JP6419756B2 - 温度検出装置 - Google Patents
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Description
特許文献1では、ステータコイルの一部である中性線に折り曲げ部分を設け、その折り曲げ部分の間に、感熱体(サーミスタ)を内蔵するケースを配置するとともに、折り曲げ部分を厚み方向両側から治具で押さえながら、折り曲げ部分およびケースの全体を包み込むように樹脂を射出成形している。成形された樹脂モールドにより、温度センサがコイルの折り曲げ部分に固定される。
特許文献1の構成によると、温度センサを取り付けるコイルを折り曲げているため、厚みが増して構造が大型化する。また、感熱体がケースに内蔵されているため、感熱体がケースを介してコイルに接触することとなるので、感度や応答性に改善の余地がある。
以上より、本発明は、小型化を促進しつつ、コイルの温度をより正確で応答性良く検出することが可能な温度検出装置を提供することを目的とする。
本発明の温度検出装置において、ホルダには、収容部の内側へ感熱体およびコイルに向けて第1樹脂を供給するための開口が収容部に連続して設けられていることが好ましい。
感熱体は、コイルの表面に沿って横向きに配置されていることが好ましい。
上記構成において、電線ホルダには、一対の電線がそれぞれ個別に挿通される一対の挿通孔が形成され、一対の挿通孔の間には壁が形成されていることが好ましい。
突起は、ホルダである感熱体ホルダと電線ホルダとの間の間隙を延びる電線と交差した幅方向における一方の側のみに位置していることが好ましい。
前記ホルダである感熱体ホルダと電線ホルダとの間の間隙に露出した電線の一部を第2樹脂が包み込んでおり、感熱体は、第2樹脂よりも熱伝導率が高い第1樹脂を介してコイルに接触していることが好ましい。
本発明の温度検出装置は、電線を保持する電線ホルダを備え、前記ホルダである感熱体ホルダと電線ホルダとの間の間隙に露出した電線の一部を第2樹脂が包み込んでおり、第1樹脂および第2樹脂のうち、少なくとも第2樹脂は、樹脂モールドの一部であることが好ましい。
感熱体接触部がコイル要素に「接触している」は、感熱体接触部とコイル要素の表面との間に一切の物が介在することなく感熱体接触部がコイル要素に接触していることの他に、若干量の樹脂を介して感熱体接触部がコイル要素の表面に間接的に接触していることも含むものとする。
感熱体接触部とコイル要素との間に隙間に、空気よりも熱伝導率が高い樹脂が充填されていると、感熱体接触部とコイル要素との間に空隙が残される場合に比べて、温度検出の感度、応答性を向上させることができる。
図1(a)および(b)に示す温度検出装置1は、回転電機を構成するコイルの一部として用いられるコイル要素9と、コイル要素9に取り付けられるセンサ組立体2と、射出成形された樹脂の塊である樹脂モールド3とを備えている。
コイル要素9を含むコイルは、回転電機に備えられた図示しないステータ(固定子)を構成する。
センサ組立体2に備えられた感熱体11(図2、図3)が感知したコイル要素9の熱に基づいて、コイル要素9を含むコイル(ステータコイル)の温度が検出される。
(1)コイル要素
コイル要素9は、ステータコイルを構成する他のコイル要素(図示しない)に電気的に接続されることで、ステータコイルの一部として用いられる。
コイル要素9は、図1(a)に示すように、回転電機の運転時に電流が流れる導体91と、導体91の表面を被覆する絶縁性の被膜92とを備えている。導体91は、横断面が矩形状の平角線である。
コイル要素9の平坦な表面9Aに、センサ組立体2の感熱体11(図2、図3)が接触している。
