の種類のセンサを用いて、ゾーンプレーヤー８００の位置及び配置方向を検出することができる。例えば、センサを用いて、床、壁および天井のうちのいずれかに対するスピーカーの位置を決定してもよい。この情報は、例えば、部屋の中にいるリスナーに対するスピーカーの高さを決定するために用いられ、又は壁や角からのスピーカーの距離を決定するために用いられ、またこの情報に基づいて、１つ以上の再生デバイスのオーディオ特性を決定してもよい。例えば、１つの再生デバイスのオーディオ特性が決定され、あるいは、ローカルエリア内の多くの異なる再生デバイスのうちのいずれかのオーディオ特性が決定されて、その配置方向に基づいて、音声環境を最適化するようにしてもよい。

図９は、あるプロセスを表現したフロー図の例を示し、そのプロセスは、例えば、ゾーンプレーヤーおよび／又は他の再生デバイスの配置方向に基づくオーディオ信号処理のために使用可能なコンピュータ可読命令を用いて実施することができる。図９の例示的なプロセスは、プロセッサ、コントローラおよび／又は他の任意の適切な処理デバイスを用いて実施することができる。例えば、図９の例示的なプロセスは、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ（ＲＯＭ）および／又はランダムアクセスメモリ（ＲＡＭ）などの有形コンピュータ可読媒体に保存されたコード化された命令（例えば、コンピュータ可読命令）を使用して実施されてもよい。本明細書で使用されるように、有形コンピュータ可読媒体との用語は、任意の種類のコンピュータ可読ストレージを含むが、伝播信号（propagating signal）は除外するように明示的に定義される。追加的又は代替的に、図９の例示的なプロセスは、非一時的（non-transitory）コンピュータ可読媒体に保存されたコード化された命令（例えば、コンピュータ可読命令）を用いて実施されてもよい。非一時的コンピュータ可読媒体には、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ（ＲＯＭ）、ランダムアクセスメモリ（ＲＡＭ）、キャッシュ、又は、情報が任意の持続時間（例えば、長期間、永久、短期間、一時的バッファリングおよび／又は情報のキャッシング）で保存されている任意の他の保存媒体などがある。本明細書で使用するように、非一時的コンピュータ可読媒体は、任意の種類のコンピュータ可読媒体を含むが、伝搬信号は除外するように明示的に定義される。

あるいは、図９の例示的なプロセスの一部又は全部は、特定用途向け集積回路（ASIC(s)）、プログラマブルロジックデバイス（PLD(s)）、フィールドプログラマブルロジックデバイス（FPLD(s)）、個別論理（discrete logic）、ハードウェア、ファームウェアなどのあらゆる組み合わせを用いて実施されてもよい。また、図９の例示的なプロセスの一部又は全部が、手動により、又は例えばファームウェア、ソフトウェア、個別論理および／又はハードウェアなどの前述の技術の任意の組み合わせとして実施することができる。さらに、図９の例示的なプロセスは図９のフロー図を参照して説明されるが、図９のプロセスを実施する他の方法を用いてもよい。例えば、ブロックの実行順序を変更してもよく、および／又は、記載されるブロックのいくつかを変更、削除、再分割又は結合してもよい。さらに、図９の例示的なプロセスのいずれか又は全てを、例えば別々の処理スレッド、プロセッサ、デバイス、個別論理、回路などにより、連続しておよび／又は平行して実施してもよい。

図９は、ゾーンプレーヤーの配置方向に基づいてオーディオ信号を処理するための例示的な方法９００を示すフローチャートである。方法９００は、配置方向の変化に対応するように反復的に行われてもよい。さらに、方法９００は、センサモジュール８００によって検知されるゾーンプレーヤーの回転について説明されるが、回転が手動で入力される場合や、高さや他の物理的なオフセットが行われる場合にも、方法９００は同様に適用可能である。方法９００は、図８のゾーンプレーヤーと組み合わせて理解することができるため、ここでの説明においては、図８を参照することで、例示的な方法の実施形態をより容易に理解できるようにしている。

方法９００は、ゾーンプレーヤー４００の配置方向を決定することにより、ブロック９０２で開始する。ブロック９０２は、ゾーンプレーヤー４００がＯＮされるとき、ゾーンプレーヤー４００がオーディオ再生の準備をしたとき、特定の時間間隔が満了したとき、又は他のプログラムされた開始ポイントにて、開始されてもよい。開始ポイントにかかわらず、ゾーンプレーヤー４００の配置方向を検知するために、特に、音声を提供するスピーカーレイの配置方向を検出するために、センサモジュール８００が動作される。実施に応じて、センサモジュール８００は、センサ信号又は１セットのセンサ信号を出力してもよい。センサ信号はプロセッサ４０８に提供されてもよい。このプロセッサ４０８は、信号に基づいて配置方向を決定するように構成されるとともに、その配置方向データをオーディオ処理のためにオーディオ処理コンポーネント４１２に提供する。

いくつかの実施形態によれば、オーディオがゾーンプレーヤー４００の配置方向に基づいてゾーンプレーヤー４００から上流で処理される場合、又はゾーンプレーヤー４００の配置方向がグループのオーディオ整形のための他の接続されたゾーンプレーヤーにとって重要である場合には、プロセッサ４０８は、ブロック９０２から配置方向データを、ネットワークインタフェース４０２を介して別のデバイス又はゾーンプレーヤーに提供する。いくつかの実施形態では、オーディオがゾーンプレーヤー４００から上流で処理されるときなどの場合には、オーディオ処理コンポーネント４１２は、配置方向に基づいて任意の付加的なオーディオ処理を行わなくてもよい。

