JP4237724B2 - アンテナシステム、及び放送受信装置 - Google Patents

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Description

この発明は、アンテナシステム、放送受信装置に関し、一例として、VHF帯以上の無線伝送に用いられる平面アンテナ及び上記平面アンテナを搭載した放送受信装置に関する。
(第1の従来例)
第1の従来例として、従来技術に係わる室内アンテナは、特許文献1(特開昭64−67009号公報)では、図12に示すようなTV(テレビジョン受像機)の室内アンテナ200が提案されている。このTVの室内アンテナ200は、テレビジョン受像機もしくはテレビジョン受像機の周囲に配置され、VHF帯乃至UHF帯の地上放送に対応している。この室内アンテナ200の基本構成は、UHF帯のループアンテナ201、およびロッドアンテナ202aと202bとで構成される。また、例えば、感度切り替え等のスイッチ(図示せず)等も有している。
(第2の従来例)
また、第2の従来例としては、図13に示すような、携帯TV受像機や液晶TV受像機210に固定搭載され、TV受像機210と一体となっているロッドアンテナ203が有る。このロッドアンテナ203は、回転機能および伸縮機能を有している。
上記第2,第3の従来例のような室内アンテナ200やロッドアンテナ203を有する小型TV受像機210は、既に製品化され広く使用されている。
ところで、図12に示す第1の従来例の室内アンテナ200では、次の2つの課題を有している。
1.この室内アンテナ200は、TV受像機に対して、外付けであり、奥行きが大きいので、フラットパネルで構成された液晶TV受像機や携帯TV受像機の上面に設置できないことから、他の場所に置く必要があり、余分な場所(スペース)を占有していた。
2.この室内アンテナ200は、ループアンテナ201、ロッドアンテナ202a,202bの向きや、感度調整スイッチ等で視聴しているチャンネルごとに最適な画質に調整する必要があった。
また、図13に示す第2従来例のロッドアンテナ203では、下記のような課題があった。
1.視聴するチャンネルに応じて、ロッドアンテナ203の長さ(共振長)を変えたり、方向等を調整する必要があり、通常、ロッドアンテナ203で受信した地上波のTV信号では、良好な映像特性を得ることが困難であるという問題があった。
2.加えて、ロッドアンテナ203は、周囲のものにぶつかったり、折れたり、本体自体が倒れたりして、使い難いという問題があった。
特開昭64−67009号公報
そこで、この発明の課題は、省スペースで、かつ、調整不要である上に、高感度で広指向性のアンテナシステム及び放送受信装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のアンテナシステムは、アンテナ装置本体と、このアンテナ装置本体が取り付けられるフラットパネル型放送受信機の筐体と上記アンテナ装置本体とが接さないようにするスペーサとを備えると共に上記放送受信機に対して着脱可能であり、かつ、上記放送受信機から取り外して部屋の窓側に取り付け可能な平面アンテナ装置であり、
上記アンテナ装置本体は、
上記筐体の上面部に配置され、
絶縁体と、
この絶縁体に形成されると共にライン状または平面状の導体で構成された放射素子と、
上記放射素子に接続された給電端子とを備え、
上記スペーサには、上記給電端子に接続された平衡不平衡変換器が収容されている平面アンテナ装置を備え、
さらに、上記フラットパネル型放送受信機の筐体の内側の金属板と、上記筐体の両外側面部に配置されるスパイラル状信号導体とを含むスパイラル型アンテナ装置を備えていることを特徴としている。
この発明のアンテナシステムの上記平面アンテナ装置によれば、絶縁体上にライン状または平面状の導体で構成された放射素子を備えることによって、放送受信装置の筐体部のスペースに搭載可能であるため、凹凸が少なく省スペースで、かつ、長さ等の調整が不要である上に、高感度で広指向性のアンテナ装置となる。
また、一実施形態のアンテナシステムは、上記平面アンテナ装置の上記放射素子は、上記平衡不平衡変換器を経由して同軸線路に接続されている。
この実施形態のアンテナシステムの上記平面アンテナ装置によれば、上記平衡不平衡変換器によって、平衡給電される。したがって、不平衡電流を防止し、アンテナ特性を理想動作に近づけることができ、さらに、特性ばらつきも小さくすることができる。
また、一実施形態のアンテナシステムでは、上記平面アンテナ装置の上記導体は信号導体であり、
上記平面アンテナ装置の上記絶縁体は絶縁性基板であり、
上記平面アンテナ装置の上記放射素子は、
上記信号導体に加えて、
上記絶縁性基板に形成されると共にライン状または平面状の導体で構成された接地導体を有し、
上記放射素子が有する信号導体は、上記同軸線路に接続されている。
この実施形態のアンテナシステムによれば、信号導体だけでなく、接地導体もライン状または平面状の導体で形成されているので、平衡不平衡変換を必要としない。したがって、TV端子等の同軸構造のアンテナ端子と直接に接続することが可能である。
また、一実施形態のアンテナシステムでは、上記平面アンテナ装置の上記放射素子は上記絶縁体の両面に設けられており、
上記平面アンテナ装置の上記絶縁体の両面に設けられた上記放射素子が有するライン状または平面状の導体は、複数のビアホールによって接続されている。
この実施形態のアンテナシステムによれば、絶縁性基板等の絶縁体の両面に導体で形成した放射素子を形成し、また、この絶縁体の表面と裏面とを貫通する複数のビアホールを形成し、このビアホール内の導体でもって、絶縁体の表面に形成された放射素子と裏面に形成された放射素子とが電気的に接続されている。絶縁体の表裏の両面に放射素子を形成し、それらを動作波長の1/4波長よりも十分に短い間隔で複数のビアホールで接続することで、アンテナ放射導体としての表面積を増大でき、その結果、周波数帯域幅を広くすることができる。また、理想ダイポールアンテナの指向特性に近づけることが可能となる。
また、この発明のアンテナシステムのスパイラル型アンテナ装置は、スパイラル形状の信号導体を含む。
このアンテナシステムのスパイラル型アンテナ装置によれば、信号導体がスパイラル形状であり、すなわち渦巻き状の構造であるので、円偏波の信号を受信でき、垂直偏波および水平偏波の信号が受信可能になる。しかも、渦巻く形状の信号導体によって、共振長を略連続的に変えることができるので、小型で、広い帯域特性を得ることができる。
また、一参考例のアンテナ装置は、上記放射素子が有する上記導体は、メアンダ形状の信号導体である。
この参考例のアンテナ装置によれば、上記信号導体がメアンダ形状(迂曲形状)の導体であるので、このメアンダ形状の信号導体における相対向する略平行な2本の線路では、信号方向は互いに反対となり、つまり、奇モードとなる。これにより、上記2本の線路間の結合の影響が小さくなり、電波が絶縁性基板上に蓄積することがなく、放射し易くなる。しかも、垂直偏波および水平偏波の信号も受信可能になる。さらには、共振長を略連続的に変化させることができるので、広い帯域特性を得ることができる。