本実施形態のコイル要素9は一方向に延びており、全体として直線状に形成されているが、コイル要素9が湾曲していたり、屈曲した部分を含んで構成されていてもよい。湾曲していたり屈曲した部分を含む領域にセンサ組立体2を取り付ける場合は、コイル要素9の形状に倣った形状にセンサ組立体2のホルダ20を構成するとよい。
センサ組立体2は、図2、図3、および図1(a)に示すように、温度センサ素子であるサーミスタ素子10と、サーミスタ素子10をコイル要素9に組み付けるホルダ20とを備えている。
(i)サーミスタ素子
サーミスタ素子10は、図5(a)に示すように、熱を感知する感熱体11と、感熱体11の前端11Aから後端11Bに向けて引き出された一対の電線12とを含んで構成されている。
感熱体11は、図5(a)に示すように、感熱体本体110と、感熱体本体110を覆う被覆ガラス11G(被覆材)と、被覆ガラス11Gから電線12が引き出されている箇所を補強する補強部13とを有している。
感熱体本体110は、温度変化に対して電気抵抗が大きく変化する半導体である。感熱体本体110に備えられている図示しない電極に、電線12が電気的に接続されている。
感熱体本体110は、例えば、Mn、Ni、Coを主体とする遷移金属酸化物の数種を原料とし、焼結されたセラミックから構成することができる。
被覆ガラス11Gは、全体として略円柱状に形成されているが、適宜な形状に構成することができる。
一対の電線12は、図5(a)に示すように、それぞれ、感熱体本体110に接続されて被覆ガラス11Gおよび補強部13の外側へと引き出される引出線121(第1電線)と、引出線121の端部に接続されるリード線122(第2電線)とを有している。リード線122は、図示しない回路基板に接続されている。
各引出線121の一部は、被覆ガラス11Gの中に包み込まれている。引出線121は、被覆ガラス11Gの線膨張係数と同等あるいはそれに近い線膨張係数を有することが好ましい。線膨張係数の観点より、引出線121として、白金や白金合金から形成された導線や、ジュメット線を用いることができる。ジュメット線は、鉄およびニッケルを含有する合金から形成された芯線と、芯線を覆う銅合金の被膜とを有している。
絶縁被覆122Bから露出した芯線122Aの端部と、引出線121の端部とが、レーザーによる溶接や電気抵抗加熱による溶接等の方法により接続されており、その接続部分124を圧着具123が圧着している。圧着具123は、接続部分124を覆い、外側からかしめられている。圧着具123は、適宜な金属材料から形成されている。
引出線121と芯線122Aとを接続する方法は、上記のように引出線121と芯線122Aとを溶接し、圧着具123を用いて圧着する方法には限定されない。圧着具123は必ずしも必要ではなく、溶接、圧着、はんだ付け等の適宜な方法で引出線121と芯線122Aとを接続することができる。
図5(a)に示す補強部13は、被覆ガラス11Gの後端部から引き出されている引出線121の一部を補強しており、円柱状に形成されている。補強部13は、例えばAl2O3、SiO2、ZrO2、ZrSiO4、MgO、Y2O3、およびAlNのうち1つ以上を主成分とするセラミック材料から成形された部材である。補強部13には、一対の引出線121がそれぞれ通される2つの孔が形成されている。補強部13は、適宜な方法により感熱体11に一体化されている。補強部13から後方へと引出線121が引き出されている。
補強部13は、十分な剛性を備えているため、感熱体ホルダ21により感熱体11をコイル要素9に保持するにあたり、感熱体ホルダ21により補強部13をコイル要素9に押し付けることが好ましい。
次に、ホルダ20は、図2および図3に示すように、サーミスタ素子10の感熱体11の一部を保持する感熱体ホルダ21と、サーミスタ素子10の電線12を保持する電線ホルダ22とを備えている。感熱体ホルダ21および電線ホルダ22は、いずれも、絶縁性の樹脂から成形されている。