ブロック９０４において、オーディオは配置方向に基づいて構成されるとともに、適切なスピーカーにルーティングされる。いくつかの実施形態では、オーディオは、例えば、オーディオ処理コンポーネント４１２を介して、ゾーンプレーヤー４００自体によって構成される。いくつかの実施形態では、オーディオは、ゾーンプレーヤー４００から上流で構成されている。構成されたオーディオは、再生のためにゾーンプレーヤー４００に送られる。いくつかの実施形態では、オーディオは、ゾーンプレーヤー４００の少なくとも２つの状態（配置方向と、ゾーンプレーヤーがペアリング、グループ化又は１つ以上の付加的なゾーンプレーヤーと統合されているかどうか）に基づいて構成され、ルーティングされる。ブロック９０６において、オーディオは１つ以上のプレーヤーから再生される。

ＶＩ．配置方向に基づくイコライゼーション
いくつかの実施形態において、再生デバイスに配置される配置方向センサを用いて、検知された再生デバイスの配置方向に基づく異なるイコライーション（ＥＱ）設定を行う。例えば、再生デバイスは、垂直配置方向、水平配置方向、又は別の角度配置方向を有する場合がある。再生デバイスは、例えば、完全に平らに置かれないことがあり、その代わりに水平配置方向又は垂直配置方向として扱われるべきわずかな角度にて配置される場合がある。水平配置方向と垂直配置方向はそれぞれ、再生デバイスの出力用ＥＱ設定のための異なる基準に関連している。

加速度計（例えば、Freescale MMA7660加速度計）などの配置方向センサを用いて、音響ノイズなどの環境状態にある再生デバイスの配置方向や、温度変化および製造変化のうちの少なくとも１つに基づいた許容誤差（tolerance）の変化を受けている再生デバイスを決定してもよい。

ある実施形態では、再生デバイスの配置方向に基づいて、異なるイコライザとステレオ設定が適用される。例えば、非ステレオペア環境（non-stereo pair environment）で動作しているときに、垂直ユニットはモノラルの音声を提供するが、水平ユニットはステレオの音声を提供する。動作中において、配置方向センサは、イコライザに配置方向値を提供する処理アルゴリズムとともに動作する。

ある実施例では、ピッチ、ロール、ヨーを用いて配置方向が定義される。ロールピッチ角度は、再生デバイスのフロントグリルの「面」を参照して（例えば、該グリルの中央における接線で形成された面を参照して）測定されてもよい。例えば、ユニットが壁に組み込まれる場合の適した位置とは、ユニットの正面がユーザに最も見やすい位置にある場合であり、この場合は、再生デバイスの設置角度が重要となる。

ある実施例では、加速度計は、加速度計の軸がグリル面と並ぶ又はグリル面に直交するようにして、再生デバイスに搭載されている。一例では、再生デバイスがテーブルトップにある場合に、ピッチ角度は（これは例示する目的のためのみであるが）、水平位置に対して―５．５度であり、垂直位置に対して−１３度である。

ある実施例では、（例えば、２つの有効な配置方向の間の）ヒステリシスおよび特定の配置方向への解決（resolution）を用いて配置方向を決定してもよい。配置方向検知状態機械（orientation sensing state-machine）において、配置方向が決定できない場合には、垂直配置方向をデフォルトの状態とする。よって、再生デバイスが起動又は再起動されたものの、実際の配置方向を決定できない場合には、垂直配置方向が報告される。実施を容易に行うために、全く未知の「領域」（ピッチ及びロールの関数として）が、ヒステリシスの領域として設けられる。これにより、図１０に示すように、配置方向決定状態機械を提供する。

図１０の例では、条件「Ｖ」は、加速度計が検知アルゴリズムとともに垂直配置方向を示す条件（例えば、ロール、ピッチ）を表す。条件「Ｈ」は、水平配置方向が示される条件を表す。Ｖが当てはまるとともにＨが当てはまるというロールおよびピッチの条件は重複しない。Ｖ又はＨのいずれかがわずかに当てはまるという条件下では、配置方向を他の状態に戻すべきではない。すなわち、加速度計が垂直配置方向を登録するまで、ユニットが水平配置方向から「ロールされる（rolled）」と、ユニットはその後、温度変化やコンテンツ再生の下でも水平配置方向を登録しない。

ある実施例では、加速度計は、許容誤差に影響を与える変数によって影響を受ける。結果的に、許容誤差の懸念および動作温度変化の観点で明確な水平配置方向又は垂直配置方向を得られるロール、ピッチの組み合わせは制限される。

図１１は、基準水平配置方向に基づく配置方向決定の４つの領域を示す。図１１のグラフは、基準水平配置方向（例えば、垂直グリル面および水平グリルの長辺）に対するピッチとロールの大部分の組み合わせの配置方向検知で生じうる応答を示す。図１１は、特定の配置方向にて定義された４つの領域を示す。例示的な図表１１００は第１のエリア１１１０を示し、第１のエリア１１０においては、配置方向センサは、ピッチとロールの関連する角度に対して水平配置方向を示す。第２の領域１１２０は、ピッチとロールの選択された角度を示し、ここでは、配置方向センサによって垂直配置方向に戻される。第３の領域１１３０に示されるピッチとロールの角度においては、配置方向センサは、水平配置方向に戻す場合がある。第４の領域１１４０は、配置方向センサが垂直配置方向又は未知の配置方向に戻すが、水平配置方向には戻さないピッチとロールの角度を示している。