また、一参考例のアンテナ装置では、上記放射素子は、コプレーナ線路またはマイクロストリップ線路を含む給電線路を有する。
この参考例のアンテナ装置によれば、上記放射素子は、コプレーナ線路またはマイクロストリップ線路を含む給電線路であるので、接地導体がマイクロストリップ線路またはコプレーナ線路である。したがって、インピーダンス制御が容易であり、接地導体の長さ方向を一例としてフラットパネル型ディスプレイの周辺部の長さ方向に沿わして放射素子を構成できる。したがって、フラットパネル型ディスプレイの画面の周辺部で効率の良いアンテナ装置を構成することが可能となる。
また、一参考例のアンテナ装置では、上記放射素子は、地板付きコプレーナ線路を含む給電線路である。
この参考例のアンテナ装置によれば、上記放射素子は、地板付きコプレーナ線路を含む給電線路であるので、インピーダンス制御が容易であり、接地導体の長さ方向を、一例としてフラットパネル型ディスプレイの周辺部の長さ方向に沿わして構成できる。したがって、フラットパネル型ディスプレイの画面の周辺部で効率の良いアンテナ装置を構成することが可能となるだけでなく、給電回路からの不要放射をより低減することが可能となる。
また、この発明のアンテナ装置では、アンテナ装置本体と、このアンテナ装置本体が取り付けられる放送受信機の筐体と上記アンテナ装置本体とが接さないようにするスペーサとを備える。
この発明のアンテナ装置によれば、上記スペーサーを有することで、アンテナ装置本体は、放送受信機の筐体の影響(筐体から伝わってくる雑音の影響)を直接に受けることがなく、良好な特性を得ることができる。
また、一実施形態のアンテナシステムでは、上記アンテナ装置を複数備え、上記複数のアンテナ装置それぞれの給電端子の後に接続された増幅器と、この増幅器への供給バイアスのオンとオフを切り替える制御部とを備えた。
この実施形態のアンテナシステムによれば、給電部の直後に増幅器が接続されているので、放射素子と増幅器との間で不要な反射の影響が少なく、雑音特性に優れた高い感度のアンテナ装置を小型に構成できる。しかも、各増幅器への供給バイアスをオンオフして切り替えることによって、各アンテナ装置のアイソレーションを高く保った状態で、複数のアンテナ装置をオンオフ制御することが可能となる。したがって、より感度の高く、指向特性の広いアンテナシステムを構成することが可能となる。
また、一実施形態の放送受信装置では、上記アンテナシステムを備える。
この実施形態の放送受信装置によれば、省スペースで小型の平面アンテナ装置または該複数の平面アンテナから構成されて制御されるアンテナシステムを備えるので、高感度で広指向性で、かつ広帯域のアンテナ特性を有している。よって、凹凸感が無いと共に、アンテナの向きや長さの調整が不要の、使い勝手のよい放送受信装置を実現可能となる。
この発明のアンテナシステムによれば、絶縁性基板等の絶縁体上に形成されると共にライン状または平面状の導体膜等の導体で構成された信号導体を有する放射素子を備えるという構成によって、省スペースで、かつ、調整不要である上に、高感度で広指向性のアンテナ装置を実現できる。
したがって、このアンテナシステムは、従来のTVアンテナとは異なり、小型平面アンテナとすることができ、液晶TV受像機や携帯TV受像機に内蔵することが可能となり、余分なスペースを必要とせず、TV受像機本体から突出することがなく、チャンネル毎に共振長や方向を調整する必要がなく、高感度で広指向性の小型アンテナシステムを実現できる。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1の参考例)
この発明の第1参考例としての放送受信装置の一例として、液晶モニタ100を説明する。図1(A)には、この液晶モニタ100を前面側から見た様子を示し、図1(B)に上記液晶モニタ100を背面側から見た様子を示す。なお、液晶モニタ100に替えて、プラズマディスプレイとしてもよく、液晶TV受像機やプラズマTV受像機であってもよい。
上記液晶モニタ100は、ディスプレイ部1とこのディスプレイ部1を支持する固定脚2を備える。上記ディスプレイ部1は、画面1Aと画面1Aの周辺部50、および画面1Aの背面部9を有する。この周辺部50は、前面部50aと側面部50bを有する。前面部50aには、画面1Aの両脇にスピーカ部3が配置されている。
また、この周辺部50の前面部50aには、上記スピーカ部3の上側に上下に延在している平面アンテナ装置4a−1,4a−1が配置されている。また、この前面部50aには、左右に延在している平面アンテナ装置4a−2,4a−2が配置されている。また、上記周辺部50の側面部50bには、上記平面アンテナ装置4a−1と隣り合う箇所に、平面アンテナ装置4b−1が配置されている。また、この側面部50bには、上記平面アンテナ装置4a−2と隣り合う箇所に、平面アンテナ装置4b−2が配置されている。
また、2つの平面アンテナ装置4bの間には、選局・映像切り替え制御スイッチ6が配置されている。この制御スイッチ6は電源スイッチを含む。
一方、図1(B)に示すように、背面部9の4隅のうちの上側の2隅には、2つの平面アンテナ装置4c−1と2つの平面アンテナ装置4c−2とが配置されている。この平面アンテナ装置4c−1は上下に延在しており、平面アンテナ装置4c−2は左右に延在している。
上記平面アンテナ装置4a−1,4a−2,4b−1,4b−2,4c−1,4c−2は、それぞれ、この発明のアンテナ装置の実施形態をなすものである。
上記ディスプレイ部1の周辺部50および背面部9は、一例として、プラスチックや樹脂製の絶縁物で構成されている。上記平面アンテナ装置4a−1〜4c−2は、上記絶縁物を絶縁性基板として構成されていてもよい。
なお、上記平面アンテナ装置4a−1,4a−2,4b−1,4b−2は、上記周辺部50の前面部50a,側面部50bのうちのスピーカ部3の金属部や制御スイッチ6等を除いた絶縁体で形成された部分に配置されている。
次に、図2を参照して、アンテナ部20と信号制御部29を有するアンテナシステムの構成を説明する。なお、図2では、符号4aでもって、上記平面アンテナ装置4a−1と平面アンテナ装置4a−2とで構成した平面アンテナ装置を示し、符号4bでもって、上記平面アンテナ装置4b−1と平面アンテナ装置4b−2とで構成した平面アンテナ装置を示した。
上記アンテナ部20は、上記平面アンテナ装置4aに接続された低雑音アンプ22aと、上記平面アンテナ装置4bに接続された低雑音アンプ22bとを備える。また、上記信号制御部29は、バンドパスフィルタ27a,27bと、このバンドパスフィルタ27a,27bに接続された分配器28a,28bと、この分配器28a,28bに接続された検波段23a,23bを有する。この検波段23a,23bは、比較器24の入力側に接続されている。この比較器24の出力側は、上記低雑音アンプ22a,22bに接続されている。