感熱体ホルダ21および電線ホルダ22は、サーミスタ素子10の長さ方向(前後方向)D1に並んでいる。
「コイル要素の表面に沿って横向きに配置されている」は、感熱体11の前端11A(図5)と、引出線121が引き出される感熱体11の後端11B(図5)とを結ぶ長さ方向D1が、コイル要素9の表面9Aと平行またはほぼ平行である状態をいうものとする。
感熱体ホルダ21は、図2に示すように、感熱体11の全体を取り囲む形態に形成されている。感熱体ホルダ21は、略直方体状の外観に形成されている。
感熱体ホルダ21は、感熱体11の一部である補強部13(図5(a))を収容する収容溝21Aと、収容溝21Aに隣接し、被覆ガラス11Gを収容する収容孔21Bと、コイル要素9を幅方向D2の両側から把持する把持部21C(図1(a))と、図2に二点鎖線で示す樹脂モールド3の樹脂を保持する土手21Dとを有している。
土手21Dは、感熱体ホルダ21の上面部の周縁から立ち上がるように、平面視コ字状(C字状)に形成されている。
収容孔21Bの内側には、図3、図4(b)に示すように、被覆ガラス11Gが感熱体接触部11Sとして配置される。補強部13の一部が収容孔21Bの内側に配置されていてもよい(図3)。
感熱体接触部11Sは、図3に示すように、第1樹脂溜まり41に包み込まれた状態でコイル要素9の表面9Aに接触している。
感熱体接触部11Sとコイル要素9とが接触している箇所では、感熱体接触部11Sとコイル要素9との間に空隙が存在しない。
感熱体接触部11Sは、全長に亘りコイル要素9に接触している必要はなく、感熱体接触部11Sの少なくとも一部がコイル要素9に接触していれば足りる。
後述するように、収容孔21Bを通じて、未硬化の樹脂を感熱体11およびコイル要素9に向けて供給し、硬化させることにより、第1樹脂溜まり41および樹脂Rを形成することができる。
把持爪21Eは、図3および図1(b)に示すように、感熱体ホルダ21の底部21Fの幅方向D2の両側に位置しており、感熱体ホルダ21の幅方向D2の中心に対して対称に形成されている。
電線ホルダ22は、図5(b)に示すように、感熱体11から延びている一対の電線12が個別に通される挿通孔22Aと、コイル要素9を幅方向D2両側から把持する把持部22Bと、感熱体ホルダ21に向けて突出する突起23と、樹脂モールド3(図1(a))の樹脂を保持する土手22Dとを有している。
土手22Dは、感熱体ホルダ21の土手21Dと対称にコ字状(C字状)に形成されており、土手22Dおよび土手21Dの内側に、樹脂モールド3の樹脂が留められる。
電線ホルダ22は、サーミスタ素子10の長さ方向D1に沿って、感熱体ホルダ21と直列に配置されている。
挿通孔22Aの前側の開口から、リード線122および圧着具123が通される。リード線122は、電線ホルダ22の後端22Xからコイル要素9に沿って引き出され(図1(a))、図示しない回路基板に接続されている。
図2に示すように、感熱体ホルダ21および電線ホルダ22には、電線露出部121Aを包み込む第2樹脂溜まり32が設けられている。第2樹脂溜まり32は、感熱体ホルダ21と電線ホルダ22との間に充填された樹脂が硬化したものである。
第2樹脂溜まり32は、樹脂モールド3の一部を構成している。
一方の把持爪22Eは、図5(b)の手前側に示す他方の把持爪22Eよりも前方にまで延びている。
これらの把持爪22Eよりも後方には、図1(b)に示すように、樹脂モールド3の一部であるアンカー部34が設けられている。
位置決め部231および隔壁232は、一体に、平面視L字状に形成されている。これらの位置決め部231および隔壁232は、図4(b)に示すように、電線ホルダ22の底部22Fに連続している。
なお、位置決め部231が、感熱体ホルダ21から電線ホルダ22に向けて突出するように感熱体ホルダ21に設けられていてもよい。