図１２は、ロールとピッチの変化の組み合わせを変化させることで生成される未知の配置方向領域の例を示している。図１２の例は、水平配置方向が明確であるロールとピッチの組合せのうち最も小さなもの（例えば、許容誤差スタックアップ（tolerance stackup）によるもの）のプロット１２００を示す。最小のロールとピッチの組み合わせは線１２１０で示されている。つまり、所定のピッチ角度において、データライン１２１０より下の全てのロール角度は水平配置方向の決定を行う。許容誤差スタックアップもまた、垂直配置方向を得られるロールとピッチの最も大きな対応する組み合わせを提供する。垂直配置方向を得られるロールとピッチの最大の組み合わせは、線１２２０で示されている。所定のピッチ角度において、線１２２０より上にあるロール値は垂直配置方向を得られる。２つの線１２１０、１２２０の間の隙間は、この許容誤差スタックアップのヒステリシスを示す。

ある例では、配置方向検知が音響振動によって（例えば、重力の加速度を超える付加的な加速度として現れる機械的ストレスを通じて）悪影響を受けないようにするために、元の加速度値にフィルタリングが行われる。フィルタリングによって、配置方向の変化に対する応答時間が増加する。さらに、ある実施例においては、重いノイズ下（例えば、壁掛けが不十分）での頻繁な配置方向変化を低減又は防止するために、配置方向変化を所定の期間内に限定してもよい（例えば、３０秒に１回に限定する）。

ある実施例では、アルゴリズムを用いて、前後のピッチを含む全ての合理的な配置方向での所望の配置方向指標（水平又は垂直）を決定してもよい。例えば、ワープキャビネットを有する再生デバイスは、加速度計を用いて防止されるべき振動や誤った配置方向変化を生じさせる場合がある。上述したように、加速度計は、加速度計のＺ軸が実質的に垂直となるようにして、再生デバイスに水平配置方向に搭載される。Ｙ軸は加速度計の前後に延びる一方で、Ｘ軸は加速度計の左右に延びる。例示的な加速度計の軸は、図１３の垂直テーブルトップ位置における線画表示で示されている。

ある実施例では、再生デバイスの１つ以上の実装面に実装されたプリント回路基板（ＰＣＢ）を介して電気が付与される。しかし、ある例では、１つ以上のプリント回路基板（ＰＣＢ）は、再生デバイスの実装面に平行（又は垂直）に実装されず、むしろ、水平配置方向の場合には水平配置方向に対して５．５度傾斜し、垂直配置方向の場合には水平配置方向に対して１３度傾斜する。

再生デバイスの傾斜した又はオフセットした配置方向に基づいて、オフセットを導入してもよい。さらに、振動およびシステムの非線形性は、例えば、直流（ＤＣ）オフセットのようなオフセットを導入することができる。このようなＤＣオフセットの効果を取り除くために使用される例示的な方法は、各サンプルのレビューのための次のルールを適用する：

ここで、Ｇは重力ベクトルを表し、Ｘ、ＹおよびＺは３つの軸を表す。すなわち、３つの軸のうちの任意のサンプルにおいて、結果的に得られる重力ベクトルは単一のＧと等しくなる。式１を適用することで、オフセットのベクトルを低減又は削除することができる。

オーディオノイズとＤＣオフセットを考慮して、再生デバイスは、利用可能なデータを処理して、ユーザの所望のピッチに基づき配置方向変更を行うことができる。ピッチは、配置方向とは独立したグリルの表面を横切る水平軸である。ピッチは、再生デバイスが通常のテーブルトップ配置方向から外れて使用されるときにファクタとなる。例えば、横向き又は縦向きに配置されて、壁に組み込まれたスピーカーユニットであって、聴取に適した平均的な高さよりも高い位置又は低い位置に組み込まれている場合、ピッチを前方向ピッチ（すなわち、下向状態の角度での配置）又はピッチを後方向ピッチ（すなわち、上向状態の角度での配置）にしてもよい。ある実施例では、ピッチが増加すると、再生デバイスによる解決能力を低下させる。

ある実施例において、それぞれの軸（例えば、Ｘ、Ｙ、Ｚ）の最小値と最大値の範囲を決定するために実験データが使用される。ライン１４１０は、ロール角度とピッチ角度に基づく垂直位置から水平への解決を示している。ライン１４２０は、ロール角度とピッチ角度に基づく垂直位置の変化から水平への解決を示している。図示されるように、例えば、図１４において、ピッチが増加するにつれて（例えば、図１４のグラフで水平配置方向に左右に移動すると）、点が移動して（例えば、水平配置方向から垂直配置方向に移動して）、ロール角度が配置方向の答えを生成しない位置まで移動する。

ある実施例では、図１５に示すように、再生デバイス１５４０に対してＸ軸１５１０、Ｙ軸１５２０およびＺ軸１５３０が定義される。ｘ、ｙおよびｚを使用して、配置方向決定を行うために以下の式を適用する。垂直配置方向への移行時には：

水平配置方向への移行時には：

式２、３において、ｍは、極端なピッチ値の場合であっても（例えば、ｙが１に非常に近い）、移行の信頼性を高める、又は信頼性の低い移行を防止するような一般的なヒステリシスとノイズレベルを定義する。ｎは、より規範的な配置方向（例えば、付加的なピッチのない非常に小さなｙ）の間を移動するようなより使用性の高いヒステリシス移動を提供するために使用される。