また、上記分配器28a,28bは、合成器25に接続されている。この合成器25と分配器28a,28bと検波段23a,23bと比較器24とバンドパスフィルタ27a,27bとが信号制御部29を構成している。上記合成器25は、TV受像機26のアンテナ端子に接続される。このTV受像機26は、例えば、上記液晶モニタ100を含むものであってもよく、プラズマディスプレイを含むものでもよい。
このアンテナ部20と信号制御部29で構成されるアンテナシステムでは、上記平面アンテナ装置4a,4bにより受信された信号は、それぞれ、上記アンテナ基板上に構成された低雑音アンプ22a,22bで増幅され、同軸ケーブルで信号制御部29に入力される。
上記信号制御部29は、比較器24が出力する制御信号によって、低雑音アンプ22a,22bへのDC供給電圧をオンオフさせることができる。より詳細には、アンテナ部20から信号制御部29に入力された2つの信号は、それぞれ、デジタル放送帯域に制限したバンドパスフィルタ27a,27bで濾波される。このバンドパスフィルタ27a,27bを通過した2つの信号は、それぞれ、分配器28a,28bでもって分配される。この分配器28a,28bで分配された一方の信号は、合成器25により合成され、TV受像機26のアンテナ端子に入力される。
なお、分配器28a,28bから分配された他方の信号は、検波段23a,23bに入力される。この検波段23a,23bは、検波器とローパスフィルタと低周波増幅器の機能を有し、それぞれの受信信号強度に応じたDC電圧を発生させる。検波段23a,23bが夫々出力するDC電圧は比較器24に入力され、比較器24は2つの上記DC電圧のレベルを比較して、オン信号またはオフ信号を生成して、低雑音アンプ22a,22bに出力する。これにより、低雑音アンプ22a,22bをオンオフさせる。
例えば、アンテナ装置4a側が、アンテナ装置4b側に比較して、受信信号出力が大きい場合、比較器24はアンテナ装置4a側のアンプ22aにオン信号を出力して、アンプ22aをオンさせる。このとき、比較器24は、アンテナ装置4b側にオフ信号を出力する。このように、信号制御部29は、比較器24が出力するオン信号、オフ信号によって、アンテナ基板上に構成されたアンプ22a,22bをオンオフ制御することで、アンテナ装置4aとアンテナ装置4bとを切り替える。
一方、従来では、TV受像機側のTVチューナから、特定の選局をした後の中間増幅部の検波出力信号を用いて、両アンテナ出力後のRFスイッチ回路をオン・オフさせる方式であった。
これに対し、図2のアンテナシステムによるアンテナ装置4aとアンテナ装置4bとの切替制御によれば、アンテナ装置4a,4b間のアイソレーションを大きくすることができる。また、RFスイッチの損失を伴わないのみならず、アンテナ基板上にアンプ22a,22bを直接に構成することによって、雑音の低減や不要反射を抑圧する効果もある。さらには、アンテナ部20から信号制御部29までの伝送損失を補償する効果も生ずる。
さらに、地上デジタル放送帯域は、470MHz帯〜692MHz帯にあり、従来のアナログ放送波470MHz〜770MHzの帯域に比較して、地上デジタル放送帯域では、各放送波は比較的まとまって存在する。
したがって、上述の図2に示すアンテナシステムでは、バンドパスフィルタ27a,27bによって、地上デジタル放送に帯域に帯域制限することができる。つまり、バンドパスフィルタ27a,27bでもって、隣接するアナログ放送波の信号や電子レンジや無線LAN、携帯電話等の不要電波を除去し抑圧することにより、デジタル放送帯域の信号で、検波段23a,23bを正常に駆動させて、デジタル放送帯域での受信信号特性を、より高感度に受信して選択することが可能となる。これにより、前述した従来のダイバーシティ制御のように、TV受像機側のTVチューナから、特定の放送波を選局した後の中間増幅部の検波出力信号を用いて、ダイバーシティ制御する場合に比較して、多出力を分配可能である。
したがって、図2に示す上記アンテナシステムは、フラットパネル型ディスプレイの近くに配置される(またはフラットパネル型ディスプレイを有するTV受像機に内蔵される)ハードディスク等の録画装置にも接続することが可能となり、異なったチャンネルの録画等も可能となる。
次に、図3を参照して、本発明のアンテナ装置の実施形態であるアンテナ装置4a−1もしくはアンテナ装置4a−2の一例としてのダイポール型アンテナ装置7の構造を説明する。なお、上記アンテナ装置4b−1,4b−2およびアンテナ装置4c−1,4c−2を上記ダイポール型アンテナ装置7で構成してもよい。
図3(A)およびその拡大図である図3(B)に示すように、このダイポール型アンテナ装置7は、誘電体基板等の絶縁性基板10と、この絶縁性基板10上に形成されたライン状導体膜30aおよびライン状導体膜30bを有する。ライン状導体膜30aとライン状導体膜30bとが放射素子30をなす。
このライン状導体膜30aとライン状導体膜30bは、給電端子33a,33bを介して平衡不平衡変換器12に接続されている。この平衡不平衡変換器12は同軸線路としての同軸ケーブル70に接続されている。
一例として、上記ライン状導体膜30a,30bは、それぞれ、線幅Wが4mmであり、金属膜厚が0.036mmの金属膜導体で構成され、中央の給電部をなす平衡不平衡変換器12から、先端部31aおよび先端部31bの端までの寸法は、略(1/4)λである。なお、ここで、受信周波数帯域幅の中心波長をλとしている。例えば、地上デジタル放送の場合、全国で、470MHz〜692MHzが使用されることが多く、中心周波数は581MHzとなる。従って、中心波長はλ=51.6cmで、約52cmである。
また、このダイポール型アンテナ装置7では、上記絶縁性基板10をフラットパネル型ディスプレイとは独立した絶縁性基板とし、一例として、厚さ0.7mmとした。また、放射素子30は、幅4mmで、全長は260mmで略λ/2であり、厚さは0.036mm程度である。つまり、放射素子30は、一方向に長い長方形状の小型薄層のアンテナ素子である。なお、この放射素子30は、樹脂等で形成されたフラットパネル型ディスプレイのキャビネット裏面等の絶縁性部を絶縁性基板として用い、この絶縁性部に上記放射素子30が直接形成されても構わない。この場合、このダイポール型アンテナ装置7では、給電部をなす平衡不平衡変換器12の直後に、図2に示す低雑音アンプ22a,22bを、一体に形成することも容易である。
また、このダイポール型アンテナ装置7は、導体棒等で構成されるダイポールアンテナとは異なり、薄い絶縁性基板10と、金属導体膜30a,30bからなる放射素子30で構成され、絶縁性膜で覆うことにより、突起することが無く、接着材、両面テープやマジックテープ(登録商標)等で容易に取り付けることができるというメリットがある。