感熱体ホルダ21と電線ホルダ22との間に第2樹脂溜まり32(図2)を設ける前に、位置決め部231の前端を感熱体ホルダ21の端面21Sに突き当てる。そうすると、電線ホルダ22と感熱体ホルダ21とがサーミスタ素子10の長さ方向D1において相対的に位置決めされる。
補強部13から引き出された引出線121の根元121Bと隔壁232との干渉を避けるため、隔壁232の先端は、感熱体ホルダ21の端面21Sに対して後方に退避している。
樹脂モールド3は、図1(a)および(b)、図2に示すように、コイル要素9およびセンサ組立体2のそれぞれの所定領域を覆い隠すように射出成形により形成されている。
本実施形態の樹脂モールド3は、図1(a)に示すように、上方充填部31と、第2樹脂溜まり32と、把持爪充填部33(図1(b))と、アンカー部34とを含んで構成されている。樹脂モールド3の全体により、コイル要素9、ホルダ20、およびサーミスタ素子10が相互に固定される。また、樹脂モールド3が設けられていることで、コイル要素9を除く外部からの熱的な影響が感熱体11へと及ぶのを避けることができる。
樹脂モールド3は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ナイロン等の適宜な樹脂材料から成形されている。
アンカー部34は、電線ホルダ22の後端部に限らず、電線ホルダ22の適宜な箇所(単数あるいは複数の箇所)に設けることができる。あるいは、感熱体ホルダ21の把持爪21Eの一部を欠損させ、その欠損箇所に、アンカー部34と同様のアンカー部を設けることもできる。
以下、温度検出装置1を製造する手順の一例を説明する。
まず、図6(a)に示すように、サーミスタ素子10の一対のリード線122をそれぞれ電線ホルダ22の挿通孔22Aに通すことで、サーミスタ素子10を電線ホルダ22に組み付ける(ステップS1)。このとき、圧着具123が電線ホルダ22の内部に係止されるので、サーミスタ素子10が電線ホルダ22に対して位置決めされる。
図6(b)に示すように、電線ホルダ22の把持部22Bの内側にコイル要素9を嵌めると、サーミスタ素子10および電線ホルダ22がコイル要素9に組み付けられる(ステップS2)。
このとき、収容溝21Aよりも下方に突出している補強部13の下端が、保持部としての収容溝21Aの内壁によりコイル要素9の表面9Aに向けて押し付けられるため、感熱体11は、コイル要素9および感熱体ホルダ21に対して位置決め、保持される。
所定の量の樹脂を供給することにより(ポッティング)、図7(b)に示すように、第1樹脂溜まり41が感熱体ホルダ21に設けられる。
収容孔21B内に供給された樹脂は、周囲に流れ出ることなく、収容孔21Bの内壁により、収容孔21Bの内部に留まる。そのため、収容孔21B内に樹脂を溜めてそのまま硬化させることができる。
溶融した樹脂は、土手21Dおよび土手22Dの内側の領域、ホルダ21,22の間、把持爪21E,21Eの間および把持爪22E,22Eの間等に行き渡り、サーミスタ素子10、ホルダ21,22、およびコイル要素9の各々の表面に密着した状態に硬化する。サーミスタ素子10、ホルダ21,22、およびコイル要素9は、樹脂モールド3により一体的に固定される。
第1樹脂溜まり41を感熱体ホルダ21に設けた後、射出成形の樹脂の圧力を第1樹脂溜まり41を介して感熱体11に作用させることにより、感熱体11が適度に押され、コイル要素9の表面9Aに十分に近接する。
感熱体ホルダ21と電線ホルダ22との間に流入した樹脂は、隔壁232も包み込んだ状態で硬化する。そうすると、隔壁232がアンカーとして機能するため、第2樹脂溜まり32がホルダ21,22から高さ方向D3に引き抜かれることを防ぐことができる。