式２、３は、配置方向をグラフィックに示す角度を表すオイラー角とともに使用される。オイラー角を用いて、例えば、定義された軸の周りにおける３つのユニットの回転を求めることによって、３配置方向に移動したオブジェクトの最終的な相対的な配置方向を求めることができる。オイラー角は、基準となるフレーム（例えば、座標系）からの回転組成として、オブジェクトの空間的な配置方向を表すために使用することができる。以下では、固定システムは小文字（ｘ、ｙ、ｚ）で示され、回転システムは大文字（Χ、Ｙ、Ζ）で示される。

基準となるフレームおよびオブジェクト又は配置方向が示される他のフレームが与えられると、ｘｙおよびＸＹの座標系平面の交点として、ノード（ｎ）のラインが定義される（例えば、ｚ軸とＺ軸の両方に対して垂直な直線）。このとき、そのオイラー角は、次のように定義することができる：αは、ｘ軸とノードのラインとの間の角度、β（又はθ）は、ｚ軸とＺ軸との間の角度、γ（又はΨ）は、ノードのラインとＸ軸との間の角度。

我々のケースでは、ピッチ角度が与えられた場合において、ロール角度の限界を見つけるためにこの方法を適用している。これは、２つのオイラー角行列の積の結果である。

Ｄ= [cos(φ) sin(φ) 0]
[-sin(φ) cos(φ) 0]
[0 0 1]
Ｃ= [1 0 0]
[0 cos(θ) sin(θ)]
[0 -sin(θ) cos(θ)]
Ｃ*Ｄ= [cos(φ) sin(φ) 0]
[-cos(θ)sin(φ) cos(θ)cos(φ) sin(θ)]
[sin(θ)sin(φ) -sin(θ)cos(φ) cos(θ)]

この式を用いて、φがピッチ（Ｚ軸周りの回転）に等しくなり、θがロール（Ｙ軸周りの回転）に等しくなる角速度を求める。

垂直配置方向に移行するには、次の式を使用する：

式４を用いることで、図１６に示される使用可能範囲となる。図１６に示されるように、変化するロールおよびピッチ角度を、再生デバイスが水平配置方向１６１０又は垂直配置方向１６２０を有しているかどうかを決定するために使用することができる。−７５度から７５度までのピッチ角度を分析すると、垂直モードは、例えば、ゼロ（０）度から３５度までのロール角度に見出すことができる。水平モードは、例えば、５５度から９０度までのロール角度に見出すことができる。

ＶＩＩ．分散型同期グループ
いくつかの実施形態では、１つ以上の再生デバイスが分散ネットワークにて動作することで、１つ以上の同期グループによる１つ以上の交換可能なマスタ−スレーブ関係を促進する。分散型のネットワーク、通信および制御モデルを用いることで、再生デバイスがリスナーにコンテンツを出力しない場合でも、その再生デバイスはそのコンテンツを別の再生デバイスに提供することができる。さらに、再生デバイスは、ある時点ではマスタデバイス又はマスタ制御として機能するとともに、別の時点ではマスタデバイスとして機能する他のデバイスから命令（例えば、コンテンツおよび／又は同期化）を受信してもよい。

図１７は、分散型の通信、構成および制御構造に従って動作するネットワークオーディオシステム１０の例を示す。図１７の例を参照すると、ネットワークオーディオシステム１０は、ローカルネットワーク１２に相互接続された複数のゾーンプレーヤー１１（１）―１１（Ｎ）（通常、符号１１（ｎ）で示される）を備え、これらは全て、通常は参照符号１３によって示される１つ以上のユーザインタフェースモジュールの制御下で動作する。ゾーンプレーヤー１１（ｎ）は、上述した再生デバイスと同一又は類似であってもよい。ゾーンプレーヤー１１（ｎ）の１つ以上が、１つ以上のオーディオ情報ソースと１つ以上のオーディオ再現デバイスに接続されてもよい。オーディオ情報ソースは通常、参照符号１４（ｎ）（ｓ）で示され、オーディオ再現デバイスは通常、参照符号１５（ｎ）（ｒ）で示される。参照符号１４（ｎ）（ｓ）に関して、インデックス「ｎ」は、オーディオ情報ソースが接続されているゾーンプレーヤー１１（ｎ）のインデックス「ｎ」を意味し、インデックス「ｓ」（１からＳｎ）は、「ｎ番目」のゾーンプレーヤー１１（ｎ）に接続された「Ｓ番目」のオーディオ情報ソースを意味する。これより、例えば、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）が４つのオーディオ情報ソース１１（ｎ）（１）―（ｎ）（４）に接続される場合、これらのオーディオ情報ソースは通常、Ｓｎ＝４の参照符号１４（ｎ）（ｓ）で示される。オーディオ情報ソースＳｎの数は、各種ゾーンプレーヤー１１（ｎ）の間で変化してもよく、いくつかのゾーンプレーヤーは接続されるオーディオ情報ソースを有しない。

同様に、参照符号１５（ｎ）（ｒ）に関して、インデックス「ｎ」は、オーディオ再現デバイスが接続されているゾーンプレーヤー１１（ｎ）のインデックス「ｎ」を意味し、インデックス「ｒ」（１からＲｎ）は、ｎ番目のゾーンプレーヤー１１（ｎ）に接続される「ｒ番目」のオーディオ情報ソースを意味する。オーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）に加えて、ネットワークオーディオシステム１０は、適切なネットワークインタフェースデバイス（別々には図示せず）を介してローカルネットワーク１２に接続された１つ以上のオーディオ情報ソース１６（１）―１６（ｍ）を備えてもよい。また、ローカルネットワーク１２は、ローカルネットワーク１２を他のネットワークに接続するように構成される１つ以上のネットワークインタフェースデバイスを備えてもよく、ここでの他のネットワークには、インターネットなどの広域ネットワーク、公衆電話交換回線網（ＰＳＴＮ）、あるいはオーディオ情報ソースへの接続が確立されるその他のネットワークが含まれる。