なお、図3(C)に示すように、薄い絶縁性基板10の両面に上記金属膜で形成した放射素子(ダイポールアンテナ導体)30を形成することが望ましい。この絶縁性基板10の表面と裏面とを貫通する複数のビアホール60が形成され、このビアホール60内の導体でもって、絶縁性基板10の表面に形成された放射素子30と裏面に形成された放射素子30とが電気的かつ高周波的に接続される。このビアホール60の間隔は、動作波長の1/4波長より十分短い間隔で複数のビアホール60で接続することで、高周波的な放射素子30同士の接続が(略0Ωで)可能となり、アンテナ放射導体としての表面積を増大でき、その結果、周波数帯域幅を広くすることできるだけでなく、理想ダイポールアンテナの指向特性に近づけることが可能となる。このように、絶縁性基板10の表裏の両面にアンテナ放射素子30を形成することで、放射の表面積を増大できると共に周波数帯域幅を広くすることできるだけでなく、理想ダイポールアンテナの指向特性に近づけることが可能となる。
図1に示すように、このダイポール型アンテナ装置7で構成したアンテナ装置4a−1,4a−2は、ディスプレイ部1の周辺部50の前面部50aに取り付けられる。また、ダイポール型アンテナ装置7で構成したアンテナ装置4b−1,4b−2は、周辺部50の側面部50bに取り付けられる。
図1に示すように、フラットパネル型ディスプレイとしての液晶モニタ100のディスプレイ部1の周辺部50は、前面部50aと側面部50bとが両者の境界で立体的に屈曲している。したがって、周辺部50は、3次元的に配置され、周囲の空間(空気)に対して3次元的に接触しているので、前面部50aのアンテナ装置4a−1,4a−2と側面部50bのアンテナ装置4b−1,4b−2とによって、放射および受信指向性に優れたアンテナ装置を容易に構成できるというメリットが生ずる。また、ディスプレイ部1の周辺部50は、細長い枠状の前面部50aと側面部50bを有しているので、図3に示すダイポール型アンテナ装置7のライン状の放射素子30および長方形状の絶縁性基板10を容易に配置できる。
(第2の参考例)
次に、図4に、この発明の第2参考例としてのアンテナ装置を示す。このアンテナ装置は、折り返し型のダイポール型アンテナ装置17であり、誘電体基板等で構成される絶縁性基板11と、この絶縁性基板11上に形成された略ループ状の導体膜33を有する。この導体膜33が信号導体を構成し放射素子をなしている。この導体膜33の給電端子に中央給電部としての平衡不平衡変換器12が接続されている。この略ループ状の導体膜33は、図4に示すように、細長いループ状をなし、長手方向の両端部33a,33bにおいて略U字形状に折り返している。なお、図4では省略しているが、前述の図3に示すダイポール型アンテナ装置7と同様に、平衡不平衡変換器12には、同軸ケーブル70が接続されている。
図4(B)に示すように、この略ループ状の導体膜33は、一例として、線幅W30が2mmであり、対向する部分33Aと33Bとの間のギャップG39は6mmである。また、図4(A)に示すように、中央の平衡不平衡変換器12から長手方向の両端部33a,33bまでの距離を略(1/4)λとした。なお、ここで、受信周波数帯域幅の中心波長をλとしている。このダイポール型アンテナ装置17では、絶縁性基板11上に略ループ状の導体膜33をプリント印刷技術で形成できるから、線幅W30やギャップG39を精度良く形成できる。したがって、アンテナの特性インピーダンスのバラツキを抑えることができ、アンテナの特性インピーダンスを製造上略一定に保持できる。
なお、一例として、上記絶縁性基板11の幅は略12mmであり、絶縁性基板11の全長は略25cm程度で、厚さは0.7mmである。したがって、このダイポール型アンテナ装置17によれば、フラットパネル型ディスプレイとしての液晶モニタ100に内蔵可能な薄型小型アンテナを実現できる。
なお、図4(C)に示すように、薄い絶縁性基板11の両面に上記金属膜で形成した放射素子(略ループ状の導体膜)33を形成することが望ましい。この絶縁性基板11の表面と裏面とを貫通する複数のビアホール61が形成され、このビアホール61内の導体でもって、絶縁性基板11の表面に形成された放射素子33と裏面に形成された放射素子33とが電気的に接続される。このように、絶縁性基板11の表裏の両面にアンテナ放射素子33を形成することで、放射の表面積を増大でき、周波数帯域幅を広くすることでき、指向特性を向上させることが可能となる。
(第3の参考例)
次に、図5に、この発明の第3参考例としてのアンテナ装置を示す。このアンテナ装置は、平衡型のスパイラル形アンテナ装置8であり、誘電体基板等で構成される絶縁性基板14と、この絶縁性基板14上にスパイラル状(渦巻状)でメアンダ状(曲折状)に形成されたスパイラル/メアンダ状導体膜34を有する。このスパイラル/メアンダ状導体膜34は信号導体であり、放射素子をなす。この導体膜34の給電端子に給電部として平衡不平衡変換器12が接続されている。なお、図5では省略しているが、前述の図3に示すダイポール型アンテナ装置7と同様に、平衡不平衡変換器12には、同軸ケーブル70が接続されている。
図5(A)に示すように、このスパイラル/メアンダ状導体膜34は、端部34dで繋がった2本のひも状の線路34−1と34−2とが所定の間隔を隔てて対向した状態で、アンテナ端部34aおよび端部34cで曲折して180°折り返している。つまり、このスパイラル/メアンダ状導体膜34は、平衡不平衡変換器12から平行二線路の状態を保ちながら、全体として細長い渦巻き形状になっている。また、この実施形態では、導体膜34がなす平行二線路は、給電部12からアンテナ端部34a,34bまでの長手方向の最大長が略(1/4)λである。ここで、上記λは動作波長である。また、導体膜34がなす平行二線路は、渦巻き形状の内側に向かって、長手方向の長さが短くなっている。一方、上記導体膜34がなす平行二線路は、全長として上記波長λ以上の線路長を有している。つまり、上記導体膜34がなす平行二線路は、全長として略全長2λ以上の線路長を有している。
なお、一般的に、室内のUHF帯の電波伝搬環境では、送信局からの偏波モードの形態が保存されず、反射等の影響により偏波モードの形態が、水平偏波と垂直偏波とが混在した伝搬モードとなっている。これに対し、この実施形態のスパイラル/メアンダ状導体膜34を有する平衡型のスパイラル形アンテナ装置8によれば、水平偏波、垂直偏波、円偏波のいずれの偏波モードにも対応でき、マルチパスの多い室内環境において、受信特性が優れ、その上、周波数特性も優れているので、チャンネルによる受信特性の変動が小さいアンテナ装置を実現可能となる。

さらに、この参考例のスパイラル形アンテナ装置8が有する絶縁性基板14上の導体膜34は、プリント印刷技術で作製できるので、線路34−1および線路34−2の線幅や線路34−1と線路34−2との間のギャップを精度良く設定でき、特性バラツキが少なく、アンテナとしての放射インピーダンスを一定に保持できる。
また、この参考例では、一例として、絶縁性基板14の幅(短手方向の寸法)を略7mmとし、絶縁性基板14の全長を略120cm以上とし、絶縁性基板14の厚さを0.7mmとした。また、図5(B)に示すように、平行二線路をなす線路34−1と線路34−2の線幅W34を0.1mmとし、線路間のギャップG39を1mmとした。