以上で説明した本実施形態の温度検出装置1では、図3に示すように、感熱体接触部11Sとコイル要素9の表面9Aとの間に、樹脂射出成形部材(ホルダの一部等)が介在しておらず、感熱体接触部11Sがコイル要素9に接触している。そのため、射出成形品の肉厚に相当する分だけ、温度検出装置1の小型化を促進することができる。
そうすることで、被覆ガラス11Gや感熱体ホルダ21の寸法のばらつきに対応し、感熱体接触部11Sに過大な荷重が加えられることを避けながら、感熱体接触部11Sをコイル要素9の表面9Aに確実に接触させることができる。しかも、第1樹脂溜まり41により感熱体接触部11Sが包み込まれた状態で機械的に保持されているので、感熱体接触部11Sの破損を防止することができる。
上述の実施形態では、第1樹脂溜まり41(図3)に、樹脂モールド3とは別の熱伝導率の高い樹脂が用いられており、第1樹脂溜まり41と樹脂モールド3とが一体化されているが、本発明における第1樹脂溜まりは、樹脂モールド3の一部であってもよい。この場合、射出成形時に収容孔21B内に樹脂が充填されることで、第1樹脂溜まりが他のモールド部分(上方充填部31、第2樹脂溜まり32等)と共に形成される。
感熱体接触部11Sとコイル要素9との間に樹脂Rを介在させるにあたっては、感熱体接触部11Sが配置された収容孔21Bの開口から未硬化の樹脂材料を供給することに代えて、予め、未硬化の樹脂材料を付着させておいた感熱体接触部11Sをコイル要素9の表面9Aに配置することもできる。
射出成形によっても、収容孔21Bの内側に樹脂を隙間なく行き渡らせ、感熱体接触部11Sとコイル要素9との間の僅かな間隙に入り込んだ樹脂R(図3)を含む第1樹脂溜まりを形成することができる。
温度検出装置8の感熱体ホルダ21は、感熱体接触部11Sを収容する収容部25を有している。収容部25は、平面視C字の切り欠き状に形成されており、感熱体ホルダ21の前端に向けて開放されている。
射出成形時には、感熱体ホルダ21の前端が図示しない金型の壁に突き当てられ、金型の壁と、収容部25の内壁とで囲まれた空間内に樹脂が充填される。その樹脂により第1樹脂溜まり51が形成される。
射出成形の前に、収容部25の内側に熱伝導率の高い樹脂を供給し、感熱体接触部11Sとコイル要素9の表面9Aとの間に介在させることもできる。また、感熱体ホルダ21の前端に治具を突き当てることで、収容部25の内側にエポキシ系樹脂等をポッティングすることも可能であり、その場合は、ポッティングする樹脂により第1樹脂溜まり51が形成される。
この場合は、被覆ガラス11Gの一部を収容溝21A内に収容して保持・位置決めする。ここでは、被覆ガラス11Gの後端部により保持・位置決めを行うが、被覆ガラス11Gの前端部により保持・位置決めを行うこともできる。
被覆ガラス11Gの他の一部は,収容孔21Bの内側に配置されている。収容孔21B内の当該部分が、感熱体接触部11Sに相当する。
その状態で、熱伝導率が高い樹脂を収容孔21Bの内側にポッティングすることにより、第1樹脂溜まり41を感熱体ホルダ21に設けることができる。あるいは、射出成形時に収容孔21Bに充填される樹脂により、第1樹脂溜まりを感熱体ホルダ21に設けることができる。
いずれにしても、第1樹脂溜まりにより感熱体接触部11Sを包み込んでコイル要素9の表面9Aに接触させることができる。
上記実施形態のように、別体である感熱体ホルダ21および電線ホルダ22からホルダ20が構成されていると、サーミスタ素子10およびコイル要素9とホルダ20との組立てが容易であり、組立ての容易さ等を考慮して行われる設計自由度が高い。
但し、感熱体ホルダ21および電線ホルダ22は、必ずしも別体の部材である必要がない。例えば、収容孔21Bが延びている方向を長さ方向D1に沿った方向に変更することによって、感熱体ホルダ21および電線ホルダ22を射出成形の金型から一方向に抜くことができる限り、感熱体ホルダ21と電線ホルダ22とを一体に備えたホルダ20を射出成形することができる。