システム１０に関連するゾーンプレーヤー１１（ｎ）は、住居、オフィスビル、ホテル、会議場、競技場若しくは講堂、又は他の種類の施設に配置されてもよい。例えば、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）並びにそれに関連するオーディオ情報ソースおよび／又はオーディオ再現デバイスが住居に配置される場合、１つをリビングルームに配置し、別の１つをキッチンに配置し、さらに別の１つをダイニングルームに配置し、さらに別のものを各ベッドルームに配置することで、それらの部屋に選択的に娯楽を提供することができる。ある実施例では、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）の適用場所は重要ではなく、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）は、ビル、乗り物、屋外を含む各種の場所又は環境にて使用することができる。

一方、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）並びにそれに関連するオーディオ情報ソースおよび／又はオーディオ再現デバイスがオフィスビルに配置される場合、例えば、それぞれのオフィスに１つ配置されることで、各オフィスの従業員に選択的にエンターテインメントを提供してもよい。一方、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）並びにそれに関連するオーディオ情報ソースおよび／又はオーディオ再現デバイスがホテルに配置される場合、例えば、それらを複数の部屋に配置することで、利用客にエンターテインメントを提供してもよい。同様の配置は、競技場や講堂で使用されるゾーンプレーヤー１１（ｎ）並びにそれに関連するオーディオ情報ソースおよび／又はオーディオ再生デバイスでも使用することができる。他の種類の環境におけるその他の構成も当業者には明らかである。それぞれの場合において、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）を用いて、例えば、各位置に選択的にエンターテインメントを提供してもよい。

オーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）、１６（ｍ）は、例えば、コンパクトディスク（「ＣＤ」）プレーヤー、ＡＭおよび／又はＦＭラジオ受信機、アナログ又はデジタルテープカセットプレーヤー、アナログレコードのターンテーブルなどを含む、任意の従来のオーディオ情報ソースであってもよい。また、オーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）、１６（ｍ）は、パーソナルコンピュータやパーソナルデジタルアシスタント（ＰＤＡ）に記憶されたデジタルオーディオファイル、又は揮発式若しくは不揮発式でデジタル情報を格納可能な同様のデバイスに記憶されたデジタルオーディオファイルを含んでもよい。上述のように、ローカルネットワーク１２は、ネットワークオーディオシステム１０がオーディオ情報を得ることができる広域ネットワークへのインタフェースを有してもよい。また、オーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）の１つ以上は、インターネットなどの広域ネットワーク、公衆交換電話網（ＰＳＴＮ）、又はその他のオーディオ情報ソースへのインタフェースを含んでもよい。また、オーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）、１６（ｍ）の１つ以上は、例えば、衛星で配信されるラジオサービスへのインタフェースを含んでもよい。広域ネットワークを介して取得したオーディオ情報は、インターネットラジオなどのストリーミングデジタルオーディオ情報、サーバに保存されたデジタルオーディオファイル、および他の種類のオーディオ情報およびオーディオ情報ソースを含んでもよい。

一般的に、オーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）、１６（ｍ）は、オーディオプログラムに関連したオーディオ情報を再生のためにゾーンプレーヤーに提供する。オーディオ情報ソース１４ （ｎ）（ｓ）からオーディオ情報を受信したゾーンプレーヤーは、再生タイミング情報にしたがって、そのオーディオ情報をローカルネットワーク１２を介して他のゾーンプレーヤーに再生および／又は転送することができる。同様に、ゾーンプレーヤーに直接的に接続されていない各オーディオ情報ソース１６（ｍ）は、オーディオ情報を、ネットワーク１２を介して再生のために任意のゾーンプレーヤー１１（ｎ）に送信してもよい。

また、各ゾーンプレーヤー１１（ｎ）は、接続されたオーディオ情報ソース（ｎ）（ｓ）又はオーディオ情報ソース１６（ｍ）のいずれかから受信したオーディオ情報を、再生のために、他のゾーンプレーヤー１１（ｎ‘）、１１（ｎ‘‘）、・・（ｎはｎ‘とｎ‘‘と異なる）のうちの選択されたものに送信してもよい。ゾーンプレーヤー１１（ｎ）によって再生のためにオーディオ情報が送信される他のゾーンプレーヤー１１（ｎ‘）、１１（ｎ‘‘）、・・は、ユーザインタフェースモジュール１３を用いたユーザによって選択されてもよい。その操作において、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）は、ネットワーク１２を介して、選択したゾーンプレーヤー１１（ｎ‘）、１１（ｎ‘‘）、・・にオーディオ情報を送信する。ゾーンプレーヤー１１（ｎ‘）、１１（ｎ‘‘）がオーディオプログラムの再生をゾーンプレーヤー１１（ｎ）による再生と同期化することで、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）、１１（ｎ‘）、１１（ｎ‘‘）は、同じオーディオプログラムを同じ時間に提供するように動作する。