なお、この第3参考例の変形例を図6に示す。この図6(A),(B)に示すアンテナ装置は、メアンダ形アンテナ装置18であり、メアンダ状導体膜35を有する。このメアンダ状導体膜35は信号導体であり、放射素子をなす。このメアンダ状導体膜35は給電端子に給電部として平衡不平衡変換器12が接続されている。
図6(A)に示すように、上記メアンダ状導体膜35は、端部35dで繋がった2本のひも状の線路35−1と35−2とが所定の間隔を隔てて対向した状態で、端部35aで曲折して折り返し、端部35cで端部35aとは逆方向に折り返している。したがって、このメアンダ状導体膜35は、2本の線路35−1,35−2が対向しつつ全体として蛇行した形状になっている。この変形例では、上記メアンダ状導体膜35が有する2本の線路35−1,35−2が全体として蛇行した形状になっている点が、前述の第3参考例と異なり、他の部分は前述の第3参考例と同様である。この変形例においても、前述の第3参考例と同様の効果を奏する。
(第4の参考例)
次に、図7に、この発明の第4参考例としてのアンテナ装置を示す。この第4参考例は、前述の第3参考例の変形例である。したがって、前述の第3参考例と同様の部分については同一の符号を付して説明を簡略化し、前述の第3参考例と異なる部分を主に説明する。
このアンテナ装置は、平衡型のスパイラル形アンテナ装置38であり、誘電体基板等で構成される絶縁性基板14上に形成された2つのスパイラル状導体膜36−1,36−2を有する。この2つのスパイラル状導体膜36−1,36−2は、信号導体であり放射素子を構成する。この2つのスパイラル状導体膜36−1,36−2は、それぞれ、先端開放部52a,52bを有している。
また、絶縁性基板14の長手方向の略中央位置に平衡不平衡変換器12が配置されている。上記2つのスパイラル状導体膜36−1,36−2は上記平衡不平衡変換器12に接続されている。なお、図7(A)では省略しているが、前述の図3に示すダイポール型アンテナ装置7と同様に、平衡不平衡変換器(給電部)12には、同軸ケーブル70が接続されている。
また、上記スパイラル状導体膜36−1は、平衡不平衡変換器12に関して長手方向の一方側に配置され、上記スパイラル状導体膜36−2は、平衡不平衡変換器12に関して長手方向の他方側に配置されている。このスパイラル状導体膜36−1,36−2は、それぞれ、X方向とY方向とにスパイラル形状に折れ曲がっていて、給電部12から端部36a,35bまでの最大長は(1/4λ)である。この最大長は(1/4λ)〜(1/8λ)の範囲で設定すればよい。また、このスパイラル形状における巻き形状は、全体として長方形乃至正方形とする。
また、図7(B)に示すように、一例として、上記スパイラル状導体膜36−1の線幅W36は0.5mmであり、線間隔G39は0.5mmである。また、上記スパイラル状導体膜36−1は、給電部12から先端開放部52aまでのトータル線路長を少なくとも1.0λ以上とした。
なお、上記スパイラル状導体膜36−1,36−2に替えて、図8に示す変形例のように、メアンダ状に折り返した形状のメアンダ状導体膜37−1,37−2を備えたメアンダ形アンテナ装置48としてもよい。このメアンダ形アンテナ装置48においても、給電部12から端部37a,37bまでの最大長は(1/4λ)である。この最大長は(1/4λ)〜(1/8λ)の範囲で設定すればよい。また、このメアンダ形状における蛇行形状は、全体として略台形状になっている。
また、図8(B)に示すように、一例として、上記スパイラル状導体膜37−1の線幅W37は0.5mmであり、線間隔G39は0.5mmである。また、上記スパイラル状導体膜37−1は、給電部12から先端開放部までのトータル線路長を少なくとも1.0λ以上とした。
尚、上記第1参考例におけるダイポール型アンテナ装置7、および第2参考例のダイポール型アンテナ装置17、第3参考例のスパイラル形アンテナ装置8、変形例のメアンダ形アンテナ装置18、第4参考例のスパイラル形アンテナ装置38、変形例のメアンダ形アンテナ装置48は、それぞれ、図1(A)および図1(B)に示した各平面アンテナ装置4a−1,4a−2,4b−1,4b−2,4c−1,4c−2を構成できる。
すなわち、上記各アンテナ装置7,17,8,18,38,48は、図1に示すフラットパネル型ディスプレイとしての液晶モニタ100の周辺部50の前面部50aや側面部50bさらには背面部9を構成しているキャビネットをなす絶縁性基板上に、直接にプリント印刷技術で細導体幅の線をパターン形成することで形成することが可能である。あるいは、上記各アンテナ装置7〜48は、フィルム上のテープで形成されていてもよい。さらに、上記各アンテナ装置7〜48は、上記フラットパネル型ディスプレイのキャビネットとは別体の誘電体基板上に、プリント印刷技術で細導体幅の線をパターン形成することで作製されていてもよい。この別体の誘電体基板上にプリント印刷技術作製する場合には、各アンテナ装置7〜48はマジックテープ(登録商標)等によりフラットパネル型ディスプレイから着脱可能な構成とすることも可能である。
特に、電波環境が悪く、フラットパネル型ディスプレイに上記各アンテナ装置7〜48を取り付けた状態では、受信できないとき、上記アンテナ装置7〜48をディスプレイから取り外して部屋の窓側に取り付けることもできる。これにより、フラットパネル型ディスプレイにアンテナを単純に搭載した場合に比べて、受信可能領域を広くすることが可能となる。
(第5の参考例)
次に、この発明の第5の参考例としてのアンテナシステムを説明する。このアンテナシステムは、図2に示したアンテナ部20と信号制御部29を備えたアンテナシステムの変形例であり、図2に示した信号制御部29と図2に示したアンテナ部20とは異なるアンテナ部とを有する。
すなわち、この第5参考例のアンテナシステムが有するアンテナ部は、図9に示すアンテナ装置90を有する。このアンテナ装置90は、絶縁性基板85上に形成された放射素子としてのスパイラル状の信号導体からなるアンテナ線路80とこのスパイラル状のアンテナ線路80に連なる直線状のアンテナ線路81を有する。このスパイラル状のアンテナ線路80は、スパイラル状に曲げられ、スパイラルの形状は正方形または長方形である。このスパイラル状のアンテナ線路80は、全体として長手方向の寸法LSをλ/4以下とし、短辺寸法LTを略λ/8とした。ここで、λは、動作周波数の中心周波数に対応する波長である。一方、アンテナ線路80のトータルの長さは1波長λよりも長い線路で、2波長以上の長い線路であることが望ましい。この参考例では、スパイラル状アンテナ線路80の幅W及びギャップGを、共に0.5mmとし、トータル線路長を略3λ以上としている。
また、直線状のアンテナ線路81の長さLGを略λ/4とした。上記直線状アンテナ線路81の両脇には所定間隙を隔てて長方形状の接地導体(コプレーナ線路)82が配置され、この接地導体82は図9(D)に示すように複数のビアホール60内の導体部を経由して裏面接地導体99に接続されている。この接地導体82の長手方向の長さLGは、略λ/4(λは動作周波数の中心周波数に対応する波長)とした。この裏面接地導体99と接地導体(コプレーナ線路)82と直線状のアンテナ線路81が不平衡給電部83を構成している。