本発明は、種々の観点による下記の構成を包含する。
本発明の温度検出装置は、コイルの一部として用いられるコイル要素の熱を感知する感熱体、および感熱体に電気的に接続される電線を有する温度センサ素子と、温度センサ素子をコイル要素に組み付けるホルダと、を備え、ホルダは、コイル要素の表面に沿って横向きに配置された感熱体における一部を保持するとともに、感熱体の他の部分である感熱体接触部を包み込む第1樹脂溜まりが設けられる感熱体ホルダと、電線を保持する電線ホルダと、を備え、感熱体接触部は、第1樹脂溜まりに包み込まれた状態でコイル要素に接触していることを特徴とする。
また、本発明の温度検出装置は、温度センサ素子、ホルダ、およびコイル要素を相互に固定する樹脂モールドを備えることが好ましい。
本発明の温度検出装置において、感熱体は、樹脂モールドよりも熱伝導率が高い樹脂を介してコイル要素に接触していることが好ましい。
本発明の温度検出装置においては、感熱体ホルダと電線ホルダとの間に、電線の一部である電線露出部が配置されており、感熱体ホルダおよび電線ホルダには、電線露出部を包み込む第2樹脂溜まりが設けられていることが好ましい。
本発明の温度検出装置は、温度センサ素子、ホルダ、およびコイル要素を相互に固定する樹脂モールドを備え、第1樹脂溜まりおよび第2樹脂溜まりのうち少なくとも第2樹脂溜まりは、樹脂モールドの一部であることが好ましい。
本発明の温度検出装置において、感熱体ホルダおよび電線ホルダのいずれか一方は、他方に向けて突出し、感熱体ホルダおよび電線ホルダを相対的に位置決めする突起を備えていることが好ましい。
本発明の温度検出装置において、電線ホルダは、電線露出部とコイル要素の表面とを隔てるように、感熱体ホルダに向けて突出する隔壁を有することが好ましい。
本発明の温度検出装置において、感熱体ホルダは、コイル要素を幅方向の両側から把持する把持部と、コイル要素に配置された感熱体の一部を保持する保持部と、感熱体接触部および第1樹脂溜まりを収容し、感熱体ホルダの外側に通じている開口を有する収容部と、を有し、第1樹脂溜まりを構成する樹脂は、開口から収容部の内側に充填されていることが好ましい。
本発明の温度検出装置において、収容部は、コイル要素の表面と直交または略直交する方向に沿って延びていることが好ましい。
本発明の温度検出装置において、電線は、感熱体から引き出された第1電線と、第1電線に接続される第2電線と、を含み、電線ホルダには、第2電線が挿通されるとともに、第1電線と第2電線との接続部を圧着する圧着具が係止されることが好ましい。
本発明の温度検出装置において、感熱体は、電線と電気的に接続される感熱体本体と、感熱体本体を覆う被覆材と、被覆材から電線が引き出されている箇所を補強する補強部と、を有し、補強部は、感熱体の一部として感熱体ホルダにより保持され、被覆材は、感熱体接触部として第1樹脂溜まりに包み込まれた状態でコイル要素に接触していることが好ましい。
また、本発明は、コイルの一部に用いられるコイル要素の熱を感知する感熱体、および感熱体に電気的に接続される電線を有する温度センサ素子と、温度センサ素子をコイル要素に組み付けるホルダと、を備え、感熱体がコイル要素の表面に沿って横向きに配置されている温度検出装置を製造する方法であって、ホルダを構成する電線ホルダにより電線を保持するステップと、ホルダを構成する感熱体ホルダにより感熱体の一部を保持するステップと、感熱体の一部を感熱体ホルダにより保持した後、感熱体の他の部分である感熱体接触部を包み込む樹脂溜まりを感熱体ホルダに設けるステップと、樹脂溜まりに包み込まれた状態で感熱体接触部がコイル要素に接触するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の温度検出装置の製造方法は、温度センサ素子、ホルダ、およびコイル要素を相互に固定する樹脂モールドを射出成形する射出成形ステップを備え、射出成形ステップでは、既に設けられている樹脂溜まりと一体化するように、樹脂モールドを射出成形することが好ましい。