ユーザインタフェースモジュール１３を用いるユーザは、ゾーンプレーヤーの異なるグループ又はセットにおいて、異なるオーディオプログラムのオーディオ再生を同期化することができる。例えば、ユーザインタフェースモジュール１３を用いるユーザは、ゾーンプレーヤー１１（１）、１１（２）に、例えば、１つのゾーンプレーヤー１１（１）によって提供される１つのオーディオプログラムおよびオーディオ情報を再生させることもできる。同一の又は異なるユーザインタフェースモジュール１３を用いる同一の又は異なるユーザは、ゾーンプレーヤー１１（４）、１１（５）に、オーディオ情報ソース１４（５）（２）などの第２のオーディオ情報ソースによって提供される別のオーディオプログラムおよびオーディオ情報を同時に再生させることもできる。さらに、ユーザは、ゾーンプレーヤー１１（３）に、オーディオ情報ソース１６（１）などのさらに別のオーディオ情報ソースによって提供されるさらに別のオーディオプログラムおよびオーディオ情報を同時に再生させることもできる。さらに別の可能性として、ユーザは、ゾーンプレーヤー１１（１）に、オーディオ情報ソース１４（１）（２）などのオーディオ情報ソースからのオーディオ情報を、再生のためにゾーンプレーヤー１１（６）などの別のゾーンプレーヤーに同時に提供させることもできる。

以下において、「同期グループ」との用語は、同一のオーディオプログラムを同期して再生する１つ以上のゾーンプレーヤーによる集合を指すために使用される。これより、上記の例では、ゾーンプレーヤー１１（１）、１１（２）は１つの同期グループを構成し、ゾーンプレーヤー１１（３）は第２の同期グループを構成し、ゾーンプレーヤー１１（４）、１１（５）は第３の同期グループを構成し、ゾーンプレーヤー１１（６）は第４の同期グループを構成する。このように、ゾーンプレーヤー１１（１）、１１（２）は同一のオーディオプログラムを再生しつつ、それを同期化して再生する。同様に、ゾーンプレーヤー１１（４）、１１（５）は同一のオーディオプログラムを再生しつつ、それを同期化して再生する。一方で、別のオーディオプログラムを再生しているゾーンプレーヤーが無関係なタイミングでそれを行ってもよい。すなわち、例えば、ゾーンプレーヤー１１（１）、１１（２）がオーディオプログラムを再生するタイミングは、ゾーンプレーヤー１１（３）、１１（４）、１１（５）がオーディオプログラムを再生するタイミングとは無関係であってもよい。なお、「同期グループ」は、同一のオーディオプログラムを同期して再生しているゾーンプレーヤーの集合を指すために使用されるので、ゾーンプレーヤー１１（１）がそのオーディオプログラム用のオーディオ情報をゾーンプレーヤー１１（６）に提供している場合であっても、ゾーンプレーヤー１１（１）はゾーンプレーヤー１１（６）の同期グループの一部ではない。

ネットワークオーディオシステム１０においては、同期グループは固定されていない。ユーザは、同期グループを動的に確立および修正することができる。上記の例に続いて、ユーザは、ゾーンプレーヤー１１（１）に、オーディオ情報ソース１４（１）（１）によって提供されるオーディオプログラムの再生の提供を開始させ、続いてゾーンプレーヤー１１（２）をその同期グループに参加可能とすることができる。

同様に、ユーザは、ゾーンプレーヤー１１（５）に、オーディオ情報ソース１４（５）（２）によって提供されるオーディオプログラムの再生を開始させるとともに、続いてゾーンプレーヤー１１（４）をその同期グループに参加させることができる。さらに、ユーザは、ゾーンプレーヤーに、同期グループを離れて別の同期グループに参加させることができる。例えば、ユーザは、ゾーンプレーヤー１１（２）にゾーンプレーヤー１１（１）との同期グループを離れて、ゾーンプレーヤー１１（６）との同期グループに参加させることができる。別の例として、ユーザは、ゾーンプレーヤー１１（１）にゾーンプレーヤー１１（２）との同期グループを離れて、ゾーンプレーヤー１１（６）との同期グループに参加させることができる。この例に関連して、ゾーンプレーヤー１１（１）は、オーディオ情報ソース１４（１）（１）からのオーディオ情報を再生のためにゾーンプレーヤー１１（２）に提供し続けてもよい。

ユーザインタフェースモジュール１３を使用するユーザは、ある同期グループのメンバーではないゾーンプレーヤー１１（ｎ）を同期グループに参加させてもよく、これにより、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）は、その同期グループによって再生されているオーディオプログラムを再生することができる。同様に、ユーザインタフェースモジュール１３を使用するユーザは、１つの同期グループのメンバーであるゾーンプレーヤー１１（ｎ）をその同期グループから離脱させ、別の同期グループに参加させてもよく、これにより、そのゾーンプレーヤーはその別の同期グループに関連するオーディオプログラムを再生する。

例えば、ゾーンプレーヤー１１（６）がどの同期グループのメンバーでもない場合、ユーザインタフェースモジュール１３の制御の下において、ゾーンプレーヤー１１（６）は、同期グループのメンバーになってもよく、これにより、その同期グループの他のメンバーによって再生されているオーディオプログラムをそのメンバーと同期して再生する。同期グループのメンバーになる際に、ゾーンプレーヤー１１（６）は、その同期グループのメンバーになることを希望していることをその同期グループのマスターデバイスであるゾーンプレーヤーに通知してもよく、これにより、そのゾーンプレーヤーは、タイミング情報とともにオーディオプログラムに関連するオーディオ情報をゾーンプレーヤー１１（６）に送信する。ゾーンプレーヤー１１（６）がマスターデバイスからオーディオ情報とタイミング情報を受信すると、そのタイミング情報が示すタイミングにてそのオーディオ情報を再生することにより、ゾーンプレーヤー１１（６）はその同期グループの他のゾーンプレーヤーと同期してそのオーディオプログラムを再生する。