このアンテナ装置90は、不平衡型アンテナ装置である点で、図3〜図8に示した平衡型アンテナ装置とは異なる。すなわち、図3〜図8に示した平衡型アンテナ装置7〜48は平衡不平衡変換器12を有し、平衡給電され、位相が互いに反対の信号で励振される正相用の導体膜(線路)と逆相用の導体膜(線路)とが必要であった。
図9(A)に示すように、上記不平衡給電部83の直線状アンテナ線路81に同軸線路70の中心導体71が接続され、接地導体82に同軸線路70の接地導体72が接続される。同軸線路70は、TV受像機に接続される。図9(C)に示す線状アンテナ線路81の幅xwと、接地導体82の幅xdと、アンテナ線路81と接地導体82との間の間隙xgと、図9(D)に示す絶縁性基板85の厚さhは、インピーダンスが75Ω(オーム)となるように調整されている。
この変形例では、不平衡給電部83を、地板付きコプレーナ線路とした。この地板付きコプレーナ線路は、“地板のみからなるマイクロストリップ線路”と“信号線と同じ面に接地導体を構成するコプレーナ線路”とを合わせた構造である。この構造によって、不平衡給電部83からの不要放射をより効果的に低減している。ここで接地導体82の幅xdは、ビアホール60が形成されるエリアが確保できれば、平面状またはライン状のどちらの形態であっても構わない。また、不要放射の抑圧度は若干落ちるが、不平衡給電部83を、マイクロストリップ線路の構造やコプレーナ線路の構造としても機能動作上構わない。
上記不平衡給電部83は、誘電体基板等の絶縁性基板10で構成され、かつ平面回路で不平衡線路であるコプレーナ線路(またはマイクロストリップ線路または地板付きコプレーナ線路)で構成されている。このため、不平衡給電部83に、図2に示す低雑音アンプ22a,22bを直接に一体構成することは極めて容易である。
さらに、アンテナ放射素子であるスパイラル状のアンテナ線路80と不平衡給電部83とのインピーダンス整合は、スパイラル状アンテナ線路80の長さ及び、スパイラル状アンテナ線30のライン幅WやギャップGで調整可能である。インピーダンスの整合をより確実するために、不平衡給電部83の地板付きコプレーナ線路には、スタブ(図示せず)等が設けられていても構わない。
次に、このアンテナ装置90の動作について説明する。
このアンテナ装置90はスパイラル状のアンテナ線路80を有し、アンテナ線路80は、渦巻き状の回転構造を有しているので、水平偏波成分と垂直偏波成分の軸比が小さくなり、水平偏波成分と垂直偏波成分の両方の信号成分に対して受信すること可能である。例えば、このアンテナ装置90を、図1に示すフラットパネル型ディスプレイとしての液晶モニタ100の周辺部50の側面部50bに配置すれば、液晶モニタ100は、側面方向から入射してくる垂直偏波成分のみならず、水平偏波成分も受信可能となる。
通常、UHF帯のテレビ放送で、放送局からの水平偏波成分を受信する場合、ダイポールアンテナが必要となるが、TV受像機の側面にダイポールアンテナを配置するとなると、略λ/2分の奥行きが必要となり、奥行きが薄型であるフラットパネル型ディスプレイの形状に適さなかった。これに対し、この実施形態のスパイラル状のアンテナ線路80を有するアンテナ装置90によれば、略λ/2分の奥行き寸法を必要せず、フラットパネルディスプレイに対応した薄型の形状とすることができる。
次に、図10に、複数のアンテナ装置を取り付けたフラットパネル型ディスプレイ(液晶モニタ)100を示す。このディスプレイ100の前面部50aに取り付けるアンテナ装置4aとしては、図3〜図8に示す平衡型の各アンテナ装置7,17,8,18,38,48のいずれかを採用している。また、このディスプレイ100の面部50に取り付けるアンテナ装置4bとしては、図7に示すスパイラル型のアンテナ装置38または図9に示す不平衡型のアンテナ装置90を採用している。図10において、破線矢印及び楕円状のループは指向特性を表している。
これら前面のアンテナ装置4aと両側面のアンテナ装置4b,4bをダイバシティ制御することによって、図10に示すように、全方位からの水平,垂直偏波成分を受信することが可能となる。
さらに、図11に示すように、フラットパネル型ディスプレイ100の内部に、スパイラル型のアンテナ装置90に対して適当な間隔d92を隔てた箇所に金属板93を反射板として設けて、指向性アンテナを構成してもよい。この場合、スパイラル型のアンテナ装置90に替えて図5〜図8のアンテナ装置8〜48を採用してもよい。なお、図11のフラットパネル型ディスプレイ100では、ディスプレイ回路の遮蔽板を金属板93として用いた。また、金属板93とスパイラル型アンテナ装置90との間隔d92は、動作中心波長をλとしたとき、λ/4〜λ/15の間に設定した。
(実施の形態)
次に、図14Aおよび図14Bを参照して、この発明の実施形態としてのアンテナシステムを説明する。この実施形態のアンテナシステムは、図2に示した信号制御部29を備えると共に図2に示したアンテナ部20とは異なるアンテナ部94を有する。したがって、この実施形態のアンテナシステムでは、アンテナ部94を説明する。
図14Aの斜視図および図14Bの断面図に示すように、このアンテナ部94は、長手方向に所定の間隔dを隔てて隣り合う2つのダイポールアンテナ装置44aと44bを有する。このアンテナ装置44aと44bは、絶縁体で作製された絶縁体カバー96bと絶縁体で作製された絶縁体スペーサ96aを有する。
このダイポールアンテナ装置44aは、平面状の導体44a-1〜44a-4と、絶縁体としての絶縁性基板40と、平衡不平衡変換器12aを有する。この平面状の導体44a-1と44a-2とが放射素子45aを構成し、上記平面状の導体44a-3と44a-4とが放射素子46aを構成している。
上記平面状の導体44a-3と44a-4に、それぞれ、給電端子39a-1と39a-2が接続されている。この給電端子39a-1と39a-2は、給電部としての平衡不平衡変換器12aに接続されている。この平衡不平衡変換器12aは、同軸線路70aで信号制御部29の合成器25に接続されている。また、この放射素子44a-1と44a-2は、長手方向に所定間隔を隔てて、絶縁性基板40の一方の面に形成されている。
また、上記平面状の導体44a-3と44a-4は、長手方向に所定間隔を隔てて、絶縁性基板40の他方の面に形成されている。上記平面状の導体44a-1と44a-3は、絶縁性基板40を挟んで対向しており、この絶縁性基板40に形成された複数のビアホール60内の導体でもって電気的に接続されている。また、上記平面状の導体44a-2と44a-4は、絶縁性基板40を挟んで対向しており、この絶縁性基板40に形成された複数のビアホール60内の導体でもって電気的に接続されている。
上記平面状の導体44a-1〜44a-4と、絶縁体としての絶縁性基板40と、平衡不平衡変換器12aとがアンテナ装置本体44aaを構成している。したがって、このアンテナ装置本体44aaは、上記絶縁体カバー96bと絶縁体スペーサ96aとによって挟まれている。