本発明の温度検出装置の製造方法は、温度センサ素子、ホルダ、およびコイル要素を相互に固定する樹脂モールドを射出成形する射出成形ステップを備え、射出成形ステップでは、樹脂溜まりを含むように樹脂モールドを射出成形することが好ましい。
本発明の温度検出装置の製造方法において、感熱体ホルダには、感熱体接触部を収容し、感熱体ホルダの外側に通じている開口を有する収容部が形成されており、射出成形ステップの前に、樹脂モールドよりも熱伝導率が高い樹脂を開口から収容部の内側に供給するステップを備えることが好ましい。
本発明の温度検出装置およびその製造方法によれば、感熱体がコイル要素に沿って横向きに配置されるため、温度検出装置を厚み方向に小型化することができる。それに加えて、感熱体を保持するホルダやケース等の成形体が感熱体とコイル要素との間に介在することなく、感熱体接触部がコイル要素に接触しているので、ホルダやケース等の成形体の肉厚に相当する分だけ、温度検出装置の小型化を促進することができる。
その上、感熱体接触部が、ホルダやケース等の成形体を介さずにコイル要素に直接的に接触していることで、コイル要素から感熱体へと直接的に熱伝導するため、コイル要素の熱に基づいてコイルの温度をより正確で応答性良く検出することができる。
感熱体接触部がコイル要素に「接触している」は、感熱体接触部とコイル要素の表面との間に一切の物が介在することなく感熱体接触部がコイル要素に接触していることの他に、若干量の樹脂を介して感熱体接触部がコイル要素の表面に間接的に接触していることも含むものとする。
感熱体接触部とコイル要素との間の隙間に、空気よりも熱伝導率が高い樹脂が充填されていると、感熱体接触部とコイル要素との間に空隙が残される場合に比べて、温度検出の感度、応答性を向上させることができる。
2 センサ組立体
3 樹脂モールド
9 コイル要素
9A 表面
9B 裏面
10 サーミスタ素子(温度センサ素子)
11 感熱体
11A 前端
11B 後端
11G 被覆ガラス(被覆材)
11S 感熱体接触部
12 電線
13 補強部
20 ホルダ
21 感熱体ホルダ
21A 収容溝
21B 収容孔(収容部)
21C 把持部
21D 土手
21E 把持爪
21F 底部
21G 開口
21S 端面
22 電線ホルダ
22A 挿通孔
22B 把持部
22C 収容空間
22D 土手
22E 把持爪
22F 底部
22G 空間
22S 端面
22X 後端
23 突起
25 収容部
31 上方充填部
32 第2樹脂溜まり
33 把持爪充填部
34 アンカー部
41 第1樹脂溜まり
91 導体
92 被膜
110 感熱体本体
121 引出線
121A 電線露出部
121B 根元
122 リード線
122A 芯線
122B 絶縁被覆
123 圧着具
124 接続部分
231 位置決め部
232 隔壁
C 金型
D1 長さ方向
D2 幅方向
D3 高さ方向
R 樹脂
Claims (16)
- 一のコイルに組み付けられて用いられ、前記コイルの温度を検出するための温度検出装置であって、
前記コイルの熱を感知する感熱体および前記感熱体に電気的に接続される電線を有する温度センサ素子と、前記温度センサ素子を前記コイルに組み付けるホルダと、を有し、
前記ホルダには、
前記感熱体を前記コイルの表面に保持するための保持部と、
前記コイルを幅方向の両側から把持するための把持部と、
前記感熱体、および外部から供給された第1樹脂を収容する収容部と、が設けられている、