同様に、ユーザインタフェースモジュール１３を用いるユーザが、ある同期グループに関連するゾーンプレーヤー１１（ｎ）にその同期グループから離脱させるとともに、そのゾーンプレーヤー１１（ｎ）がその同期グループのマスタデバイスでない場合には、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）はマスタデバイスに通知してもよく、これにより、マスタデバイスは、そのゾーンプレーヤーへのオーディオ情報およびタイミング情報の送信を終了してもよい。ユーザが、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）に、それに接続されるオーディオ情報ソース１４（ｎ）からのオーディオ情報を使用して別のオーディオプログラムの再生を開始させる場合、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）はオーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）からのオーディオ情報を取得するとともに、それの再生を開始する。ユーザが、別のゾーンプレーヤー１１（ｎ‘）をゾーンプレーヤー１１（ｎ）に関連する同期グループに参加させる場合、直前に記載したように、それらに関連する動作を開始してもよい。

別の例では、ユーザインタフェースモジュール１３を用いるユーザが、ある同期グループに関連するゾーンプレーヤー１１（ｎ）をその同期グループから離脱させて、別の同期グループに参加させるとともに、そのゾーンプレーヤーが離脱しようとする同期グループのマスタデバイスでない場合には、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）は離脱しようとする同期グループのマスタデバイスに通知してもよく、これにより、そのゾーンプレーヤーは、離脱しようとするゾーンプレーヤーへのオーディオ情報およびタイミング情報の送信を終了する。

同時に、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）は、参加している同期グループ（すなわち、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）が参加している同期グループ）のマスタデバイスに通知してもよく、これにより、マスタデバイスは、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）へのオーディオ情報およびタイミング情報の送信を開始する。その後、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）は、そのオーディオ情報によって定義されるオーディオプログラムの再生をそのタイミング情報にしたがって開始して、マスタデバイスと同期してそのオーディオプログラムを再生することができる。

別の例として、ユーザインタフェースモジュール１３を使用するユーザは、ある同期グループに関連付けられていないゾーンプレーヤー１１（ｎ）に、オーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）によって提供されるオーディオ情報を用いてオーディオプログラムの再生を開始させてもよい。その場合、ユーザインタフェースモジュール１３を用いるユーザ又はオーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）に特有のユーザインタフェースデバイスを用いるユーザは、オーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）にゾーンプレーヤー１１（ｎ）へオーディオ情報を提供させてもよい。ゾーンプレーヤー１１（ｎ）が再生を開始した後、又はそれと同時に、ユーザインタフェースモジュール１３を使用するユーザは、他のゾーンプレーヤー１１（ｎ‘）、１１（ｎ’‘）、・・を、ゾーンプレーヤー１１（ｎ）の同期グループに参加させるとともに、ゾーンプレーヤー（ｎ）に上述のようにオーディオ情報およびタイミング情報を送信させてもよく、これにより、他のゾーンプレーヤー１１（ｎ‘）、１１（ｎ’‘）、・・によるオーディオプログラムの同期再生を促進することができる。ユーザはユーザインタフェースモジュール１３を用いて、ネットワークシステム１０の他の側面を制御してもよく、それには、特定のゾーンプレーヤー１１（ｎ）が利用しようとするオーディオ情報ソース１４（ｎ）の選択や、オーディオ再生の音量などが挙げられる。さらに、ユーザはユーザインタフェースモジュール１３を用いて、オーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）のオン、オフを行うとともに、オーディオ情報ソース１４（ｎ）（ｓ）に各ゾーンプレーヤー１１（ｎ）へオーディオ情報を提供させてもよい。

ＶＩＩＩ．結論
本明細書に記載の例示的な実施形態は、スピーカーの配置方向に基づいて、ある環境における音声を整形する多数の方法を提供する。例えば、周波数やチャネルを特定のスピーカードライバにルーティングすることにより、音声を整形することができる。別の例では、ゾーンプレーヤーが１つ以上の付加的なゾーンプレーヤーとペアリングされ、グループ化され又は統合されているかどうかなどの他の状態を考慮することによって、音声をさらに整形することができる。さらに別の例では、ゾーンプレーヤーの集合による全体的な環境における音声を、その集合における１つ以上のゾーンプレーヤーの配置方向に基づいて整形することができる。例示的な実施形態による技術は、電動式の車両、ボート、飛行機および屋外など、音声の正確な再現が望まれる任意の場所において使用可能である。

前述したシステムのコンポーネント、要素、および／または機能は、例えば、ハードウェア、ファームウェアにおいておよび／またはソフトウェアの指令のセットとして様々な形態で、単独または組み合わせて実装することができる。いくつかの実施形態は、コントローラおよび／または再生デバイスなどの処理デバイス上で実行される、メモリ、ハードディスク、ＣＤ−ＲＯＭ、ＤＶＤ、および／またはＥＰＲＯＭなどのコンピュータ可読媒体上に常駐する指令の１セットとして提供されてもよい。

様々な発明が、ある程度の具体性を持って十分に詳細に記載されている。本開示の実施形態は、例示の目的のみで作られることと、部品の配置および組み合わせにおいて多くの変更が、特許請求の範囲に記載された発明の精神および範囲から逸脱しないように行われてもよいことが、当業者に理解される。本明細書に記載された実施形態は、情報単位の提示に関していくつかの制限を含むように見えるかもしれないが、形式または配置の点で、実施形態は、そのような実施形態をはるかに超えて適用可能であり、当業者によって理解される。したがって、本発明の範囲は、上記した実施形態よりむしろ添付された特許請求の範囲によって定義される。