一方、もう1つのダイポールアンテナ装置44bは、上記ダイポールアンテナ装置44aと同様の構成であり、平面状の導体44b-1〜44b-4と、絶縁体である絶縁性基板41と、平衡不平衡変換器12bを有する。上記平面状の導体44b-1と44b-2が放射素子45bを構成し、上記平面状の導体44b-3と44b-4が放射素子46bを構成している。
この放射素子46bの導体44b-3には給電端子39b-1が接続され、放射素子46bの導体44b-4には給電端子39b-2が接続されている。この給電端子39b-1と39b-2は、給電部としての平衡不平衡変換器12bに接続されている。この平衡不平衡変換器12bは、同軸線路70bで信号制御部29の合成器25に接続されている。
平面状の導体44b-1と44b-2は、長手方向に所定間隔を隔てて、絶縁性基板41の一方の面に形成されている。また、上記平面状の導体44b-3と44b-4は、長手方向に所定間隔を隔てて、絶縁性基板41の他方の面に形成されている。この平面状の導体44b-1と44b-3は、絶縁性基板41を挟んで対向しており、この絶縁性基板41に形成された複数のビアホール61内の導体でもって電気的に接続されている。また、平面状の導体44b-2と44b-4は、絶縁性基板41を挟んで対向しており、この絶縁性基板41に形成された複数のビアホール61内の導体でもって電気的に接続されている。
上記平面状の導体44b-1〜44b-4と、絶縁体としての絶縁性基板41と、給電端子39b-1,39b-2と、平衡不平衡変換器12bとがアンテナ装置本体44bbを構成している。したがって、このアンテナ装置本体44bbは、上記絶縁体カバー96bと絶縁体スペーサ96aとによって挟まれている。
図14Bに示すように、上記アンテナ装置本体44aaおよび44bbは、厚さtの絶縁体スペーサ96a上に設置されている。この絶縁体スペーサ96aは、上記平衡不平衡変換器12aと12bに対応する箇所に、凹部98aと98bを有している。したがって、この上記平衡不平衡変換器12a,12bは、それぞれ、絶縁性基板40,41に取り付けられると共に、絶縁体スペーサ96aの凹部98a,98bに収容されることになる。したがって、このアンテナ装置44a,44bは、上記凹部98a,98bを有する絶縁体スペーサ96aを備えたことで、平衡不平衡変換器12aと12bの存在に起因して外形に凹凸が生じることを回避できる。したがって、このアンテナ装置44a,44bを、凹凸の無い平面アンテナとすることができる。これにより、一例として、上記アンテナ部94は、図14Bに示すように、液晶TV等の放送受信装置101の筐体の上面部43の平面上に絶縁体スペーサ96aを隙間なく取り付けることができる。ちなみに、上記平衡不平衡変換器12a,12bは、一例として、略直方体形状のチップ部品と基板とで構成される。このチップ部品の厚さは、例えば1〜3mm程度であり、上記基板の厚さは一例として1mm程度である。したがって、この平衡不平衡変換器12a,12bは、一例として、約4mm〜5mm程度の厚さを有する。一方、アンテナ装置44a,44bの絶縁性基板40,41は、一例として、約1mm程度の厚さを有している。つまり、平衡不平衡変換器12a,12bは、一例として、絶縁性基板40,41の数倍の厚さとなる場合がある。
また、この実施形態では、この絶縁体スペーサ96aの存在により、各アンテナ装置本体44aa,44bbが放送受信装置101の筐体に直接に接触しないので、この筐体を伝わってくる放送受信装置101の内部からの雑音等が各アンテナ装置本体44aa,44bbに与える影響を抑圧,軽減できる。また、上記絶縁体スペーサ96aの存在により、各アンテナ装置本体44aa,44bbの各平面状の導体44a-1〜44a-4,44b-1〜44b-4が、上記筐体内の導電体(シールド板等)の影響を受けることを抑えることができる。
さらに、この実施形態では、平面状の各アンテナ装置本体44aa,44bbの各平面状の導体44a-1〜44a-4,44b-1〜44b-4を、放送受信装置101の筐体の上面部43に取り付けることができる。よって、各平面状の導体44a-1〜44a-4,44b-1〜44b-4は筐体を介することなく、絶縁体カバー96bを介して、空気中に達することができる。また、この実施形態のアンテナシステムでは、各アンテナ装置44a,44bを、スペーサ96aと一体化した平面アンテナとしている。よって、この実施形態によれば、放送受信装置101に各アンテナ装置44a,44bを装着して、放送受信装置101の本体内部へ同軸線路70a,70bを配線することで、放送受信装置へ取付けることができる。したがって、この実施形態によれば、各アンテナ装置の取付けが容易であり、量産性に優れたアンテナシステムとなる。
(第6参考例)
次に、図15A,図15Bを参照して、この発明の第6参考例としてのアンテナシステムを説明する。この第6参考例は、アンテナ部95が有する平衡不平衡変換器12a,12bの配置が、前述の実施形態と異なる。なお、図15Aでは、図15Bに示す絶縁体カバー96bの記載を省略している。
前述の実施形態では、平衡不平衡変換器12a,12bが絶縁体スペーサ96aの凹部98a,98bに収容されると共に、絶縁体基板40,41に取り付けられていた。これに対し、この第6参考例では、平衡不平衡変換器12aは、アンテナ装置44a’の平面状の導体44a-1と44a-3から絶縁体スペーサ96cを貫通して延在する導体線路44a-5と、平面状の導体44a-2と44a-4から絶縁体スペーサ96cを貫通して延在する導体線路44a-6とに接続されている。この導体線路44a-5および44a-6は、給電端子を含んでいる。
また、もう1つの平衡不平衡変換器12bは、アンテナ装置44b’の平面状の導体44b-1と44b-3から絶縁体スペーサ96cを貫通して延在する導体線路44b-5と、平面状の導体44b-2と44b-4から絶縁体スペーサ96cを貫通して延在する導体線路44b-6とに接続されている。この導体線路44b-5および44b-6は、給電端子を含んでいる。
したがって、この第6参考例では、絶縁体スペーサ96cは、前述の絶縁体スペーサ96aのような凹部98a,98bは有しておらず、平衡不平衡変換器12a,12bは、絶縁体スペーサ96cから所定寸法だけ離隔している。この第2実施形態では、一例として、放送受信装置101の筐体内、つまり、筐体の上面部43の内側に、平衡不平衡変換器12a,12bが配置される。この平衡不平衡変換器12a,12bは、同軸線路70a,70bで信号制御部29の合成器25に接続されている。
すなわち、この第6参考例では、一例として直方体形状のチップ部品で構成される平衡不平衡変換器12a,12bが、絶縁性基板40,41から離隔して放送受信装置101の筐体内部に配置されている。したがって、アンテナ装置44a,44bは、放送受信装置101に装着した状態では、外観上、凹凸感の無い平面アンテナとなる。また、平衡不平衡変換器12a,12bが、放送受信装置101の筐体内部に収容されるので、平衡不平衡変換器12a,12bを構成するチップ部品等を保護することも可能となり、信頼性に優れたアンテナを実現できる。