ことを特徴とする温度検出装置。 - 前記ホルダには、前記収容部の内側へ前記感熱体および前記コイルに向けて前記第1樹脂を供給するための開口が前記収容部に連続して設けられている、
請求項1に記載の温度検出装置。 - 前記電線を保持する電線ホルダをさらに備え、
前記ホルダおよび前記電線ホルダにより前記温度センサ素子が前記コイルに組み付けられる、
請求項1または2に記載の温度検出装置。 - 前記電線ホルダには、一対の前記電線を隔てる壁が形成されている、
請求項3に記載の温度検出装置。 - 前記電線ホルダには、前記一対の電線がそれぞれ個別に挿通される一対の挿通孔が形成され、
前記一対の挿通孔の間には前記壁が形成されている、
請求項4に記載の温度検出装置。 - 前記電線ホルダは、前記ホルダである感熱体ホルダから離れて配置され、前記感熱体ホルダと前記電線ホルダとの間には間隙が形成されると共に、前記間隙において前記電線の一部が露出されており、
前記感熱体ホルダおよび前記電線ホルダには、前記間隙に露出した前記電線の一部を包み込むように第2樹脂が設けられている、
請求項3から5のいずれか一項に記載の温度検出装置。 - 前記ホルダである感熱体ホルダと前記電線ホルダとの間には、さらに前記電線と前記コイルとを隔てる隔壁が設けられている、
請求項3から6のいずれか一項に記載の温度検出装置。 - 前記ホルダである感熱体ホルダおよび前記電線ホルダのいずれか一方には、前記感熱体ホルダおよび前記電線ホルダが前記コイルに取り付けられた状態で他方に向けて突出する突起が設けられている、
請求項3から7のいずれか一項に記載の温度検出装置。 - 前記突起は、前記ホルダである感熱体ホルダと前記電線ホルダとの間の間隙を延びる前記電線と交差した幅方向における一方の側のみに位置している、
請求項8に記載の温度検出装置。 - 前記ホルダである感熱体ホルダと前記電線ホルダとの間の間隙に露出した前記電線の一部を第2樹脂が包み込んでいる、
請求項3から9のいずれか一項に記載の温度検出装置。 - 前記ホルダである感熱体ホルダと前記電線ホルダとの間の間隙に露出した前記電線の一部を第2樹脂が包み込んでおり、
前記感熱体は、前記第2樹脂よりも熱伝導率が高い前記第1樹脂を介して前記コイルに接触している、
請求項3から10のいずれか一項に記載の温度検出装置。 - 前記ホルダおよび/または前記電線ホルダを前記コイルに固定するための樹脂モールドをさらに備える、
請求項1から11のいずれか一項に記載の温度検出装置。 - 前記電線を保持する電線ホルダを備え、
前記ホルダである感熱体ホルダと前記電線ホルダとの間の間隙に露出した前記電線の一部を第2樹脂が包み込んでおり、
前記第1樹脂および前記第2樹脂のうち、少なくとも前記第2樹脂は、前記樹脂モールドの一部である、
請求項12に記載の温度検出装置。 - 前記把持部は、前記コイルを間に受け入れて前記コイルの裏側に係止される一対の爪部を有し、
前記一対の爪部の間には前記樹脂モールドが充填されている、
請求項13に記載の温度検出装置。 - 前記感熱体は、前記コイルの表面に沿って横向きに配置されている、
請求項1から14のいずれか一項に記載の温度検出装置。 - コイルの熱を感知する感熱体および前記感熱体に電気的に接続される電線を有する温度センサ素子と、前記温度センサ素子を一の前記コイルに組み付けるホルダと、を備えた温度検出装置を製造する方法であって、
前記ホルダにより、前記コイルを幅方向の両側から把持し、かつ、前記感熱体を前記コイルの表面に保持し、かつ、前記感熱体を収容するステップと、
前記感熱体が収容されている空間へ外部から樹脂を供給するステップと、
前記樹脂の硬化を経て前記ホルダに樹脂溜まりが設けられるステップと、を含む、
ことを特徴とする温度検出装置の製造方法。
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