Claims (16)

1. 再生デバイスの向きに基づいて再生デバイスによる音声出力を調整する方法であって、
   再生デバイスが、少なくとも第１の回転軸および第２の回転軸に対する第１の向きを有していることを決定するステップ、ここで、第１の回転軸は第２の回転軸に直交するものである、
   第１の向きに基づいて、再生デバイスにおける複数のスピーカーのうちの少なくとも１つのスピーカーに、オーディオデータストリームの第１の周波数帯あるいは第１のイコライゼーション設定のいずれかを出力させるステップ、
   再生デバイスが、少なくとも第１の回転軸および第２の回転軸に対する第２の向きを有していることを決定するステップ、
   第２の向きに基づいて、再生デバイスにおける複数のスピーカーのうちの少なくとも１つのスピーカーに、オーディオデータストリームの第２の周波数帯あるいは第２のイコライゼーション設定のいずれかを出力させるステップ、
   を含み、
   再生デバイスは第１の再生デバイスであり、第２の再生デバイスと同期してオーディオを再生するように第２の再生デバイスとペアリングされており、
   少なくとも部分的に第１の再生デバイスの向きに基づいて、第２の再生デバイスによるオーディオ出力を修正するステップ、
   をさらに含む、方法。
2. 第２の再生デバイスによるオーディオ出力はさらに、第２の再生デバイスの向きに基づくものである、請求項１に記載の方法。
3. 再生デバイスの向きは、再生デバイスの向きを検知する少なくとも１つのセンサによって決定される、請求項１又は２に記載の方法。
4. 少なくとも１つのセンサは、３つの軸に対する再生デバイスの向きを検知する加速度計である、請求項３に記載の方法。
5. 再生デバイスの向きは、コントローラ（３００、５００）へのユーザ入力による、再生デバイス（４００）の向きに対応するインジケーションに基づいて決定され、ここで、コントローラ（３００、５００）は、有線ネットワークおよび無線ネットワークのうちの少なくとも１つであるデータネットワーク（１２８）を介して再生デバイス（４００）と通信する、請求項１又は２に記載の方法。
6. 再生デバイスの向きは、再生デバイス（４００）上の入力メカニズムへのユーザ入力による、再生デバイス（４００）の向きに対応するインジケーションに基づいて決定される、請求項１又は２に記載の方法。
7. 第１の軸は、再生デバイスの前面に平行であり、第２の軸は、再生デバイスの前面に垂直である、請求項１から６のいずれか１つに記載の方法。
8. 決定された再生デバイスの向きを、有線ネットワークおよび無線ネットワークのうちの少なくとも１つであるデータネットワーク（１２８）を介して再生デバイス（４００）と通信する第２のデバイスへ提供するステップ、
   決定された再生デバイスの向きに基づいて処理されたオーディオストリームを受信するステップ、
   をさらに含む、請求項１から７のいずれか１つに記載の方法。
9. 再生デバイスは、第１の向きおよび第２の向きのときに第１のイコライゼーション設定および第２のイコライゼーション設定をそれぞれ出力し、
   再生デバイスが第１の向き又は第２の向きを有することを決定するステップは、互いに直交する３つの回転軸に対する再生デバイスの向きに基づいて、再生デバイスが鉛直の向き又は水平の向きにあることを決定するステップを含む、請求項１から８のいずれか１つに記載の方法。
10. 再生デバイスは、第１の向きおよび第２の向きのときに第１の周波数帯および第２の周波数帯をそれぞれ出力し、
    第１の周波数帯は、閾値周波数よりも高い周波数であり、第２の周波数帯は、当該閾値周波数よりも低い周波数である、請求項１から８のいずれか１つに記載の方法。
11. 決定された第１の向き又は第２の向きと、決定された再生デバイスの状態とに基づいて、第１の周波数帯、第２の周波数帯、第１のイコライゼーション設定、第２のイコライゼーション設定のいずれかを選択するステップ、
    をさらに含み、
    再生デバイスの状態は、以下のうちのいずれかである、
    少なくとも１つの付加的再生デバイスとのペアリング状態、少なくとも１つの付加的再生デバイスとの非ペアリング状態、少なくとも１つの付加的再生デバイスとのグループ化状態、少なくとも１つの付加的再生デバイスとの非グループ化状態、
    請求項１から１０のいずれか１つに記載の方法。
12. ネットワークインタフェース、
    複数のスピーカードライバ、
    請求項１から１１のいずれか１つに記載の方法を実行するプロセッサ、
    を備える、再生デバイス。
13. 互いに直交する少なくとも２つの回転軸に対する再生デバイスの回転位置を決定する少なくとも１つの配向センサをさらに備える、請求項１２に記載の再生デバイス。
14. 請求項１２又は１３に記載の第１の再生デバイス、
    第１の再生デバイスと同期してオーディオを再生するように第１の再生デバイスとペアリングされた第２の再生デバイス、
    を備える、システム。
15. 請求項１から１１のいずれか１つに記載の方法をプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラム。
16. プロセッサによって実行可能な命令を記憶したコンピュータ読み取り可能媒体であって、当該命令はプロセッサによって実行されたときに、請求項１から１１のいずれか１つに記載の方法を実行させる、コンピュータ読み取り可能媒体。

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