なお、上記アンテナ装置44a,44b,44a’,44b’が有する放射素子45a,46a,45b,46bを構成する平面状の導体44a-1〜44a-4,44b-1〜44b-4は、金属性の板状導体や導電体シートであっても構わない。
図1(A)はこの発明の第1参考例としてのフラットパネル型ディスプレイである液晶モニタを前面から見た様子を示す図であり、図1(B)は上記液晶モニタを背面から見た様子を示す図である。 この発明の参考例としてのアンテナシステムの回路ブロック図である。 図3(A)はこの発明のアンテナ装置の参考例としてのダイポール型アンテナ装置の平面図であり、図3(B)は図3(A)の拡大図であり、図3(C)は上記アンテナ装置の部分断面図である。 図4(A)はこの発明の第2参考例としてのダイポール型アンテナ装置の平面図であり、図4(B)は図4(A)の部分拡大図であり、図4(C)は図4(B)に対応した断面図である。 図5(A)はこの発明の第3参考例である平衡型のスパイラル形アンテナ装置の平面図であり、図5(B)は上記アンテナ装置の部分断面図である。 図6(A)は上記第3参考例の変形例であるメアンダ形アンテナ装置の平面図であり、図6(B)は上記メアンダ形アンテナ装置の部分断面図である。 図7(A)はこの発明の第4参考例である平衡給電型のスパイラル形アンテナ装置の平面図であり、図7(B)はスパイラル形アンテナ装置の部分断面図である。 図8(A)は上記第4参考例の変形例としての平衡給電型メアンダ形アンテナ装置の平面図であり、図8(B)はメアンダ形アンテナ装置の部分断面図である。 図9(A)はこの発明の第5参考例のアンテナシステムが有する不平衡型のスパイラル形アンテナ装置90の平面図であり、図9(B)は上記アンテナ装置90の部分断面図であり、図9(C)は上記アンテナ装置90の不平衡給電部83の部分平面図であり、図9(D)は上記アンテナ装置90の断面図である。 図10はこの発明の参考例の複数のアンテナ装置が配置されたフラットパネル型ディスプレイの指向特性を示す図である。 図11は、上記スパイラル型のアンテナ装置90を取り付けたフラットパネル型ディスプレイ100が反射板93を有した状態を示す斜視図である。 従来の室内アンテナを示す模式図である。 従来のTV一体型アンテナを示す模式図である。 この発明の実施形態のアンテナシステムのアンテナ部94の斜視図である。 上記アンテナ部94の断面図である。 この発明の第6参考例のアンテナシステムを放送受信装置に装着した様子を示す斜視図である。 上記第6参考例のアンテナシステムのアンテナ部95の断面図である。
符号の説明
1…ディスプレイ部
1A…画面
2…固定脚
3…スピーカ部
4a−1,4a−2…平面アンテナ装置
4b−1,4b−2…平面アンテナ装置
4c−1,4c−2…平面アンテナ装置
6…電源スイッチを含む選局・映像切り替えスイッチ
7、17…ダイポール型アンテナ装置
8…平衡型のスパイラル形アンテナ装置
9…背面部
10、11、40、41…絶縁性基板
12、12a、12b…平衡不平衡変換器(給電部)
20、94、95…アンテナ部
22a、22b…アンプ
23a、23b…検波段
24…比較器
25…合成器
26…TV受像機
27a,27b…バンドパスフィルタ
28a、28b…分配器
30…放射素子
30a,30b…ライン状導体膜
31a,31b…先端部
33…ループ状の導体膜
39a-1、39a-2…給電端子
G39…ギャップ
W30…線幅
44a、44a’、44b、44b’…アンテナ装置
44a-1〜44a-4、44b-1〜44b-4…平面状の導体
45a、45b、46a、46b…放射素子
50…周辺部
50a…前面部
50b…側面部
50c…背面部
60、61…ビアホール
70、70a、70b…同軸ケーブル
71…中心導体(同軸ケーブルの信号線路)
72…接地導体
80…アンテナ線路
81…アンテナ線路
82…接地導体
83…不平衡給電部
90…不平衡型アンテナ装置
d92…金属板93とスパイラル型アンテナ装置90との間隔
93…金属板
96a、96c…絶縁体スペーサ
96b…絶縁体カバー
99…裏面接地導体
100…フラットパネル型ディスプレイ
101…放送受信装置
200…従来の室内アンテナ
201…ループアンテナ
202a、202b…ロッドアンテナ
203…携帯型テレビのロッドアンテナ
210…従来の小型TV受像機

Claims (6)

  1. アンテナ装置本体と、このアンテナ装置本体が取り付けられるフラットパネル型放送受信機の筐体と上記アンテナ装置本体とが接さないようにするスペーサとを備えると共に上記放送受信機に対して着脱可能であり、かつ、上記放送受信機から取り外して部屋の窓側に取り付け可能な平面アンテナ装置であり、
    上記アンテナ装置本体は、
    上記筐体の上面部に配置され、
    絶縁体と、
    この絶縁体に形成されると共にライン状または平面状の導体で構成された放射素子と、
    上記放射素子に接続された給電端子とを備え、
    上記スペーサには、上記給電端子に接続された平衡不平衡変換器が収容されている平面アンテナ装置を備え、
    さらに、上記フラットパネル型放送受信機の筐体の内側の金属板と、上記筐体の両外側面部に配置されるスパイラル状信号導体とを含むスパイラル型アンテナ装置を備えていることを特徴とするアンテナシステム
  2. 請求項1に記載のアンテナシステムにおいて、
    上記平面アンテナ装置の上記放射素子は、上記平衡不平衡変換器を経由して同軸線路に接続されていることを特徴とするアンテナシステム
  3. 請求項1に記載のアンテナシステムにおいて、
    上記平面アンテナ装置の上記導体は信号導体であり、
    上記平面アンテナ装置の上記絶縁体は絶縁性基板であり、
    上記平面アンテナ装置の上記放射素子は、
    上記信号導体に加えて、
    上記絶縁性基板に形成されると共にライン状または平面状の導体で構成された接地導体を有し、
    上記放射素子が有する信号導体は、上記同軸線路に接続されていることを特徴とするアンテナシステム
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載のアンテナシステムにおいて、
    上記平面アンテナ装置の上記放射素子は上記絶縁体の両面に設けられており、
    上記平面アンテナ装置の上記絶縁体の両面に設けられた上記放射素子が有するライン状または平面状の導体は、複数のビアホールによって接続されていることを特徴とするアンテナシステム
  5. 請求項1に記載のアンテナシステムにおいて、
    上記平面アンテナ装置を複数備え、
    上記複数の平面アンテナ装置それぞれの給電端子の後に接続された増幅器と、
    この増幅器への供給バイアスのオンとオフを切り替える制御部と、を備えたことを特徴とするアンテナシステム。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載のアンテナシステムを備えることを特徴とする放送受信装置。
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